裏切りと小さな光

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1:椎名:2015/01/27(火) 18:47 ID:bs6

はい!3つめ!
ラブストーリーばっか書いてたから少しだけ離れたいと思います!

ジャンルは【いじめ】と【ちょい恋愛】って感じです!
よろしくお願いします!

2:椎名:2015/01/27(火) 18:58 ID:bs6

*とーじょーじんぶつ*
・柏木 舞(女)

・高岡 玲(男)

・星華 麗羅(女)

・滝川 ユカリ(女性)

3:椎名:2015/01/27(火) 19:01 ID:bs6




__死にたい



そう思ったのは初めてだった。

あのときは分からなかった。

だって…あんな理由で…


__いじめられるなんて

4:椎名:2015/01/27(火) 19:14 ID:bs6

__ドカッッ

蹴飛ばされる私の机。

「きゃっ…」

「何かわいこぶってんだよ!!!!」

「ほら起きろよ!!」

「…いっ!」

引っ張られる私の髪の毛。

「あんたみたいなブスなんて誰も相手にしねぇんだよ!ねぇ男子ぃ♪」

「は!?んなの聞かなくてもわかってんだろ!?あいつを好きになるなんてありえねーよ!なあ!?」

「あったりめーだよ!バーカ」

罵声を浴びる私。

「てか、俺らも混ざろうぜ!」

「お!いーねー♪」

__ドカッッ

「カハッ…」

「ギャハハハ!!!」

殴られる私。

私は今までいくつの『私』を殺してきたんだろうか。

「死ねよ!どぶネズミ!」

『どぶネズミ』とは私のあだ名。
名前なんてもうどれくらい聞いてないんだろう。
今の私に心なんてない。
ただの人形。

私は殴られる中、2ヵ月前のことを考えていた。
2ヵ月前…
それは私へのいじめが始まった日

きっかけはすごくささいなことだった

5:椎名:2015/01/27(火) 19:23 ID:bs6

〜2ヶ月前

「おっはよー!!!」

「おはよー舞」

大好きな学校!大好きな友達!
そして…

「おはよー舞」

「おはよっ椋!」

大好きな人!
椋は私の彼氏!
えへへ!去年の夏に椋から告られて付き合うことになったんだ〜♪

「まーい。…ん」

「ん?なに?」

目の前に顔を出し目を閉じる椋。

「おはよーのチューして」

んなっ!
んーでも毎朝のことだし。

__チュッ

「舞大好き〜」

そういって抱きつく椋。
私、椋の腕の中が大好き!!

「私も大好き〜」

「おい!お前ら!教室でイチャイチャすんなよ!非リアへの嫌味か!」

「ふーん!」

私は幸福者だあー!

6:椎名:2015/01/28(水) 16:09 ID:bs6

私はほんとに恵まれてると思う。
だって毎日大好きな人に囲まれているし、このクラスの存在もかなり有名だからね!
私のクラスは滝川ユカリ先生という美人で生徒の相談にも乗ってくれる理想の先生!

「はーい。それでは日直さん号令をお願いします」

「はーい!きりーつ!きょーつけ!さよーならー!!」

そして、日直に続いて皆、明るく笑顔で挨拶をする。
もちろん私もね!

「さよーなら。おっと…忘れてた。今日も1年生から無遅刻無欠席無早退記録がまた延びたわ!他の先生方から毎日お褒めの言葉をいただき、私も鼻が高いわ!この調子で頑張ってね!」

「「「はーい!」」」

そう、私のクラスの皆は1日たりとも休まず学校にきちんと来ている。
だから、もちろん成績はいいし!皆仲がいい!
そのため、他のクラスのお手本になっていて、先生からの評価が高い!
いわゆる理想のクラスって感じ?

そんなクラスになって私はほんとに運がよかったと思う。

「舞ー?早く帰ろー?」

「うん!今いくー!」

私はこのとき、ずっとこの幸せな学校生活が続くのだと思ってた。

7:椎名:2015/01/30(金) 19:03 ID:bs6

__ジリリリリ

「ん〜…がっこ…」

__ズキッ

…ん?
頭が…痛い?
それになんか…体が…熱いし…だるい…
ま、とりあえず朝ごはん食べよ
私は重い体を1階のリビングへ向かわせた。
キッチンではママが朝ごはんを作ってた。

「おはよ〜…ママ」

「舞おはよ……ってなんか顔赤くない?」

「ん〜…なんか体が重いし頭痛い」

「あら!?熱かしら?今、体温計持ってくるから座ってなさい!」

そしてパタパタと足音を響かせてママは体温計を持ってきた。

「はい」

「ありがと〜」

受け取った体温計を脇に挟んだ。

……

__ピピッピピッ

「はいママ」

「…風邪ね。38.5°Cね」

「がっこーは?」

「休みよ。自分の部屋で寝てなさい。先生にはママから連絡してあげるわ」

私は素直にママの言う通り、自分の部屋に向かった。
でも、その時私はとてつもなくヤバイことをしたと思いもしなかった。

8:椎名:2015/01/31(土) 19:36 ID:bs6

風邪で寝込んで4日後、私は学校へ行けるようになるまで回復した。

「36.2°C。うん!今日から学校いっていいわよ!」

「良かった〜!じゃあ!準備するね!」

やっとだ〜!
あれからずっと暇で暇で仕方なかったんだよねー
でも、1つ変なことがあったんだ。

9:椎名:2015/02/03(火) 00:06 ID:bs6

それは、クラスメイトのメールの返信が来ないこと。
いつもならすぐ返してくれるのに。
忘れてるだけかな?
ま、気にしないでおこう。
学校がっこー♪

__ガラガラ

「おはよー!!!み、ん、な!!!」

私は教室に入り、すぐ大きな声で挨拶をした。
でも…

「……」

教室は沈黙の状態。
いや、これはいわゆる「無視」っていうものだと思う。
う…そだよね?
うん!うそだ!
私のクラスが無視するなんてありえないもんね!

私は気をとり直して自分の席に着いた。
久々のガッコー♪
教科書入れて〜♪

__ガサ

「ん?」

10:椎名:2015/02/04(水) 17:29 ID:bs6

机の中に、なにか紙のような薄い物体が二枚ほどはいっていた。
なんだろう?
休んでた分のプリントかな?
私はその紙を取り出した
紙には小さくいろいろな文が書かれていた。

「……なに…これ?」

紙には、

『死ねよ!ブス!私達の信頼まで落とすんじゃねーよ!!by由麻
ふざけんじゃねーよ!ブス!!byサオリ
くそバカ女!お前が1番邪魔なんだよ!バーカ!byミカ……』

と、クラスの女子全員から私への悪口が書かれていた。
じゃあ…これも…
傷ついてるくせに私はもう一枚の方を読んでみた。

11:椎名:2015/02/07(土) 08:40 ID:bs6

『お前みたいなヤツが一番嫌いby佑
ありえねえ!頭イカレてんじゃねーの!?by圭人…』

やっぱり…
これには男子からの悪口が書かれてた。
私は教室を見回した。
クスクス笑っている女子
友達と話して私を空気のように扱う男子
私は確信した。
これは……『いじめ』だ
で、でも椋はそんなことしないよね?
私の彼氏だもん。

__ガラガラ

教室に椋が入ってきた。
私は直ぐに立ち上がり椋に抱きつこうとした。

「りょ…」
「あ!椋おっはぁ♪」

__え?
私は自分の目を疑った。
椋の首に巻き付く細く綺麗な腕、そして、彼女の腰のあたりにまわされる私の大好きな腕。

「もぉ〜椋ってば遅いよぉ。ずぅーっと待ってたんだよぉ?」
「悪い悪い。ちょっとショップ行ってたら遅れた」
「ショップ?ご飯でも買ってたのぉ?」
「アハハ、違うよ。携帯のショップ。里奈ってば天然?ま、そこが可愛いんだけど」

椋の手が里奈の頭を撫でる

「むぅ〜…でもなんでぇ?」
「ん〜新しくしようと思って。はい、これ新アドレス」
「え!いいのぉ!?」
「当たり前じゃん!俺の彼女なんだから」

そして椋が里奈の前髪を掻き上げおでこにキスを落とした
彼女?携帯?
なんのこと?
私が椋の彼女…だったよね?
私はその場に立ち尽くした。

「もぉ〜早く席着こ〜?」
「はいはい。って誰あいつ?」

椋が私を指差して言った

「もぉー忘れたの?メイさんだよ!柏餅メイさん!」
「あ、そうだった!さすが里奈。で、柏餅さんどいてくんない?通路の邪魔」

違う…
私は柏木舞なのに…
グサと私の中で何かが壊れる音がした。

「…おーい。聞こえてますか〜?ったくしょうがねーな」
「椋なにするのぉ?お姫様抱っことか止めてよぉ?」
「ハハ!お前以外のヤツにするかよ。心配すんな」
「よかったぁ」

