文才上げるために書く短編集 (失踪する可能性あり)

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1:ムクロ:2015/11/01(日) 19:37 ID:3uI

短編を書くだけ。それだけ。ファンタジーもあればリアルもあり。シリアスもあればシリアルもあり。
ただし、文才を上げるために書くだけのスレなので失踪する可能性あり。
とりあえず、>>10を目指す。
>>10までいけたら>>50目指す。

19:ムクロ:2015/11/15(日) 22:41 ID:3uI

>>18の続きです
___________

あの汚らわしいものを見るような目から、優しい目付きへ。

「僕はアルカロイド」
「さっき聞いた。毒だっけか?」
「そう、毒。天使なのにね。僕は落ちこぼれ。落ちこぼれの天使は、他の天使たちを道連れにしようとする毒なんだ」

そうか。だから優しい目に変わったんだ。
同類だと思って。同情して。傷を舐め合おうとして。
ムカつく。

「やっぱムカつく!!お前なんなんだよ!!あんなに凄い魔術を呪文無しで使ってオレを同類と見るなよ!!最低だ!!」
「なっ……ぼ、僕は落ちこぼれなんだ!!それに、今僕は君の願いを__」
「うっせえ、お前のどこが落ちこぼれなんだよ!!」

アルカロイドは自分の翼を撫でた。
あぁ、あの翼か。
あの歪な翼が落ちこぼれの原因なのか。

「落ちこぼれというより、ただの偏見さ。翼が歪な天使は悪魔。その考えが悪魔だと言うのに。君が僕の翼を引っ張ったとき、昔のいじめを思い出してね」

____だから発狂したんだ。

周りの人々の叫び声が煩い。
けど、小さい声でもアルカロイドの声は聞こえた。

「気づけば天界から落とされ、あの枯れ井戸の中にいた。君の投げ捨てた丸めてあった羊皮紙を見て、君のことを知った」
「同じ落ちこぼれだと思ったのか?なのにあんな……まぁ、それはいい。翼が歪でも、あんな魔術を使えるんだから、お前って凄いんじゃないのか?落ちこぼれじゃないんじゃ__」
「君も分かるだろ?今君に浴びせられている声は、僕も浴びせられた。ああいうやつらは嫌いだ。だから今報復してやるのさ。君に僕の全ての力を捧げる」

つき出された右手からどす黒い煙のようなものが出てくる。
それを見た人々はどのように解釈したのか、笑い出した。狂喜に満ちている。
そんなに、落ちこぼれが苦しむ様を見たいのか。
オレは悔しくなって下唇を噛んだ。

「なぁ、ロー・ルッタン。君に力を全て捧げるということは、僕は生きるための力さえも捧げるということ。そしたら僕は消える」

突然の言葉に、言葉を無くす。
消える?消えるだって?オレに力を全て捧げて消える?
オレのために?

右手から出てくる黒い煙は、オレの体を徐々に覆っていった。

「この黒いのは僕の気持ちを反映した力だよ。……ねぇ、お願い。僕__ワタシの力で、ああいうやつらに報復してくれ」

___復讐、してくれないかな……?

震える声でアルカロイドが言った。
そして、黒い煙は完全にオレの体を覆いつくし、周りが見えなくなる。
見えるとすれば黒だけ。

「お、おい、アルカロイド?」

呼び掛けると、震える声が返ってきた。

「僕という毒がいたことを忘れないで」

目の前が晴れる。
そこにはアルカロイドは居なく、さっきまでうるさかった人々は静まりかえって、オレを見つめている。

背中にある違和感。
背中に力を入れると、何かが動く音がする。そういう感覚もする。
背中を見れば、そこにはアルカロイドと同じ歪な翼があった。

20:ムクロ:2015/11/16(月) 18:37 ID:3uI

授業中。隣の席のやつは、今日も落書き中だ。


隣の席のやつの名前は斎藤イツキ。女子だ。顔はまぁ普通。運動神経は体育祭のを見る限り、多分悪い。成績はと言うと___。

「んじゃ〜……斎藤。これ、解いてみろ」
「う、え、あ、ハイッ!」

えぇ、なんだっけかな〜とか言いながら、ひきつった笑いを浮かべながら教科書を捲る。
頭を軽くかきながら「分かりません」と答える。
おさげにされた髪はところどころ乱れていて、彼女がガサツであることが見てとれる。
ガサツでもやっぱり女子なのだろう。
言葉使いも見た目も確実に女子だった。
特に、女子は器用だから絵が上手いなどよく言われるが、斎藤イツキの場合は器用なんてほどじゃなく、凄い絵が上手かった。
で、絵が上手い人ほどノートに落書きをするという俺の考えは当たっていた。
彼女はとにかく授業中にノートに落書きをして、授業に集中していない。
結果成績は悪い。

