パーフェクト教室〜偽りの笑顔〜

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1:霜月:2014/01/10(金) 17:38 ID:h4U

えーっと、ジャンルは『いじめ』です。
こんな駄作を誰かが読んでくれることを祈ってます。あと、アドバイス等もよろしくお願いします。

2:霜月:2014/01/10(金) 17:48 ID:h4U

☆〜★〜登場人物〜★〜☆

*綺秋 実夜梨[きあき みより]
本作の主人公。人見知りで気弱。
【容姿】
幼児体型で髪型は黒髪のツインテール

*新島 水音 [にいじま すいね]
とても強気で傲慢。
【容姿】
少し背が低い。髪型は茶髪のフェーブのロング

*水谷 歌歩 [みずたに かほ]
ムードメーカで人気者。
【容姿】
容姿端麗。髪型はミディアムの明るい茶髪

*西沢 結花 [にしざわ ゆいか]
大人っぽい。冷静でクール
【容姿】
モデル体型。髪型は黒髪でポニーテール。

3:霜月:2014/01/10(金) 18:23 ID:h4U

『星華オーヴェスト中高学園』・・・そこはお金持ちだけが入園を許される、いわば天国。
そんな学園に、私が入園しようとしている。

「はじめまして、綺秋 実夜梨です。よろしくお願いします」

中学生2ーB組は私を見てザワザワしている。
こういうフインキが苦手な私はどうしていいかわからず固まってしまっていた。

「はーい、静かに!!いい?みんな仲良く出来るわよね?」

「できる!!」
「え、ちょ、可愛い!!」
「ちっちゃーい」

様々な声が聞こえてくる。

「綺秋さん、席はあそこよ」

「あ、はい・・・」

教室の窓側の一番後ろだった。ざわつくみんなを横切り、席に座った。
席に座ると茶髪のフェーブかかった女の子が話しかけてきた。

「よろしく。私は新島 水音よ」

「よろしくお願いします・・・」

「ふーん・・・。ま、私の方が可愛いわ」

なんだ、この女の子は。
新島さんの第一印象が悪くなったと思っていると、先生が口を開いた。

「あ、別に気にしなくてもいいことだけれど、理事長の娘様だから変な真似はしないようにね?」

「「「えーーーーーーーー!?!?」」」

教室に今日一番の叫び声が上がる。
私はうっかり耳を塞いでしまった。

「せ、先生!!そんなこと言わなくても・・・」

4:しょこら:2014/01/10(金) 18:53 ID:Htg

おぉ〜来ましたよ〜!やっぱ霜月はセンス?あるね!上手く褒めることができないがすごく面白くて楽しみな小説!

5:霜月:2014/01/10(金) 19:16 ID:h4U

>>しょこら
ありがとう!!本当に来てくれると思わなかったよ!!
センスあるなんて///
ないよ、センスなんか><他の方に比べたら駄作以下だよ!!
でも、頑張るので見てて下さい`・ω・´

6:霜月:2014/01/10(金) 20:33 ID:h4U

「うふふっ。でもみんな!!理事長の件は気にしなくてもいいから、仲良くしてあげてね」

「ハーイ」とあちらこちらで声が上がる。このクラスはなんだか安心でき・・・そう、かな。

授業はあっという間に終わりを告げた。まるで一瞬のようだった。

「実夜梨!!一緒に帰ろ」

その頃の私は友達も少しできていた。
あれだけ印象の悪かった水音さんとも今は仲良くなっていた。

「うーん・・・。ごめんね、今日は提出しなくちゃいけない書類を書くから一緒には帰れないの」

そういうと水音の顔色がサッと変化した。まるで青紫のような色になった。

「どうしたの?」

よく見ると水音は小さく震えていた。何からの震えなのかはわからない。

「・・・ッ。そんなの家でやればいいじゃない!!」

「水音さん?」

「いいからサッサと帰るわよ!!この私が一緒に帰ってあげるのだから光栄に思いなさい!!」

私は水音さんの剣幕に押されてそろそろと席を立った。
水音は「当然でしょ」と言ってるようにも思えた。
しかし、なにかに怯えているような気もした。

ガラッ

そう思考回路を巡らせていると、教室のドアが開いた。

7:霜月:2014/01/10(金) 20:58 ID:h4U

「あっれれ〜?実夜梨ちゃんじゃ〜ん!!」

私と水音さんしかいない教室に元気な声が響いた。
声の主は「水谷 歌歩」。そして水谷さんの後ろにいるのは「西沢 結花」。
この二人はクラスでもみんなの中心にいて、目立っていたため早い段階で顔と名前を覚えた。

「何してるの?こんなところで」

ニコニコしながら私達に近づいてくる水谷さん。西沢さんも後ろからついてきている。

「えっと・・・。」

私が事情を話そうとしたその瞬間。

「行くわよ!!」

そう言って水音さんは私の腕を引いて走り出した。
私はバランスを崩しそうになりながらも水音さんのスピードに付いていく。

「どこ行く・・・のっ!!」

そう言った水谷さんは水音さんに足をかけて転ばせた。
私まで巻き沿い!?と思っていたら、西沢さんが私を引っ張った。
水音さんに捕まれていたが、その手はスルッとほどけ、私は西沢さんのおかげで転けずにすんだ。

