パーフェクト教室〜偽りの笑顔〜

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1:霜月:2014/01/10(金) 17:38 ID:h4U

えーっと、ジャンルは『いじめ』です。
こんな駄作を誰かが読んでくれることを祈ってます。あと、アドバイス等もよろしくお願いします。

55:霜月:2014/03/03(月) 16:36 ID:WfE

>>花恋様
ありがとうございます!!
面白いだなんて、すっごく嬉しいお言葉ですっ!
バンバン更新出来る様に頑張ります!

56:霜月:2014/03/03(月) 17:23 ID:WfE

「なんで?」

「さぁ、知ーらない!見てきたら?」

歌歩の言葉通りに水音のお弁当を見に行こうと席を立った、否、立とうとした。

「いっ・・・!」

勢いをつけて立ったため、捻挫部分にズキンッという痛みが走った。
なんだとぉ!?このタイミングでかよっ!
とかなんとか思ってるのもつかの間、机に脚が絡まって転びそうになる。
ああ、もうこのドジさはなんとかならないものかね。
ビタァン!という鈍い音がして、教室中の視線が集まる。正直見ないでほしかった。

「ちょっ、実夜!?なんがあってどうなったらこうなったの!?」

「バカ、捻挫だよ!大丈夫?実夜梨ちゃん」

「今日2回目じゃね?」

「それ、禁句な。」

「怪我ない?・・・ってもうあるか」

「とりあえず立ったらどうかな?」

私は皆に囲まれ、みるみるうちに頬が赤く染まってゆく。穴があったら入りたい。もう死んでも構わないよ、うん。
ふと水音と目があった。水音はバカにしたように鼻で笑った。苛立ちがして、水音をキッと睨んだ。
すると、今までずっと黙っていた結花の唇が動いた。

「水音。あなたなに人を馬鹿にしてるわけ?転ぶなんて誰にもあることでしょ?」

「え?なんのことかな?」

「しらばっくれてんじゃないわよ。私、この目でちゃんとみたんだからね。」

「私も見たよ!鼻で笑ったよね?」

歌歩も参戦する。すると中心的人物のふたりだからなのか、皆信じ始めた。

「なに?水音、実夜梨のことバカにしたの?」

「うっわ〜・・・、ないわお前」

「じゃあ水音は転んだことないのかよって話だよね。」

「俺、前水音が転んでるとこ見たことあるぜ?」

「なにそれ、バカにできないじゃん」

皆して口々に水音を見て、悪口を言っていく。そして、誰か一人がこう告げた。

「ねぇ・・・。少し早いけどやっちゃおうか?」

57:霜月:2014/03/03(月) 17:45 ID:WfE

やるって、なにを?なんておかしな質問はしない。しなくてもわかる。

「いいかもね、それ」

「うん、やっちゃおうやっちゃおう。」

「いいのかしら?私を苛めてた時に先生来たら?」

水音が反論する。あらあら、在り来たりな質問ですことで。
でもね、水音。それはおかしいんだよ。

「バーカ、今日午後から先生いねーよ。補習だろーが。」

男子生徒がそう告げると水音は顔を歪めた。唇をかみ、悔しそうな表情をしている。
まぁ、最初っから逃げ道なんてないでしょうに。

「いつまで床に寝そべってるの?」

結花に言われて気が付いた。私、まだ立ち上がってなかった。
「アハハッ」と笑って誤魔化したが、時すでに遅し。歌歩、笑ってるよ。隠しきれてないよ。

結花の力を借りて立ち上がると、水音の甲高い叫び声が聞こえた。

「うるっさいなぁ・・・」

歌歩が顔をしかめた。さっきまでの笑顔が嘘みたいだ。

「ほかのクラスにばれない?」

私が心配したのはそこ。
いくらなんでもお昼だから他のクラスに聞こえてもおかしくはないのだろうか、と。
だがものの見事に心配は打ち砕かれた。

「大丈夫だよ〜。秘密なんだけど、この学年のガラス特別に防音性になっててね〜」

「あっ、そうなの〜・・・」

笑っておいたが、心の中ではものすごく感心してる。あ、もちろんお父様にだよ?
いじめのためならそこまでするかってね。ある意味ですごいよ。

「水音は私たちから逃げられないから」

歌歩がそう呟いた。呟いたような気がした。
でも水音の悲鳴にかき消され、正確には分からなかった。

58:霜月:2014/03/03(月) 18:10 ID:WfE

「ねぇ、今何か言った?」

「ううん、なんでもないよ?」

なに、それ。
私は何とも言えない気持ちになった。表現しがたいかな。
なんていうか、こう、ムカついたような、さみしいような、そんなような感情に襲われた。

「ねぇ、私に言えないことなの?だめなの?ねぇ」

多分私はしつこいんだろう、と思った。いや、もう本当に。
でも私の口は止まらなかった。止まろうとしなかった。
歌歩が口を開く前に次の言葉を投げかけた。

「なんかそれヤだよ。私だけ知っちゃいけないことなの?」

「違うの、そうじゃないの。」

「じゃあなんで教えてくれないの?誤魔化すの?」

「それは・・・」

「はら、言えないでしょ?」

歌歩は顔を俯かせて黙り込んだ。結花は何も言わずに私を見つめている。

「たしかに私は途中から来たよ。なのに教えろだなんてあつかましいにもほどがあるって自分でも分かってる。
 だからって私はハブかれるの?そうなの?」

「だから違うって!」

歌歩が急に声を荒げた。
いつもは気弱で多分今だったらびくついてるだろう。でも、今はびくびくしてるなんてこと出来るはずなかった。

「声を荒げるってことは図星だったってわけ?」

今、クラスの目線は水音に行ってる。騒がしくもある。
ゆえに私たちの会話は聞こえていないだろう。そう願いたい。
私は聞こえてるか聞こえていないかも分からない声で二人に微笑みかけた。

「もういいよ、ありがとう」

そういって静かにクラスを出た。
背後で歌歩が涙を流し始めてとも気づかずに。

59:霜月:2014/03/04(火) 16:57 ID:4G.

「ハァ・・・」

私は屋上で盛大な溜息をついていた。
なんであんなこと言っちゃったんだろうか。それと、あとあの表現しがたい感情はいったい何者なのだろうか。
ああもうやだやだ。なんでこんなに今更後悔してんだろ。馬鹿みたいじゃない?

私は足を保健室へと向けた。
午後の自習を受ける気にもなれず、ただただ体が重たかった。眠りたかった。この世界の情報をシャットダウンしたかった。

先生には「精神疲労と足の痛みなので放課後までベッドを貸して下さい。」と言っておいた。
ありがたいことに、先生は何も聞かず、気前よく貸してくれた。

「じゃあ先生は職員室に戻ってるわね」

先生は私の返事を聞かず、出て行った。
私、何かしたっけ?と思ったが気にしないことにした。

60:なな ◆570g:2014/03/05(水) 22:09 ID:Pgg

霜月さんの小説、グッとくる!!(・ω・b
面白いね** 応援してます!
よかったら、「友達物語※実話です」と、「ななの小説」ってスレも見てくれない(><
駄作だけどww

61:霜月:2014/03/06(木) 16:24 ID:1CU

>>なな様
ありがとうございます!
とっても嬉しいお言葉感謝です!
わかりました、見てみますね♪とっても楽しみです!

62:霜月:2014/03/06(木) 16:57 ID:1CU

ベージュのカーテンで周りがつつまれている。寝るには最適の場所だ。
まったく眠れなかった。むしろ目がパッチリ覚めてて何のためにベッドに入っているのかわからないくらい。
保健室のドアが開く音がした。

「・・・実夜梨」

わたしの名前を呼ぶ声がする。もちろん声の主はわかっている。間違えるはずもない。
出来れば返事はしたくなかった。歌歩に言う事なんてない。

「ねぇ、寝てないんでしょ。なら話を聞いてよ。」

「話なら明日でいいから」

「嫌だよ。それじゃ実夜梨と喧嘩別れになるでしょ。私はそれが嫌で来たんじゃん」

なにそれ。さっきあんなに嘘ついておいてよく言うよね。
と、口に出したかった。でも、歌歩の気持ちを無駄にしたくなかったし、裏切りたくないと思っている自分がどこかにいた。

「実夜梨にはちょっとだけ嘘ついてた。」

歌歩は切なそうな声で言った。・・・泣いた?

「いつかは言うつもりだったよ。でも今言っちゃうね」

歌歩は一呼吸置いた。
そんなに覚悟のいる事なのだろうか。私にはよくわからなかった。

「水音の授業料、教材料、その他の集金は実夜梨の父親が払っていたの。」

・・・え?払っていたってことは父が立て替えていたってこと?私たちの家系のお金の中から?

「実は水音は実夜梨の双子の妹なんだよ。だから実夜梨まで来たときは本当にどうしょうかと思ったんだよ」

先程の衝撃の事実に重なり、今度はもっと衝撃的で重要な情報が歌歩から発せられた。
双子って、私一人っ子だよね?そんな事お父様からもお母様からも聞いたことなかった。

「でね、水音はある事情によって別の親に引き取られて、実夜梨は綺秋家の中で裕福に暮らしてきたの。」

言葉が出なかった。
表情も出なかった。
感情も消えていた。
私の頭の中真っ白なのか真っ黒なのか分からなかった。

「でも水音はこのことを知ってるよ。」

「・・・嘘だ」

私は無意識のうちに呟いた。ロボットのような無機質かつ消え入るような声だった。

「真実だよ。・・・今は気持ちの整理が済んでいないよね。この続きはまた明日・・。じゃあね」

歌歩が出ていく時には、私は糸が切れた操り人形のようにうなだれていたのだった。

63:レイラ:2014/03/07(金) 09:51 ID:Bpo

おもしろいです!
私もかいていますけど…
早く続きを読みたいです!!

64:霜月:2014/03/07(金) 16:48 ID:seA

>>レイラ様
嬉しいお言葉ありがとうございます!
どんどん更新出来る様に頑張ります!
レイラ様の小説を見かけたらまた読ませていただきますね♪楽しみです!

65:霜月:2014/03/07(金) 17:08 ID:seA

私はあれからどうやって帰ったのか全くと言っていいほど覚えていなかった。
気が付いたらベッドで涙を流していた。

「うっ・・・くぅっ・・・」

声を押し殺して泣いた。今大声で泣くようなことをしたら精神崩壊がありうる。
一気に頭に情報を詰め込み過ぎだよ。少しずつ少しずつ真実を知っていきたかったんだよ。
歌歩には悪いことしちゃったな・・・。
私の事を思って言わないようにしようと思ってくれていたのに、私がしつこかったから。強引だったから言わないといけないようになったんだよね。
明日謝らなくっちゃ。許してもらえるまで何度でも。

「ゴホッゴホッ」

泣きすぎてむせた。
本当にヤバいかも。今泣き続けないと今すぐにでも大暴れしちゃう。
でもそろそろお母様が帰ってくる時間だよね。いい加減泣き止まないと。



あれから何時間が過ぎたんだろう。私は眠りへと誘い込まれていた。
辺りはとても静かで、時計の針が着々と進んでゆく。清々しい鳥の鳴き声が聞こえる。

「・・・ハァ」

泣き終えたは私は眠りについたからか、精神崩壊の心配は無く冷静にため息をついた。
・・・私は誰を信じればいいの?
だってそうじゃん。お父様やお母様は私に何も言わず嘘までついていた。
歌歩や結花は出会ったばかりで何も知らない。
私の周りには誰も居ない。
自分自身も自分を見失い始めてる。

一体どこに私の味方が居るの?

