赤い糸

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1:タピオカパン:2019/07/13(土) 12:47

題名に特に意味はないですはい(☞^o^) ☞

純粋な恋愛小説を書きたいです


レッツラゴー

52:いちごみるく:2019/07/26(金) 21:27

ごめんねえ♥前からこんな小説なくなればいいのにって思ってたんだあ

53:いちごみるく:2019/07/26(金) 21:28

なのに私はこんなにまともな小説書いてあげたんだよお?偉くない?ʬʬ

54:いちごみるく:2019/07/26(金) 21:32

あなたもうこんな小説かくのやめたら?wwwwwwww

55:いちごみるく:2019/07/26(金) 21:34

まあ私もずっと読んであげてたから♪この話には詳しいお だから>>51みたいなの書けたんだよ?感謝ぷりーず?ゎら

56:威風◆Ok:2019/07/26(金) 21:36

いちごみるくさん

そういうことはやめましょう。タピオカパンさんに失礼ですよ。
こんな小説なくなってほしいってよく言えますね。

57:いちごみるく:2019/07/26(金) 21:49

>>56 逆にこの小説好きなんですか?

58:威風◆Ok:2019/07/26(金) 21:52

>>57 あまり読んだことはありませんが、タピオカパンさんに失礼なことは言うのをやめましょう。

59:いちごみるく:2019/07/26(金) 22:01

>>58 ブフォʬʬ読んだことないんかよʬ ほらね、人気ないじゃんʬ

60:タピオカパン◆VU:2019/07/26(金) 22:03

あ…  いちごみるくさん、そうですよね。こんな小説…つまんないですよね。…ごめんなさい、こんな小説投稿して。ほんとにごめんなさい。

61:威風◆Ok:2019/07/26(金) 22:05

>>>60 タピオカパンさんが謝ることありませんよ! 今読んでいる最中なんですが面白いですね。

62:ジイカ◆Es:2019/07/26(金) 22:13

差し出がましいかもしれませんが失礼します
>>54の発言がとても気になったので

巧い拙い関係なく、小説を書くことは自由です。
むしろ下手だから書いて書いて、上達させていくのではないでしょうか。
やめたら? と他人が止めるのは筋違いです。

それに大体の人が途中でやめてしまう中、タピオカパンさんはかなりの文量を書き続けています。
中々できることではないと思いますがね。

釣りだとは思いますが、念の為に書き込ませて頂きます

63:いちごみるく:2019/07/26(金) 22:16

>>60 言い過ぎたわ…ごめんなさい。
>>62 はい…正気に戻りました。

64:タピオカパン◆VU:2019/07/26(金) 23:00

>>61 ありがとうございます…!!もう更新やめようかと考えてました。面白いなんて言っていただけてすごく嬉しいです…!すごく励みとなりました。ありがとうございます。

>>62 これからも書き続けていきたいと思いました…!頑張りたいと思います。

>>63 分かってくれたなら良かったです。

65:サグメ推し◆dg:2019/07/26(金) 23:03

恋愛小説に興味が無かった私が、恋愛小説に目覚めたきっかけです!ありがとうございます!

66:タピオカパン◆VU:2019/07/26(金) 23:03

いちごみるくさんが書いた>>51、私が書こうと思ってたのと結構似ていたので、そのまま続きを書きたいと思います(◕દ◕)

67:タピオカパン◆VU:2019/07/26(金) 23:06

>>65 なんてこったサグメ推しさん!!
    恋愛小説に目覚めたきっかけだなんて…!!
    嬉しすぎて言葉がでません😭😭ありがとうございます!!あと、レスの書き込み時間一緒ですね!!運命だぁ🤗((

68:タピオカパン◆VU:2019/07/26(金) 23:19



「…緩莓?」



ハッ


聞き慣れた声がして顔をあげると、みっちゃんが驚いた顔でこっちへやってきた。


「緩莓…なんでこんなところに」


「…み、みっちゃんこそ…」


「俺は委員会の仕事で。早めにお弁当食って行かなきゃいけなくて…緩莓、どうしたの?具合悪い?」


私は首を横に振った。


「大丈夫。…ほら、委員会の仕事遅れちゃうよ…私は大丈夫だから、行って」


私はゆっくり立ち上がった。


「ほんとに大丈夫なの?」


私はにこっと笑った。


「証拠」


すると、みっちゃんも笑顔になった。


「…よし!じゃあ委員会の仕事頑張ってくるわ!!」


「うん!頑張って。行ってらっしゃい」


私はみっちゃんに手を振った。




良かった。


みっちゃん…ちゃんと私のことも見てくれた。

69:タピオカパン◆VU:2019/07/27(土) 08:41

陽side*★


『大丈夫。』


なんかおかしくないか…?


だって、結菜は教室でお弁当食べてたし、ほとんどの女子は確か教室にいた気がする。


じゃあ、緩莓は誰と…?


そんなことを考えていると、


「あっ陽先輩!!こんにちは!」


ん?


「あっ、新原さん。こんちゃ。」


委員会の後輩(中2)の女子。(保健委員会)


やたらと俺に話しかけてくる。


まあ、後輩に好かれるのは嬉しいし、全然いいんだけど。


「あの、委員会の仕事なくなったらしいです!」


「あ、そうなんだ。」


「…先輩、……一つ質問してもいいですか?」


「?うん。いいよ」


新原さんが立ち止まった。


その目は、緊張しているように泳いでいた。


「……先輩」


俺は黙って次の言葉を待った。













「好きな人いますか?」

70:タピオカパン◆VU:2019/07/27(土) 09:31




「えっ」


好きな人…


新原さんは顔を赤らめていた。


どうしよう。


『いる』って答えたら質問攻めされそうだし、『いない』って答えても…


「…さあね」


「えっ?」


俺が出した答えはこれだった。


「新原さんがいないって思うならいないし、いるって思うならいるんじゃない?」


俺は何か聞かれる前にじゃあねと手を振ってその場を去った。



そして、一人残された夢葉(新原)は、こうつぶやいた。







「…絶対いるじゃん…」

71:タピオカパン◆VU:2019/07/27(土) 14:59

教室に戻ると、緩莓の姿があった。


良かった。


……良かった?


なんで安心してんだろ、俺……


昼休みの教室はワイワイガヤガヤしていた。


すると、


「このクラスで実は付き合ってるっぽい男女探そうぜ!!」


…はい?


そう口にしたのはクラスのムードメーカーの一人、裕也だった。


「つまりどーゆーこと?」


茜がそう聞くと、


「そーゆーこと」


蒼が答えた。


「???」


茜はぽけーっとしていた。


いやあかあおコンビ(茜と蒼のこと。通称レッドブル。←あかとあおだから)怪しいだろ。


蒼絶対茜のこと好きやんけ!


「レッドブルでしょ」


結菜が笑うと、みんな口々にレッドブルレッドブル言い始めた。


レッドブルコール。←


「だよなー!!お二人さん、どうなのかしら?」


裕也が二人に聞く。


「え何が?」


茜の天然発動!!(常時発動してるけど)


「茜何考えてたの」


蒼のツッコミ発動!!(常時発動してるけど)


「(茜には話通じないし蒼にはかわされるし…なんて日だ!)」←裕也


「小森と若尾は?」


「いやもうバリバリ付き合ってんじゃんお前馬鹿かよ草」


颯太が言ったのに対しての美奈の毒舌攻撃。


「そんな言わんといて…俺死んじゃうよ?」


「じゃあタヒねw」


「!!??」


颯太と美奈もありそう…


「彩ちゃんとかっちゃんもさー…」


『彩ちゃん』とは彩乃のことで、『かっちゃん』とは勝田智和のことだ。


「あ゛あ゛っ!?」


かっちゃんがすごい形相でこっちを睨んだ。


その近くで首をかしげている彩乃。


ほのぼのとしたマイペースな彩乃と怒りっぽいかっちゃん。


そのペアはすごく珍しい。


この前、彩乃が転んだとき、かっちゃんが保健室に連れて行ったとか。


かっちゃんは彩乃に対しては優しい。


そんなことを考えていると、裕也にびしっと指を突きつけられた。

72:タピオカパン◆VU:2019/07/28(日) 07:45

「え、何──」


「お前も怪しいぞ!」


「はあ」


「お相手は?」


すると、誰かが


「日奈じゃないの」


と言った。


それは心愛だった。


「ええええ!?そうなのか三橋!!」


「いや…ちが…」


「日奈ってモテるよね〜」


「付き合ってんの?」


否定するも、みんなの耳には届かないみたいだ。


どおしてだよおおお!!


すると、


バン!!


