「 お前は俺だけを見てればいいんだ、これからもずっとね 」
ーーーああ、どうしてこうなったのかな、
>>2 ルール、 >>3 色々、__
二話 【 友達から 】
あの合コンが終わって二日後ーー どうやら私の友達の真子はすぐにある男と付き合ったらしい。名前は広樹君だってさ。
ちなみに今…食堂で昼食とってるんだけど、合コンに来てた三名の男と、私と友架と真子と唯音で食べてるんだ。正確には四名だけど、スマホを渡してくれた男の人はいない。…名前聞くの忘れてたな。
…真子の彼氏。広樹君って人は…全体的にチャラい。二人とも早速いちゃいちゃしてるし…。
「 はーい、広樹ー、あーん 」
「 あーん……おいひい! 」
うわわわわ。人がいるのにこの二人はよくそんな事できるね!すごいよ!こっちまで恥ずかしくなるけど!しかも真子呼び捨てで呼んじゃってる。
すると友架はクスクス笑いだした。
「 二人共いいなぁ〜、友架彼氏いないから羨ましいって思っちゃうじゃーん 」
…そっか。友架はまだ彼氏いないんだった。容姿からしていそうなんだけどなぁ〜。
…あれ、この茶髪君は友架に好意寄せてるのかな?めっちゃ見つめてる…。
「 ねぇ友架ちゃん、俺フリーだけど付き合っちゃう? 」
「 えー?どーしよ。すぐには答えられないな〜 」
「 そんな〜 」
その場は一気に笑いがこみ上げた。私は苦笑いしかできなかったけどね。…やっぱり男がいると緊張して喋りづらい。私なんてさっきから一言も喋ってないし。
「 莉実ぃ〜?さっきから喋らないけど…気分でも悪いのぉ? 」
ハンバーガーを可愛くちょこちょこ食べながら心配して聞いてきた友架。女の私でも思う…。この子の可愛さは天使だ、って。
……喋らない理由は『 この三人の男のせいですよー 』なんて言えるわけないから、とりあえず満面の笑みで、
「 うん、熱あるかもしんないー 」
と、誤魔化しておいた。満面の笑みでこんな理由ってオカシイと思うけど。
「 えー?熱あるのぉー?大丈夫? 」
友架の手が額に乗った。普通に暖かい。だって熱とかないし。嘘ついてごめんね、みんな。
……ま、熱という設定でここから抜け出して、適当にどっかブラブラしとこ。
「 ちょっとどっかで休んでくるね 」
私はカウンターに食べ終わった皿をおぜんと一緒に運んで、友架達に手を振って食堂から離れた。 授業始まるまで時間あるからゆっくりしますか…。
とりあえず花がたくさん咲いている庭に行き、そこら辺にあったベンチに座ることにした。
「 ……… 」
うわー、静かだな。誰もいないし。まるで本当に友達がいないぼっちみたい。
「 授業まで後二十分… 」
スマホを取り出し時間確認すればイジッてしまう私。もしかして依存症か…?
「 このゲームまだクリアしてないな… 」
そう呟いてはさっそくゲーム。昔からゲームとかするのは意外と好きだった。……思い出すよ…子供だった時のこと…。
だけど退屈だな。私はこのまま彼氏が出来ないと…ゲームをやり続けてしまう悲しい人になってしまうのだろうか…。
……でも…まだまだ人生先だしゆっくり考えた方がいいよね。
すると、後ろから足音が、じゃり_じゃり、と聞こえた。気になって後ろを振り向いてみると____あの人だ。スマホを渡してくれた男の人。
とりあえず私は
「 どうも… 」
と小さくお辞儀し軽く挨拶を交わした。
男の人もしばらく目を見開き、ちょっと驚きの様子を見せていたが、にこりと微笑み浮かべれば、
「 どうも。また会ったね 」
と優しく挨拶を返してきてくれた_____ほんわりした笑顔だな…___
この人…よく見れば意外とかっこいいな。…なんていうか、目はくっきり二重だし…すらってしてるし、身長もまぁまぁ高いし…。つか髪型めちゃくちゃタイプ。ほどよい長さの黒髪君。
「 あ、えっと、こんな所で何やってるんですか? 」
私はとりあえず何か話した方がいいかなと思って、適当に思いついた質問を男の人に聞いてみた。
すると男は、
「 んー…、俺…落ち着いた感じの静かな場所が好きなんだ。たまにこっちに来て一人でお花とか見つめてるよ 」
と、若干頬を赤らめながら答えてくれた。私の無理矢理な質問に。
「 お花ですか…綺麗ですよね。もしかして好きなんですか?お花とか… 」
「 うん、好きだよ。俺の親がフラワーショップ経営してたしね 」
「 え!そうなんですか!?じゃあ今も経営して… 」
男はその質問を聞いた瞬間、目を見開き何故か悲しげな表情を浮かべ、下を俯いては
「 ………両親は……俺が9歳の時に亡くなったよ 」
「 ………あ、ごめんなさい 」
…私ってば…なんて失礼な質問をしてしまったんだろう。…どうしよう、こんな時どうすればいいの?
「 …もう、平気だけどね、なんとか親戚に引き取ってもらって、今は一人暮らししてるし 」
男は微笑した。どこか寂しそうな目でーー…。
__ニコリと表情を変えれば、私に
「 あ、隣…座っていいかな? 」
と聞いてきた。…なんか少し罪悪感が残るな…。
「 はい、いいですよ 」
私もニコリと笑み浮かべ返答した。男は「 失礼します 」と軽くぺこりと頭下げ、私の隣に座った。
ーーうわ、年上の人と二人きりって…。しかも一緒のベンチに座ってるというこの状況…。何話していいのかわかんない。……とりあえず、名前は聞いてみよっかな
「 あ、あの!名前は何ですか? 」
突然の質問に、男は目をまん丸くさせながらちょっと驚いていた。だけど優しい笑顔に戻れば、
「 冴澄瑛都、だよ 」
と質問に答えてくれた。かっこいい名前だななんて思ってたら、次は私に「 君は? 」と質問してきた。
「 仲本莉実ですっ! 」
あ…。最後声裏返った…恥ずかしい…。絶対冴澄さん笑ってるよね……
「 ーーーー莉実、ちゃんね…。なんか可愛いね 」
___なんだろ、今の不気味な笑み…。ちょっとだけ怖かったな…。