部活。

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1:ぽち:2015/06/22(月) 21:32 ID:t/w


Hello♪ぽちです(*ノω`*)

書き終えました!『先輩。』です。よかったら是非見て下さい★"
http://ha10.net/novel/1425705788.html

今回もたくさんのアドバイスなどのレスを待っています!

◇‐.◇‐.◇‐.◇‐.
高校生に入った私。
高校といえば、部活で青春とか一番楽しいくて熱くなれると思ってる。
だから、部活に入って毎日充実したい。

私と部活の物語。
いや、私の青春と部活の物語。

これは一生の思い出と宝物としたい。

2:ぽち:2015/06/22(月) 21:52 ID:ZZ6


**

私、菜月。
高校1年になった今、部活をどうしようか迷い中…。
体験入部が3日間あったが、1日目はバスケ部、2日目はソフトボール部、3日目は野球部のマネージャー。
お母さんには、マネージャーに向いていると言われて野球部に入ることを進められている。
確かに人を助けたり、自分が頼られたりするのは好きだけど、自分がスポーツをして活躍したいという気持ちもなかなか消えない。

「菜月、部活どうするの?」

私の大の仲良しの絢佳。
ずっと一緒で、小中ではバスケ部でキャプテンと副キャプテンとして頑張ってきた。だから一緒に高校でもバスケをしたかった。
でも絢佳はテニス部を希望している。きっとお姉ちゃんの影響だろう。

「まだ決まってない」
「テニス部、一緒にやろうよ」
「テニスの体験行ってないし、私体力ないし」
「ならバスケやったら?」
「んー。迷ってる」
「決まったら教えてね」
「うん」

絢佳とは帰る方面が反対なため、途中からは下校していない。

「おい」
「あ、やっほー」

幼馴染みの蓮汰。
家が近いこともあって、会うと2人で帰ったりもする。

「帰るぞ」
「うん」
「部活決まったか?」

また部活の話題。
なんか情けなく思えてくる。

「決まってない」
「マネージャーやれよ」

やっぱり、蓮汰は家族みたいな存在。
お母さんと同じこと言ってるし。

「蓮汰は何部?」
「野球」
「ほんと好きだね」
「おう」
「いいな、早く決まって」
「迷いすぎ」
「だって………」

絢佳と部活入りたかった話を蓮汰にした。

「自分がバスケを好きなら1人でも入れるだろ。なのに入れねーってことはそこまで好きじゃないってことじゃねーの」
「そうかな」

私はバスケが好きだと思っていた。
私にはバスケしかないと思っていた。
でも違ったんだ、バスケじゃなくて仲間が好きだったんだ。
仲間がいたからバスケを続けることができたんだ。

「ありがとう、蓮汰」

3:ぽち:2015/06/24(水) 21:49 ID:HL2


**

蓮汰のおかけで、3つあった選択肢の中からバスケ部に入る選択はなくなった。
あとは、ソフトボールかマネージャー。
私にはどっちが向いてるのかな…。

「ソフトか野球…」
「俺的には野球部のマネージャーになってほしい」
「どうして?」
「ソフトやると、ケツでかくなるよ。元々でかいんだし」
「ひどい」
「あとは自分で考えろ」
「うん」

ソフトボール部の先輩が一度話しかけてくれたことがある。
赤と白のユニホームを着て通りすがりに、「かわいい〜」って。
あ、話しかけてくれたんじゃなかったかもしれない。
でも可愛いと言われることなんてめったにないし嬉しかった。
野球部を見に行ったときには、甲子園を見てみたいと思った。
考えれば、両方良いところしかない。
迷ってると時間はあっという間に過ぎていく。

___

そしてついに仮入部の日が来てしまった。
体験入部と同じ3日間行われるが、仮入部は3日間とも同じ部活に行かなければならない。
迷って、迷った結果、今日までなにも決まらなかった。
みんなはウキウキしながら仮入部へ向かい、私1人だけが教室に残された。
懸命に考えて、考えて、とにかく考える。
でも答えは出てこない。
いつの間にか目には大粒の涙を浮かべていた。
こんなことで泣く自分が情けなく、嫌になる。
追い詰めれば追い詰るほどおかしくなって、考えることもできなくなってしまった。

__ガラガラ

閉まっていたはずの教室のドアが開いた。

「どうしたの?」

細くて優しい声が私に話しかける。
そしてその声は私を救ってくれるように聞こえた。

「仮入部…」

4:ぽち:2015/06/26(金) 17:55 ID:22A


**

「仮入部がどうした?」

ゆっくり顔を上げてみると、白い野球着を着ている男の人が立っていた。

「決まんなくて…」
「なにが?」
「ソフトボールか野球部のマネージャーかって」
「そっか」
「てか、なんでここに?」
「俺、見た通り野球部の2年なんだけど洗濯当番が回ってきてマネが1人もいなくてさ、いきなり仮入部に来た1年にやらせるわけにも行かないから、やってんの」
「大変ですね」
「あ!」