びくっ


大きな音がして、みんながそっちに注目する。


「──あごめん、驚かせるつもりじゃなかったんだけど」


どうやら瑠樺は黒板を叩いたらしい。


「三橋、なんか言ってるよ」


あ……


みんなの視線が今度は俺に集まる。


「えっと……俺、日奈じゃないから…ご、誤解だから」


あはは〜…


しーん…


笑みを浮かべるも、みんな笑わなかった。





どおしてだよおおお!!←


「そうなんだ。じゃあ他にいるん?」


陽向が小悪魔的な笑みを浮かべてこっちを見た。


「えっと……ま、㊙で!」


みんながどおしてだよおおおという顔をしていた。←いやカオスww

73:匿名ぼーちゃん:2019/07/28(日) 22:49

いつも見てます!!大好きです!!特に三橋くんが大好きすぎます😘ゆるめちゃんも可愛すぎる😍これからも頑張ってください!

74:タピオカパン◆VU:2019/07/28(日) 23:11

>>73 わああああ!!嬉しい😄嬉しすぎて死ぬ…!バタッ じゃあみつゆるいっぱい登場させますね!!すごくやる気になりました(*ノェノ)ありがとうございます!

75:タピオカパン◆VU:2019/07/29(月) 09:19

「三橋」


さっきの騒動がおさまると、瑠樺が話しかけてきた。


瑠樺と話すことはそうそうないので、ドキドキする。


「な、何?」


「さっきはごめん」


「え?」


「三橋がなんか言ってんなって思って、みんなに聞いてもらえる方法、あれしか思いつかなくて。」


「いや謝らなくていいよ。助けられたし」


「そ?ならよかばい」


瑠樺がそう言ってにこっと笑った。


方言萌え…!!


瑠樺のお母さんが博多の人らしくて、瑠樺はたまに方言が出る。


クールでかっこいい瑠樺が笑顔を見せるのも方言を使うのもごく稀だ。


俺、てんっさい!!←


瑠樺が立ち去ると、緩莓と目が合った。


あ……


緩莓はジト目でこっちを見てからそっぽを向いた。





──もしかして妬いてる?


だったらめちゃクソ嬉しいんだけど!!


「ねえ、次の授業って体育だよね?」


結菜が言った。


「そうじゃん!」

「早く行かねーと」

「急げ〜」


体育は早く行ったほうが成績が上がるらしい。


だからみんな急いで行くんだ。


「三橋、行こーぜ」


「おう」


和田に声をかけられ、小走りで教室を出た。

76:タピオカパン◆VU:2019/07/29(月) 15:16

これからおばあちゃんち行くので投稿頻度落ちるかもしれないのでよろしくです(◕ᴗ◕✿)←ほとんど独り言

77:タピオカパン◆VU:2019/07/29(月) 19:32

今日はリレーをやるらしく、まずはチーム決めから。


龍輝と一緒になりてーなー。


あいつ多分この学年の男子の中で一番足速いし。


まあ俺も速い方だけd((


「はーいじゃあチーム決めます。1チーム5人。でも一つだけ6人になる班があります」


うぇーい、とみんなが返事をする。←




そしてしばらくして、班が決まった。


俺は、颯太とかっちゃんと彩乃と美奈と同じだった。


なんかすげーな、颯太と美奈いいかんじ(?)だし、かっちゃんと彩乃もいい感じだし…


おれぼっち((たまご◯ちみたいに言うな


「…颯太足ひっぱんなよ?」


「いやいやいやいや!それはこっちのセリフだし!」


美奈がそう言うと、颯太ががんばって言い返した。()


「ごめん…私、足遅いから…」


彩乃がおどおどしながら申し訳なさそうに言ってきた。


「何心配してんだよ。俺がいるからそんなん気にすんなばーか」


かっちゃんがちょっと強めの口調で言った。


ツンデレばればれ。


…俺、やっぱぼっちやわー


「かっちゃんとみっつー速いよね。50メートル何秒?」


颯太が聞いてきた。


「俺は7秒」


「同じく」


「あんたはどーなのよ」


美奈が颯太に尋ねると、


「俺?俺は8秒台!」


「……足ひっぱんなよ?」


「なんでえええ」


すると、


「ええええ!?ゆるちゃん7秒台なの!?はやー!!」


と玲奈の声が聞こえてきた。


どうやら、緩莓は玲奈とののと蒼と祐也と一緒だったらしい。


だけど、女子で7秒台かー。


流石だな。


そんなことをぼんやり考えていると、


「はーい、じゃあ各チームで練習はじめてくださーい」


という先生の声が聞こえた。

78:タピオカパン◆VU:2019/07/29(月) 20:26

俺たちはとりあえずトラックを走りながらバトンパスの練習をすることにした。


「じゃ、行くよ〜」


なぜか俺がこのチームのアンカーになったので、一番先頭を走る。


一番最初に走るのは颯太。その次は美奈、その次が彩乃、次がかっちゃん。


その次は、


俺だ俺だ俺だ俺だ俺だ((


走っていると、後ろからドドドドドと足音が聞こえてきた。


ん?


「うおおおおお!!」


後ろから猛スピードでやってきたのは和田たちのグループ。


和田が先頭だった。


「ちょ和田はえーよ!!」


和田はなぜかみんなをおいてこっちに向かってめちゃくちゃ走ってきていた。


「み、三橋!急いでえええええ!!」


一番後ろの颯太は和田が怖いみたいだ。w((


「いえっさー!!」


俺はスピードをあげて走った。


「うおおおおお!!」


かっちゃんたちもスピードをあげた。



っていうか和田何が目的なんだよ!!


するとやっとバトンが渡ってきた。





颯太、あんなに怖がってたのにちゃんと渡したんだ……w


ウケる!!


「おわっ」


俺はつまづいてしまった。


「あ」


「っぶねーな!!」


転びそうになったところをかっちゃんが掴んでくれたので助かった。


だがしかーし!!


「きゃっ!!」


彩乃がバランスを崩して転んでしまったみたいで、かっちゃんの背中にぶつかって俺たちは共倒れになってしまった。


ドサッ


「あっ…!ごめん!ごめんなさ…」


彩乃が泣きそうになりながら謝った。


「あっはは!!なんかめっちゃカオスだったねw」


俺がそう言うと、彩乃は申し訳なさそうに苦笑いした。


「か、かっちゃん…ごめんね」


「……手」


かっちゃんがそう言うと、彩乃はかっちゃんの背中に置いていた手をぱっと話した。


「…俺、水飲んでくるわ」


かっちゃんはそう言っ立ち去った。







「調子狂うな…」


智和は一人でそう呟いた。

79:タピオカパン◆VU:2019/07/30(火) 11:56

「──じゃあ、充分練習できたと思うので対決してみたいと思いまーす」

ちょとまてちょとまておにいさーん((お兄さんじゃないけど


練習全然やってないんですけど。


和田のせいで…←





「いちについて…よーい…どん!」


一番最初に走るのは、颯太、緩莓、大翔、瑠樺、レイ、広規だ。


女子は緩莓と瑠樺か。


どっちも運動神経いいもんなー。


って、もう始まってるし!!


「頑張れー」という声があふれる。


今のところみんなすごくいい勝負だ。


そして颯太から美奈へバトンが渡った。


うわお。バトンパス完璧。


あんなに和田に邪魔されたのに。←


美奈のおかげで俺たちのチームは二位のチームと結構かけ離れている。


そして次は彩乃にバトンが渡った。


少し危うかったが、彩乃はしっかりバトンを握って走った。


『ごめん…私、足遅いから…』


そう言っていた彩乃も、一生懸命走ってくれた。


そしてかっちゃんにバトンが。


「あ…っ」


バトンが落ちてしまった。


かっちゃんはすぐにバトンを拾った。


「気にすんじゃねぇ!」


かっちゃんは走り出した。


すると、後ろから玲奈が距離を縮めてきた。


あ…やばい、追いつかれそうかも…


いや、かっちゃんなら大丈夫だ。


そしてついに俺にバトンが渡った。


俺は全速力で走って走って走った。


…やばい、祐也に追いつかれる…!!


でも、ギリセー…




ズルッ


「わう」



ズサァァァァァーーッ


そしてそのままゴール!


「っしゃあ!一位!!」


みんなに大爆笑された。


ちゃんっっっっっっっちゃん!!←

80:タピオカパン◆VU:2019/07/30(火) 17:19



「ねえ三橋くん、今日って小テストあったっけ?」





「三橋くん」


「えっ」


今俺は塾にいる。


「疲れてるみたいだね。」


「え、ああ。今日転んだからかな」


「転んだ?」


「あ、いやなんでもない」


俺の前の席の植野さん。


すごく頭が良くて常に成績トップ。


綺麗な黒髪が印象的な女の子。


「みっつー」


すると、右隣の心美に話しかけれらた。


──あ。


手紙の返事してねえ。


「今日リレーで転んだんだって?結菜から聞いたよ」


あいつ榊原…!


「ところで〜、」


心美は謎の間を開けた。


「みっつーの好きな人知ってるよ」


「……ワンモア?」


「うち、みっつーの好きな人知ってる」


「それいつどこで誰から聞いた?」


「教えるわけ無いじゃん」


「言え」


「別に誰でもよくね?」


「お前うぜーなー。」


「だからなんやねん」


「はあ…もういいや」


俺は勉強に集中した。

81:タピオカパン◆VU:2019/07/31(水) 07:40



やばみ。


こないだやった小テスト返ってきた…


65。


100点満点中で!


