カルとマヤの異世界記録

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1:なかやっち:2020/03/26(木) 12:56

小説として書いてしまっていたのでこちらに移しました💦

2:なかやっち(代理):2020/03/26(木) 13:34

魔耶(ふぁ〜…まぶしい…もう朝?…あれ?布団どこいった…?かかってないんだけど…)

パチッ(目を開ける)

真っ先に目にはいってきたのは、きれいな緑色をした草々と、朝日を反射してキラキラとかがやいている川の水だった。
川はとても澄んでいて、水中にいる魚は浮いているように見えた。
少し風がふいてきて、魔耶のまわりにある草がさわさわと揺れる…顔の近くにあった草が魔耶の頬を撫でるのを感じた。

自然が豊かだなぁなんてぼんやり考えていた魔耶は、初めて自分が外で寝ていること、ここが見知らぬ場所だと気づいた。そして一言。

魔耶「「ここどこ!!?」」

3:多々良:2020/03/26(木) 13:35

雲一つ無い、朝焼けの空の下。透き通るかのような気持ちの良い微風が吹き、目覚めには最適であろう数羽の鳥のサイゼ....(ゲフンゲフン)囀りが聞こえる。そんな場所で、彼女は目覚めた。
カルセナ「食らえぇ、スーパーキーックぅ!!」「...おわぁっ!!?」
夢の中で戦っていたカルセナは、現実で実際に行われた自分の蹴りに驚き飛び起きた。
それと同時に、数枚の木の葉がふわっと舞い上がった。
カルセナ「うおービックリしたぁ〜.........んで、ここはどこや....寝相悪すぎん?」
彼女は、自分の寝床から未知の世界へ移動していることをあまり気にしていない様子だった。むしろ、自分の寝相のせいだと思ってしまっているかの様である。
カルセナ「やだわぁ、帰ろ帰ろ。あと3時間は寝たいな....ぁ......?」
不意に顔から、朝日が遮られる。目の前に大きな影が見える。本の中でしか見たことがなかった故に、信じられなかった。「それ」は彼女に鋭い視線を向けた。

「ど....ドラゴン.....?」

彼女が目覚めた所は、小高い崖の上の、飛竜の巣だったのだ。彼女は愕然とした。
目覚めた反動で、自慢の帽子が地上に落ちてしまったことに気付かずにー。

4:なかやっち(代理):2020/03/26(木) 13:36

魔耶「うーむ、昨日11時までゲームしてたのが悪かったのか…?それとも、寝てる間に翼で飛んでいく能力を身に付けたのか…!?」
彼女はなぜ自分が外で寝ているのか、原因を突き止めようとしていた。だが思い付くのはくだらないものばかり…。
魔耶「あ、昨日酸っぱいお菓子たらふく食べたからか!?それとも…いや、もう思い付かん…」
どうやら彼女のミジンコ並の脳みそが限界を迎えたようだ。

魔耶「…とりあえず、人を探そう!なにか知ってる人がいるかもしれない!」
ようやくその場から離れることに決めたようだ。

彼女はテクテクと歩き始めた。
チュンチュンと小鳥の囀りが聞こえる。木々が微風によってさわさわと揺れている。
魔耶「ほんとうにのどかなところだな〜…ザ・自然って感じー(謎)」
魔耶「…ん?…うわっ!」
あたりをキョロキョロと見回しながら歩いていた魔耶は、上からなにかが降ってきたことに気づかなかったようだ。
突然暗くなった視界にあわてふためいていると…
???「ギャオオオォォォ!!!」
という、怪獣の咆哮のような声が聞こえた。
魔耶「え!なになに!?化け物!??」
暗くなった視界をどうにかしようと降ってきたなにかを手で取った。
また明るくなる視界にホッとしたのもつかの間……
??「ぎゃあぁぁぁ‼」
上から誰かの悲鳴が聞こえた。

5:多々良:2020/03/26(木) 13:36

カルセナ「っぶねぇー、ちょちょちょい‼す、ステイ‼ステイ‼」
飛竜の鋭い爪での斬撃を、あと数センチというところで躱した彼女はもはや命乞いをするしかなかった。彼女は一応未来を読むことが出来るのだが、パニックとなった今、そんなものは無いに等しいであろう。
そんなこんなしている間に、あっという間に彼女は崖っぷちまで追い詰められてしまった。
飛竜「グギャアァア‼‼」
凄まじい咆哮をあげ、目の前の者を一発で仕留めようとしているかのようなおぞましい殺意が籠った斬撃を、力強く溜めている光景を見せられた。彼女は実体のある浮幽霊なので飛ぶことも出来るが、こんなものを見せられてしまっては「逃げる」という選択肢も最早彼女の中では消えてしまっているだろう。足が竦む。顔面蒼白になる。頭の中が真っ白になる。目の前で今にもその爪を振りかざさんと、荒い呼吸をしている飛竜がいる。出来ることはただ一つ。
カルセナ「あ…ぁ……これアカンやつじゃね……?」
八つ裂きにされることを受け止める。……しかないと思ったが、彼女は元人間。人間は絶望という名の闇に飲まれると光を求める。どんなか細い光でもいい。最後にその光を求めて叫んだ。

カルセナ「「誰かああぁぁ‼た、助けてえぇー‼‼」」

6:なかやっち(代理):2020/03/26(木) 13:37

魔耶「なんか悲鳴聞こえたぁぁぁ!!?」
いきなりなにかが降ってきたり、咆哮や悲鳴が聞こえたり…と、一度に色々なことが起こったため、彼女は少しパニック気味になっていた。
しかし、少しパニック気味になっている頭でもこれだけは分かった。
魔耶(誰かが襲われているのか!?…絶対ヤバイ状況になってるよね…助けないと‼)
誰かを助けようという意思を持つことによって、魔耶の頭は少し冷静になった。

魔耶は自分の翼を広げ、思いきり地面を蹴った。

??「「誰かああぁぁ‼た、助けてえぇー‼‼」」
魔耶は金髪の少女が竜に襲われているのを確認した。
竜は鋭い爪を振りかざし、少女を八つ裂きにしようとしている。

魔耶「くっ…間に合えっ‼」
ヒュッ‼
魔耶は間一髪、恐ろしい爪に少女が切りつけられるより速く、少女を助けることに成功した。
竜はいきなり少女が消えたことに混乱しているようだ。
さっきまで少女がいたはずのところをじっと見つめていた。
少女「え…生きてる…!なにが…」
魔耶「細かいことはあとにして、とにかくここから離れよう‼」

…これが、カルセナとの出会いだった…

7:多々良:2020/03/26(木) 13:37

カルセナは混乱していた。
最後だと思った瞬間に、「助けて」と叫んだことは覚えている。だが、それから....?
飛竜の爪は確かに降り下ろされた。自身を八つ裂きにしようとした爪が。私は....死んでいるはずだ。
だが、その推測は大きく的を外した。今や見知らぬ少女に助けられているではないか。ふわふわとした茶髪の上から青い猫耳が付いた帽子を被り、背中の羽を大きく羽ばたかせているその少女は、何故だかとても心強く思えたのだ。
だがその心強さも束の間、一瞬のことで何が何だか分からなかったうえに、先程の恐怖と助かった安心感で意識が朦朧としてしまった。
カルセナ「うぇ.....??な、何が起こっ.......うぐぅ.....訳分からん.....」

???「ーもう大丈夫.....てあれ、おーい.....?」

薄れ行く意識の中、風を切る音と重なって、そんな声が聞こえた気がする。

8:なかやっち:2020/03/26(木) 14:16

魔耶は少女を抱えたまま、話しかけてみる。
魔耶「ーもう大丈夫……てあれ、おーい……?」
よく見たら、彼女は気絶していた。
魔耶「困ったな…聞きたいこといっぱいあったんだけど…どこまで飛べばいいんだよ〜」
そろそろ魔耶の腕に限界がきていた。
もう竜の巣からだいぶ離れただろうし、大丈夫だろう…と考えた魔耶は、真下に広がっている森の中へ急降下していった。

魔耶「よっと…」(スタッ)
魔耶「この子から聞きたいことがあるし、起きるまで待ってようかな。」
少しあたりを見回すと、日がおちはじめ、少しずつ山の影がのびていくのが見えた。
ここは森なので、もし夜になったら真っ暗になってしまうだろう。竜と遭遇したのだ、他にも恐ろしい生物がいないとも限らない。
魔耶「待ってる間暇だし、火をおこすための小枝でも集めてこようかな。」
彼女の言葉に反応するかのように、木々がざわざわと揺れた。

9:多々良:2020/03/26(木) 14:57

カルセナ「きのことたけのこだったら?たけのこに決まって.........」(パチッ)
目を開くと又もや未知の場所で、今度は木に寄りかかっていた。寝起きの目に、木と山の間から僅かに顔を出した夕陽が眩しかった。暫くぽや〜んと、遠くの空を眺めていた。
カルセナ「ここは....んー何か今日覚えて無いこと多いな.......って、あれっ!!?帽子は!?」
ふと気が付くと、頭の上がやけに物足りなかった。自慢の帽子が無い。かと思いきや誰が置いてくれたのか、すぐ隣に帽子が置かれていた。ぱっと気付けなかったのは、頭の中の事がこんがらがって周囲への注意力が欠けていたせいだ。きっとそうだと思いたい。決して、元々自分の注意力がなかったからということは無い.....はず。
帽子を手に取り、ぽん、と浅く被った。その瞬間、不意に近くでガサガサと物音がした。風の悪戯で発せられる音とは違う、生き物の気配。じっと目を凝らしていると、それは姿を現した。
その正体は野性動物でも怪物でもなく、先程助けてくれたと思われる少女であった。