何かを思いだしたように、彼は私の腕をひっぱってくる。
私も乗るようにして、急いで涙を拭いてカバンを持って着いていく。

「どこ行くんですか?」

そろそろ疲れてきた。
野球部だから短距離も長距離も得意なんだろう。
走るの速いし、ずっと走っているし。

「ここ」

着いたのは家庭科室だった。
こんなところに家庭科室があるなんて知らなかった。
意外にも広く、綺麗な部屋で運動着を着ている人がウロウロしている。

「洗濯がし終わったら、このカゴに入れて野球部のところに持ってきて」
「え」
「よろしくね〜」

彼はそう言い残し、走って行ってしまった。
私が洗濯するってことだよね…。
やるしかない。

__ピピピピ〜♪

洗濯ができたのを知らせる音楽がなった。

「できたぁ」

フタをあけると、大量のタオルやら靴下が入っていた。
全てカゴに入れ換えて野球部の方へ向かった。
まだ夏には早いのに、洗濯をしなきゃいけないほど汗かくんだ。

5:ぽち:2015/06/28(日) 22:21 ID:jrk


**

意外にもマネージャーって楽しいじゃん。
あんなに迷っていたのにも関わらず、いざとなったら一発で決まってしまった。

「あの…」

さっきの先輩を探したが見当たらなくて、同じような野球着を身に付けている人に声をかけてみた。

「ん?」

きょとん、としている。
そうだ、向こうも私のことを知らないんだ。

「あの…野球部の方ですよね…?」
「…うん」

はっ!
蓮汰が見えた。蓮汰を探そうなんて、蓮汰がいるなんてすっかり忘れていた。

「ごめんなさい、やっぱりいいです…」

ゴツい体の人だったし、なんかすごく怖くて止めておいた。

「蓮汰ぁー!!!!」

そう私が蓮汰を呼んだら、野球部らしき人達がこちらをじっと見てくる。
ほんとにマネージャーがいないみたい。

「お前、恥ずかしいからやめろ、それ」

そんな中、こちらへ足を重くして向かってきた。

「ごめん」
「で、なんなの?」
「これ…」

さっき洗ってきた洗濯物が入っているカゴを渡した。

「なに?」
「野球部の先輩にね、洗ったら持ってきてって言われたの」
「そっか」
「どうすればいい?」
「どの先輩?」
「ん…」

たくさんの人がいるのに探せるわけない。
それに顔なんて潤覚えだし、私泣いていたから涙でじっくり見えなかったし。

「あ!泣き虫ちゃん…?」

んと…。多分さっきの先輩らしき人。

「洗いました」
「ありがとうね」
「はい」
「それ…干してくれるかな?」

また仕事?!
マネージャーって楽しいんだか、大変だかわからなくなってくるよ。

6:ぽち:2015/06/30(火) 23:03 ID:O06


**

部室の近くに物干しがあって、そこにゆっくり干す。
慣れない作業だから、丁寧に時間をかけて取り組む。

「ふぅ」

なんとか全ての洗濯物を干し終えた。
だか、ずっと上を向いて作業していたため、肩は痛いは、首は痛いは、ですごく疲労が見られる。

「先輩、終わりました!」
「お疲れ。ありがとう」
「はい」

3年生は引退したのだろうか。
見当たらない。

「あの…。3年の先輩って…?」
「最後の大会で結果が残せなかったから引退したんだ、野球部だけ」

野球部だけ、かぁ。
ならその先輩がマネージャー代わりになればいいのにとも思ったがきっとそんなわけにはいかないんだろう。

「おい、吉田練習しろ」
「すいません」

野球部の顧問がのすのすと現れた。
50代くらいのおっさん。
見た目は荒くて怖そうだが内心は優しくて部員のことを一番に思っているだろう。

「あ、先生。私、野球部のマネージャーに入ります」
「誰?」
「あ、岡田菜月です。1年1組です」
「辞めるの原則禁止だけど、あとめんどくさかったり大変だか」
「やります」
「頑張れ」
「はい」

まだ仮入部中だが、マネージャー不足のため今日から正式に部活に入ることになった。

「おい、集合!」

顧問が1つの号令で部員を集める。
すると素早く顧問の回りに部員全員が来る。

「マネージャーだ、自己紹介」
「1年1組、岡田菜月です。よろしくお願いします」

少し緊張ぎみに自己紹介をすると、暖かい拍手で私を野球部のマネージャーとして向かい入れてくれた。

「野球部唯一のマネージャーだ。岡田を大切にすること」
「「「はい!」」」

話が終わると部員はまた練習を再開した。

7:ぽち:2015/07/01(水) 23:00 ID:19.


**

仮入部を何も起こらず終え、本入部となった。
あれから、1年は10人、マネージャーは変わらず私1人が野球部の部員の一員となった。

「本格的に今年の野球部が始まります」

顧問、いや、監督が野球部の説明の様なプリントの束を配り、それと共に長々とした話があった。

「今年は優勝しよう!」

主将がみんなに声をかけて改めて気合いを入れ直す。
2年生の主将は、前に私が泣いていたときに話かけてくれた先輩だった。
高橋隆(タカハシ リュウ)先輩。

「いくぞー」
「「「オォ!!!」」」

円陣を部員全員と監督、そしてマネージャーの私で組む。
みんなは盛り上がっているが顔は真面目な感じが漂っている。

「練習、するぞー」
「「「はいッッ」」」

一斉にグラウンドに向けて活きよいよく走ってゆく。

「マネージャー」
「はい」
「ちょっといい?」
「はい」

高橋先輩が部室に私を呼んだ。

「俺のこと、下の名前で呼んでくんない?」
「え。あ、わ…わかりました」

隆先輩ってこと…か。
先輩も照れくさそうに言ってきた。

「それと、マネージャーって大変だし動くからその靴はやめといた方がいいよ」

今、ローファーを履いている。
確かにローファーが白くなっちゃうし意外と高いから、運動靴を用意しよう。

「あとは…ジャージで来てね」

制服も汚れるし、なにより暑苦しい。

「ありがとうございます」
「よろしくね」
「はい」

今日マネージャーがやる仕事を指示して先輩も練習へ行ってしまった。

「たくさんある……」

洗濯は仮入部中に鍛えて、さっさとできるようになった。
だが他にも仕事は日に日に増えていき、スポーツドリンク作りは大の苦手。

あとは、
スコアボードを書なるようになること。
裁縫を出来るようになること。
部員全員の名前を覚えること。
などなど、まだまだある。

8:ぽち:2015/07/02(木) 22:48 ID:YZs


**

「お疲れ」

蓮汰がこちらへ、ファンタグレープを持って来てくれた。

「ありがとう」
「疲れた?」
「うん。マネージャーって大変だね」
「辞めるなんて許さないから」
「辞めないよ、始まったばかりじゃん」
「これ…。勉強しろ」

野球について書かれている分厚い本をくれた。
とても読む気にはなれないけど、読まないと、とてもじゃないけどこの部活にはついていけなくなってしまうから素直に受けとる。

「ほんとうにありがとう」
「ただ…」
「なに?」
「やっぱりいいや」
「そっか」

何かを言いかけたが最後まで話してくれなかった。

「今日はありがとう、じゃあね」
「明日、朝練あるらしいから遅れるなよ」
「うん」

野球部には朝練なぞ付き物らしい。
授業は9時から始まるが、朝練は6時集合でスタートする。

「ただいま」
「おかえり〜」
「疲れた」
「マネージャーって大変でしょう。でも似合ってるから頑張ってね」
「うん」

すぐに着替えて、二階の自分の部屋で蓮汰から貰った本と、隆先輩から貰ったプリントの束を見る。

「文字ばっかり…」

プリントの束には部活の説明等が書かれている。

【部内恋愛禁止。】

この字に目が止まった。
部内恋愛はすごく憧れであったりした。

「なっちゃんー?」
「はーい」
「絢佳ちゃんが来てるよ」
「わかった」

急いで一階に降りて、玄関にて絢佳に会いに行く。

「絢佳ぁ」

今まで疲れていたのが、絢佳の顔を見て一瞬で消えた。

「いきなりごめんね」

9:柚音:2015/07/03(金) 18:02 ID:QdU


めっちゃ面白いです!

更新頑張ってください!

10:ぽち:2015/07/03(金) 22:28 ID:N1k


>>9

ありがとうございます!

