『ごめんね……』
その言葉を最後に、君はいなくなった。
不思議と僕は……
君が誰か、わからない。
3年前。
僕が中学3年生だった時、不思議な転校生がやってきた。
その子は2週間だけ、僕らのクラスメイトになった。
名は、月海和という。
特徴的な名前だったから、よく覚えている。
夏だったのに、長い黒髪をずっとおろしていた。
すっきりとした前髪の下に見える顔は整っていて、男子たちはいつ髪を上げるのかわくわくしていた。
その頃、僕は俗にいう【ガリ勉】で、女の子のことなんて興味を持ってなかった。
もちろん、月海和にも。
Character☁
高江 陽太 Takae Yuuta
雲海 月海和 Unnkai Ruuwa
偶然にも、僕と月海和は隣の席に……
にはならなかった。
でも僕は、月海和に恋をしたんだ。
きっかけは、委員会だった。
僕は栽培委員だったのだけれど、月海和も栽培委員会に入った。
小さい時から植物は好きで、小学生の時は環境委員会だった。
最初は、何も喋らない月海和にイライラするばかり。
月海和が植物に水をあげていた時、あいつは笑ってた。
その笑顔は、今でも忘れられない。
そんな月海和は、親の転勤が続いて……という理由で、他県へ引っ越してしまった。
ほとんどの男子が告白し、夢破れた。
僕も告白しようと思ってた。
でもみんな振られてて、告白しても意味ないと思った僕は、その気持ちをぐっと抑えた。
最後に握手した時……
涙が出そうになって、目尻に力を入れてわざとそっけなくした。
そんな月海和と、またこの時期に会うなんて。
思いもしてなかった。
高3の夏といえば、青春真っ盛りだけれど。
友達は彼女とでかけてて、正直暇だ。
この暑いのに、先生はなかなか冷房をつけないものだから、皆保冷剤やらなんやらを隠し持っている。
そんな時に、1人の転校生がやってきた。
名を、月海和という。
なかなか可愛い子だなぁ、と思った。
髪はシンプルにまとめていて、それが整った顔を引き立てている。
月海和は、僕の1つ前の席になった。
最初に席についた時、月海和は小さな声で
「陽太……くん?」
と言った。
なんで僕の名前を……知ってるんだろう。
「初対面だよね?」
僕が聞くと、
「あ……、えっと……ごめん、人違いかも」
月海和は少ししどろもどろになって、目線をずらす。
そう。今、僕は月海和を覚えていないんだ。
月海和はいつも、ある時間に姿を消す。
気になってついていくと、月海和の手にはじょうろがあった。
ん?と思いもう少し覗いていると、月海和は花壇の方に歩いて水をあげる。
このとき……なんだか見覚えのある笑顔が僕の目に映った。
一瞬だけ、記憶が蘇る。
あれ……。
僕、こいつのこと好きだった……?。¥
最後のやつは誤爆です。すみませんm(__)m
9:珱り:2016/09/16(金) 18:44 気づくとそこはベットだった。
「保健室……?」
「そうだよ。大丈夫?倒れてたらしいよ……。暑さだと思うけどねえ。」
「しっかりしろって〜!」
「まあ、何事も無くてよかったよ」
養護の先生、友達、担任の先生。
みんな心配してくれたんだ……。
「お前〜、校舎裏でなにしてたんだよ?」
「それは……っ」
それは……っ。
なに……してたんだっけ……?