8:霜月:2014/01/10(金) 21:24 ID:h4U

「に、西沢さん、ありがとうございます」

「結花って呼んで。それと、敬語じゃなくてもいいわよ。」

「じゃあ・・・、ありがとう結花」

そういうと結花は美しく微笑み、「どういたしまして。実夜梨」と言った。

「痛いぃ・・・」

水音さんがゆっくりと起き上がろうとした。
「大丈夫」と声をかけようと思い、駆け寄ろうとした。
しかし、結花がそれを遮った。

「お前は一生這いつくばっときゃいいんだよ!!」

「あぅっ!!」

まさかだった。
水谷さんが罵倒を飛ばしながら起き上がろうとした水音さんの背中を踏みつけている。
間の前の光景はそう、ただの『いじめ』だった。

「水谷さん!?なにを・・・」

「実夜梨。これはこのクラスの常識なのんだよ。」

水谷さんの声は先程の元気で明るい声とはうってかわり、冷たく、怖いな声だった。

「常識?」

私はあり得ないと思った。
いじめが常識?そんなはずはない。いじめは犯罪。どう考えてもいけない。

「お父様に言いつける・・・」

「残念、それは無駄。許可だって取ってあるし。」

「ウソ・・・」

私はただただ、動けなくなってしまった。
ショックと目の前の光景に呆然とした。

9:霜月:2014/01/10(金) 23:39 ID:h4U

「ごめんね、初めてだからわからないでしょ?順を追って説明するわ」

結花がそっと私の手を握り、教室の外へ行った。

「実は、水音は犯罪者の娘なの。」

「え!?」

犯罪者の娘?水音さんが。嘘だ。だってここは・・・

「でも、ここはお金持ちだけが許される学園だよ?犯罪者の娘が入園できるはずないよ」

結花は少し迷ったような表情をした。
夕日の光に照らされるその表情はとても美しいと思ってしまった。
結論がでたのか、やがて結花は口を開いた。

「犯罪者の娘だからって貧困って決めつけてはいけないわ。裕福な家庭だって所詮人間。罪だって犯しかねないわ。」

結花の言葉は一つ一つに重みがあり、そして残酷だった。

「なんの事件を起こしたの?」

私は何故か気になる小さな疑問を投げ掛けた。唐突な質問も結花は丁寧に答えてくれた。

「水音の父親は政治家で、同僚の政治家が昇格したことに嫉妬して殺害したのよ。」

殺害・・・。その罪は重いよね。うん。
いじめた理由はよくわかった。でも・・・。

「じゃあ、なんでお父様はいじめなんて許可したの?」

お父様がそんなことを許すとは到底思えない。よっぽどの理由があったからだと思う。

「学園の恥になるから、処罰するように、頼まれたのよ。私達がね。」

ああ、そっかぁ。
お父様がいじめの原因だったんだ。なんだ、そっかそっか。うん、もう納得せざるおえないよ。

「・・・。そっか、ありがとう。丁寧に教えてくれて感謝するよ」

結花は何もいわず微笑んだ。

10:霜月:2014/01/11(土) 12:34 ID:h4U

「お願い、もう・・・やめ・・・」

「は!?きっもー。触んなよ!!汚れるだよーがよっ!!」

教室へ戻ると、水音さんは泣きながら水谷さんにせがんでいた。
水谷さんは水音さんの手を踏んで払い除けた。

「あっ、おかえり〜」

私たちに気付いた水谷さんはニコニコして私たちを見た。

「結花と実夜梨ちゃん、すっかり打ち解けてるね〜。いいなぁ」

いいなぁと言われましても。
口には出さずに、「エヘヘ」とだけ言っておいた。

「じゃあ、あたしとも仲良くしてよ。早速だけど、実夜って呼んでいい?」

唐突だなぁ・・・。
でも、水谷さんはみんなの中心的人物。フレンドリーなのは当たり前か。

「うん、いいよ。よろしくね」

「じゃあ私のことも歌歩って呼んでね!!」

私は今この瞬間友達になれた。
この幸せなフインキを台無しにしたのは水音の泣き声だった。

11:霜月:2014/01/11(土) 13:36 ID:h4U

「うわーーーん!!!」

その泣き声に少しビクッとして、結花の制服の裾をそっと握った。

「うっせーんだよ!!てめー、ちょっとは黙っとけ!!このクソ野郎!!」

そう言って歌歩は水音の腹部を強く蹴った。

「ヴっ・・・」

水音の悲痛な呻き声が上がった。
私はその呻き声に不快感を覚えた。

「実夜〜。大丈夫?まぁそのうち慣れるから安心してね!!」

私はコクリと頷いた。

「あの、もう今日は帰っても言いかな?書類も書かなくちゃいけないし・・・」

歌歩は「わかったよ〜」と言うと、結花が「気をつけて帰りなさいよ」と心配そうに言った。

私はただその言葉だけが嬉しくって、幸せな気分で家についたのだった。

12:霜月:2014/01/11(土) 13:59 ID:h4U

次の日、教室へ行くと何故か視線が集まった。
なにか違和感を感じながら席に着いた。

「おはよ、実夜!!」

そう言って真っ先に私の机に来たのは、昨日友達になったばかりの歌歩だった。

「おはよう、歌歩」

歌歩はニコリと微笑むと、机の上にファッション雑誌を広げた。

「な、なに?この雑誌」

「へー、知らないんだぁ!!」

ニヤニヤしている歌歩に少し戸惑いながらいると、やっぱり視線が集まっているのが気になる。

「ね、歌歩」

こそっと歌歩に耳打ちした。

「ん?どうしたの」

「なんかみんなこっち見てない?」

「うん、まぁ仕方ないよ」

仕方ない?なんでだろう。

「転校生だからみんな値踏みをしているの。」

あー、そっか。ここは星華オーヴェスト学園。
みんなプライドが高いんだった。

「でも気にしなくていいよ。」

気になるんだけど・・・。
でも、いつまでも気にしていちゃ駄目だと思い、みんなの視線を意識の外側に置いた。

「おはよう。」

声をかけてきたのは結花だった。

「おはよ、結花!!」

「おはよう、結花」

私の友達が揃った。
2人しかいない友達に囲まれると安心んする。大勢は苦手だ。
友達だと思っていた水音さんは今では友達なんかじゃない。

「今日の担当はアイツらよね?」

「あー、うん、そうそう!!」

二人は私は前で訳のわからない会話を始めた。

13:霜月:2014/01/11(土) 18:13 ID:h4U

「あの、なんの話・・・かな?」

戸惑っている私を見て、二人は「あっ」と言うかのような表情をした。

「ごめんごめん。今日の水音を痛めつける担当のこと。」

歌歩が説明するも、なんのことかさっぱりだ。

「担当って・・・?」

「毎日同じ人が痛めつけるわけじゃないのよ。男子2人組、女子2人組っていう感じで構成されているの。」

「つまり、今日は男子二人が水音さんを痛めつけるということ?」

「そうそう!!理解が早いね〜」

その時、水音さんが教室へ入ってきた。

「あ、水音おはよう!!」

なにを思ったのか、歌歩は水音に駆け寄った。
ニコニコと二人で話していると、周りに人が集まってきて、ひとつの輪ができた。

「こ、これは一体?」

水音はいじめられてるはずなのに、なぜみんなに囲まれているのだろう。

「これは先生にいじめなんかないって主張しているの。いわゆるカモフラージュってやつかしら。」

「カモフラージュ・・・。」

14:霜月:2014/01/14(火) 16:56 ID:p/o

結花の言ったとおりだった。
先生が来たらまったくいじめなんてないかのようにみんな笑顔でニコニコしていた。
わたしにもちょくちょく友達ができ始めたが、わたしは心からみんなを信用できなかった。

そして私は聞いてしまった。

「実夜梨ちゃんってここに来たばかりでしょ?」

「なんかいじめのこと、先生にチクリそうじゃない?」

「あ〜、偽善者っぽいし?」

「ってか偽善者かよ!」

「あはは、だってそうじゃな〜い?」

これは女子たちがトイレでひそひそと話していた。

だから嫌なんだよ、いじめをしてる人とか。
ありもしないことをペラペラと・・・。ほんとバカみたい。

15:しょこら:2014/01/14(火) 21:04 ID:Htg

>>霜月
おぉ。暇がなくて後で読もうと思っててやっと今、来たらすごくたまってた…w今読んだけどすごくスラスラ読めたよ!なんとなくこういう物語は他の人が書くと展開バレバレなんだけど、霜月のは全然分かんないやっ!w
すごく上手!私、霜月の小説好き〜!

16:霜月:2014/01/15(水) 15:54 ID:UFw

>>しょこら
ありがとう!!
しょこらが唯一の読者だよ!!しょこらのその一言一言が本当に嬉しくて、胸に響いてくるよ!!
しょこらのおかげですごく元気でた!ありがとう♪

17:霜月:2014/01/15(水) 17:42 ID:UFw

放課後を迎えた。
女子たちの悪口はもう気にしないことにして、私は4人で教室に居た。

「お前、やらねーの?」

「お前がやれば?」

「じゃ、遠慮なく」

バシャ

教室に水がこぼれる音が聞こえた。それと同時に笑い声や鳴き声が聞こえてきた。

「綺秋はしねーの?」

急に話しかけられて一瞬だけドキッとしたあと、落ち着きを取り戻した。

「う、うん。わたしはまだ慣れていないからいいの。」

「ふーん。ま、早めに慣れろよ。」

私はうなずいた。彼はそれを見届けると、もう一人の男子と水音いじめを再開した。
皆さんはもう、気付いていると思うが、私は歌歩と結花と一緒にはいない。
今日の担当の男子二人と居る。

なぜ私はいじめもしないのにここにいるのか。…それは5時間目の10分休みだった。

18:霜月:2014/01/15(水) 18:00 ID:UFw

___10分休み___

「実夜梨、ちょっといいかな?」

「なに?」

次の授業の準備をしていた私に、歌歩と結花が話しかけてきた。

「もしかして、いじめの事先生にチクったりしないわよね?」

結花がそうやってヒソッと言った。

「ないよ。お父様が認証しているくらいなら認めざるおえないって思ってるから。」

そういうと二人は安心したような表情をした。
すると、歌歩は男子の名前を呼んだ。
男子二人がこちらに来ると、歌歩は自己紹介を始めた。

「今日の担当、相川翔雅と内田舞彦だよ!良い奴らだから安心してくれていいらね」

相川翔雅と呼ばれた男子は黒髪で少しはねている髪をした、美しい顔立ちをしていた。
内田舞彦は少し色素の薄い茶髪で、髪の短いかわいらしい顔立ちだった。

「よろしくな。」

「よろしく〜」

「は、はい!よろしくお願いします」

自分の声がどんどん小さくなるのが分かった。ついでに歌歩がクスッと笑ったのも分かった。

「…で、どうして彼らを私に?」

19:しょこら:2014/01/15(水) 22:15 ID:Htg

霜月すごいね!よく一日連続更新できんね!私にはそんな気力がないよ!面白い内容もよく思い浮かぶね!憧れるよ!ほんっと褒めんの下手でごめんw

20:霜月:2014/01/17(金) 17:00 ID:Mt2

>>しょこら
ありがとう!!
いやいや、本当にしょこらからの言葉は嬉しいよ!しょこらみたいな読者がいるから頑張れるの^^
いつもありがとう!これからもよろしくね♪

21:霜月:2014/01/17(金) 17:21 ID:Mt2

歌歩は思い出したように、「あぁ」と言った。

「水音いじめに慣れてないでしょ?だから一か月間は担当の子のいじめる様子を見てもらおうと思って。」

「で、今日の担当はこの2人って訳。」

結花が付け足した。
わたしは軽くうなずいた。なら、一か月間は放課後には残れってことか。
ま、特に予定何てないんだし、いっか。

「それとも、いじめなんてしたくない?」

歌歩がニコニコしながら聞いた。
私はその笑顔が妙に怖くって、黙り込んでしまった。

「どうなの?」

結花に後押しされて、まるで固まってしまったかのように私は動けなくなった。

その時

「はーい、みんな!授業始めるわよ〜」

ドアを開けて入ってきたのは、先生だった。
その瞬間、緊迫した空気がほぐれ、緊張も解けた。

「じゃ、放課後までには答えを聞かせてね!」

ニコッと笑って、歌歩は自分の席へと戻った。結花も微笑んでくれた。
けれど、その笑顔は私には逆効果で、恐ろしく感じてしまったのが本音だった。

22:しょこら:2014/01/17(金) 18:58 ID:Htg

こんな面白いのになんで皆読まないんだろ。運営さん、小説宣伝板作ればいいのにw

23:霜月:2014/01/18(土) 12:29 ID:wxw

>>しょこら
いやいや、駄作だからみんな読まないんだよ〜!まだまだ実力不足だし、みんなが読まないのも無理ないよw
それに、しょこらもあたしが誘ったから読んでくれてるんであって、知り合いでもない人の小説なんて読まないでしょ〜?
いつもコメントありがとう!

24:霜月:2014/01/18(土) 12:49 ID:wxw

___ そして今 ____

今私は教室に居る。だから私は結局あの二人を恐れて、「そんのことはない」と、答えてしまった。
本当は、いじめなんてしていいのかと、戸惑いもある。恐れもある。
ただ、私は一人になるのが怖かったからいじめをしようと思ってしまった。
私はただの臆病者なんだ。


「綺秋?」

「えっ?」

不意に名前を呼ばれ顔を上げると、内田さんの顔がすぐ近くあった。
それに驚いた私は、悲鳴を上げることもなく椅子ごと後ろに転んだ。

「はっ!?どうしたんだ?」

頭を強く打ちつけた私は、頭を押さえながら起き上った。

「大丈夫か?ほらっ」

内田さんが手を差し出してくる。私はドギマギしながら内田さんの手を取り、立ち上がった。

「ありがとう、ございます」

「あははっ、何かんでんだよ」

笑われた。頬が赤くなり、少し俯いてしまった。
気を取り直して前を向くと、水音が私を睨んでいた。

25:しょこら:2014/01/18(土) 13:58 ID:Htg

>>sonia
結構周りの人のも読むっちゃ読むよ〜!書き込みしてないだけでw結構周り学園系小説あるね〜

26:しょこら:2014/01/18(土) 13:59 ID:Htg

今回のもすごくいいねb

27:海莉:2014/01/18(土) 14:04 ID:Qpg

題名に惚れて読んでみたら...
内容にも惚れました!

すごい面白いです!

ほかとは全く違う感じの「いじめ」のストーリーで
新鮮な感じがします(*´∀`*)

コメントは控えますが、
いつも見るので、頑張ってください!

28:霜月:2014/01/19(日) 19:26 ID:i82

>>しょこら
でも、あたしの小説は誘われてなかったら見てなかったでしょw

>>海莉様
嬉しいお言葉ありがとうございます!!
題名や内容に惚れて頂いたなんて・・・!!新鮮な感じがって・・・!!
もう心から感激する言葉をありがとうございます!
見て頂けるだけでも本当にうれしいです!
ありがとうございます、頑張ります!