そして椋は私の前に来て小声で

「俺は今、あいつの彼氏だからもう俺らに関わんな。ブスじゃなくて柏餅さん☆」

と、囁いた。
そして、私の視界は真っ白い天井だけしか映らなかった
“突き飛ばされた”
大好きな椋に
私はしりもちをついた。

「おーい皆ぁ!柏餅さんがいじめてほしいんだってよー!」
「はー!?なんでドM女をいじめなきゃいけねーんだよ!女子がやれよ!」
「えー?もぅしょうがないなぁ。皆どーする?」
「柏餅さんがそうしてほしいって言ってるならそうしてあげよーよ?」
「そーそー!大事なクラスメイトのお願いなんだしー」
「だよねー?じゃー始めますか!」

そして私へのいじめが始まったのだった。














*過去のストーリー【終】*

そんなこと言ってない…

12:椎名:2015/02/07(土) 08:43 ID:bs6

最後の「そんなこと言ってない」はミスです。

13:椎名:2015/02/10(火) 18:44 ID:bs6

それが、2ヵ月前の出来事だった。

__ガラガラ

「あ、おはようございます!麗羅様」

「おはよう。あら?もう始めてるのね」

「はい。ダメでしたか?」

「いいえ。構わないわ。続けなさい」

「はい」

そして、彼女は席について読書を始めた。
彼女は星華麗羅。
このクラスに転入してきたどっかの大きな企業の社長の一人娘。
私へのいじめは彼女によって仕切られている。
もちろん。学校に多額な寄付をしているので生徒はもちろん、教師までもを従えている。
……でも私の教師は違う。
このクラスのいじめは…

__ガラガラ

「せんせー!おはよーございます!」

「おはよう。元気が良くて花丸ね」

「えへへ」

「ところであれは?」

「はい!始めてます!」

「取りかかりがいいわ〜♪流石ね」

…そう。
このいじめは『先生公認のいじめ』なのだ

「あ、そうだわ!今日から新しい生徒が来るわよ!!紹介するから皆席について!」

「はーい!!」

転校生…か
またいじめがひどくなるのか
そんなことを思いながら解放された痛々しい体を動かし自分の席についた

「はい!では紹介します!入っていいわよ〜」

14:椎名:2015/04/14(火) 19:32 ID:bs6

_ガラガラ

扉が開く音と共にスラッとした長身の男子が入ってきた。
その姿はあまりにも綺麗で…私は見惚れてしまった。

「高岡玲でーす。よろしく〜」

彼の声もとても澄んでいた。

「ねぇ…かっこよくない?///」

「ヤバイっ恋しちゃったかも〜///」

そんな声がちらほらと聞こえてきた。
確かに…鼻筋がシュッとして、少し赤毛混じりの綺麗な髪。
私の目には彼の全てが綺麗に見えた。
ユカリ先生も頬を赤らめているくらいだ

「…じゃあ高岡くんの席は…」

「せんせ〜。席、オレが決めたいんだけど」

「え、ええ。いいわよ///」

「じゃあ、あそこで」

高岡くんは指を指した。
その指した方向を見た全生徒は顔色をいっきに変えた。
それはそうだ。
だって彼は私の隣を指したんだから。
彼はまた手をポケットに入れて私の方へ歩いてきた。

「柏木さん…だよね」

「は、はい」

「となり、いーでしょ?」

彼はそう言ってニコリと笑った。
私は一瞬承諾しようと思ったが周りの女子がニラんできたから慌てて…

「ご、ごめんなさい」

「どーして?」

私は断った。が、彼の反応も早かった。

「え、えっと…」

私はチラッと麗羅様を見た。麗羅様は殺気のこもった目で睨んでいた。
まるで
「調子に乗るんじゃないわよ」
と言っているようだった。
その静かな会話に彼は気づいたのか
「あー…そういうことね」
と言って、次に私からぐるりと180°体を回転させて

「俺が柏木さんの隣で文句ある人〜手を挙げて〜」

「「「……っ!」」」

「いないね。じゃ、決定。お前らが文句ないって言ったんだから後で柏木さんに手を出したらオレ、どうなるか…
__分かんないよ?」

__ゾクッ

なんて強い目なんだろう。
こんなことを思ったのはたぶん私だけだと思う。

ガタガタと高岡くんは席に着いた。
それから沈黙が続いた。

__キーンコーンカーンコーン

沈黙終了の合図がなった。
いつもはHR終わりにすぐいじめてくる女子たちも今日はいじめるどころか私を避けていた。
よほど彼が怖かったんだろう。

「あの…高岡くん」

私はコソっと彼に話しかけた。

「なに?」

「あ、ありがとう」

「何が?勘違いしないでよ。オレはいじめとかそういうのが面倒なだけだから」

「あ、そうなんだ…」

一瞬、私のためだって思った自分が恥ずかしくなった…
ま、そうだよね。

「あ、でも…__」

15:日向:2015/04/15(水) 17:20 ID:y/2

この話、すっごいすっごいすっごい面白いです!!!!!
続きがすごく気になります!!!!!
ちょくちょく見に来てまたコメントさせてもらいますっ♪

16:椎名:2015/04/16(木) 23:56 ID:bs6

>>日向s

わぁ!コメントありがとうございます!!
楽しんでもらえているならよかったです!!
是非っ!
これからも見に来てください!
頑張りますっ!

17:椎名:2015/04/17(金) 00:13 ID:bs6

「校内を案内してよ」

「え?」

「けってー。じゃ、昼休みに屋上に来てよ。待ってるから…ね?まーいちゃん♪」

そう言って高岡君は立ち上がった
すごく勝手に決められた気が…
いや、でも助けてもらったし…うん、しょうがないしょうがない…
あれ?でも高岡くんどこ行くんだろ?

「あ、高岡くん。もうすぐ授業始まるよ?」

私は教室を出ようとしていた高岡くんをひき止めた

「玲でいいよ♪あと、オレ基本授業受けなくても大丈夫だから。てことでバイバ〜イ」

たか…玲君は手をヒラヒラ〜と振りながら教室を出た
『授業受けなくても大丈夫』?
頭が良いってことかな?

__キーンコーンカーンコーン__

あ!チャイムがなっちゃった!
いいや、玲君のことは昼休みに聞いてみよっ
そう思い私は授業に集中することにした

18:椎名:2015/04/18(土) 23:01 ID:bs6

__キーンコーンカーンコーン__

「ふぅ…もう昼休みか…」

玲くんのとこ行かなきゃ
私は席から立って屋上へ行こうと一歩を踏み出したとき…

「ちょっと!どぶネズミ!まちなさいよ!」

と、二人の女子に止められた
私は反射的に肩がすくんだ

「麗羅様が呼んでたわ!ついてきなさい!」

私は従うしかできなくて、のそのそと着いていった
あぁ…また殴られるのかな…

着いたのは第二資料室だった。
ここはあまり生徒が行き来しないところだ
一人の女子が扉をノックした

「麗羅様連れてきました」

「入りなさい」

「入れよ!」

ドンッと押され転びそうになりながら麗羅様の前に立った
麗羅様は冷たく悪意を抱いた目で私を見た

「あなた、今日…調子に乗りすぎではありませんか?」

「す、すいませ…ん」

「玲様にはもう近付かないで下さいね?」

「え?」

「逆らうんですか?別にいいんですよ?あなたを学校から追い出すことくらい簡単ですから」

……っ!
なんで私迷ってるの?
学校から追い出されるより玲くんを避けた方が安全なのに…
なんで私…

「なんとか言えよっッッ」

「っっ!!ヤですっ…玲くんと話せないのは…イヤ…です」

「なっっ」

麗羅様は思いっきり手を振り上げた

__殴られるっっ

私は目を瞑った。

19:椎名:2015/04/19(日) 13:33 ID:bs6

玲side

「ふぁぁぁ〜…」

オレは大きく背伸びをして腕時計の時間を覗いた

「もー昼休みかー…」

舞ちゃん遅いなー
昼休みが始まってからもう20分は経ってる
すっぽかし?
いや、そういう子に見えなかったし
オレは少し悩んで…

「…しょうがないな。迎えに行きますかー」

と行くことにした。
ゆっくりと立った。
廊下はガヤガヤしていた。

ん〜…ここら辺にはいなさそ〜
やっぱり聞くのが早いかな♪

「ねぇ〜そこの君」

「は、はいっ////」

オレは適当な子を見つけて声をかけた

「柏木舞見なかった?」

「え、と舞さんなら第二資料室の方へ行ってましたよ////」

「第二資料室…?」

「はぃ。第二資料室はあまり誰も近付かないんですけど舞さん達がそこへ行くのが見えて…」

「達って?他にもいたの?」

「は、はい。顔はよく見えなかったんですけど女子二人も一緒でした///」

「ふ〜ん。アリガとじゃあね〜」

「は、はい。じゃあ…」

アハハ〜
こりないバカ共だなぁ
オレは第二資料室に行くことにした




第二資料室に辿り着いたのはそう時間がかからなかった

「…よっ!!!…ドンッッ」

うわぁ〜
そんな大きな音出してたらバレバレじゃん
女独特の甲高い声になにか蹴ってるような音
オレはドアを開けようとしたが

「もう、玲様には近付かない下さいね」

面白そうな会話だったから止めた
さ〜…舞ちゃんはなんて答えるのかな?