「あー……分かるわけないのにー……」
「落書きしてるからだろ」

ぶっきらぼうに言ってやれば、「はぁ?」という声が返ってくる。

「なに、それ。酷いよ。落書きじゃないのに……」
「あー、ハイハイそうですねー」
「ちょ、宮原くん!?勝手に消さないでよう」

とても上手く描けているアニメかなんかのキャラクターを小さくなった消しゴムで雑に消す。
隣からは絶望の声が。

「わたっ、わたしの描いたゆうちゃんがぁー……」

ゆうちゃん、というのがこのキャラクターの名前か。
覚えといても意味などないけど。

斎藤イツキはつまらなそうに板書し始めた。最初からそうしてればいいものを。
消すのをやめて俺も板書をし始める。

が、数分とたたないうちに隣から清々しいほど綺麗なリズムが聞こえてくる。
シャッシャッシャッ、シャシャシャシャッ。
シャーペンの芯の音が気持ち良い。
……じゃなくてだ。

「うぁー!わたしのかなちゃんがぁー……」

無言で落書きを消す。
今度は女子を描いていたのか。わざわざ名前言うのやめろ。喋るのやめろ。先生に見られる。成績落ちる。

「宮原くん最低」
「あっそ」

これが、俺と彼女の授業中の光景だったりする。

「あ、ちょ、宮原くん。勝手に消さないでよ。わたしの最高傑作のアルカロイドがぁー」
「無駄に上手い絵を描くな。消しづらい」

21:ムクロ:2015/11/21(土) 18:15 ID:3uI

__なぜだ!!なぜ私の考えを理解してくれる人がいない!?

ダンッと机を右の拳で叩き、空いていた左手で髪をぐしゃぐしゃにした。
もともとぐしゃぐしゃだった髪は、余計ぐしゃぐしゃになり、アフロみたくなった。
それでも私は気にせず、髪をぐしゃぐしゃにかきまわした。

「そう怒らないのぉ、ヒカリちゃん」
「そうそう。ヒカリちゃんの考えを理解するのは、普通の人にとっては無理なのよ」
「あと何千年かたてば、皆分かってくれるわよ」

私の机の前で将棋をする男……いや、女二人は笑いながら言った。
それに神経が逆撫でされ、私は奇声をあげた。
女とも男ともとれない二人は、その奇声に笑いながら将棋を続けた。

「まぁ、ヒカリちゃんは特別だものねぇ」
「ねぇ」
「二人も特別過ぎるわ!!やっと私の考えを五割ほど理解できる人が見つかったと思ったらオネエよ!?オネエって特別じゃないの!!」

__色々と。

二人は笑いながら「そうねぇ」と言った。
私はまた机を叩いた。

そもそも、どうしてこうなったのか。
全ては私の『考え』を理解できないやつらのせいなのだ。
私の『考え』というのは、人間は皆軽い多重人格者なのだということだ。
よくテレビや本で「人生を楽しくしたいのなら、プラス思考になりましょう」と言われる。
もともとネガティブ思考で何年も生きてきた人に向かって考えを、思考を変えろというのだ。
私はそんなもの無理だと言った。
思考を変えるということは、人格をまるっきり変えるということ。『自分』という存在を否定して、その正反対の存在になれということ。
その一言は、ネガティブ思考の人々を否定したのだ。彼らがどんな思いで生活してきたか、生きてきたかも知らずに。
彼らの人生を悪いものと捉え、自分勝手に言い放ったのだ。それが、幸せになるための最良の手段でないのに。

……けれど。
けれど、実は人間というものは不思議な生き物であって、その環境に慣れるために思考を僅かに変える。
話す人が変われば態度や気持ちが変わるのもそうだ。
思考を変えるというのは、違う人格になるということだと私は考える。
つまり、上のようなことを人間のほとんどがしているということは、『人間は皆軽い多重人格』だということ。
で、それをテレビ番組で言ってみたら____

『そんなわけないじゃないですかぁ〜!やだ〜ヒカリさん面白い〜』

あの甲高く、甘ったるい喋り方を思い出しただけで虫酸が走る!!

「あれがアイドルなんて信じられない!!アイドルはあんなんじゃダメだろう!!この国はどうなってるの!?」
「え、やだ。どうしたのヒカリちゃん。また昨日の思い出したの?」
「あれは大変だったわよねぇ。あそこでヒカリちゃんが暴れなくて良かったわぁ〜」
「「ねぇ〜」」

なんでだ……なぜ、私の考えをあんなやつに否定されなきゃいけないんだ。
あのアイドルのおかげで、ずいぶん笑われたというのに!!なぜ、この二人はアイドルに向かって怒らないんだ!!
あんたら、一応私の父親とその恋人でしょう!?

「んやだっ!!ヒカリちゃんたら、まぁた目を恐くしちゃって!!」
「ダメよぉ、もう。ヒカリちゃんは笑ってるほうが可愛いのにぃ」
「うっさいわ!!父さん、そんな甘ったるい喋りをしないで!!アイドル思い出すじゃない!!」

机に置いてあった箱ティッシュを父さんに投げる。
父さんはスッと避けて、「王手」と言う。

「あらまぁ!!アタシの負けぇ〜?」
「きよちゃんは弱いのよねぇ」

ああ、イライラする!!
どうして理解してくれる人がオネエなの!?