29:霜月:2014/01/19(日) 19:44 ID:i82

一瞬ぞっとした。臆病な私は睨まれただけでもこのありさまか・・・。
だが、心とは裏腹に言葉は自然と出てきてしまった。

「・・・。なによ、水音。何か用?」

相変わらず水音は睨んでいる。私は逃げ出そうと脳内では考えていたのに動けない。
まるで、歌歩が私に問いかけた時の感じだった。

「ふーん、もしかして嫉妬してるんだぁ・・・」

私は無意識に顔をにやりと歪ませながら言った。
水音はカッと顔を赤くして、言い返してきた。

「ばっかじゃないの!?」

私は腰まであるツインテールを揺らしながら水音のフェーブかかった長い髪を引っ張った。
そして耳元でそっと囁いた。

「あんた、誰に向かってそんな口聞いてるわけ?」

私は水音の髪をより一層強く引っ張った。

「いっ・・・」

水音が悲痛の声を上げた。私はその声に妙に興奮した。

「きゃははっ。もっとその悲痛の声を上げなさい!」

30:霜月:2014/01/19(日) 19:56 ID:i82

そう言った瞬間だった。

ガラッ

唐突にドアが開いた。私を含めて4人は一斉に振り向いた。

「アラ・・・?皆さん何をしているの?」

想定外だった。まさかの先生だ。このクラスのいじめを知らない先生だ。
ヤバい。
そう思った。ここでいじめがバレれば私のせいになり、私は必ず孤立するだろう。
本能的に体は動いていた。

「みんなで喋っていただけです。」

「じゃあ、なんで水音ちゃんの髪を引っ張っているの?」

「ヘアアレンジです!女子だからおしゃれくらいはしたいんですよ。いけませんか?」

ニコッと笑っただけで何も言わなかった。
ばれたかな。だとしたらヤバいかも。
えも、そんな心配は無用だった。先生は机の上にあるファイルを持つと、教室から出て行った。
私は安心してホッと息をついた。

31:霜月:2014/01/19(日) 20:10 ID:i82

今日はこれ以上学校に居るのは危険だと推測した相川さんに従う事にした。
それにより、私と相川さん、内田さんはたまたま途中まで帰り道が一緒だということで、3人で並んで歩いていた。
話す話題は無く、ただただ無言で歩いていた。

私は自分自身の行動が怖かったとしか考えられなかった。自分のものとは思えないような行動、口、声に怯えていた。
髪を引っ張り、罵倒を飛ばし、挙句の果てには先生まで騙した。・・・そして妙に興奮していた。

私はどこかおかしくなってしまったのだろうか?
この教室に来てから自分が変になったことがよくわかる。そして自分自身が知らなかった自分を発見した。

孤独・孤立を恐れ、必死で笑顔を振りまいていた私。
臆病な私。
いじめに興奮する私。
簡単に人を騙せる私。

何処まで私が居るのだろうか。もうわけがわからない。私は多重人格なんかじゃない。ただの女子中学生。一般人。凡人。常識人。

様々な感情が脳内を選挙する。これは本当に自分の脳なのかと、疑ってしまうほどだった。
苦しい。
もうわからない。

・・・誰か助けて。

32:霜月:2014/01/21(火) 16:50 ID:WrY

気が付いた時には、私は家の前に立っていた。もちろん周りには誰も居なかった。

「いつの間に・・・。」

私の思考は疲れ切っていた。それゆえ、考える気も起らなかった。
私は鍵を開き、家の中へと入っていった。廊下は静まり返り、人の気配すらなかった。

私の母は、私が幼い時に亡くなっており、父は理事長と言うこともあり、夜中に返ってくることが少なくなかった。
徐々に父との会話は少なくなり、最近では話すことが無かった。

私は孤独なんだ。

ダメダメ、明日も水音をいじめる方法を考えなくっちゃ。
歌歩と結花はいつもどうやっていじめてるのかな。聞いてみたいな。

「もー疲れた。」

私はゆっくりと着替え、自分の部屋へ行った。部屋に入るとともに、私はベッドに沈み込んだ。

33:しょこら:2014/01/22(水) 22:04 ID:Htg

わぁぁ!!二人目の読者だ!なんか私も嬉しいw霜月おめでとう!!

34:バニカ:2014/01/23(木) 18:48 ID:5EQ

今日初めて見たけど…
しもっち、上手やん! びっくりした(笑)
そういえば小説書いてるって言ってたね!

35:バニカ:2014/01/25(土) 11:37 ID:qUc

上げときます

36:霜月:2014/01/25(土) 13:13 ID:TGc

>>しょこら
ありがとう!私も二人目の読者者様が来て下さるとは思ってなかったw

>>バニカ
ありがとう!なんかリア友に見てもらうと恥ずかしいわーw!
バニカで3人目の読者様wめっちゃ嬉しい♪
上げてくれてありがとうね!

37:霜月:2014/01/31(金) 16:41 ID:M/6

次の日、学校へ行くと、女子二人に声を掛けられた。

「ねぇ、2年B組に転校してきた綺秋さんだよね」

「えっ、あの・・・」

人見知りの私はこんなに急な会話なんて慣れてないので、うまく舌が回らない。
あたふたしていると、もう一人の女子がにこっとしてこういった。

「ごめんね〜!でも、転校生っていうから一度喋ってみたかったんだ!」

「そ、そうでしたか・・・」

ごめんなさい、優しい彼女同様に優しく返せませんでした。お許しください
なんて心の中で謝罪を述べていると、唐突に話しかけてきた。

「B組っていいクラスだよね!」

「・・・え?」

「えって、そうでしょ?B組のみんな性格だっていいし、容姿だっていい人多いじゃん?」

「そうそう。それに男子とか特にかっこいい人そろってるよね!C組なんかブサメンばっかじゃん!」

「綺秋さん、うらやましい!」

二人の会話についていけない。B組がいいクラスだなんて、わかりきったこと。でも、どうしても認められない。
いじめがあるクラスだから?自分がわからなくなったクラスだから?きっとこんな事じゃない。

・・・偽りの笑顔が多すぎるクラスだからだ。

38:& ◆f8Qs:2014/02/06(木) 16:53 ID:w3k

初めまして、野薔薇です。
頑張ってください☆

39:霜月:2014/02/06(木) 17:29 ID:jho

>>野薔薇様
ほ、本当に見ていただけるとは・・・!!感謝の気持ちでいっぱいです!!
読者様4人目、本当にありがとうございます!
駄作ですが、頑張ります!

40:霜月:2014/02/12(水) 16:17 ID:fXU

「綺秋さん?どうかした?」

「・・・あっ、すみません。私急ぐので・・・」

変な考えをしたくなかった私は早めに会話を切り上げることにした。
「ごめんね」と言って彼女たちは行ってしまった。

教室に入ると、歌歩と結花が私の方へ歩み寄ってきた。

「おはよう、実夜梨!」

「おはよう。」

「お、おはよう」

なんか挨拶がぎこちない気がした。でも、今ここで変に動揺したらもっと変に思われる。それだけは避けたかった。

「歌歩、お願いがあるんだ。」

「どうしたの?」って聞くように、歌歩はにこにこしながら首をかしげた。今聞いても大丈夫かな。

「あの、水音をいつもどうやっていじめてるの?私はじめてだから何もわかんなくって・・・」

歌歩と結花が目を見開くのがわかった。そんなに変な事言ったかな。
すると、背後から声がした。

「よく言うぜ。昨日あれだけの事をしておいて。」

驚いて振り返ると、内田さんと相川さんがいた。いつの間に・・・!

「あっ、それは、その、言っちゃダメです!」

慌てていると、なぜかわからないが、滑って後ろに派手に転んだ。
その様子を歌歩は笑い、結花は?となっており、内田さんは呆れ、相川さんは冷たい目で私を見ていた。

「いったたたたた・・・」

頭を打った。内田さんと相川さんの前では2回目だ。恥ずかしいにもほどがある。

「え、えへ、ごめんなさい・・・」

笑ってごまかしておいた。ああ、もう最悪だぁ・・・。

41:しょこら:2014/02/12(水) 22:38 ID:.L6

最近こっち来てなかった!!ゴメン!!やっぱり面白いね!ずっと読んでなかったからちょっと内容忘れちゃたので最初っから読んだらめっちゃ面白かったw溜めて読むのっていいね!(`・ω・´)

42:霜月:2014/02/15(土) 17:26 ID:h4U

>>しょこら
いつもありがとー>∀<めっちゃ嬉しいよ!!面白いって言葉だけが支えだよ♪
これからも頑張るのでよろしくお願いします(`・ω・´)ゞ

43:霜月:2014/02/18(火) 17:20 ID:f5s

歌歩がすごく笑ってる。爆笑レベルだよ。

「ほら、実夜梨。早く立って」

結花に言われ、慌てて立とうとしたらグキッと嫌な音が足から鳴った。
一瞬何の音か分からなかったが、すぐに足に痛みが走ると何の音か分かった。

「いった〜・・・」

足をひねった。まじで痛い。これは保健室行きだね。うん。

「大丈夫か?」

「保健室行きます。」

即答すると、頑張って立ち上がろうとした。うぅ・・・、なんか今日ツイてなさすぎじゃん・・・

「内田。」

歌歩が内田さんに呼びかけた。

「えぇ〜、マジかよ。初めてなんだぜ?」

「初めてが実夜梨って最高じゃん。めっちゃ可愛いよ、実夜梨。」

「そりゃあその辺の女子よりは・・・」

と、そこまで言ったところで内田さんは顔を赤くして八ッとした。
無言で私に近ずくと、私は宙に浮いた。

「行くぞ」

「はっ?えっ?ちょ、ちょっと内田さん!!」

私は内田さんにお姫様抱っこされる形で保健室へと向かった。

44:霜月:2014/02/19(水) 17:11 ID:lYI

「捻挫ね。しばらく安静にしてて」

「はい・・・」

包帯をぐるぐる巻かれている自分の足をさすりながら答えた。すると横に居た内田さんが口を開いた。

「よかったなぁ、捻挫ですんで」

「捻挫ですよ!?ね・ん・ざ!くじいたどころじゃないんですよ!」

「綺秋さん、お静かに。」

私はシュンと縮こまり、「すみません」と言った。

「とりあえず教室帰る?それともベッドに寝てる?」

「あっ、帰ります。はい。」

「じゃあ絶対無理しちゃだめよ。あとは体育もダメ。それにー・・・」

保険の先生の長い長い教室に帰る条件を聞き、なんか頭が痛くなってきた。

「あー、あのっ。わかりました。やっぱり保健室で2時間目まで寝させて頂きます。頭も痛くなってきました。」

「あらそう。じゃあ、どうぞ」

「内田さん、ありがとうございました。」

「いーっていっーて。じゃ、またな」

そういって保健室を出て行った。私はベッドに横たわった。

「綺秋さん、私は職員室に戻るわね。」

「わかりました。ありがとうございました」

ドアが開く音と閉まる音が聞こえると、辺りは静かになり、グラウンドからの「1、2、3、4、」と生徒の掛け声が聞こえる。

もう最悪じゃん。水音をいじめることもできなければ、皆に迷惑までかけた。
私って厄介者として見られてるのかな。水音いじめをやめてターゲットが私になっちゃったりして。
まぁ、仕方ないや・・・。