66:霜月:2014/03/07(金) 17:26 ID:seA

[味方なんていないいない。何期待してんだ、バーカ]

[そんなことない!あなたがまだ自覚して無いだけよ]

[お前に味方がいるくらいなら世界は狂ってるな]

[信じて、私はあなたを信じてr・・・]

あーーーもーーーうるさいっ!!!
なんなの、この脳内の意味不明のバトルはっ!いい加減鬱陶しいわーーーー!!!

なんて考えてるほど私の気持ちに余裕はないことに今更ながら思い出す。意味不明なのは私じゃん・・・

「実夜梨ー!ごはんよ」

下からお母様の声がする。

「うっ、うん今いくー」

信じられないとわかって初めての会話がご飯かよ。なんかもっと重要な話が良かったー。
・・・なんてね。もう話したくないのが正直な気持ちだった。

でもしっかりお父様とお母様に話をつけなくっちゃ。

ホントにそれでいいの?知らなくてもいい真実はあるよ

知ってもいいじゃん

ショックを受けのは自分だよ

・・・真実なんてどれも残酷だよ そんなのわかりきったことじゃん


私は部屋を出た。

67:霜月:2014/03/07(金) 18:02 ID:seA

「今日は実夜梨の好きなカルボナーラよ」

お母様はニコッと微笑んで私が座れるよう私の席を引いた。
「ありがとう」と言うと、いつものように座った。そう、いつものように。

「実夜梨、学校はどうだ」

お父様が口を開いた。いつものように私は丁寧に言った。

「おかげ様でもう慣れてきております。」

カルボナーラに舌鼓を打っておきたかったが、今はそんなどころではない。
私の中には得体の知れない緊張感が襲ってきていた。

「・・・お父様」

「なんだ」

「どうして私にはなにも教えず水音には教えていたのですか」

お父様の方がピクリと反応した。ビンゴだ。
お父様はやはりこの話を避けているようだ。

「なんのことだ」

「私は水音の姉なんですよね。血が繋がってるのですよね」

「・・・どこの作り話だ。」

「いえ、誤魔化さらなくても結構です。私、お聞きしましたので」

「親を信じないのか」

・・・信じる、かぁ。
その言葉は嫌いだな。私がその言葉でどれだけ惑わされてきたのかお父様は知ってるくせに。
そう、ずぅっと昔から。

「申し訳ございません。私は今誰も信じておりません。」

「なに?」

「ご友人、自分、親。すべて信じておりません。」

そういった瞬間、頬に痛みが走った。お母様の叫び声。カシャンとフォークの落ちる音。様々な音が重なった。
私は椅子から落ち、頬を押さえた。
・・・殴られた。
目の前にはお父様がものすごい鬼のような顔で私を睨み据えていた。

「ハァ・・・、ハァ・・・」

お父様は肩を上下に揺らしていた。

「お父様っ・・・!」

私だって負けていない。涙にぬれた瞳でお父様を睨みつけた。

「なんだ、その眼はぁっ!!!!」

ほぼ叫び声だった。耳に劈くような声だ。・・・耳障りにもほどがある。

「もうっ、いいです。わたしもうこの家にはいられません。」

お母様が泣き始めた。お父様は拳を壁に叩きつけた。
さすがいい家だ。お父様の殴りでさえも壊れることもなく、ヒビすらも入らなかった。

「こんな偽りが多い家なんて私は大っ嫌いです!」

私は自室に戻り、ありったけの荷物をかばんに詰め込み、荒々しく家を出て行った。

行くあてなんて無いまま。

どこまで行くのかも決まっていなかった。

涙を流しても走るのをやめなかった。


・・・どこか、開放感があった。

68:霜月:2014/03/07(金) 18:22 ID:seA

走り続けて、かれこれ5分。マラソン並みだよ、この距離は。
体力も限界でそこらへんにあった公園で一休みすることにした。
これからどうしよう。何も考えずに出てきたし、本当にヤバくない?

「あっれー?もしかして実夜?」

はいそうです、実夜ですよ。
ちょいと黙っててくだされ。私は今考え中でしてね、はい。

「やっぱ実夜じゃーん!何してるの?」

うるさいってば。
歌歩じゃ無かったら許せなかったよ?ねぇ、かー・・・

「歌歩!?」

改めて顔を上げると、やっぱり歌歩がいた。
歌歩のみならず、結花、相川さん、内田さんまでもがいた。

「今更ー?でもこんな時間に何してるの?もう7時だよ?」

「家出してきたんだけど。」

「いっ、家出!?なんでまた家出なんてしたの?」

「深い事情があるんですー。歌歩たちこそなにしてるの?」

「私たちは相川の家でお泊まり会するの。」

「へ〜そうなんだ。ねえ、この辺にホテルって無いかな。」

「なんで?」

「家出したって言ったじゃん。行くあてが無いからホテルにとりあえず行こうかなーって」

てかなんで3人のほうに寄ってってんの。それほど悩むこと?
おい、歌歩よ。何悩んでるのだ。スマホで調べればいいでしょうが。
・・スマホ?
そうだ!スマホがあるじゃん!

「歌歩!」

「実夜!」

「「え?」」

同時だった。
私が口を開くより先に歌歩が口を開いた。

「よし、相川の家行くよ!」

69:霜月:2014/03/08(土) 08:56 ID:TNw

どうしてこんなことになったのだろうか。私たしか断ったよね?
なのになんで相川さんのお宅に上がらせてもらっているのだろう。

「なんで私までお泊り会に参加してるんですか・・・?」

「行くとこ無いんでしょ。おとなしく翔雅の家に泊めてもらいなさい。」

「そうそう!相川の家は広いし!」

「いや、わかってるよ広い事なんて!実際に家にあがらせてもらってるんだしね!?」

今相川さんと内田さんはお風呂に入っている。
歌歩と結花と私は相川さんのお部屋でガールズトーク(?)をしている。

「しっかしなんでまた家出なんかしてきたわけ?」

やっぱりそれ聞きますよねぇ、はい。なんとなくわかってましたよ。
まぁ、歌歩と結花なら言っても害はないけど・・・。

「お父様に真実を問い詰めたら怒られた。それで殴られて家出してきた。」

「なっ、殴られたの!?」

「うん、まぁ。」

「大丈夫!?病院行く!?」

「歌歩、うるさいわよ。大袈裟。」

結花ナイスツッコミ!
さてと、歌歩にあの話の続きを聞こうかな。今なら聞ける気がするし。

70:霜月:2014/03/08(土) 10:59 ID:TNw

「歌歩、あの話の続きを教えてくれない?」

私が放った一言で空気が一変した。和やかな空気から緊張感の張りつめた空気になった。
あ、なんかここじゃ言っちゃまずかったかな。

「・・・実夜が聞きたいなら言うよ。でもちゃんと聞ける?」

「もちろんだよ。聞けないんだったらわざわざ空気を変えてまで言わないよ。」

「そっか、じゃあ言うね。」

いよいよだ。これですべての真実が分かる。これで私もすっきりできる。
さぁ、試合開始。


「あなたの父親は浮気をしていたの。それで二人の愛人がいたの。a子とb子とするね。」

浮気かぁ。大人ならではの悩みだよね。

「もうa子の方が実夜梨と水音を産んだの。でもb子はa子の子じゃないと喚き散らしたの。」

「ちょっと待って!本当はa子の子なのにb子は違うって言ったってことで良いの?」

「そう。それで水音はb子に引き取られていった。これが一番の解決法だったみたいなの。そして実夜梨は実の親、a子のもとで暮らしてきた。」

頭の中グッチャグッチャ。整理したい。まぁ、理解できてるし良いか。

「それで実夜梨と水音は疎遠になってしまった。だから今まで言われなかったんじゃないかな。」

はぁ、とため息をついた。
どうあがいたって私は水音の姉なんだ。最低で最悪な妹なんだ。

「大丈夫?」

結花が私を見つめてくる。私は首を縦に振り、ニコッと微笑んだ。

「ありがとう。真実を知れて嬉しかったよ」

歌歩と結花はほっとしたように微笑み返してくれた。

71:霜月:2014/03/08(土) 11:17 ID:TNw

「あ〜、疲れた。」

歌歩の声でさっきの緊張感が無くなった瞬間、試合終了のベルが脳内に響き渡った。
と、同時に部屋の開く音が聞こえた。

「何の話してたんだ〜!?」

「相川うるさい!」

歌歩が瞬時に反した。すごい瞬発力だなぁと感心してしまっている自分がいた。

「風呂行くか?」

「行こっか、結、実夜」

「そうね。」

「私は良いよ。てゆーか家で入ってきたし。」

「家出の準備万端だったんだ〜!じゃ、行くよ!結」

「わかってるから騒がないの。」

はいしゃいでる歌歩と冷静に歌歩の対処をしている結花を相川さん、内田さんと見送った。
なんだ、さっきの緊張感は。別人?と疑いたくなった。

「にしてもなんで家出してきたんだ?」

あ、またその質問ですか。まぁ、二人には言ってないし。

「殴られたんで怒って出てきちゃいました」

私はにこっと微笑んで言った。
相川さんはポカンとしていた。内田さんは顔をしかめていた。
私、なんかおかしいこと言ったっけ?

