雨宿り

葉っぱ天国 > 小説キーワード▼下へ
1:翼◆YQ:2017/03/05(日) 20:43

__あぁ……雨が恋しい……。

>>0002.
>>0003.
>>0004.

2:翼◆YQ:2017/03/05(日) 20:47



・翼
・女
・小学生

聞きたい事があればどうぞ。

3:翼◆YQ:2017/03/05(日) 20:57

Character

・西田 捺  Nishida Natsu

・水橋 旭  Mizuhashi Asahi

・藤堂 椿  Toudou Tsubaki

・藤堂 渚  Toudou Nagisa

4:翼◆YQ:2017/03/05(日) 21:03

Rule

・荒らし、なりすまし禁止

・感想OK

アドバイスは受け付けておりません。
多少ならOKです。

5:翼◆YQ:2017/03/05(日) 21:55

プロローグ

__晴天と雨天。
対となる2つは、好みが別れる。
晴天が好きな者。
雨天が好きな者。
どちらでも無い者。
貴方はどちらが好きですか?

__これは、雨の物語。

6:翼◆YQ:2017/03/05(日) 22:16

「あぁ〜、蒸せる〜……」
私、西田捺は呟いた。
玄関ドアを開いた時から、「蒸せる」とばかり言っている。
__夏の雨。
私が一番嫌いなもの。
名前の通り私は夏が好きで、寒さに弱かった。
季節によっては地獄とも言える寒さになる雨とて例外ではない。
例えそれが夏の雨であろうが。
寒くはないが、蒸せるのも嫌いだ。
「暑い〜、蒸せる〜」
私は制服のボタンを外し、リボンを緩め、前屈みになって歩く。

「__やっとここまで来たぁ」
バス停に着くやいなや、私はベンチにだらしなく腰掛けた。
傘を持っていなかった私にとっては、バス停とは天国である。
雨を防げるとは……。
こんな時、バス通学で良かったと、しみじみ思う。
その時。
「……?」
私と同じ制服を着た、見慣れない男子生徒がバス停にやってきた。
そして隣に腰掛ける。
男子、か……。
意識してしまい、顔が熱くなった。
自分を落ち着かせる為に、ちらりと名札を盗み見る。

『水橋旭』

名札には、丁寧な字でそう書かれていた。
思いきって話しかけてみる。
「……君、転校生?」
「……え……あ、はい」
「水橋旭君っていうんだ。いい名前だね」
「……ありがとう」
水橋君は頬を赤らめ、正面に向き直った。

7:翼◆YQ:2017/03/05(日) 22:45

その後、バスは何の問題も無く進み、やがて学校前のバス停で停まった。
「宮園高等学校前ー、宮園高等学校前ー」
私達は無言でバスを降りる。
私は靴箱へ、水橋君は靴箱の前で靴を履き替え、校長室へと向かった。
手続きだの何だのとあるのだろう。
大変そうだな……。

残念ながら、水橋君は隣の隣……C組の私からするとE組だ。
E組へと転校した。
少女漫画等でよくある、道で出会った転校生と同じクラス、なんて展開は無かったようだ。
ぼーっとしていると1日はすぐに終わり、私はまたバス停で水橋君と会う。
「あ、水橋君?どうだった?転校初日は」
「うん……皆優しい奴等ばっかで……安心した」
「そりゃ良かった」
適当な雑談をしているとバスは来て、私達を乗せ、最初に水橋君と出会ったバス停へと着く。
「じゃあね!水橋君!」
「うん……あっ」
「どうしたの?」
「君、名前は……」
おっと、私は名乗っていなかったな。
「私は西田捺。宜しくね!それじゃ!」
私は雨上がりの通学路を、後ろを振り返らずに走った。

8:翼◆YQ:2017/03/06(月) 17:22

「ん〜っ、晴れた〜!」
私は久々となる太陽の出現に、大きく伸びをした。
朝の清々しい空気が私の目を覚ます。
鼻歌を歌い、軽い足取りでいつものバス停へ行く。
水橋君と、今日は何を話そうか。
私の口元はいつの間にか緩み、優しい弧を描いていた。

「あ、れっ?おっかしいな〜……」
今日は……何分待っても水橋君の姿が見えない。
「休みかな……?」
その内に来たバスは、私を学校へと導いた。

翌日は、雨が降っていた。
今は6月。
少し早い夏ではなく、少し遅い梅雨入りだったらしい。
その日は……水橋君が来た。
その次の日から、水橋君は雨の時にしか見えなくなった。
偶然か必然か、私には分からない。

「ホントだって!雨の時だけ……!」
「はぁ?」
私は不可思議な現象を、親友の藤堂椿に話した。
だが、全く信じてくれない。
さっきE組にも行ったが、水橋君の姿は無かった。
椿は偶然だと言い張り、全く聞く耳を持たない。

……何で、雨の日だけ来て、晴れの日は来ないんだろう……。

9:翼◆YQ:2017/03/11(土) 15:32

「あー!なっちゃんだー!」
「渚!はしゃがないの!」
椿の家で女子会でもしようと、急に上がりこんだものの……。
さっきから椿の妹の渚ちゃんが、私との再開に大はしゃぎ。
園児は難しい……。
「ごめんね捺……。渚、捺の事大好きだからさぁ……」
「うっ、ううん!私も渚ちゃん、可愛くて好きだし……」
「なっちゃんなっちゃん!遊ぼーっ!」
無邪気には勝ち目は無い、か……。
「はいはい……」
私は適当に返事をしたが。

__これがよくなかった。

「あ、あの……なぎっ、渚、ちゃん……。そろそろ……きゅ、休憩……」
「駄目駄目ー!もっと遊ぶのー!」
ただただ走り回るという謎の遊びに付き合い始めて数時間。
どうしてこう体力があるのか……。
私にも分けてくれ……。
「……て、もうこんな時間……。ごめんね渚ちゃん。今日はもうなっちゃん帰らなきゃ……」
「えーっ!!」
渚ちゃんが不満そうな顔をする。
私だって辛いんだ……。
「そ、そんな顔しないで?罪悪感の芽が育っていっちゃうから……」
「こら渚?捺とはいつでも遊べるでしょ?」
「むぅ……はーい。バイバイ、なっちゃん」
「うん、バイバイ」
そう告げ、私は帰路を辿る。

水橋君とは見れなかった雨上がりの美しい水溜まりに、自分の顔映しながら。

10:翼◆YQ:2017/03/11(土) 15:33

>>9
気力が無くて……。
ほのぼの回にしちゃいました。
すみません。


書き込む スレ一覧 サイトマップ ▲上へ