「…っっ!ヤですっ…玲くんと話せないのは…嫌…です」

プッ…
オレは思わず吹き出した
ま、でも悪くないな
めんどいけど助けてあーげよっ♪

20:匿名:2015/04/19(日) 17:57 ID:cNA

やややや

21:匿名:2015/04/19(日) 18:00 ID:cNA

とても上手ですね!↑の私です。すみません

22:椎名:2015/04/20(月) 00:08 ID:bs6

>>匿名s
コメントありがとです♪
いやぁ〜照れますね///((殴

気にしないでくださいな*^^*

23:椎名:2015/04/20(月) 00:33 ID:bs6

__殴られるっっ

「あっれー?舞ちゃんの声が聞こえる〜♪ここにいるのかなぁ?」

れ、玲くんっ?
私は目を大きく見開いた。
どう、して?
助けに来てくれたの?

「れ、玲様っ!?」

__ガラガラ

「あ、やっぱりいた♪なにしてんの?」

「玲、様…どうして?」

「アハハ…ガンッッ」

玲くんは麗羅様に近付いて思いっきり壁を殴った。
しかも麗羅様の顔すれすれに。
麗羅様の顔は一気に怯えている表情に変わった。
そして玲くんは一言一言ゆっくりと口を開いた。

「オレ…言ったよね?アイツに手ー出したら何するか分かんないって…」

「ご、ごめんなさい…」

「アハハッ謝る相手…間違ってるよ?」

麗羅様は体を私に向けて涙でぐちゃぐちゃの顔で

「わ、悪かったわよっっ」

と謝って凄いスピードで逃げていった。

「なにあれ〜♪そんなに怖かったのかな?オレ」

「あ…」

“ありがとう”
そう言うつもりだったのに全身の力が抜けてへたりこみそうになった。
すかさず玲くんが私の体を支えてくれた。

「お〜っと。オレそんなに怖かった?」

「ううん。違っ…あれ?」

ポロポロと落ちてくる涙。
玲くんはゆっくりと私を床に座らせてくれた。

「アハハッごめんね〜」

違っ…違うっ
嬉しかったの…助けてくれて
玲くんが来てくれて嬉しかったの…

「あ、りがと…ヒック」

「ん?どういたしまして〜♪」

玲くんはニコッと笑って制服の袖で私の涙を拭いてくれた
そういえばこんなに泣いたの…いつぶりだろ…

玲くんのおかげだね

私は涙でぼやける視界の中
窓からさしこむ光を受けて反射している玲くんの赤い髪をずっと見つめていた。

24:ミン ミン:2015/04/20(月) 15:16 ID:cNA

玲とっても優しいですね♪

25:椎名:2015/04/20(月) 16:01 ID:bs6

>>ミンs
コメントThank youでー…(((殴

コメントありがとございます><
そうです!?
むふふw
玲くんはイジワルだけどホントは優しい人って設定してたんですよ!
いつも、優しいところ伝わりにくいかなーと文を書きながら思ってたんですけど玲くんの良さが分かってくれて嬉しいですっっ///∀///

これからもどうぞヨロシクですっ(キリッ

26:匿名:2015/04/25(土) 22:16 ID:bs6

__キーンコーンカーンコーン__

あ、昼休み…終わっちゃった。

「あ〜あ。終わっちゃったね」

「ごめんね…私のせいで…」

「べっつに〜。それに舞ちゃんのせいじゃないじゃん」

玲くんはニコッと笑ってそう言った
私…玲くんの笑顔、好きだなぁ…

「あ、ねぇ舞ちゃん」

「なに??」

「次の授業…一緒にサボろ?」

サボ…る?
私…授業だけは皆勤賞なんだよね…
サボる…玲くんと…

「うん!」

「ん。じゃ行こ♪」

「え?どこに?」

「ん〜…ま、ついてきて♪」

玲くんは立ち上がって私に手をさしのべた。
私はちょっと恥ずかしかったけど玲くんの手に自分の手をのせた。
な、なんかお姫様みたい…

「じゃ、行こっか」

「う、うん///」

27:椎名:2015/04/25(土) 22:17 ID:bs6

あ!匿名になってますが私です!

28:ミサ ミサ:2015/04/25(土) 22:48 ID:cNA

玲くんやっぱり優しいしかっこいい!玲とどこ行くんだろう。気になる!これからも頑張ってください!

29:椎名:2015/04/29(水) 12:23 ID:bs6

>>ミサs

コメントありがとうございます!!

作者ながら私も玲くん大好きなんです!!
玲くんみたいな男子がいたら〜…って妄想しながら書いてま…((殴

どうぞこれからもよろしくお願いします!!^^

30:椎名:2015/05/02(土) 21:18 ID:bs6

「ねぇ…玲くん」

私は目の前にある広い背中に向かって彼の名前を呼んだ。
玲くんは首だけを振り向かせて「ん?」と頭をかしげた。

「なんで…私を助けてくれるの?」

__……
…沈黙が続いた。
玲くんは一瞬驚いていつもの表情に戻った。
なんか…いけないこと聞いたのかな…
玲くんはニコッと笑って

「なんでかな♪」

と言って正面を向いてまた歩きだした。
今…濁されたよね…
なんで…教えてくれないのかな…
ねぇ…玲くん。
理由教えてくれないと…私…

__自惚れちゃうよ…

「はい、ここだよ〜♪」

31:椎名:2015/05/05(火) 13:05 ID:bs6

「お、くじょう?」

目の前には限りなく広がる青い空。
そして肌に感じる冷たくも心地よい風
屋上…初めて来た…

「俺、前の学校でも屋上がお気に入りだったんだ〜」

「そうなんだ…」

「そ。俺のお気に入りの場所♪」

玲くんは気持ち良さそうに笑って背伸びをした。
なんでお気に入りの場所を私には教えてくれるんだろう…
私がいじめられているから?

「じゃ、俺寝るね〜。チャイム鳴ったら起こしてよ♪」

「あ、うん」

私はそんなモヤモヤを抱えながらいつの間にか意識が別の世界に行っていた。

32:椎名:2015/05/05(火) 23:29 ID:bs6

「い、ちゃん…舞…ちゃ」

玲くんの声が聞こえる…
私はゆっくりと目を開けた。
ぼやけた視界の中に綺麗な顔が見えた
……って!!

「れ、玲くん!?近いよっっ!!」

「あ、ごめんごめん♪あまりにも爆睡してるからアッハハ」

ひゃぁぁぁ…私そんなに寝てたのか
はっ!寝顔っ!
見られたかな…

33:椎名:2015/05/06(水) 09:10 ID:bs6

「あ、そ〜だ。さっきせんせーが舞ちゃんを探してたよ♪」

「先生って滝川ユカリ先生?」

「そ」

ユカリ先生が呼んでる…
…“いじめ”のことだよね。
なに、するんだろ…

「もしかして、あのクラスのいじめってさぁ…先生同意なの?」

なんで分かるの…?
でも…もう玲くんには迷惑かけられない…

「大丈夫!私行ってくるね!」

私は精一杯の笑顔を見せて、玲くんに背を向けた。
ちゃんと笑えてたかな…
屋上の扉を開けて階段を駆け降りた

「…れ…る…ら」

去り際に玲くんの声が聞こえた。けど小さい声だったから聞き取れなかった。
なんて言ったのかな…?
あ、職員室だ…
足が重くなる
私は職員室の扉の前に立って震える手をソッと撫でた。
大丈夫…大丈夫…
そう言い聞かせてから扉を開けた

__ガラガラガラ

「柏木舞です。滝川ユカリ先生に用があって来ました。失礼します」

“どうぞー”という声が聞こえる。
その声の中にユカリ先生の声はなかった。
私はゆっくりユカリ先生に近づいた

「せ、んせいなんでしょうか…」

「そんなに怯えなくてもいいじゃない。ちょっとついてきて」

ユカリ先生は一瞬私をキッと睨んで、立ち上がり私に背を向けた。

34:椎名:2015/05/06(水) 09:43 ID:bs6

麗羅side

「「「お帰りなさいませお嬢様!」」」

私は鞄をメイドに渡して自分の部屋に入った。

「はぁ!あいつ生意気なのよ!!玲様がかまってくださるだけでイイ気になって!」

「ずいぶんと機嫌がお悪いようですね」

このメイドはメイドの中でも仲がいい。かなりの毒舌で頭の回転が早く自分の意見を貫くタイプ。ま、私もそこが良くて専属メイドにしたんですけどね。
名前は桜庭可憐
私には劣るけど容姿も悪くない。

「あんたには関係ないわよ。で、何のよう?桜庭」

「お困りのようでしたから何かお力になりたいと思いまして」

「ふん!あんたなんかのち……」

待って…なんで玲様はあいつなんかのことを守るのかしら…
もしかしたら過去に何か……
フフフッ…いろいろ調べる必要がありそうね…

「桜庭。あなたに大切な依頼をするわ」

「なんなりとお申し付けくださいませ」

「高岡玲について徹底的に調べなさい。過去の友人・性格・家族。玲様に関係すること全部よ」

「承知いたしました。期間はどういたしましょうか?」

「あなたなら…?」

「フフッ3日もあれば十分かと」

「さすがですわ。桜庭」

「もったいないお言葉。では、3日程留守に致します。その間、お嬢様のメイドは代わりのものにさせますので」

「頼むわよ桜庭」

「はい」

桜庭の背中を見送ったあと私は玲様の写真を見てニッコリと笑った。

玲様…あと3日であなたは私のものですわよ…
あと…3日…フフフッ

35:♪*:*はちみつ*:*♪:2015/05/09(土) 20:28 ID:cx.