私は意識がだんだんと遠くなっていく。瞼が重い。チャイムが鳴った音と同時に眠りについた。

45:霜月:2014/02/24(月) 17:37 ID:TtI

〜歌歩side〜

「実夜梨って結構ドジなのね。」

内田が実夜梨を保健室に連れて行ったのを見届けると結花がポソリと呟いた。
舞彦はサッサと自分の席に座っていた。

「確かにね〜」

私は結花の呟きをしっかり聞いていた。
もしかしたら結花は実夜梨の事が嫌いなのかもって思う。

「勘違いしないでね。私は実夜梨のことを嫌ってなんかいないわ。」

結花はまるで私の心を丸々読んだかのように言った。
驚いた反面ホッとした。
私は実夜梨の事が好きだった。
初めて会ったときから可愛いなって思ってた。どこかドジでオドオドしていて守りたいな、とも思った。
中身を知れば知るほどもっと好きになった。こんな感情は初めてだった。

「歌歩、あんたもしかしてソッチ系だったの?」

結花が頬をひきつらせながら言って来た。また心を読まれたのかな。
私は確かにそうかもしれないなって思った。男子でこんな感情にはならない。
私は答えを出せなかった。迷っていた。

「フフッ、どうだろうね」

だから私は結花には何も言わず、悪戯っぽく笑ってやった。

46:霜月:2014/02/26(水) 15:41 ID:7Hw

〜結花side〜
「実夜梨って結構ドジなのね。」

私はうっかり呟いてた。まぁ、別に間違ったことは言ってないし良いと思うけど。

「確かにね〜」

小さく呟いたはずなのに歌歩は聞き逃さなかったようだ。
歌歩の声は明るい。口も笑っている。だが、目は笑っていなかった。
私は溜息を飲み込んで告げた。

「勘違いしないでね。私は実夜梨のことを嫌ってなんかいないわ。」

歌歩は一瞬驚いたような表情をして次に安心したような表情を浮かべた。
なんとなくなんだけど、歌歩はもしかしたら実夜梨の事が好きなのかもしれない。
歌歩は実夜梨から目を離すことはあまりなかった。
話す時も頬を染めていたような気がするのは気のせいなのか。
男か、お前は!、なんて最近思うようになった。
・・・まさか、ね。
でも私は聞かずにはいられなかった。

「歌歩、あんたもしかしてソッチ系だったの?」

なんとか笑顔を作った。多分、笑えてると思う。
歌歩は明らかに迷っていた。
しばらくの沈黙のあと、歌歩は悪戯っぽく笑いながらこういった。

「フフッ、どうだろうね」

多分いや、明らかにソッチ系だよ。自覚していいのよ、歌歩。

そう言いたかったが、その言葉は飲み込み、ただ私は微笑んだ。

47:愛凛羽:2014/02/26(水) 16:07 ID:.3E

上手いですね!
私なんて、足元にも及ばないっ…
て、読みながら考えていました。
おもしろいです!

48:霜月:2014/02/26(水) 16:15 ID:7Hw

〜水音side〜
私は独り、本を読んでいた。
今は先生がいないから皆私を空気のように扱う。
タイミングが良い。ほら、今日もきた。
何がきたのかと言うと、メール。しかも空メール。いつもこうやっていじめてくる。
だいたいの場合は空メールだが、『死ね』『消えろ』『ウザい』だとか書いてある時もある。
もう、慣れてきたのが現実。

私は時期を待つ。・・・何の時期かって?
・・・復讐の時期にきまってるじゃない。

私は誰にも見られぬようにフフフッと笑った。

49:霜月:2014/02/26(水) 16:22 ID:7Hw

>>愛凛羽様
ありがとうございます!
私にはもったいないお言葉ばかり・・・!とても感激です!!
本当にありがとうございます!

50:愛凛羽:2014/02/26(水) 16:42 ID:.3E

いえいえ♪
私なんかホントに駄作の小説書いてて…
こんな上手い小説みた事なくて…
ついつい調子に乗りました💦
すみません💦

51:霜月:2014/02/26(水) 16:48 ID:7Hw

私が目を覚まして保険の先生が職員室に戻って数分後、昨日メアドを交換したばかりの歌歩からメールが届いた。

『やっほ〜!今授業中だけど実夜が心配でメールしちゃった☆足は大丈夫??(´・ω・`)』

私は苦笑した。
授業中だからってすごいな。よく先生にばれないでメール打てるな〜・・・
とりあえず返信しておこっかな。

「『ありがと♪安静にしておけば大丈夫って言われたからヘーキだよ!』。・・・送信っと。」

まぁ、返信は来ないだろう。授業中だからね。あ〜、暇だな。ねよっかな。
とかなんとか考えて十数秒。
  ピロリーン♪
メールの着信音。まさか。

『ホントにぃ?でもお大事に(・ω・)』

歌歩!?どんだけ早打ちしてるんだ・・・。
正直呆れる。授業中+早打ち、とかギャルかっ!なんて思っちゃったりする。
返信はやめておいた。一生終わらない気がするし。
ふぁ〜・・・、眠くなってきたな。

私はスマホをポケットにしまうと、2度寝した。

52:霜月:2014/02/26(水) 16:50 ID:7Hw

>>愛凛羽様
いえ、本当に嬉しいお言葉かけていただいて心の励みです!
これからもガンバります!ありがとうございました!

53:霜月:2014/03/01(土) 15:26 ID:h4U

私もう一度目覚めたのは起こされたからだった。

「えぇ!?もうお昼なんですか!?」

「そうよ。早くお弁当食べてらっしゃい。」

「ありがとうございました」

頭を下げて、先生の長い条件を聞かない内にさっさと保健室を出た。


教室に戻ると、歌歩と結花がお弁当を食べていた。私はニコッと微笑みかけておいた。

「実夜梨〜!!一緒にお弁当食べようよ!」

歌歩に手招きされて私は歌歩と結花の座っているところへ机を移動させた。

「よく寝てたね〜」

「うん、まぁ仕方ないよ」

照れ臭かったが、いっそのことネタに変えちゃえ、と言う思いが強かった。

「結花、そのお弁当可愛いね」

「そうかしら?適当に詰めてきたんだけど」

「ええー、これで適当なの!?そんなこと言われちゃ私のお弁当糞以下だよ」

「実夜梨。それはないわよ」

「そんなことないって!!」

歌歩が耳打ちしてきた。
なんだろう、と思って歌歩に体を寄せた。

「水音のお弁当なんて洒落っ気もないから」

水音を見ると、お弁当を隠して食べていた。

54:花恋:2014/03/02(日) 12:06 ID:vJM

花恋です。
いきなりすいません
この小説とーても面白いです
頑張ってください
実夜梨がこれからどうなるのか
楽しみです。
更新待ってます。
長文すいません

55:霜月:2014/03/03(月) 16:36 ID:WfE

>>花恋様
ありがとうございます!!
面白いだなんて、すっごく嬉しいお言葉ですっ!
バンバン更新出来る様に頑張ります!

56:霜月:2014/03/03(月) 17:23 ID:WfE

「なんで?」

「さぁ、知ーらない!見てきたら?」

歌歩の言葉通りに水音のお弁当を見に行こうと席を立った、否、立とうとした。

「いっ・・・!」

勢いをつけて立ったため、捻挫部分にズキンッという痛みが走った。
なんだとぉ!?このタイミングでかよっ!
とかなんとか思ってるのもつかの間、机に脚が絡まって転びそうになる。
ああ、もうこのドジさはなんとかならないものかね。
ビタァン!という鈍い音がして、教室中の視線が集まる。正直見ないでほしかった。

「ちょっ、実夜!?なんがあってどうなったらこうなったの!?」

「バカ、捻挫だよ!大丈夫?実夜梨ちゃん」

「今日2回目じゃね?」

「それ、禁句な。」

「怪我ない?・・・ってもうあるか」

「とりあえず立ったらどうかな?」

私は皆に囲まれ、みるみるうちに頬が赤く染まってゆく。穴があったら入りたい。もう死んでも構わないよ、うん。
ふと水音と目があった。水音はバカにしたように鼻で笑った。苛立ちがして、水音をキッと睨んだ。
すると、今までずっと黙っていた結花の唇が動いた。

