みんなおかしくなっていく。
今までは普通でつまらない日常だった。
───なのに、何で…。
>>2主人公(後からいろいろと登場人物増えるかもです)
変な空間だ。
別に暗闇ってわけではないが、
どこか複雑な色の空間だ。
「うっ…」
私は光に包まれた。
気がつくと、商店街のような場所にいた。
店のようなものが並んでいるが、
何の字かわからない。
日本語ではない。
「お母さーん」
前から子供が走ってきて、
私とすれ違った。
振り向くと、
子供は女の人と手を繋いで歩いて行った。
あの女の人、私のお母さんに似ているな…
面白いなあ
147:アマテラス◆YQ:2018/08/30(木) 13:02 >>146
めちゃんこ嬉しいです!
ありがとうございます!
変な夢だな…。
すると、急に肩を叩かれた。
後ろを向くと、
魚の頭をした人間がいた。
「…ブハハハハハハハ!!」
私は大笑いしてしまった。
でも、だんだん魚人間を見ているうちに
笑えなくなってきた。
「ニゲナサイ」
そう言うと、魚人間は消えた。
逃げるって、何から…?
そう考えていると、
べちょ、と私の頬に何かが付いた。
血、だ。
上を向かない方がよさそうだ。
べちょべちょと
私の周りに肉片と血が落ちてくる。
私は声も上げずに逃げた。
後ろから何かが追ってくる音が
聞こえた。
これは、本当に夢なのか?
駅のようなものを発見し、
即座に入っていった。
後ろからは何も追ってこない。
ほっとして、電車に乗り込んだ。
電車には誰もいない。
ただアナウンスが聞こえるだけだった。
「本当にどこなんだろ、ここ…」
窓から外を覗いてみたが、
トンネルの中なのか、風景なのかも
分からないくらい暗かった。
もしここが別の世界だったのなら…
この世界に食べ物があったら食べてみたいし、
店があったら入ってみたい。
私は恐怖というよりは
観光に来ているかの気持ちだった。
電車はまだ駅に着かない。
今スマホを持っていない状態だったから
すごく暇だった。
私はその場で眠りについた。
はっと我に返ると、
駅に電車が着いていた。
とりあえず降りる。
至って普通の街、に見えるが…
月があり得ないくらいに大きい。
息を呑み、その街へと向かった。
しかし、人間がいない。
化け物がうじゃうじゃいる。
化け物は私を通り過ぎる度に
二度見をする。
「はあ…こんなときにバフォミンが
いたらなあ…」
私は近くの店に入った。
http://ha10.net/up/data/img/26332.png
下手ですが、だいたいキャラのイメージはこんな感じです。
手前の黒髪の子が麗歌で、右の子が結月です
「バフォミン…うーん…」
店に入ったとき、
奥から男の人?が小走りできた。
バフォミン?
「いらっしゃいませ!」
「いるのかよ!」
思わずこけそうになった。
「え?」
その人はよく見るとバフォミンとは違って
羊の被り物をしている。
「バフォミンのライバルか?」
私も自分が何を言っているのか分からない。
羊の人は混乱している。
「まあ、いいや…」
私は椅子に座った。
「あ、何かお飲みになりますか?」
そうか、ここは飲食店だったのか。
「あ…はい」
私はこの状況がよく分かっていない。
だから何を答えたらいいのかも分からない。
羊の人はお辞儀をしてから店の奥へ行った。
この世界が夢ではないのなら、
地球よりも技術が進んでいるのだろうか。
それとも、何かがこの世界を支配しているの
だろうか。
考えると頭が混乱する。
「お待たせしました」
羊の人がテーブルの上に禍々しい色の
飲み物を置いた。
「何これ」
置かれた飲み物をまじまじと見る。
何かが飲み物の中で浮き沈み
しているようだ。
「ドルチェ・ヴァンパイアです」
ドルチェって音楽の世界では
「優しい、柔らかい」という意味らしいが、
どうもそうには見えない。
とりあえずストローに口をつけ、
ジュースを吸ってみる。
見た目と違って甘かった。
「…美味しい」
「そうですか、ありがとうございます!!」
羊の人はスキップをしながら
店の奥へ戻っていった。
店の中隅々を目で確かめる。
私は寝るときあまり夢を見たい人だ。
でもこんなに鮮明に見える夢は
初めてかもしれない。
奥からまた羊の人が出てきた。
アイスクリーム、をくれた。
どうやらサービスらしい。
食べるとほんのりイチゴの味がした。
しかし、どうやって
元いた場所へ戻るべきか。
アイスクリームを食べながら店を出る。
…怖い。
危険を感じた、というよりかは
自分の存在に恐怖を覚えた。
生暖かい風が吹き、
思わず後ろを振り返る。
さっきまで明るかった場所がなぜか暗い。
気のせいだろうか?