まじ禿げそう……


そんで今は落ち込みながら家に帰ってるってわけよ。


どないしよう…。


ヤギに食べさせよっかな…((


あーあ。家着いちゃったし。


絶対マミーにテストの結果聞かれんじゃん!!


「あ、みっちゃん」


玄関のドアを開けようとすると、聞き慣れた声が聞こえた。


振り返ると、そこには緩莓が立っていた。


「おう。緩莓。…なにしてたの?」


「買い物」


あぁ。そっか。


緩莓んちは両親が共働きで、妹たちの面倒は全部緩莓がみているんだ。


「暗いから気をつけなよ?」


「うん。ありがと」


「じゃな」


「ばいばーい」


緩莓の笑顔のおかげで、少し緊張が和らいだ。


…よし。


そう俺は決心をしてドアを開けた。

82:タピオカパン◆VU:2019/07/31(水) 15:58

「おかえりー」


ドアを開けると、ちょうどお母さんが玄関にいた。


「た、ただいま」


「ねえ、そういえば、前引っ越して行っちゃった桐野茉莉ちゃんって、覚えてる?」


「え…」


唐突の質問に一瞬固まる。





『陽くん!』




ああ。


茉莉か。


随分と前だ。小4のときくらいに引っ越してきて、小4の終わりでまた引っ越していった。


転勤族か。



茉莉は俺に───




「帰ってくるんだって」


「…へえ」




『陽くん、あのね……』






「多分、今度は長くいると思う」






『私────』





「……そうなんだ」












『陽くんが好きなんだ。』

83:タピオカパン◆VU:2019/07/31(水) 18:30



『転校生の子を紹介します。桐野茉莉さんです』



転校生か〜。



しかも、『まつり』っていうんだ。



変わった名前だな〜。



『転校生』という慣れない響きに、みんなはざわついていた。



そして教室に入ってきたのは、ゆるく巻いた髪をおろしている女の子。



『…かわいい』



誰かがそうぼそっと呟いた。



『…桐野茉莉です。うちは転勤族なので短い間しか一緒に過ごすことはできないと思うけど、よろしくお願いします。』



『てんきんぞく?』『てんきんぞくって何?』



という疑問が飛び交った。





そして、茉莉の席は俺の隣になった。



少し緊張している茉莉に、俺はこう言った。




『三橋陽。』



茉莉はきょとんとした顔で俺を見た。



『俺の名前。よろしく!』



茉莉は少し恥ずかしそうに笑った。




『よろしくね』

84:タピオカパン◆VU:2019/07/31(水) 18:47



そして、茉莉が来てから約一年後──


──小4の終わり。


クラスのお別れ会をしたあと、帰り道。


俺は、蕾がなっている桜の木をぼーっと見ながら帰っていた。


すると、


『陽くん』


そこには、笑顔を浮かべた茉莉が立っていた。


だけど、その笑顔はどこか、


寂しそうだった。


『どうしたの、茉莉』


俺が名前を呼ぶと、茉莉はぎゅっとランドセルの取っ手を握りしめた。


『陽くん、あのね……』


茉莉はそう言うとうつむいた。


『私───』


茉莉は顔をあげた。



『陽くんが好きなんだ。』



茉莉の顔は赤く染まっていた。


『──え?』


人生で初めて異性に『好き』と言われた。



ゆるちゃんにも、今まで言われたことがなかった。


茉莉の顔は真っ赤で、つられて俺も赤くなった。


だけど、茉莉の顔は次は悲しい顔へと変わっていった。



『………私がいなくなったら、陽くんはどう思うかな。』



茉莉はすごく小さな声でそう言った。


『え……』



『ううん、なんでもない。』


茉莉は、少し涙目になりながら微笑んだ。


『……またね』


『…おう!』


俺がそう言うと、茉莉は小走りで走っていった。


その時の茉莉の寂しそうな背中は、今でも鮮明に覚えている。



俺はあのとき、


茉莉が目に涙をためていた理由、


『またね』と言った理由、


そんなことを知ろうともせず、ただ真っ青な青空を眺めているだけだった。


『また、会おうね───』


そう言いたかったんだな。

85:タピオカパン(先輩):2019/08/01(木) 08:02


「…みっちゃん?」


「──え?」


「なんか考え事してた?」


「えーうん、まあ…」


授業が終わってぼーっと席に座ってたら、緩莓に話しかけられた。


「……何考えてたの?」


「うーん…進路のこととか」



──嘘。


本当は茉莉のことを考えていた。


お母さんは、『帰ってくる』って言ってたけど、いつ帰ってくるんだろうとか。



っていうか俺……


茉莉のこと考え過ぎか。


「進路かー。そうだよね。私達受験生だし」


俺の嘘を素直に受け止めてくれる緩莓。


多分、緩莓は俺のことが好きで、純粋に想ってくれている。


───だけど、俺はその緩莓をよそに、他の事を考えているなんて。


緩莓の顔を見ていると、俺の心の歪みが見えてきた。


「…ごめん…」


ぽろりと心の中で思っていた言葉がもれた。


「え?」


緩莓はきょとんとしていた。


「どうしたの?私別に謝るようなことされてないけど…なんか悩んでることあったらいつでも言ってね」


緩莓はそう言って行った。


『なんか悩んでることあったらいつでも言ってね』


言ったらきっと───




緩莓は傷つくだろう。

86:タピオカパン(先輩):2019/08/01(木) 08:16




小5の始まり───





────茉莉はいなくなっていた。



『──え?茉莉引っ越したの?』



引っ越した……



そういえば、茉莉は“転勤族”と言っていた。



『短い間しか一緒に過ごすことはできないかもしれないけど、よろしくお願いします。』



茉莉はもう、その時から分かっていたんだ。



一年後には、ここから去ることを。


『陽くん!!』


その笑顔が。



その声が。









俺はいつの間にか、好きになっていたんだ。

87:藍乃ちゃん hoge:2019/08/01(木) 09:30


おもしろいです!!!これからも頑張ってください、!!

88:タピオカパン(先輩):2019/08/01(木) 11:06

>>87 わ、ありがとうございます!!!めちゃくちゃ嬉しいです😆😆はい!頑張りまーす!(ノ◕ヮ◕)ノ*.✧

89:タピオカパン(先輩):2019/08/01(木) 13:20

───自分の気持ちが分からない。


自分が誰を好きなのか。



緩莓とは、自分にとってどういう存在なのか、とか……


緩莓は俺の幼馴染みで、一番長く一緒にいる異性。


素直で、心が清らかな、美しい人間。


そして俺たちは両想い。




そうだよ……


両想い……


……




『なんか悩んでることあったらいつでも言ってね』






伝えないと。




伝えたら─────




緩莓は悲しむだろう。


そんな顔見たくないけど、


隠すほうがやだ。





俺は緩莓に本当の思いを伝えることを決心した。

90:タピオカパン(先輩):2019/08/01(木) 14:09



「みっちゃん!」


緩莓が駆け寄ってきた。


俺は、学校から帰ってから、緩莓を公園に呼び出した。


結構暗くなってきたし……


「ごめん、こんな時間に呼び出して」


と言ってもまだ5時だ。


緩莓は、いつも弟たちの世話などで忙しいが、今日は空いてるらしい。


「ううん!全然大丈夫」


緩莓はそう言って微笑んだ。




多分、俺が『その事』を伝えたら、この笑顔は消えるだろう。


違和感を抱かせないように、俺はなるべく普通に振る舞った。


「……緩莓」


「ん?」


名前を呼ぶと、緩莓は優しく聞き返してくる。






「──大事な、話があるんだけど」


そう言うと、緩莓の顔は真剣になった。


つられて俺の顔もこわばる。


「緩莓さ、『桐野茉莉』って、覚えてる?」


「…あっ、小4のとき転校してきた子だよね」


俺はうなずいた。


「…その子が、どうかしたの?」


「……好きだったんだよ」


「────え?」





「俺、茉莉の事好きだったんだよ」


「え、えっと…つまり、今は違うってことでしょ…」


俺が首を横に振ると、緩莓は手を握りしめた。


「……私は……?私のことは、嫌いになっちゃったの……?」


緩莓が涙目になりながら言った。


その顔を見て、胸がきゅっと締め付けられた。


──違う。


───そんなわけない。


────俺が言いたいのは………


「俺は緩莓が好きだよ。誰よりも好きだ。緩莓が笑ってくれると自分も笑顔になるし、緩莓が近くにいるだけですんごい幸せになるんだ。緩莓みたいな人……嫌いになれるわけ、ないじゃん………」


俺はぐっと涙をこらえた。


緩莓も、我慢してるんだから………


「茉莉ちゃんの事は………?」


「茉莉の事、たまに思い出すんだ。あいつ、何してるかなって……今は、好きとかじゃなくて……」


緩莓は俺の話を黙って聞いてくれた。


「俺、あいつに不思議な別れ方されて……それが、忘れられなくて……」


「みっちゃん」


緩莓が優しく、そう言った。


「私、全然怒ってないから。むしろ怒るわけないじゃない。私はみっちゃんが悩みを打ち明けてくれたことがすっごく嬉しい。みっちゃんは素直だから、そのことがずっと心にひっかかってたんだね…」


緩莓が俺に抱きついてきた。


「ゆるm「お…お前ら……!!」


え?