「殴られたって・・・大丈夫なのか?」

「ありがとうございます、内田さん。私はこの通り元気でございます。」

しまった。いつもお父様に喋るみたいに言ってしまった。
まぁ・・・、いいか。別に困ることでもないしね。

「すごい喋り方だな〜」

「お気になさらず。私の癖でございまして」

「大変だなぁ。」

「いえ、別に癖なので大変だとかそういうのはございませんよ」

私は正直この喋り方、めんどくさかった。もうやめようかな。

「あーもうやっぱやめます。めんどくさい」

「本音でたな」

「もういいじゃないですか!私だって人間なんですよっ!?」

そうキレ気味に言うと、相川さんと内田さんに笑われた。なんで?
まぁ、笑ってくれてるなら何でもいいや。

72:霜月:2014/03/08(土) 11:43 ID:TNw

歌歩と結花がお風呂から上がってきて、夕食も終わり、(ってゆうか食べてきた)恒例の怪談話と行くらしい。

「実夜は怖い話苦手?」

「そりゃあもう驚くほど。いい?私は金縛りにあっただけで3日間夜眠れなかったんだから。」

「へぇ、綺秋って金縛りにあったことあんだ!どんな感じだった!?」

「気になります?相川さん。」

「気になる!ってか敬語止めね?」

「・・・了解」

私は短く答え、明かりを消した。


「私が小6の頃だったんだけど、生暖かい風で目が覚めたわけ。それで寝返り打とうと思って体を動かそうと思ったの。」

ただ今の時刻午前1時30分。部屋は暗く、声だけしかわからない状態だった。
まぁ、怪談話なんだしこれくらい普通かな。

「案の定動かなかったわけよ。どうしようどうしようって考えてるうちに足音が聞こえてきたの。ヒールみたいな」

「キャアアアアアアアア!!!」

「歌歩早いって!!」

結花が歌歩を叩いた。なんでどこにいるか分かるんだろう。猫目か。

「それで、どんどん足音が近づいてくるの。とうとう耳元まで来た瞬間、目だけが開いて、開けたら血まみれの女の人が私に馬乗りになったの!!」

「イィィィヤアァァァァァァ!!」

73:霜月:2014/03/09(日) 09:13 ID:leU

「歌歩うるさいって!」

私がそういうと、歌歩はなぜか反論してきた。

「だって実夜がそんな怖い話するからいけないんじゃん!」

「おかしいでしょ。怪談話しよう!って言ったのは歌歩、あんたでしよ。」

さすが結花!頼りになるねぇ。
相川さんは笑っていて、内田さん寝てる・・・かも。

「内田さん寝てる?」

「爆睡ー。」

「それに比べて相川さんは元気だね〜」

「なんでさん付け?タメで良いって言ったじゃん」

「いやいや、タメじゃん。ねぇ、歌歩、結花。」

私が二人に賛同を求めたら、歌歩は意地悪そうににやりと口角を上げた。
結花は知らないわよ、と視線だけで言っていた。
・・・なんなんだよ、この二人は。

「まぁ、さん付けなしでいいしな。」

相川、上手い事まとめたね。うん、最善策だったよ。

「じゃあ、歌歩もあんな感じだしもう寝ようか。」

「了解。」

「そうね。」

「なんかごめんね・・・」

謝られてもねぇ。なんかあたしたちが悪者みたいじゃん?違うけど。
電気はもう消えてるし、後は寝るだけだね。

「おやすみ〜」

「おやすみ」

「おやすみ!」

「・・・おやすみなさい」

私はそういった2分後に眠りの中へと旅立った行った。

74:霜月:2014/03/09(日) 09:27 ID:leU

「・・・来たっ!」


「お前なんか死んじまえ!!」


「やだっ、こっち来ないで!気持ち悪い!」


「なにその目!こっち見ないでよ!」


「ブリっ子なんか消えろ」


「対して可愛くもないくせに」


「自分の立場分かってないの?」


「気色悪いなぁ・・・」


「退学してよ、いい加減」


「必要ないよ、存在自体。」


「うっわ!なんか睨まれたし!」


「まだまだ実感して無いんだ」


「そんなに私たちに構ってほしいんだ」


「表出る?」


「嫌だ!私触りたくもない!」


「私も・・・」


「俺もちょっと無理」


「てかもうゴミ箱入ってろよ」




世界の回転。真っ暗になった、

75:霜月:2014/03/09(日) 09:40 ID:leU

「・・・夜・・・!!実夜・・・!!実夜梨!」

「キャア!!」

誰かに大声で呼ばれ、私は悲鳴を上げながら飛び起きた。電気がついている。何で?
頭の中がパニックに陥り、何がどうなってるんだか。

「実夜梨。大丈夫?」

「・・・結花?」

「そうよ。」

目の前には心配そうに私を見つめていた。
私が首をかしげると、結花は溜息を付き、私の頭をなでた。

「明日言ってあげるわ。今はお休み。」

「・・・そうだね、分かった。おやすみなさい」

「おやすみ、実夜梨。」

結花の声はとても優しく、安心出来た。
結花は丁寧に電気まで消してくれて、最後には微笑んでくれた。

「ありがとう。」

私の声は届いただろうか。

76:霜月:2014/03/09(日) 10:24 ID:leU

翌朝、目覚めたきっかけと言えば、まさかの口論だった。

「はぁ!?あんたが近寄ってきたんでしょ!この変態!」

「お前の寝相が悪いからだろーが!」

「・・・うるさい」

私がぽつりと呟くと、なぜか口論の嵐が去って行った。・・・だいぶ静かになったな。

「なんの口論してたわけ?」

私が寝起きの声で聞くと、歌歩が抱き着いてきた。
私はその衝撃&突然の事で悲鳴も上げずに布団に倒れ込んだ。

「聞いてよ実夜!!」

「きっ、聞くから揺さぶらないで!」

歌歩は意外と素直に言う事を聞いてくれた。
あぁ、よかったよかった。私は今マジで吐くかと思ったからね?

「で、なにがあって翔君と歌歩が口論してるの?」

「翔君?」

「翔雅君の事ー」

「ああ、なるほどね」

「うん。・・・じゃなくって、なんで口論なんかしてたのって聞いてるの!」

なんだ、この会話。コントか、マジで。
歌歩ってなんか抜けてるよなぁ・・・。天然ちゃんなんだろうなぁ、歌歩って。

「なんかね、相川が朝起きたら私の横に寝てたわけ!絶対相川が近寄ってきたんだよね!」

「いや、それはおかしいって!絶対歌歩が近ずいてきたんだろ!」

・・・くだらなっ。
まさかの高校生がこんなくだらないことで口論いたしますかー。

「どっちもどっちじゃな〜い・・・?」

「「なんで!?」」
うおっ、見事にハモったね〜。うん、すごいすごい。

「なに拍手してるの、実夜。」

「いや、別に。この口論の決着なんてつかないでしょ。だって寝相じゃん。どうにもならないでしょ。」

なぜ黙りこくるのだ。いいのか?こんな小娘に負けて。
でも・・・、いまはそれはそれで都合がいいや。この二人が天然で良かった。

「わかったら二人合わせてごめんなさい、ね。」

「嫌だぁ・・・」

「俺も」

「じゃあ私歌歩の事嫌いになるし、翔君とはもうしゃべらない。」

嘘だがな。

「「ごめんなさい」」

なんなの?この二人。そんなに私のこと好きなの?・・・あ、ラヴの方じゃなくてライクの方でね。
もちろんだよ?そんな自分が好きなわけじゃないんだし。
・・・にしても舞君と結花がまだ寝ててよかった・・・。
なんでって、そりゃそうだよ。歌歩も翔君も二人の毒舌の刑を喰らわなくってよかったね。

77:レイラ:2014/03/09(日) 22:53 ID:I7A

霜月さん上手い!
話しの続きが気になる~
(#^ω^#)ワクワク

78:霜月:2014/03/10(月) 17:43 ID:DRk

>>レイラ様
ありがとうございます!
頑張ってたくさん更新したいと思います!

79:霜月:2014/03/11(火) 17:09 ID:Lrg

「あっ、そうだ。実夜、夜、大丈夫だった?」

「え?」

なに、昨日なんかあったっけ。
もしかしたら私がなにかしたのかな、なんて心配になる。

「寝ながら、皆死んじゃえばいいのに、って言ってたんだけど」

「嘘でしょ!?」

私は歌歩の言葉を遮り、勢いよく言った。
私の声がうるさかったのか、結花と舞君が起きてきた。
とうの歌歩と翔君は驚いているようだった。

「あっ・・・、ごめん」

私はぼそっと謝罪の言葉を述べ、俯いた。
・・・なんで今更こんなことを思い出さなきゃいけないんだろう。私は変われたはずなのに。

「実夜梨。昨日泣いてたけど大丈夫だったの?」

結花がこう言ってきた。
結花が言ったことでピンッと来た。

「もしかして結花、あの時私を起こしたのって泣いてたから?」

「ええ、それもあるわ。あと絶対殺してやるって言ってたから。」

歌歩が私の肩をつかんで揺さぶってきた。

「なっ、何があったの!?どんな夢を見たの!?」

歌歩は本気で心配してくれているようだった。
でも、あの過去には触れてほしくない。私は忘れようってそう決めた記憶だから。

「なにもなかったよ。」

せっかくできた友達に嘘をつくのは罪悪感しかなかったけど、言いたくない過去ってものもあるんだよね。
だってそうじゃん。うん、そうだよね。私は正しいよ。

「なにもないわけないじゃん。」

「でも、何も夢なんて見てないよ」

「ならなんであの時過剰に反応したの?」

「それは・・・」

思わず口ごもった。
だって嘘ついてるんだし、言い訳なんて見つからないし。

「・・・信用されてないのは分かるよ。だって会って対して経ってないもん。」

「信用して無いなんて一言も」

「でも、私だって実夜の役に立ちたいよ。」

単純な一言だった。
ものっすごく単純で。・・・そして、奥深い一言だった。

「驚かないで聞いてくれる?」

「うん。」

「ほかのみんなも?」

「ええ。」

「おー」

「了解」

「信用してるからね」

私はそういって微笑むと、深く息を吸った。
そうして前をまっすぐ見据え、誰にも話したくない、触れられたくない過去を語り始めた。

80:霜月:2014/03/11(火) 17:36 ID:Lrg

___当時小学6年生___

何でなのかなぁ・・・。私ってそんなに汚いのかな?

「うざいうざいうざい」

私ってそんなに妬ましい子なのかな

「いやっ、こっち見た!」

「キャア!!」

私は急にかけられた冷たい水に驚いて悲鳴を上げた。
ぱっとミズノ飛んできた方向を見ると、男子がバケツを手にし、笑っていた。

「ざまぁみろっ!」

そういって私の髪を引っ張り、殴り、蹴っていった。
私はこんなの当たり前なんだって思っているから別に平気だった。
今までのも見てもらって分かるように、私はいじめにあっている。
理由はお金持ちだから、と言うだけだった。
初めは「なんでなんで?」って泣き喚いたものだったが、嫉妬だってわかると怒るのもなくのも馬鹿らしくなってきた。
周りから見ればあきらめている、としか見えないのだろうけど。

「なんでこいつ泣かねぇの?つまんねぇよ」

答えてあげる。馬鹿らしいからだよ。
心の中で細く微笑んで、私は教室を出た。
びちょびちょになった服を着てる気にはなれないからだ。
私はトイレの中で携帯を取り出すと、執事にかけた。

「もしもし、変えの服持って来てくれない?・・・うん、そうだけど?良いから早目にね」

私がいじめられているなんてことはお父様もお母さまも知っている。
でも私は別に気にしていないからいいって言って転校はしない。

「中学間での我慢だから・・・」

私はこう思うことによっていじめを乗り切れた。

81:しょこら:2014/03/11(火) 18:23 ID:.L6

きた!きたよ!最近来てなくてごめん!まとめ読みおもしろかった♪すごい読者さん増えたね!おめでとう☆怪談で悲鳴あげてる歌歩が面白かったwそれとツッコミw「歌歩うるさい!」ってねwやっぱ面白いなー!まさか水音と姉妹だったなんて!霜月すごいなー!

82:霜月:2014/03/11(火) 18:41 ID:Lrg

>>しょこら
いつもありがとう!
なんかごめんね、強制的に読ませたみたいで・・・。
歌歩は地味に私のお気に入りキャラw面白いって言ってもらえてうれしいよ!
読者様が増えていただいて本当に感謝しかないよw
これからもよろしく!

83:しょこら:2014/03/12(水) 16:55 ID:.L6

強制的じゃないよ!霜月の小説面白いし♪やっぱ歌歩いいね!こちらこそよろしく!

84:霜月:2014/03/12(水) 17:25 ID:rNI

>>しょこら
ありがとう!!