これからも愛読してもらえると嬉しいです^^

11:ぽち:2015/07/03(金) 22:49 ID:N1k


**

「全然いいけど、どうした?」
「んー」
「どこか行く?」
「うん」

絢佳はここでは話にくそうにしていた。
重い話なのかな。
2人で歩いて、近くの公園まで来た。

「ちょっと待ってて」

絢佳は気をつかってくれたのか、私の好きなカフェオレを買ってきてくれた。

「ありがとう」
「うん」
「話しって…?」
「あの…」
「うん」
「菜月って野球部のマネージャーでしょ?」
「そうだよ」
「野球部のマネージャーって、なんで人がいないか知ってる?」
「ううん。知らない」
「野球部のイケメンのファンがたくさんいて、女の子に愚痴愚痴言われるからだよ」

……だから何?
私は好きで野球部のマネージャーに入った。
心配をしてくれているのか、絢佳が私を嫌うというサインなのか、よくわからない。

「うん」
「何もしなくても言われちゃうの」
「そっか」
「菜月……」
「私も言われているんだね」
「………」

言われてる、んだ。
気にならないし直接何かをしてきたわけでもないから知らない振りが一番楽でいいのかも。

「わざわざありがとう」
「ごめん」
「大丈夫だよ」
「私、菜月を見ると辛い」
「どういうこと?」
「菜月がかわいそうって思っちゃう」
「大丈夫。私、そうゆうの気にならないタイプだから」

本当は嘘。
臆病物だから、関わらないようにしている。
それに私のこと愚痴愚痴言っている人だって、学校でも目立っている人だろうし。

12:ぽち:2015/07/05(日) 17:04 ID:jkM


**

「今日のジュース代、今度奢るから誘ってね」
「ケーキバイキング行きたい!でも1000円くらいするかも」
「いいよ」
「やったー」

今日初めて私に絢佳が笑顔を見せた。

「ならじゃーね」
「ばいばい」

楽しそうにして絢佳が帰って行った。
きっと、私が愚痴愚痴言われているのを気に障っていたんだろう。
でも普段どうりになってくれたら嬉しい。

「ただいま」

再び家に帰って急いで二階へ向かう階段をのぼる。

「なっちゃん、ご飯だよ」
「えー」

ちょうど二階に着いた時、ご飯の時間が来た。

「なっちゃん〜」

さっきの「えー」と言うのが伝わらなかったのかまた名前を呼ばれた。
いつも能天気のお母さんは私を元気にしてくれる。

「いただきまーす」
「今日は、なっちゃんの好物だよ。元気なさそうだったから」

13:ぽち:2015/07/06(月) 22:05 ID:nik


**

私の好物は、あんかけのカラアゲ。
トロトロのあんかけがサックサクのカラアゲにうまい具合にかかっている。

「美味しい〜」
「よかった」
「こんな美味しいカラアゲ作れるのお母さんしかいないよ」
「ちょっと来な」

台所にいたお母さんが呼んだ。

「なに?」
「好きなことに使いな」

お財布から1000円札を取り出して内緒でくれた。
2枚はあるだろう。

「ありがとう」

お金目的で「美味しい」と言ったわけではないが、今度絢佳におごる約束もしたし素直に受け取った。

「さ、食べよっと」

お兄ちゃんに見つからないように貰ったお金を隠す。

「たいくんね、今週に彼女連れてきてくれるんだって」

私のお兄ちゃんの太陽。
菜月の「月」と「太陽」ってことらしい。

「ちょ、母さん、こいつに言わなくたって」
「いいじゃんか」
「なっちゃんは彼氏いないの?」
「いないよ。これからいい人見つけるもん」
「その時は家に連れてきてね」
「うん」

お兄ちゃんに彼女が出来るんだから、私もきっと出来るよね。

「お兄ちゃんの彼女ってどうゆうの?」
「男バレーのマネ」
「てことは部内恋愛じゃん」
「うん」
「していいの?」
「そんなルール学校に存在しない」
「いいなぁ」

お兄ちゃんにあの変なルールのプリントを見せた。

「きもっ」
「なにそれー」
「ほんとに守ってる奴いるんかな」
「いるでしょ」

久しぶりにお兄ちゃんと話した気がする。

14:ぽち:2015/07/13(月) 22:54 ID:Wxo


久々の更新です。
忘れてません、ほんとにここの小説放置したわけじゃなくて、忙しかったんです。
すいません、無駄です、こうゆうの(笑)
その前に、はよ書いて上手くなれよ、てきな(笑)
しっかりちゃっかり書くんで読んで下さいよ?( ̄・ω・ ̄)(笑)



**

急いで二階へ駆け上がり本を開く。
野球のルールは結構分かるが細かいところまでは詳しくない。
中学のとかソフトボールをやっていたが、ソフトボールとはまたルールが違っていたりしてごっちゃになってしまった。
それに、マネージャーはスコアをつけて書いたり、アナウンスを流したり…。

スコアの書き方を学んでみたが、やっぱり難しくてめんどくさいなっと思ってしまう。
でも、マネージャーがやらなきゃ野球に高校生活を掛けることなぞ出来なくなるだろうし、負担にもなる。

「私がやらなきゃ」

自分なりにわかりやすくルールや書き方などをノートにまとめてみたりあやふやのところには付箋を貼ったりした。
きっと、高校受験のときの勉強よりも熱くなっている。
こんなたくさんのことを1人でやるのは可能なのか。
人見知りな私にアナウンスなんてできるのだろうか。
たくさんの不安が日に日に溜まっていく。

「はぁ」

今日はひたすら野球の本と向き合っていたのだから、すごく疲れた。
明日、朝練が待っている。
寝ずに野球を学ぼうとしてカフェインを飲んだが、眠たくなった。

「よし、寝よう」

眠たくなったら、寝る。
寝れなかったら、寝ない。
私は時間を気にして行動するのではなく、自分の意思で行動しようと、高校に入ってから決意した。

15:ぽち:2015/07/13(月) 23:22 ID:08o


**

ピピピ....

目覚まし時計と鳥の鳴き声が私の朝をスタートさせる。
朝練があるから、前よりも30分くらい早く起きることになった。

「なっちゃん、蓮くん来てくれてるわよー」

え。
まだ朝ごはんも食べていないし髪の毛もボサボサのままだしパシャマだし、ピンチ。
前よりも1時間くらい早く起きなきゃいけないな、これからは。

「行ってくる」

慌てて準備をして、菓子パンをカバンに入れて蓮汰と共に学校に行く。
制服とかリボンを持ってきたか忘れた。
忘れてないといいけど。
歩きながら菓子パンを食べると胃が痛い。
喉が乾いてきたりもして、大変。

「おはようございます」

グランドに帽子を外して挨拶と一礼をして練習をする。
マネージャーも挨拶と一礼をしてから仕事をする。
もちろん、朝じゃないときは「お願いします」、帰るときは「ありがとうございました」と言う。

「朝練はマネの仕事はないから、部室の掃除とか野球の本読んだりとかしといて」

主将からの指示。
部室の掃除ってマネージャーの仕事じゃんって思ったけど、やりきるのが鉄則。

男の汗臭くて、ホコリが溜まっている棚、あちらこちらに落ちているボール。
本来なら青色なのに色あせているベンチ。
……完ぺき雑用係。

16:ぽち:2015/07/14(火) 22:50 ID:ZZ6


**

とにかく汚くて、ザ・男子部屋という感じがする。
どこから片付けようか。
取り合えず窓を開けてから、棚やベンチの置物を外に出して床をホウキで砂をとった。
いくら掃いても次から次へと砂が止まらない。