早く続きがみたい…(・ω・`)

36:椎名:2015/05/16(土) 17:57 ID:bs6

>>はちみつs

コメントありがとうございます!!

なかなか更新ができずすみません!
続きを待ってくれている方がいるなんてホントに嬉しいです!!

ぜひっこれからもよろしくお願いします!!

37:ミカ ミカ:2015/05/16(土) 21:13 ID:cNA

お久しぶりです!3日後がどんなことになるのか楽しみです♪

38:ミン ミン:2015/05/16(土) 21:14 ID:cNA

すみません!ミンです!

39:椎名:2015/05/19(火) 18:37 ID:bs6

>>ミンs

再びコメント超感謝です!!
ぬあぁぁ〜!更新遅くてすいません!!
ふっふっふっ3日後…どうなるのでしょう…♪
作者ながら私もワクワクしながら書かせてもらってます(笑)

新な登場人物が続出すると思うのでそこらへんも楽しみにしていただけたら嬉しいです!

40:椎名:2015/05/19(火) 18:46 ID:bs6

なんかややこしくなってきたので一旦物語(ストーリー)と登場人物を整理したいと思います!!

〜*これまでの物語(ストーリー)*〜

ちょっとしたことが原因でクラスメイトからいじめを受けるようになった舞。感情を失い、自分を見失いかけていた時に現れたのは転校生の高岡玲だった。玲は容姿端麗で頭の回転が早いがサボりがちの生徒。玲は舞をいじめから守り続けた。玲の優しさに気付いた舞は次第と玲に惹かれ始めて…。
そんな中、二人の知らない間で玲の行動が気になった麗羅が動き始めて…。

…と、こんなところです!
ややこしくてわからない人がいると思うので、ぜひ本文を読んでみて下さい!

41:椎名:2015/05/19(火) 19:07 ID:bs6

〜*登場人物*〜

(♀)柏木舞_kasiwagi mai_

ちょっとしたことでいじめの標的になった。
いじめの前は正義感が強く、友達思いだったがいじめられてからは弱く、人が信じれなくなった。
好きな人→玲?

(♂)高岡玲_takaoka rei_

転校生。容姿端麗で頭の回転がよいが、授業をサボりがちな生徒。
クラスのいじめに気付き、舞を守り始める。
好きな人→舞?

(♀)星華麗羅_seika reira_

大企業の社長の一人娘。
気が強く、短気。学校を自分の城のように思っている。
自分が思うようにいかないものは徹底的に潰す。
好きな人→玲

(♀)滝川ユカリ_takigawa yukari_

舞たちのクラスの担任。独身。
クラスのいじめを許可した。
周りからの印象→美人、教師の鏡、生徒思い
本性→性格激悪、我が儘、自分の立場しか考えていない
好きな人→?

(♀)桜庭可憐_sakuraba karen_

麗羅の専属メイド。
超美人。玲と性格が似てる。
実は婚約者がいたり…いなかったり…(笑)


以上!!
「私が思ってたと違うな」と思われる方もいると思います!これはあくまで私の想像(妄想)なので読者の皆様の想像におまかせします!
だから登場人物の名前だけ知って頂ければと思います!!

これからもよろしくお願いします!!

42:椎名:2015/05/19(火) 19:27 ID:bs6

__ガラガラ

私が連れてこられたのは第二資料室だった。
また…?…いい思い出ないよ…ここ。
ユカリ先生はクルッとこっちを振り返り、ニコッと笑って口を開けた。

「あなた、高岡くんの彼女にでもなったのかしら?」

…予想外の言葉だった。
いじめのことで“生意気じゃないかしら”的なことを言われるのだと思ったから。
私は一瞬固まって、

「違います」

とはっきりと言った。
なんでかな。
今日は自分の心に正直になれてる気がする…
このままだったら…私の気持ちを先生に言えるんじゃ……

「__ガタァァァァ!!!!」

____ビクッ

そんな私の思いは一瞬で消えた。
先生が棚を蹴った音で私は『どぶネズミ』に戻った。

「じゃあ…。彼に近づく理由はないわよね?」

…彼?…玲くんのこと?
なんで“彼”って…
しかもその言い方…

「あら?先生の質問を無視するの?成長したわね?」

「い、いえ!!ありません!」

ダメだ…
この人には逆らえない…
ずっと…このまま…

「あんたなんかに言うのも気にくわないけど…」

やめて…
聞きたくない…っ

「身の程を教えるために特別に教えてあげるわ」

もう…
言わないで…っっっ

「実は私ね……」


___やめてっっっ

43:♪*:*はちみつ*:*♪:2015/05/19(火) 20:28 ID:2Tc

先生怖すぎ!!
あ〜続き気になります(> <*)

頑張ってください
応援してますので(`・∀・´)/

44:椎名:2015/05/20(水) 15:28 ID:bs6

>>はちみつs

ぬぉぉぉ〜っ!
二度目のコメントありがとうございます!!
ユカリ先生ですよね〜…
こんな先生いたら嫌だぁぁ〜!と思いながら書いた結果→ユカリ先生になりましたw
完璧に生徒を見下してます(麗羅以外)

はいっ!
もっとおもしろくなるよう頭をフル回転させて努力したいと思います!!

45:椎名:2015/05/20(水) 15:48 ID:bs6

「__高岡玲くんのこと、特別な存在として意識してるの」

…あぁ…言っちゃった…
これで玲くんとは話せない…
話したら…近づいたら…この人に何をされるのか…
大人ってズルいよ

「そういうわけだから、これからどうすればいいか…分かるわよね?」

「…は、はい」

先生はまた、ニコッと笑ってツカツカとヒールの音を響かせながら出ていった。

私はその場に座り込んだ。

「…っうぅ〜…」

私の頬を伝うたくさんの熱い滴。
悲しい…苦しい…寂しい…嫌だ…
そんな感情が一気に溢れ出した。
ただ…ただ玲くんと話せないだけなのに…
玲くんのことを考えると苦しくて胸が痛くなるの…

あぁ…そっか…
私は恋してるんだ…
私は…玲くんが好きなんだ…

『恋』に気づけて嬉しいはずなのに溢れてくるのは涙ばかり…
…恋ってこんなに苦しいの?

__私は今、転校生に恋をした…



__ガラガラ

「ん、泣いてる?」

男の子の声が聞こえた。
私は涙でグチャグチャの顔で振り返った。
ぼやけた視界の中、そこに立っていたのは…

「…れ、いくん?」

「_クスッ」

…笑った?
どうして?

__ギュ

「…え…?」

私は一瞬で彼に抱きしめられた。

「…やっと見つけた」

そう囁かれた言葉は私の耳には入ってこなかった。

46:椎名:2015/05/20(水) 22:09 ID:bs6

「…グスッ」

「いい加減泣き止め」

私が泣いたのは玲くんの胸の中ではなかった。
少し深呼吸して、改めて彼の姿を見る。
玲くん…よりちょっと高い…
シュッとした目にクセっ毛混じりの綺麗な黒髪。
玲くんに劣らない綺麗な人だった。
…それにしても…見たことない人だな…
私服姿だからここの生徒じゃないのかな?てことは見学?