10:なかやっち:2020/03/26(木) 15:15

魔耶「お、起きたね。大丈夫?」
話しかけたとたん、両手に持っていた大量の小枝がバラバラと音をたてて地面に落ちてしまった。
魔耶「あ、やべっ‼」
あわてて拾い集める。すると、その光景をみていた少女がアハハッと笑いながら話しかけてきた。
??「あなたは誰?」 
魔耶は少女の質問に、小枝を拾いながら答えた。
魔耶「私は彩色魔耶(さいしきまや)。君は…?」
??「私はカルセナ=シルカバゼイション」
魔耶「そっか。よろしくね、カルセナさん」
カルセナ「よろしく、マヤさん。」

11:多々良:2020/03/26(木) 16:14

カルセナ「助けてくれたのって、もしかしなくてもマヤさんっすか?」
立ち上がって、スカートの土を払いながら確認する。
魔耶「そうだよ、何か悲鳴がいきなり聞こえたから何事かと思ったら、まさか竜の巣に居たなんて」
大体の枝を拾い終わった魔耶はてくてくとカルセナに近づき、火を起こす準備を始めるかのような素振りを見せた。
カルセナ「それはそれは、ありがとね、命の恩人だぁ」
相手が命の恩人だと分かった瞬間、にこにこしながら帽子の鍔を手で軽く上げ、上機嫌な様子を見せた。そして、一番の疑問を問いかけた。
カルセナ「所で....ここはどこなの?」

12:なかやっち:2020/03/26(木) 16:39

魔耶「いや、それは私にも分かない。竜から逃げるために、あてもなく飛び回ったからね…」
そういってため息をつきながら火をつけようとする。
あたりはほとんど日が落ちかけていて、森の中は闇に包まれていた。

魔耶「カルセナさんは、なんで竜の巣なんかにいたの?」
魔耶は純粋に思ったことを聞いてみた。
カルセナ「あぁ、なんか目が覚めたと思ったらそこにいてね〜…まったく、ひどい目にあったよー」
魔耶「…君も気がついたらここにいたの?」
ボッという音とともにでた黒い煙が空の闇に溶けていく。
暖かい赤々とした火がまわりを照らし出す…

カルセナ「君もってことは、あなたも?」
魔耶「うん、そうなんだよね〜…無意識に空を飛ぶ能力でも身に付けたのかな〜」
カルセナ(そんなことありえないと思うけど…?)
カルセナ「そういえば、その羽は本物なの?ばりばり空とんでたよね」
魔耶「もちのろん、本物だよ!私は魔族だからね!」(フンス)
カルセナ「え、魔族…!?かっこよ。」
魔耶「かっこよって…反応薄っす…」

13:多々良:2020/03/26(木) 17:46

カルセナ「そんなこたぁ無いよ〜、良いじゃん魔族って。私にはない、魔力や権力があってさ.....あ〜あ、生まれ変わるならそう言う格好いいのが良かった。神様は意地悪だなぁ」
そう言いながら、カルセナの反応に顔を濁らせた魔耶の隣にごろんと横たわった。木々の間から、星がちらつき始め、本格的な夜に入った。
魔耶「....君は何か能力とか無いの?」
カルセナ「あるにはあるけどさ〜.....私じゃ使いこなせないようなものばっかだよ」
赤い炎がパチパチと音を立てながら、二人の顔を照らした。少しばかり静寂が続いたが、ふと思ったことを魔耶に質問した。
カルセナ「魔耶さんはさ〜、兄弟とか家族とかいるの?てか家どこ?」

14:なかやっち:2020/03/26(木) 18:13

魔耶「家は妖の山ってとこにあるよ。家族は…一応、姉がいるけど、かれこれ160年くらいあってないなー」
カルセナ「え、160年って…魔耶さん何歳なのさ…?」
魔耶「魔耶でいいよ。…正確な年は忘れたけど…大体300歳くらい?」
…カルセナが驚くかな、なんて思ったがカルセナはあまり驚かないほうらしい。
カルセナ「…まぁ、魔族っていってたしね。魔族は長生きなんだな〜…」
なんて言って、一人で納得している。
…まぁ魔族だって言ったときも、恐れるどころか「かっこよ」だしね。きっとそういう性格なんだろう。

…また静寂が訪れる。聞こえるのは焚き火の火がはぜる音だけだ……なんて思ったとたん、どこからか『ぐぅぅぅぅ〜』なんて音が聞こえた。
…私のお腹の音だ…
いままで気がつかなかったが、魔耶のお腹なペコペコだった。
魔耶「……お腹空いたな…空飛んで疲れたし、朝からなにも食べてないんだもの…」
カルセナ「…私も…結構空いたな…。ドラゴンやなんやかんやで忘れてたけど、そういえばなにも食べてないね…」

魔耶「…食材探し、しようか…」
カルセナ「…そうだね…」

15:なかやっち:2020/03/26(木) 18:17

訂正、魔耶のお腹な×
   魔耶のお腹は⚪

16:多々良:2020/03/26(木) 18:52

カルセナ「森だから、きのことか果物とかはあるかもね。いやまぁ、サバイバルしたこと無いから知らんけどw」
魔耶「普通はそうだろうな〜、特に人間とかはね」
カルセナ「元人間でーすーよ〜」
魔耶「で、どーする?別れて探すことにする?」
魔耶のこの言葉を聞いてドキッとした。カルセナは、自分が浮幽霊にも関わらず、本能的にお化けを怖がってしまうような奴だったからだ。
カルセナ「........っ」
魔耶「......?どうしたの?」
カルセナ「いっいや何っでも!!良いと思いまth.....」
魔耶「んじゃ手分けしよっかー。私はあっちの方探すから、そっちよろしくねー」
そう言い残して、魔耶は宵闇の様な漆黒の翼を広げ、飛んでいってしまった。
カルセナ「.....やっちまったなぁ........」
メンタルがお豆腐なカルセナであった。

17:なかやっち:2020/03/26(木) 20:01

魔耶「あー、夜の空は涼しいし、星もキレイだしで最高だな〜!きっとカルセナは木の実とかキノコとかとってくれるだろうし、私はお魚でもとってきたほうがいいかな?」
カルセナが実は幽霊が苦手などということは露ほども思わず、魔耶はのんきにそんなことを考えていた。
魔耶「お、ちょうどいいところに川発見〜。夜に魚いるかな?」
川を見つけた魔耶は、目的地に向かって飛んでいった。

魔耶「っとー、到着!お魚さんいるかな〜?」
木々が影になっているため、あたりは暗くてよく見えなかった。
魔耶は星の微かな光を頼りに、魚の姿を探しはじめた。

18:多々良:2020/03/26(木) 20:42

一方。
魔耶が向かった方向とは逆を目指して、孤独に森の中を歩いていた。
カルセナ「ひぃい怖い....いや怖いとか言ったら寄ってきそう.....わあぁ寄ってきそうとか言ったら更に寄ってきそおぉ!!!」(ガタガタ)
一人になった途端に心細くなった。魔耶といたときはむしろ、星空綺麗だなとさえ思っていたのに。そんな事を考えながら歩いていたカルセナは思い付いた。
カルセナ「あっそーだ、飛べば良くね?」
歩む夜道は、影が多く濃いほど恐ろしく感じる。つまり影の無い上空に移動すればー。
カルセナ「何で思い付かなかったかなぁ〜これを.....よっ、とぉ」
地面を軽く蹴り、自らの体を浮かせた。木々の上に出た時にはもう、恐怖は薄れていた。月明かりが照らしてくれたお陰でもあった。
カルセナ「....待てよ?上に出たのは良いけども、木々の生い茂る森の上空からどうやってきのことか見つけ出せば良いんだ.....?」  「.........戻るか。」
結局振り出しに戻ってしまった。今の時間ほど無駄なことはそうそう無いだろう....。

月と星の輝く夜は、まだまだ明けない。

19:なかやっち:2020/03/26(木) 21:28

魔耶「…?川の向こうに、なんかいる…?」
よくよく目を凝らして見てみると、魔耶のいる川岸の反対側に黒いものが見えた。
魔耶「動物かな?もし動物だったらお肉が食べられるじゃん!」
黒い影はゆさゆさと体を左右に揺らしている。多分歩いているのだろう。

ーと、黒いものが月明かりのしたにでてきた。
魔耶はこのチャンスを逃すまいと、なんの生物かを確認した。
しかし、その生物を見たとたん、魔耶の顔は真っ青になり、ガタガタと震えだした。
魔耶「あ…うあ…ぎ、ぎゃああぁぁぁ‼‼」
魔耶の悲鳴が聞こえたのか、その生物はゆっくりと頭をこちらに向けた。
月明かりが照らし出したその姿…
大きな体は硬そうな外骨格で覆われ、頭に生えた触覚が魔耶の居場所を探るかのようにチキチキと動いている。
体から6本の脚が生え、濃い緑色の体…
そう、魔耶の見つけた生物は、魔耶がだいっきらいな、巨大な虫だったのだ。

