「なぁ.....東海林って.....」「....あれはなぁ」
先程からぼそぼそと、クラスメイトの声が耳にはいる。
カズマは、やれやれと頭をふった。どうやら、また自分の悪い噂だろう。不良、だとか怖い、だとか。.....大体事実ではあるのだが。
まぁ、それもしょうがないことだ。実際自分は一時期、柄の悪いやつと絡んでいたからだ。しかし、クロノが拉致されてからはやめた。
アイツをもう危険な目に合わせたくないのだ。あの時は、酷く殴られていたようだったし。
そんな事を思い返しつつ、手際よく服を脱いでいく。次の授業は体育だった。それも水泳。
.....別に憂鬱というわけではない。ただ着替えるのがめんどくせー、というくらいで。
カズマに苦手なものはない。曲がりなりにも鬼丸の優秀な血が入っているからだろう。
逆に飛び抜けて得意なことは.....ない。兄との劣等感を募らせた幼少期が、つい昨日の事のように思い出せる。実際、つい最近までそれを引きずり続けていた。
制服を畳んでいると、とんとん、と誰かに肩を叩かれた。
思わずびくっと体を震わせる。なにせ、むき出しの、冷たくなり始めた肩に温かい手が触れたのだ。そりゃ、驚きもする。
「なんだよ」
むっとして振り返る。
恐らく相手は、俺の不機嫌そうな顔を見て恐怖で震え上がることだろう。
刹那、ばさっと音をたてて俺の頭にタオルが覆い被さった。
おわっ、と思わず声をあげる。
額に血管が浮き上がるのが、自分でもわかる。
.....ふぅん、なかなか度胸があんじゃねーか。
不気味に口の端をつり上げ、タオルの下から犯人をぎろりと睨み付けた。
>>745のあほssは、キスマークをテーマに書いた