「ぷっ。誰?って顔してる」

「え、あ、すいません…」

ばれた…
まさかこの人超能力者!?
考えてることが分かるなんて…

「俺は志田真人。明日からここに転入すんの」

転校生かぁ…
今日、玲くんが来たばっかりなのに…
今年は出会いの年だなぁ…

「今日“高岡玲”ってヤツが転校してきたと思うけど」

「え、知ってるの?」

「ん。ホントは俺も今日の予定だったんだけど事情があって明日」

「へぇ〜…」

「ん〜もう大丈夫そうだな。俺職員室行くから校門で待ってろ」

「いってらっしゃ……ん!?はい!?」

待ってろ!?
今待ってろって言った!?
私は驚いて真人さんを見た。
真人さんは“当たり前”って顔をしてめんどくさそうな顔をした。

「もう一回言うのめんどいんだけど」

「あ、いや聞こえてたよ!うん!待ってろでしょ!?」

「聞こえてんなら俺行くけど」

「あ、うん。校門で待ってればいいんだよね!」

「そ〜。んじゃ」

そう言って真人さんは出ていった。
な、なんか流れで待つことになったけどいいんだよね!?
てか、初対面の人に抱き締められるなんて…っ恥ずかしい!

と、とりあえず…校門いこ…

私は急いで教室に戻り鞄をとって階段をかけ降りた。
そして屋上へ向かう通路をじっと見つめて、
私はニコッと笑って

「…ばいばい…玲くん」

と、そう言い残し、また走った。
一歩一歩進む度、胸の痛みが増していく。それでも走り続けた。
足を止めたら玲くんでいっぱいになりそうで怖かったから…

…これでいいんだ

47:日向:2015/05/21(木) 00:46 ID:y/2

新しい人だ!!!
志田真人くんなんかカッコいい!!
頑張って下さい!!
応援してます(^∂^)b

48:椎名:2015/05/21(木) 16:43 ID:bs6

>>日向s

うぉぉぉ!!
二度目のコメントありがとございます!!
むふふ♪
はい、超イケメンです///
作者ですが、玲くんと真人くんどっちが好きか〜って聞かれたら真人くんですねw
実は…真人くんはかなりのドS…(コソッ

近々、好きな登場人物のアンケートをしようかな〜って思っている今ですw

その時はぜひとうひょ…((殴

これからもよろしくです!♪

49:椎名:2015/05/21(木) 17:04 ID:bs6

玲side

「…ズズー」

あーおいし。
やっぱ苺みるくだな♪
今度舞ちゃんにものませてあーげよ
そんなことを思いながら校門付近に目をやると…

「…ん?…」

校門に小さな体の女子がいた。
…誰かを待ってる感じか?
ってかあれって…

「…舞ちゃん?」

なんでそこに…
それに…な、いてる?
彼女は制服の裾で必死に目を拭っていた。
せんせーになにか言われたのか?
そうだとしてもなんで動かないんだろ?

「…は?」

暫く彼女を見ていたらトコトコと歩いてくるおそらく同じ年の男。
そいつは泣いてる舞ちゃんを見るなり抱き締めた。

「…な、にしてんだ?」

俺は赤くどろどろしたものがわき出るのを感じた。
自然とジュースを持つ手に力が入りそれはベコッと音をたてて潰れた。

「…ハハッ…ヤキモチじゃん…俺」

…ヤキモチ?
俺が?ありえない。
でも…あの男を殴りたいのはなんで?
舞ちゃんの笑顔が見たい…

そう思うのはなんでだ…?
もしかして俺は…あいつに…

「…っ…笑えないや…」







__俺は、いじめられっ子に恋をしたんだ…

50:椎名:2015/05/21(木) 17:27 ID:bs6

「ん〜…まだかな」

校門についてから約10分が経った。
そんなに長くないけど私にとっては長い時間なんだよね…
私は背伸びをして空を見上げた。
空々漠々広がるオレンジ色の空。
私は大きく深呼吸をした

「ん〜っ気持ち〜!」

ひんやりした空気がすごく気持ちよく感じる。
玲くん…もう帰ったかな?
ふとそう思いチラッと屋上を見た。
そこには…

「あ…やっぱりいないよね…」

玲くんの姿はなかった。
ハハッさっき決めたばっかりなのに…
もうダメだ。
じわじわと熱くなる涙腺。
そして、出る準備をしてたのか勢いよくあふれでてくる涙。

「う〜…やっぱり好きだよ〜…」

_もう一度恋をしたい_
そう思ったこともあった。
でも『どぶネズミ』 として生きてきた私は恋なんてできないと思っていた。
でも、どっかで力が欲しかったんだと思う。
恋をして、支えあって、笑って…
そしていじめを乗り越えるんだ…
きっと心のどっかでそう思ってたんだ。
乗り越えたら良いことがあるんだ。
死にたいと思ってもそれを信じて頑張ってきた。
なのに…

「恋が…っ…こんなに悲しいなんてっ…」

玲くんが好き。
でも好きになっちゃダメ。
もう…どうしたらいいの?

「また泣いてる…」

「ま、っさと、くんっ」

「…泣き虫」

そう言って真人くんは私を抱き締めた。
あの時のように優しく、安心させるように…

「…苦しいっよぉ〜…」

玲くんのこと…こんなに好きなのに…
神様は私の恋を応援してくれない…
神様にも嫌われて…
私は何を信じればいいの?

「うっぅう〜…」

真人くんは私を力強く抱き締めて…



「…俺が守ってやる」


…そう囁いたんだ…

51:椎名:2015/05/24(日) 13:13 ID:bs6

新しい登場人物が出てきたので紹介しまっす!

♂志田真人_sida masato_

玲と同じ転校生。くせっ毛混じりの黒髪。顔は…「花君と恋する私」の花君の黒髪vorみたいな感じです!
ちょっと…めんどくさがりや。
人と関わりたくないタイプ。でもお気に入りを見つけたらとことんいじりまくる。

52:♪*:*はちみつ*:*♪:2015/05/29(金) 20:12 ID:jtQ

続き、まだかな(*´∀`)ドキドキ
気になる〜♪♪
しーなちゃん頑張って!!

53:椎名:2015/05/29(金) 22:22 ID:bs6

桜庭side

__カチッカチカチ、カチッ

「不思議ですね…」

『高岡玲』の生年月日、家族構成、家柄…何を調べても反応がないなんて…
まさに謎です…

やはり人に当たってみるのが一番でしょうか…

「あっれー!?星華っちのとこのメイドがいる〜!」

「誰です!?」

私は咄嗟に戦闘体勢になり声の方を振り%8

54:椎名:2015/05/29(金) 22:23 ID:bs6

桜庭side

__カチッカチカチ、カチッ

「不思議ですね…」

『高岡玲』の生年月日、家族構成、家柄…何を調べても反応がないなんて…
まさに謎です…

やはり人に当たってみるのが一番でしょうか…

「あっれー!?星華っちのとこのメイドがいる〜!」

「誰です!?」

私は咄嗟に戦闘体勢になり声の方を振り向いた。
彼女は小柄な体をクルッと回転させ天井から飛び降りた。

「あなたは…」

「ごめんね〜!そのイケメンboyのことは教えるわけにはいかないんだ〜!」

「まさか…あなたが私に調べさせないようにLOCKをしたのですか?」

「あったり〜!そうだよんっ相変わらず頭いーね!でもごめんね!それがうちのお嬢様の命令だから♪」

「そうですか。しかしこちらもお嬢様の命令なのであなたに邪魔されるわけにはいかないのです」

「フフッ!そんなの知ってるよーん!だからねもう一個の命令を実行するんだよ!」

「…『私をとらえろ』…ですか?」

「またまたあったり♪てことで…」

ムリです。いくらあなたでも170の私を140のあなたがとらえることなどできませんよ?

逆にとらえて差し上げましょう…

「アハハっまるで私にできるはずないって言ってるような顔してるね!」

「失礼。でも否定は致しません」

「あ、やっぱり?でも少し勘が浅いかなっ♪」

そう言い、彼女はパチンと指をならした。

「何で…ムグッ」

な、んですか!?
…くっ…これは…

「そ、睡眠薬だよ♪あらかじめもう一人の使用人を待機させてたんだ〜♪真っ向勝負だったら私に勝ち目なんてないし!」

「…ムグッ」

っ…予想外でした…

「アハハっ!その悔しそうな顔、私の大好物♪じゃ、あなたを私の主のところへ連れていくね!」

私の意識はそこで途切れた…

55:椎名:2015/05/29(金) 22:42 ID:bs6

「ヒック…も、大丈夫…ありがと」

「ほんと泣き虫だな」

真人くんは綺麗な指で私の涙を何度もぬぐってくれた。

「お前、よく脱水症状をおこさなかったな…」

「え、なんで??」

「こんなに泣くやつ初めて見た」

「う”っ…」

真人くんはクスッと笑って私の頭をクシャクシャと撫でた。
真人くんの笑顔を見ていたら自然と私の顔も笑っていた。

「また泣いてる」

「え?これは笑い泣きだから大丈夫だよ!」

私は真人くんに向けて両手でピースサインをした。
真人くんはまた、私の涙を拭うように私の頬を撫でた。

「お前が泣いたら俺が何度でも抱き締めてその涙を拭ってやる」

「…え?」

「だから…お前はもう一人じゃないってこと」

「…一人じゃ、ない…?」

「はぁ…もう一回しか言わないからよく聞いとけ」

真人くんは私をまた抱き締めて
耳元で…

「俺がお前を守ってやる」

そう囁いた。
私は真人くんのその言葉にまた涙があふれでてきた。

56:のん:2015/05/30(土) 14:33 ID:NSs

最近来れなくてごめんなさい!
テストでして…。終わったので、またちょくちょく来ますね!