20:多々良:2020/03/26(木) 22:16

カルセナ「....何?何か今響いたよね.......魔耶の方から....?いやまさか、あの人に限ってそんなことはないか.....」
遠くから微かに聞こえた声のようなものを、カルセナは聞き逃さなかった。

魔耶に限ってー。

そう考えた。が、カルセナは脳内で今朝の出来事を思い返した。
今朝自分は、今聞こえたものと同じような悲鳴を上げた。生き物が悲鳴を上げるのは自分に危機が迫っているというサインである。今の声が魔耶のものだとしたら、現状もしかして彼女も同じような立場にいるのではないか。少しだけ、嫌な予感がした。気のせいであって欲しかった。でも。

これから起こりうる物語を、先読みしてしまった。

見えたのは、現実ではとても有り得ない巨大な昆虫。それに追いかけられる、悲鳴を上げる魔耶の姿。
カルセナ「魔耶......?」
瞬間、カルセナは体の向きを変え、再び地面を、今度は力強く蹴って魔耶のいる方向へと飛び始めた。魔耶よりは断然遅いが、それでも全力で、元々スタミナのない体で必死に飛んだ。

少し先で、地響きと共に鳥達が飛び去る光景が見えた。

21:なかやっち:2020/03/27(金) 10:16

魔耶がショックを受けて固まっている間にも、巨大な虫は川を渡り、着実にこちらに近づいてきていた。
魔耶「…ひっ…」
ショックのあまり、情けない声をだすことしか出来ない。
きっとこんな姿をカルセナに見られたら笑われてしまうだろう。
だが、彼女はそれぐらい虫が嫌いなのだ。

ガクガクと足がすくむ。震えと冷や汗が止まらないーー。
しかし、『このままだと殺される』と本能が感じたのか、体が勝手に後ずさり始めた。
魔耶(…!…一応、体は動く…!)
腰を抜かしていなかったのは不幸中の幸いだった。
このままじっと虫に殺されるのを待つより、逃げて少しでも悪あがきしたい。1分1秒でも生き延びたい。
魔耶はその場から走り逃げた。
虫はせっかく見つけた獲物を逃がすまいと、彼女のあとを追いかけた。

22:多々良:2020/03/27(金) 12:54

カルセナ「........!!見つけた....!」
やっとのこと、巨大な昆虫と魔耶の姿を見つけたが、ここから何をすれば良いのだろうか。
もしこのまま突っ込んで行っても、仮に魔耶へ向けていた敵意が自分に移ったとしても、魔耶程の力が無いであろう自分は返り討ちにあって終わりだろう。だからと言って、命の恩人が追われるのをこのまま見過ごす訳にもいかない。カルセナは無い脳で又もや必死に考えた。
あれだけ大きい昆虫をどうにか遠ざける方法....魔耶が助かる方法.....
相手が虫だったから幸いだった。カルセナは、以前害虫対策として、色々試行錯誤をしていたことを思い出した。こんなもので果たして追い払えるのか......可能性は低いが、行動に移さないと意味が無い。魔耶に向かって叫んだ。
カルセナ「魔耶!!こっち側に全力で飛んで来て!!強い匂いのハーブ畑があった!!」
何を言っているんだ、そんなもの効く訳が無いだろう、などと言われる事など百も承知だった。ついでに言っておけば、もしハーブ畑で昆虫が退散しなかったら自分が食べられることも覚悟していた。自分が駄目でも魔耶が助かればそれで良い。だからこそ発した言葉だった。

23:なかやっち:2020/03/27(金) 13:25

魔耶「!?…カルセナ…!」
150メートルほど先のところにカルセナが見えた。
後ろから追いかけてくる虫のせいで声は聞こえないが、手招きをしているのは見えた。こっちにこい、ということだろうか…?
だがもう巨大な虫はすぐ後ろまで迫ってきていた。
仮に飛んでいこうとしたとしても、地面を蹴って空中にいくまでに一瞬隙ができてしまう。
これだけ距離が近ければ、その隙にパクリといかれてしまうだろう。
魔耶「間に合うか…?」
朝から飛び回っていたのと、ごはんを食べていないのとで、魔耶の体力は限界だった。これ以上のスピードで走ることは不可能…
なんて考えて、走ることに意識を向けていなかったのが悪かった。

ガッ‼
魔耶「あっ!」(グラッ…ドサッ!)
地面の気の根っこかなにかに躓いて転んでしまった。
きっと虫はこの隙を逃さないだろう。
魔耶「ひっ…」
魔耶は死を覚悟し、目をつぶった。
カルセナ「魔耶ぁっ‼‼」
魔耶が殺されてしまう…カルセナもそんな未来を悟ってしまった…が、思いもよらぬ出来事が起こった。


魔耶「…………?」
虫がいつまでたっても襲ってこなかったため、魔耶はうっすら目を開けてみた。
魔耶の目に見えたのは、カルセナのすぐ横でもっさもっさとハーブを食べている巨大な昆虫の姿だった。

魔耶&カル「……はぁ!?」
虫はキツイ匂いが嫌いなはず…
この世界の常識は、もとの世界の常識と根本的に違うことを学んだカルセナと魔耶であった。

24:多々良:2020/03/27(金) 13:45

数時間後.....

カルセナ「いやーまさか、逃げるどころか食べるとは....言葉が出んかったわ.....」
魔耶「そうだねぇ....この世界は不思議だなー.....ありがとね」
カルセナ「うーん、私が行かなくても、あのまま走ってたら助かったかもね」
昆虫が食事をしている隙に、離れた草原まで逃げてきた魔耶とカルセナ。その頃の時間帯は深夜3、4時といった所だろうか。念のため、火種を持って来ていたのは良かった。
カルセナ「てか虫嫌いだったんすね。あんなにでっかい竜は平気なのに....意外だなぁ」
魔耶「小さい虫とかでも嫌だもん。あんな大きな虫無理無理」
カルセナ「にしても、腹減ったなぁ〜.....きのこ採ってくるの忘れてしまった....」
広大な草原に、二匹の腹の虫が鳴く声が聞こえた。
魔耶「今頃だったら、お腹いっぱいでぐっすり眠ってるはずなのにな〜ぁ」
カルセナ「ほんとだよ全く....」
魔耶の大きな欠伸が移ったのか、カルセナも続けて欠伸をした。
月明かりの中に小さく、飛竜の影がちらついた。雲一つない、満天の星はとても幻想的に見えた。

25:なかやっち:2020/03/27(金) 15:27

魔耶「…綺麗だな…。今日のごはんは、もう諦めるしかないね。探しにいってまた虫に襲われるのは嫌だし」
カルセナ「うん、そうだね…しょうがな…い……ね………」
魔耶「……カルセナ?」
隣からカルセナの寝息が聞こえる。疲れて眠ってしまったようだ。色々あったのだ、無理もない。
魔耶は能力で毛布を作り出し、カルセナにそっとかけた。

魔耶「…ほんと、なんなんだよ、この世界…」
魔耶は1人、満天の星空を眺めながら呟く。
そう言いながらも、この訳のわからない世界でカルセナと冒険するのは楽しいな、と心のなかで考えている自分がいる。

…考えごとをしていると、魔耶の瞼もだんだんおもくなっていった。
星々の明かりが閉ざされ、魔耶は夢の中へ誘われていったーー

26:多々良:2020/03/27(金) 17:20

その夜、カルセナは夢を見た。
一寸先も見えない暗い森の中、はっきりとした形が見えない、真っ黒な何かに追われる自分がいた。前にいた世界で、「背が高くて、何だか頼もしいね〜」などと言われた事があるのに、今の自分はどうだ。歯向かいもせず、ただ情けなく逃げているではないか。逃げても逃げても先は真っ暗で体力も限界、もう駄目だと「思った」。

あくまでもそう思っただけだった。突然、恐ろしいオーラを放っていた何かの気配が消えた。勇気を出して振り返ってみた。そこには、茶髪に青い猫耳の付いた帽子を被り、背中から頼もしく翼を生やした少女が後ろを向いて立っていた。

「ーもう、大丈夫。」

彼女はそう発した。途端に、目の前が明るくなった。街灯や焚き火の明かりとは違う、心が解き放たれるような灯り。その言葉がどれだけ嬉しくて、心強くて、ちょっぴり照れ臭くて、安心出来たのだろうか。何とも言えない気持ちで、心が埋め尽くされたーー。



カルセナ「って言う夢をこの世界で見れたら、めっちゃ雰囲気あるくね?あ、あと毛布ありがとねー」
魔耶「うん、そうだ....うーんそうか??」

恐ろしくも幻想的な夜はいつの間にか明けていた。空には清々しい程の朝陽が輝いていた。

27:なかやっち:2020/03/27(金) 18:47

魔耶「よし、良い天気!お腹も空いた!食料探しだぁ‼」
寝て疲れが吹き飛んだ魔耶はそう叫んだ。
もし彼女が人間であったら、数時間寝た程度で疲れが吹き飛ぶことはないであろう。
カルセナ「そうだね〜あと、人探しと街探しも忘れずにね〜」
魔耶「なんか他人事みたいだな…君も行くんだよ?」
カルセナ「わかってるって〜」
帽子をかぶり、ニカッと笑うカルセナだった。

カルセナ「あ、これ!この草、確か食べれなかったっけ?」
魔耶「うん、食べれるよー。」
魔耶は長年の経験を生かして、何が食べれるか、食べれないかを判断した。
一応山で暮らしていたのでそこそこの知識はある。
カルセナも本を読んで知ったようで、植物についての知識をたくさんもっていた。
カルセナ「もともと食べることは好きだからね〜。そういう本は結構読んでたよ〜」
ということだったので、食料集めは順調に進んだ。

