籠の中の渡り鳥

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1:つむぎ:2014/03/28(金) 13:56 ID:Wks

[壁]*゚ー゚)ノ 初めまして、つむぎです

《籠の中の渡り鳥》を書きたいと思います
まあ、スレを立てて書きませんという人はいないでしょうがね…

とある少女とお師匠様の旅物語です
(もちろんフィクションです!)

一応、登場人物は下記の私のブログで
イメージをしやすいようにアップしますが、見なければいけないわけでもなく、
あくまで参考です(危険なサイトでないことは保障します。アメブロです)
http://ameblo.jp/tsumugi-okkg/

4月から受験生なので更新は…………
な感じですが、応援とかよろしくお願いします

2:つむぎ:2014/03/30(日) 20:02 ID:Wks

序章・1話




渡り鳥――。

それを聞いて連想させるのは、食料、環境、繁殖などに応じ、定期的に移動する鳥だ。
けれど、この言葉にはもう一つの意味がある。


――放浪し、定住地を持たぬ人々。――


俗では放浪者や流れ者、渡り者というのだろう。
中には《ホームレス》と呼ぶ者も、いるかもしれないが。

けれどそれは違う。
彼らは翼を持っている。

籠の外に放たれたとき、大きく翔(かけ)るための翼を。




彼らは生まれながらの、気高き渡り鳥。















いつもの街並み。
足早な人の影。追い抜き追い抜かれ、不規則に歩いていく。

その中に異様な影が二つあった。
誰もが一目見ると振り返る。二目見れば戸惑い、三目見れば顔を伏せた。

汚い、変わってる、《ホームレス》、恐い。
そんな声が、どこからかか細く聞こえてくる。

果たして本人は気付いているのか、気付いていないのか。



ぼんやりと少女はそれを遠目から高みの見物をしていた。
特に用事もなく、ただ家に帰りたくなかったので丁度通りがかった見世物をみていた。

もともと想像力が豊かな所為か、もしかしたら彼らは異次元から来たのではないか。
どこかの剣士で戦の最中に…なんて空想を膨らませる。




――そのとき彼女は、その考えが実は良い線をいったもので、
彼らにもっと空想めいたことを聞かされるとは思っても見なかった。

ましてや、彼らと強いつながりを持つなど思ってもみないことだった。





「おい、お前。ちょいといいか?」

少女が適当に携帯に指を打ち付け、画面に囚われていると頭上から声がした。
ナンパならもう少し上手く出来ないものであろうかと視線を上げると、

「・・・・・・っ!?」

声にならぬ悲鳴を上げた。
その訳というのも、先程の見世物の主役が目の前にいたからだ。

何色と呼ぶのが相応しいのだろうか。
色素の薄い髪。金髪と呼ぶにはあまりにくすんでいて、黄土色と呼ぶにはあまりに光沢があった。
それに加え、こめかみから頬にかけた目の下辺りには緑で鳥のような刺青まである。
極めつけは瞳(め)だ。

何もかもを飲み込んでしまいそうな漆黒。
けれど、どこか何もかもを見透かしてしまうような清澄さがあった。

「聞いとるんだかなぁ。」
「・・・何?」

変わった方言だと思いながら少女は返した。
もしかしたら大荷物も抱えているし、どこか田舎のほうから上京してきているのかもしれない。

「実はこの辺りで宿を探していてな。どこか知らんか」

「・・・宿?」

夕方、予約もなしに。
とは思ったものの、帰り道に売れてないホテルがあったのを思い出す。

「遠くても良いんだったら」

すると彼らは構わないと答え、少女はその者らを連れ歩き出す。






――――そんな些細なことが、彼らの出逢いだった。

3:燐祢 ◆y6:2014/03/30(日) 21:59 ID:APM

なんか私が前書いてた小説と名前似てて来ちゃいました(笑)

あ、だから消せとか、そんなクレームつけに来た訳じゃないですからね!?


内容もすごい面白くて、まだ1話しか無いのが残念です。
更新頑張ってください!

