黄昏時に、キミと二人で。

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10: 薫+*Sena+*◆T. 受験合格*プロジェクト!:2017/08/27(日) 17:34

4月6日 始業式


「ねぇねぇ、ウチと友達にならない?」

始業式も終わり、最上級生になった私。

初めての、6年2組での休み時間。

そんな時、ふと、自己紹介で1番目立ってた女子――滑守いよか――のめす いよか――さんが話し掛けてきた。

「ウチね、このクラス全員と仲良くしたいの。えっと……たそがれサンだっけ?」

そう、私の名前は黄昏渡話呼――たそがれ、とわこ。

黄昏、なんて苗字、余り聞かないし、ましてや"とわこ"なんて今時珍しい。

特に、この漢字。

渡って話して呼ぶ……どのような意味が込められているのだろうか、って自分でも気になっちゃう。

黄昏渡話呼、なんて名前は同い年の子に読んでもらえず、自己紹介でもあまり覚えてくれないのだ。

でも、覚えてくれていた滑守さん。

少し嬉しくなって、

「はい、黄昏渡話呼です。よろしくお願いします」

と笑って返事をしていた。

いつの間にか。

すると滑守さんは、

「うん、よろ!ウチのこと、"すいか"って呼んでね!」

と笑い返してくれた。

でも、なんですいか………?

「あ、ウチの名前、滑守のス、いよかのイとカで、すいか!」

と、察した滑守さんが教えてくれた。

―彼女、向日葵みたい。太陽に向かって咲き、沢山の種子を残す向日葵。でも、夏の間しか咲かない向日葵―――――

「黄昏サンのことは……うーん、タソトワって呼んでいい?」

ゲッ。あだ名……私、あまり好きじゃない。

嫌いではないの。

でも、"渡話呼"って呼んでほしい。

でも、言いづらいしな……。

滑守さんの向日葵が、より輝きを放った気がした。

えっ、と………

「渡話呼って可愛い名前だよね!渡話呼って呼んであげようよ!」

さっと後ろを向くと、ショートカットの高身長の女の子が立っていた。

「あこ……」

滑守さんに"あこ"と呼ばれたその子は、

「よろしく!渡話呼!」

と笑ってくれた。

「アタシ朝先心野!あささきの"あ"と、ここのの"こ"で、あこ!よろしくね!」

「はい……よろしく。お願いします」

つい、よろしく、と言ってしまいそうになって、慌てて付け足す。

「なんで敬語?タメでいいのに!」

あこちゃんがそう言ってくれたので、私は言った。

「じゃ、あこちゃん、よろしく!」

しかし、それを不服そうに見ていた滑守さん。

「ウチにもタメにしてよ?あと、渡話呼って呼ぶから、すいかって呼んで。じゃね!」

そして、スタスタ行ってしまった。

なんだったんだろう。

「あ、授業始まる。じゃ!」

あこちゃんは手を軽く振って、自分の席に戻っていった。

のめ……すいかちゃんと、あこちゃん。

なぜかあだ名呼びをためらってしまうすいかちゃん。

たった今少し話しただけなのに、心が暖かくなる、誰にでも平等な雰囲気のあこちゃん。

教室は、さっき見たときよりも綺麗になっていた。


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