明かし月

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842:月宮:2018/03/16(金) 23:43

   『学襲狂』
 私は絶望した。努力で私に勝る者は他にいないと思っていたからだ。
 教室に期末試験の結果が貼り出され、クラスメイトが餌に群がる猿のように食いつく中、私は遠くからその光景を見ていた。そこまで行かなくともここから十分結果は見える。
 ──おかしいな。
 どの教科でも私の名前が一番上にあるはずなのに、今回はどうだろう。文系の私が受験した科目は九つ、うち首位となっていたのは、古典に現代文、英語表現、生物基礎の四つだけであった。では、残りの五科目は?今回の試験はほとんどの教科で九割以上点を取ったはずだが──
「うわー、俺、総合も一位じゃん!……あれ、阿世知さん二位なの? うっそー」
 今回首位となったのは、私の仮説では学習において才能の欠片も見受けることのできない男子生徒であった。こんな凡才に、私が抑えられただなんて。私はたゆまぬ努力をしてきたというのに、一体何が足りなかったのだろう。
 それにしても余計なことを口に出してくれる──私は知っている。真の天才や秀才たちは試験で首位に立ったくらいでは快哉の叫びを上げることなどしない。心の内で密かに喜ぶものだ。私はそのような天才と秀才を二人ほど知っている。
 すっかり浮かれている様子の“首席”の背中に向けて、私は鋭い眼光を突き刺した。
 今に見ていろ──阿世知冴英の特技は努力で人を仰天させることなのだから。お前の一時的な才能など、完膚なきまでに叩きのめしてやる。


月宮:2018/03/16(金) 23:57 [返信]

>>842- ちょっとしたお話書いたからよかったら見てね


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