「マネージャー」

まだ部員全員の顔と名前が一致出来ず、覚えきれていない。
2年生だが名前がわからない。

「…はい」

何してるの。という顔をされたので、少しビックリした。

「雨降ってきたよ」

確認の為、窓を見てみると本当に雨が降っていた。
窓は開いていたのに気づかなかった。
掃除なんて乗る気じゃなかったのに、いつの間にか大雨にも関係なく夢中になってやっていた。

「あの…、棚とか入れるの手伝ってもらえますか?」
「んー」

嫌そうな顔を向ける。
野球部はライバル心がありいくら雨が降っていようと負けたくないから自主練をする人が多い。
まだ朝練だが、時間があるのだろう。この人もみんなに負けたくないと思っているはずだ。

「ごめんなさい。大丈夫です。練習頑張ってくださいね」

これがマネージャー。
部員を練習へ送り出し、陰で支える。

「ありがとう」

笑顔で雨の中駆けて練習へ走った。
やっぱり練習がしたかったらしい。
ただ、急いで棚を入れないと木の棚だから腐ってしまう。

「本当に雨やばいじゃん」

部室から出てみると頭に大きな雫がズキズキと刺さる。
重いが入れるのが先。

「うわぁ」

やっと全て入れ終わった。
でもジャージが汚れてしまった。
明日の朝練は棚を拭いたりしよう。

「菜月」

……そこには絢佳が立っていた。

17:ぽち:2015/07/16(木) 15:51 ID:/D.


[独り言。]

思い出してしまった。笑
あの小説のタイトルを見て前に小説書いてたとき、あの人の小説とパクったとか言ってわーわー言われたことを。

私は、あるたくさんの漫画の中から良いところを真似させてもらってただけだから、アンタもその漫画パクっとるやん、みたいな笑

結局私が潰されて書くのやめましたけど。

そりゃ何百とある小説に似てる箇所があるなんて普通でしょ。

すんまそん、愚痴りました(´・ー・`)
スルーして下せぇ。

18:猫又◆Pw:2015/07/16(木) 18:05 ID:srY

 初めましてぽちさん。猫又と申します。
勝手ながら読ませていただきました。
 野球部のマネージャーとして揺れ動く主人公に、とても共感できました。
これからどうなるのか楽しみです。
 応援してます。では、

・追記
 独創的な絵を書いたダリも、ピカソも、人の技術を盗むことに力を入れ、
特にダリは「何も真似したくないと思う者は、何も生み出さない」
という名言を残しています。
 良いところを取り入れたいと願うのは、それだけ一生懸命な証拠だと思いますよ〜。
お節介でしたかね……。長文済みません。

19:ぽち:2015/07/16(木) 22:45 ID:3qk


>>18
⇔猫又様。

初めまして、ぽちです。
ありがとうございます(`・・´)

あ、なるほど!!

本当にありがとうございますm(__)m

20:ぽち:2015/07/16(木) 23:16 ID:Vno


**

「おはよう、絢佳」

前よりは話すようになったが、まだ絢佳との距離は縮まらないままだ。

「一緒に教室行こうよ」

最近では私に全く笑顔を見せなかったが、久しぶりにその可愛い笑顔を見せた。

「着替えるから待って」
「部室入っていい?」

私はコクリと頷いた後、「汚くて臭いけど」と付け加えた。

「菜月のボディー見るのいつ以来だっけ」
「そんな見ないでよ、恥ずかしいじゃん」
「同性だからいいの」

本来ならこんな着替える姿を見せるなんておかしい。
でもなんかその絡みが楽しくて、面白くて、このままでもいいやと思った。
恥ずかしい時間も終わり、教室に向かう。

「ごめんなさい」

絢佳がいきなり頭を下げて謝った。

「私、みんなに流されてた。マネ1人で大変なのに批判するようなこと言っちゃたよね」

私自身、全く気にしていなかった訳でもないが、流される気持ちも分かる。

「気にしないで、私こそごめん」

この日を堺にまた絢佳とは元の関係に戻ることが出来た。

「テニスどう?」
「3年の先輩が引退しちゃってから部活頑張ってきたら、なんとね、次の練習試合出れるの!」

すごくにこやかに私も嬉しくなるくらい笑顔だった。
頑張っていたのは私だけじゃない。
絢佳はそれ以上に努力した人なんだということをやっと気づいた気がした。

「よかったら見に来て」
「いつ?」

来週の土曜日らしい。
部活と被ってないといいが…。

「予定わかんないから、いえ帰ったら連絡するね」
「無理しないで、あくまで練習、試合なんだから」

それでも私は行きたい。
絢佳がテニス部で活躍しているところを見たい。

21:ぽち:2015/07/17(金) 22:56 ID:Ypg


**

野球部の練習はなくて、テニス部の練習試合に行けることになった。

「晴れてよかった…」

雨や曇りが続いていたが、思わぬくらい晴れた。
今まで晴れていなかった分今日真っ晴れで少し暑いくらいの天気。

隣の市だったから、電車で行くことにした。
冷房がすごく効いていて、外に出ると一気に汗が垂れた。

「あの…。隣の市から来たんですけど、テニス部の練習試合ってどこですか?」

テニス部らしきユニホームを着ている人に丁寧に案内してもらった。
そこには、うちの学校のテニス部がいた。
私服を着ている人はあまりいなくて、居心地が悪い。

「菜月ーっ!」

オレンジ色のユニホームを見に着ている絢佳が手を振りながら抱きついてくる。

「来てくれてありがとう」
「応援してるよ」

またまた走ってテニスコートに向かった。
ちょっと、私もテニス部で絢佳とやりたかったという気持ちが現れてきた。
きっと、この試合が終わるまでは『やりたかった』ということは薄れないだろう。

