君の背中に

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1:柚音:2015/06/27(土) 19:55 ID:QdU


〜prologue〜


 大好きな君の背中に、今日もまた一言だけ呟いてみる。
 聞こえないように、聞こえないように、誰も居ない時にそおっと小さな声で。

「ねえ、大好きだよ?」

 君に届くはずもないって。私は自分でも笑っちゃうくらいの臆病ものかもしれない。それでも、
何かが届くと信じて、少し離れた君の背中に今日もまた呟いてみる。


「君の背中に羽を……」

17:柚音:2015/07/12(日) 23:30 ID:QdU



 
 そこで、大げさなほどの大きな溜め息が聞こえた。


「会長、席に戻れ」

 日向の声が生徒会室に広がる。
 生徒会長が怪訝な顔をして日向を見る。

「戻れって…言ってんだろ」

 日向の低くて、一層不機嫌になった声が伝わった瞬間、会長は急いで席に戻った。
 日向は席を立って私の方に寄ってきた。
 そして、生徒会室に居る人を見回し、言った。


「言ったよな、そういうのは美術部に頼みに行けばいいって」

「いや、私は何処の部活にも手を借りずに、この仕事を―――」

「その考え方が腐ってんだよ」

 食いつく会長を、日向は言葉で突き放した。

「結局力を借りるのは変わらねえじゃねえか。こんな大会前に失礼だと思わないのかよ」

「そんな事言うなら、日向が書けばいいじゃない。 そんなに理音をかばうなら」

 美恵子が体を仰け反らせながら、日向を見た。


「他人事のように言うけど、絵を描くのも元はお前の仕事だろ。 俺に字の方を書けって言ったのも
 お前だろ? 少しは自分の発言に責任持てよ」

 美恵子が一瞬口ごもった時を突いて、日向が生徒会室のドアを開け、私に「出るぞ」と目で合図した。

18:柚音:2015/07/12(日) 23:51 ID:QdU



――――――――――――――――――――

誤字が多いですね……すみません。。。
>>16の一番最後の行、

「声の古江」ではなく、「声の震え」 です…

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19:榊 美弥俚:2015/07/13(月) 20:05 ID:ZoA

読ませていただきました。
私は、好きな方の作品で、書き方もいいと思いました。
ひとつだけ言うのならば、最初の人物紹介ですかね?
あそこでは、あまり感情表現は入れない方がいいと思います。
まぁ、駄作を書いている私の評価など、バカが見るとこんな感じか…
と位に思ってて下さい。
頑張って下さい

20:柚音:2015/07/13(月) 23:10 ID:QdU



バ…バカなどと、滅相もない!!

評価ありがとうございました。
指摘されたところ、改善していきたいです。

これからも読者として見ていただければ嬉しいです!

21:柚音:2015/07/13(月) 23:54 ID:QdU




 生徒会室のドアを乱暴に閉めて、廊下を進んでいく日向に早足で付いていく。

「あの、ひゅう――」

「俺、あいつら嫌い。 仕事しないし」

 日向が露骨に嫌そうな顔をしたのが、見なくても分かる。
 こういう時の日向の考えている事が分からない。
 ただ、仕事を忠実にこなさないメンバーに腹を立てたのか、私をかばってくれたのか。

 でも、お礼は言っておかないとかな。

「助かったよ。 ありがとね」

 
 背中を向けていた日向は、ゆっくりと振り返り、今度は優しく笑みを浮かべて言った。

「無理しなくていいから」 

 その時の顔をじっと見つめていられなくて、すぐに視線を反らしてしまった。
 …格好良すぎた。

 今頃、生徒会室では日向の悪口大会になっているだろう。
 それでもお構い無しに、正義を貫いてここに居てくれる、そんな日向が眩しかった。

「日向も無理しないでね。 仕事、頑張って」

「おう」

 生徒会室に戻っていく日向の背中を見つめた。
 見ているのがばれてしまうと面倒な事になるから、私も数歩歩いて、振り返る。

 そっと、確実に聞こえないくらい小さな声で呟いた。

「好きだよ、日向」

 今は伝えられないけどね、いつか絶対に伝えるよ。
 また、心臓がズキンッと痛くなった。
 
 それに対抗するように、無理に笑みを作ってみる。

 常に持ち歩いている生徒手帳を取り出し、附属のペンでメモのページに書き込んだ。



「君の背中に信頼を…」





第一章 1つの想い  ・完・


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