先生、私は貴方を潰します

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1:さくら:2017/12/10(日) 17:03

思い付きのヘンテコ小説を書いていきます。


設定:中学校の生徒、教師との見えない闘い

登場人物(現時点において、随時追加)

香山怜菜……ある教師が苦手な女子生徒。
渡井政人……体育教師。怜菜が苦手とする教師でもある。怜菜のクラスの担任の先生。
前嶋結衣……音楽教師。温厚な性格だが、怒るとギャップが激しく、怖い。
怜菜はこの教師のことを信頼している。

登場人物が増えすぎてよくわからなくなったら、そのうちまとめます。

2:さくら:2017/12/10(日) 17:09

今日は、怜菜が通う緑ヶ丘第三中学校の入学式だ。
怜菜は、新入生と話すことが好きだ。

まだ中学校、という新しい環境になれていない新一年生。
彼らの緊張した表情がほぐれていき、やがて自分との新しい生活が始まっていく。
怜菜は、多くの人と仲良くすることで、生活しやすい環境の中学校を作ろうとしていた。

ただし、それは生徒会の人に頼まれたわけではない。
むしろ、怜菜が生徒会に提案したことでもある。そして、自分がまず行動に移していた。

3:さくら:2017/12/10(日) 17:15

入学式も終盤に近づいたころ、
「それでは、担任の先生を紹介します」
という先生の声が聞こえてきた。

何も入学式の途中でやらなくてもいいのにな……とは思ったが、口には出さないでおいた。
新入生たちの、少しだけ慣れてきた顔が、その一言でまた引きつった。

私は、隣にいる杏奈を見た。
杏奈は、担任の先生が誰になるのか、春休み前、確か一番騒いでいたからだ。
しかし、今は騒いでいたようには見えなかった。

私のクラスは、三年三組だ。
「三年三組担任、渡井政人先生」

ステージの上でマイクを持って、担任の発表をしていた先生がこちらを見た。
「新しく入ってきた先生です。あなたたちの方が、緑ヶ丘第三中学校に関しては、先輩だから宜しくね」
そう、三年生のクラスにはよく、転入してきた先生が来る。
逆に、新入生のクラスにはよく、新卒の先生が来る。

4:さくら:2017/12/10(日) 17:23

「意味わかんねーよ、何でまた転入してきた先生なんだよ」
ほら、出た! 先生に対する文句。
叫んでいたのは、学年でもいたずらをよくする、大毅君だ。
「まーまー、そんなこと言わずに」
杏奈が適当に慰めているのを見ていて、少しだけ笑ってしまった。

そして、転入してきた先生……渡井政人先生が入ってきた。
第一印象は、熊。
がっちりした肩、ちょっと丸い顔、黒に近い肌の色。
どこをどう取っても、ザ・熊だ。
「えーと、隣の市から来ました、渡井政人です!」

挨拶する声が無駄に大きい気がする。
そして、顔がキラキラと、おもちゃを買ってもらって喜んでいる子供のような顔をしている。

5:さくら:2017/12/10(日) 17:34

大毅君が、
「熊じゃねえか……」
と、先生に聞こえる声で呟いているのを聞いてしまい、思わず吹き出してしまう。
隣の席の杏奈を見ると、吹き出すを超えて、笑い転げている。
「俺は熊じゃねえよ」
とニコニコしながら言う渡井先生を見る私達。

「しかし、よくあのタイミングであんな事言えたね」
「だって本当のことだろ?」
何か、また新しいいたずらを考えながらわくわくしている表情で、大毅君は言う。
でも、私は渡井先生に、良い印象を抱けなかった。
理由は、自己紹介の後に話したことだ。

「えーと、それじゃ、次は渡井が目指す学級、みたいなものを話すか。
まず、規則をしっかり守る! まあそれは、時間についても同じだ。
次に、みんなが毎日笑う! まあこれは当たり前だよな!
最後に、いじめは許さない! 人を傷つけないこと!」
まあ、やたらハイテンションでそう話していたのだが。

はっきり言って、バカみたい。
規則を守るって、そりゃ当たり前のことだし。
いじめについてもそうでしょ。まあ、人と人との関わりだから、絶対に、誰一人として傷つくことのないクラス、は
流石に無理だと思うけれど……。
みんなが毎日笑う、については文句を言いたくなった。

私は、多くの人と……主に新入生との関わりを取ることで、先輩後輩の壁が、分厚くなりすぎて堅苦しい、という
環境を避けたいから、多くの人との関わりを持つ。
けれど、人間関係が苦手、という人もいるのに、そんな無神経にそんなこと言われても、反発しか生まれない。

6:さくら:2017/12/10(日) 17:44

「今年は、ハズレかもね」
杏奈がそう言って、口元だけで笑う。

杏奈は、ほとんどの先生に対し、信頼することはないし、関わろうともしない。
今年入ってきた渡井先生に対しても、恐らく、杏奈が昔会った、差別、えこひいきをする
とんでもない先生と同じ印象を抱いたのだろう。

第一印象、熊(そして当たり前のことしか言わない)イコール渡井先生の姿を見るのが、何となく嫌だった。
だから、隣の三年二組の担任、前嶋結衣先生のもとへ行くことにした。

「ああ、あの先生ね。でもまあ、大丈夫だよ、怜ちゃんなら」
結衣先生は、私のことを『怜ちゃん』と呼ぶ。
結衣先生について、私はこんな印象を抱いている。

大人しい、けれどしっかり者で、見た目は可愛い。
ちなみに、年齢は知らない。渡井先生は確か、三十歳だっけ?
「でも、初めてあんなタイプの先生来たら、結構びっくりしちゃうよね〜」
結衣先生はそう言ってほほ笑んだ。ああ、女神様みたい……。

大毅君は、結衣先生に対して
「お母さんみたい……いや、保育士さん?」
と言っていたっけ。それを、偶然通りかかった結衣先生に聞かれたんだよなあ。
「別にお母さんらしいとは思わないけどね」
と、結衣先生が後ろで呟くように言ったから、私も大毅君も驚いて飛び上がったのを覚えている。

7:さくら:2017/12/12(火) 19:50

次の日の朝。
三年三組の教室は、朝から騒がしかった。
理由は一つ。渡井先生が踊っていたから……。

それを見て、結衣先生は
「写真に撮りたい」
と言いだして、とたんに踊るのをやめた渡井先生を見て、
「熊が踊ってた! マジウケる〜」
と大毅君がSNSに乗せる時のコメントのようなセリフを言ったことで、その場は盛り上がって……。

一時間目は音楽だった。
結衣先生は、音楽室に入ってきた私達を見て
「朝の渡井先生の踊り、面白かったわね。本物のクマさんみたいで」
と、何の悪意もない純粋な目で言ったから、また笑いの渦が巻き起こった。


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