「水音。あなたなに人を馬鹿にしてるわけ?転ぶなんて誰にもあることでしょ?」

「え?なんのことかな?」

「しらばっくれてんじゃないわよ。私、この目でちゃんとみたんだからね。」

「私も見たよ!鼻で笑ったよね?」

歌歩も参戦する。すると中心的人物のふたりだからなのか、皆信じ始めた。

「なに?水音、実夜梨のことバカにしたの?」

「うっわ〜・・・、ないわお前」

「じゃあ水音は転んだことないのかよって話だよね。」

「俺、前水音が転んでるとこ見たことあるぜ?」

「なにそれ、バカにできないじゃん」

皆して口々に水音を見て、悪口を言っていく。そして、誰か一人がこう告げた。

「ねぇ・・・。少し早いけどやっちゃおうか?」

57:霜月:2014/03/03(月) 17:45 ID:WfE

やるって、なにを?なんておかしな質問はしない。しなくてもわかる。

「いいかもね、それ」

「うん、やっちゃおうやっちゃおう。」

「いいのかしら?私を苛めてた時に先生来たら?」

水音が反論する。あらあら、在り来たりな質問ですことで。
でもね、水音。それはおかしいんだよ。

「バーカ、今日午後から先生いねーよ。補習だろーが。」

男子生徒がそう告げると水音は顔を歪めた。唇をかみ、悔しそうな表情をしている。
まぁ、最初っから逃げ道なんてないでしょうに。

「いつまで床に寝そべってるの?」

結花に言われて気が付いた。私、まだ立ち上がってなかった。
「アハハッ」と笑って誤魔化したが、時すでに遅し。歌歩、笑ってるよ。隠しきれてないよ。

結花の力を借りて立ち上がると、水音の甲高い叫び声が聞こえた。

「うるっさいなぁ・・・」

歌歩が顔をしかめた。さっきまでの笑顔が嘘みたいだ。

「ほかのクラスにばれない?」

私が心配したのはそこ。
いくらなんでもお昼だから他のクラスに聞こえてもおかしくはないのだろうか、と。
だがものの見事に心配は打ち砕かれた。

「大丈夫だよ〜。秘密なんだけど、この学年のガラス特別に防音性になっててね〜」

「あっ、そうなの〜・・・」

笑っておいたが、心の中ではものすごく感心してる。あ、もちろんお父様にだよ?
いじめのためならそこまでするかってね。ある意味ですごいよ。

「水音は私たちから逃げられないから」

歌歩がそう呟いた。呟いたような気がした。
でも水音の悲鳴にかき消され、正確には分からなかった。

58:霜月:2014/03/03(月) 18:10 ID:WfE

「ねぇ、今何か言った?」

「ううん、なんでもないよ?」

なに、それ。
私は何とも言えない気持ちになった。表現しがたいかな。
なんていうか、こう、ムカついたような、さみしいような、そんなような感情に襲われた。

「ねぇ、私に言えないことなの?だめなの?ねぇ」

多分私はしつこいんだろう、と思った。いや、もう本当に。
でも私の口は止まらなかった。止まろうとしなかった。
歌歩が口を開く前に次の言葉を投げかけた。

「なんかそれヤだよ。私だけ知っちゃいけないことなの?」

「違うの、そうじゃないの。」

「じゃあなんで教えてくれないの?誤魔化すの?」

「それは・・・」

「はら、言えないでしょ?」

歌歩は顔を俯かせて黙り込んだ。結花は何も言わずに私を見つめている。

「たしかに私は途中から来たよ。なのに教えろだなんてあつかましいにもほどがあるって自分でも分かってる。
 だからって私はハブかれるの?そうなの?」

「だから違うって!」

歌歩が急に声を荒げた。
いつもは気弱で多分今だったらびくついてるだろう。でも、今はびくびくしてるなんてこと出来るはずなかった。

「声を荒げるってことは図星だったってわけ?」

今、クラスの目線は水音に行ってる。騒がしくもある。
ゆえに私たちの会話は聞こえていないだろう。そう願いたい。
私は聞こえてるか聞こえていないかも分からない声で二人に微笑みかけた。

「もういいよ、ありがとう」

そういって静かにクラスを出た。
背後で歌歩が涙を流し始めてとも気づかずに。

59:霜月:2014/03/04(火) 16:57 ID:4G.

「ハァ・・・」

私は屋上で盛大な溜息をついていた。
なんであんなこと言っちゃったんだろうか。それと、あとあの表現しがたい感情はいったい何者なのだろうか。
ああもうやだやだ。なんでこんなに今更後悔してんだろ。馬鹿みたいじゃない?

私は足を保健室へと向けた。
午後の自習を受ける気にもなれず、ただただ体が重たかった。眠りたかった。この世界の情報をシャットダウンしたかった。

先生には「精神疲労と足の痛みなので放課後までベッドを貸して下さい。」と言っておいた。
ありがたいことに、先生は何も聞かず、気前よく貸してくれた。

「じゃあ先生は職員室に戻ってるわね」

先生は私の返事を聞かず、出て行った。
私、何かしたっけ?と思ったが気にしないことにした。

60:なな ◆570g:2014/03/05(水) 22:09 ID:Pgg

霜月さんの小説、グッとくる!!(・ω・b
面白いね** 応援してます!
よかったら、「友達物語※実話です」と、「ななの小説」ってスレも見てくれない(><
駄作だけどww

61:霜月:2014/03/06(木) 16:24 ID:1CU

>>なな様
ありがとうございます!
とっても嬉しいお言葉感謝です!
わかりました、見てみますね♪とっても楽しみです!

62:霜月:2014/03/06(木) 16:57 ID:1CU

ベージュのカーテンで周りがつつまれている。寝るには最適の場所だ。
まったく眠れなかった。むしろ目がパッチリ覚めてて何のためにベッドに入っているのかわからないくらい。
保健室のドアが開く音がした。

「・・・実夜梨」

わたしの名前を呼ぶ声がする。もちろん声の主はわかっている。間違えるはずもない。
出来れば返事はしたくなかった。歌歩に言う事なんてない。

「ねぇ、寝てないんでしょ。なら話を聞いてよ。」

「話なら明日でいいから」

「嫌だよ。それじゃ実夜梨と喧嘩別れになるでしょ。私はそれが嫌で来たんじゃん」

なにそれ。さっきあんなに嘘ついておいてよく言うよね。
と、口に出したかった。でも、歌歩の気持ちを無駄にしたくなかったし、裏切りたくないと思っている自分がどこかにいた。

「実夜梨にはちょっとだけ嘘ついてた。」

歌歩は切なそうな声で言った。・・・泣いた?

「いつかは言うつもりだったよ。でも今言っちゃうね」

歌歩は一呼吸置いた。
そんなに覚悟のいる事なのだろうか。私にはよくわからなかった。

「水音の授業料、教材料、その他の集金は実夜梨の父親が払っていたの。」

・・・え?払っていたってことは父が立て替えていたってこと?私たちの家系のお金の中から?

「実は水音は実夜梨の双子の妹なんだよ。だから実夜梨まで来たときは本当にどうしょうかと思ったんだよ」

先程の衝撃の事実に重なり、今度はもっと衝撃的で重要な情報が歌歩から発せられた。
双子って、私一人っ子だよね?そんな事お父様からもお母様からも聞いたことなかった。

「でね、水音はある事情によって別の親に引き取られて、実夜梨は綺秋家の中で裕福に暮らしてきたの。」

言葉が出なかった。
表情も出なかった。
感情も消えていた。
私の頭の中真っ白なのか真っ黒なのか分からなかった。

「でも水音はこのことを知ってるよ。」

「・・・嘘だ」

私は無意識のうちに呟いた。ロボットのような無機質かつ消え入るような声だった。

「真実だよ。・・・今は気持ちの整理が済んでいないよね。この続きはまた明日・・。じゃあね」

歌歩が出ていく時には、私は糸が切れた操り人形のようにうなだれていたのだった。

63:レイラ:2014/03/07(金) 09:51 ID:Bpo

おもしろいです!
私もかいていますけど…
早く続きを読みたいです!!

64:霜月:2014/03/07(金) 16:48 ID:seA

>>レイラ様
嬉しいお言葉ありがとうございます!
どんどん更新出来る様に頑張ります!
レイラ様の小説を見かけたらまた読ませていただきますね♪楽しみです!

65:霜月:2014/03/07(金) 17:08 ID:seA

私はあれからどうやって帰ったのか全くと言っていいほど覚えていなかった。
気が付いたらベッドで涙を流していた。

「うっ・・・くぅっ・・・」

声を押し殺して泣いた。今大声で泣くようなことをしたら精神崩壊がありうる。
一気に頭に情報を詰め込み過ぎだよ。少しずつ少しずつ真実を知っていきたかったんだよ。
歌歩には悪いことしちゃったな・・・。
私の事を思って言わないようにしようと思ってくれていたのに、私がしつこかったから。強引だったから言わないといけないようになったんだよね。
明日謝らなくっちゃ。許してもらえるまで何度でも。

「ゴホッゴホッ」

泣きすぎてむせた。
本当にヤバいかも。今泣き続けないと今すぐにでも大暴れしちゃう。
でもそろそろお母様が帰ってくる時間だよね。いい加減泣き止まないと。



あれから何時間が過ぎたんだろう。私は眠りへと誘い込まれていた。
辺りはとても静かで、時計の針が着々と進んでゆく。清々しい鳥の鳴き声が聞こえる。

「・・・ハァ」

泣き終えたは私は眠りについたからか、精神崩壊の心配は無く冷静にため息をついた。
・・・私は誰を信じればいいの?
だってそうじゃん。お父様やお母様は私に何も言わず嘘までついていた。
歌歩や結花は出会ったばかりで何も知らない。
私の周りには誰も居ない。
自分自身も自分を見失い始めてる。

一体どこに私の味方が居るの?

66:霜月:2014/03/07(金) 17:26 ID:seA

[味方なんていないいない。何期待してんだ、バーカ]

[そんなことない!あなたがまだ自覚して無いだけよ]

[お前に味方がいるくらいなら世界は狂ってるな]

[信じて、私はあなたを信じてr・・・]

あーーーもーーーうるさいっ!!!
なんなの、この脳内の意味不明のバトルはっ!いい加減鬱陶しいわーーーー!!!

なんて考えてるほど私の気持ちに余裕はないことに今更ながら思い出す。意味不明なのは私じゃん・・・

「実夜梨ー!ごはんよ」

下からお母様の声がする。

「うっ、うん今いくー」

信じられないとわかって初めての会話がご飯かよ。なんかもっと重要な話が良かったー。
・・・なんてね。もう話したくないのが正直な気持ちだった。

でもしっかりお父様とお母様に話をつけなくっちゃ。

ホントにそれでいいの?知らなくてもいい真実はあるよ

知ってもいいじゃん

ショックを受けのは自分だよ

・・・真実なんてどれも残酷だよ そんなのわかりきったことじゃん


私は部屋を出た。

67:霜月:2014/03/07(金) 18:02 ID:seA

「今日は実夜梨の好きなカルボナーラよ」

お母様はニコッと微笑んで私が座れるよう私の席を引いた。
「ありがとう」と言うと、いつものように座った。そう、いつものように。

「実夜梨、学校はどうだ」

お父様が口を開いた。いつものように私は丁寧に言った。

「おかげ様でもう慣れてきております。」

カルボナーラに舌鼓を打っておきたかったが、今はそんなどころではない。
私の中には得体の知れない緊張感が襲ってきていた。

「・・・お父様」

「なんだ」

「どうして私にはなにも教えず水音には教えていたのですか」

お父様の方がピクリと反応した。ビンゴだ。
お父様はやはりこの話を避けているようだ。

「なんのことだ」

「私は水音の姉なんですよね。血が繋がってるのですよね」

「・・・どこの作り話だ。」

「いえ、誤魔化さらなくても結構です。私、お聞きしましたので」

「親を信じないのか」

・・・信じる、かぁ。
その言葉は嫌いだな。私がその言葉でどれだけ惑わされてきたのかお父様は知ってるくせに。
そう、ずぅっと昔から。

「申し訳ございません。私は今誰も信じておりません。」

「なに?」

「ご友人、自分、親。すべて信じておりません。」

そういった瞬間、頬に痛みが走った。お母様の叫び声。カシャンとフォークの落ちる音。様々な音が重なった。
私は椅子から落ち、頬を押さえた。
・・・殴られた。
目の前にはお父様がものすごい鬼のような顔で私を睨み据えていた。