何試合もやり終えたが、絢佳はまだ出てこない。
……絢佳。

そう思っていたさかに、テニスコートに絢佳と敵チームが立っているのが、私の目に入る。
やっと出てきた。

「絢佳ぁぁぁ!!!!頑張れ!!!!!」

私は絢佳が出ることに対して興奮した。
必死になって絢佳を応援する。

「負けんな!絢佳、いけるよ!!」

相手は強く、大差を付けられてしまい、絢佳は諦めかけていたが応援することでしか励ますことが出来なかった。

「ありがとうございました」

絢佳の試合は終わった。

22:ぽち:2015/07/19(日) 23:17 ID:08o


**

「ごめんね、せっかく来てもらったのに負けちゃったよ」

ほんとに申し訳なさそうに謝ってきた。
必ずしも勝敗が付いてしまうスポーツなのだから、仕方がない。

「頑張ってたじゃん!」

テニスをしていた絢佳は、個人戦だったせいもあるかもしれないが、バスケをやっていたときよりものびのびとしていて、カッコよかった。

「ありがとうね」
「うん」
「次は野球部の試合見に行きたいなぁ」
「私、出ないよ」

あとから「マネージャーだから」と言うと、「それでも見てみたい」と話した。

きっと、試合でのマネージャーの仕事よりも、普段の練習の仕事の方が絶対に大変だから見て欲しい。が、興味ないだろう。

「じゃあまたねー」
「気を付けて帰ってね」

わざわざ正門のところまで送ってくれた。
行きと同様、キンキンに冷えた電車に乗って帰った。

「ただいま」

誰もいない家に挨拶をする習慣。

__プルプル

【 蓮汰 】

いきなりの蓮汰からの着信に驚く。

「…はい」
『おい、ちょっと、』

とても焦っているような声で何を伝えたいのかよくわからない。

『あ、あの、拓真、が、』

何か大変なことが起こったのだろう。
こちらまで緊張が走ってくる。

『バットで、殴られた、』
「え?!」

どうして殴られたのか。
……拓真?
2年生だったか1年生だったか、どの顔だったか、わからない自分に腹が立つ。

『どうすれば、いい、?』
「どこ殴られたの?」
『あ、たま』

頭って。
どうしよう。私まで焦りがとまらず冷や汗が出てきた。

「意識は?」
『うっすら、としか』
「どこにいるの?」
『学校』

普段高くて使えないタクシーを呼び急いで学校に行く。
すると、人だかりがありあの中にきっと拓真くんがいるはずだ。

23:のん:2015/07/20(月) 09:09 ID:NSs

初めまして。切支丹物語を書かせ頂いています、のんと申します。
部活。すっごく面白いです!ぽち様の人を惹き付ける文章をいつも楽しみにしております!これからも頑張ってください!
私の小説も読んでいただけると嬉しいです。

24:ぽち:2015/07/20(月) 22:29 ID:DDs


>>23
. ⇔のん様

ありがとうございます!
最後まで読んでもらえると嬉しいです\(°∀° )/

読むのに時間がかかるかもしれませんが、必ずのん様のスレを覗かしてもらいます( *´Q`)

25:ぽち:2015/07/20(月) 22:57 ID:DDs


**

蓮汰が見えた。
予想どうり顔が真っ青で、焦っているのがわかる。
走ってみんなのところまで行く。
あまり状態がわからないから余計に心配になる。

「…蓮汰」
「こいつ、どうしたら、いいか、わかん、ねぇ」

まだ倒れたままだった。
自分では起きられないくらい衝撃があったのか。
意識はあるらしいから、少しだけ安心した。

「取り合えず、私と蓮汰で運べるよね」

保健室へ運ぶしか他に思い付かない。
でも、取り合えず保健室に運んでおけば、薬などたくさん置いてあるし、ベットがあるからずっと安静にすることができるし、何より保健の先生が面倒を見てくれるだろう。

「……よいしょッ」

一斉に持ち上げた。
結構小柄な子で重いといえば重いが、他の男子に比べれば、軽いほうだ。

「急ぐぞ」

小走りぎみになった。
段々と疲れが増し、息切れが止まらない。
蓮汰の手は相変わらず震えが止まっていない。

「保健の先生、拓真がバットで頭を殴られて、倒れちゃって……」

私も焦りが出てきた。
でも本当に保健の先生がいてくれてよかった。

「救急車呼びましょう」

保健室に着いたとたんに救急車を呼ぶことになったのなら、保健室に運ばずにそのまま呼んだほうが早かった気がする。

「なんもないといいけど」

蓮汰は全く反応しない。
窓から外をじっと見ているだけだった。

やっと救急車が到着する。
救急団員の人が保健室にガラガラ引くベットを持って入ってきた。
2人は拓真くんを運んで、1人は保健の先生と話していた。
多分、どうして拓真くんが倒れたかを聞いているんだろう。

「付き添いは先生が行くわね」

私と蓮汰はコクりと頷き、先生と拓真くんは救急車に乗って病院へ向かった。

__無事でありますように。

26:ぽち:2015/07/24(金) 22:21 ID:nR.