か、かれんさん!くそ〜、誰だこの子!!

57:音羽:2015/05/31(日) 10:37 ID:s7Y

真人と玲どっちもかっこいい!舞になりたい笑

58:椎名:2015/06/02(火) 18:58 ID:bs6

>>のんs

いえいえ♪
来てくださるだけで嬉しいっス!
テスト頑張ってください!!

フッフッフ…それは後々明らかになってきます…w



>>音羽

その気持ち…超超超分かる!!
イケメン2人に守られるって贅沢すぎだろ!っていう心の言葉

59:椎名:2015/06/02(火) 19:18 ID:bs6

「…ったくまた泣いた」

ゴシゴシと真人くんが私の涙を服の裾でふく。
あ…そういえば…玲くんもこうやって拭ってくれたんだっけ…

「……っう〜」

やっぱり…玲くんが忘れられないよ…
玲くんの香り、玲くんのきれいな赤い髪、玲くんのイタズラ笑顔…
玲くんの何もかも…私から離れない…
こんなに苦しいのに…こんなに辛いのに…なんで忘れたくないって思うの…
どうしたら忘れられるの?

もう一人じゃないはずなのに…
どうしても玲くんを想ってしまう…

「…わ、たしはどうしたら、い、いの?」

ふと口からこぼれた私の言葉。
その言葉は真人くんに届いたのか、真人くんはまた私をさっきより強くギュッと抱き締めて

「俺がいる…俺がいるからもう泣き止め…」

そう優しく言ってくれた。
私はそれに答えるように真人くんに自分の手を回して大声で泣いた。

60:*麻珠*:2015/06/02(火) 20:44 ID:s7Y

元音羽。

舞どれだけ泣くのぉ!もう泣きすぎて脱水症状になりそう。。。笑
真人優しすぎだろ!でも舞の気持ちわかる。玲もなぜか忘れることができない。
そんなことうちにもあるから_____

61:椎名:2015/06/02(火) 20:51 ID:bs6

玲side

あ〜あ…俺、一体なにしてんのかな…
分かってるくせに二人を見てんの…
…つーかあれって “ 両想い ” ってやつじゃん。
舞ちゃんもアイツに腕回してるし…完璧 “ 好き ” でしょ…

つーことは……え、まさか俺って…
あっはは…

「好きって気づいて、もう失恋してんじゃん…ダッセーの俺…」

情けない顔を隠すように俺はくしゃっと自分の髪を握った。

…っ…俺は…どーすればいいんだよ…

俺は一人屋上で涙を流した…

__ガチャ

ドアの開く音…
は?まだ誰かいたの?
俺急いで涙を拭っていつもの顔にした。

「高岡…玲くんだよね?」

この声…女?
チラッと目を向けるとそこに立っていたのはそこそこ綺麗な顔立ちをした女だった。

「そーだけど?俺に何の用?」

そー聞くと、女はニコニコしながら俺に近付いてきた。
そして、俺の赤い髪を触りながら…

「フフッ綺麗な赤い髪…羨ましい…私にも…この色くれない?」

そう言った。
あぁ…なるほどね…
つまり、この女は俺に抱いてほしいんだ…
俺はクスッと笑って女の顎を上げて、キスを落とした。
だんだん強く…激しくして…

「ん…ふっ…ん」



__俺はこの女に舞ちゃんを重ねた…

62:椎名:2015/06/02(火) 20:57 ID:bs6

>>音羽

確かに舞ちゃんの涙はスゴいね〜w
でもそれだけ玲くんを想ってるってことだよね…
真人も舞ちゃんを大切にしてるところもキュンってくる!

音羽も彼のことを想ってるんだよね。
大好きな人を忘れるなんて出来ないよね。

63:美響:2015/06/02(火) 21:02 ID:CS2

コメント失礼します
タイトルに惹かれて読ませて頂きました
本当にリアルないじめが再現されているようで驚きました
頑張って下さい^_^

64:*麻珠*:2015/06/04(木) 19:05 ID:s7Y

>>61
オーマイガー。。。重ねちゃったんだ。玲すゎーん。そこは舞ちゃんと話してみようよ。
ちゃんと話してからほかの子にキスしようよ(これもどうかとおもうけど、、、)


>>椎名
もうねぇ。かっこよすぎるんだよねー。2人とも。読んでるときキュンキュンしちゃうわ。


うん。元彼のことあきらめようとしてるけど、あきらめようとする自分が辛いの。自分でも意味が
わかんないんだよね。あきらめようとしてるのにそうしてる自分が怖い。辛い。
たぶん元彼のこと、そして親友の彼氏のこと大好きになっちゃったんだと思う。。。

65:*麻珠*:2015/06/04(木) 19:05 ID:s7Y

元音羽ね。

66:♪*:*はちみつ*:*♪:2015/06/11(木) 19:19 ID:mO.

しーなちゃん久しぶり♪
相変わらず、すごい続き気になる~////

玲君舞ちゃんと重ねて…キャー!ヤバイ!

私、玲君押しなのに…あと女と~嫌ーーーー
あっ、何か感情的に イケナイ イケナイ

しーなちゃん期待してるね!

67:椎名:2015/06/12(金) 22:40 ID:bs6

更新遅くてゴメナサイ><

音羽&みっちー

コメントありがと!!!
返事、遅くなってごめんね!

68:椎名:2015/06/12(金) 22:43 ID:bs6

>>美響

ありがとうございます!!

いじめを受けている人にとって支えてくれる人の存在がどれほど救われるかってことが伝わったらいいなーと思いながら書きました!

はい!がんばります!

69:椎名:2015/06/12(金) 23:04 ID:bs6

「ん…」

ここは…俺の部屋?
なんで俺はベッドの上にいるんだろ…
確か…屋上で…

「あ、起きた?」

女の声。
俺は顔を上げた。
そこにはバスタオルを体に巻いた女がいた。

「なんで君がいんの?」

俺は女に聞いた。

「あれ?覚えてないんだね」

覚えてない…?
女は俺に近づいて、頬を撫でた。

「フフッ、あなたがここに連れてきたんだけど」

…俺が?
…あ〜…思い出したかも。
あの時俺は、自分から家に女を誘ったんだっけ。
舞ちゃんのことでむしやくしゃしてたからこの女に重ねて…
アハハ…俺、なにしてんだろ…
俺は女を見下ろすようにし、女の頬に自分の手を添えた。

「なぁに?」

女は甘い声で応えた。
俺はニコッと笑い、女を体から突き放した。

「悪いけど帰ってくんない?」

そう言うと、女は一瞬驚いて、また冷静な顔に戻って、俺にこう言い残して部屋から出ていった。

「そう言うと思った。いいよ。今日は帰ってあげる。でも…次は…ね?」

70:椎名:2015/06/14(日) 00:16 ID:bs6

__バフッ

「ぷはぁ〜」

私は部屋に入るなりすぐさまベッドにダイブした。
あの後、真人くんは家まで送ってくれた。
別れ際笑いながら頭を撫で撫でしたけどね。

「それにしても…今日は泣いたな〜…」

鏡を覗くと予想通り真っ赤に腫れてる目。
これが私が玲くんを好きってことを証明する…
私は腫れた目を擦りながら、目を閉じた。

__玲くん…

よし、決めた!
私は玲くんのことを好きでいよう。
誰に何を言われても、私の気持ちは私のものなんだから。
それだけは…絶対に変わらない…
ウジウジしてても何も始まらないんだ!

「舞〜!!ご飯よ〜!」

「はーい!今行くよー!」

私はスッキリした気持ちで階段をかけ降りた。

71:椎名:2015/06/14(日) 13:20 ID:bs6

__ピコン

シャーペンを走らせる音の中に携帯の着信音が響いた。

「ん?メール??」

スマホの電源を入れると、表示されたのは

『 真人 さんからLINEです』

というお知らせ。
実はあの時アドレスを交換したんだ。
ほぼ無理矢理だったけどね。
私は表示ボタンを押した。
すると、ホームからLINEの画面に切り替わった。

えーっと…

72:椎名:2015/06/14(日) 15:46 ID:bs6

1つの吹き出しに書かれてあったのは…

『真人:…w』

……んっ!?