28:多々良:2020/03/27(金) 19:14

魔耶「結構集まったね〜、まぁ、お肉が無いのは残念だけど....」
カルセナ「致し方無いわなこればっかりは。でも魔耶の力があれば動物とかも狩れちゃうんじゃないの〜?」
魔耶「狩れるやつは狩れるけど....無茶苦茶デカかったりするやつは流石にキツイかなー」
カルセナ「虫といい動物といい、魔耶にも無理なものがやっぱりあるのか〜....」
魔耶「そりゃあそうだ。」
集まった食材を抱えながらわいわいと話しているうちに、火を起こすにはもってこいな岩場を発見した。辺りには洞窟なども無く怪物に襲われる心配はなさそうだった。
魔耶「ここでご飯にしよっか?また火を起こさないと....」
カルセナ「よっしゃーこの世界で初めてのご飯だ!!あ、昨日火種は魔耶が集めてくれたから、今日は私が行くよー」
魔耶「おー分かった、迷子になるなよ〜」
カルセナ「迷子になるのは子供時代の私だけだわ!!んじゃ、食材準備よろしくー」
そう言いながらカルセナは、火を起こせそうな木材を探しに森へ向かった。
魔耶は平たい岩場で、食材の準備に取り掛かった。
風も殆ど無く、焚き火をしても消えることは無さそうだった。

29:なかやっち:2020/03/27(金) 20:01

魔耶「よーし、この世界で初めてのごはんだし、おいしくつくらなきゃね!」
魔耶は両の手を前につきだし、
魔耶「お鍋、包丁、まな板…召〜喚!」
と叫んだ。すると新品のようにぴかぴかな鍋、包丁、まな板がポンッと音をたてて現れた。
それを見てうんうんとうなずく魔耶。
魔耶「私の能力ってほんと便利だわ〜。魔力でできてるから丈夫だし、雑貨屋でも出そうかな〜!売れそうだと思うんだよね〜…あ、めっちゃ魔力を使うから無理だわ。うん、諦めよう。」
なんて1人で呟きながら食材の下準備を始めた。

30:多々良:2020/03/27(金) 21:37

やはり森の中は午前と言えど薄暗かった。が、至る所から木漏れ日が差し込みキラキラと反射していた為、綺麗だな、とも思えた。
カルセナ「さてっと、枝、枝.....おぉ、いっぱい落ちてた!」
調理となればそれ相応の量の枝を消費するだろうと考えた結果、帽子の中に枝を入れ、入らなくなったら更に手で持つことにした。
カルセナ「これで沢山持ってけるね〜、と」
運が良いことに、入って行った辺りには数え切れない程の量の枝が落ちていたお陰で、ちゃちゃっと拾い集め終わることが出来た。
カルセナ「ふいー、これだけありゃぁ、OKだよねぇ....あ、きのこだ」
沢山の枝が入った帽子を抱え戻ろうとすると、近くの木に怪しい色をしたきのこが生えていた。普通はこんなもの食べる余地も無いのだが、カルセナは生憎きのこには詳しくなかった。それに伴い空腹だったため、
カルセナ「やったぁ、ご飯増えたじゃんか」
2、3本根本からぶちっ、ともいで帽子の中に入れた。
カルセナ「さーてと、あっちは準備進んでるかな?」
そう言って森を抜け、魔耶が下準備を進めているであろう岩場へと戻った。

31:なかやっち:2020/03/27(金) 21:50

食材を食べやすい大きさにトントンと切っていると、カルセナが帰ってきた。
魔耶「お帰り〜。早かったね?」
カルセナ「いや〜、偶然枝がたくさん落ちてるところを見つけてね〜ラッキーラッキー。…ところで、準備はできたかな?お腹ペコペコだよ〜」
魔耶「もうほとんど終わってるよー。」
そういって、下準備の終わった食材をカルセナに見せた。
カルセナ「おー、良い感じだね!さっさと火つけちゃおうか」
カルセナは小枝がたくさん入った帽子を地面におき、火をつけようと中を覗きこんだ。
すると、途中で見つけたキノコが入っているのを見つけた。
カルセナ「そーいえば、途中でキノコ見つけたんだ〜これも食べようよ」
魔耶「あー…言い忘れてたけど、私キノコ苦手なんだよね…」
カルセナ「あれ、そうなんだ。弱点2だね。じゃあこのキノコは私が食べよっと」

32:多々良:2020/03/27(金) 22:10

中の枝を取り出して良い感じに組むと、火を着ける作業に取り掛かった。
カルセナ「こーゆーので火ぃ着けんの苦手なんだよね〜....」
何やかんやあって、魔耶の助けも借りて火が着いた。昨日晴れていたせいか枝はカラカラで、火はすぐに大きくなった。
魔耶「んじゃあ焼き始めよっか、まだ枝残ってるね?焼くものはそれで串焼きにして....茹でたりするものは私が作ったこのお鍋に!!」
魔耶は得意気に鍋を見せた。カルセナはまたも微妙に感じる称賛をしながら、枝にきのこを刺して焼き始めた。少しの沈黙を置いた魔耶は、まぁ良いだろう....。と鍋に具材をぽいぽいと放り込み、火の上に置いた。
カルセナ「ああ、醤油があれば良かったのになぁ〜」
魔耶「んだね、醤油どころか塩すら無いからねぇ」
きのこがパチパチと音を立てて、こんがりし始めている。そろっと頃合いだろう。

33:なかやっち:2020/03/28(土) 09:43

カルセナ「よーし、ただ焼いただけだけど、いただきまーす!」
魔耶「…あっ…ちょっ!!」
カルセナ「?…どうしたー?もぐもぐ」
魔耶「…いや…なんでもないや…」
よく見たらキノコはとても怪しげな色をしていた。魔耶はキノコが嫌いだったからキノコをよく見ていなかったのだ。
魔耶(いや、私はキノコを食べないからキノコについての知識はあまりないけど、カルセナが選んだやつだし…大丈夫だろう…きっとカルセナはキノコの知識があるんだよね…?)
カルセナ「うわぁ、なんかゴムみたいな味がする〜調味料で味を誤魔化せないから、ストレートにゴムが胃に…」
魔耶「ストレートにゴムって…」
面白い表現だな、といつもなら笑っていたと思うが、今は胸騒ぎがして笑えない…何がこんなに気になるんだ…?
カルセナ「…?魔耶…?どうした?具合でも悪いのか?」
魔耶「あ、あぁ、大丈夫だよ。ちょっと考え事…」

34:多々良:2020/03/28(土) 12:37

魔耶がこちらを見て微妙な顔をしているのを見て、少し気に掛けたが問題なさそうだ。きっと、さっきの鍋についてカルセナの反応を思い返しているのだろうと勝手に解釈した。
カルセナ「魔耶ほんとにきのこいらないの?めっちゃゴムみたいなシリコンみたいな味するけど」
魔耶「う、うん、そもそも嫌いだからさ〜....」
カルセナ「そっすかー、あ、もうお鍋の方も良い感じじゃない?」
魔耶「あー本当だ、じゃあ先にこっち食べよっかな」
カルセナ「多分美味しくなってるよ、魔耶が作ったお鍋だし.......ッ」
魔耶「....どうしたのカルセナ?」
カルセナ「う〜ん....ちょっと頭痛くなったけど、まぁ大丈夫でしょ。多分疲れてんのかな?」
魔耶はますます、カルセナが食べているきのこを怪しんだ。しかしカルセナは、一瞬痛んだ頭部を押さえたが、問題無さげにきのこを食べ進めた。だが、暫くしてーー
カルセナ「............。」
ずっと喋ってばかりだったのに、カルセナの口数が急に減った。
魔耶「あれ.....ちょっと、大丈夫....?」
魔耶が覗き込んだカルセナの顔は、いかにも具合が悪そうなものだった。
カルセナ「あのね....めっちゃ頭と腹が痛いの......。」

35:なかやっち:2020/03/28(土) 13:38

魔耶「…そのキノコ、ほんとに大丈夫なの?毒キノコじゃないよね…?」
カルセナ「わかんない…キノコには、詳しくないからさ…」
魔耶「えぇぇ!?知ってて食べたんじゃないの!?」
カルセナはキノコの知識がある…なんて、勝手に思い込んでいたのが悪かった。私が食べる前にストップをかけていれば…
自分の浅はかな考えを恨めしく思った。
カルセナ「ぐぅっ……うっ‼‼」(ドサッ)
一瞬カルセナの顔が真っ青になったと思ったら、そのまま倒れてしまった。やはり毒キノコだったようだ。
魔耶「ちょっ…カルセナッ‼」
軽く揺さぶってみる。カルセナはハァハァと荒い息をしながら腹をおさえていた。どう考えても重体だ。
もとの世界だったら医者を呼びにいくところだが、あいにくここは別の世界。医者どころか、人がいるかどうかさえ分からない。
魔耶「うぅ…ど、どうしよう…。魔法なんて使えないし…解毒の薬草なんて持ってないし…」
魔耶の能力は無機物をつくる能力だ。薬なんてつくれるわけないし、どんな毒かも分からない。
魔耶がどうしようかと考えている間にも、カルセナの毒は広がっているだろう。早く毒を抜かなければ手遅れになってしまう。だが、どうすれば…
魔耶「…カルセナ……誰かぁ…」
無力な自分を恨んだ。ポロポロと涙がこぼれ落ちる。
魔耶「ごめんね…カルセナぁっ……」
もはやカルセナの死を受け入れるしかない…そう思ったときー


