翼ー 私達はいつだって飛んで行ける

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1:にっきー:2014/08/23(土) 17:22 ID:.Jo


こんにちは!にっきーです!

君の隣でをいま連載中?です笑

http://ha10.net/test/read.cgi/novel/1402222289/l5
よかったらこちらの作品もよろしくお願いします!

また、ポエム板でポエムを書かせてもらってます

http://ha10.net/test/read.cgi/poem/1408433348/l5

気が向いたら、見てください


こちらの小説も新しく書くのでよかったらコメントとかしてください


では始めます

2:にっきー:2014/08/23(土) 17:24 ID:.Jo






“つ ば さ”


私を呼ぶ、優しい、優しい声


全てに覚めてた私にアナタは「世界は広いんだよ」と教えてくれた


あの日から、

世界が変わったように感じたんだ

3:にっきー:2014/08/23(土) 17:28 ID:.Jo



登場人物+

*七瀬 翼  女

*如月 優  男

*杉浦 恭太 男

*神田 唯  女

4:にっきー:2014/08/23(土) 17:34 ID:.Jo


いつも通りの日常 __



世界は本当に平穏だと思う。

少なくとも、私の世界は__


「七瀬翼さん、僕と付き合ってください」

5月

ほんのり肌寒い風はまだ夏が訪れるのを拒んでいるようで。


「ごめんなさい」

私がそう言えば、その男の人は半泣きになりながら、走って行ってしまった。


「はあ」

ため息がつい出てしまう。

私が告白されたいのはたった一人だけなのに…。

なのに、なんでこうも届かないんだろう。

5:にっきー:2014/08/23(土) 17:44 ID:.Jo


空に手を伸ばしてみる。


見上げた空は当たり前だけど、空の色をしてて、

他に何もたとえないようのない姿を私に見せている。


広大で、優雅で…。心がとまってしまいそうな景色。


私は静かに教室に戻った。



___________________



「なあ、七瀬!今日帰り一緒に帰るかー?」

昼休み。


私の前の席の人、杉浦恭太がこちらを向いて冗談交じりに言う。

「誰かあんたなんかと」

私はそう言い、フンッとそっぽを向く。

そんな私を見て恭太はゲラゲラ笑う。


こんな何気ないやり取りが、私にとっては幸せなんだよね…。


「おい!杉浦!」

「げ!やば!」

先生に呼ばれ、恭太は慌てて席を立った。
そして先生の方へ行く。


恭太は私の事なんか友達としか見てないんだろうなあ。

「やっぱアンタら仲良いね!」

友達の神田唯がニヤニヤしながら言ってくる。

「仲良くてもね…」

私はチラッと恭太の方を向く。

6:にっきー:2014/08/23(土) 17:52 ID:.Jo

すみません

スレ2にまちがえがありました

全てに覚めてた私

正しくは

全てに冷めてた私です

7:紺音 シキ:2014/08/26(火) 13:50 ID:omQ

 すっごい素敵な題名だね! 
 文才もあればセンスもいいって、もう最高じゃないですか笑

 翼ちゃんツンデレw 超かわいい!
 恭太くんもいい性格だね♪
 やばいわ、もうにっきーの才能を略奪したいデス。

 これからも頑張って! 私はにっきーの永遠のファンです!
 一番にコメントできて嬉しかった笑

8:にっきー:2014/08/26(火) 21:59 ID:k0U

シキ>コメント一番だねえ!( ̄▽ ̄)

素敵な題名だなんて!ありがとう!

翼ねwなんかツンデレになっちゃったw

うちもシキの永遠のファンだよおお!

