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・戦慄 智雨(せんりつ ちう)
廃病院に住む少女。
無口で無表情。独りぼっち。
誕生日:9月10日
血液型:B型
身長:150cm
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【何も変わらない】♯1
わたしはガラスの破片を踏みしめ、鈍い音をたてながら廃病院を歩き回った。
この廃病院には誰も来やしない。だって廃病院だから。
そうだ、そのはずだ。何も、何もかわらないことがわたしの望みなのだ。そう、そのはず。
今日だってなにも変わらないのを望んでいる。
なのに、なぜわたしは歩き回っているのだろう。何を探しているのだろう。気持ちが悪い。鬱陶しい。
モヤモヤした悪いものが、どんどん早さを増しながら、加速しながらわたしを蝕んでいく。そんな感覚だ。
だけれども、わたしは歩く。
歩いていると、なぜか。なぜだか、救われるような気持ちになる。
わたしを何かが導いているのだろうか、この気持ちはなんなのだろうか。
知りたい。もっと知りたい。変化を....。
「へん...か...。」
その無機質で無意味なただの単語を、なぜか無意識に口からこぼしていた
ああ、わたしは疲れているんだ。今日はもう休もう。
そうして、わたしは壊れかけの取っ手を失ったティーカップに雨水を注いだ。
「ん...」
わたしはすぐに飲み干してしまった。
そして、朝なのか夜なのかわからないこの場所で、今日もまた
布の役割すら果たさない、毛布。いや、毛布といっていいのだろうか。
「それ」をかけ、丸まって眠りについた。
わたしは明日もまた同じことを知っている。
明日だからって何も変わらないことを。
【家族】♯2
「....」
わたしは目を覚ました。
懐かしいような夢を見た。誰かに呼ばれた気がする。
そんなどうでもいいことを考えながら、お尻まで伸びきった長い髪を、拾った櫛でとかし
栄養補給のため、そこらじゅうに捨てられたサプリメントを口に含み、歩き始めた。
ん。なにかを踏んだ。家族写真らしい。
こんなものなぜここに。
わたしはビリビリと力強く裂いた。
そういえば家族って誰にでも存在するのだろうか。それならばわたしの家族はどこに。
いや、いないのだろう。それとも...。
そんなことを考えていたら、吐き気がしたのでもう忘れよう。
きっと思い出してはいけない気がする。
思い出してしまったら、わたしのなにかが壊れる。そう思った。
【言葉】♯3
愛とはなんなのか。わたしにはわからない。
ただ、認めてもらうことがそれに近い答えの気がする。これが普通の答えなのか、そうでないのかもよくわからない。
というか、愛に答えが存在するのか。
よくわからない。
意味なしに、愛という単語があるのなら
無責任だ。無意味だ。無慈悲だ。
「わたしに言ってるみたい...」
わたしは意味のない単語のようなものだ。ああ無責任だ。
でも、それでも....。いや、やめておこう。
【もうひとりの少女】♯4
ガササッ――
何かの物音がした。わたしは恐る恐る近づき
まるで窓の役割を果たさない、四角い枠から覗いてみた。
―?!
なんとそこには少女....なのかは不明だけれど...とにかく女の子がいた。
驚きのあまり、口がぽっかりあいたまま塞がらない。