なかなか更新できない。

明日こそ時間を作ろう。

27:匿名:2015/08/04(火) 15:32 ID:fL2

一応あげときます。

28:ぽち:2015/08/07(金) 23:33 ID:V.6


>>27.様
ありがとうございます☆



なかなか更新できなくて…
今から書きます!笑

29:ぽち:2015/08/08(土) 00:00 ID:UOI


**

保健室の先生の連絡先なんて知らない為、その後どうなったかなんてわからない。

「無事だといいけど」

蓮汰と私はまだ保健室に残ったまま。
蓮汰は足が動かないだろうし、今どこかへ動いたって行く場所がない。

「大丈夫だろう、強ぇーもん、あいつ」

絶対蓮汰もまた心配しているはずだ。
何かあったら…って考えるよりも大丈夫だと信じ込むのを優先したんだろうか。

「ね、どうして拓真くんは頭を殴られたの?」

一番気に障っていたことだった。
たまたま当たってしまったのか、それともケンカ等のことがあってやられてしまったことなのか。

「2年が素振りしてたところに拓真が通って当たったって感じ」

素振りしていたのが見えなかったのかな。
もう少し回りを見るということを徹底しなければならないと思う。

「だけど、あれはわざとらしかったんだよな」

え…。
見ていた限り2年生と拓真君の間に何かがあったようには思えなかった。

「どういうこと?」

「あいつ、野球上手いからスタメンで出れてない2年が嫉妬していたりもするらしいんだよ」

1、2年合わせて1つのチームじゃん。
嫉妬はどの部活にもあり得ることだ。
だけど、殴ってどうしようと考えていたのだろう。

「じゃあ事故じゃないってこと?」

違うという答えが出て欲しい。

「多分」

「名前ってなんて言うの?」

「……野崎」

野崎、野崎先輩に話を聞いて見ることがマネージャーに唯一出来ることだと思う。

30:ぽち:2015/08/08(土) 00:12 ID:UOI


**

「蓮汰、野崎先輩の番号かなんか知ってる?」

今すぐに話したい。
探偵ごっこなんて思われるだろう。
でも私は犯人探しとかしたいわけじゃない。

「知ってる」

久しぶりに蓮汰が役にたった。
携帯の電話番号を教えてくれたから、とっさに電話を掛ける。

『はい』

野崎先輩の顔が3つくらい色んな人と重なっていたが声を聞いたらなんとなくだがわかった。

「マネージャーの菜月です」

不信感あった声も一気にいつもどうりの声になったから私の名前を聞いてわかってくれたということだろう。

『どうした?マネージャーちゃん』

「いきなりごめんなさい。今って時間ありますか?」

電話からではなく直接話したいと思った。

『いいよー』

軽くオッケーしてくれたから、近くのファストフードで会うことになった。

31:ぽち:2015/08/10(月) 00:46 ID:6Lg


**

「どうなった?」

隣で電話を聞いていた蓮汰。

「今から会おうと思ってるんだけど」

私が会おうとしていることは承知済みだったとは思うが、まさか本当に会うなんて、という顔を見せた。

「俺も行こうか?」

是非とも一緒に行きたかった。が、やはり部員がいると野崎先輩も話しにくいだろう。

「大丈夫」

その後、「ありがとう」と一言を添えると微笑んだ。

「よろしくな!」

後ろを向き自転車に乗り帰ろうとする彼を見送るのが嫌だった。

「送ってって、マックまで遠いから」

遠いというほど遠くはないが、1人で歩くのはなんだか心ぼそかった。

「は?」

「自転車の後ろ乗っけてよ」

まさかそんなこと言うなんて、と自分でも思ったが幼馴染みとしてなら許されるだろう。

「お前体重何キロ?」

それは幼馴染みだからといって答えれるはずない。

「しーくれっつ」

「デブだから言えねーんだろ、デブ」

身長に合っている体重だと思う。多分。
デブではない、お腹もあんまり出ている方ではないと思う。多分。

「いいから乗せて」

無理矢理乗ってみせてしまった。
すると意外にも受け入れたらしく、すぐに漕ぎ始めた。

「重っ」

とかいいながらも進んでいってくれる彼。
前方が見えなくなるまで大きくなった背中に顔をくっつけると、照れて背中が熱くなったように感じた。

「遅いー、早く漕いで」

急がせる私。
いつかは転ぶんじゃないかと心配をしているが、野球部で鍛えた足は私の体重も気にせず進む。

32:ぽち:2015/08/15(土) 00:43 ID:/hs


**

2人で騒いで言い合っていると、あっという間のうちにマックに着いた。

「ありがとう」

乗せてもらった代わりにカバンの中に入っていた、のど飴を2つ渡した。

「よろしくな、マネージャーさん」

トンッ、と肩にタッチをしてきた。

「はい」

マックを覗いてみるとガラス張りになっているところから野崎先輩と目が合ったため、早く向かう。

「蓮汰ばいばい」

大きく手を振り、勢いよく進んでいった自転車を見送る。

「ごめんなさい、いきなり呼び出したりしたりして」

頭を申し訳なさそうに下げ、崎先輩の正面へと座った。

「全然いいけど、どうした?」

私がまさか先輩のことを疑っているなんて知らないだろう。

「あの…拓真くん、バットで殴られちゃって救急車で運ばれて行っちゃったんですけど…」

「うん、それで?」

知らない振りして誤魔化すつもりなのか。

「先輩は拓真くんのことどう思っていたのかなって」

どう答えるのか。
それによってこれからの話の内容が決まってくるだろうし。

「あいつは野球が上手いから尊敬していたよ」

尊敬…。
蓮汰の話によれば、尊敬なぞしていない。
でも全て蓮汰のことを信じているなんてあまりにも不平等すぎるから、それはしないでおこう。

「本当ですか…?私にだけにでもいいから話してくれませんか…?」

33:ぽち:2015/08/15(土) 22:45 ID:3qk


**

「ん……」

先輩とすごく親しい関係でないから、そう簡単に私を信じ、話してくれるとは思わないがこれを機に野球部員みんながマネージャーを頼り、マネージャーだけに話せるというのをこれから作っていきたいと考えている。
だが、その日が来るのは遠いだろう。
でも、部員の中に1人でもマネージャーを頼りにしてくれる人がいれば、今はそれでいいと思えた。

「……拓真くんが上手いってチームにとってプラスじゃないんですか?」

このまま沈黙が続くだろうと思ったから、聞きにくいことを聞いてみる。

「そりゃ少しはあいつのお陰で勝ててるかもしんない、けどよ」

悔しそうに話す彼。
きっとすでにライバル意識を持っているため良いところなんて見つけれない。

「俺は、あいつに負けたくない。あいつより努力してるのに、どうしてあいつばっかり。監督もあいつにしか目がないし」

本当に本当に負けたくない、今現在負けているということを悔しがっていることが伝わってきた。

「努力なんてしていない人いるんですか…?みんな同じように努力しているから私はそれ以上に努力したらきっと今よりももっと上達するんじゃないかなって思います」

でも私はもうひとつ、先輩がどうして試合に出れずにいるかが、今日の話を聞いてわかった気がする。

「つまり俺の努力が足りねーってことか?」

悔しそうにしていた顔が一気に変わった。

34:ぽち:2015/08/20(木) 23:03 ID:0aw


**

「いや、そういう訳じゃないです。でもみんな同じように頑張っているってことです」

上手く言葉として伝えることが難しかった。
だけど、ただただ、聞いて欲しい。
部活をしていて仲良く活動出来ないなんてつまらないだろう。
本人たちはもちろん、回りも嫌だと思う。

「それに、拓真くんは大切な大切なチームメイトですよね。拓真くんのお陰で全ての試合が上手くいくとまではいかないけど、拓真くんがいてこその、この野球部じゃないのかなって私は思いますけどね」

言いたいことを遠慮なくバンバンと吐き出してしまった。

「申し訳ないことしたな、本気で最低だ、俺」

やっとそれがいけないということを認めてくれたというか、わかってくれた。
……少しは心を許してくれたかな。

「拓真くん、今どうなのか私にもわからないんですけど…」

そう言うと、険しい顔になり、今までなんだったんだろうか、全く別人だ。

「ありがとな、マネージャーさん」

ただ言いたいことをただ言っただけなのに、お礼を言われて嬉しくなった。

「また何かあったらいつでも話し聞きますからね」

私も一歩ずつ野球部の頼られるマネージャーとして進みたい。

「ありがと」

その後、LINEのアカウントを交換し合った。
野崎先輩はこれから、もしかするとLINEを通じて相談等してきてくれるのか。

「じゃあ、あいつの状態わかったらまた連絡よろしくな」

もちろんと言うかのように頷いて、先輩と別れた。

……蓮汰に報告しよう。

35:ぽち:2015/08/27(木) 15:03 ID:SbQ


**

iPhoneをカバンから取り出し、LINEを開き、蓮汰を探し出す。
個人トークから,無料通話を掛ける。

『もしもし』

数秒の内に繋がった。
私のことをずっと心配して待ってていてくれたのかな。

「話、聞いてきたよ」

そう報告すると、何やらため息を吐いた。
勝手な予想だが、やはり蓮汰は心配しながら待っていてくれたことだろう。

『なんだって?』

まだまだ私のことを未熟だと思っている蓮汰。
蓮汰に頼られるのは、まだ先のことになるだろうか。

「……野崎先輩が拓真くんをバットで殴ったっぽい」

そう言うと、少しの間黙り続けた。
蓮汰だって、事故だと思いたかっただろう。誰かが悪意を持ってやったなんて、
信じれないし、目を背けたくなることだというのは私も同じだ。

『そっか。やっぱ、嫉妬って怖ぇーな』

蓮汰も野崎先輩が拓真くんに嫉妬していたことを知っているということは、
野球部員もある程度の人は勘づいていることだろう。

「でも、先輩悪いってわかってたよ。だから責めないで欲しい」

もしも、部員がその真実を知ってしまったら、野崎先輩は野球部に居場所がなくなってしまう。
でも、誰か1人でも味方がいたとしたら、少しの居場所はあると思った。
その人が蓮汰であって欲しかった。
蓮汰は話さなくたって、一緒にいるだけで安心できるという魔法の力の持ち主だからだ。