9:にっきー:2014/08/29(金) 19:37 ID:ZlI

続き書きます。


恭太は顔が良くて、運動神経もいい。
それに優しくてー。

だから女子にモテる。
まあ、納得だけどね。

だから私なんかが届く存在じゃないことは、始めからわかってた。

ただ、今は一緒にいられるだけでいい。

それだけでもいいんだ。

10:にっきー:2014/08/29(金) 19:43 ID:ZlI

帰りー


私はバス停でバスを待っていた。
そこに恭太もいてー。

ベンチに座って恭太はケータイをいじっていた。

私は静かにベンチに腰を掛ける。

すると、恭太がこちらに気付いたようで。

「お!またバスかよ」

「そっちこそ」

私がそう言えば恭太は笑う。

いいなー。この笑顔。

ここに来れば恭太に会える。
そう分かった私はあれからずっと恭太と
帰りが一緒だ。

いつもと同じ世界。

そして同じような毎日。

昨日が今日だと言われても分からないくらい。

そんな平穏な毎日。

でも私にとってはもう充分だった。

11:にっきー:2014/08/31(日) 17:18 ID:RJ6

続き


こうやって、隣にいる恭太の横顔を見れるだけでいい。

それだけでもいいと思った。


「バス来たよ」

恭太の声で我に返る。

ちょうどバスが来たみたいだ。

私と恭太はそくさくとバスに乗り込んだ。

偶然席は1つしか空いていなくて_


「お前が座れよ」

「あ、うん、ありがとう」

私は、遠慮がちに席に腰を掛けた。

恭太は私の目の前に立っている。

ただでさえ、立っても私と恭太の慎重さは激しいのに座ったらよけいに大きく見えるよ。



黒い髪。

焼けた肌。

それにルックスもいい。

まさに美少年って感じの恭太。

そんな人と「友達」という関係でいられるだけでも私は嬉しかった。

12:にっきー:2014/08/31(日) 17:25 ID:RJ6


恭太をチラッと見ると、相変わらずケータイを見ていた。

というかなんか、カチカチと打っている。

きっと誰かと、連絡でも取っているんだろう。


なんか幸せそうな顔。


「ねえ、何してんの?」

恭太は眼を私と合わせて、「LINE」と一言だけいい、またすぐに視線をケータイに戻した。


帰りは決まって、いつも恭太と一緒だけど、意外と喋らないんだよね。

というか、この時間帯は決まって、ケータイをいじっている。


恭太がここまで、毎日のように連絡を取る人だから、きっと大切な人なんだろうなあ。



本当の事言うと、

その時から、薄々気付いていたのかもしれない。

13:にっきー:2014/08/31(日) 17:31 ID:RJ6



_______________


「まもなく_です」


静まり返っている空間に、バスのアナウンスが響く。

私、降りなくちゃ…。


もう少し一緒にいたかったな。


バスが、ガランと音を立てて止まる。

それと同時にドアが開いた。

「じゃあね!恭太」

「あ、おう!また明日」

恭太に手を振って、私はバスを降りた。

バスは、そのまましばらく止まり、やがて走り出した。


さて…。帰ろうか。

「あ…。雨…降ってる」

バスの中にいたから全く気付かなかった。


しかも小雨とかじゃなくて大雨…。

どうしよう…。このままじゃ帰れない。

もしかしたら通り雨かもしれないし、私はしばらく雨宿りできるところがないかと、

辺りを見回してた。

バス停のところでも大丈夫だけど、ほかの人が使うかもしれないし…。

14:にっきー:2014/08/31(日) 17:37 ID:RJ6



私はとりあいず、近くのビルの下に走っていく。

ふう…。

ここで雨が止むのを待つしかないか…。


辺りをキョロキョロ見ていると、隣に一人の男子生徒が立っているのに気づく。

この人…。私と同じ制服だ。同じ高校なのかな?


あまりにもジロジロ見すぎたせいか、

「何?」

彼はケータイを見るのをやめ、こちらに目を向けてくる。

サワ―

雨の音が響いてくる。

何か…、静か…。


「いや、なんでもないです」

あまりにもキレイな顔立ちをしてたから、ついつい見とれてしまった。

少し茶色がかかった髪。

その髪にはかすかに水滴がついていた。


はじめて会った人なのに、目が行ってしまう。

それほど、魅力的な人だった。
 


それにしても…、雨、止まないな…。

15:にっきー:2014/08/31(日) 17:42 ID:RJ6


そんな時_

「なあ、アンタ、傘持ってないの?」

先ほどまでずっと黙っていた彼が口を開く。

「うん…」


私がそう言うと、彼は傘を差しだしてきた。


それがどういう意味なのか、分からない私は首をかしげる。


「使っていいよ」

「いや、でも…、アナタは?」

「俺はいい」


そう言い、彼はケータイをポケットの中に入れ、傘を押し付けてきた。


そして_


「それに、今日は雨に打たれたい気分だから」

それだけ言い残し、彼は雨の中へと消えて行った。

「あ…」

名前を聞こうと思い、声を出すけど、その声は雨の音によって打ち消された。



私は彼がかしてくれた傘を差し、家へともどった。

16:にっきー:2014/09/07(日) 17:03 ID:YGE


次の日_

私は、唯に昨日の出来事を話した。

「えー!名前すら聞けなかったの?」

唯は“呆れた”とでも言うように、言葉を吐き出す。

でも、借りたものはちゃんと返さないといけないし…。

どうしようかな…。


「もう諦めな!うちらの学校1学年だけで8クラスあるし。
それに縁があるならまた会えるんじゃない?」


縁…か…。

返さないといけないのは分かってるけど、なぜか私の心は落ち浮いていた。

また会えるんじゃない?

