彩乃side
「コンコン。」
私は手でドアをノックする。
地味に手が痛む。
私__飯田彩乃は、今お見舞いに来ている。
誰のお見舞いだって?
勿論佳乃のお見舞い。
私の親友だからね。
と、いうよりドアをノックしたのはいいが返事も何もない。
もう一度ノックしてみようか。
そう思ったのと同時に廊下を走る音がする。
「彩乃〜!」
!?
「佳乃!心配してたんだよ〜」
私は佳乃の笑顔にホッとする。
「まぁ彩乃入りなよ〜」
「ありがと。」
お礼を言って病室に入らせてもらう。
中々広くて、窓からは雲一つない青空が見える。
「……お母さんは?」
佳乃一人で走ってきたものだから……
「あぁ。今日は帰ってもらった。」
「でも何かと不便じゃない?」
「ううん。大丈夫。」
佳乃が普段とは違う笑顔を見せたから、少しドキッとした。
「ねぇ佳乃。入院するの?」
私はずっと思っていたことを単刀直入に聞いた。
「うん。実は………ね。」
そうなん……だ。
学校には来れないんだよね。
寂しくなるなぁ…………。
「彩乃。大事な話がある……の。」
うつ向いていた私を察してなのか、
ただ単に本当に大事な話なのか………
それは分からないけど、佳乃の顔を見れば深刻な話なんだな…とは分かる。
「何?何でも聞くよ。」
佳乃が話しやすいように私も話し掛ける。
「私さ……もうずっと学校には行けないんだ。」
「えっ……ずっと入院するの?」
私は佳乃の思いがけない言葉に思わず
声が震える。
「まぁ…そういうことになるの。」
「やっぱり何かの病気…だよね?」
「うん。その病気が私の命の炎を小さくしたの。」
「命の炎…………。」
私は驚きを隠せなかった。
佳乃が重い病気だったこと。
命の炎が小さくなるって………
生きられる時間が短くなるってことだよね………
「佳乃……」
私の目からは涙が溢れ出した。