??「おや?そんなところで泣いているのは、誰だい?」
私のでもカルセナのでもない、知らない声がきこえた。

36:多々良:2020/03/28(土) 16:06

???「こんな辺鄙な所で、一体どうしたと言うのだ?.....いや、言わなくて良い、大体は察した」
泣き崩れそうになった私に声を掛けたのは、大きい槍の様な武器を持った者だった。
魔耶「お願いします!!出来るなら、カルセナを助けて.......」
相手の詳細を確認している暇は無く、カルセナの命が最優先であった為魔耶はその者に願った。
???「....承知した。近くに、私の隠れ家がある。ただの洞穴だがな....そこで治療する、着いて来い。その者は私が運ぼう」
お礼を言う隙も無く相手はカルセナを持ち上げ、少し先に見えるもう一つの岩場の洞窟に向かった。私もそれに続いて飛び立った。


???「この症状、まさかとは思うが....」
そう言いながらカルセナを地面に寝かせ、薬草を擂り潰した薬らしき物を手に取った。
魔耶「私も怪しいとは思っていたけれどその....変な色のきのこを食べたらそんな風に....」
???「....そうか。やはりな.....だが、これで大丈夫な筈だ」
カルセナの口に無理矢理と言わんばかりに薬を突っ込んだ。うぐっ、とカルセナは苦しそうな声を上げたが相手は気にしていないようだった。
魔耶「あ、あの.....ありがとう....貴女は....」
相手は地面に座り、壁に寄りかかって言った。
???「礼を言われる程では無い。私の名は、浄棲ニティ。お前こそ、名は何と申す?」

37:なかやっち:2020/03/28(土) 17:00

魔耶「私は彩色魔耶です。」
ニティ「そうか。よろしくな。…魔耶は羽が生えているが、悪魔なのか?それとも魔族か?」
そういって魔耶の背中に生えている漆黒の羽をまじまじと見つめる。
魔耶「あ、魔族です。といってもまだ300歳なのですけど…」
ニティ「ほう、魔族の中では若いほうだな。」
ニティはうむうむとうなずいた。確かに私は魔族の中では若いほうだ。大人の魔族だったら400歳〜500歳はいっている。
魔耶「魔族に詳しいのですか?」
疑問に思ったことを聞いてみた。普通の人間ならそこまで詳しいことは知らないはずだが…
ニティ「あぁ、大抵の種族のことは分かる。私は神だからな。といってもまだ修行の身なのだが。」
魔耶「神…?神は天界にいるのでは…」
ニティ「普通はな。私はまだ修行の身だ。こんな私が天界で暮らすなんておこがましい」

少しだけ沈黙が訪れる…と、ニティはいきなりスクッと立ち上がった。
ニティ「先ほどの様子を見るに、お前、朝飯の前にこいつが倒れて飯を食べれていないだろう?ここで会ったのも何かの縁だ。ご馳走してやろう」
カルセナをポンッと軽く叩き、私に向かって笑顔を見せた。

38:多々良:2020/03/28(土) 17:33

魔耶「わ....ありがとうございます」
ニティ「敬語など使わなくて良い、名も、気軽にニティとでも呼んでくれ。まぁ、「さん」くらい付けて貰っても構わないがな」
少し得意げに言うと武器を持ち、食料を調達しに行った。
魔耶「.....ここの世界にも、私達以外の人がいたんだ....」
魔耶はこの世界に来たばかりの時の様に、洞窟の外を見てポケ〜っとしていた。
ニティ「帰ってきたぞ」
魔耶「いや早ッ!!!」
先程出て行ったばかりのニティが、自身の背丈ほどある大きな豚を一匹担いで帰って来た。
ニティ「丁度近くに豚の群れが居たものでな。ここの森には、あらゆる生物が住んでいる為食料には困ることは無いが....凶暴な生物ばかり潜んでいる。この豚もそうだ。お前らも見掛けたりする事は無かったか?」
そう言われて魔耶は、昨日対面した巨大な昆虫のことを思い返した。今考えても背筋がぞっとするようなものだった。その間にも、ニティは豚を焼く準備を着々と進めていた。その手付きを、魔耶はじっと見ていた。
魔耶「.....慣れてるんですね、やっぱり」
ニティ「敬語を使わなくても良いと言っただろう、二度言う事は三度と無いぞ。勿論、長い間こんな所で暮らしていれば嫌でも慣れる」
棒に刺さった豚が、焚き火の上で焼かれ始めた。お肉を食べられていない魔耶にとって、それはそれはとても美味しそうに見えた。
ニティ「それにしても、魔耶の相方は起きる気配が無いではないか....あの薬はかなり速効性がある薬なのだがな.......水でも掛けてやろうか」

39:なかやっち:2020/03/28(土) 17:55

魔耶「一応病人だから!やめてあげて‼」
思わずつっこんでしまった。
私の必死さを見てか、ニティさんはクスクスと笑う。
ニティ「わかっている。冗談だよ。私もそこまで鬼ではない、自然に起きるのを待とう」
豚が焼けてきたようで、辺りに美味しそうな匂いが漂ってくる。
たった1日食べなかっただけで、こうも肉のありがたみが分かるものなんだと思い知った。
ニティ「そろそろいいか」
ニティさんは焚き火の上に固定されていた豚を外し、ナイフで食べやすい大きさに切り分け始めた。
すると…
カルセナ「「…肉の匂いっ‼‼」」
魔耶「うわっ!?」
いきなりカルセナが目を覚ました。…どうやら肉の焼ける匂いで起きたようだ。
…まあカルセナも変なキノコしか食べてないしね。お腹が空いていたんだろう。旗から見たら食い意地のはっている人にしか見えないけど。
カルセナ「…あれ?ここどこ…?なんで私寝てたの??」
ニティ「起きたか。ここで寝ていた経緯については、後で相方から聞くんだな」
私に向かってにこりと笑いかける。
ニティ「腹が減っただろう?さあ、食え。」

目の前に出された肉がとてもおいしくて、魔耶もカルセナもあっという間に平らげたのは言うまでもない。

40:多々良:2020/03/28(土) 19:27



カルセナ「ふんふん、成る程。つまり........私の自業自得っすね。まじで」
魔耶「いや〜、止められなかった私も何か悪い気がするけど....ニティさんが通り掛かってくれなかったら、今頃あなたが天界に「逝く」所だったんだからね?」
カルセナ「あはは、すまんすまん」
魔耶「もー、笑い事じゃ無かったんだってば......親の顔が見てみたいわ」
カルセナ「うちの家族見ても何も変わらんぞ」
こんな会話を繰り広げている二人を見て、ニティがクスッと微笑んだ。
ニティ「家族か........」
カルセナ「ニティさんの家族はどんな人なん?魔耶の家族は知ってるけど」
ニティ「私か....私の家族は今は居ない.......幼い頃に、突然行方不明になった。後から私を保護してくれた師匠に両親のことを知らされ、そこで初めて、亡くなっているということを知ったんだ」
これを聞いた魔耶は、んな事聞くなや!!と言わんばかりにこっちを見た。
カルセナも雰囲気を察して、やっべ....となっていた。
ニティ「まぁ別にそんなことどうだって良い。今こうして、笑えているのならな」
そう言って二人に再び微笑んだのだった。

41:なかやっち:2020/03/28(土) 20:00

ニティ「ところで、お前たちはどこから来たんだ?こんな危険な場所にいたから不思議に思ってたんだ」
魔耶「あー…えっと…違う世界から…?」
少し戸惑いながら言う。冗談だと思われるだろうか。
ニティ「おや、別の世界から来たのか?なるほど、そういうことか。てっきり家出でもしたのかと…」
カルセナ「信じてくれるの?」
ニティ「信じるもなにも…私は神だからな。色々な世界にもいっている。そういう者とも度々会うぞ?」
なるほど。ニティは修行で色々な世界を渡り歩いているらしい。そんな人からすれば、私達が別の世界から来ているなんて珍しくもなんともないだろう。
カルセナ「なーんだ、この世界の人じゃないのか〜」
魔耶「こら、失礼だぞ」
私はカルセナを軽く叱るがニティは気にしていないらしい。私達のやり取りを面白そうにながめていた。
ニティ「確かに私はこの世界の人ではないが、この世界にも人はいるようだぞ。前に街を見た。」
魔耶「…!」
有力な情報が得られた。その街にいけばこの世界について詳しく知れるだろう。上手くいけば、もとの世界に帰る方法も分かるかも知れない。
魔耶「ほんとう?どこらへんでみたの?」
ニティ「うーむ、前のことだからよく覚えていないが…確かここからまっすぐ北にいったところにあったと思うぞ」