そんな事を思っていたのからかもしれない。

「それにしても!その人めっちゃいいね〜!」

唯はそう言いながら、目を輝かせている。

「あんた…、彼氏いんのに…」

「いいじゃーん!別に」


唯は1つ年上の先輩と付き合っている。

二人とも本当に仲良くて、よくいちゃつくし。

一度本気で怒ってやろうかと思ったくらい…。

なんか羨ましいなあ。

17:にっきー:2014/09/07(日) 17:12 ID:YGE


そんな事を思いながら_

「なー!翼!昨日はゴメンな!」

いきなり頭上から声が飛んでくる。

「え?恭太?何が?!」

「いや昨日雨降ってただろ?大丈夫だった?」

恭太は心配そうに聞いてくる。

やっぱり優しいなあ…、恭太は。


「大丈夫でしたよー!だって翼は…んん?!}

べらべら喋ろうとしている唯の口を私は手を当てることによって、それを阻止した。


「何?」

「おや!なんでもない!」

私は慌てて言う。知られたくない。

「それよりさー!翼!ノート見せてー!」

恭太は手を合わせて、「お願い」と頼んでくる。

「もう!しかたないなー!」

私がノートを差し出すと、恭太は満面の笑顔で「ありがとう」と言ってきた。

そして自分の席に戻っていく。


「もう!なんで口ふさぐの?」

唯が口を膨らませて言う。

「ごめんごめん!」

「てか言ったほうが絶対いいって!もういっそあんな奴やめちまえー!」

唯は冗談交じりな感じで、言葉を吐き出す。

「もう!やめってってば!」

「はいはい。翼がどれくらい恭太が好きなのか知ってるから。だってずっと近くで見てきたし」



私が恭太と出会ったのは2年前_


当時の私は中学3年生だった。



乾いた地面が燃えてしまうんじゃないかと思うくらい暑い日_

18:にっきー:2014/09/09(火) 20:18 ID:bEQ

続けます


その時の私は、高校受験に悩んでいた。
1人悩んでた私は、木陰にポツンと、立っていた。

そんな時ー

「どうしたの?」

そう、声を掛けてくれたのが恭太だった。

「別に」

「受験の事?」

“受験”
その言葉を聞いただけでも、吐き出しそうになる。
あの頃の私は、ただ逃げたかっただけなのかもしれない。
何処かにー


「そんなに焦らなくてもいいんじゃない?
高校というのは将来に繋がるし大切だと思うんだ。めんどくさいって
逃げ出したくなる時もあるけど、自分にしっかり向き合わなきゃ何も始まらない。
それに俺もまだ決まってないし!」

そう言い、彼は涼しげに笑った。

“他にも決まって無い人がいる”
そう知った私は、ひどく心が落ち着いた。
そして、冷静になる。


その時から、私はよく恭太を目で追うようになった。


恭太の言葉で、私は自分と向き合えた。
恭太が私を正しく導いてくれた。

あの日から、私は恭太に感謝がいっぱいで。


それと同時に恋に落ちた。

19:猫又◆Pw:2014/09/10(水) 22:15 ID:FQs

 にっきー、来るの遅れたけど、猫又です。

 ここまで読んだ感想としては、ストーリは悪くないと思う。
まだ途中だけど、純粋な恋愛モノって感じで、見応えのある作品だなって思った。

ただ感情や行動をすっ飛ばしてる部分があったから、
「え? 今の行動にノーコメント!?」「え? そう思っている間に一体何したの?」
って感じの違和感はあったかな……。

 でも受験の相談から恋に発展したりとか、ストーリの質・面白さは十分にあると思うから、
そこら辺を気をつければもっと良い小説になると思うよ〜。

色々勝手に言ってごめんね。では、

20:ミケ:2014/09/12(金) 20:24 ID:Jtc

どうもです!( ´ ▽ ` )ノ

恋愛の物語ですか、私、恋愛は萌系しか読んだことありませんが面白かったです

てゆうか、小説を買ってあんま読んだことないwwネットのここや2chのは結構読んでますがw

頑張って下さい!

21:にっきー:2014/09/13(土) 16:22 ID:xCQ

猫又>なるほどー!

