青春を全力で!
>>2
>>18-19
さっき衝動一発書きしたのをなんとなく投下。
今までみたいに他サイトで上げてるヤツではないです。書き下ろし?になるのかな。
本当の気持ちを知ることって、怖くないですか?
『絢利ちゃんだから――』『どうせ、適当に笑ってるんだよね』『なんでも笑って受け流すんだから』
そんな言葉の描写を入れたかったと投下後に思った駄作者()
整理のために四年ほど前にここの友達向けに書いた短編を投下。その友達に寄せて書いた記憶がある。添削はしていないです
*
「そらー!部活行こう!」
わたしの名前は山上 空良(やまがみそら)。
秋の文化祭での演奏に向けて、吹奏楽部での活動を頑張っている。
「うん、行こう!」
笑顔で返事をすると、結可(ゆか)ちゃんと二人で駆け出した。
「はい、ちょっと止めて……。山上さん、少し遅れてる。大変だろうけど、練習しておいてね。それとドラムの音をよく聴いて……」
「はい……」
まただ。夏休みの自主練習を怠ったせいで、だんだんとその差が出てきている。
どうしよう…せっかく、ソロを任せてもらえたのに。
足を引っ張ることだけは、絶対にしたくないのに……!
自業自得だ。
『ファイトーッ!』
『ファイトーッ!』
『多宮田 ファイトーッ』
『ファイトーッ!』
「あ…」
大知の声だ。
野球部の掛け声。
濁った音の合間に響く。
沢山の、沢山の音の中。
わたしは必ず聞き分けられる。
大知の声を。
「好きだ……」
――わたしは、小さな頃からずっと……仁平 大知(にひらだいち)に恋してる。
今日も聞こえてくる掛け声。
――頑張れるよ、大知。
♯
「ねえねえ璃々ちゃーん、大知くんと付き合っているってホント?」
「えっ……」
……今は、2月。
文化祭での演奏も大成功!……と喜んで、冬休みを満喫して。
久しぶりの部活動、といったところだ。
そんな……浮かれているときに、この一言。
話題の中心にいるトランペットパートの美嶋 璃々(みしまりり)ちゃんは、凄く大人っぽくて可愛くて……わたしなんかとは比べ物にならないほど優秀な女の子。
「ん〜、まだ付き合ってないけど。バレンタインに告白しようと思ってるの!」
「うわー、頑張ってね!」
「璃々なら大丈夫だよ〜」
女子みんなが励ましている中、わたしが言い出せたはずがない。
“わたしも大知のことが好きなの”
……もう、嫌だよ。
昔から大好きだったのに。
ずっと、ずっと。
璃々ちゃん、野球部の掛け声、いつも聴いてる?
大知の声、わかる?
――璃々ちゃんより、わたしの方が、昔から……!!
恋って、こんなにも儚く散っちゃうんだ。
……わたしって、こんな性格だったんだ。
♯♯
「はよーっす!」
朝から声が大きいこと。なぁんて思いつつ。
大知の心地良い声を聴いて、一日が始まる。
……失恋、したんだっけ、わたし。
もう、なんで?
諦められないの。大好きなの。
トクトクと鳴っている心臓。
それが、少し気持ち良くて……。
「そら?」
「えっ!?」
大知……?
なんで、どうしたの?
大知は、璃々ちゃんのことが好きなんでしょ?
こんな、なんとも思ってない女子に気安く話しかけない方がいいよ。
……違う。
わたしが、嫌なの。期待しちゃうから。
話しかけてもらえて、嬉しくて。
もしかしたら……を考えちゃうから。
「お前、今日元気無くね?」
――なんで。
「どうして、分かるの……」
あなたのせいよ
もう、やだ……。
諦められないじゃん。
“大好き”
♯♯♯
「ムードメーカーのお前が静かじゃ調子狂うよ」
そう言ってくれた彼の元へ、わたしは走る。
ドキドキドキドキ。
頭の中で、強く強く鳴っている。
心臓が暴れてるや。
だって……今日はバレンタインデー。
璃々ちゃんが、告白した日。
……に、まさかわたしも告白するなんて…………。
あなたは運動神経抜群で。
いつもリレーのアンカーだよね。
そのくせ、勉強もできちゃうの。
悔しいけど、あなたが教えてくれると、数学のテストの点数が上がる。
でも、少し幼くてやんちゃだよね。
そこが、本当に昔から変わらない。
ドクドクドクドクドク。
全身が心臓になった。
スー、ハー、スー、ハー。
子供みたいに、思い切り深呼吸して。
「好きだよっ!!」
ああ……言っちゃった、言っちゃった。
もう、おしまいかな。
“幼馴染み”でいれた、最後の瞬間。
「オレも好きだよ」
♯♯♯♯
璃々ちゃんと付き合っているという噂は、全くの嘘だったこと。
璃々ちゃんにチョコレートを差し出されたけど、断ったこと。
そして……昔から、わたしのことが、その……す、すき、だったこと。
ゆっくりと説明してくれて……。
悩んだ日々の疲れからか、ヘナヘナと崩れ落ちてしまった。
……それを大知に支えられるものだから、もう心臓が持たなくて。
ああ……
「良かった……」
そう呟くと、
「もう一度言ってやろうか?」
なんてキザなことを言うもんだから、言い返してやった。
「なっ…なによ、どうせ恥ずかしくて言えないくせに!」
そしたら、なんて返されたと思う?
