True End

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1:匿名 hoge:2017/07/13(木) 19:14

注意事項
*ホラー系が苦手な方は閲覧を控えた方が良いです
*流血シーン有りです
*感想やアドバイスがありましたら、書き込んでくれると嬉しいです
*なりすまし、暴言、荒らしは厳禁

2:匿名 hoge:2017/07/13(木) 20:29

ドアノブに手をかけドアを開けると、やや耳障りな音がした。
視界に入ったのは、グレーの壁で囲まれた無機質な部屋だった。
小さな机と向かい合う2つの椅子しかない。
窓は無く、蛍光灯だけでは少し薄暗かった。
しかし、それらよりも目に留まったのは、2つのうち1つの椅子に座っている髪を2つ結びにし、眼鏡をかけている制服姿の女子だった。
俯いている彼女の名前を俺は呼んだ。

「萩野」

俺の声に気付いたのか、彼女は、

「あ……来てくれたんだね」

と声を漏らした。
萩野はクラスメイトであり、俺の恋人でもある大切な存在だ。
彼女の目は隈ができており、髪はボサボサだった。
無理もない。
あんな事件が起きたのだから。

「大丈夫か?寝てないだろ」

「大丈夫だよ。それに、そっちも寝てないでしょ?」

苦笑いを浮かべながら、答える萩野。
その顔を見ると、胸が締め付けられた。
側にいた警察官に促され、俺はもう一方の椅子に座った。


俺と彼女は警察署にて、取り調べを受けることになった。
あの事件の関係者、または生き残りとして。
お互い別々の場所で取り調べを行っていたが、彼女からの希望で、数時間後に二人で会うことが出来た。
正確に言えば、この部屋には一人警察官がいるが。
しかし、こうしてゆっくりと話し合える時間を取ってくれた警察には、むしろ感謝をしなければならない。
それに、警察署の外には事件を聞き付けた報道陣がいるらしく、しばらくは外に出られないだろう。

「あのね……警察に二人で会うことを要求したのはね、聞きたいことがあったの」

「聞きたいこと?」

俺がそう言うと、萩野は少し申し訳なさを含んだ困り顔をしながら、口を開いた。

「私……事件のこと、あまりよく覚えてないの」

その言葉に、俺は目を見開いた。

「……本当か?」

「うん。思い出そうとするけど、霧がかかったみたいにモヤモヤしちゃって……」

きっと、事件のショックで記憶が失われてしまったのだろう。
それほど、この出来事が彼女にとって苦痛だったと思うと、こちらが辛くなってしまった。

「だから、私と同じ生存者から話を聞けば、記憶を取り戻せるかな、って思ったの」

彼女は理解したが、俺はなかなか首を縦に振ることが出来なかった。
あの出来事を話して、萩野が全てを思い出してしまったら、彼女はさらに悲しむに違いない。
酷ければ、心を壊してしまうかもしれない。
困惑する俺に、彼女は察したような顔で言った。

「私は全てを受け入れるって決めたから、正直に話して。記憶が曖昧なまま、皆の死を見届けられないの」

彼女は真っ直ぐな瞳で俺を見つめると、俺は溜め息をつき、決心したように口を開いた。

「……わかった。全部話すよ。まずあの時、俺らは夜の学校の教室にいたんだ」

3:匿名 hoge:2017/07/13(木) 21:45

「それじゃあ、始めようか」

誰かの合図とともに、タイミングよく雷が鳴った。
外は大雨で今もシトシトと音が聞こえる。
連続する雷の音で、誰かが悲鳴を上げたが、それが誰かは分からなかった。
【2年A組】と書かれたこの教室は真っ暗なのだから。
この空間に今、俺を含めた8人の人間がいること以外、誰が何をしているのかは全くと言っていいほど、分からない。
教室を暗くしようって言ったのは……ああ、大槻か。
視覚を奪われ、聴覚が敏感になった状態での【犯人探し】は最適だと、彼は言っていた。


1週間前、クラスメイトの小倉が亡くなった。
背中にナイフが刺された状態の彼が、夜道で発見されたそうだ。
普通、クラスメイトが死んだら、悲しいと思うだろう。
ましてや、彼は自分達と同じ高校生なのだから、尚更だ。
しかし、俺と他の7人は違った。
俺達は彼をいじめていたのだから。
最初は些細なことでからかったり、陰口を言う程度だったが、それはエスカレートしていき、壮絶的ないじめに発展してしまった。
俺が属するこのグループは、良くも悪くも目立っていた。
いや、グループというより、リーダー格のあの二人と言った方がいいかもしれない。
とにかく、俺達は彼をいじめ続けた。
勿論、俺はやりたくてやってたわけじゃない。
ただ、彼を庇えば、今度は自分が標的になることを恐れていただけだ。
多分いじめを楽しんでいたのは、あの二人だけだろう。
自分を守るために、彼に対する罪悪感ばかりが募っていく日々を俺は過ごしていた。
そんなある日、彼が何者かに殺されたということを知った。
クラスに、俺達8人の誰かが犯人だと噂が流れるのに時間はかからなかった。
最初は絶対違うと思った。
まず、あの二人からすれば彼は自分のストレス解消の道具であり、ある意味欠かせない存在だった。
それに、罪悪感に耐えていた俺達だって、彼のお陰で自分は標的にされずに済んでいるのだ。
彼を殺害する理由など、なかったはずだった。


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