「ハァ・・・、ハァ・・・」

お父様は肩を上下に揺らしていた。

「お父様っ・・・!」

私だって負けていない。涙にぬれた瞳でお父様を睨みつけた。

「なんだ、その眼はぁっ!!!!」

ほぼ叫び声だった。耳に劈くような声だ。・・・耳障りにもほどがある。

「もうっ、いいです。わたしもうこの家にはいられません。」

お母様が泣き始めた。お父様は拳を壁に叩きつけた。
さすがいい家だ。お父様の殴りでさえも壊れることもなく、ヒビすらも入らなかった。

「こんな偽りが多い家なんて私は大っ嫌いです!」

私は自室に戻り、ありったけの荷物をかばんに詰め込み、荒々しく家を出て行った。

行くあてなんて無いまま。

どこまで行くのかも決まっていなかった。

涙を流しても走るのをやめなかった。


・・・どこか、開放感があった。

68:霜月:2014/03/07(金) 18:22 ID:seA

走り続けて、かれこれ5分。マラソン並みだよ、この距離は。
体力も限界でそこらへんにあった公園で一休みすることにした。
これからどうしよう。何も考えずに出てきたし、本当にヤバくない?

「あっれー?もしかして実夜?」

はいそうです、実夜ですよ。
ちょいと黙っててくだされ。私は今考え中でしてね、はい。

「やっぱ実夜じゃーん!何してるの?」

うるさいってば。
歌歩じゃ無かったら許せなかったよ?ねぇ、かー・・・

「歌歩!?」

改めて顔を上げると、やっぱり歌歩がいた。
歌歩のみならず、結花、相川さん、内田さんまでもがいた。

「今更ー?でもこんな時間に何してるの?もう7時だよ?」

「家出してきたんだけど。」

「いっ、家出!?なんでまた家出なんてしたの?」

「深い事情があるんですー。歌歩たちこそなにしてるの?」

「私たちは相川の家でお泊まり会するの。」

「へ〜そうなんだ。ねえ、この辺にホテルって無いかな。」

「なんで?」

「家出したって言ったじゃん。行くあてが無いからホテルにとりあえず行こうかなーって」

てかなんで3人のほうに寄ってってんの。それほど悩むこと?
おい、歌歩よ。何悩んでるのだ。スマホで調べればいいでしょうが。
・・スマホ?
そうだ!スマホがあるじゃん!

「歌歩!」

「実夜!」

「「え?」」

同時だった。
私が口を開くより先に歌歩が口を開いた。

「よし、相川の家行くよ!」

69:霜月:2014/03/08(土) 08:56 ID:TNw

どうしてこんなことになったのだろうか。私たしか断ったよね?
なのになんで相川さんのお宅に上がらせてもらっているのだろう。

「なんで私までお泊り会に参加してるんですか・・・?」

「行くとこ無いんでしょ。おとなしく翔雅の家に泊めてもらいなさい。」

「そうそう!相川の家は広いし!」

「いや、わかってるよ広い事なんて!実際に家にあがらせてもらってるんだしね!?」

今相川さんと内田さんはお風呂に入っている。
歌歩と結花と私は相川さんのお部屋でガールズトーク(?)をしている。

「しっかしなんでまた家出なんかしてきたわけ?」

やっぱりそれ聞きますよねぇ、はい。なんとなくわかってましたよ。
まぁ、歌歩と結花なら言っても害はないけど・・・。

「お父様に真実を問い詰めたら怒られた。それで殴られて家出してきた。」

「なっ、殴られたの!?」

「うん、まぁ。」

「大丈夫!?病院行く!?」

「歌歩、うるさいわよ。大袈裟。」

結花ナイスツッコミ!
さてと、歌歩にあの話の続きを聞こうかな。今なら聞ける気がするし。

70:霜月:2014/03/08(土) 10:59 ID:TNw

「歌歩、あの話の続きを教えてくれない?」

私が放った一言で空気が一変した。和やかな空気から緊張感の張りつめた空気になった。
あ、なんかここじゃ言っちゃまずかったかな。

「・・・実夜が聞きたいなら言うよ。でもちゃんと聞ける?」

「もちろんだよ。聞けないんだったらわざわざ空気を変えてまで言わないよ。」

「そっか、じゃあ言うね。」

いよいよだ。これですべての真実が分かる。これで私もすっきりできる。
さぁ、試合開始。


「あなたの父親は浮気をしていたの。それで二人の愛人がいたの。a子とb子とするね。」

浮気かぁ。大人ならではの悩みだよね。

「もうa子の方が実夜梨と水音を産んだの。でもb子はa子の子じゃないと喚き散らしたの。」

「ちょっと待って!本当はa子の子なのにb子は違うって言ったってことで良いの?」

「そう。それで水音はb子に引き取られていった。これが一番の解決法だったみたいなの。そして実夜梨は実の親、a子のもとで暮らしてきた。」

頭の中グッチャグッチャ。整理したい。まぁ、理解できてるし良いか。

「それで実夜梨と水音は疎遠になってしまった。だから今まで言われなかったんじゃないかな。」

はぁ、とため息をついた。
どうあがいたって私は水音の姉なんだ。最低で最悪な妹なんだ。

「大丈夫?」

結花が私を見つめてくる。私は首を縦に振り、ニコッと微笑んだ。

「ありがとう。真実を知れて嬉しかったよ」

歌歩と結花はほっとしたように微笑み返してくれた。

71:霜月:2014/03/08(土) 11:17 ID:TNw

「あ〜、疲れた。」

歌歩の声でさっきの緊張感が無くなった瞬間、試合終了のベルが脳内に響き渡った。
と、同時に部屋の開く音が聞こえた。

「何の話してたんだ〜!?」

「相川うるさい!」

歌歩が瞬時に反した。すごい瞬発力だなぁと感心してしまっている自分がいた。

「風呂行くか?」

「行こっか、結、実夜」

「そうね。」

「私は良いよ。てゆーか家で入ってきたし。」

「家出の準備万端だったんだ〜!じゃ、行くよ!結」

「わかってるから騒がないの。」

はいしゃいでる歌歩と冷静に歌歩の対処をしている結花を相川さん、内田さんと見送った。
なんだ、さっきの緊張感は。別人?と疑いたくなった。

「にしてもなんで家出してきたんだ?」

あ、またその質問ですか。まぁ、二人には言ってないし。

「殴られたんで怒って出てきちゃいました」

私はにこっと微笑んで言った。
相川さんはポカンとしていた。内田さんは顔をしかめていた。
私、なんかおかしいこと言ったっけ?