教室に戻り席につくと、月海和が振り返る。
「大丈夫?しんどかったら言って?」
「ありがと……でも、暑さで倒れただけだから、多分大丈夫」
僕の言葉に、月海和はでも……と言いたげだったが、諦めて前を向く。
僕、ほんとに何してたんだろ。
+Character☁
小林 幸亜 Kobayasi Yukia
コメントは随時受け付け中です(*^^*)
ただ、雑談は控えていただけると嬉しいです
陽太どうしたんだろう。
そう思うことが増えてきた。
私は、陽太のことが好きで、この高校を選んだ。
私と陽太は幼馴染。
でも、最近の陽太はなんか……、変。
何かに取り憑かれているみたいだ。
思い当たることといえば、雲海さんだ。
雲海さんが転校してきた時から、いつもなにかを考えてるような気がする。
なにかあったんだうか……。
夏休みが終わり、秋になった。
この高校では、夏休みが終わるとすぐに林間学校というイベントが有る。
男女4人グループで新種の虫を探そうという趣旨だ。
ペア決めのとき、ちらっと月海和を見ると、1人でいた。
「なあ、雲海入れね?」
僕が提案すると、すでにグループとして決まっていた幸亜と考祐は快く受け入れてくれた。
「雲海、僕らのグループに入らない?」
「え……、いいの?」
ちょっと困惑気味な月海和だったが、その後幸亜が
「何いってんの〜、全然オッケ〜!」
とフォローしてくれたおかげで、月海和の表情が緩んだ。
「ありがとう」
あれ……
なんでこんなに嬉しいんだろう。
+Character☁
桑田 考祐 Kuwata Kousuke
Characterまとめ
Main Character
高江 陽太 Takae Yuuta
Sub Character
雲海 月海和 Unnkai Ruuwa
桑田 考祐 Kuwata Kousuke
小林 幸亜 Kobayasi Yukia
無駄話
私の名前は、【くびかざり】(珱り)です。
林間学校1日目の朝は早い。
集合時間は6時30分と、遅刻組にとってはかなりきつい数字である。
僕はいつも早起きな方だけれど、念には念を。
昨日は10時に寝た。
少し眠気が残るなか校庭に行くと、15分前でもかなりの人が集まっていた。
「おは〜陽太」
こちらも眠そうな幸亜。
しかし髪はバッチリキメている。
「俺のほうが早かったな〜陽太!」
考祐はサッカー部でいつも朝が早いので余裕な表情だ。
月海和を探すと、もうすでに列に並んでいた。
とりあえず、グループのメンバーはそろっていたことにホッとして、僕も列に入る。
月海和に軽く挨拶をして、人の間をすり抜けていく。
なんでこんなに、
ドキドキしてるんだろう。
私……、林間学校が終わったら……。
20:珱り:2016/09/16(金) 21:14 バスの座席はくじで決めた。
僕の隣は月海和。
こんな偶然ってあるのだろうか。
月海和はあまり話す方ではないので、皆がわいわいしている中、僕らだけが黙っていた。
「あの……さ、陽太くんって、そのっ……。」
唐突に月海和が口を開く。
だが、また黙りこんでしまった。
「林間学校、楽しみだね」
ここは僕が場を盛り上げないと……。
謎の責任を背負う僕。
「あ……うん、楽しみだね」
「虫、詳しい?」
「いや……あんまり、好きじゃないから」
「僕も、男なのにね……」
また、会話が続かない。
僕も月海和もそこまで話が上手ではない。
沈黙が続く中、バスは旅館へと進む。
読者さんってだれかいらっしゃるのでしょうか?
22:珱り:2016/09/16(金) 21:15いらっしゃるのであれば、できればコメント頂きたいですm(__)m
23:珱り:2016/09/16(金) 21:17更新ペース上げていきます!多分!
