「待ち合わせは中央改札口で」
そう、2人は約束した。
>>2 : あらすじ的なもの
>>3 : 主な登場人物
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春は出会いと別れの季節だ。
卒業や入学、退職や入社__
人の動きが目まぐるしい。
「勉強、ついていけない。学校やめよう。」
高校3年に進級するはずだった、支倉葵は学校を辞めることにした。
この高校は中学1年生の頃からずっと入りたいと思っていた学校だ。第一志望の高校にしてからというもの、必死に勉強し、推薦入試で合格した。
しかし、現実は甘いものではなく、入学したものの勉強についていくことができなかった。
いつしか体調を崩し、不登校になりかけてしまったのだ。
決して学校生活がつまらなかった訳ではない。友達とも仲良く過ごし、部活動も積極的に参加していた。勉強だけが足を引っ張っていた。
想像していた学校生活とのギャップ…、これが彼女を苦しめていたのかもしれない。
「高校、辞めたら高卒認定試験取らなきゃ」
高校を辞めるということは、すなわち中卒ということになる。高校を卒業しなければ大学に進学することができない。彼女の中で「中卒」の2文字は心の中にどうしても引っかかっていた。とにかく、学歴は大卒にせねば…。そのために必要なものが「高卒認定試験」だ。高卒認定試験に合格すれば、「高校卒業程度の学力がある」と判断され、大学入試を受けることができる。
「高校の時の単位である程度埋められるけど…政治経済習ってないしな」
高卒認定試験は高校で取得した単位に応じて科目が免除される。葵は政治経済さえ受験し合格すればいいという状況下にいた。
「教科書、どうしよう…。あ、あいつだ。あいつに連絡すれば…」
悠介
もし政治経済の教科書を持っていたら、譲ってほしい
葵
メールを打ち込み送信する。
ピロンと音がなり、すぐメールが返ってきた。
葵
いいよ、丁度そっち行くから
今度の週末、渡すよ
悠介
これが、全ての始まりだった。