85:もみじ:2014/03/12(水) 17:34 ID:64Y

あ、コメします
今までコメしなかったけど、ずっと見てて、更新待ってました!!!
タブン、コメしないだけで、見ていた人、たくさんいると思います!

だから頑張ってください!

86:霜月:2014/03/12(水) 17:53 ID:rNI

そんなある日の放課後、私はいじめっ子に呼び出しを喰らった。
まぁ、いかないわけないし。だって行かなかったら明日めんどくさくなるし。


指定された体育館裏まで来ると、いつものメンバーのお揃いだった。
男子4人に女子2人。勢力的に言うと向こうの方が圧倒的に有利だった。
罰に逃げようとも言い返そうとも思わないし、別に良いんだけどね?

「よくも怖気づかずに来たわね」

そりゃあ、怖くないし。

「なにされるか分かってないんだろ?」

どうせいじめるんでしょ?知ってるっつー・・・え?
私は目を疑った。いじめっ子が持っているのはナイフだった。

「なんだよ、その驚いた顔は」

当たり前でしょうが!ナイフを出されて驚かない馬鹿がどこにいるんだっ!
私はキッっと相手を睨みつけた。
変に挑発しないのが正解だな。大人しくしてるか。
と、思っていた矢先に押し倒された。

「悲鳴も上げねーとか、こいつ頭いってんじゃね?」

んなことで悲鳴あげるかっつーの。押し倒されるなんざ日常的でしょ。

「あーもうマジで不愉快。もう刺しちゃえ」

「はぁ?」

多分本気で刺す気は無いんだろうなぁ。いまの抜けた声が証拠だし。

「私がやるから貸して。」

女子がナイフを持った。私の平和的な考えはすぐに消え去った。
だって、あの目はマジだし。命が危ないかも。
私は背を向けた。

「あっ!逃げんのかよ!」

私は走った。
今ならまだ間に合う。死なない。
そんな思いだけで走った。
でも、私は大切なことを忘れていた。・・・彼女は陸上部のエースなん・・・


ザクッ


プシャッ


ピシャッ


え・・・?

男子と女子の焦ったような声がした。
どうやら私は背中を切りつけられたらしい。
不思議と痛みは無かった。意識だけは遠ざかってっ行った。
私が薄れる意識の中で見たもの、それは。


狂ったような目をした彼女


焦った男女


飛び散った私の血だった。

87:霜月:2014/03/12(水) 17:56 ID:rNI

>>もみじ様
ありがとうございます!
見ていて下さったとは驚きです!!コメントを書いていただいて感謝いたします!
ホントに見ていて下さると私も嬉しいですね!読者様のコメントだけが私の心の支えですのでw
これからも頑張らせていただきます!

88:しょこら:2014/03/12(水) 18:10 ID:.L6

今回はいじめられっこ目線?なんかすごい急展開w面白いw

89:レイラ:2014/03/12(水) 20:08 ID:I7A

キャー!この展開待ってました的な?!
頑張ってください!!

90:バニカ:2014/03/13(木) 20:28 ID:xU6

霜!久しぶりに来たらめっちゃ進んでてびくったww
まだ全部読めてないけどまたゆっくり読むね(*^▽^*)

歌歩。。。
そういう展開もありなん!?

91:しょこら:2014/03/14(金) 15:28 ID:.L6

あと少しで10だね!!頑張れっ♪頑張れ♪応援してるよー!

92:霜月:2014/03/14(金) 16:17 ID:Q16

>>しょこら
ありがとう!展開が変わるようにがんばってみたよw
応援ありがとう!

>>レイラ様
ありがとうございます!
これからの展開を楽しみにしていただければ幸いです!

>>バニカ
そーゆー展開があってもいいかなって思ってw
ゆっくり読んでね!


〜余談〜
コメントをくださっている読者のみなさま、ありがとうございます
読者の皆様にお願いがあるのですが、>>100レスは作者がとらせていただきますので、とらないでください。
生意気で申し訳ございません・・・。
よろしくお願いします!

93:霜月:2014/03/14(金) 17:00 ID:Q16

「実夜梨!!」

目が覚めて一番最初に見た景色は、心配そうに私を見つめる母の姿だった。
・・・ここ、どこ?

「実夜梨ッ・・・!!」

母は目覚めた私を見るなり泣き崩れた。
私は泣き崩れる母を慰めることも出来ず、ただただパニックに陥ってるだけだった。
周りを見渡すと、病院だということが分かった。
その瞬間、背中にズキンッ!という痛みが走った。

「いっ・・・」

私は思わず声を漏らした。
なんなの、この痛みは・・・!

「傷はしばらく痛みますよ。深い切り傷でした。」

医者らしき人物がいつの間にか病室に入ってきて、病状を告げた。
深い切り傷・・・?なんのことだろう。・・・あぁ、ナイフかぁ

「なにがあったの?」

母はいつの間にか息を整え、なにがあったのか聞いてきた。
私はいい訳なんて思いつくほど脳が回っておらず、馬鹿正直に答えてしまった。

「いじめっ子に・・・。ナイフで切りつけられ・・・」

最後まで声が続かず、「た。」が出てこなかった。
母は驚愕で目を見開き、茫然としていた。
虚ろになった意識もそろそろはっきりしてきたころ、病室の扉が開いた。

そこに居た人物は、思いがけない人だった。

94:霜月:2014/03/14(金) 17:20 ID:Q16

私の前に現れたのは、私の背中を切りつけた張本人だった。
今更だけど、彼女の名は『阿字野 美琴』(あじの みこと)。
美琴はあの時のような狂っているような目はしておらず、反省してます、とかそんなような感じだった。

「なにか御用ですか?」

私は強めの口調で言い放った。美琴は少し怯んだ。
なんで怯むわけ?怯みたいのはこっち何だけどさ。

「あの、ごめんなさい」

美琴の口から出された言葉に無性に腹が立ってきた。

「・・・謝って許されると思ってんの?」

私は絞り出すような声で言った。
何でって、感情を表に出さないようにしてるから。
美琴は何も言わず俯いていた。

「この背中の傷、私もまだ見てないけど深いって聞いた。痛みだってある。」

ダメだ、口が勝手に・・・。

「跡が残るかもしれないんだよ?どう責任とってくれんの?」

私の声はシンとした病室によく響いた。

95:霜月:2014/03/14(金) 17:51 ID:Q16

___現在___

「そのあとどんな会話をしたかも覚えていないの。
 覚えているのは美琴が退学になったことと、いじめられなくなったこと、私が転校したこと、背中に傷が残ったことだけ。」

ふぅ、とため息をついた。正直話し終えて安心した。
私が暴走することもなく無事に終えられた。

「「「「「・・・」」」」」

なんで誰もしゃべらない訳!?私話終えたよ〜・・・?
とか呑気にツッコミを入れていると、翔君が口を開いた。

「大変だったんだな。」

「うん」

なんで翔君までもう一回黙るんだろ。もっと会話しよーよ。
私は笑顔でこう言った。

「ありがとう」

全員が俯いていた顔を上げて私の方を見た。
さすがに視線が集まると思っていなかったからギョッとしたけど、すぐに微笑んだ。

「話、聞いてくれてありがとう」

「・・・なんで?」

「私ね、他人にこの話したの初めてなんだ。でね、きっとこの話したら引かれるだろうなぁって思ってたんだよね。」

いじめられた上に背中に深い切り傷がある女だなんて気持ち悪いに決まってる。
下手したらキモイって面と向かって言われるかも。

「でも・・・、みんなは何も言わずに聞いてくれたよね。気持ち悪いだとかそんなこと言わずに。」

「言うわけないじゃん!!」

歌歩が急に立ち上がり、私を上から見下げた。
なんだなんだ。
地味なパニック状態になって挙動不審になりかけた。

「だいたいねぇ!なんで実夜が気持ち悪いの!?どこも気持ち悪くないし、むしろお疲れ様って言いたいよ!」

「お疲れ様?」

「だって、実夜、今までそのき・・・」

歌歩が急に泣き出した。
え?なに?なにこれ。私何か悪いことしたっけ?

「実夜は今までその傷と過去を背負ってきてっ、本当にっ辛かったよ・・・ね!!」

歌歩は私を抱きしめた。歌歩の涙が私の膝に落ちた。

泣いてくれてありがとう。

私はそういう代わりに、歌歩を強く抱きしめ返した。

96:霜月:2014/03/14(金) 18:13 ID:Q16

「じゃあこの話は胸の奥にしまっておいて、今日はお泊り会最終日だし楽しもうじゃないの」

結花が空気をリセットし、翔君も「そうだなっ」と言って立ち上がり、舞君も「了解」といって立ち上がった。
私は泣いている歌歩の背をさすっていた。

「歌歩、どうしよっか」

「泣かせておく方が良いと思う」

舞君の言う通りにしようと思い、歌歩の背中をさすり続けた。



気づけば昼になっていた。
何気ない雑談でここまで時間が経つとは思っていなかった。

97:しょこら:2014/03/14(金) 21:00 ID:.L6

やっぱ小説面白い〜!今 >>91 みて笑ったwあと少しで10だね〜ってw100でしたw
100まで本当にあと少し!ここまですごい小説かいたね!おつかれさま〜!そしてこれからも頑張れ!小説が続く限りいつまでも応援するよ!やっぱ100は霜月だよね♪

98:霜月:2014/03/15(土) 09:58 ID:Xh2

>>しょこら
ありがと〜!!
しょこらみたいに応援してくれる方が居てくれて本当に嬉しい!!

99:霜月:2014/03/15(土) 10:36 ID:Xh2

「じゃあ、昼食いに行く?」

家で食べればいいじゃん、と言おうと思ったけど、やめた。
私はお泊り会途中参加の身なんだから余計な口出しはやめておこうと思ったから。
歌歩は泣き止み、話に参戦していた。

「相川の家はだめなの〜?」

「いや、別にかまわないけど折角みんなそろってんだし外でよくね?」

「それもそうね。お昼ご飯食べに行ったついでにプリクラでも行きましょうか」

「メンドくさ・・・。」

「内田!あんた折角のいいフインキをぶっ壊しにしないでよ!」

歌歩は本当にさっきまで泣いていたのかと思うほど元気だった。
舞君は適当に歌歩を流してるし、結花は翔君とどこに行くか話し合ってるし。
私は傍観者なんだけどね。

「実夜梨はどこ行きたい?」

「ふぇ!?」

傍観者なんだからいきなり声掛けないでよ!ちくしょー。変な声出ただろうが。
なんて結花に行ったら毒舌のパレードが来るから言わないでおこう。

「どこでもいいよ」

と言っておいた。
結花は「そう」といってまた話し合いを始めた。一方の歌歩と舞君は相変わらずだし。
なんかいいよね、こういうのって。青春った感じがするよね〜・・・。
ホントにこんな人たちがいじめなんてしてるのか、何て疑っちゃうよ。
まぁ、あそこは偽りの笑顔の教室なんだし、仕方ないんだけど。だいたいの人は私の事、見下してるんだろうなぁ。

でも、歌歩と結花と翔君と舞君は信じていたい。疑いたくない。

そんなことは自分次第なのにね、って自分の中の自分が意地悪くいった。
わかってるよ、そんなこと。
信じるのも疑うのも私があの4人をどう見るかで決まってくるってことくらい知ってるよ。
だから、まず一歩進んだって考えるよ。

ここからが本当の『偽りの笑顔』との勝負なんだ。

100:霜月:2014/03/15(土) 11:07 ID:Xh2

祝☆100と言うことでパーフェクト教室〜偽りの笑顔〜を一時中断いたします!