聞き覚えのある声がして、振り向くと、俺の親友、和田が立っていた。


「お…お前ら……!!」







「付き合ってたのかよおおおおおーーーーーーー!!!!」


和田は「あああああ」と叫びながら走り去っていった。


「「え゛」」


……大事な話ししてたんだけど………


和田ぶっころ☆((

91:タピオカパン(先輩):2019/08/01(木) 14:39



『おい、お前ら付き合ってたん!?さっきハグしてたよな!?ラブラブじゃん!!!』


家に変えると、和田からそうLINEが来ていた。


和田ってさ〜…


うん。





うぜえわ☆


スタンプ連打してやろ。


怒っている顔のスタンプを連打する。


疲れたーと思ってスマホを置くと、


ピコン♪←


と着信音がなった。


『おい南島〜、明日ってさー、』


───は?


「お前親友の名字間違えるなんてサイテーなやつだな」


と送る。


『は?だってお前らもう結婚してんだろ?南島〜』


こいつ馬鹿かよ。


いやもう馬鹿だよ。


馬鹿の頂点に立ってる男だよ。


ってゆーか俺が婿入りするんかよ。


「お前はじめてのおつかい行ってこいよw」


『お巡りさんこいつでーす』







結果。






和田はうぜえ!!!!



以上、三橋と和田のLINEたいむでしたー。




NEXT!!

92:タピオカパン(先輩):2019/08/02(金) 12:03

🍚ごはんTime🍚


「その茉莉ちゃん、来週くらいに帰ってくるらしいわよ」


「へー」


「その子って可愛かったの?」


俺は飲んでいたお茶を吹き出しそうになった。


「うわ兄ちゃん汚っ!」


「ふきだしてねーよ」


っていうか年頃の男子に普通そんなこと聞く!?


素直に答えるとでも思ってんのかな?←


「あー、その反応は陽、茉莉ちゃんの事好きなんでしょ」


お母さんやめて……←


「お母さん、兄ちゃんが困ってる」


明、ナイス!!


「…から、もっと聞いて!!」


明は満面の笑みでそう言った。


腹黒!


いや前から知ってたけど!


俺より明の方が賢いけど!


「大人しい子なんでしょ?」


「…んー…まあ」




『陽くん…私ね、どうしたらいいか分かんなくなっちゃって』


『何が?』


『私……いじめられてるみたいなんだけど』


その時の茉莉は、むりやり笑みを浮かべているようにしか見えなかった。


『気が弱いからかな…』





そんな茉莉を放っておけなくて、俺はできるだけ茉莉のそばにいてあげるようにした。


「ごちそーさまでした!!」


そんな明の声が聞こえて、ハッと我に返った。


「同じクラスになれるといいね」


お母さんはそう言って笑った。


……何勘違いしてんだろう……←


まあ、茉莉のこと好きか嫌いかって言われたら……



嫌いじゃないけど………


好き寄りの普通…かなあ…


「兄ちゃん汚っ」


「え?」


「ぶははは」


明もむかつく☆


まあ、和田よりはマシだけど…うん。

93:タピオカパン(先輩):2019/08/02(金) 17:08



「和田!!」


教室に入ると、俺は真っ先に和田のもとへ走った。


「よお南島。」ニッコー


「お前いい加減やめい?」ニッコー


「…おはよう」


すると、緩莓が少し不機嫌な顔で現れた。←


「おはよ…ってどうしたの!?なんか目の下クマできてない!?」


俺がそう言うと、緩莓は和田をキッと睨んだ。


「和田さあ、なんで夜中の12時にLINE送ってくるの!?そのおかげで全然眠れなかったんだけど!」


和田ぁ〜??


「なんだよ三橋、新婚祝い送ったげたのに」


和田は緩莓に向かってそう言った。


え何?


緩莓のことは俺の苗字で呼んでんの?


「最初和田から『おい三橋ー』ってきたときは送り先間違えたんだな〜って思ってたけどずっと『三橋緩莓』とか言ってきたからもうボケたのかと思ってびっくりしたじゃん!」


緩莓はそう言って和田の机を叩いた。


ボケたのかと思ってびっくりしたんだww


「まあまあお二人さん、落ち着いて」


いや俺は割と落ち着いてるけど。((


「新婚旅行は学校の屋上でい((ぱちん☆


↑上の音が何の音かはご想像にお任せします☆


「ってーな!!三橋!!」


和田は真顔で言ってたからどっちの三橋か分かんないんだけど←


あ、どっちがぱちんしたのかはご想像にお任せだよ☆

94:タピオカパン(先輩):2019/08/03(土) 08:26



「はーい今日は男女でペアを組んでリコーダーのテストの練習をしたいと思いまーす」


男女でペア…!?


一時間目の授業は音楽。


「じゃあくじ引きで決めましょう!」


先生がくじ引きを出した。





『7…』


黒板を見ると、7番は8番の人とやるようになっていた。


はっちばーんだれですかー


と思いながら俺は黒板に名前を書きに行った。


「あ」


8番のところに名前を書いていたのは、


「みっつー、よろしくね」


彩乃だった。


え、かっちゃんにころされそU((


「おー、よろしく」


彩乃って俺よりちょっと背ちっちゃいんだー。


緩莓は…と思いながら緩莓の方を見ると、


緩莓はしえるくんとハイタッチしていた。




な゛


な゛んでよりにもよってぇぇ!!


だってしえるくん絶対緩莓に脈あるよ!!


えんだーーーーいあーーーー((


「みっつーってゆるちゃんのこt「行こう!練習しよう!かんっぺきにしよう!」


「え?う、うんそうだね」


「練習はどこでもオッケーでーすあっでも外には出ないようにしてくださいね」


はーい。


「屋上はいいんですか?」


「屋上はオッケーです」


絶対屋上混むだろうなあ…←


「とりあえず俺たちはここでやるか」


「だね」


みんなが教室を出ていった。


教室に残ったのは、俺と彩乃のペアと、かっちゃんと結菜のペアだった。


「どうやったらそんな変な音出るの!?」


「うっせー!!俺は真面目にやってんだよ」


「それが真面目なの?w」


「あ゛?」


あのペアすげーな…←


どっちも気強いし…


隣の彩乃は、そんな二人の様子を見つめていた。


…だよね、そうなるよね〜…。


自分の好きな人?があんなふうに他の人と話してたら気になっちゃうよ。


わかるわかる。


「……じゃ、やるか!」


「あ、うん!」


♪♬♫


「彩乃ってリコーダー上手いね」


「そう?みっつーも上手いよ」


彩乃はそう言って笑った。


すると、


「せんせえええええーーーーーーっ!!」


バンッ!!


その大きな声と共に音楽室の扉が思い切り開いた。


「和田?どしたん」


「おお、三橋!助けてくれよおおお!」


和田は泣きそうな顔で叫んだ。


どうしたどうした?


「屋上で練習してたらさ、リコーダー落としちまってよおおお」


馬鹿じゃん。←


「で?ペアの人は?」


「瑠樺は無言で俺のこと見てくるしなんか」


瑠樺…w


「なに和田リコーダー落としたの?w」


話を聞いた結菜が笑いながら言った。


「笑うな」


「壊れてはないんだろ。早く取りに行ったほうがいいんじゃねぇの」


かっちゃんが言った。


「そ、そうだな。行ってくるわ」


和田は音楽室を出ていった。

95:タピオカパン(先輩):2019/08/03(土) 08:44


「和田来なかった?」


和田が出ていってちょっとしてから、瑠樺が来た。


「さっき来てリコーダー取りに出ていったよ」


「入れ違いか…」


「もしかして瑠樺取りに行ったの!?」


結菜が驚きながら聞いた。


「うんまあ」


カッコよ。←


「和田…w」


「どーしよ…」


瑠樺が和田のリコーダーを見ながら言った。


「もうすぐ帰ってくるんじゃn「なかったんだけど!!」


ちょうど和田が帰ってきた。


「あ、和田これ」


瑠樺がリコーダーを渡した。


「え……?いつ取りに行ったん!?早くね!?」


「お前がギャーギャーわめいてるときな」


「だまれ?」ニッコー


「いやだ☆」ニッコー


「とりま早く練習しよ」ビュゴォォ


「は、はい」


瑠樺可哀想…和田のせいでだいぶ練習時間削られたじゃん。


まあ俺らもだけど。


「瑠樺そこらへんの男子よりカッコいい…」


彩乃が目をキラキラさせながら呟いた。


そ、そこらへんの…


彩乃ってたまにグサッとくること言うんだよね〜w

96:タピオカパン◆VU:2019/08/03(土) 16:53

「ゆる、なんかあった?」


今日は俺と和田と結菜と緩莓の四人でお弁当を食べている。(なぜか)