『拓真を傷つけたことは許せない』

承知の上で言ったよ。
誰だって許せないものだってある。でも、野崎先輩も大事な野球部の一員だから。

「許さなくたっていいと思う。だけどもし野崎先輩が野球部にいなくなったらどうなるかわかる?」

蓮汰に間に何もいわせないように続けて話した。

「みんなを支えてくれる人がいなくなっちゃうよ。野球部を明るくしてくれる人がいなくなっちゃう」

ここ数カ月野球部を見てきて、だいたいみんなの個性が見えてくるようになった。
そこで、野崎先輩は試合等はプレーする側ではないが、ベンチを盛り上げてくれたり、
休憩の合間は率先して水を渡したり、ベンチから見て相手の弱点を探し当て、選手に伝えらりしている
姿が見られた。

『……そう。だな』

どうか納得してくれたらしい。
人一倍心が優しい蓮汰ならこの事件も解決してくれることだろう。

「あとは任せた!」

マネージャーの仕事はこれでおしまい。その後は見守るだけ。
蓮汰は「ありがとう」とお礼を言い電話を切った。

「ふー」

なんだか、解決できそうな気がしてきた。
いろんなことがあったが、これを機に野球部の絆がより深まると嬉しい。

36:ぽち:2015/08/27(木) 23:02 ID:jrk


**

解決したことは嬉しいが、拓真くんがどうなったかがまだわからないため、不安が残っているまま、朝練へと向かった。

「おはようございます」

どの部員よりも早く学校へ来たつもりだったが、監督さんの方が早く来てきたらしく、挨拶と一礼をして前を通りすぎた。

「……岡田」

仮入部以来、監督さんには名前なぞ呼ばれたことがないから、いきなりのことで驚きが隠せない。

「早川のことなんだけどな……」

拓真くんのことはもちろん監督さんにも伝わった。
何かを知っているのだろうか。

「無事らしいぞ!」

今までどこか怪しげな顔を見せていたが、笑顔で私に教えてくれた。

「……よかった」

何かあったら、部活が停部になるという噂も回っており、でも無事だと聞いて、その停部というのも取り消されることだろう。

「だが……、野崎が辞めるらしい」

え……。
どうして、どうして、どうして野崎先輩が辞めなければいけないの……?
殴ってしまったのは悪いことだ。
でも辞める必要はないじゃん。
野崎先輩が辞ちゃったら、この野球部がどうなるかなんて想像つくのに。
自分から辞めるって決めたの?それとも誰かが辞めろって責めたの?

「それは、野崎先輩が自分から言いに来たことなんですか?」

という私の問いかけに、監督さんは静かに縦に首を振った。

「え……」

ショックすぎて、訳がわからなくなってしまって、ただ涙が溢れるばかりだった。
他の部員は知っているのだろうか。
誰か説得してほしい。
マネージャーの出番はこれで終わりにしようと決めた。
だけど、辞めてしまうなんて黙ってはいられない。

37:ぽち:2015/08/28(金) 23:13 ID:08o


**

瞬時に思い付いたのか、私は反射的にiPhoneから蓮汰の名前を探していた。

「ダメだ、、、」

電話を掛けようとしたが、蓮汰に頼ってばかりで自分1人でやりきったことがない。
私が先輩のことについて勝手に首を突っ込んだから、最後までやらなければならない。

「あ」

そういえば、野崎先輩の連絡先を交換したからLINE通話ならできる。
先輩がどこかへ行ってしまうんじゃないかと考えると焦ってばかりで手が震えてなかなか着信が押せない。

__プルプル

固まっているままでいると、iPhoneが震えた。
誰かからの着信らしい。

「……は、はい」

誰かも見ずに、とっさに電話に出た。

『わかる?俺だけど』

この声はもしかして……
と思い、耳に当てたiPhoneを離し、画面を見た。

【 野崎 】

知り合いでは野崎とは、野球部の野崎先輩しかいないし、声も確かに野崎先輩だった。
誰か確認し終えると、また自分の耳へとiPhoneを戻した。

『俺……、部活辞めた。色々と話聞いてくれてありがとな、マネージャー』

丁度電話しようとしていたし、それに、手が震えてなかなか電話を掛けれなかったから、掛けてきてくれてよかった。
先輩は辞めることに対してもういいと思っているだろう。
でも、辞めてほしくない。
少しでも辞めたくないと心が揺らいだらそれでいいのかなとも思い始めた。

「監督さんに聞きました。でも私は野球部には先輩がいないと野球部じゃなくなっちゃうと思うんです」

電話からだから相手がどんな顔をして、話を聞いているのかわからない。
もしかしたら、こんなくだらい話をされて、年下に説教っぽいことをされて、苛ついているだろうか。
それともバカにして笑っているのだろうか。
やっぱり説得するには、私の力不足かな。

『俺がいても、チームが悪くなるだけだから』

悪くなるわけない。
先輩が拓真くんに嫉妬していることはみんな知っているのはずだ。
なのにここまで仲良くやっていけたということは、先輩が原因ではない。

「絶対にそんなことないです!」

それ以上先輩に話をしても、今日は揺らがない。
だから、それだけハッキリ言って、電話を切った。

38:颯:2015/08/30(日) 14:59 ID:MrA

ぽちさんこんにちは。「部活」読ませていただきました。
第一印象としては描写抜けの多い作品だと感じました。例えば冒頭で「幼馴染みの蓮汰。 家が近いこともあって、会うと2人で帰ったりもする」という文がありますが、これは帰ったりもする習慣を書いているだけで「今は」「どう」なのかという「いつ」「どうした」に当たる部分が書かれていません。
その他上げてゆけばキリがありませんが特に目についた描写抜けは「また部活の話題。
なんか情けなく思えてくる」といった「だれが」の部分が抜けている文が多かったです。

また終盤に使われていた「〜ていることだろう」のような表現のズレも目立ちました。
(していることだろう。という言葉は「〜に違いない」という断定、決めつけの意味があるので、「〜だろうか?」という意味で使うのは少し無理があります)

ただ、ストーリーにはとても引きつけられました。作者様にそういった経験があるのかは分かりませんが、主人公が野球部のマネージャーとして揺れ動き変化して行くさまは、とても繊細で心動かされるものがありました。
だからこそ惜しい。その場の雰囲気、状況も合せてしっかりと正しく書き込めば、もっと主人公に感情移入できるのに! というのが私の個人的な感想です。

39:ぽち:2015/08/30(日) 22:15 ID:Vno


>>38 楓様.

なるほど…。
確かに詳しく書かれていないですね。

ほんとに楓様のアドバイスは参考になります!

ありがとうございます!

ぜひ完結したらまた読んで頂けると嬉しいです´ω`*

40:ひぃぽぽ:2015/08/30(日) 22:46 ID:y/2

読みましたぁー!
やっぱ文才ありますよ!!
すごいおもしろいですし!
続き気になります。。。
またちょくちょくコメントします♪
頑張ってください!!

