深夜。
アヤメはベッドの横に立てたランプの光で本を読んでいた。
いくらこの島が秘境と言っても月に二回程度大陸に寄る以上、教養は絶対的に必要である。
二階でイチャイチャしているであろう二人もかなりの教養を身につけている。
スミレは数億年という月日の中でもはや世界の真理を体得しかけているし、ネアはカルトナの元で英才教育を受けていた。そしてアヤメはほぼ独学である。
······何故アヤメがこのような事を考えたのかと言うと、もしかしたら女性の権利が制限されていた世界もあったのではないか、という想いが湧いて出てきたからである。
············もしそうだとしたら、この三人はどのような道を歩んでいただろうか?
運命とは便利な言葉である。······この世の全てを表せるのだから。
アヤメは本と目を閉じる。
······このような、無数の道から眺めれば、『不思議な』世界で────自分はどのような運命を辿るのだろうか?
>>645を書いた時の私は果たしてどんな精神だったのだろうか······