「大好き」
……もう、心臓が持たないって。
「好き、とは言わなかったよな?」
って……本当に、やられたよ。
……だから、わたしも仕返ししたの。
「わたしだって、大知に負けないくらい……」
息を吸って、
「大知のことが……」
思い切り、
「 好 き だ か ら …… ! 」
同時期に也か何かの世界観イメージで書いたもの。そこまで生々しくはないだろうけど流血表現があって人が死ぬ。
*
«ヒマワリの彼方»
「……お前、ヒマワリ……好きだろう。ほら」
そう言ってわたしの胸にヒマワリの束を押しつけた彼は、力なく笑った。
腹部から溢れる紅いものが、私の膝に触れる。
それは生温いようで、冷たかった。
「オレ……お前を守れた、よな。本望、だ……」
嫌だ。いかないで。逝かないで!!
「やっ、やだぁっ……いっちゃ、だめ、だよぉ……っ!」
視界が一気に歪んだ。
なんで、なんで…!
お腹の中からせり上がってきたあつい物が、目からポロポロとこぼれ落ちる。
「いやっ、いやだ、ねぇ……」
行かないで……!
ぎゅっと握りしめた、手と手。
わたしの手も、だんだんと紅く染まる。
わたしに会えない世界なんて。
あなたに会えない世界なんて。
嫌だ、嫌だよ。
「そんなとこ、行ったってっ…!つまらない、から、お願い」
一緒に生きよう……!
あなたのいない世界なんて――
「……愛してる、アカリ。お願いだ――」
生きろ。
彼の口がそう動いた。
声は……どうだろう、分からない。
ねえ……なんで?
手、冷たいよ……。
「うっ、ううっ、う……」
うわああああああああっ!
嫌だ、いかないで、行かないで、逝かないで!!
泣き叫んだ、なんて。
泣いているのか、叫んでいるのか、どちらでもないのか。わたしには分からない。
「嫌だ、嫌だよ。あなたのいない世界なんて、いらない!」
絶え間なくこぼれるしずく。
あなたの静かな顔に落ちた。
「嫌だ、嫌だ!!わたしもいく!連れてって、お願い!!」
彼の手から滑り落ちた白刃を、自分に向けた。
それには、倒した相手のものであろう血液がべっとりと付いている。
――生きろよ。幸せになれ……
あなたのいない世界で、幸せになるなんて。
できない。できないよ。
あなたがいない世界で、わたしが幸せになれるなんて……!
強い風が吹く。
ヒマワリの花弁が舞った。
それは風にのって、遥か彼方へ姿を消す。
――このヒマワリは、あなただね。
―――生きようか―――
生温い。けれど、だんだんと冷たくなって行く、わたしの膝元の紅。
紅く咲いた華。
彼は、儚く散ってしまった。
同時期の(以下略
この夢は実際に見ました。大分脚色しているけれども。今思うと夢日記みたいな感じでちょっと怖い
*
<愛された“人形”>
夢を見た。
隣のクラスで同じ部活、部活動では役職が同じという関係でそこそこ話す男子のKくんが、私の頭を撫でてくれる。
そこには部活が同じみんながいた。
それでも夢の中の私は、なんの恥じらいもなくて。
柔らかな視線を満足に受け取って、口元の優しい微笑みをとらえて。
時に優しくサラサラと、時に悪戯にクシャクシャと、撫でられていた。
――撫でられている私は、ずっと黙っていて。
なんの恥じらいも見せず、抵抗もせず。
ただ、おとなしく撫でられていた。
夢の中の私は、きっとお人形のように可愛いのだろう。
そこは、プールだった。
入水する前、プールサイドに腰かけて。
私の太くて毛深い脚は、夢の中ではどうなのか……それは、考えないことにした。
ウエストもキュッと引き締まって、柔らかな身体なのかな……と、想像してみる。
プールを挟んだ向こう側で、誰かが物を投げて寄越していた。
それを受け取りに、皆が入水する。
Kくんが先に受け取るため、水中に飛び込んだ。
難なく、無難に受け取って出水しようとしている。
私の番になった。
スッと飛び込む。
久しぶりの水中。
今までは水泳を習っていて。
水は友達、自由な空間。
受け取ったなにかを、無理矢理沈めてみる。
それを取りに潜水して、深いところを、人の間を縫って泳いだ。
気持ちいい……どこまでも行けそうな、開放的な空間。
縛られていたなにかをほどかれたような。
しばらくして、プールの隅の方で休んでいると、Kくんがやって来た。
優しく頭を撫でられる。
ホッとして……黙って撫でられる、ワタシ。
あ――
私じゃ、無いな。
見た目は私。意識も私。それでも、私じゃない。
私はあんな子じゃない。
Kくんに愛される度に別人となって行く。
Kくんに愛される。そうして……私の個性は―――
愛されているのは“人形”である。