42:多々良:2020/03/28(土) 20:53

カルセナ「マジかぁ、まさか今日になってたくさん人に会えるとは.....」
魔耶「ともかく行ってみる?行かないと進展しないからね〜」
カルセナ「そーだね、んじゃ、ちょっと行ってみますか」
魔耶「うん、ニティさん、色々ありがとう」
カルセナもそれに続けてお礼を言い二人が立ち上がると、ニティも立ち上がり握手を交わした。そして忠告をした。
ニティ「うむ、短い間だったがここ最近で一番満喫出来た時間だった。こちらこそ、礼を言う。それと、今から行くのであれば早めに向かった方が良い。恐らく、今が一番人に会える時間帯であろう」
魔耶「そうなんだ、じゃあ寄り道してられないね」
カルセナ「スタミナが持つかしら......まぁ大丈夫か」
ニティは二人を外まで見送った後、別れの言葉を残した。
ニティ「お前らが街まで安全に向かえる確率を上げておいた。私はまだ暫くここで修行を続ける。何かあったら、また何時でも戻ってくるが良い。旅の健闘を祈ろう」

こうして二人は、ニティから教えられた通り北へ真っ直ぐ飛び立ったのであった。

43:なかやっち:2020/03/28(土) 21:41

大体1時間ほど飛んでいただろうか。
太陽が真上にでてきたため、飛んでいると首がジリジリと焼かれた。
カルセナ「あっつ〜…」
魔耶「もうお昼どきだからね。今が一番暑い時間帯だよ…少し降りようか?」
カルセナ「そだね…焼け死ぬ。」
二人は地面に降りた。
太陽から少しだけ遠ざかったおかげか、さっきよりは暑くない。

二人は並んで歩きだした。
ずっとスピードをだして飛んでいたのだ、少しくらい歩いても間に合うだろう。
カルセナ「そーいえばさー」
カルセナが話しかけてきた。
カルセナ「私は羽ないからいいけど、魔耶は羽があるじゃん?もし人が見たら警戒するかもよ?」
…確かに、羽のことを考えていなかった。
カルセナはすぐ受け入れてくれたが、他の人はそうではないかもしれない。敵対視される可能性だってある。
魔耶「…そうだね。このまま街に入ったら大騒ぎになっちゃうかも知れないね。でも大丈夫だよ〜。」
カルセナ「?」
魔耶「見てて…」
そういって羽を目の前で消して見せた。
カルセナ「おおっ!すごっ!どうなってんの?」
魔耶「この羽は出したり消したりできるの。悪魔は消すことができないんだけど、魔族の私はこの通りよ。」
カルセナ「ほえ〜…便利だねぇ…」

ーーと、話をしながら歩いていると、道に看板が立ててあるのを見つけた。

44:多々良:2020/03/28(土) 22:04

カルセナ「あ、看板だー。何かさ、漫画の主人公が街へ向かって歩いてる道中にさー《危険!!この先魔獣注意!!》って書いてある看板あるくね?もしかしたらこれも.....」
そんな戯言を聞きながら魔耶は看板の文字を読み上げた。
魔耶「んな馬鹿なこと無いでしょ〜、ほら、《5km先、北街》だって」
カルセナ「あら本当だ....なーんだつまらん」
魔耶「つまらんって.....二回も命の危機に陥ってるのに、まだスリルを味わう気かよー」
カルセナ「大丈夫でしょ〜、だってニティさんに護られてるようなもんだし」
魔耶「まあそうだけどさ〜......」
再び二人はてくてくと呑気に歩き出し、雑談を始めた。
魔耶「てかずっと気になってはいたんだけどさ〜、髪飾りの何かふよふよしてるやつ何?」
そう言って魔耶は髪飾りを指差した。
カルセナ「これ?これねー、多分浮幽霊の要素だね」
魔耶「カルセナもそれ怪しまれるんじゃね....?あと幽霊のイメージって、足が透けてるイメージなんだけど......」
カルセナ「何か実体あっちゃってるよね〜、どうせなら壁をすり抜けられる様になりたかった......だって幽霊要素、寿命無くて空飛べるくらいだよ?あ、ちょっと体が軽く感じるのも」
魔耶「寿命無いのは良いこと.....うーん、無いのもあれか〜.....」
カルセナ「これに関しては、魔耶が羨ましいや」
魔耶「そうかな〜?」

やはり、お互いをあまり知らない同士で会話をすると話が発展するものだ。
歩いている時はずっと喋りっぱなしでいることが出来た。

45:なかやっち:2020/03/28(土) 22:30

魔耶「あ、なんか建物がある?」
話に花が咲いてきた頃、遠くのほうに建物の影があるのを見つけた魔耶。
カルセナ「…建物っていうか、あれ…壁じゃない?」
よくよく見ると、魔耶が建物だと思ったものは、山のように高くそびえ立つ壁だった。
魔耶「本当だ…なんだあの壁ー?」
二人で考えてみる…と、カルセナが思い付いた。
カルセナ「あれ、もしかして、ニティさんがここら辺は強い生き物がいるとかいってたじゃん。そういう生き物を街の中に入れないようにするための壁じゃない?」
魔耶「あぁ、なるほど〜」
そう考えれば納得できる。
あの高さも、巨大な生き物が入れないようにしたためだろう。
魔耶「じゃあ、あの壁の中に街があるのかな?」
カルセナ「そういうことになるね〜」
魔耶「なるほど〜。…よし、いってみようか‼」
そういって急に駆け出す魔耶。この世界で初めて見る街に少し興奮していた。
カルセナ「ちょっ、いきなり走るなよな〜」
あわてて追いかけるカルセナ。
この街で、どんな冒険が始まるのだろう。
新たな冒険を楽しみに、二人は壁で囲まれた街に向かって走っていった。

46:多々良:2020/03/28(土) 22:57



楽しげに巨大な壁まで走って行った魔耶だが、途中でピタリと足を止めた。
カルセナ「ん?どったの?」
魔耶「あの中に入れる様な門を見つけたけど....護衛っぽい人が二人いるんだよね.....」
門前を良く見ると、成る程、確かにそれっぽい二人がいる。
カルセナ「え〜、でもこの街に危険を脅かしにきた訳でもないし、武器も持ってないから通れるでしょー」
魔耶「そうかなぁ〜.....」
小さな不安を胸に抱きながらも門へと向かった。
やはり、護衛の二人は私達を簡単には通してくれなかった。が、要件を聞いてもらいボディチェックをした後、あっけなく通して貰えることになった。
カルセナ「何か....ゲームにあるような試練は無かったねぇ」
魔耶「ちょっと何かあるのか期待しちゃったわ〜」
門をくぐり抜けた先は、噴水のある開けた広場の様な所だった。大勢の人が街を歩き、少し先に見える商店街はとても活気があった。その奥には、壁の隅からでも良く見えるような、大きな時計台まであった。
魔耶「うわぁ〜、凄い!きれいな街!!」
魔耶は子供の様に目をキラキラさせて喜び、辺りを見回していた。
カルセナ「確かにこれは良い街だねぇ、楽しそうだな!!」
勿論、カルセナもわくわくした表情で広場を眺めた。
カルセナ「んで、どうします?情報収集早速しますか?」
魔耶「うーん、でもちょっと疲れたから一旦ここで休憩しない?」
カルセナ「うん、良いよー」
二人は噴水のそばにあるベンチに腰掛けた。子供の遊ぶ声が盛んに響く。

心地よい空間の中でまったりしていると突然、誰かに挨拶をされた。
???「こんにちは、あのぅ.....」
魔耶カル「「 うわっ!!? 」」
???「あっ、ごめんなさい、驚かせるつもりじゃ.....ただ、この街で見掛けない人だったから.....」

47:なかやっち:2020/03/29(日) 12:40

魔耶「い、いえ…大丈夫です…」
まだ心臓がドキドキしている。急に話しかけられるとは思ってなかった。
カルセナ「…あなたはこの街の人ですか?」
??「はい。この街で行う行事の司会進行の仕事をしている、花鳥ひまりといいます。」
ひまりはそういってペコリとお辞儀をした。
私達には興味本意で話しかけたらしい…悪い人では無さそうだ。
ひまり「あなた達は?この街の人ではないと思いますが…」
魔耶「私は彩色魔耶。んで、こっちが…」
カルセナ「カルセナ・シルカバゼイションっす。」
ひまり「そうですか。よろしくね、魔耶さん、カルセナさん!」
魔耶「呼び捨てで良いよ。敬語もいらないよ〜」
ベンチにおっかかりながらヒラヒラと手を振る。
ひまり「じゃあ魔耶とカルセナでいいかな。…魔耶とカルセナはどこから来たの?外国から?」
カルセナ「いや〜、実は別のせかi((…」
別の世界から来た、と言いかけたカルセナの口を手で塞ぐ。
魔耶(ばか!ニティさんは神だったからいいけど、普通の人にそんなこと言ったら引かれちゃうだろ‼せっかく話しかけてきてくれたのに!)
小声でカルセナに注意をする。
カルセナ(はっ!確かに‼)
カルセナもそのことに気づいたようで、あわてて言い直す。
カルセナ「そ、そうそう!外国から来たの‼めっちゃ遠いとこ!」
ひまり「へ〜、そうなんだ!旅人さん?」
魔耶「そうなんだよ〜旅人なんだ〜」
私達の不自然な行動はバレなかったようで、ひまりは笑顔で「そうなんだ〜」とうなずいた。

48:多々良:2020/03/29(日) 13:37

カルセナ(あっぶねぇ.....バレなくて良かった......)
魔耶(ほんとに、気を付けてよ〜.....)
ひまり「じゃあこの街のこと、もしかしたらあまり知らない?良かったら案内してあげるよ」
これを聞いて、二人は喜んだ。どうやら今日はついているようだ。
魔耶「本当に?ありがとう!!」
ひまり「それじゃあ着いてきて、あそこに時計台が見えるでしょ?あの真下まで行こう」
カルセナ「あー、あれずっと気になってたんだよね」
こうしてひまりを含めた三人は、空高く聳え立つ時計台を目指して歩き始めた。