「殴られたって・・・大丈夫なのか?」

「ありがとうございます、内田さん。私はこの通り元気でございます。」

しまった。いつもお父様に喋るみたいに言ってしまった。
まぁ・・・、いいか。別に困ることでもないしね。

「すごい喋り方だな〜」

「お気になさらず。私の癖でございまして」

「大変だなぁ。」

「いえ、別に癖なので大変だとかそういうのはございませんよ」

私は正直この喋り方、めんどくさかった。もうやめようかな。

「あーもうやっぱやめます。めんどくさい」

「本音でたな」

「もういいじゃないですか!私だって人間なんですよっ!?」

そうキレ気味に言うと、相川さんと内田さんに笑われた。なんで?
まぁ、笑ってくれてるなら何でもいいや。

72:霜月:2014/03/08(土) 11:43 ID:TNw

歌歩と結花がお風呂から上がってきて、夕食も終わり、(ってゆうか食べてきた)恒例の怪談話と行くらしい。

「実夜は怖い話苦手?」

「そりゃあもう驚くほど。いい?私は金縛りにあっただけで3日間夜眠れなかったんだから。」

「へぇ、綺秋って金縛りにあったことあんだ!どんな感じだった!?」

「気になります?相川さん。」

「気になる!ってか敬語止めね?」

「・・・了解」

私は短く答え、明かりを消した。


「私が小6の頃だったんだけど、生暖かい風で目が覚めたわけ。それで寝返り打とうと思って体を動かそうと思ったの。」

ただ今の時刻午前1時30分。部屋は暗く、声だけしかわからない状態だった。
まぁ、怪談話なんだしこれくらい普通かな。

「案の定動かなかったわけよ。どうしようどうしようって考えてるうちに足音が聞こえてきたの。ヒールみたいな」

「キャアアアアアアアア!!!」

「歌歩早いって!!」

結花が歌歩を叩いた。なんでどこにいるか分かるんだろう。猫目か。

「それで、どんどん足音が近づいてくるの。とうとう耳元まで来た瞬間、目だけが開いて、開けたら血まみれの女の人が私に馬乗りになったの!!」

「イィィィヤアァァァァァァ!!」

73:霜月:2014/03/09(日) 09:13 ID:leU

「歌歩うるさいって!」

私がそういうと、歌歩はなぜか反論してきた。

「だって実夜がそんな怖い話するからいけないんじゃん!」

「おかしいでしょ。怪談話しよう!って言ったのは歌歩、あんたでしよ。」

さすが結花!頼りになるねぇ。
相川さんは笑っていて、内田さん寝てる・・・かも。

「内田さん寝てる?」

「爆睡ー。」

「それに比べて相川さんは元気だね〜」

「なんでさん付け?タメで良いって言ったじゃん」

「いやいや、タメじゃん。ねぇ、歌歩、結花。」

私が二人に賛同を求めたら、歌歩は意地悪そうににやりと口角を上げた。
結花は知らないわよ、と視線だけで言っていた。
・・・なんなんだよ、この二人は。

「まぁ、さん付けなしでいいしな。」

相川、上手い事まとめたね。うん、最善策だったよ。

「じゃあ、歌歩もあんな感じだしもう寝ようか。」

「了解。」

「そうね。」

「なんかごめんね・・・」

謝られてもねぇ。なんかあたしたちが悪者みたいじゃん?違うけど。
電気はもう消えてるし、後は寝るだけだね。

「おやすみ〜」

「おやすみ」

「おやすみ!」

「・・・おやすみなさい」

私はそういった2分後に眠りの中へと旅立った行った。

74:霜月:2014/03/09(日) 09:27 ID:leU

「・・・来たっ!」


「お前なんか死んじまえ!!」


「やだっ、こっち来ないで!気持ち悪い!」


「なにその目!こっち見ないでよ!」


「ブリっ子なんか消えろ」


「対して可愛くもないくせに」


「自分の立場分かってないの?」


「気色悪いなぁ・・・」


「退学してよ、いい加減」


「必要ないよ、存在自体。」


「うっわ!なんか睨まれたし!」


「まだまだ実感して無いんだ」


「そんなに私たちに構ってほしいんだ」


「表出る?」


「嫌だ!私触りたくもない!」


「私も・・・」


「俺もちょっと無理」


「てかもうゴミ箱入ってろよ」




世界の回転。真っ暗になった、

75:霜月:2014/03/09(日) 09:40 ID:leU

「・・・夜・・・!!実夜・・・!!実夜梨!」

「キャア!!」

誰かに大声で呼ばれ、私は悲鳴を上げながら飛び起きた。電気がついている。何で?
頭の中がパニックに陥り、何がどうなってるんだか。

「実夜梨。大丈夫?」

「・・・結花?」

「そうよ。」

目の前には心配そうに私を見つめていた。
私が首をかしげると、結花は溜息を付き、私の頭をなでた。

「明日言ってあげるわ。今はお休み。」

「・・・そうだね、分かった。おやすみなさい」

「おやすみ、実夜梨。」

結花の声はとても優しく、安心出来た。
結花は丁寧に電気まで消してくれて、最後には微笑んでくれた。

「ありがとう。」

私の声は届いただろうか。

76:霜月:2014/03/09(日) 10:24 ID:leU

翌朝、目覚めたきっかけと言えば、まさかの口論だった。

「はぁ!?あんたが近寄ってきたんでしょ!この変態!」

「お前の寝相が悪いからだろーが!」

「・・・うるさい」

私がぽつりと呟くと、なぜか口論の嵐が去って行った。・・・だいぶ静かになったな。

「なんの口論してたわけ?」

私が寝起きの声で聞くと、歌歩が抱き着いてきた。
私はその衝撃&突然の事で悲鳴も上げずに布団に倒れ込んだ。

「聞いてよ実夜!!」

「きっ、聞くから揺さぶらないで!」

歌歩は意外と素直に言う事を聞いてくれた。
あぁ、よかったよかった。私は今マジで吐くかと思ったからね?

「で、なにがあって翔君と歌歩が口論してるの?」

「翔君?」

「翔雅君の事ー」

「ああ、なるほどね」

「うん。・・・じゃなくって、なんで口論なんかしてたのって聞いてるの!」

なんだ、この会話。コントか、マジで。
歌歩ってなんか抜けてるよなぁ・・・。天然ちゃんなんだろうなぁ、歌歩って。

「なんかね、相川が朝起きたら私の横に寝てたわけ!絶対相川が近寄ってきたんだよね!」

「いや、それはおかしいって!絶対歌歩が近ずいてきたんだろ!」

・・・くだらなっ。
まさかの高校生がこんなくだらないことで口論いたしますかー。

「どっちもどっちじゃな〜い・・・?」

「「なんで!?」」
うおっ、見事にハモったね〜。うん、すごいすごい。

「なに拍手してるの、実夜。」

「いや、別に。この口論の決着なんてつかないでしょ。だって寝相じゃん。どうにもならないでしょ。」

なぜ黙りこくるのだ。いいのか?こんな小娘に負けて。
でも・・・、いまはそれはそれで都合がいいや。この二人が天然で良かった。

「わかったら二人合わせてごめんなさい、ね。」

「嫌だぁ・・・」

「俺も」

「じゃあ私歌歩の事嫌いになるし、翔君とはもうしゃべらない。」

嘘だがな。

「「ごめんなさい」」

なんなの?この二人。そんなに私のこと好きなの?・・・あ、ラヴの方じゃなくてライクの方でね。
もちろんだよ?そんな自分が好きなわけじゃないんだし。
・・・にしても舞君と結花がまだ寝ててよかった・・・。
なんでって、そりゃそうだよ。歌歩も翔君も二人の毒舌の刑を喰らわなくってよかったね。

77:レイラ:2014/03/09(日) 22:53 ID:I7A

霜月さん上手い!
話しの続きが気になる~
(#^ω^#)ワクワク

78:霜月:2014/03/10(月) 17:43 ID:DRk

>>レイラ様
ありがとうございます!
頑張ってたくさん更新したいと思います!

79:霜月:2014/03/11(火) 17:09 ID:Lrg

「あっ、そうだ。実夜、夜、大丈夫だった?」

「え?」

なに、昨日なんかあったっけ。
もしかしたら私がなにかしたのかな、なんて心配になる。

「寝ながら、皆死んじゃえばいいのに、って言ってたんだけど」

「嘘でしょ!?」

私は歌歩の言葉を遮り、勢いよく言った。
私の声がうるさかったのか、結花と舞君が起きてきた。
とうの歌歩と翔君は驚いているようだった。

「あっ・・・、ごめん」

私はぼそっと謝罪の言葉を述べ、俯いた。
・・・なんで今更こんなことを思い出さなきゃいけないんだろう。私は変われたはずなのに。

「実夜梨。昨日泣いてたけど大丈夫だったの?」

結花がこう言ってきた。
結花が言ったことでピンッと来た。

「もしかして結花、あの時私を起こしたのって泣いてたから?」

「ええ、それもあるわ。あと絶対殺してやるって言ってたから。」

歌歩が私の肩をつかんで揺さぶってきた。

「なっ、何があったの!?どんな夢を見たの!?」

歌歩は本気で心配してくれているようだった。
でも、あの過去には触れてほしくない。私は忘れようってそう決めた記憶だから。

「なにもなかったよ。」

せっかくできた友達に嘘をつくのは罪悪感しかなかったけど、言いたくない過去ってものもあるんだよね。
だってそうじゃん。うん、そうだよね。私は正しいよ。

「なにもないわけないじゃん。」

「でも、何も夢なんて見てないよ」

「ならなんであの時過剰に反応したの?」

「それは・・・」

思わず口ごもった。
だって嘘ついてるんだし、言い訳なんて見つからないし。

「・・・信用されてないのは分かるよ。だって会って対して経ってないもん。」

「信用して無いなんて一言も」

「でも、私だって実夜の役に立ちたいよ。」

単純な一言だった。
ものっすごく単純で。・・・そして、奥深い一言だった。

「驚かないで聞いてくれる?」

「うん。」

「ほかのみんなも?」

「ええ。」

「おー」

「了解」

「信用してるからね」

私はそういって微笑むと、深く息を吸った。
そうして前をまっすぐ見据え、誰にも話したくない、触れられたくない過去を語り始めた。

80:霜月:2014/03/11(火) 17:36 ID:Lrg

___当時小学6年生___

何でなのかなぁ・・・。私ってそんなに汚いのかな?

「うざいうざいうざい」

私ってそんなに妬ましい子なのかな

「いやっ、こっち見た!」

「キャア!!」

私は急にかけられた冷たい水に驚いて悲鳴を上げた。
ぱっとミズノ飛んできた方向を見ると、男子がバケツを手にし、笑っていた。

「ざまぁみろっ!」

そういって私の髪を引っ張り、殴り、蹴っていった。
私はこんなの当たり前なんだって思っているから別に平気だった。
今までのも見てもらって分かるように、私はいじめにあっている。
理由はお金持ちだから、と言うだけだった。
初めは「なんでなんで?」って泣き喚いたものだったが、嫉妬だってわかると怒るのもなくのも馬鹿らしくなってきた。
周りから見ればあきらめている、としか見えないのだろうけど。

「なんでこいつ泣かねぇの?つまんねぇよ」

答えてあげる。馬鹿らしいからだよ。
心の中で細く微笑んで、私は教室を出た。
びちょびちょになった服を着てる気にはなれないからだ。
私はトイレの中で携帯を取り出すと、執事にかけた。

「もしもし、変えの服持って来てくれない?・・・うん、そうだけど?良いから早目にね」

私がいじめられているなんてことはお父様もお母さまも知っている。
でも私は別に気にしていないからいいって言って転校はしない。

「中学間での我慢だから・・・」

私はこう思うことによっていじめを乗り切れた。

81:しょこら:2014/03/11(火) 18:23 ID:.L6

きた!きたよ!最近来てなくてごめん!まとめ読みおもしろかった♪すごい読者さん増えたね!おめでとう☆怪談で悲鳴あげてる歌歩が面白かったwそれとツッコミw「歌歩うるさい!」ってねwやっぱ面白いなー!まさか水音と姉妹だったなんて!霜月すごいなー!

82:霜月:2014/03/11(火) 18:41 ID:Lrg

>>しょこら
いつもありがとう!
なんかごめんね、強制的に読ませたみたいで・・・。
歌歩は地味に私のお気に入りキャラw面白いって言ってもらえてうれしいよ!
読者様が増えていただいて本当に感謝しかないよw
これからもよろしく!

83:しょこら:2014/03/12(水) 16:55 ID:.L6

強制的じゃないよ!霜月の小説面白いし♪やっぱ歌歩いいね!こちらこそよろしく!

84:霜月:2014/03/12(水) 17:25 ID:rNI

>>しょこら
ありがとう!!

85:もみじ:2014/03/12(水) 17:34 ID:64Y

あ、コメします
今までコメしなかったけど、ずっと見てて、更新待ってました!!!
タブン、コメしないだけで、見ていた人、たくさんいると思います!

だから頑張ってください!

86:霜月:2014/03/12(水) 17:53 ID:rNI

そんなある日の放課後、私はいじめっ子に呼び出しを喰らった。
まぁ、いかないわけないし。だって行かなかったら明日めんどくさくなるし。


指定された体育館裏まで来ると、いつものメンバーのお揃いだった。
男子4人に女子2人。勢力的に言うと向こうの方が圧倒的に有利だった。
罰に逃げようとも言い返そうとも思わないし、別に良いんだけどね?