気にせずに街を歩き、また後ろを向く。
特に何も変化はない。
ほっとして前を向くと、
「こんにちは」
人形がいた。
「や…ギャアア喋ったあああ!?」
人形が喋ったのを間近で見ると
恐怖しか湧いてこない。
人形は首をかしげ、こちらへ歩いてくる。
…来ないでほしい。
「何で逃げるの?」
私の足元にやってくると、
これでもかというくらいに首を曲げる。
ポキッ
首が外れた。
私は声が出ないまま固まっていた。
「やだ、いっけなーい」
人形は首を付けて元通りになった。
「あなた、名前は?」
人形に問われるも、うまく声が出せない。
「…ひぇっ」
勇気を出したら変な声が出た。
人形はクスクスと笑っている。
「言わないと、刺すわよ」
人形は一瞬で真顔になり、
目を見開いてナイフを私に突きつける。
「麗歌!麗歌!」
私は自分の名前をすかさず言った。
そのとき自分の名前に感謝をすることができた。
「麗歌ね、私はレイラ。
人間と話すことがあんまり得意じゃないの」
「え、この世界に人間がいるの?」
私が問うと、レイラはナイフを腰にさした。
「そりゃいるわよ。来て」
彼女は私の手をとり、走り出した。
息ができなくなるほど走ると、
レイラは私の手を離した。
「見て、あそこ」
レイラは細道を指差す。
誰かいるようだ。
ニット帽を被り、マスクをしているから
男か女かも分からない。
本当に人間なのだろうか。
気がつくと、レイラはその人のもとへ
行っていた。
「麗歌ー!こやつ人間だったわよー!」
こやつって言ったよな今。
「あなた、名前は?」
ナイフを突きつけるレイラ。
ナイフ好きだなあの子。
「言うからナイフを下ろしてくれ」
レイラが舌打ちをして腰にさすと、
その人はため息をついてニット帽を整えた。
そして「優」とだけ名乗った。
性別が分からない。
「あの…非常に失礼ですが
性別はどちらでしょうか」
私が尋ねると優さんはマスクと
ニット帽を外した。
「男!?」
私は思わず叫んでしまった。
レイラはぽかんと口を開けている。
口パクで「てっきり女の人だと」と
言っている。
優さんは男性だった。
言葉では言い表せないくらい
整った顔をしている。
七瀬君よりかっこいい、と思ってしまった。
屑だ、私。
「んで、何のよう?」
はっと我にかえる。
「この世界について何かご存じですか?」
優さんはうつむいてスマホを取り出した。
私もつられて取り出す。
圏外、ではなかった。
でもやっぱり電話をするのはやめよう。
きっと誰も信じてくれないだろうから。
「麗歌、お腹空いた」
レイラが私の袖を掴む。
可愛い、と思った。
「私お金ないわ今…」
そう言うと、レイラはむっと
頰をふくらます。
ふと優さんの方を見ると、
なぜか私の方をチラチラ見ながら
スマホをいじっている。
怖いくらいに真剣にスマホを
いじっている。
何か分かったのだろうか。
優さんは動きを止め、
スマホをパーカーのポケットに入れた。
「ここは君が創り出した世界、
とでも言っておこうか。
ま、そのうち元の世界へ戻れるよ」
と彼は言った。
「そのうちっていつよ!?」
レイラが優さんに殴りかかろうとしたので、
必死で止めた。
私が、創り出した世界…?
