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74:匿名:2016/06/15(水) 02:41

>>61-63 【隣の彼女は関西人+関東引っ越し物語】

触られた右頬が、風邪をひいた時のように熱い。それはきっと、彼女が触れたからだろう。
そんな言い方をしてしまうと、彼女が風邪菌みたいだ。

……馬鹿な事を考えていても、彼女の涙が脳裏をよぎり、笑う事が出来ない。
笑おうとしても、苦しく締め付けられるかのような感覚が邪魔をする。

「最後くらい、笑ってお別れしたかった」と言った彼女の願いを、叶えることすら出来ないのだ。


僕と彼女は、真逆だった。
根暗でネガティブで、静かな僕とは対照的に、彼女はクラスの人気者だった。
明るく、ポジティブなことをいって励ましてくれて……自己中な明るさではない、人の為の明るさを持った彼女。そんな彼女に恋をしていたのは、僕だけではなかったはずだ。
出席番号順に並べられている机を、初めてラッキーだと思った。彼女と近い席で、一緒に日直を担当する事になった日は、死ぬかも知れないと思った、
その日の放課後に、「付き合って」と言ったのは、何故だろう。感情の、昂ぶりかもしれない。

僕とは正反対の君に惹かれたのは、まるで磁石のS極とN極が引き合うかのような感じだ。
「うん、いいよ」と言った君は、何故僕を受け入れてくれたのだろう。

そして何故、僕は今日君を拒絶しなければいけなかったのだろう。
離れたくなかったし、ずっと一緒に居たかった。それほど好きだったのに、俺は、一緒にいられなくなってしまった。
神様を恨んだのは、小学生のころ以来だった。親の転勤で、僕は近々引っ越すことになったのだ。
その話を彼女にした時、確か彼女は「そっか」といって笑った。最後まで笑顔でいたい、そう言って。


「……ごめんね」
僕は届きもしない声で、空へ呟いた。
笑っていたいと言ったのに、僕が見せた最後の顔は笑顔じゃなかった。それにつられるかのように、君の笑顔も、曇ってしまった。こんな所だけ、そっくりだった。

笑えなくてごめんね。こんなにも好きだった。
最後に君が触れてくれた右頬を、涙が濡らした。











「ごめんね……関西さん」


――――これが後の日本である。


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