「なにこれ?」

“ w ”=笑 ってことは確か。
えーっと…何が面白いのかな?
これはスルーした方がいいのかな?
うん、スルーしよう。
とにかく今日のお礼をしないとね!
私は慣れた手つきで文字を打った。

『舞:今日はありがとう^^』

そーしん!…と。
よし、勉強を再開しよう。
私はスマホを机の片隅におき、シャーペンに持ち変えた。

__ピコン

73:麻珠:2015/06/14(日) 20:12 ID:s7Y

うわー。めっちゃ続き気になるぅ。真人も真人で何が面白かったんだろー?
そして着信音が鳴ったから返事かぁ。なんなんだろー?もーめっちゃ気になるよぉ。

74:椎名:2015/06/14(日) 21:00 ID:bs6

>>音羽

コメThank you〜♪↑↑
真人が『w』を送った理由…それはね…( ・_・ )
ふっふっふっ!それは後々明らかになるでしょう!
てことで楽しみにしてちょ☆

75:椎名:2015/06/14(日) 21:02 ID:bs6

今からの真人&舞のやりとりは、7:3でメールの方が多くなります!

76:椎名:2015/06/14(日) 21:12 ID:bs6

……早っ!

今さっき送ったばっかりなのに!
私はまた、LINE画面を表示した。

『真人:もう泣くなよ』

『舞:泣かないよー(笑)』

…よしっ

ん??さっきの『w』はスルーして良かったんだ。
でもなんで『w』を送ってきたんだろ?
…聞いちゃおっと
その時、私のS心が目覚めた。
私はトットットッと文字を打った。

『舞:ところでさっきの『w』ってなんで送ったの?』

…そーしんっ!

__ピコン

返事早っっ!
相変わらずだな〜…
私は会話画面を覗いた。

『真人:それ聞く?』

ん?どゆ意味??
聞かれたくない理由なのかな…?
え、何だろ?すごく気になる!

『舞:うん。聞きたい』

『真人:笑うなよ?』

『舞:?笑わないよ〜』

『真人:絶対?』

『舞:うん!笑わないから教えて!』

なんだか念入りだな〜。
そんなに面白い理由なのかな??

__ピコン

77:椎名:2015/06/15(月) 18:55 ID:bs6

お、きたきた♪
えーっと…?
私は送られてきた文字をじっくりゆっくり目で追いながら読んだ。

「……ブハッ!!」

思わず吹き出した。
びっくりとか驚きのじゃなくて、なんていうか…
……純粋に面白かった…(笑)
だって…

『真人:女子に初メールとか、なんて送ればいいか分かんなかったんだよ』

なんだもん!
意外と可愛いとこあるんだな〜っ

『舞:意外と可愛い理由でびっくり』

『真人:うっせー。だから言いたくなかったんだよ』

『舞:いーじゃん(笑)』

『真人:良くない。ところで笑ってねーよな?』

……ギクッ!
ホントは笑ったけど…
ここは誤魔化そう!うん!
な、んか神様がそうした方がいいっていってる気がするから…

『舞:笑ってないよ〜』

『真人:嘘だな』

『舞:ホントです』

『真人:じゃあなんで吹き出したんだよ』

【それは、面白かったか】
“ それは面白かったから ”と打ったところで手は止まった。
な、なんで吹き出したことを知ってるの??

__コツッッ

………え。

78:麻珠:2015/06/15(月) 20:02 ID:s7Y

そういうことかぁ。女子に初メール。これは困るね。

でも吹き出したってこと知ってるってことは近くに居るってことだ…よね?
えー!怖いけど。。。早く見たいよぉ!

79:椎名:2015/06/16(火) 23:10 ID:bs6

>>音羽

いつもツンツンしてる奴が初メールで戸惑うっていうギャップがいーと思ったんだ〜(ドヤッ

まー…普通は怖いよね…
でも…(笑)
ふっふっふー!
これからもドキドキさせちゃいますよーw

80:椎名:2015/06/16(火) 23:17 ID:bs6

…え?

__コツッ

まただ。
石?か何かが窓に当たった音が響いた。
私は携帯を片手にバンッと窓を開けた。
そこに、立っていたのは…

「おー」

「真人くん!?」

そう、私服姿で二階を見上げるように真人くんが立っていた。

「どーしたのー?」

「暇だったから来た」

「変な理由だな〜。待って、今から下行くから」

「おー」

私は上着を着て、ポケットに携帯を入れ、下にかけ降りた。
運よく、お母さんが買い物に出掛けてて家には私しかいなかった。

「真人くんっ」

81:椎名:2015/06/17(水) 17:31 ID:bs6

「ーっ!ひんやりするね〜。上着着てきて正解だったかも」

私は腕を擦りながら真人くんを見て、
……ってぇ!?
…驚いた
だって真人くん…

「半袖寒いでしょ!?」

半袖に長ズボンという格好だったから。
ま、まぁ確かに今初夏だけどさ?
でも、まだ体冷えるじゃん?
なのに、半袖って…

「はい、これ着てっ」

私は、自分の上着を真人くんに掛けようと近づいた。
上着をブワッと宙を泳がせ、ソッと真人くんの肩に掛けた。

「これでよ…ぉわぁっ!」

私はポスッと真人くんの腕の中に収まった。

「ちょっ…真人くん?」

「ん〜…こっちの方が温かい」

真人くんはそういってギューッと抱き締めた。
く、苦しい…

「く、るしい…よ。は、離して…」

「ヤだ」

ヤだって子供か!
しかもこれじゃあ甘えん坊だよ!

「舞、ってさー」

抱き締めながら真人くんが聞きづらそうに私の名前を小さい声で呼んだ。

「な、に?」

82:椎名:2015/06/21(日) 16:16 ID:bs6

「……やっぱいーや」

「え?なに?」

「何でもなーい」

「えぇっ!」

クスクスっと耳元で笑う。
その度に真人くんの吐息が耳にかかってくすぐったい。

「もう帰るわ」

そう言って私を自分の身体から離した。
それまでの温もりがなくなり一気にひんやりとした空気が私の身体に触れた。

「これ、返す」

肩にかかってた私の上着を丁寧にたたんで私に差し出した。

「え、いいよ。寒いでしょ?」

「これくらいヘーキだから。それにお前の貧弱そうな身体の方が危ないと思うし」

「なっ…!」

真人くんは私に持っていた上着をかけてくれた。

「あ、そーだ。明日俺ともう一人転入生が来るらしい」

「へーどんな人?」

「さあ?会ったことないけど女子って聞いた」

じょ、しか。
いじめがひどくならなければいいな…

「不安そうな顔」

「う〜ん…ちょっとね」

ニッと笑うと真人くんは私の頭にポンと手をおいて、

「俺が守るって言ったの忘れた?」

「うむむ…」

忘れてない…けど…
やっぱり不安だよ…

「俺、嘘とかで守るとか言わないから」

少し、トーンが落ちた声が降ってきた。
ゆっくり視線を上げると、真人くんがジッと私を見ていた。
真っ直ぐと…
視線が交わったとき私はニコッと笑って

「ありがとう!」

そう言った。
精一杯と。
そのたった5文字に大きな感謝を乗せて。

「…どーいたしまして」

少し照れた顔で真人くんは言った。



そのあと、私は真人くんの背中を見送り、部屋に入っ直ぐに深い眠りに落ちた。
今までとは違う、優しい気持ちに包まれながら…

83:椎名:2015/06/21(日) 16:36 ID:bs6

__ブブーッブブーッ

「ん…っ」

で、んわ…?
スマホを手に取り、電源をつけると

『6:05 真人 さんから電話です』

と、表示された。
私は【 応答 】ボタンを押してソッと耳元に添えた。
な、なんだろ…

『…はよ〜』

「お、おはよう」

いかにも寝起きの声が画面ごしに聞こえてくる。
で、電話ってこんなにくすぐったいんだ。
まるで真人くんが耳元で囁いてるみたい…

「あ、どうしたの?」

『ん〜学校一緒に行く〜』

「え?」

『そんだけ。つーことで7時にお前ん家行くから』

__プツッ

………えぇぇぇ!!??

何、え!ちょっと!
私は急いで飛び起き、制服に着替えた。
バタバタバタと階段を降り、歯磨きと洗顔をした。

「あらっ!今日は早いわね〜!」

「んーちょっとねー!」

「ご飯出来てるわよ〜」

「ありがと!!」

私は椅子に座って時計の時間を確認した。

「6時38分か…。ご飯はゆっくり食べよ」

私はスマホから箸に持ち変えた。
最初にサラダを食べて目玉焼き、ご飯、味噌汁の順で食べた。
ん〜おいしー!

