伝えたい言葉はもう決まっているのに。
伝えたい言葉はもう頭に組み立ててあるのに。
その言葉は喉でつっかえる。
いつになったら…伝えられるだろうか。
私も甘いものは好きだ。
時々自分で作ってみたりもする。
しかし葉上くんが作るお菓子とは比べ物にならない。
女子としては複雑な気もする。
葉上くんのお菓子は男子にも女子にも好評だ。
全く関わることのない私にもお菓子を差し出してくれる
葉上くんは本当に優しい。
まぁ多分葉上くんはお菓子の美味しさを広めたいだけなんだろうけど。
ほら、その証拠にまた葉上くんがお菓子について語っている。
「あれ?佐原さんも調理室に用事?」
「え?あ、い、いや…そ、その…準備室…片付けてて…」
今日、家庭科の時間に調理実習をしたせいで少し準備室が
散らかっていたのだ。
「へーそっか。ありがとう」
「あ、い、いえ…!!その、す、すみません!!」
自分でもよく分からないが謝って調理室を出る。
そういえば…。
「葉上くんが汚した訳じゃないのに…なんでありがとうなの……?」