「エッ」


結菜の突然の問いかけに、緩莓は箸を止めた。


「んーと…ま、まあ、気にしないで!」


「新婚旅行どこに行くk「黙りなはれや☆」


和田とギャーギャーやっていると、結菜ががたんと立ち上がった。


「「うおっ」」


「まじで!?」


結菜が緩莓に向かって目を見開きながら聞いた。


なになに


「おい、教えろよ〜」


和田がいう。


「そうだよー。せっかく四人で食べてるんだから話題は共有しよう」


「そ れ な ☆」


「和田ウザイ」


「がーん」


効果音口で言うなやw


「え、えっと和田のリコーダーの件だよ!」


緩莓が慌てたように言った。


なんか隠してんなー


「俺のリコーダーがどしたと?」


「しーらんぺっぺ」


和田と顔を見合わせる。


「…なんか隠してんの?」


「わ、和田が!ゴリラって話!!」


結菜が言った。


「それでなんで『まじで』ってなるんだよw」


「おい和田ゴリラ、動物園から脱走してきちゃだめだぞ、帰れ」


「お前まで洗脳させられやがったな」


「は?」


「は?」


「おい和田〜、冗談は顔だけにしとけよ〜w」


「ちょっと何言ってるか分かんない」


「あの二人何話してんだろーね〜…」


「ね〜…」


和田と三橋が笑い合っているのを冷めた目で見ている、緩莓と結菜であった。

97:タピオカパン(先輩):2019/08/04(日) 08:01

✲*緩莓side*✲


──音楽の時間。


『10』


『南島さん、何番だった?』


しえるくんが訊ねてきた。


『10番だったよ』


『僕11番。…あれ?』


『私たちペアじゃん』


私たちはいえーいとハイタッチをした。


そう言って笑うと、しえるくんは小さな声で『よっしゃ』と言った。


『そんな嬉しかった?』


冗談半分で笑いながら聞いた。


すると、しえるくんは赤い顔でうなずいた。




……な、なんだろ…


何かこっちも赤くなってきちゃうんだけど……


『屋上でもオッケーです』


先生のそんな声が聞こえ、みんながドドドと教室を出ていった。


屋上人気だな〜。


『じゃあ、私たちはどこでやろっか』


『屋上…』


『にしよっか』


『うん』


私たちは屋上へ向かった。





『うおああああああ!!!』


びくっ


和田の叫び声が聞こえ、びっくりして振り返る。


『リ…リコーダー落としちゃった』


落とした!?


どうやって??


『うわあああんどーしよううう』


『どんまいじゃん』

『さ、練習練習♫』

『…』


少し涙目の和田に対してのみんなの反応は塩だった。


だって和田ってめんどくさいもん。うん。


私とみっちゃんに新婚とか言ってくるし…


『南島さん…』


『あっ、練習しよっか』


そう言って私はリコーダーを握り直した。


すると、しえるくんはそれを制した。


『?どしたの』


『あの…』


しえるくんは一瞬だけ空を見上げてから紅く染まった顔を少しそらした。







『…月が、綺麗ですね』







時間が、止まったような気がした。

98:タピオカパン(先輩):2019/08/05(月) 08:29

すみません、これから更新遅くなりますごめんなさい🙏

99:タピオカパン(先輩):2019/08/09(金) 08:32




『────さ、練習再開しよっか』


しえるくんはにこっと笑ってリコーダーを握った。


『え……と』


私は顔が赤くなるのを自覚した。


こ、こんなロマンチックな告白されたのはじめて…


すると、しえるくんに頭をぽんぽんと撫でられた。


『っ…!?』


『南島さんはかわいいね』


『え』


しえるくんってさ…


私より背小さいのに私より大人っぽいんだけど…


『付き合おう』


………!?


しえるくん!!


早まるな!!


『えっと…あのね』


私はやっぱりあの人のことが誰よりも好きだ。


『好きな人、いるの』


『……そう』


しえるくんの顔から笑顔が消えた。


『…三橋くん?もしかして』


『え…』


『ふーん…そうなんだ。』


しえるくんは少しニヤリとした。


な、なに…??


しえるくんが私の頬に右手を添えてきた。


ちょ


ちょっと待って


これって───


『南島さん、したことないでしょ』


キスのこと?


抵抗しようとする前に、顔を近づけられた。


『南島さんのハジメテ、もらっちゃおっかな』


や 


やめてーーーーーーっ!!


キーンコーンカーンコーン。


力がヘナヘナと抜けた。


しえるくんって…


しえるくんって…







肉食だったんだ……。

100:タピオカパン(先輩):2019/08/09(金) 16:51


それでその事を結菜に話した。


『まじで!?』


結菜はそう言って驚いた。


そりゃそうだよね。


告白されてキスされそうになったなんて……


さっきの出来事が脳内でリプレイされる。


『南島さんのハジメテ、もらっちゃおっかな』





うん…←


「緩莓顔赤くない?どしたの」


みっちゃんがキョトンとした顔で訊ねて来た。


「ほら、あれだよ、お前と結婚して嬉しさがこみ上げてk「黙れ和田ゴリラ」


「…嬉しさが「和田ゴリラ☆」


「…う「ゴリラ☆」


「うぜえ」


「え、えっと二人とも落ち着いて」


なだめると、


「なあ、あれ…」


和田が窓の外を指差した。


「えっ?」


「もーらい☆」ヒョイ


「……え?」


お弁当箱に入っていたはずのスイートポテトが入ってない…………………???


スイートポテトが…入って…な、い…


私の……大好きな………


スイートポテトちゃん……が…


「あー…えっと南島…ゆるしてちょ♡」


「……土下座しよっk「はい緩莓ちゃーんストップストップー?はい落ち着いてー」


結菜が慌てて私をとめた。


ちょっと和田うざいかも。


うんウザイ。


うざいランキング一位だよ。


ダ ン ト ツ で!!

101:ありさ◆8g:2019/08/11(日) 15:24

レス100
おめでと🥳

102:タピオカパン(先輩):2019/08/11(日) 15:37

ありがと😘

103:タピオカパン(先輩):2019/08/12(月) 16:05

 
陽side☆*



今日の朝は、何かが違った。


いつもと変わらないような朝だけど、なんか変だ。


なんか…


無性に胸がザワザワする。


部屋を出ようとすると、スマホが震えた。


見ると、和田からのLINEだった。


『おい三橋……』


ん?


なんか暗くね?


【どうしたお前】


そして次に送られてきたメッセージは、









『南島、









引っ越すらしい。』

104:タピオカパン(先輩):2019/08/12(月) 17:20





ウソだろ。


ウソだよな…?


だって………お前は嘘つきだしからかい上手だし冗談よく言うし





緩莓が引っ越すっていうのも、





きっと





すると、スマホが震えた。






「…ゆるめ」


迷わず電話に出る。


「…もしもし」


かすれた声でそう言うと、


『みっちゃん……わたしね』


緩莓の声は涙声だった。


「うん。………聞いた。…和田から」


『…ヒック……明日の夜に…この家を出るから…』


明日。


「…好きだよ、緩莓。」


『私もっ…大好き…大好きだよ』


「ありがとう。」


『またね…』


そこで通話は終了した。


気づいたら頬が濡れていた。



神様…………


緩莓がこの先、笑顔であふれる生活を送れますように……




お願いします。

105:タピオカパン(先輩):2019/08/14(水) 15:50

あの、この赤い糸を読んでくれてる方にお聞きしたいんですが、赤い糸の登場人物の中でいちばん好きなキャラを教えていただきたいです。
えっと理由はそのキャラをなるべく多めに登場させたいから?です

よろしくお願いします🙏🙇

106:若桜◆ME:2019/08/14(水) 21:47

めっちゃ面白かった❗これからも更新頑張って!