4:つむぎ:2014/04/01(火) 23:07 ID:Wks

▼燐祢さん(>>3
はじめまして、燐祢さん。
私も初め見たとき、「あれ、渡り鳥じゃないっ!?」と燐祢さんのスレに行って驚いてました(^_^;)

面白いと言っていただけて嬉しいです
ブログで一度アップしてみてから貼り付けたので、
文字数が多い、改行がちょっと…、みたいなところがあったので不安でしたが自信が出ました

更新頑張ります(`・ω・´)ゝ
燐祢さんも頑張ってくださいね!お互い、頑張りましょうね

5:つむぎ:2014/04/05(土) 19:20 ID:Wks

序章・2話




渡り鳥――。


彼らは定住地を持たず、旅をする。
どこかへ向かい、どこかへ帰る《旅人》とはまた違う。

羽を休める場所を転々とし、ただただ放浪し続ける。
目的なく、何か遠くを捉えて。

その瞳の奥の地を目指し、羽を広げ続ける。

そして・・・



また一つ、天駆ける影が増えた――。















「いらっしゃ・・・あれ、柊(ひいらぎ)ちゃん。今日はお連れ様がいるのかい?」

カランコロンと音を立てて開いた扉。
少女は――柊は、後ろに二人の連れをつれていた。
連れ、というのも、先程出会った、異様な格好をした二人のことだ。

店主は見慣れたお客である柊にそう問うと、短く「ああ」と返された。


「ほぉ、変わったお二人だねえ。今日泊まっていくのかい?」
「ああ、是非そうさせていただきたい。今日だけでなく、数日泊まりたいんだが・・・」

店主の親父に返すのは、先程柊にも声を掛けた青年だ。
微笑みながら青年は店主と会話を続ける。

どうやら・・・まあ見た目からしてそうなのだが、この青年は気さくで色々と先導しているのだろう。
その後ろに佇む青年、いや少年はどこか近寄り難い雰囲気を纏っていた。


「それでお客さん、お名前は?」
「・・・阿僧祇(あそぎ)だ」

一瞬眉を寄せ何かを考えるような表情をした青年だったが、すぐまた微笑みながらそう名乗った。
店主はそれを用紙に書き込みながらさらに何泊か等を訊いていく。



「それじゃあお二人さん。2階の201号室を使いな。勘定は発つ時でいいから。」
「おお。おっさん、ありがとな」

そう言うと鍵を受け取り、二階へと続く階段へと向かう二人。
それをぼんやりと柊が見ていると、阿僧祇が急に振り返り口を開く。

「ああ、そうだった。柊、案内ありがとうな」

そのまま上がっていく奇妙な二人を、柊は表情一つ変えぬまま服の裾まで見えなくなるのを見つめていた。



「ところで柊ちゃん、今日も泊まって行くのかい?」

柊は返事をせずに、手元に携帯を出すとどこかに電話をし始める。
発信音は長く続かず、すぐに相手が出た。

「もしもし母さん?今日も友達のところに泊まる」

そんな遠回しな返事に店主は微笑みながら、

「それじゃあ、202号室を使っていいよ」

と鍵を取り出す。
「お金は出世払いでいいよ」と、柊に少し哀れむような悲しげな視線を送りながら付け加えて。

6:つむぎ:2014/04/05(土) 19:21 ID:Wks

序章・3話















日は落ち、そろそろ夕食時となってきた。
残念ながら食事つき、とまではいかない宿なため、柊は徐(おもむろ)に財布を手に部屋を出る。

すると、息ぴったりに阿僧祇とその連れも部屋から出てきた。
バタンッと大きな音を立てて閉じた扉。
互いに顔を見合わせると、阿僧祇が先に口を開いた。

「隣に泊まっとったのか。」
「・・・はい」

そこから展開は速く、安い店を教えるという理由で同じ店に入った。
3名だと阿僧祇が告げたので同じテーブルへと通される。
柊は適当な和食を、阿僧祇と少年はオススメと書かれていたものをチョイスした。

そして、注文した商品が運ばれてくるまでにと、
柊がお手拭で手を拭いて水を口に含んだ。そのとき阿僧祇が唐突に話し出す。



「ああ、そうだ。まだちゃんと名乗っとらんかったな。俺はだな、那由他(なゆた)だ。
呼び捨てで構わん。さんだとか、面倒だからな」
「私はひい・・・・・・待て。さっきお前、阿僧祇と名乗ってなかったか?」

名前に興味はなく、軽く流そうとしていたが引っかかったので訊ねる。
すると苦笑しながら「聞いとったのか」と返し、続けた。

「まあ、あれだ。阿僧祇というのは偽名でな。本名は那由他なんだ」

詫びる様子もなく、阿僧祇改め那由他は笑いながらそう言った。
数秒黙る・・・というよりは固まっていた柊だったが、すぐに自己紹介を再開させた。

「私は柊・・・居ヶ内(おりかない)柊だ」
「ヒイラギ?なら・・・、ラギ。よろしくな、ラギ」

いきなり愛称をつけられたことに驚きつつ、差し出された手を握り交わす。
そして今度は、那由他の隣の少年。那由他に言われて、少し嫌そうな顔をしたがようやく口を開いた。