抜けてるところがあるのか…
今度から気を付ける!ありがとう!


ミケ>応援をありがとう!

頑張りまーす!

22:にっきー:2014/09/13(土) 20:16 ID:e/E

続き書きます


中学を卒業して、もうこの恋も終わりかと思ったけど、
まさか、同じ高校に入るなんて思ってもいなかった。




それに偶然なのか2年間とも同じクラス。


これも、何かの縁だったりして。

23:にっきー:2014/09/20(土) 19:02 ID:rWQ

久々に更新します。

どん底ー 春歌side〜


「今日、また雨だねー」

私の机に肘をつきながら言う唯。
少し窓を開けて見ると、雨の音が響いて来る。

あ…。そう言えばあの時の人。
傘の少年と会った時もこんな雨だったっけ?


「ねー、翼。アンタ傘持って来てる?」
「持って来てない。だからー」
「いや、うちも持ってないよ」

私が喋り終わる前に、唯が私の言葉を止めた。
窓の外を見ると、雨は止みそうにもない。

あと5分くらいで下校時間なのに。

「アンタ、恭太に入れてもらいなよ!あいつ傘持ってるよ」
「いや、でも」
「大丈夫だって!」

唯はそう言い、私の背中をドンっと押した。
それと同時にチャイムが鳴る。

自分から言う。
そんなのは私のキャラじゃない。
でも、少しくらい頑張ってみようかな。


いつまでもこのままでいい。
なんて思っていないから。

「ありがと!じゃ、行って来る!」

24:にっきー:2014/09/20(土) 19:17 ID:rWQ


私はカバンを背負い、教室を出た。
長い、長い廊下。
日が暮れて来たせいか、少し薄暗くなって来た。

恭太、どこにいるのかな・・・。

廊下を歩いている時、

「もう!やめてよお!恭太」

階段の方から声が飛んでくる。
え・・・?
今「恭太」って言ったよね?
まさか・・・。足が固まってしまう。
いや、そんなはずはない。

そう、必死に自分に言い聞かせてたが、
次の言葉により、それは簡単に破られた。

「もう、お前可愛すぎ」

だって、だって、
恭太の声を私が間違えるはずがないんだもん。
大好きな人の声を。

「大好きだよお!恭太」
「俺もすげー好き」

階段の方から聞こえてくる恭太の声は、
甘くて、優しくて。
私はただ、そこにつっ立ってる事しか出来なかった。

何かの間違いだって信じたかった。
心の中で何回も「違う」って、呪文のように唱えた。


でも、それは現実で。
本当はもうずっと前から気づいていたのかもしれない。
でも信じたくなかった。
信じたくなかったんだ。

もうこれ以上此処に居たくない。
そう思った私は違う方の階段から下りた。

25:にっきー:2014/09/27(土) 14:08 ID:dPE

続けます


階段を下りながら、今日は雨にでも打たれながら帰ろうかな、と思っていた。
馬鹿だな…。私は。
恭太に彼女がいても、おかしくはないのに…。
“もしかしたら”って思っている自分がいた。


私なんかが、届くはずないのに…。
夢見ちゃって馬鹿みたい…。なんか自分が哀れになってくる。


気付いたら、もう玄関まで足を運んでいて_
私はそくさくと外履きに履き替えた。


やっぱり雨降ってる…。
見上げた空は灰色に染まっていて、もやもやした雲が広がっていた。
それは今の私の心境を表しているようで_


空が、私のかわりに泣いてくれてるみたいで、私は涙を流してはいけないような気がして、
グッと堪えた。


帰ろう…。
足を一歩踏み出そうとしたとき_
誰かに腕をつかまれて、進もうとした足が止まる。
振り向くと_


「あ…」

あの日…、傘をかしてくれた人だ。


「あの…、前に一回会いましたよね」

「さー?そうだったっけ?」

26:にっきー:2014/09/27(土) 14:38 ID:dPE


彼があまりにも不愛想に答えるから、一瞬人違いかなと思った。
でも、そんな考えはすぐに吹き飛んだ。
少し茶色がかかった髪、それにこの顔、間違いない、あの人だ。


「あの…、手、離してくれますか?」

私がそう言うと、彼は「あぁ」と言い、離してくれた。


「なんで腕をつかんできたんですか?」

「さー?今にも泣きだしそうな顔してたから?」

彼にそう言われ、自分の頬を触ってみる。
でも、濡れてない…。
もしかしたら、まだ実感がないのかもしれない…。
まだ、どこかに「そんなはずない」って否定している自分がいる。