24:桜咲:2016/09/16(金) 21:18名前変えました。【さくらさく】です。
25:桜咲:2016/09/16(金) 21:28 「うわー気持ちいい!」
ん〜と背伸びをすると、涼しい風が吹く。
「ではこれから新種捜索開始!まだ新種を見つけた先輩はいないから、見つけたら凄いぞ!」
先生の合図が聞こえると、皆一斉に走りだす。
うちのグループはそこまで走らず、あくまで林を探索するという目的。
自然の中を歩いていると、不思議な感覚に陥る。
まるで……
まるで、異世界に迷い込んだように。
「あれっ、まって!?」
ずっと地図を見ていた幸亜が急に大声をあげた。
「なんだよ」
考祐は長い間歩いていたせいか、少しイライラしている。
「ここ……地図に書いてない!」
幸亜が叫んだ瞬間、皆地図を取り出す。
「ほんとだ……こんな大きな展望台、描いてないはずないですから」
いつもは落ち着いた様子の月海和も眉間にしわを寄せる。
「やべぇぞ、俺ら」
「僕ら、完全に……」
「「「「迷ってる?!」」」」
更新今日は終わりです。
長くなってしまってすみません(^_^;)
僕らは、完全にこの林の中で、迷ってる。
まずは展望台で、自分たちの位置を調べる。
「あれ……、多分、集合するとこ……」
月海和が指差す先には、確かに見覚えのある建物があった。
「結構遠いし暗いけど、走るしかない!行くよ!」
リーダーシップのある幸亜がそう言うと、誰も反論することなく、ひたすら走った。
月海和はそこまで運動神経が良くないと思っていたけれど、かなりスタミナはあった。
かれこれ2時間くらい進んでいると、木々の先に薄っすらと光が見える。
「ふぅ……、ラストスパート!頑張ろ!」
3、2、1、あと……一歩。
「ついた……っ」
「ちょっと待って!」
月海和が僕らを引き止める。
「みて……これ、綺麗な蝶」
見ると、そこには青と白の美しい蝶が、葉にとまっていた。
「まってこれ……こんなの見たことある?」
「いやぁ、ここだけのやつとかかも……」
言われてみれば、こんな蝶、見たことないけれど……。
「まぁ、でも、一応とっておこ?」
僕がそう言うと、月海和がコクコクとうなずく。
「まぁ、他のやつらがこの蝶とっててそれが新種!ってなってたら最悪だしな」
考祐がゴソゴソと大きなバッグから網を取り出す。
「一発で仕留めて!」
「あいよっ!」
考祐が網を蝶に向かって振りかざす。
すると。
「あれっ……、消えた!?」
考祐の持っている網にも、周りにも……。
蝶なんていなかった。
この物語は完結しそうです(●´ω`●)
31:桜咲:2016/09/17(土) 10:12 「不思議な事って、あるんだよ」
私が小さい時、ママはそう言った。
強い思いこそあれば、奇跡だっておこせるって……
私はその奇跡を
おこせるのだろうか……っ。
「不思議な事ってあるんだねっ……」
「あれはびっくりするよな〜」
「ほんと。あの蝶どこ行ったんだろう」
ホテルに戻った僕らは、エントランスで【あの蝶】について話し合っていた。
あんな不思議な事って起こるのだろうか。
「幻覚だったんじゃないの?」
幸亜の意見は一理あるけど、皆が幻覚を見てるなんて……。
ちょっと違う気がする。
「まぁ……明日は早いし、とりあえず寝よ?」
幸亜が言った。確かに、目が眠そうだ。
「うん……じゃあまた明日……」
僕らが椅子から立とうとした時……。
「お願い……待ってっ……」
月海和が僕の服の裾を掴んだ。
「どうしたんだよ?」
考祐と幸亜が振り向く。
「っ……!!」
幸亜が、絶句した。
それもそのはず……。
月海和と僕、今キスしてるから……。
『……』多すぎましたm(_ _)m
読みにくかったらごめんなさい
「っおい!離れろって!」
月海和を離す。
「人の前で何すんだよ!」
僕がきつく言うと、月海和はうつむいた。
「ご、ごめん」
「っ、もう寝てくる」
場が悪くなっってしまい、僕はそそくさと部屋に戻った。
同じ部屋の考祐は、ベットに横たわったままだ。
「どうすんの?」