☆〜★〜主な登場人物紹介〜★〜☆

*綺秋 実夜梨[きあき みより]
本作の主人公。人見知りで気弱。
【容姿】
幼児体型で髪型は黒髪のツインテール

*新島 水音 [にいじま すいね]
とても強気で傲慢。
【容姿】
少し背が低い。髪型は茶髪のフェーブのロング

*水谷 歌歩 [みずたに かほ]
ムードメーカで人気者。
【容姿】
容姿端麗。髪型はミディアムの明るい茶髪

*西沢 結花 [にしざわ ゆいか]
大人っぽい。冷静でクール
【容姿】
モデル体型。髪型は黒髪でポニーテール。

*相川 翔雅 [あいわか しょうが]
元気だけが取り柄のスポーツバカ。
【容姿】
長身で黒髪で少しはねている髪をした、美しい顔立ち

*内田 舞彦 [うちだ まいひこ]
クール&毒舌
【容姿】
平均身長で少し色素の薄い茶髪で、髪の短いかわいらしい顔立ち


☆〜★〜あらすじ〜★〜☆
お金持ちのみが入園を許可される『星華オーヴェスト中高学園』に転入してきた実夜梨。
実夜梨を待っていたのはあたたかい笑顔が溢れたクラスだった。
が、そのクラスにはいじめがあることを知った実夜梨は・・・


☆〜★〜これまでの読者様〜★〜☆
*しょこら 様
*海莉   様
*バニカ  様
*野薔薇  様
*愛凛羽  様
*花恋   様
*なな   様
*レイラ  様
*もみじ  様
        計9名様


☆〜★〜これまでの読者様へのコメント〜★〜☆
ご愛読ありがとうございます!
皆様のコメントにはいつも元気をもらっております!
中には大ファンとおっしゃってくれている方もおり、嬉しさ反面恥ずかしさを感じております///
100に行くまでに9名と言う方々が読んでくれて本当に嬉しく思っています!
これからもこんな小説&霜月を見守ってやってください!


☆〜★〜最後に〜★〜☆
本当に100まで行くと思いませんでしたw
これも皆様のおかげです!
こんな小説ですがまだ見ぬ皆様にご愛読いただけるよう努力を積み重ねたいと思っております!
これからもよろしくお願いします!

101:しょこら:2014/03/16(日) 11:06 ID:ez-LUs

100おめでとう!次200かな!?これからも頑張れッ!なんかずっと水音をみずねってよんでたw

102:しょこら:2014/03/16(日) 11:08 ID:ez-IkA

iD違うのは親のケータイだからでっす!

103:霜月:2014/03/16(日) 17:26 ID:I/A

>>しょこら
うん、200目指して頑張る!
残念、みずねじゃ無いんだよねぇ。でもPCで打つ時はみずねって打ってるよ!

104:もみじ:2014/03/16(日) 17:43 ID:64Y

>>101
私も、そう呼んでましたw


100おめでとうございます!これからも頑張ってください!

105:霜月:2014/03/16(日) 17:46 ID:I/A

楽しい時間はあっという間に過ぎた。
お昼は適当に済ませ、その後ゲーセンに行き、舞君が太鼓の〇人でフルコンボ取った。舞君はゲーマーだったようだ。
そして翔君宅に戻り、夜を迎えた。

「で、実夜はどこ行くの?家出中でしょ?」

今まで楽しすぎて忘れていたが、私は家出中だった。

「どこ行くって言われても決まってないよ」

私は焦っているようなそぶりを見せず、冷静を装った。
でも、本当にどうしようかな・・・。行き場が無いだなんてどうしようもない。

「じゃあ、もう一泊すれば?」

「なんでそう歌歩が言うのよ。ここは翔雅の家でしょ」

「いや、別にいいぜ。母さんに聞いてみる。」

そういうと、翔君は電話を始めた。
結花は本当にツッコミが上手だなぁ。今度ツッコミのコツ教えてもらおーっと。
なんて呑気に考えていたら、歌歩が頭を下げた。

「ごめん!私の家にこれれば良かったんだけど、妹とか兄がいるから・・・」

「いや、謝らなくていいじゃん。てか頭下げないでよ。歌歩何も悪くないんだし」

元々は家出した私が悪い。誰も謝らなくていいし、罪悪感なんて感じなくていい。
まぁ適当にホテルを転々としますか。

「私の家も無理みたい。」

「俺の家もちょっと・・・」

結花と舞君がそういった。謝られ無くて安心した。
私は「いいんだよー?」と笑顔で言った。
そうだ、マンション。マンション買っちゃえばいいんだ。

「で、相川はどうなの?」

歌歩が翔君を見た。どうやら電話は終わっていたようだ。

「いいってよ。」

「ホントに!?・・・じゃあ、少しの間お世話になってもいい?その間にマンション探すから。」

「・・・てゆーか俺男なんだけど。」

「ああ、別に平気。翔君を男として見てないから。」

「なぬっ!?それはそれで傷つくんだけど」

私が笑うと、部屋は笑いに包まれた。

「まぁ、そういうことだし、私帰るわね」

結花がそういうと、歌歩と舞君も「帰る」と言い出した。

106:霜月:2014/03/16(日) 18:22 ID:4HU

>>もみじ様
やっぱりみなさん「みずね」って呼んじゃいますかw
でもこれを機に「すいね」って呼んでいただければ幸いです^^
ありがとうございます、これからも頑張ります!

107:霜月:2014/03/17(月) 17:01 ID:Fu2

歌歩と結花と舞君を見送り、私は改めて翔君に頭を下げて謝った。

「本当にごめんね。私が家出なんて馬鹿なことしなかったら翔君にまで迷惑かけなかったのに・・・」

「は!?いいよ別に!!だから顔上げろよっ、なんか同級生に頭下げられたらなんて言えばいいのか・・・」

なんて心の広い人なんだ・・・!
私は言われた通り頭を上げ、「ありがとう」と微笑んだ。

「じゃあ、風呂行ってくるな。」

「あ、うん、分かった。私なにしてればいい?」

「なんでもいいよ。でも、部屋は荒らすなよ〜?」

「荒らさないよっ!私を何だと思ってるの?」

「ジョーダンだよ」

笑いながら翔君は出て行った。
なんかアレだなぁ・・・。ええっと、同居?っていうの?うん、なんかそんなやつ。
でも私母親様に挨拶して無いよね。しなきゃいけないんじゃ・・・。
そう思っていた矢先に、ドアが開いた。

「しょーちゃん、着替えなんだけど・・・」

「え?」

いきなり声がしたから目を丸くしてしまった。
しかも私だけでなく相手も丸くしていた。

「あの・・・」

「あー!もしかしてあなたが実夜梨ちゃん!?かーわーいー!!!」

「え?え?え?あのっ、えぇっと」

「あっ、ごめんなさいね。私翔雅の母です。にして実夜梨ちゃんなんて可愛いの?」

「あ、母親様でいらっしゃいますか。御存じにおられますが、綺秋実夜梨と申します。」

「礼儀正しいのねっ!オバサン嬉しいわぁ」

嬉しいって・・・。
とかなんとか思ったけど、いつも父親に見せている笑みを浮かべた。

「あの、私お世話になる身ですしなにかお手伝いとかできることは無いでしょうか?」

「え?いいの?」

「はい、本当にこうして家においていただけるだけでも罪悪感ハンパないので、お役に立てることはないかと。」

「じゃあ、一緒に夕飯つくりましょうか!」

「はい!」

私は元気よく返事し、翔君の部屋を出た。

108:霜月:2014/03/17(月) 17:24 ID:Fu2

グツグツと心地の良い音。フワッと食欲をそそるいい香り。
私はこんな感覚が久しぶりで、楽しくて仕方なかった。

「やけに楽しそうね、実夜梨ちゃん」

フフッと笑われてしまった。
でも私は羞恥心なんてものは無かった。満面の笑みで返した。

「はい!私料理とか作るのすっごく久々でとても楽しいんです!」

「そうだったの?いつもお母さんが作ってくれてたの?」

「あっ、いえ・・・。召使が作ってくれていました。母の手料理なんて食べたことないです。」

そう告げると、オバサンは心底驚きました、という表情で私を見た。

「召使なんて雇っていたの?」

「はい。屋敷に数十人ほど。・・・相川家は雇っていないんですか?」

「えぇ。だって、と。スープ出来たわね。並べましょうか、テーブルに。」

私は微笑んで頷くと、お皿に人数分のスープを注いだ。

109:霜月:2014/03/17(月) 17:57 ID:Fu2

そして私が人数分並べ終えると、オバサンはソファーに座る様言った。
私はお言葉に甘え座ると、オバサンも横に座った。

「私の家が召使を雇わないわけはね、家族がいるからよ」

え?家族がいるから召使が必要ないってどういうこと?
オバサンは私の考えを見透かしたように微笑んだ。

「家族がいればなんだってできるでしょ?召使なんかいたら家族だけで会話何てできないじゃない?」

「別にしなくたってよくないですか?」

「え?普通するでしょ。学校であった事とか悩み相談とか」

「しませんよ。」

「・・・。家族は実夜梨ちゃんにとってなに?」

「生み親にしかすぎません。優しさだとか愛情だとかそんな甘ったるい物は貰っていません。」

オバサンは私を見つめた。可哀想だとか同情とか、そんなの一切ない、暖かな目で。
私は魔法にかかってしまったかのように目線を逸らすことができなかった。

「じゃあ、今度話すわね。」

オバサンはにこっと笑って言った。
もっとなんかシリアスな感じになるかと思っていたのにいまの笑顔ですべてが吹き飛んだ気がした。
私は空を空振りしたときみたいな「え?」と言う感覚に陥った。
が、オバサンの笑顔はなぜか何も言えないような笑顔だった。
怖いだとかそんなんじゃなくて、安心し過ぎれる笑顔だった。

「・・・そうですか。楽しみに待ってます」

私も微笑み返した。

その時、翔君が入ってきた。

「実夜梨?と母さん、なにしてんの?」

「ちょっとした世間話だよー。多分翔君には難しすぎて分かんないかもね」

悪戯っぽく笑ってからかってやると、翔君はムッとした表情をした。

「なんだよー!俺にだってわかるっつーの」

「へえぇ?じゃあ今の経済状況、説明してよ?」

翔君を追い込み、私が優越感に浸っていると、横にいたオバサンがいつの間にか食卓に着いていた。

「実夜梨ちゃん、しょーくん。食べましょ。このスープは実夜梨ちゃんの手作りよ〜」

「おおっ、うまそー!いっただきまーす!」

翔君は子供みたいに目を輝かせて食卓に着いた。
なんでたかが食事だけであんなに興奮できるんだろう。私にはわかんないや。

「実夜梨?はやく座れよー」

翔君に声を掛けられ、曖昧な笑みを浮かべておく。
まぁ、悩んでても仕方ないよね。
私は食卓に着いた。

110:しょこら:2014/03/17(月) 19:46 ID:.L6

今回も面白かったw実夜梨、普通におばさんって心の中で言ってるよwみずねって変換してるんだwこのまま行けば200行けそうだね!