「なあ、アンタ失恋?」

彼はケータイをいじりながら、私に聞いてくる。
でも目は私に合わせてくれない。

「ち、ちがうし」

「じゃーなんで、雨の中へ飛び出そうとしてたの?」

今度は、ちゃんと、視線を私に合わせて言ってくる。
茶色い瞳…。なんか…、深い。
どこまでも、見透かされそうで、私は思わず目をそらしてしまった。


「そ、それは…」

「ふーん」


ザーザー、と雨が降り続ける中、私と彼の声だけが静かに響く。
その他には、何も音がなくて、まるで世界に私達しかいないんじゃないの、という錯覚すら感じてしまう。

27:にっきー:2014/09/29(月) 17:36 ID:U7Y

続き書きます。


「あの…」

「何?」

「名前…、教えて」

彼は一瞬ためらったが、

「如月優 2−cの」

そう、ポツリとつぶやいた。なんだ…、同い年だったのか…。

「私七瀬翼、2−Eだよ」

「ふーん」

彼は、興味がないのか、ただ言葉をつなげるだけで…。
もう少し、反応してくれてもいいのにな…、とそんな事を考えていた。


「雨、やんできたな」

彼の言葉で、私は顔を上げる。
すると、さっきまでどんよりとしてた雲が、いつのまにかなくなっていた。


「それじゃ、俺帰るわ、あと失恋したからって、そう落ち込むなよ」

「失恋してないし!」

私は全力で否定する。

顔を上げ、彼を目にとらえると、一瞬彼が笑ったような気がした。
気のせいかもしれないけど…。


「あと、傘返さなくていいから」

そう言い、彼は廃止って行ってしまった。

「やっぱ覚えてるじゃん…」


どんどん遠くなっていく彼の背中を見つめながら、ポツリとつぶやいた。



なんだろう…、少し心が軽くなったような気がする。



また…、会えると…いいな。

28:にっきー:2014/10/01(水) 17:14 ID:lNk


とは言ったけど…。

次の日_



重い足取りで教室に入る…。
入りたくない…、何年振りだろう、こう思うのは…。

昨日までは、まだ大丈夫だったけど、儚くも私は現実に引き戻された。
ドアを開け、渋々教室に入る。
そして、真っ先に自分の席に行く。


「おはよー!翼」


その声が誰なのか、見なくても分かる…。
いつもの私なら、嬉しくて、すぐ返事をするけど、今はどうやって接したらいいかわからないよ…。


「ん?どうした?」

「な、何もない!」

そう一言だけ言い、私は逃げるように自分の席へと座った。
それが今の私の精一杯。

ねえ、恭太、彼女いるのにどうして私に優しくしてくるの?
そんな事されたら、よけいに辛い…。



それからも私は恭太を避け続けた。


「なー、翼、ノート見せて」

「え、あ、ごめん」

「え?」

私はどう返事したらいいのか分からず、唯の所に行く。

29:にっきー:2014/10/01(水) 17:25 ID:lNk


帰り_

「ねえ、アンタらどうしたの?」

カバンを背負いながら唯が心配そうに聞いてくる。
さすがに恭太を避けすぎたのか、唯に気付かれてしまった。

「え…」

「避けすぎ!見え見えだよ」

唯はため息交じりに言う。
唯に隠したくはないし、「全てを話そう」と、決意をした。
それに誰かに聞いてほしかった…、じゃないと、自分が壊れそうな気がして…。


「実は…」


それから私は、昨日ばったり恭太が彼女と一緒にいるところを見てしまったこと、
それから、傘の少年、如月優にまた会ったこと、を話した。


聞き終えた唯は…。

「まさか…、あいつに彼女がいたなんて…」


“彼女”
もう今では、遠い夢にしか思えないよ…。
初めから叶わない事なんて分かっていたのに…。
いつのまにか、私は恭太を求めていた、“もしかしたら”っていう気持ちを抱きながら。


