月ちゃんの体はつぎはぎだらけ
序
かわいい、の語源をご存知だろうか?不憫だ、とか、気の毒だ、とか、もともとはそういう意味であった。古語の「顔映ゆし」である。
ここに一人の女子中学生、長谷川月がいる。タイトルを見て、察しのいい読者はもう気づいているかも知れないが、彼女、体中つぎはぎだらけである。
彼女には、自分の体のある部位を外し、そこにまた別の誰かの部位をひきちぎったのを、縫い付けることができるのである。
そんなわけだから、縫い目さえ気にしなければ、彼女は大変な美少女である。女の子は誰だって美少女になりたいものだし、彼女にはそれが「外科手術」で可能なのだから。
しかし、調度「オズの魔法使い」に出て来る、ブリキのキコリみたいに、そこには彼女の要素は何一つ残っていないのかも知れないが。