緩莓ちゃんが好き‼
女子だけど惚れるw

107:タピオカパン(先輩):2019/08/15(木) 07:41

>>106 わあああありがとおおお!!!😭✨うん!頑張るね!緩莓に一票!とゆーことで本人から一言👉「若桜ちゃんありがとう!これからもよろしくね!大好き!」

108:タピオカパン(先輩):2019/08/15(木) 12:07





「今まで本当にありがとうございました。私はみんなと過ごした日々を忘れません……」


そこまで言うと緩莓は両手で顔を覆った。


「……緩莓…」


結菜が涙目で緩莓の背中をさすった。


「…っ…私、みんなのこと大好き…こんな楽しいクラスで…





私は本当に幸せでした」


そう言って緩莓は微笑んだ。


その笑顔は、今まで見た笑顔の中でいちばん素敵だった。


「…ありがとう…っ…」


緩莓は綺麗な涙を流した。


女子はほとんど涙目で、男子は曇った顔をしていた。


そりゃあそうだよな…


緩莓は結構クラスのムードメーカーだったし、誰にでも分け隔てなく優しく接するから、いろんな人に好かれてるし…


緩莓がいなくなるなんて思ってもなかったから。


「南島は、今夜家を出発するらしい。」


担任の赤坂先生が口を開いた。


その言葉は、水を打ったように静かな教室に響き渡った。







小6のとき。


休み時間、俺は普通に校庭で友達と一緒にサッカーをしていた。


たまたまボールが体育館倉庫の裏に転がっていってしまい、俺が取りに行くと、


華奢な体つきをした緩莓と、ゴツくてデカイ体つきをした春樹がいた。


『ゆるちゃん?春樹?』


そう呟いたが、その声は二人の耳には届かないようだった。


もう一度呼びかけようと息を吸うと、


『おれ、南島のこと好き。付き合お』


今、なんて…?


『つ、付き合うなんて…』


ドンッ


『っ!?』


春樹は壁ドンをした。


『なんで?おれのこと嫌いなん?』


大きい春樹の手が、小さな緩莓の顎をつうっと撫でた。


『や…』


春樹が緩莓に顔を近づけた瞬間、俺の中で何かが噴火した。


『なにやってんの?』


なるべく普通を装って、転がっていたボールを拾いながらあっけらかんと言った。


『…陽』


『みっつー…』


『ゆるちゃんになにしてんの?』


目線を春樹の手に移すと、春樹は緩莓から手を離した。


『お前、なんで南島のことちゃん付けしてんの?ダサっ』


その時は結構ショックだったけど、今思うとあれは負け犬の遠吠えのようなものだったのかなと思う。


『みっつー…』


『…さ、もうすぐ休み時間終わるから教室戻ろっか。


南島さん。』


その時の緩莓の悲しそうな表情は、今でも鮮明に覚えている。

109:後輩◆:2019/08/15(木) 12:07

和田くん面白い

110:タピオカパン(先輩):2019/08/15(木) 12:10

>>109 おー後輩!ありがとう🙏✨和田から一言👉「おっマジかよ!!嬉しすぎて目からファンタ出るわ。あんがとん♥」

111:後輩◆:2019/08/15(木) 12:12

>>110
ww

112:愛華@ゆっかー◆QI:2019/08/15(木) 12:48

こんにちは!!とても面白いです!
緩苺ちゃんも良いし、みっつーも良いよなあ、、
でもやっぱ緩苺ちゃん!です!

113:タピオカパン(先輩):2019/08/15(木) 17:16

>>112 わあああありがとうございます🙏✨めっちゃうれしいです😭✨緩莓ですね!分かりました!緩莓から一言👉「愛華ちゃん!私を選んでくれてありがとう!だいすき!」

114:愛華@ゆっかー◆QI:2019/08/16(金) 08:59

>>113
わー!!可愛いです!可愛いですよ〜
わー、かわいー!

115:タピオカパン(先輩):2019/08/16(金) 12:36

>>114 wwありがとうございます!!

116:タピオカパン(先輩):2019/08/16(金) 13:15


「ねえ、みっちゃん…今日、一緒に帰れる?」


帰りのHRが終わると、緩莓が話しかけてきた。


今日は全部活がオフの日。


「うん。いいよ、一緒に帰ろっか」


そう言うと、緩莓は微笑んだ。





「ねえ…みっちゃん」


ふと、緩莓が口を開いた。


「私……引っ越すんだよね…東京に……遠そうで遠くないでしょ?」


緩莓はそう言って俯いた。


「みっちゃん……私のこと忘れないでね」


「忘れるわけ、ないじゃん」


忘れられるわけないよ…


緩莓みたいな、心が美しい人…忘れられないよ……


「俺……緩莓に謝らないといけないことがある」


「謝らないといけないことって?」


「…俺みたいな人間が、緩莓のこと好きになってごめん」


自分でも、何を言っているのかが分からなくなってしまった。




「──なんで?」


顔をあげると、緩莓は悲しそうな顔をしていた。


「なんでそんなこと言うの?そんなこと言われたら、悲しいよ……だって……




みっちゃんはこの世界に一人しかいない存在なんだから」


俺は息を呑んだ。


緩莓は大きな瞳から透明な涙をぽろぽろと流した。



「みっちゃんは……三橋陽は」


いきなり名前を呼ばれ、ドクンと胸が高鳴った。






「いつまでも、私にとって光だから…っ…」





オレンジ色の温かい光が、俺たちを優しく照らした。

117:匿名:2019/08/16(金) 21:25

おもしろいです!
頑張ってください(^^)

118:タピオカパン(先輩):2019/08/17(土) 08:37

>>117 わーありがとうございます🙏✨めちゃうれしいです😭!頑張りますね!

119:タピオカパン(先輩):2019/08/17(土) 22:16

えーと…今のところ緩莓が結構人気だから緩莓side増やそっかな。

120:後輩◆:2019/08/18(日) 00:10

どこの話?(場所)

121:タピオカパン(先輩):2019/08/18(日) 09:12

>>120 神奈川!

122:リコピン◆AQ:2019/08/19(月) 20:52

あと他に好きなキャラいる人いますかー?(?)

123:リコピン◆AQ:2019/08/20(火) 08:34


緩莓がいない教室は、とんでもなく寂しかった。

                      ・・
みんな普通に過ごしている…いや、過ごせているふりをしている。


緩莓と仲がよかった結菜は自分の席に頬杖をつきながら座ったまま動かないし、緩莓の事が好きなしえるくんは暗い顔をしている。


そして、俺は───……


ぼーっと、空を見つめていた。


どこまでも青く、雲一つない広い空。


ああ、この空をたどって緩莓のところに行けたらいいのに。


俺は、今とんでもなく後悔している。


最後に手を繋いでおけばよかった。


最後に緩莓のことを抱きしめておけばよかった。


最後に“大好き”の一言くらい言えばよかった。


なぜ緩莓を泣かせてしまったんだ。


もちろん俺は、緩莓の怒った顔も泣いた顔も微笑んだ顔も照れている顔も、びっくりしている顔だって全部愛おしく、大好きだ。


でも、俺がいちばん見たかったのは、


いちばん好きなのは、



緩莓の眩しいくらいの笑顔だったのに。

124:リコピン◆AQ:2019/08/20(火) 10:43

* ❁ 緩莓side ❁ *


「南島さん、呼ばれたら入ってきてね」


新しい担任の、小林綾音先生に、そう声をかけられ、はい、と頷く。


これから、新たな学校生活が始まる。


みっちゃんは、今どうしているだろうか。


いつものように明るい笑顔で笑い合っているだろうか。


それとも───


私が居なくなったことを、少しでも寂しく思ってくれているだろうか。


そうだったら嬉しいな。


「南島さん、どうぞ」


「あ、はい」


私は高鳴る鼓動を抑えられないまま、教室へと足を踏み入れた。


緊張して、思わず俯きがちになってしまった。


「じゃあ、南島さん自己紹介お願いします」


小林先生はニコニコしながら視線を向けてきた。


安心させようとしてくれているのが伝わってきた。


「はじめまして。南島緩莓です。…えと、よろしくお願いします」


ペコリと会釈をすると、拍手がおきてほっとした。


言うことが見つからなくて、短く終わってしまった。


つまんないやつ、と思われていないだろうか。


髪の毛を耳にかけながら教室を見回す。


綺麗だな、と思う。


新しめの学校なんだろうか。


「南島さんの席はあそこよ。北島くんの隣。」


先生が一人の男子を指差した。


いかにも明るそうな、日焼けした肌が特徴的な男の子だった。


そこの席まで歩いて腰掛けると同時に、チャイムがなった。


多分、朝のHRの終わりのチャイム。


ほっとして背負っていたリュックを机に置くと、私に視線が集まっていることに気がついた。


意味もなくぎこちなく笑みを浮かべると、たくさんの人たちが私のもとへ集まってきた。

125:愛華@菅井様◆QI:2019/08/20(火) 12:37

緩苺ちゃん転校先大丈夫かな…ってなりますね!頑張って下さい!