111:霜月:2014/03/18(火) 17:02 ID:kfo

>>しょこら
ありがとう!
いやぁ、お母様って呼ぶのも変かなーって思ったからオバサンにしといたw
うん!もちろん目標は200!がんばろー!

112:霜月:2014/03/18(火) 17:43 ID:kfo

夕飯を食べ終わり、私が食器洗いをしているとオバサンがきた。
私は水を止め、今度は何をすればいいですか?と聞いた。
オバサンは少し考えていた様子だったが、すぐに笑顔を見せた。

「お風呂に行ってらっしゃい。」

私は素直にうなずくと、オバサンは微笑んだ。
と、私は重要な事に気が付いた。サーッと血の気が引いていくのが分かる。

「・・・私パジャマ忘れて来た」

「えぇ!?」

オバサンは驚愕して、声が裏返っていた。
私は私でどうしよう、と顔色が冷めていた。

「う〜ん・・・。しょーちゃーん!」

「なにー?」

なんで今翔君が関係あるのかな。そんなことよりパジャマだ。私、服のまま寝るなんてこと絶対いやだぁ・・・。
すると私が悩んでいる横で会話を始めた。

「実夜梨ちゃん、パジャマないみたいだからしょーちゃんの貸してあげて?」

「はぁ?俺男だってば。」

「いいじゃない。少々大きくても大丈夫だって!それにお母さんのパジャマだと大きすぎるからね」

「いや、だからって・・・」

「気にしちゃだめよ。」

「・・・。しゃーねぇなぁ」

私は翔君が階段を上る音で我に返った。
するとオバサンが私を見ながらニコニコしていた。なんか嫌な予感が・・・。いや、やめよう。気にしないでおこう。

「パジャマは心配しないで、お風呂に入ってらっしゃい。」

「え?ああ、はい」

まぁ、別に心配しなくてもいいのならいいや。お言葉に甘えちゃおっと。



私はお風呂場の場所を聞き、さっそく湯船に入った。

「ふぅ・・・」

私はこの2日を振り返ってみた。
なんか最近皆に迷惑かけてばっかりじゃない?てかもう疲れた。この入浴剤すっごいいい香りする。
さて、そろそろシャワー使おうかな。
鏡で改めて自分の背中の傷を見た。体自体をひねらないといけないをわけだからこの体勢結構きつい。

「・・・痛いなぁ」

深い切り傷。
傷自体は痛まない。でも、心は痛む。
この傷は忘れることのできない過去を物語っている。

私はお風呂を上がった。

113:霜月:2014/03/18(火) 18:19 ID:kfo

で、でかい・・・。
私はお借りしたパジャマを着てみてどう思った。
たしかに翔君は背高いし、カッコイイし、面白いけどってあれ?なんかほかの事語ってるような・・。
ま、まぁ気にせずに!うん、大きくったって問題なし!貸して貰っただけでありがたいし!

「大丈夫か?やっぱでかいよね」

「うん。・・・あぁあ!ごめん!悪気はないからね!?」

「ん?いや別にいいぜ?実夜梨ちっちゃいもんな。他の女子より遥かに。」

「しかたないもーんだ!私だって好きで背ぇ低いわけじゃないもん!」

「知ってるっつーの」

「翔君は無駄に大きいよね」

「ざんねーん。俺は平均身長より少し高いだけでーす」

「うっわ・・・。何こいつ。ムカつく」

「本音でたなっ!」

根っから本音ですぜ。
とかなんとか会話をしていたらオバサンが私達を見てほほえましそうに微笑んだ。

「仲良いのね〜。」

「御冗談を。」

私はお手上げ、というように両手を上に上げた。
すると、翔君が唇を尖らせた。

「なんだよー」

「冗談だし。私が翔君を嫌う訳ないじゃんか。」

すると翔君はは?と即座に返してきた。
なにかおかしいこと言ったっけ。
私が首をかしげると、翔君はすべてを悟ったかのように笑みを浮かべた。いや、正確には苦笑いだ。

「実夜梨、それはあんま異性に言うなよ。」

「は?なんで。」

「いや、いいんだ。」

気になるけど、まぁ詮索する気もないしいいんだけど。



今晩は翔君の部屋で寝ることになった。
昨日と同じ布団で寝ようとすると、翔君は折り畳みベッドを出してくれた。
ありがたくお借りした。
明日は学校かぁ・・・。
なんか不安に襲われたが、今は深い眠りにつく方が優先的だった。

114:霜月:2014/03/19(水) 18:16 ID:WWE

その日は夢は見なかった。まるで死んだかのように眠りについていた。
そして爽やかな朝を迎えた。


「いってきまーす」

「いってらっしゃい、実夜梨ちゃん。」

私は学校に行くべく準備を済ませて、そして玄関のドアノブに手を掛けて挨拶を済ませていた。

「しょーちゃんの事は気にせずにいってらっしゃい」

「では、遠慮なく」

私はそう言って家を出た。
翔君はまだ朝ご飯を食べていた。
もちろん私は待たない。待つこともなく学校へ向かった。



教室に入ると、いきなり水が飛んできた。
まぁ、鈍感(?)な私はよけることができず、モロ被り。
うわ・・・。つめた。
ぽたぽたと髪から垂れる水滴をぼーっと眺めていると、見覚えのある女子が慌てて近ずいてきた。

「うわ、実夜梨ごめん!」

彼女の名は『三井 美加』(みつい みか)。
このクラスの第二の中心的人物。ん?もちろん第一は歌歩と結花だよ、うん。

「なにしてたの?」

私が落ち着いてそう聞くと、美加はえっと声を漏らした。
あ、多分こいつ反省して無いな。

「水音にかけようとしてた水を水音が避けてその、実夜梨にかかっちゃったの」

さいですか。
まぁ別に気にしてなんかないけど。慣れっこだし。

「別に良いよ。着替えて来るね」

私は微笑みを見せると、早々と教室を出た。
と、何の偶然か歌歩と結花と翔君と舞君に会った。丁度教室に入ろうとしていたところだった。

「あ、おはよう」

「実夜!?なんで濡れてるの!?」

「ん?別に。てゆーか着替えたいからもう行くね」

私は無理やり会話を打ち切り、更衣室へと急いだ。

115:しょこら:2014/03/19(水) 18:26 ID:.L6

実夜梨、翔のこと好きなんじゃ?と思ってしまったwどーなんだろ…w

116:霜月:2014/03/19(水) 18:43 ID:WWE

-歌歩side-

お泊り会翌日、私はいつもより早く出た。
特に理由は無かったけど、なんか早起きしたから。

「歌歩」

ん?誰だ、こんな朝早くに。
と思って振り返ってみると、結花だった。

「おはよ、結!今日早いね」

「ええ、歌歩こそね。私は部活の残りをやってしまおうと思ったからよ。」

「そうなんだ〜。私はなんとなくだよ!」

「理由になってるの、それ」

そう言って微笑む結は女神様だった。
やっぱり私って男より・・・?いやいや、そんなことあるはずない!

「おーっす、おはよー」

気の抜けた挨拶は間違えることはないだろう。
私は振り返らずに答えた。

「おはよ、内田っ!」

「なんで舞彦はそんなに気が抜けてるのかしらね」

「知るかよ。こういう性格なんだ。」

「仕方ないって、結!保育園の時からこういうやつだったし!」

「フォローになってねぇ」

「だってマジじゃんか」

「なんでもいいから。」

結の言葉で一旦口論戦中止となった。
ちくしょー。今度覚えててよねっ!

「おはよっ!ハァハァ・・・」

元気よく声を掛けて来たのは息切れした相川だった。
よっぽど焦ってたんだろうね。ボタン掛け違えてるし。

「おはよっ、相川!」

「おはよう」

「おはー」

それぞれの挨拶が終わったところで、学園が見えた。
なんか何度見ても本当に自分がこんなお金持ち学校にかよっているのかと疑いたくなる。
星華オーヴェスト中高学園。
見た目はもちろん、内装もどこのお城だ、と聞きたくなる位豪華では華びやか。
生徒もプライドは高いが美しく、礼儀のなった子がほとんど。
そんな学園に通っているという実感がいまだにわかない。
とかなんとか考えて、門をくぐった。
と、一言かけておくか。

「相川。ボタンなおしな。

117:霜月:2014/03/19(水) 19:19 ID:WWE

>>しょこら
その辺はネタバレなので言えないけど、どうだと思う?w
あ、読んでくれてありがとう!


〜★〜余談〜☆〜
なんかいじめから関係ない話になっていってるような・・・。
なんとかいじめに戻して行きたいと思いますw

118:霜月:2014/03/20(木) 10:00 ID:h4U

-実夜梨side-

私は更衣室で素早く予備の制服に着替え、教室へ戻った。
歌歩は私の姿を見るなり飛び付いてきた。歌歩は私より背が高く、私はバランスを崩しかけた。

「実夜!!大丈夫だった?美加から聞いたよ。」

「ん?平気だけど。」

しらっとした顔で答えると、歌歩は安堵のため息を漏らした。
そんなに心配しなくてもいいのに。
そう思ったけど、心配してくれている歌歩に失礼だ。口になんか出せるはずもない。だから代わりの言葉を口にした。

「ありがとう」

119:霜月:2014/03/20(木) 10:36 ID:h4U

私は今日のことは忘れようと思った。たいしたこともないし、誰も悪くない。
だから私は油断してしまう。

次の日は水鉄砲の流れ弾ならぬ流れ水が飛んできてまたびしょびしょになった。
そのまた翌日はハサミが飛んできた。
危ういところで避けたが、直撃してたら顔に突き刺さっていた。
更に翌日、私の机がひっくり返っていた。美加によると水音が暴れたときに倒れたそうだ。
翌日、ノートが破かれていた。
翌日、靴がなかった。
翌日、体操服がなかった。
翌日、階段から落とされかけた。
翌日、無視されるようになった。
翌日、睨まれるようになった。
翌日、確実に私めがけて水が飛んできた。
翌日、悪口の書かれた手紙が何通も机の中にあった。
翌日、・・・・!!!



   いじめだと、確信した。

120:霜月:2014/03/20(木) 11:14 ID:h4U

いじめだと確信してから数日がたったある日。原因不明の熱を出した。体温計で測ってみると、38.6度あった。
けれどオバサンや翔君に迷惑をかけたくなかったので、何事もないかのように学校へ行った。
体は重く、足元はたまにフラつく。けれど、私は平然を装った。

「おはよう、実夜梨。」

登校中、結花が声をかけてくれた。
私は「おはよう〜」と笑みを浮かべながら答えた。
すると、結花が眉をひそめた。

「実夜梨。あんた顔赤くない?」

「え。気のせいでしょ?」

「気のせいじゃないわよ。本当に赤いわ。」

「そっかそっかぁ。暑いもん」

「まぁ、そうね。」

結花が納得してくれてよかった。熱があるのに学校に来ているだなんて口が裂けても言えない。
すると、後ろから口論が聞こえた。

「だーかーら!!それはあんただったでしょうが!!」

「いや。絶対お前だ。俺がそんな失態を晒すはずがない。」

「私だってそんなことしないし!!」

とかなんとか。
ああ、朝から元気だなぁなんて思っていると、結花が後ろを振り返って声をあげた。

「あんたたちすっごいうるさい。近所迷惑だってわからないわけ?」

さすが結花。
すると翔君が後ろをから追いかけてきた。

「ハァハァハァ・・・。ちょっ、実夜梨早いって!!」

「いやいや、翔君が遅いだけじゃん」

「7時30分に出るとか早すぎだって!!俺の家から学校まで15分程度で着くぞ!?」

「ちょっとでも早く行きたいじゃん?


