短編集(´・ω・`)

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1:invincible:2020/01/07(火) 18:16

短編集です。いろんなジャンルの小説を書くと思います。

5:invincible:2020/01/09(木) 23:23

忘れてた完。三流の政治小説みたいになってて残念

6:invincible:2020/01/09(木) 23:49

第2話「最も好かれる顔」

男は生まれてこのかた一度も付き合ったことがなかった。それどころか、まともに会話したこともほとんどない。彼は生徒の頃から、母親以外の女性に何もされてこなかったのである。多少、いじられたりしていれば彼の現状も少しはマシであったろう。だが、石ころのように扱われるというのはいじられるより深い傷を負わせることがある。
彼は、女性に相手にされず、また自分からぶつかりに行こうともしなかった。その理由はコンプレックスがあったからである。彼の風貌は清潔感がなく、腐りかけのモヤシのようであった。手入れをしないものだから中の下ほどのルックスもより酷いものに見えた。これだから、生徒時代も意地悪をする勇気のある女子が出てこなかったのである。

彼は自身が女性に相手にされないのは女性のせいだと思っていた。まず、このような顔に産んだのは母親であり、母親は女性だ。そして顔でしか判断しない女性も悪である。それが彼の考えであった。もっとも、顔だけで判断している女性など少数派なのだが。

少なくとも彼は、顔がすべての原因であるので顔をなんとかしようと考えていた。「女なんて」が口癖の彼であるが、流石に魔法使いにはなりたくなかった。だが、彼には清潔感を保つ根気も整形する金もなかった。そこで彼はネットに頼ることにした。「溺れるものは藁をも掴む」とはこのことだと冷笑するものもいたが、なんと彼は整形より安く顔を変える機械を発見したのである。

そのページは最終更新日が10年以上前であった。背景や説明文も怪しかった。何より、ページ管理人兼開発者が全く無名の人物なのである。しかし、彼は特に何も考えず、

「これで俺も勝ち組」

と言って購入したのである。
驚いたことに、目当ての商品はきちんと彼の元に届いた。その商品には「最新のAIがあなたを女性が一番好きな男性の顔を判別、この機械が整形してくれます。これであなたもモテモテ(麻酔付属)」と古臭い字体で書かれていた。彼は早速、この機械を組み立て、顔に被せ、麻酔をした。決して器用ではない彼であったがこの時ばかりはトントン拍子で作業が進んだ。
整形作業から数時間、彼はついに目を覚ました。顔を触ってみると、前とは違う感触がする。彼は自分がモテモテの勝ち組になったことを確信した。そして、ステージ上で多数の女性の前で脚光をあびる自分を想像しながら、眠りについた。

その後、彼の願望は半分だけ達成された。その年のモノマネ番組で「一万円札の肖像画のそっくりさん」として登場したのである。

7:invincible:2020/01/09(木) 23:50

完。

8:invincible:2020/01/19(日) 00:33

第3話「死と虐待」

私は、出てから1年も経たないうちに、また戻ってきてしまった。そして、もう二度と出てこれないだろう。私の肌はシワばかりでハリがなく、髪は真っ白だ。最初に入った時から随分と老けた。受ける刑罰も、罪状も最初の時と変わらない。だが、前と違って、刑罰を全うするほどの体力はもう残っていない。

私の人生の序盤は順風満帆だった。両親の期待を受けていたし、友人もそれなりにいた。だが、私の人生の中盤、終盤は殆どが刑務所の中での生活だった。たとえ出たとしても、出迎えてくれる人はいない。だが、都会に行って、生活するほどの活力も能力もない。私も人生がここまで狂い、どうしようもなくなったのは、1943年のあの瞬間からだった。

そんなことを考えているうちに、居室についた。刑務官は表情ひとつ変えず、私をその中へ乱暴に詰め込んだ。二段ベッドが並べられただけの部屋はひどく簡素だ。これなら、軍隊の方が全然マシだとつくづく思う。

居室に入って少し経つと、若い受刑者が隣に座って来た。彼は前に私が万引きで捕まった時からここにいた。その受刑者は私に話しかけてくる。

「よう、じいさん、また何かやったんですか」

「ああ、窃盗……」

「またか!」

若い受刑者は私の話を遮って、叫声をあげた。彼は悪い人間ではないのだが、ちょっとそそっかしい。

「違う。窃盗犯をぶっ殺した」

彼は声を出さず、じっと私を見た。彼の目は少し泳いでいる。

「なぜ?」

と声をひそめて問いかけてきた。

「駆けつけた住民にリンチされていたから、殺した。田舎は怖い」

彼は息を呑んだ。どうも、納得行っていないようだった。理由はわかる。ここワシントン州は田舎だが、その中でも格差がある。彼の住んでいた所は、比較的進んでいたからリンチなんて滅多になかったのだろう。だから、分かりにくいのかもしれない。しかし、田舎の中の田舎である私の故郷は民度がひどく低い。

「これで2回目だ。意識して人をころすのは」

と私が付け加えると、彼は、

「1回目はどこで?」

と聞いて来た。私は、咳払いをして、

「ああ……あれで、私の人生は変わった。本当は、墓まで持って行こうと思っていたのだが、君にだけ話そうかな。いいかね?」

彼はゆっくりと頷いた。私の目をじっと見ながら。

9: すみれ ◆YQ:2020/01/25(土) 19:46

>>6
やっぱり人間お金がスキだ〜〜って心理が表されていて、その、スキッス(´・ω・`)(語彙力)

10:invincible:2020/01/25(土) 20:09

>>9
ありがとうございます


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