まだ少し冷たさの残る、しかし生暖かい風が、私に些細な幸せを運んできたようだ。 ――河嵜由比(かわさきゆい)ちゃん。 私たち三班の副班長で、嫌味のない女の子。 そんな彼女と、少しばかり話せたのだ。 「ねえとわこちゃん、健康チェックのことなんだけど…」 私は保健委員会に属している。 当然、委員長とか副委員長とか、そんな役割は持っていない、普通の委員なのだけれど。