ひまり「それにしても、さっき外国から来たって言ってたけどどこの国からここまで?」
カルセナ「えーっと、それは.......」
魔耶「あっ、ねぇねぇひまり!!あの大きな建物は一体何!!?」
カルセナの言葉が詰まったその時、魔耶のナイスフォローのお陰でひまりの気を逸らすことが出来た。魔耶の顔を見ながらありがとう、の合図としてコクンと頷いた。
ひまり「ああ、あれはこの街で一番大きな学校だよ。沢山の生徒がここに通ってるの」
学校だけではなく、その周りにも興味深い建物が沢山建っていた。
二人の冒険心がますます擽られたのは、到着した時計台を見上げた瞬間だった。

49:なかやっち:2020/03/29(日) 14:39

時計台は回りの壁と同じくらい高く、さまざまな宝石が埋め込まれていてとても綺麗だった。
時計台は午後の太陽の光を浴びてきらきらと輝いている。
ひまり「この時計台は、街のシンボルなの。綺麗でしょう?」
カルセナ「うん…凄い綺麗…新品みたいだね〜」
ひまりはうんうんとうなずく。
ひまり「この時計台は何百年も昔からあるらしいの。誰がつくったのかは分からないけど…大切なものなんだ〜」
時計台をうっとりと見つめるひまり。その様子を見るに、本当に大切なものなんだろう。
魔耶「製作者が分からないの?」
ひまり「うーん、何百年も昔だし…この時計台を作った人は自分の名前を彫ったりしなかったみたい。」
なるほど…そんなに昔につくられたものだから資料もないのだろう。ふーんと納得の返事を返す。

ひまり「じゃあそろそろいこうか。あなた達みたいな旅人にとってはとっても大事なところにいこう!」
カル魔耶「?」

ひまりの後に続くと、先ほどみた学校と同じくらい大きい建物があった。
中を除いてみると、たくさんの人がお酒をのみかわしたり話をしたりしている。
魔耶「ここは…?」
ひまり「ここはギルドっていうの。大体の旅人はここで仕事をしているわ」
カルセナ「どんな仕事?」
ひまり「色々ね。ギルドでは、依頼人の依頼を受けて、その依頼を達成すると報酬がもらえるの」
ひまりが私達に向かって笑いかける。
ひまり「依頼がモンスター討伐だったり、素材集めだったり危険な仕事が多いわ。でも、その分報酬も多い。だから、力自慢の冒険者達が集っているの」

50:多々良:2020/03/29(日) 16:33

魔耶「へぇ〜、確かに強そうな人がいっぱいいるね」
人々が装備している武器をまじまと眺めながら言葉を発する。
カルセナ「じゃあ、あの竜もいずれ討伐されたりするのかな.....」
この世界に来たばかりの頃を勝手に思い出して身震いした。
ひまり「あなた達もこの街に滞在するのだったら、こう言うのもお勧めよ?腕に自慢があるのならばね」
魔耶「いや〜、まぁ、そうだね....考えとこうかな....」
二人がたじろいでいると、一人の少女がひまりに近づいて来た。
???「お姉ちゃん、ちょっと.....」
ひまり「あ、丁度良かった、ちょっと紹介するわ。私の妹の花鳥みお。宜しくね」
みお「よ、宜しくお願いします」
カルセナ「よろしく〜」
魔耶「ひまり、妹さんがいたんだー」
ひまり「そう、双子の姉妹なのよ。それで、どうしたのみお?」
みお「あ....今日のお祭りの準備についてなんだけど」
ひまり「そう言えばそうだったわ。....そうだ、良かったら二人ともお祭り参加したら?今日の夕方五時くらいからさっきの時計台付近で開催されるの。沢山人も集まるし、そこならこの街の情報を集めるのも良いと思う。私は準備があるから、また後で会いましょう!」
そう言い残し、こちらに大きく手を振りながら妹のみおと共に街へと消えて行った。
魔耶「....お祭りかぁ〜、確かにそこならこの世界のこと、沢山知れるかもね」
カルセナ「良いじゃん参加しよ!!」
良い情報を聞けた二人は、時間になるまでもう少し街を散策することにした。

51:なかやっち:2020/03/29(日) 17:13

魔耶「にしても、ギルドねー」
二人でブラブラと歩きながら会話を始める。
カルセナ「なにか気になることでもあった?」
魔耶「いやそういうのじゃなくて、私達この世界のお金持ってないじゃん。だからそこで働くのもありかなって…たくさん人もいたから、情報も集まるかもよ」
カルセナ「魔耶の能力でお金つくれないの?」
魔耶「一応つくれるけど…そういうのは嫌なんですよ。それに、みたことあるやつじゃないとつくれないから…」
顔をしかめてもとの世界で使われていた硬貨をつくる。
ここは別の世界だ、もと世界で使われていた硬貨なんて使えないだろう。
カルセナ「そうなんだ…でも、怪物と戦うのは怖くない?私達もうすでに色々会ったけど、歯が立たなそうなやつばっかだったじゃん」
魔耶とカルセナは竜と巨大な虫の姿を思い浮かべて身震いした。
魔耶「う、うん。それなんだけど、もっと簡単な依頼を受ければいいかなって。私達でもこなせるような仕事、きっとあるよ」
カルセナ「そうかな〜」
…後ろからワイワイと人々の声がする。お祭りの準備をしているのだろう、あちこちに屋台の準備をしている人がみえた。
魔耶「そろそろいこうか?」
カルセナ「うん、そうだね。お祭り楽しみだな〜!」
二人は街の中心に向かって歩き始めた。

52:多々良:2020/03/29(日) 18:23

時計台へと続く四本の大通りは、粋を感じる提灯や色とりどりの飾りが装飾され祭りの開始を待ちわびているかの様だった。そして肝心の時計台と言えば、特設のステージの様な物が設置され、その前に沢山の机と椅子が運び込まれていた。
魔耶「思っていたより大規模なお祭りなんだね〜」
周辺をうろついていると、子供たちにお菓子を配っている女性がいた。
女性「はい、どうぞどうぞー!ほら、あんた達も特別にやるよ!!」
そう言って、二人に気さくな様子でお菓子の小包をくれた。
魔耶カル「ありがとうございます」
魔耶「あの、このお祭りってどんなお祭りなんですか?」
女性「ん?もしかして旅人かい?この祭りはね、大昔に時計台を創り上げた人物を祀って祝うっていうものさ。誰も、その人のことは知らないのにねぇ、変なもんだよ」
カルセナ「へぇ〜、そうなんですかー」
女性「まぁ、祭り自体は楽しいから、十分に騒いで来なね!」
魔耶「ありがとうございました、楽しんで来ます!」
会話を終わらせ別れると、またお菓子を配りに行ったようだ。
カルセナ「やった、お菓子貰っちゃったね〜」
魔耶「うん、それにしても、あんな事聞かされたらますます時計台を創った人が気になって来るなぁー」
カルセナ「まぁー、その内わかんじゃね??」
魔耶「いやいや、数百年の歴史があっても誰も分かんないんだから、私たちが分かる訳ないでしょー」
カルセナ「むぅ、確かに....未来じゃなくて過去が読めたら分かるのになぁ」
こうして雑談している間にも祭りの準備は着々と進められ、間もなく時計台が五時を知らせようと針を動かしていた。

53:なかやっち:2020/03/29(日) 18:40

二人はもらったお菓子を食べながら歩き回っていた。
お菓子は見たことないものだったがとても美味しく、思わず感嘆の声をあげてしまった。
魔耶「うーむ、美味しい!何でできているんだろ?」
カルセナ「さあねー。この世界では定番のお菓子だったりするのかな〜?」
魔耶「そうかもね〜」
と、お菓子について話し合っていると…
『カチッ…ゴーン…ゴーン…』
という音が聞こえた。どうやら5時になったらしい。
カルセナ「お、5時だね。なにが始まるんだろ?」
ワクワクしながらあたりを見回す。
すると、時計台の方から聞いたことのある声が響いてきた。
ひまり「5時になりましたので、ただいまより、北町時計祭を始めます!」

54:多々良:2020/03/29(日) 18:58

耳に入ってきた声は、先程会った双子の姉であるひまりのものだった。とてもハキハキとしていて、見ていて気持ちが良かった。
ひまり「本日も司会を務めさせて頂きます、花鳥ひまりと!!」
みお「花鳥みおです」
ひまりに続いて、みおも前に出てきた。
カルセナ「あの二人で司会やってんのか凄いなー、私だったら絶対無理だわ〜」
ひまり「さて皆さん、本日は待ちに待った時計祭でございます!この街のシンボルとして長年務めて貰っているこの時計台に感謝を込めて、そして未来を願って、今日は最高に盛り上がりましょう!!」
ひまりの挨拶が締まると同時に、町人からの盛大な拍手が鳴り響いた。
みお「それでは乾杯に移ります。皆さん今日もお疲れ様でした。明後日からはまたいつも通りの日々が送られますが....まだまだ頑張っていきましょう。それでは....乾杯!」
乾杯の合図と共にあちこちでグラスが威勢良くぶつかり合う音がした。
魔耶「おおー、遂に始まった感あるねー!」
カルセナ「ねー、いやーほんと楽しくなりそうだな〜」