126:リコピン◆AQ:2019/08/20(火) 13:36

>>125 どうでしょう、心配ですねw((ありがとうございます!頑張ります✨

127:一騎◆:2019/08/20(火) 21:23

>>123
(泣)

128:リコピン◆AQ:2019/08/21(水) 06:51

>>127 あらあら。😁

129:リコピン◆z.:2019/08/21(水) 18:58


「ねえねえ、モデルとかやってるの!?」

「名前可愛いね!」

「超可愛いね!」

「どこからきたのー?」


押し寄せる人たちの質問攻めを受け、「えっと」と応えるしかなかった。


すると、


「お前ら、がっつきすぎだろw」


と、右から声がした。


その声の主は、北島くんだった。


「だって〜こんな可愛い子見たことないんだもーん」


そう口を尖らせて答えたのは、どこか結菜に似ている、明るそうな子だった。


「ねね、ゆるめちゃん、だよね漢字どーやって書くのー?」


その子は視線を北島くんから私へと移した。


「あ、はい。そうです。えっと漢字は…」


慌てて筆箱を取り出すと、その子は軽く噴き出した。


なんで笑っているのか分からなくて目を瞬かせていると、


「だって、同い年なのに敬語なんだもん、なんか後輩みたいだね」


その子はクククッと笑いを洩らしながらそう言った。


「あ、そだ。私横尾沙耶香!よろしくねゆるめちゃん!」


「あ、はい…うん。よろしくね」


そう微笑みかけると、沙耶香ちゃんは私の顔をじーっと凝視してきた。


「な、なんかついてる?」


「うん。ついてる。白い透き通ってる肌に大きな目と小さい鼻と綺麗な口がついてるよ」


私が口を開く前に、沙耶香ちゃんは言葉を続けた。


「もうほんとまじで可愛い顔してるね。モデルみたい。まじ可愛い」


そんなに率直に言われると恥ずかしくて照れてしまう。


少し顔を伏せていると、「やっほー」と、北島くんが顔を覗き込んできた。


突然だったので、思わずわっと声をあげてしまった。


「南島さんって、驚くとき『きゃっ』じゃなくて『わっ』って言うんだ。なんかかわいー」


!?


か、かわいい…


男子にそんなこと言われたことがないから、固まってしまった。


「えー、じゃあ私も『わっ』って言えばかわいいって言ってくれる?」


沙耶香ちゃんがニヤニヤしながら北島くんの肩に手を乗せた。


「お前はむり」


「えーなんで!?差別!ひどいー」


沙耶香ちゃんの反応が面白くて、思わず笑ってしまった。

130:リコピン◆z.:2019/08/22(木) 08:53


「あ…笑ったあ!」


沙耶香ちゃんがそう言うと、さっき散ったみんなが再び集まってきた。


「笑顔かっわいい!!」

「これが天使か〜」

「女子なのに惚れた」


「もーみんな、いくらゆるめちゃんが可愛いからって好意丸出しすぎーw」


沙耶香ちゃんが私に抱きつきながらそう言った。


「てゆーか、めっちゃ髪綺麗!さらっさら」


沙耶香ちゃんが私の髪をときながら言った。


「ホントだっ…!!私ロングの子好みっ…!」


みつあみをした大きな瞳の、私と同じくらいの背の女の子が震えながら言った。


「ゆるめちゃん。このみつあみは究極の髪フェチだから気をつけたほうがいいよ」


沙耶香ちゃんがそう言うと、みつあみの子は口を尖らせた。


さっきの沙耶香ちゃんと似ている。


「沙耶香ひどいよー!ちゃんと名前紹介してくれればいいのにー!」


すると、みつあみの子はこっちに向き直って、照れたように笑った。


「えっと…神谷栞菜です…あの…あなたの髪すっごい綺麗で…お友達になりましょうっ!!」

理由が面白くて、また笑ってしまった。


「うん。お友達になろう。南島緩莓です。よろしくね」


「はわわわ南島さん…!!」


『南島さん』


その響きを聞くと、いつもあの時のみっちゃんを思い出す。


「普通に名前でいいよ。よろしくね栞菜ちゃん」


「名前を呼んでもらえるなんて光栄です…!!」


栞菜ちゃん、面白い子だな。


「やば、もーすぐ授業始まんじゃん!じゃーねゆるめちゃん!」


沙耶香ちゃんと栞菜ちゃんに手を振られ、私も手を振り返す。


席に腰かけると、右から視線を感じた。


「やっほー」


「北島くん」


「…隼、って呼んでよ」


下の名前、隼くんって言うんだ。


「しゅ…隼くん」


「よくできました」


そう言うと、北島くんはにかっと笑った。


私も笑い返す。


何気なく窓の外を見ると、青い青い大空が広がっていた。


雲一つない、真っ青な大空。


まるでみっちゃんの心のように。


この大空をたどって、みっちゃんの所に行きたいなあ……。


涙が滲んできたのがバレないように、ずっと窓の方へ顔を向けていた。

131:リコピン◆z.:2019/08/22(木) 15:14

☆ * 陽side * ☆


「えー…今日は大事なお知らせがある。みんな座れ」


赤坂先生が、いつもより早めにHRを始めた。


言われるがままにみんなが座る。


っていうか、座っている人がほとんどだった。


「転校生を紹介する」


それを聞いた途端に、思い出した。


茉莉、帰ってくるんだ。


もしかして、とドアの方に目を向けていると、そのもしかしては当たった。


少し俯きがちに入ってきたその人物は、やっぱり茉莉だった。


「桐野…茉莉です…よろしくお願いします」


今回は長くいるのかな、と思ったが、中3なので結局は別れることになるのかと思った。


少しタレ目がちなその瞳は、どこか曇っていた。


茉莉の席は、ぽっかりと空いた緩莓の席になった。


できればそのまま残していてほしかった。


緩莓がここにいたという証拠をとっておいておきたかった。


でも、俺のそんな密かな願いは叶うこともなく、赤坂先生の大きな声に紛れて消えていった。




緩莓は、今頃どうしているだろうか。


まあ多分、緩莓のことだから、すぐに好かれて馴染んでいると思うけど。


そんなことを考えていたら、


「…陽くん」


と、小さな声がした。


多分この声は、いや、囁きは俺にしか聞こえなかっただろう。


振り返ると、前より大人っぽくなった茉莉の姿があった。





「私のこと…覚えてる?」

132: 愛華@菅井様 ◆QI:2019/08/22(木) 22:59


 あああ、切ないぃ…
 続きが気になります!頑張ってください!
 

133:リコピン◆z.:2019/08/23(金) 10:11

愛華さんいつもありがとうございますううう🙏😭✨頑張ります✨😭

134:紅蓮◆jk:2019/08/23(金) 10:14

ゆるめちゃぁぁん! 切ないよね.....
みっつーと茉莉ちゃんもきになります

135:リコピン◆z.:2019/08/23(金) 10:16

みっつーと茉莉はどうしようねぇw

136:若美小説◆YQ:2019/08/23(金) 14:12

こんにちは!

感想
文も分かりやすく、読みやすかったです。
それだけではなく、ストーリーがすごいいいです!面白いです!(ファンで興奮中)
アドバイス
最近の投稿は、緩莓ちゃんが転校してしまった、ということで使われてないのですが。
たまーに絵文字が入っているときがあるので、そこだけ直すと、さらに小説っぽくなると思います!

これからも応援しています!頑張ってくださいね!

137:若美小説◆YQ:2019/08/23(金) 14:19

すみません、訂正。
絵文字が入っているときがあるので、そこだけ直すと

絵文字が入っているときがあるので、絵文字をなくすと

ごめんなさぁい‼

138:リコピン◆z.:2019/08/23(金) 16:12

ありがとうございます…!!!🙏✨😭ありがとうございますううう!!たしかに、絵文字入ってるときあります!すんごく参考になりました!ありがとうございます🙏

139:若美小説◆YQ:2019/08/23(金) 16:18

いえいえ!何かありがとうございます!

140:リコピン◆z.:2019/08/23(金) 18:16

いや、こっちのセリフです!アドバイスありがとうございました!

141:若美小説◆YQ:2019/08/23(金) 18:33

いえ、頑張ってくださいね!(終わらない?系ですね。それでは〜)

142:リコピン◆z.:2019/08/23(金) 20:27

はい!ありがとうございます!まだ続きますよ〜頑張りまーす

143:リコピン◆z.:2019/08/24(土) 18:54



「…覚えてる…よ」


本当はずっと気になっていたなんて言えない。


悟られないために、なるべくよそよそしく答えた。


「よかった」


茉莉はふわりと笑った。


まるで、あの頃のように。


「みっつー」


と、明るい声がした。


「やっほー。あのさ、聞きたいことあんだけどー」


結菜が近づいてくると、茉莉はふっといなくなった。


そのことに少し違和感を覚えると、結菜に「おい、小僧!」と背中をばしんと叩かれた。


「いてーな、おい」


そう言うと、結菜が笑い出した。


「えちょ、何?」


「なんかさー、前もこんな流れあったよね〜。私がの背中叩いてみっつーがいてーなおいって言ってさ〜」


結菜は顔をくしゃくしゃにして笑った。


「お前、久しぶりに笑ったんじゃね?」


「──え?久しぶりにって…」


自分でも言いたくなかったが…


「──緩莓がいなくなってから、こんな大声で笑うことなかっただろ」


そう言うと、結菜は案の定顔を曇らせた。


「まあ、そうだけど…。…あ〜あ、なんでよりにもよって緩莓が引っ越しちゃったんだろーね……」


結菜ははあとため息をついた。


「井ノ原みたいなクソ野郎が引っ越せばいいのに」


「…だね」


「二人してひどいヨねえひどいヨ」


俺たちの声が聞こえたらしい井ノ原は硬直しながらそういった。


「緩莓…あっちでもモテるだろーなー」


そう言ってから、結菜はニヤリと笑った。




「とられちゃうかもね♪」



「お前そーゆーこというな」


「すんませーん」

144:リコピン◆z.:2019/08/25(日) 07:22


❁ * 緩莓side * ❁


「思ったんだけどさ〜、俺たちって似てね?」


お昼。


お弁当を食べている最中。


ここの学校は机を動かさずに食べるスタイルらしい。


それを疑問に思っていたら、北島くんに話しかけられた。


似てる…かな?


