はーっ、はーっ、と荒い呼吸を繰り返すカズマの、その震える肩にそっと手を添えた。
あまり大きい声も出せないので、小声で囁くように、カズマの耳元で言う。
「大丈夫、俺はちゃんとここにいるから。」
カズマはこくこくと、子供のように頷いた。
それから、こつんとクロノの胸元に頭を預けて、そっとその腕がクロノの背中に回る。
カズマには、狭い押し入れに閉じ込められるという、この状況を平然と耐えることができなかった。
本当は、叫んでここから逃げ出したい。
しかし、大声をだすことは許されない。お父様がすぐ近くにいるのだ。
クロノの前で、ひどく取り乱すのがなんだか嫌で、僅かに残った理性で、必死に感情を押さえ込む。
「く、ろの.....」
途切れながらも必死に名前を呼ぶカズマに、クロノは、なんというかじわじわとした熱い感覚を覚えつつ、「どうした?」と、優しく問いかける。