髪をぐしゃぐしゃにしながら、貧乏揺すりをした。

22:ムクロ:2015/11/24(火) 21:24 ID:3uI

「おほ、おほほほ……この子、ちょっと想像力が豊かでして〜」
「まぁそうなの!想像力は大事ですものね〜!」
「そうですよね〜!」

目の前の大人が冷や汗をかきながら笑っている。
そんな大人と手を繋ぎたくなくて、私はその手から小さな私の手を放し、冷めた目で目の前の大人と、その大人と喋っている大人を見た。

コイツらは、いつになったら頭が良くなるのだろう。



「はーちゃん、はーちゃん。あんなこと言っちゃダメでしょう?お母さんね、とても恥ずかしかったのよ?」

優しく言う私の母。テレビを見て機嫌の良い私なら、言うことを聞いてくれると思ったのだろう。
だが残念。私はテレビなんぞに機嫌を良くするような人間ではないし、母のようなバカではないので言うことを聞くわけがない。

母は「あのねぇ……」と言った。
少し苛立ちが入っている。これは面倒臭いな。

「はーちゃん、アナタ何歳?まだ七歳でしょう?年齢が中身と釣り合ってない。確かにアナタは良い子だけど、さすがに七歳には思えないし、話し方だって……」
「お母さんがそういう喋り方だから大人びた喋り方になってしまったんじゃないか。あぁ、あとは本の影響かな。私はバカじゃないんでね。きみ……お母さんのような人の考えがよくわからない。理解できないな。そもそも、あれのどこが問題ある発言だったのだろう?問題ある発言だという、ただの思い込みじゃないのか?」

お母さんが「はーちゃん!!」と声を荒げた。

「お母さんはそんなことを言う子供に育てたつもりはありませんよ!?」
「そういう思い込みは止めたほうが身のためだろうな」
「アナタ、あのときなんて言ったか覚えてる!?そのようなことを言うのなら、小学生から勉強する方が良いだろう、それとも君のような野蛮人は小学生ではなく胎児から〜なんちゃらかんちゃら〜って!!そんなことを言ったのよ!?問題あるじゃない!!自分で自分の悪さを認めなさい!!ろくな大人になれないわよ!!」

ろくな大人になれない……。
少なくとも、目の前で大声を出すような大人にはなりたくないものだ。
そもそも発言に年などいるだろうか?
そもそも悪さとは?大人とは?
なぁ、私はこんな大人モドキと喋っていて、交流していて良いのだろうか。
私としては嫌だ。
きっと、この人の言うろくな大人にはなれないだろう。

私はテレビの電源を消し、トタタタと部屋を出た。
「待ちなさい!!」なんて声が聞こえるけれど、どうでも良かった。

自分の部屋に行き、机や本棚を動かしてバリケードを作る。と言っても、ドアを開かないようにするだけだし、そこまで数も多くないが。
ドタドタという音が聞こえるがどうでもいい。

「開けなさい、開けなさい、はーちゃん!!」

はーちゃん、はーちゃん、とうるさい女だ。私の名前がこの女につけられなくて良かった。
父は聡明だし、私の考えも理解してくれる頭の良い人だ。父に名付けられて良かった。
あぁ、本当に。
母に似なくて、母に名前をつけてもらわなくて良かった。

「はーちゃん!!はーちゃんはーちゃんはーちゃん!!」
「私に構うな、ヒステリック女」

23:ムクロ:2015/11/28(土) 23:44 ID:3uI

アタシの名前は宮原 春樹。男っぽい名前なんて言わせないわ。
春の樹のように綺麗な花を咲かせ、元気な子になりますようにっていう素敵な意味が込められているんだもの。
からかうやつは許さない。たとえ友達だろうと親戚だろうと。
実際に昔、クラスメイトに名前をバカにされたとき、その子を殴ってしまった。
その時とてもやんちゃだったってこともあるかもしれないけど、それ以来、誰もアタシの名前をバカにしたりからかうやつは居なくなった。
嬉しい限りだ。
そんな素敵な名前の通り、樹のように育ったアタシは今や若い教師。
パソコン部という、やる気のない部活の顧問と社会科教師として頑張っている。
そして、そんなアタシには秘密があった。

【ハルノキさんへ
素敵です!!どの作品もキャラクターたちの心情が細やかに表現されていてとても気に入りました!!
キリ番踏んだので、リクエストさせて下さい!!
このサイト推しのいつもの二人の現代パラレルで!!
    SAYURI】

ふむふむ。現代パロね、いいじゃないの。

部活に持ってきていた自分のノートパソコン。そのノートパソコンを開けて自分の二次創作専用サイトに言ってみると、リクエストについてのメールが来ていた。
もちろん、要望通り書かねばなるまい。我がサイト推しの二人はとある作品のボーイズラブカップリングだ。
だがしかし、公式じゃない。あくまで二次創作なのだ。
アタシはメールを送ってきてくれた『SAYURI』さんに簡単に返信すると、早速リクエスト小説の制作に取りかかった。

……そう、アタシはいわゆる根本まで腐った女子、腐女子なのである。

「せんせー、パソ固まりましたー」
「あー、はいはいー」

ちなみに、生徒には内緒だ。


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