私は一口一口味わって食べた。

「ふぅーご馳走さま〜!今日も美味しかったよー」

「フフッいってらっしゃーい」

お母さんの見送りを後に、私は鞄を持ち、玄関のドアを開けた。

「5分前っ!って、えぇっ!?」

「はよー」

ま、真人くんっっ!!??
なんで!?7時って…

「早く行くぞ」

そういって呆然とする私の手をとって歩き出した。

84:麻珠:2015/06/21(日) 19:18 ID:s7Y

真人急に行動し始めたな。
女子の転校生も気になるかも。。。

85:椎名:2015/06/24(水) 17:34 ID:bs6

「は、早いよ…っ!」

手を繋いでいるからどちらかが速いとどちらかは走らないといけないんだ。
ちなみに私は走るほうだから息切れがスゴい。

「ごめん。少し速かった」

いやいや、少しじゃないんだよ…
それからは私の歩幅に合わせて歩いてくれた。

趣味や、誕生日あとは家族構成などいろいろ話をしていたら、あっという間に学校に着いた。

「じゃ、俺、職員室行くわ」

「あ、うん!」

繋いでいた手を離して私は真人くんの背中を見送った。

「あー…そうだ」

急に真人くんは後ろを振り向き方向転換をし、私の方へ歩いてきた。

「どうしたの?」

「…いい忘れたけど…」

「?。ひゃぁっ」

突然抱き締められた。
真人くんは私の頭の上に顎を乗せて

「泣き虫のお前に1つアドバイス」

そういった。
…あどばいす?
訳がわからなかった。
でも、真人くんが私を安心させてくれようとしたのが次の言葉で分かった。

86:椎名:2015/06/24(水) 20:23 ID:bs6

「いじめるヤツは、自分の存在とか強さを証明したがるヤツなんだよ。ま、要するにかまってちゃん」

「…うん」

「そういう奴等よりお前の方がずっと強いのを俺は知ってるからもっと自信を持て」

「…ぅん」

「もし、一人で抱えきれなくなったら俺も一緒に耐えてやる」

涙が出てきたんだ。
私を強いって言ってくれた。
私を守るって言ってくれた。
私の側にいるって約束してくれた。
“ ありがとう ”
って真人くんにいっぱい伝えないとね。
その一回目を今から言うね

「あ、ありが、どう”」

声が詰まってうまく言えなかったけど
伝わったよね?
だって聞こえたんだもん。
小さかったけど、
真人くんの…

「……どーいたしまして…」

が。
それから私を優しく離して、涙を拭ってから真人くんは目的地に行った。

「…ふぅ…よしっがんばろ!」

バチンっと頬を叩いて私は一歩を踏み出した。

87:椎名:2015/06/24(水) 23:30 ID:bs6

玲side

……ツイてないな〜…

朝、学校へ行くと、抱き合った男女がいた。
遠目からは誰か分からなかったから興味なんて全くなかった…
……けど…

「ま、いちゃん」

抱き合っている男女の女の方はオレが想いを寄せている人だった。
…とりあえず隠れよ
あんな空気に入れるわけないよ…

「はぁ…?」

とりあえず靴箱の陰に隠れたけど…
なんで目の前に等身大の鏡があんの?
必要なくね?
しかもきれーに舞ちゃんが写ってるんだけど。
オレは衝撃的な出来事を見たせいで逆に冷静になっていた。

「じゃ、行くわ」

男の声が聞こえた。
いった…よな

「_バチンッッ」

…は?
なんで舞ちゃん頬をたたいてんの?

「よしっ頑張ろ!」

あぁ、気合い入れたんだ。
鏡越しに見る舞ちゃんの頬はほんのり赤くなっていた。
アッハハっどんだけ強く叩いたんだよ。
オレは一人で笑っていた。

「あ、玲だー。昨日ぶりだね」

「……」

その穏やかな気分も束の間、オレは目の前に居るコイツを見て昨日の出来事を思い出した。

「アハッ…そんな怖い顔しないでよ」

「ハハッ名前も知らない女にニコニコしてた方が気持ち悪いでしょ」

「そう?名前…あ、まだ名前言ってなかったね」

「別にいいよ。興味ないから」

この女の名前を知っても俺にはなんの得もない。

「いいよ。どうせ後で分かるから」

女はニコッと笑いオレの横を通りすぎていった。

「なーんか嫌な予感がするなー…」

88:椎名:2015/06/25(木) 01:00 ID:bs6

__ガラガラッ

__チラッ

一斉に私を見る。
そして、いつも通り無視。
唯一いつも通りじゃないのはいじめグループが来ないことかな。
私はできるだけ静かに自分の席に向かう。

__ガラガラ

「玲くんおはよぉ♪」

玲…くん?
玲くんは取り巻きの女子をやんわりかわして、私の隣の席に座った。

「…おは…」

『私、彼に特別な存在で意識してるの』

挨拶しようとしたとき
ふいに思い出した先生の忠告。
玲くんに近づくなっていう忠告。
先生は…先生だから私の家族を壊すことだってできる…

私はフイッと玲くんとは違う方を見た。

__ガラガラ

「おはよ〜」

出席簿を片手にユカリ先生が入ってきた。
視線はもちろん玲くん一直線。
そんな視線に気づくことなく上の空に窓の外を眺めていた。

「「「おはようございます!」」」

「はい今日も元気ね。昨日高岡くんがきたばっかりだけど今日も2人新しくことクラスに転入してきます。正直美男美女ですよ」

「え、マジ?美女だってさ」
「やぁ〜イケメン増えるの?このクラスで良かった〜」

そんな声がチラホラと聞こえてきた。
真人くんが来るんだ
楽しみだな

「入ってきなさ〜い」

__ガラガラ

89:麻珠:2015/06/25(木) 17:19 ID:s7Y

「玲くんおはよぉ♪」

玲…くん?
玲くんは取り巻きの女子をやんわりかわして、私の隣の席に座った。

「…おは…」

『私、彼に特別な存在で意識してるの』

挨拶しようとしたとき
ふいに思い出した先生の忠告。
玲くんに近づくなっていう忠告。
先生は…先生だから私の家族を壊すことだってできる…


ここがよくわかんないんだけど・・・。
舞ちゃんおはよぉ♪ってことなの?なんかごめんなさい。

90:椎名:2015/06/25(木) 18:13 ID:bs6

>>音羽

おぅ!指摘ありがとね!!
確かに読み返してみると分かんないね!
その部分だけ書き直すね!!

ホントにありがとね!

91:椎名:2015/06/25(木) 18:25 ID:bs6

__ガラガラ

「あ、玲くんおはよぉ♪」

甲高い女子の声が一斉に教室の中を響かせる。
玲くんは興味無いのか素っ気なく自分の席に着いた。
私の隣の席に…
ドクドクドクと心臓の音が高鳴る。

「舞ちゃん。おはよ」

玲くんがニコッと笑い挨拶してくれた。

「あ、おは…」

『私、彼を特別な存在で意識してるの』

挨拶を返そうとしたときに
ふいに思い出した先生の忠告
玲くんに近付くなっていう忠告
ホントは従いたくない。
でも相手が先生だから…
先生だから家族を壊すこともできる。
だから逆らえない…

「……っ」

私はフイッと玲くんから目線を反らした。
キリッと胸がいたんだ…

92:椎名:2015/07/01(水) 19:19 ID:bs6

_ガラガラ

皆が一斉に入り口に注目した。
先に入ってきたのは…

「え…ヤバイんだけど…」
「…同じ人間?」
「かっこよすぎでしょ…」

周りからチラホラとそんな声が聞こえてきた。
改めて見るとシュッとした鼻筋に少し切れ目気味のパッチリとした目にクセっ毛混じりの黒髪をしていてホントに美男だな…

「志田真人。よろしく」

一言、挨拶をして真人くんは指定された席に着いた。
私の前の席だった…

__ガタッ

席に着いた真人くんは他人なんて興味ないみたいにただ真っ直ぐ、どこか一点を見つめていた。
真人くんの隣の女子はボーっと真人くんの横顔にみとれているみたい…

「はい。次いいわよ〜」

再び皆の視線は一ヶ所に集まった。
もちろん入り口。
突然、風がブワッふき出した
それと同時に教室に花のような綺麗な女の生徒が入ってきたんだ…

「……っ」
「……きれー…」

誰もが言葉を失った。
男女関係無くその美しい姿に見惚れてた…
なんて…綺麗な女(ヒト)なんだろう…

「真白美花です。よろしくね」

“ 真っ白な美しい花 ”
名前に相応しい女(ヒト)だった。
ふわふわのウェーブのかかった茶色い髪に大きく汚れを知らない目、小顔で小さい鼻。
まるでお人形そのものだった。

93:椎名:2015/07/04(土) 21:00 ID:bs6

真白美花さんは髪をなびかせながら一番後ろの窓際の席に着いた。
一つ一つの行動、仕草、表情…とにかく全てが美しかった。
もちろん男子が騒がないはずがない。
こそこそと話を始める人や、ただボーッとみとれている男子がいた。

…でも二人だけ興味がない男子がいた

それは…
真っ直ぐ正面を見てる真人くんと
手を頭の後ろに組んで天井を見上げている玲くん…

この二人…なんか似てるな〜…
絶対仲良くなれるよ!

「はい!じゃあ…あれ?…えっと…星華さんは欠席かしら…?」


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