「はい!」 花が咲いたような笑顔で美菜子はお兄さんを見上げ、頷きました。二人で手を繋いで家まで歩きます。彼らの家は川原沿いにある一軒家でしたが、それは大層古いものでした。土砂降りの日には天井からぽつぽつ雨漏れし、冬はおもてと同じくらい冷え込みます。それでも彼らにとって住む家があるのは有難いことなのです。 なぜなら彼らはもう両親を亡くしているのですから。