「もう一回言うな。早すぎだって!!!」

普段通りのこの会話。
なにもかもが平和で。
何が平和じゃないか。
それすらわからない。
でも教室ではわかる。
皆笑顔を浮かべてる。
いいことのはずだが。
その笑顔が偽りなら。
皆笑顔を張り付けて。
心なんかずっと前に。
なくなっているのに。
笑っている人間達が。
笑顔を浮かべる理由。
そんなの存在しない。
だってここは完璧な。



   パーフェクト教室だから

121:しょこら:2014/03/20(木) 12:17 ID:.L6

まさか実夜梨がいじめられるとは…!!

122:霜月:2014/03/20(木) 13:05 ID:h4U

>>しょこら
読んでくれてありがとう^^
まぁちょっとした展開ですw
暖かい目で見守ってやってくだせぇw

123:しょこら:2014/03/20(木) 20:18 ID:.L6

実夜梨のいじめが始まったら水音のいじめはどうなるんだろうか…

124:霜月:2014/03/21(金) 12:25 ID:9cs

>>しょこら
楽しみにしててね!
今は時間が無いから書けないけど、また書くね!
だからこれからもよろしくね

125:霜月:2014/03/21(金) 17:51 ID:LMI

私は直接的な暴力や暴言なんてものの痛みは無く、ただただ精神的な痛みを受けていた。
今日は下駄箱に大量の悪口が書かれた自由長が入っていた。
私はそれを誰にも見られないようにかばんにしまうと、いつも通り教室に入った。

「おはよう、実夜梨!」

皆が笑顔で挨拶してきた。いつもなら水か何かぶっかけてくるくせにね。
まぁ今日は仕方ないんだろうね。だって歌歩と結花と翔君と舞君が居るから。
さすがパーフェクト教室だ。

「おはよう」

だから私もニコッと微笑んで挨拶を交わした。

「さてと、水音いじめはじめますか〜!」

美加がクラス全体に言った。
第一の中心的人物でもないくせにでしゃばりやがって。
なんてことも思ってしまった。あーあ、もうちょっと感情を豊かにしなきゃなぁ。

席に着き、用意をしているとき、目の前で広がっている水音いじめを見ていた。
水音いじめなのだが、やむことは無かった。
「え?普通ターゲットは一人でしょ?」とか思う人もいるかもしれない。
ここはそんな甘っちょろい訳が無い。
表向きでは水音いじめが盛んに行われている。
しかし裏では私をいじめるのが中心的になっている。

本当にパーフェクト教室はすごい。
裏と表の使い分けが上手い。上手過ぎる。
表では完全に「実夜梨は私たちの仲間」というオーラを出している。
歌歩たちに見つからないようにしている。
だから私も協力してやろうではないか。その完璧な笑顔の最後のパズルのピースを私が埋めてあげる。


「いじめられていない」という事実をパーフェクトに歌歩たちの目から欺いてあげる。

126:りったん:2014/03/22(土) 00:55 ID:pBA

すっごく面白いです!!
翔君は実夜梨が好きなのかな?
って思っちゃう場面かありました。
とにかく、凄く面白いです!!!!

127:花恋:2014/03/22(土) 09:55 ID:vJM

とても面白い!
実夜梨いじめられてる。
何でぇー 早く続きが見たいです
翔君と実夜梨お似合い

128:しょこら:2014/03/22(土) 21:13 ID:ez-3xk

歌歩たちは実夜梨がいじめられてるの知らないんだね!当たり前かww
読者増えた!なんかもう霜月人気者だね!すごい!これからもガンバれ\(*⌒0⌒)b

129:霜月:2014/03/23(日) 09:44 ID:o.2

>>りったん様
コメントありがとうございます!
予告ですが、翔君が実夜梨のことをどう思っているかはいずれわかりますよー^^
楽しみにしていてくれると嬉しいです♪

>>花恋様
毎度コメントありがとうございます!
実夜梨がいじめられる展開、最初はやめようかなーと思ったんですけど思い切ってやってみましたw
楽しんでいただければ幸いです!
実夜梨と翔君の展開もあたたかい目で見守ってやってください!

>>しょこら
うん、その『知らない』がこれからの展開の鍵になってくるから必要になってくるんだよね〜。
に、人気者なんかじゃないって!
確かに読者様が増えてくれるのはありがたいけどさっ!
でもこんな私の小説を見ていただいてる読者様は私にとって恩人なんだよね♪

130:霜月:2014/03/23(日) 14:07 ID:o.2

授業終わりの休憩時間になり、私はふぅ、と溜息をついた。
そういえば私って熱あるんだったっけ。なんかもうすっかり忘れてたわ。
私が机に突っ伏していると美加がきた。教室を見まわしてみると、歌歩たち4人は居なかった。

「どうしたの」

「ふふっ。」

と笑ったかと思うと、いきなり胸倉を掴まれた。
その汚い手で触れんなよ、って言いたかったけどメンドくさいしやめた。
私は大人しく掴まれることにした。

「てめぇ歌歩たちにこのこと言ってねぇだろうな」

低い声で言ったということは、私を怖がらせようとしているんだろうか。全く怖くないし。
私は薄く微笑みを浮かべた。

「言ってるわけないじゃん。もし言ってたならあんたたちに仲良くしてくれてないと思うけど?
 え、もしかしてそんなことも分からない馬鹿だったの?」

「なっ」

私が微笑みながらこういうと予想すらできなかっただろうな。

「なに言ってんだよ」

「意味ぐらい理解して下さいよ〜。説明メンドいんで」

私はおちゃらけてやった。ははっ、クラスのほとんどが目を丸くしてる。
私の態度に美加がより一層怒ったのは確かだ。

「てめぇふざけんなよ」

「ふざけてないじゃん。」

と、私の頬を叩こうとしたその瞬間、例の4人が入ってきた。
女子の手が濡れてるってことはトイレかな。男子は付き添い、的な?
美加が慌てて私の胸倉を放すと、とびきりの笑顔と甘い声で私に話しかけてきた。

「でさっ、すごくおもしろかったの」

なにがだよ。
とジト目で美加を見ていると歌歩が近づいてきた。

「なになに?なんのはなし?」

「え!?えー・・・っと。」

美加は急に話しかけられて明らかに戸惑っていた。
私は心の中でハァ、とため息をつくとニコッと笑顔を見せてこういった。

「映画の話だよ。でも歌歩の嫌いなミステリーだけど、聞く?」

「え。いい」

歌歩は苦笑を浮かべて結花たちのもとへ戻った。
美加は美加で自分を庇った事に驚いているのか、目を見開いて私を見ていた。
勘違いすんなよ。私はお前のためにやったんじゃない。自分の為だ。
私はそれを視線だけで伝え、授業開始のチャイムが鳴った。

131:花恋:2014/03/23(日) 15:40 ID:vJM

続き早く読みたーい。
美加ないわぁー
実夜梨頑張っれ!

132:しょこら:2014/03/23(日) 23:25 ID:.L6

美加の「映画の話だよ。でも歌歩の嫌いなミステリーだけど、聞く?」
のセリフを現実で言われたら避けられてるみたいで自分が歌歩だったら悲しいw
実夜梨の美加への返事のしかたがかっけぇw

133:霜月:2014/03/24(月) 08:30 ID:AlY

>>花恋様
いつもコメントありがとうございます!
これからも実夜梨を応援してやってください!

>>しょこら
いつもありがとぉぉぉ!!!
確かにそうかもねw
あ、あと「映画の話だよ。でも歌歩の嫌いなミステリーだけど、聞く?」 は実夜梨のセリフだよ〜^^
実夜梨は怖い物知らずなのかねw自分で書いてても分からなくなってきたw

134:愛凛羽:2014/03/24(月) 09:20 ID:.3E

お久しぶりです!
相変わらず面白いですね!

135:霜月:2014/03/24(月) 09:33 ID:AlY

昼休み、私は美加たちに呼び出しされた。このシチュエーション何度目だろうか。

「ねぇ、明日のいじめはなしにしてあげる代わりに誰かにデートを申し込んできなさいよ。」

「はぁ〜?」

私は思いっきり不満そうな声を出してしまった。
案の定、美加は私のツインテールを引っ張った。なんか慣れて来たのか痛くない。

「良いわね?今日中よ」

そう言って美加たちは去って行った。一体何がしたいんだか。


と、いうわけで誰かにデート申請をしなければならなくなったわけだが、誰にどうするか考えないとね。
翔君はダメ。これ以上迷惑かけられないしね。
あ、舞君にしてみようかな。


「舞君」

「なんだ?」

舞君は翔君と一緒に中庭でお昼ご飯を食べていた。
歌歩と結花が居なくて良かったよー。からかわれるのも面倒だし。

「私とデートしようよ。」

「は?」

あ、やっぱりそういう反応になるよねー。分かってました。でも自分の身を守るためだもんねー。仕方ないし。
言い訳を探し終えた私はニコッと微笑んだ。

「デートって言っても映画身に行くだけなんだけど。丁度チケット2枚あるし一緒にどう?」

「あ、映画なら行く。」

「じゃあ今週の日曜日ね。楽しみにしてるから」

そう言って私は教室に戻った。
ああもう、疲れた。熱があるのに今日一日頑張ったなぁ。ってまだ一日終わってないけどね。

136:霜月:2014/03/24(月) 09:37 ID:AlY

>>愛凛羽様
コメントありがとうございます!
お久しぶりですね♪再度読んでいただけて光栄です!
面白いと言ってもらえて本当に私は幸せです!