「トオル。」

声変わりもしてない高い声。
短く紡いだ言葉――それが彼の名前だった。

「愛想が悪くて悪いな。」

なんて那由他が笑った。

トオルという少年はとても整った顔立ちをしていた。
格好がいい、というよりも綺麗という言葉の似合う女顔。
ラギほどまでではないが少しつり上がった瞳。透き通るような白い肌。
綺麗な黒髪は、癖っ毛なのか耳の辺りから跳ねている。後ろの方の髪の一部は三つ編に結われていた。
きっと、那由他を真似たのだろう。

そこから会話はあまりなかった。
年齢を聞いているうちに、料理の方がきた所為だ。






彼らが交わした会話はあまりに軽く、傍(はた)から見れば険悪なムードに見えていたかもしれないが、
ラギが内心、彼らにどこか良いものを感じていたことは、きっと本人でさえ、気付いていないのかもしれない。

7:ひな◆IU hoge:2014/05/11(日) 21:51 ID:Wks

どうでもいいことなのですが、
名前とブログを変えました

改めまして、ひなといいます!
そして新しいブログです→http://ameblo.jp/okkg-0106

今回もアメブロで、安心仕様です。
ですが、クリックすると音楽が流れる仕掛けがありますのでボリュームにご注意ください

8:ひな◆IU:2014/05/13(火) 23:43 ID:Wks

序章・4話




あれから数日が経った。
あの那由他と名乗る青年とラギは毎日のように顔を合わせていた。

もともと不登校気味だったラギは、那由他達の観光に毎日付き合い、より休むようになった。
ラギの家庭事情を知る学校側も、宿の店主も口を出すことは出来なかったのも一つの原因だろう。


「おい、那由他。お前、いつまでここにいるんだ?」

遊園地に観光に来ていた一行(いっこう)。
日もゆっくりと傾きだした頃、彼らはベンチに座りアイスを片手に話していた。
まあ、話すといっても二言三言交わす程度だったが。


「そうだな。次出れるのは7日、8日と言っとったしな。まあ、それぐらいだ。」

溶け出したアイスをペロリと舐めながら、彼はどこか遠くを見つめ答える。
質問をした本人はその返答にぼんやりと小さなことを必要に考える。


時折彼は変なことを言う、ラギはそう心の片隅で考えていた。

出られる、外、などの単語を那由他はよく使う。
最初に聞いたときから思っていたが、何でか聞こうとは思わなかった。

――いや、聞いてはいけない気がした。

それを話すときはどこかウキウキしたような、けれどどこか寂しげな表情をするからだ。
彼の話の邪魔は出来ない、というように思うようにさせるのだ。


「・・・・・・そうか。」

そう短くラギは返すと、まただんまりが始まる。

静かな彼らの耳に届くのは小さく聞こえたジェットコースターからの悲鳴。
近くを通り過ぎる人々の会話。メリーゴーランドの音楽。迷子の案内。自分の呼吸。

皆が一人ぼっちで物思いにふける。

その場で那由他は、ふっと空を見上げた。
そして心なしか微笑む。





青い空。白い雲。
緑の葉に、太い幹。


二羽の鳥が、今まさに、ゆっくりと羽ばたこうとしていた。
巣に残された雛鳥は、小さくピイと鳴いて小さな翼を、一生懸命に振るった。

9:rumia:2014/05/14(水) 04:50 ID:Gas

 こんにちは。rumiaと申します。
パッと見た時、描写が美しかったので読ませていただきましたが、
(ついでにブログも見させていただきましたが……)

 本当に多才な方ですね……。
特に絵が描けることは羨ましいです。
絵が描けるとキャラの表情や特徴、服装なんかがイメージしやすくなりますからね……。
(私はほぼ、ぽややーんで書いてます)

 この小説もその例に漏れず、本当に描写が美しいです。
ただ、差し出がましいようですが、少し説明が足りないかな……とも思いました。
 状況が変わった時、私の駄文みたいに逐一報告するのは愚問ですが、
「その時状況がこう変わったんだよ(説明)」「その様子(描写)」みたいに、
読者を描写する場面まで連れて行ってあげると、もっといい文になるんじゃないかと個人的に思いました。
 長文すいません。では。


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