僕が明日の支度をしている時、考祐が言った。
「どうするって……」
「どうするって言われても……」
周りの部屋は電気もついておらず、起きているのは僕らだけのようだ。
「雲海、絶対お前のこと好きだって!」
急に考祐が起き上がる。
「そんなこと言われても……」
好きでもない人に好きって言われて……
あれ?誰にキスされんたんだっけ……。
次の日。
体を揺らされ起きると、目の前には幸亜と結子が居た。
「早く!遅刻したら私達が怒られんのよ!はいっ!」
結子がベットから僕と考祐を落とす。
なんつー馬鹿力。
僕らは慌てて身支度をし、ダッシュでエントランスへ向かった。
「あーっ!先生、来ました!」
幸亜が声を上げた。
少し目を気にしながら、体育座りをする。
「じつは……、この中で新種らしき虫を見つけたチームがいるぞ!」
熱血教師のこの言葉に、皆がおおっと沸いた。
「これだ!」
僕は後ろの方に居たので、必死に体を前に倒す。
「うわぁ〜、綺麗な蝶……」
それは、青と白の小さめの蝶だった。
「陽太、めっちゃ綺麗じゃない?あれ!」
横に居た幸亜は、目をキラキラさせている。
「あれさ」
考祐が怪訝そうな顔をする。
「なんか、見たことある気がするんだけど……」
+Character☁
登代 結子 Toyo Yuko
「はぁ?見たことあるわけ無いじゃん。私らが見たの、オレンジの地味な蝶だけだし」
幸亜がもっともな事を言う。
「いや、なんかさ……」
でも考祐は、まだ納得していない様子だ。
「見間違いとかじゃない?花であんな感じのはあると思うよ」
僕が言うと、結子もうんうんとうなずいた。
「えぇ……見間違いじゃないと思うんだけどなぁ……まあでも俺以外に見た奴いねぇし、そうかもなぁ」
ポリポリと頭をかく考祐。
「もう、変なこと言わないでよ、ドキドキしたじゃんか」
結子がコツンと考祐の頭を小突く。
でも……
僕も花じゃない?とか言ってたけど。
確かに、見たことあるような気がするんだ。
あの、青と白の蝶を……。
もしかしたら今、物語がどういった展開なのかわからない方もいらっしゃるかもしれないのですが、あえて解説はしないようにしようと思います。
解説は終わってからしようかな〜と考えています(*^^*)
>>38の結子のセリフ「ドキドキ」は、『見つけていたのに採らなかったのかと思った』という意味になります(๑´ڡ`๑)
41:ルルー◆zI:2016/09/17(土) 17:13 今、この話読ませてもらいました
ドキドキですね!
初めてのコメント……(´;ω;`)
ありがとうございます!
この物語は自分で書いてて楽しいです(*^^*)
いえいえ
読んでいて、おもしろいです!
これからも読ませてもらいますー
はい!
お暇な時に読んでくださいな(*´ω`*)
もっと書く気出てきたー!!
これからもガンバってねー!
ぜひ読ませてもらいますー
また陽太くんから逃げちゃった……。
頑張って……その……キ、キスしたけど。
私には恋なんてできないのかな……。
でも、私にはもう時間が……っ。
林間学校2日目は【T林を守る会】が作成したワークシートを使い、自然について学ぶ。
今日はクラス行動なので、昨日のように迷うことはなさそうだ。
T林は日本では知名度がある方だそうで、チラチラ他の学校の生徒も見える。
ワークシートにはここにある池のことについても書かれていた。
T林が有名になった一つの理由である月海池【ツキミイケ】は、日本有数の透明度らしい。
「見てみて!月海池の写真!綺麗だね〜」
幸亜が指差す先には、まるで船が浮いているように見えるほど綺麗な月海池の写真があった。
「日本にもこんなとこあったんだな〜、月海池かぁ。へぇ〜」
考祐が幸亜の持っていたパンフレットを取る。
「勝手に取るな!それに、【ルウイケ】じゃないし。【ツキミイケ】だし!」
「逆によくそんな難しい読み方したね〜」
3人が笑っている中、僕だけが考え込んでいた。
月海池……、ルウ……?
る、る……
るうわ……?
月海和……
誰……、なんだ……?