137:霜月:2014/03/24(月) 15:20 ID:Wbo

「実夜梨。」

教室に戻ると、美加が待ち伏せしていたようだった。わざわざご丁寧に仁王立ちして腕を組んでらっしゃる。
私はなんとなく素通りしたい気分になった。てか早く座りたい。
そういうわけにもいかず、私は立ち止った。

「なに?もうデートは申し込んできたけど?」

「早くない?」

「当たり前じゃん。」

トロトロしてられますかっての。
美加は少し悔しそうな顔をした。私が人見知りだと知っているからだろう。残念だけど私にも友達いるんだよね。

「ふ、ふん!」

そう言って美加は自分の席へと戻った。何がしたかったのかなー。別に興味ないけどさ。
ため息をつくと、美加は私を睨んだ。私は苦笑いするしかなかった。

私は席に着き、机の中のノートを取り出した。
ああ、やっぱり。
そこには今日書かれたであろう、新しい落書きがあった。なんとなくあるってわかってたけどね。
ノートを破り捨て、今日持ってきた新しいノートを机の中に入れた。

「実ー夜!」

「きゃぁ!」

いきなり後ろから抱き着かれ、変な声を上げてしまった。
もちろん誰が抱き着いてきたのかは分かってるけど、こうして急に抱き着かれるのは勘弁してほしい。

「歌歩、やめてよ」

もしさっきのノートを見られたのならば私はどうにもこうにも誤魔化せなかっただろう。

「ごめんごめん〜!あまりにも実夜が可愛くって!」

「勘弁してよ・・・。じゃなくって可愛いってなに!?」

「言葉の通りじゃんかぁ」

「言葉の通りって、意味位解ってるって。」

「じゃあ説明必要ないね。」

「最初っから説明して何て頼んだ覚えはないけど!?」

「うんうん。知ってる」

「だよね。」

こうして普通に笑顔を浮かべて喋っていられるのもこのパーフェクト教室のおかげなんだろうけど。
歌歩がこの笑顔も偽りだって気が付いていないのは、天然だからなのだろうか。
少なくとも私は気が付いているから。
ほら、今歌歩だって笑っていないでしょ?頬ひきつってるよ。
私が歪んだ笑みを浮かべてしまっていたことは、自分でも気が付かなかった。

138:花恋:2014/03/24(月) 15:37 ID:vJM

水音のいじめはどうなるんだぁー
はやく続きが読みたい。
舞彦デートOKしてくれて良かったぁー

139:霜月:2014/03/24(月) 15:56 ID:Wbo

>>花恋様
ありがとうございます!
なんか水音の存在薄くなってきちゃいましたねw頑張って濃くさせたいと思いますw
舞彦がデートを拒否すれば実夜梨はきっともっといじめがひどくなっていたかもしれませんね〜。

もう一つの私の小説、読んでいただいて感謝します!

140:りったん:2014/03/24(月) 16:35 ID:pBA

凄く面白いです!!!!
続きが気になる!!

141:しょこら:2014/03/25(火) 13:06 ID:.L6

本当だwよくみたら実夜梨のセリフだw
えっ霜月他にも小説かいてるん!?全然気づかんかった… あんま小説板いかないからなー…
見に行くね!!
舞彦にデート誘うとき横に翔くんいたら超嫉妬しそうw

142:霜月:2014/03/25(火) 16:10 ID:wpY

>>りったん様
ありがとうございます!
また面白いと言っていただけて心から感謝いたします!

>>しょこら
ありがとうー!!今花恋様が読者さまになってくれてて本当に嬉しかったなぁ♪
ネタバレします。次、翔君視点で書きます。そこでしょこらが考えたことが出て来るよw
あ、小説のURL↓

http://ha10.net/test/read.cgi/novel/1395284687/l50

143:しょこら:2014/03/25(火) 18:55 ID:.L6

ネタバレーキター!!!ww
じゃあ次翔くんが嫉妬するのか!すごい楽しみ♪♪
あっちの小説見に行ったよ!!

144:霜月:2014/03/26(水) 10:11 ID:h4U

>>しょこら
あっちにもコメントくれてありがとう!!
楽しみにしててくれると嬉しい♪

145:しょこら:2014/03/26(水) 11:03 ID:.L6

じゃあめっちゃ楽しみにしてんねww

146:霜月:2014/03/26(水) 17:32 ID:Dfw

-翔雅side-

俺が舞彦と中庭でご飯を食べているときだった。
歌歩と結花は部活のメンバーと食べるらしく、居なかった。実夜梨は知らない。

「なぁ、最近実夜梨さ、俺等と居る時間少なくね?」

「知らねぇよ。飽きたんじゃね?」

「それはねぇだろー」

「翔、お前一緒に住んでんだろ?俺より実夜梨のことは知ってるだろ。」

「誤解を招くような言い方すんなっ!」

舞彦を思いっきり叩くと、舞彦は不満そうに俺を見た。
いや、お前が悪いね。
と、視線でメッセージを送ってやると、舞彦も視線で言い返してきた。

なんで俺が悪いんだ。

誤解される言い方したからだろうが。

誰に誤解されるんだよ。俺ら以外ここにいねぇだろうが。

と、言われて俺がどう言い返そうか、迷っていた時だった。

「舞君」

と女子の声。振り返ると実夜梨が居た。
なんかタイミングよくね?と思って舞彦を見たら頷かれた。伝わったんだな。

「なんだ?」

実夜梨はそう問われると、少しホッとしたような笑みを浮かべてこういった。

「私とデートしようよ。」

「はぁ?」

舞彦は何とも言えない微妙な表情になっていた。
で、俺はと言うと驚きで口を開けっぱなしになっていた。

「デートって言っても映画身に行くだけなんだけど。丁度チケット2枚あるし一緒にどう?」

映画?映画は確か舞彦が好きだったな。

「あ、映画なら行く。」

「じゃあ今週の日曜日ね。楽しみにしてるから」

147:バニカ:2014/03/26(水) 19:58 ID:xU6

めっちゃおそくなったけど。。。
100おめでとー!(*^▽^*)
全然読めてなかったから一気読みしますww
次は200目指して頑張っていってほしいです!私も一読者としてこらからも応援していくんで
よろしく(*´ω`) ps:交流でスレ作ったからまた来てね。関係ない話すまそん。m(__)m

148:モエ:2014/03/26(水) 20:22 ID:gw2

がんばれ!
おもしろいね^^

149:霜月:2014/03/27(木) 09:36 ID:h4U

>>バニカ
ありがとう!!!
マジで100行くと思わなかったから嬉しいわー♪
200目指して頑張るな(`・ω・´)ゝ
一気読みがんばれwつまらんかもしれんけどなw

了解♪交流版行くなー

>>モエ
来てくれたの!?ありがとう〜!!!!
面白いって言ってくれてすっごく嬉しい!!
これからもよろしく♪

150:霜月:2014/03/27(木) 12:06 ID:h4U

え?なんだ、なにが起こってるんだ?てかなんで実夜梨の奴急に舞彦をデートなんかに誘ってんだ?
なんか頭の中がグルグルグルグル回って気分悪い。いや、なんかもっと違うなんていうか、沸き上がるような、もっと、こう・・・。
とかなんとか俺が心の中で葛藤していると、実夜梨は足早にこの場を去った。

「翔、手ぇ止まってる」

「お?ん、あぁ。」

気付いたら手が止まっていたようだった。
舞彦はデートに誘われても平然としていた。慌てるわけでも、照れるわけでもなかった。
そんな舞彦を見ているとだんだんと腹が立ってきた。なんでかわからないが、妙に苛立ちがする。

「急になんだったんだろうな、実夜梨。」

舞彦がポソリと言った。

「・・・俺に聞かれても知らねぇよ。」

「なにキレてんだよ。」

「キレてねぇよ」

「キレてるだろ。」

「あー!!!もう腹立つな!!」

俺は思わず立ち上がった。
勢いがついていたから俺らが座っていたベンチがガタガタと揺れた。

「とにかく座れ。ついでに落ち着け。」

「落ち着いてられるか!!ってえ?」

えーと?なんで俺キレてんだっけ?
そんなことを思っていると、舞彦がハァ、とため息をついた。

「やっぱお前はお前だな。」

「バカにしてるだろ!?」

「あぁ、してる」

「てめぇムカつくなー」

「知ってる」

くっそー。本当にムカつくぜ。スカした態度がより一層腹立たしいぜ・・・。
でも本当になんでキレてたんだったかな。なんか沸き上がるようなこの気持ちって・・・。

151:しょこら:2014/03/27(木) 18:56 ID:.L6

翔くん!!それは恋なのだよ((

152:霜月:2014/03/28(金) 11:54 ID:lS.

>>しょこら
ハハ八w翔君がいつ気づくのか楽しみにしてくれればうれしいw

153:霜月:2014/03/28(金) 12:23 ID:lS.

-実夜梨side-

水音のいじめは最近増していた。

水音いじめは以前まで主に「精神的」の方が多かった。まぁ、私も精神面を攻められているが。
水を掛けたり、ノートを破ったり、無視されていたり。私も同じような被害を受けている。

しかし、最近水音いじめは違っていた。
「肉体的」のほうが中心的になって来てた。
髪を引っ張ったり、殴ったり、蹴ったり、踏みつけたり。
仕掛けているのは大抵美加だった。
歌歩たち4人は精神面を攻めるほうが良いらしく、最近はいじめに参加していなかった。
だからこそ、美加がリーダーシップをとり、肉体面を攻めることができている。

私は傍観者として見ている。
歌歩たちとは一緒に行動しようとは思えなかった。
理由は、いじめられているということがバレるリスクを避けるため。もう一つは、迷惑を掛けたくないから。
ほとんど自己中心的な理由だけど、とにかく歌歩たちと共に行動はしたくない。


「精神面じゃなきゃバレるかもしれないのにね。」

「そうよね。実夜梨はどう思う?」

「・・・え?何の話だっけ。」

「もう、ちゃんと聞いててよねっ」

歌歩はそういって私を叩いた。私は作り笑いを浮かべておいた。最近作り笑いが上手になってきたような気がする。
私たちは今下校中だ。授業は無事に終わり、歌歩たちと帰っていた。

「水音いじめなんだけどさー、精神面じゃなきゃバレちゃわない?って喋ってたの!」

「あ、そう・・・」

「実夜梨、あんた顔赤いわよ」

「えー?そんなことないって・・・。」

あぁ、足元がふらつく。耳鳴りもするし、本当にもう何なの?
歌歩たちの声も雑音に聞こえてしまう。

「実夜梨っ!」

と言う声を最後に、私の視界は真っ暗になった。

154:霜月:2014/03/28(金) 13:57 ID:lS.

-美加side-

「あぁもうっ!!!!」

私は目の前で泣きながらうずくまっている少女の腹を蹴飛ばしながら叫んだ。
少女はうめき声をあげながら更に小さくうずくまった。

「美加〜。どうしたぁ?」

そう気だるそうに言ったのは、『街本菜月』(マチモト ナヅキ)。
菜月はキッパリいうとギャル。メイクは濃いし、髪も金に染まっている。
皆からは距離を置かれることが多いが、私はそんなことはない。
菜月は小さいころからの幼馴染で親友だから。

「どうしたってなにが?」

「なぁんかイライラしてなぁ〜い?」

その喋り方は正直やめてほしいけど、言ったら殴られそうで怖い。だからやめておく。
確かに私は菜月の指摘通りイライラしていた。

「菜月はムカついてないの!?あの綺秋実夜梨っ!!」

「べぇつにぃ〜。あんな子どぉ〜でもいいしぃ?」

いや、もう本当に喋り方嫌い。聞き取りにくいし。

「だって何してもスカした態度してるし本当にムカつく!」

「強いんだねぇ〜」

「そこがムカつくんだよっ!!効いてませんって感じがして嫌なんだよなっ!!!」

「あぁいう子ほど効いてんのじゃなぁぁい?」

ああもう、そんな事菜月に言われなくてもわかってるよ!!
・・・でも、私は裏で効かれてても意味が無いんだ。
私は正面で実夜梨が泣いてほしい。苦痛に顔を歪めてほしい。苦しみ、のた打ち回ればいい。

私はいつの間にか歯を食いしばって、水音を踏みつけていた。
水音は涙を流していた。
そう、私が見たいのはこの表情だよ。実夜梨がこの表情をしてほしいの。

 だから私は腹いせに水音を殴り続けた。


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