「よくも怖気づかずに来たわね」

そりゃあ、怖くないし。

「なにされるか分かってないんだろ?」

どうせいじめるんでしょ?知ってるっつー・・・え?
私は目を疑った。いじめっ子が持っているのはナイフだった。

「なんだよ、その驚いた顔は」

当たり前でしょうが!ナイフを出されて驚かない馬鹿がどこにいるんだっ!
私はキッっと相手を睨みつけた。
変に挑発しないのが正解だな。大人しくしてるか。
と、思っていた矢先に押し倒された。

「悲鳴も上げねーとか、こいつ頭いってんじゃね?」

んなことで悲鳴あげるかっつーの。押し倒されるなんざ日常的でしょ。

「あーもうマジで不愉快。もう刺しちゃえ」

「はぁ?」

多分本気で刺す気は無いんだろうなぁ。いまの抜けた声が証拠だし。

「私がやるから貸して。」

女子がナイフを持った。私の平和的な考えはすぐに消え去った。
だって、あの目はマジだし。命が危ないかも。
私は背を向けた。

「あっ!逃げんのかよ!」

私は走った。
今ならまだ間に合う。死なない。
そんな思いだけで走った。
でも、私は大切なことを忘れていた。・・・彼女は陸上部のエースなん・・・


ザクッ


プシャッ


ピシャッ


え・・・?

男子と女子の焦ったような声がした。
どうやら私は背中を切りつけられたらしい。
不思議と痛みは無かった。意識だけは遠ざかってっ行った。
私が薄れる意識の中で見たもの、それは。


狂ったような目をした彼女


焦った男女


飛び散った私の血だった。

87:霜月:2014/03/12(水) 17:56 ID:rNI

>>もみじ様
ありがとうございます!
見ていて下さったとは驚きです!!コメントを書いていただいて感謝いたします!
ホントに見ていて下さると私も嬉しいですね!読者様のコメントだけが私の心の支えですのでw
これからも頑張らせていただきます!

88:しょこら:2014/03/12(水) 18:10 ID:.L6

今回はいじめられっこ目線?なんかすごい急展開w面白いw

89:レイラ:2014/03/12(水) 20:08 ID:I7A

キャー!この展開待ってました的な?!
頑張ってください!!

90:バニカ:2014/03/13(木) 20:28 ID:xU6

霜!久しぶりに来たらめっちゃ進んでてびくったww
まだ全部読めてないけどまたゆっくり読むね(*^▽^*)

歌歩。。。
そういう展開もありなん!?

91:しょこら:2014/03/14(金) 15:28 ID:.L6

あと少しで10だね!!頑張れっ♪頑張れ♪応援してるよー!

92:霜月:2014/03/14(金) 16:17 ID:Q16

>>しょこら
ありがとう!展開が変わるようにがんばってみたよw
応援ありがとう!

>>レイラ様
ありがとうございます!
これからの展開を楽しみにしていただければ幸いです!

>>バニカ
そーゆー展開があってもいいかなって思ってw
ゆっくり読んでね!


〜余談〜
コメントをくださっている読者のみなさま、ありがとうございます
読者の皆様にお願いがあるのですが、>>100レスは作者がとらせていただきますので、とらないでください。
生意気で申し訳ございません・・・。
よろしくお願いします!

93:霜月:2014/03/14(金) 17:00 ID:Q16

「実夜梨!!」

目が覚めて一番最初に見た景色は、心配そうに私を見つめる母の姿だった。
・・・ここ、どこ?

「実夜梨ッ・・・!!」

母は目覚めた私を見るなり泣き崩れた。
私は泣き崩れる母を慰めることも出来ず、ただただパニックに陥ってるだけだった。
周りを見渡すと、病院だということが分かった。
その瞬間、背中にズキンッ!という痛みが走った。

「いっ・・・」

私は思わず声を漏らした。
なんなの、この痛みは・・・!

「傷はしばらく痛みますよ。深い切り傷でした。」

医者らしき人物がいつの間にか病室に入ってきて、病状を告げた。
深い切り傷・・・?なんのことだろう。・・・あぁ、ナイフかぁ

「なにがあったの?」

母はいつの間にか息を整え、なにがあったのか聞いてきた。
私はいい訳なんて思いつくほど脳が回っておらず、馬鹿正直に答えてしまった。

「いじめっ子に・・・。ナイフで切りつけられ・・・」

最後まで声が続かず、「た。」が出てこなかった。
母は驚愕で目を見開き、茫然としていた。
虚ろになった意識もそろそろはっきりしてきたころ、病室の扉が開いた。

そこに居た人物は、思いがけない人だった。

94:霜月:2014/03/14(金) 17:20 ID:Q16

私の前に現れたのは、私の背中を切りつけた張本人だった。
今更だけど、彼女の名は『阿字野 美琴』(あじの みこと)。
美琴はあの時のような狂っているような目はしておらず、反省してます、とかそんなような感じだった。

「なにか御用ですか?」

私は強めの口調で言い放った。美琴は少し怯んだ。
なんで怯むわけ?怯みたいのはこっち何だけどさ。

「あの、ごめんなさい」

美琴の口から出された言葉に無性に腹が立ってきた。

「・・・謝って許されると思ってんの?」

私は絞り出すような声で言った。
何でって、感情を表に出さないようにしてるから。
美琴は何も言わず俯いていた。

「この背中の傷、私もまだ見てないけど深いって聞いた。痛みだってある。」

ダメだ、口が勝手に・・・。

「跡が残るかもしれないんだよ?どう責任とってくれんの?」

私の声はシンとした病室によく響いた。

95:霜月:2014/03/14(金) 17:51 ID:Q16

___現在___

「そのあとどんな会話をしたかも覚えていないの。
 覚えているのは美琴が退学になったことと、いじめられなくなったこと、私が転校したこと、背中に傷が残ったことだけ。」

ふぅ、とため息をついた。正直話し終えて安心した。
私が暴走することもなく無事に終えられた。

「「「「「・・・」」」」」

なんで誰もしゃべらない訳!?私話終えたよ〜・・・?
とか呑気にツッコミを入れていると、翔君が口を開いた。

「大変だったんだな。」

「うん」

なんで翔君までもう一回黙るんだろ。もっと会話しよーよ。
私は笑顔でこう言った。

「ありがとう」

全員が俯いていた顔を上げて私の方を見た。
さすがに視線が集まると思っていなかったからギョッとしたけど、すぐに微笑んだ。

「話、聞いてくれてありがとう」

「・・・なんで?」

「私ね、他人にこの話したの初めてなんだ。でね、きっとこの話したら引かれるだろうなぁって思ってたんだよね。」

いじめられた上に背中に深い切り傷がある女だなんて気持ち悪いに決まってる。
下手したらキモイって面と向かって言われるかも。

「でも・・・、みんなは何も言わずに聞いてくれたよね。気持ち悪いだとかそんなこと言わずに。」

「言うわけないじゃん!!」

歌歩が急に立ち上がり、私を上から見下げた。
なんだなんだ。
地味なパニック状態になって挙動不審になりかけた。

「だいたいねぇ!なんで実夜が気持ち悪いの!?どこも気持ち悪くないし、むしろお疲れ様って言いたいよ!」

「お疲れ様?」

「だって、実夜、今までそのき・・・」

歌歩が急に泣き出した。
え?なに?なにこれ。私何か悪いことしたっけ?

「実夜は今までその傷と過去を背負ってきてっ、本当にっ辛かったよ・・・ね!!」

歌歩は私を抱きしめた。歌歩の涙が私の膝に落ちた。

泣いてくれてありがとう。

私はそういう代わりに、歌歩を強く抱きしめ返した。

96:霜月:2014/03/14(金) 18:13 ID:Q16

「じゃあこの話は胸の奥にしまっておいて、今日はお泊り会最終日だし楽しもうじゃないの」

結花が空気をリセットし、翔君も「そうだなっ」と言って立ち上がり、舞君も「了解」といって立ち上がった。
私は泣いている歌歩の背をさすっていた。

「歌歩、どうしよっか」

「泣かせておく方が良いと思う」

舞君の言う通りにしようと思い、歌歩の背中をさすり続けた。



気づけば昼になっていた。
何気ない雑談でここまで時間が経つとは思っていなかった。

97:しょこら:2014/03/14(金) 21:00 ID:.L6

やっぱ小説面白い〜!今 >>91 みて笑ったwあと少しで10だね〜ってw100でしたw
100まで本当にあと少し!ここまですごい小説かいたね!おつかれさま〜!そしてこれからも頑張れ!小説が続く限りいつまでも応援するよ!やっぱ100は霜月だよね♪

98:霜月:2014/03/15(土) 09:58 ID:Xh2

>>しょこら
ありがと〜!!
しょこらみたいに応援してくれる方が居てくれて本当に嬉しい!!

99:霜月:2014/03/15(土) 10:36 ID:Xh2

「じゃあ、昼食いに行く?」

家で食べればいいじゃん、と言おうと思ったけど、やめた。
私はお泊り会途中参加の身なんだから余計な口出しはやめておこうと思ったから。
歌歩は泣き止み、話に参戦していた。

「相川の家はだめなの〜?」

「いや、別にかまわないけど折角みんなそろってんだし外でよくね?」

「それもそうね。お昼ご飯食べに行ったついでにプリクラでも行きましょうか」

「メンドくさ・・・。」

「内田!あんた折角のいいフインキをぶっ壊しにしないでよ!」

歌歩は本当にさっきまで泣いていたのかと思うほど元気だった。
舞君は適当に歌歩を流してるし、結花は翔君とどこに行くか話し合ってるし。
私は傍観者なんだけどね。

「実夜梨はどこ行きたい?」

「ふぇ!?」

傍観者なんだからいきなり声掛けないでよ!ちくしょー。変な声出ただろうが。
なんて結花に行ったら毒舌のパレードが来るから言わないでおこう。

「どこでもいいよ」

と言っておいた。
結花は「そう」といってまた話し合いを始めた。一方の歌歩と舞君は相変わらずだし。
なんかいいよね、こういうのって。青春った感じがするよね〜・・・。
ホントにこんな人たちがいじめなんてしてるのか、何て疑っちゃうよ。
まぁ、あそこは偽りの笑顔の教室なんだし、仕方ないんだけど。だいたいの人は私の事、見下してるんだろうなぁ。

でも、歌歩と結花と翔君と舞君は信じていたい。疑いたくない。

そんなことは自分次第なのにね、って自分の中の自分が意地悪くいった。
わかってるよ、そんなこと。
信じるのも疑うのも私があの4人をどう見るかで決まってくるってことくらい知ってるよ。
だから、まず一歩進んだって考えるよ。

ここからが本当の『偽りの笑顔』との勝負なんだ。


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