どういうことなのかさっぱり分からない。
私がこの世界にあるものを望んだわけでも、
誰かに会いたいとも思っていないのに
なぜ“私の世界”が生み出されてしまったのか?
「要するに、君の好奇心から生まれた世界
っていえば分かるかな」
私の好奇心から生まれたのであれば、
優さんも私が創り出したのか…?
急に恥ずかしくなってきた。
多分私の顔は真っ赤だろう。
そうこうしている内に、
空は明るくなっていた。
レイラは「来たわね」と呟く。
優さんもそれにあわせて頷く。
「来たって、何が」
私は宙に浮き、空へ吸い込まれた。
目が覚めた。
全身は汗でびしょ濡れになっている。
怖かった、ただそれだけだ。
着替えて外に出る。
「せっかく会った人もすぐにまた
会えなくなっちゃうんだよなあ…」
石を蹴る。
電信柱にコツンと当たる。
その瞬間に自分だけ
この世にいてはならない存在なのかなと思った。
周りが変わっていくのを感じ、
背筋が凍り付く。
いずれ私もその世界に巻き込まれ、
自分ではなくなるのだろうか。
時が経つのが早いな、と
改めて感じる。
その時が流れているうちに
何が起きてこうなったのだろうか?
「ん?」
悲鳴が聞こえた。
何かあったのだろうか。
嫌な予感がして一目散に
声がした方向から逆の方向に走った。
悲鳴が大きくなっていく。
「…気持ち悪い」
誰かが叫んでいるのであれば、
助けた方がいいのだろうか?
そのとき、後ろから叫び声が聞こえた。
後ろから…!?
『目の無い女』が叫びながら立っていた。
どれくらい走ったのだろうか。
気付けば知らない場所にいた。
耳をすませると、叫び声が耳に入ってくる。
「け、警察を呼ばないと…」
「もしもし?警察ですか?
目が無い人が追いかけてくるんですけど」
「何を馬鹿なことを言ってるんですか?
イタズラなら切りますよ」
何度も説得したが、仕舞いには
切られてしまった。
なぜなら、女の声は聞こえるのに
一定の距離まで近付かないと姿が見えないからだ。
ブツブツ愚痴を言いながら家まで歩く。
どうせならもうあの女に捕まってもいいのでは?
そう考える自分がいる。
親も失い、地獄のようになってしまった日々は
もう過ごさなくてもいいのではないか?
「腰が痛い…」
背中を反らす。
あまり運動しなくなったので
体が鈍ってきたようだ。
「キャアアア」
悲鳴を無視する。
はやく家に帰りたい。
「麗歌様!なぜそんなにむあえぶえす!?」
バフォミンが来てくれたが、
焦っているのか、
正直何を言ってるのか分からない。
「ああ、なんかもう疲れちゃって」
適当に答えると同時に悲鳴が聞こえる。
「妙な雄叫び…」
バフォミンがボソッと言うと、
手から光を出した。
「おお…」
中二病かと思ったが、
まあ悪魔だからそれくらいできるだろうと
自分を安心させた。
悲鳴が近くなってくる。
バフォミンは光を向こうへ放った。
同時に目の無い女が現れる。
「あ」
一瞬申し訳ない気持ちになった。
「あ、ええ…」
女はあたふたしている。
バフォミンが横でフンと鼻で笑った。
「すみませんでした」
女はそれだけ言うと、
走り去ってしまった。
私は思った…
「何がしたかったんだ」と。
「ま、まあ一件落着したことだし、
帰ろうか」
そう言うと、
バフォミンと笑いながら
家に帰った。
「おかえり」
夜巡さんがエプロン姿で
玄関に来る。
「お風呂にする?ご飯にする?」
それとも、と言いかけたところで
「お風呂」と即答した。
バスタブに浸かりながら考える。
家の中なら安全なのではないか?
バフォミンもいるし、
化け物に会うこともない。
変な夢は見るが、
外よりかはマシだと思う。