「ちょっと待って!今如月優って言った?!」

唯が思い出したかのように、声を張り上げる。


「知ってるの?」

「知ってるも何も、イケメンで有名なんだから!、クール王子って呼ばれてるし」


クール王子か…。


なんか、ぴったりだな、と思い、少し口元が緩む。

30:にっきー:2014/10/03(金) 17:59 ID:r96

続けます。



「恭太よりも人気なの?」

「さあー?でも恭太は太陽って感じだからね」

「あはは…」


確かに恭太は太陽だな…。いつも私を優しく包んでくれて。
なのに…。


『俺もすげー好き』

頭に浮かんでくるのは、恭太のあの言葉。その言葉は彼女に向けられているもので。
決して私には向けてくれない。

考えるだけで嫌だ…。


私は恭太の彼女ではないんだ。
恭太はあの子が好きで…、あの子も恭太が好きで。
そこで結ばれている赤い糸は決して切れる事がないんだ、きっと。
私の入る隙すらない。


むしろ私は邪魔もの。


「てか、うち彼氏と帰る約束しちゃったんだ!ごめんね!」

そう言い、唯は手を合わせる。

「分かった!いきな」

「うん!」

唯は教室を出て行った。
さて、私も帰ろうかな…。


そう思い、教室を出ようとしたが、腕をつかまれた。


「待てよ…」

31:・。茉莉沙。:2014/10/05(日) 16:39 ID:/PM

にっきー 様

こんにちは!お邪魔します(^^)
【純愛】届け。を書いております、茉莉沙です!!

にっきー様の小説、早速読ませていただきました!
ケータイ小説風で、とても読みやすいですね♪
お話もすごく面白いです♡
読んでいるとこっちまでドキドキします♡

これからも、愛読させていただきますね!

MARISA より

32:にっきー:2014/10/05(日) 19:29 ID:GY.

茉莉沙さん>ご観覧ありがとうございます!

頑張って書こうかと思いますのでこれからも
よろしくお願いします!

33:にっきー:2014/10/18(土) 15:11 ID:0r2

お知らせ


これから更新が遅くなるので把握よろしくお願いします

でも、最後まで書こうかと思うのでこれからもよろしくお願いします!

34:にっきー:2014/10/25(土) 13:16 ID:F8g

更新します


「…」

掴まれた腕から、じわじわと、熱が伝わってくる。
私の心臓が、私の意志に反して暴れる。
止まれ…、止まれ。
そう願いながら。


「翼…」

いつもより少し低い声で呼ばれ、少しドキッとする。
でも、こんな声で、毎日彼女を呼んでると思うと苦しいよ…。

「離して」

「なあ、なんで俺の事避けるんだよ」

やめてよ、やめて…。
こんなふうに言われると、期待しちゃう。
ねえ、私はどうすればいいの?
ブンブンと手を振ってみても、がっしりと掴まれた腕は離れない。


ねえ、恭太、私じゃダメなの?
確かに私はあの子よりも可愛くないし、スタイルも良くない。
それに素直じゃないし。

でも…、誰よりも恭太の事が好きなんだよ?
ずっと前から…。


「お願い、離し…」

「なー、そいつ離してやってくんない?」

私の言葉は誰かの言葉により、かき消された。
聞き覚えのある声…、傘の人だ。


「は?お前誰だよ」

恭太は私の腕を掴んだまま言う。

「如月優、そいつと話があるから離してやって」

「なんで?」

「だって困ってんじゃん、そいつ」

恭太は、私の方に顔を向け、「そうなのか?」と聞く。

「ごめん…、離して、話があるから」

恭太は、ゆっくりと掴んでた腕を離す。
離されたところから、熱が消えていく。

そして、「また明日な」と言い、教室を出て行った。

35:にっきー:2014/10/26(日) 17:23 ID:F8g

続けます

_____________


「ありがとう…」

「別に」

不愛想に彼は言う。

「クール王子も意外と優しいところ、あるんだね」

「その呼び方マジやめて」

彼はため息交じりに言う。

「あ…、ごめん、えっと、如月君だっけ??」

「優でいいよ」

意外な言葉が返ってきて、私は目を丸くする。

「いいの?じゃあ、優で…」

私は遠慮がちに言った。でもなんか少し嬉しい…。
なんでかわからないけど、二人の距離が近づいた感じがして嬉しかったんだ。


「なー、さっきのやつがアンタの好きな人なのか?」

「うん…」

「そっか」

恭太の話が出たとたんに、さっきまでのテンションが一気にガクッと落ちた。
ダメだな…、私。
恭太の話が出るたびに、こうも悲しくなるなんて…。

もう、思い出したくない。忘れたい、忘れたいよ…。


案の定、優はもうこれ以上は聞いてこなかった。それにホッとしてしまう。
二人一緒に、長い、長い、廊下を歩く。そして校門まで来たところで…。


「じゃーな、俺歩きだから」

そう言い、彼はくるっと、私に背を向けて、歩き出した。
私は、優の服を思いっきり掴む。


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