「…どこらへんが?」


そう訊ねると、北島くんはにかっと笑った。


「苗字」


「…?」


意味が分からなくて首を傾げていると、北島くんはノートをシャーペンを取り出した。


「ほら」


北島くんは何か書いて見せてきた。


『北島』『南島』


「“北”と“南”ってこと?」


「そう!あったり〜」


気づかなかった、北島くんって面白い気がする。


ちょっと和田に似てる気もするけど…w


でも、にかっと笑うとことか、みっちゃんに似てる気もするなあ……


和田とみっちゃんを混ぜた感じ?





……いや、カオスだわ……

145:リコピン◆z.:2019/08/25(日) 19:37

展開これで大丈夫かな(・。・;w

146:リコピン◆z.:2019/08/26(月) 08:28


「ねーねーゆるめちゃん!今度の林間学校さ、一緒の班にしようよ!」


お昼休み。


自分の席に座ってみっちゃんの事を考えていると、沙耶香ちゃんが元気よく駆け寄ってきた。




──やっぱり、結菜と重なってしまう。


「…?ゆるめちゃん?」


首を傾げている沙耶香ちゃん。


「あっ、ごめん。なんでもない。えーとなんだっけ。林間…学校?」


沙耶香ちゃんが言っていた林間学校。


多分、みっちゃんたちの学校でもあるだろうなあ………








一緒に、思い出作りたかったな…


きっと私が引っ越していなくて、あの教室にいたら、きっとみっちゃんは一緒の班になろうって。


太陽みたいな、笑顔で………



視界が滲んだ。


ダメだ。泣いちゃダメだ。


私はみっちゃんから笑顔と愛を貰ったんだから。


みっちゃんにとって、私が笑顔でいることが一番の恩返しだから。





泣いたりしたら、だめだって………



「ゆ、ゆるめちゃん……どうし…」



「……ううん、大丈夫。…目薬。目薬さしたの。あー、かゆかった」


無茶な言い訳…。


しかも、私は今、とんでもなく下手な笑顔を浮かべていると思う。


目に涙を浮かべながら、苦笑いのような笑みを浮かべている気がする。




とりあえず、私は涙を拭った。

147:匿名:2019/08/26(月) 17:50

そーいえば、リコピンさん活動休止するっていってましたよね…?つぶやきスレで見かけたんですけど。
ってことは赤い糸はもう更新されないんですか!?

148:一騎◆:2019/08/26(月) 21:33

>>147
赤い糸はなるべく更新するって言ってた。

149:リコピン◆z.:2019/08/27(火) 07:30


* ☆ 陽side ☆ *


「ねぇねぇ、昨日緩莓からLINE来たんだけど〜、もう友達できたって!」


翌日の朝、結菜が嬉しそうに報告してきた。


「へー。さすが緩莓」


素直に感心してると、結菜がニヤリと笑った。


なんかその笑い方多くね?w


「女子の友達じゃなくて男子かもよ?」


「いやありえんって」


「えーでも知ってるでしょ〜?緩莓がモテることぐらい」


「まあ…」


「じゃ、ありえーるでしょ!!」


「…」


「アタックしなよ!ww」


「…お前洗剤好きなの?」


「ちっげーよ!w」


すると、和田が教室に入ってきた。


「よお」


「おう」


「そだ、和田!和田ってなんか告られたんでしょ?w」


結菜が半笑いで言った。


「草生やすなしwそうだよ俺は告られたんだ!いいだろーははー」


和田はよくボディービルダーがとるポーズをした。


いやなんでそのポーズ?


「なんだっけ〜塾の子だっけ?」


「ふふん!その通り」


「で、断ったの?」


「……いや、断るっていうか…」


和田がしどろもどろになった。


「え、なになにOKしたの!?」


思わず訊ねると、和田はこう言ったのだ。




「好きって言うだけが告白じゃねーだろ?」






ゴリラのくせになにかっこいいセリフいってんだゴラ…


「え?なに違うの?好きって言われたんじゃないの?あ、月が綺麗ですねとか?」


結菜が首を傾げると、





「………『あのね、告白したいことがあるんだけど……




服に値札ついてるよ…』…って言われましたとさ。めでたしめでたs「「ぶははははは!!!!!」」


「え何?半額シール!?www」


「ちげーよ」


「『ゴリラ専用』ってかいてある値札?www」


「お前らうぜえ…w」

150:リコピン◆z.:2019/08/28(水) 07:25

* ❁ 緩莓side ❁ *


「そっか…ゆるめちゃんって、彼氏さんがいるんだ…」


帰り道、沙耶香ちゃんにみっちゃんの事を話した。


「うん……付き合ってるっていうか…両思い?なんだけど」


「じゃあ、両思いではあるけど付き合ってはないってことだね」


沙耶香ちゃんって察しがいいなあ…


「うん、そう」


「なるほど〜。あっ、そうだ、ちょっと話変わるんだけど〜」


「うん。」


「北島のこと狙ってる女子ってけっこーいるから、気をつけたほうがいいよ」


北島くん…


あの明るい笑顔が思い浮かぶ。


「そうなんだ」






「あいつゆるめちゃんのこと好きだよー」









「え??」


「だってさー、女子嫌いなあの北島があんなにゆるめちゃんに優しくするなんて」


「そうかな…」


沙耶香ちゃんとも普通に喋ってた気がしたけど…


「絶対そうだよ!だって普通にかわいいーって言ってたし」


『南島さんって、驚くとき「きゃっ」じゃなくて「わっ」って言うんだ。なんかかわいー』


あれは冗談だよ…


「…沙耶香ちゃんは?好きな人いるの?」


ふと思いついて聞いてみると、


「さあ、どうかなあ」


と、へらりと笑った。

151:リコピン◆z.:2019/08/28(水) 18:28


* ☆ 陽side ☆ *


今日は、朝起きると、雨が降っていた。


雨の日になると、必ず思い出してしまう。




中1のとき──


その日は、雨が降っていた。


強くも弱くもない、普通の雨。


その日はサッカー部がオフで、俺は帰ろうと昇降口を出た。


そこで、俺は傘を持ってきてないことにに気づいた。


朝は降っていなかったから、まさか雨が降るなんて思ってなかったから。


どうしよう、と昇降口の雨よけの下で立ち尽くしていると、






『どうしたの?』


と、澄んだ声が聞こえてきたのだ。





『み、南島…さん』





『…傘、ないの?』


『あ……』


傘を忘れたことを打ち明けるのがなぜか妙に恥ずかしくて、言葉を濁した。


『さては図星だな?』


緩莓はいたずらっぽく笑った。


いつもとはまた違う表情にドキッとする。



『あ…うん』


そう答えると、緩莓は頬をほころばせた。




『傘を忘れた罪として、私と相合い傘の刑に処す』






『へ…』



びっくりして緩莓の顔を見ると、少し照れたように笑っていた。


『さ、帰ろう』


そう言って緩莓は俺の手をひいてさした傘の中に入れた。


突然触れられたことと、あまりの近さに鼓動が速くなる。



緩莓の隣にこんなに至近距離でいられるなんてことを喜んでいる半面、誰かに目撃されたらどうしようという不安もあった。


しばらく二人で一つの傘で帰っていると、後ろから『みーっちゃったみーちゃった!!』というでかい声が聞こえてきた。


驚いて二人して振り向くと、そこには和田がいた。


『なにお前ら相合い傘してんだよ〜え〜?』


和田がニヤニヤしながら指差してきた。


『んだよ〜』


と言いながら緩莓を見ると、恥ずかしかったのか、耳まで真っ赤にして俯いていた。


そんな緩莓を見て、思わず俺まで赤くなってきた。


『お前ら……覚えとけよおおおーー!!!』


と、和田はなぜかそう叫んで走っていった。


緩莓はまだ俯いている。



『ほら、南島さん、笑って』


優しく声をかけると、緩莓は顔をあげ、いつもどおりの可愛い笑顔を咲かせた。


すると、なんと雨が徐々に弱まり、日差しが出てきたのだ。


『南島さん……』


まさか晴れるなんて思ってなくて、びっくりしてしながら緩莓を見ると、なんだか寂しそうな顔で空を見上げていた。





『相合い傘、もっとしたかったな』


そう言って、微笑んだ緩莓は、優しい光に照らされて、すごく綺麗だったのを、今でも鮮明に覚えている。


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