41:ちぃぽぽ*:2015/08/30(日) 22:47 ID:y/2

>>40
ちぃぽぽ*ですw

42:ぽち:2015/08/30(日) 22:53 ID:Vno


**

諦めたというか、やはりマネージャーが前に出て解決することではない。
部員はみんな野崎先輩と野球をしたいはず。
だから、部活の一番に偉い人に任せて、私は陰から見守ることにした。

丁度大人数で喋りながら部員が部活に来て、来るはずの部員は全て揃った。
わいわい笑いながら来ているのだから、当然この野球部から1人いなくなってしまったことなんて知らないだろう。
それに、今からそんなこと聞かされるなんて想像もしていないだろう。

「全員集合しろー!!」

監督さんのその言葉にみんなはこちらへ振り向いた。
ついでに、私にも来い、というかのように、手招きした。

「「はいっ」」

返事をし、こちらへ駆け足で集合する。
被っていた野球帽を取り、監督さんに一礼をしてからまた野球帽を元の位置へと直し、監督さんの言葉を待つ姿勢を見せた。

「早川の話だが、何があったのか知っているだろ?あいつ何もないらしいぞ。よかったな」

ザワザワし始めた。
時より笑顔を見せる。
やっぱり、拓真くんも大事な部員の1人だもんね。

「それと、マネージャーから話があるらしい」

……え……?
いきなりの振りすぎて固まってしまう。
私、何か話したいことがあるから時間をくれって頼み事したっけ。
でも、だいたいわかった気がする。

「じゃ、俺予定あるからマネージャーの話終わったら自主練…は危険だから、自由にしろ」

これは、監督さんからの合図だろう。
「ありがとうございます」と口パクで伝えるとスルーされた。
私と部員は監督さんに頭を下げ、一瞬微笑んでグラウンドを出ていった。

43:ぽち:2015/08/30(日) 22:55 ID:Wxo


>>40 ちぃぽぽ* 様

ありがとうございます!
いや〜、嬉しいです 笑

これからもよろしくお願いします))

44:+☆日和 まふ:2015/09/01(火) 09:04 ID:MIo


きました(`・ω・)ノ

面白いですね!
菜月ちゃん いい子すぎだろ...

野崎さんやめても良い(((((
なんてw

部内恋愛、だめなのか!
私の部活そんなのないぜー

更新まってます!

45:ぽち:2015/09/02(水) 21:46 ID:0aw


>>44 :+☆日和 様

ありがとうございます☆"

これからもよろしくお願いします( ーuー´) ←

46:ぽち:2015/09/02(水) 22:17 ID:0aw


**

部員のみんなはこちらをジッーっと見つめ、早く話して自由にさせろ、というのを示してきた。

「あ、あの、」

誰も喋らず静まり返っているその場で話すことになる。緊張して声が震えてしまっているのが、自分でもわかる。

「野崎先輩のことなんですけど……」

主将の顔を見ながら話しているとガッツポーズをしてくれて、話し終わったらこの人に任せよう。

「私が辞めないでとお願いしても全く効果なかったんですよ、だから一緒に……」

私がまだ話している途中の時だった。

「あぁ、いいよ」

主将が答えてくれた。
1年生の中には、反対する人もちょこちょこいた。
その気持ちもわからなくはない。
だって同じ学年の人だから。
でも、野崎先輩も同じ野球部の仲間だから……。

「……でもどうしたらいいのかわからないんです」

私には出来ないけど、仲間なら出来ることならあれかも知れない。

「監督が自由時間くれたのってこのためなんじゃない?!て、ことで今から野崎呼び出すか」

主将は私と同じことを思っていた。
納得するように、私は大きく頷いた。
そして、呼び出して話すことにした。
反対していた1年もさすがに先輩に逆らうことができず、結果、会って説得することとなった。

「今から来るらしいよ」

主将が野崎先輩に電話をしてくれて会うことが出来るようだ。

47:ぽち:2015/09/05(土) 22:57 ID:/D.


**

みんな落ち着かないまま、野崎先輩が来るのを待った。
家がどこにあるかは知らないが、結構学校から近いらしいから早く来ると思っていたけど30分経っても来ないままだ。

「おっせーな、あいつ」

辺りは待ちくたびれ、今まで立って待っていた部員も今はほとんどの人が座っていた。
ただ、主将だけは違った。
ずっと立っており、疲れなど見せず、野崎先輩が来るであろう門の方を眺めていた。

……あ 。

その時だった。
主将と反対の門を見てみると野球着を着ている人の姿が私の目に映った。

「主将」

そう呼んでも反応はなく気付いていない様子だったから肩をそっと叩いた。

「わぁ、どうした」

相当真剣に眺めていたのか、いきなり肩を叩いたことで驚いた。

「あれ……」

野球着を着ている野崎先輩らしき人を指差す。

「来た!来たよ、みんな」

不安そうな目は一気にキラキラと輝いて見せる。
部員もその主将と同じかというように一斉に立ち上がり嬉しそうに微笑み、野崎先輩がこちらへ向かってくるのをひたすら待つ。

「よぉ」

野崎先輩はこちらへたどり着き、声を発した。
変わらない、いつもどうり声だったが、みんなに会えて嬉しいのか前に会った時よりも素敵な声だったように感じた。

「まぁ座ろうか」

その発言に再びグラウンドに座りこんだ。
野崎先輩を囲うようにしてみせた。

48:ぽち:2015/09/11(金) 17:32 ID:19.


更新遅いですよね┃ω・`)

高校受験が待ってるのでお勉強もやらなきゃいけないんです `¨´
((と、言いつつも勉強なんてやってないけど笑))

時間見つけて必ず更新します!!

誰か見てくれている人がいるかもわかんないのに、いる感じで書いちゃいました( ̄▽ ̄)笑

49:ぽち:2015/09/11(金) 22:29 ID:6TI


**

誰も話を切り開くことが出来ず、沈黙と共に重い空気が流れている。
野崎先輩もだいたい何をうちらが考えているなんて察しているだろう。

「俺、みんなで野球がしたいっす」

そんな中、口を開いたのは蓮汰だった。
1年生だろうが、スタメンでなくたって、言いたいことをぶつけ合い、そういうことで時にはケンカをしたがみんなが素直になることでこのチームを本当に良くしてきた。

「俺もそう思う。みんなが揃わなかったらこのチームは出来上がらない」

続くように、主将は立ち上がり私が思っていたことをそのまんま言ってくれたような。

「遅れてすいません!」

後ろからあの人かな、と思うような声が聞こえた。

「おい……」

野崎先輩がやっとか、というように、口をようやく開いた。
そこには、頭に包帯のようなものを巻いている拓真くんが立っていた。

「遅せーわ、拓真」

蓮汰はそう言ったが、顔は驚いているように思えたのは気のせいか。
多分、蓮汰も含め部員全員知らなかっただろう。
もちろん私も知らなかった。
だとしたら、これも監督の仕組みなのか。

「よし、拓真が今どう思ってるか吐き出せ」

主将が笑顔でそう提案すると「はい」というかのように大きく縦に頷いた。

50:わをん◆kI:2015/09/12(土) 07:52 ID:3E6

ぼちさん!
この小説出来たときからみさせてもらってます!
とてもおもしろい作品です!
これからも愛読させてもらいます!
勉強も頑張ってね!


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