55:なかやっち:2020/03/29(日) 20:07

すると、グラスの音と混ざって、屋台のおじさんやおばさんのハリのある声が聞こえてきた。
おじさん「みんな〜!うちの自慢の食材を使った料理、食べてってくれ〜!」
おばさん「今日は祭だから無料だよ〜!」
カル魔耶「「無料!?」」
お金がないから何も食べられないかも…なんて思っていたが、祭の屋台はすべてタダらしい。
これもこの世界の文化だろうか。それともこの街だけだろうか。
カルセナ「やったぁ!全部タダだって!」
魔耶「そうみたいだね!早くもらってこよう‼」
カルセナの目はきらきらと輝いて、興奮しているのが一目でわかった。
でも、きっと私も鏡で自分の顔を見たら…人のことを言える立場じゃなくなるだろう。そうはっきりと言えるくらい私も興奮していた。

カルセナ「ふ〜…食った食った!」
自分の膨らんだお腹をぽんぽんと叩く。
魔耶「みたことないのばっかだったけど、全部美味しかったね〜」
カルセナ「ねー!毎日お祭りにしてくれればいいのに‼」
ひまり「いやいや、そんなわけにはいかないでしょ」
いつの間にかひまりが隣に座っていた。

56:多々良:2020/03/29(日) 21:20

カルセナ「あ、ひまりサンじゃないすかぁ、司会は良いの?」
ひまり「最初の挨拶とかだけやっとけば、後は皆が勝手に盛り上がってくれるからね」
そう言うとひまりは、缶ジュースを二人に手渡して小さく乾杯をした。
ひまり「ふう、今回も上手く行きそうね〜」
魔耶「このお祭りはいつからやってるの?」
ひまり「う〜んどうなんだろう....私が生まれた時からずっとだからさ」
魔耶「やっぱこの街のものは歴史が深いね」
缶ジュースのプルタブに指を引っ掛け、プシュッという音を鳴らして缶を開けた。
魔耶カル(このジュースも飲んだことないなぁ....)
この街の食べ物は勿論、飲み物までも未知だという事に気付いた二人は感心しながらジュースを飲んでいた。ほのかにレモンの様な爽やかな風味が口の中に残った。
魔耶「はぁ〜.....何か....心地良いな」
カルセナ「そうだね〜......」
空が暗くなるにつれ、街中に飾られた灯りの装飾が華やかに煌めき出した。それに続き、祭で騒いだ熱気を癒すかの様な、少し冷たい微風も吹いている。まるで夢の世界に居る感覚だった。この時二人は、自分の世界のこと、生活のことをじわじわと思い返していた。

「......私、ほんとに帰りたいって思ってるのかなぁ」

小声で魔耶にそう発したのは、カルセナだった。

57:なかやっち:2020/03/29(日) 21:59

魔耶「!……」
カルセナの思いもよらぬ一言に言葉がでなくなった。
驚き、であろうか。
…いや、私が無意識に思っていたことを言葉にされたからかもしれない。そうでなければ、彼女に対して「いやいや、帰りたいでしょ?」なんていって否定していたかも知れない。
…いつの間にか、この世界を心地よいと感じていた。カルセナと旅をするのが楽しいと感じていた。…そう、気づかされた。


二人の微妙な空気を察してか、ひまりが「どうしたの?」と声をかけてきた。
カルセナ「あ、い、いや…なんでもない…」
あわてて笑顔を取り繕うカルセナ。
いつもの心からの笑顔ではない、無理やり笑っているような…そんな笑顔。カルセナのそんな顔を見るのは初めてだった。
ひまり「…きっと、疲れちゃったんだよ。宿を紹介してあげる。宿の宿泊費は私が払うから、今日はゆっくり休みな」
ありがたかった。ひまりにお礼を言って、宿に入る。休みたかったのもそうだが、何よりカルセナと話をしたかった。本当の気持ち、今の思い、そしてーーこれからのことを。

58:多々良:2020/03/29(日) 23:26

カルセナ「.....いやーごめんね、何かいきなりあんな事口に出しちゃって」
魔耶「カルセナは....」
カルセナ「ん?」
魔耶「この世界で私と出会って少ししか経っていなのに....ほんとに帰りたくないの?」
その言葉を聞いて、即座にカルセナが答えた。
カルセナ「うーん、別に、完璧に帰りたくないって訳じゃないよ....でも」
魔耶「この世界で冒険して、どんな危機も乗り越えて、ご飯を食べて、笑って.....今、カルセナは楽しい.....?」
言葉を遮るかの様に、魔耶が問いを繰り返す。思えば、そんな魔耶の表情は疑問の裏で悲しみを表している様に見えたし、少し寂しそうにも見えただろう。
カルセナ「それはもちろん、楽しいに決まってるじゃないか」
魔耶「カルセナ的には、どっちの気持ちが大きいの....?」
魔耶は恐らく、帰りたい気持ちの方が大きいだろう、と予測した。だが、カルセナから帰ってきた言葉は予測を大きく上回った。

カルセナ「それが決められないから私は今、魔耶と離れるのが嫌になってる。勝手に、この世界にまだ居たいと思ってしまってる....」

カルセナは、魔耶に自分の表情を悟られないよう少し俯きながら話を進めた。
カルセナ「....初めてこの世界に来た時、私はもう駄目かと思った。でも、魔耶が助けてくれた。導いてくれた。だから、魔耶に着いて行けば全ての道が開かれると勝手に思い込んで、私はただただ魔耶に着いて行った。....そうして行く内に、私は知らない間に、魔耶を自分のアイテムとして使ってしまっていたのかもしれない.....」
魔耶「カルセナ.....」
カルセナ「魔耶には無事に元の世界に帰って欲しい.....でも、一方で離れたくない私がいる。あんなに下らない理由なのにね......ッ...ごめん、全然関係無い話だったね」
そう言って帽子の鍔を限界まで顔の前に下げた。

59:多々良:2020/03/30(月) 08:56

訂正、経っていなのに→経っていないのに

60:なかやっち:2020/03/30(月) 11:46

魔耶「……」
言葉が詰まる。…なんて返していいか分からない。
すると、カルセナが質問してきた。
カルセナ「魔耶は…どう思っているの…?」
少し考えて、ゆっくりと答えを返す。
魔耶「…私は…私も、自分が帰りたいのか帰りたくないのか分からない…もとの世界でずっと過ごしてきた。私の家族だっている!けど…いまの暮らしも…続けたい!」
カルセナ「…魔耶…」
二人で見つめあっていると、ポロリと涙がこぼれた。
魔耶「!……」
必死に涙を袖でぬぐうが、涙が次から次へと溢れだす。
魔耶「…私は、カルセナがたとえ私を…彩色魔耶を道具だと思っていたとしてもかまわない!私もカルセナと一緒で楽しかったから…!」
カルセナ「…っ…!」
カルセナの目からも涙が流れる。
魔耶「この気持ちをどう言葉にすればいいのか分からない…でも、きっとカルセナと同じことを考えていた…!私もカルセナにもとの世界に帰ってほしい!でも…まだ一緒にいたい!」
自分の矛盾した考えは、言葉では言い表せないほど自分勝手で、自己中で、理不尽なものだった。
カルセナ「魔耶…っ…!もう、私、どうすればいいのか…分からないっ…」
カルセナが帽子を下げて顔を隠す。帽子のしたから涙が滴り落ちた。
魔耶「……私もだよ…っ…」
私も、自分のお気に入りである青い猫帽子を顔の前までもっていく。 


5分ほど、無言の時が訪れる。きっと、二人ともこれからのことを考えているんだろう。でも、こんな矛盾した考えを…どう解決すれば… 

カルセナ「ねぇ…」
カルセナがおもむろに口を開いた。
カルセナ「……じゃあさ、私も魔耶もまだ一緒にいたい、けど帰りたいって思ってる。だったら、帰る方法は調べて、ここに来た原因も調べて、いつでもここに帰ってこれるようにしよう。そうすれば…また、会えるでしょ?」
魔耶「!」
カルセナらしい、単純で、簡単で、それでいて難しい答え。
こんな答え彼女にしか思い付かないだろう。
魔耶「うん…うんっ…!そうだね、それしかない!名案っ!」
涙をこぼしながらカルセナに笑いかける。
カルセナも魔耶に笑いかける。
カルセナ「また、冒険できるね。」

61:多々良:2020/03/30(月) 13:40

魔耶「そうだね...!!絶対、冒険しよう!!」
涙を拭って魔耶が答える。
魔耶「その為に、明日からは徹底的に情報収集だね!」
カルセナ「....よし!二人で行けばどうって事無いね!頑張るぞー!!」
魔耶カル「「 おー!!! 」」
部屋の中に、二人の声が響き渡った。その日はもう夜遅くだったので、明日直ぐ活動出来る様、寝る事にした。
部屋の電気が全て消え夜の暗闇と完全に同化した中、温もりのある、二つの小さな声が聞こえた。

「「 おやすみ。 」」

二人はそれぞれ、今日あった事は勿論、短い間に作られた思い出や人の温もりを思い返していた。
祭で楽しんだ疲れか、話し合いから出た疲れかは分からないが、あっと言う間に深い眠りに落ちていた。



カルセナ「.....う〜、寒っ....」
魔耶「ん.....?あっ、ちょっと、私の布団取らないでよ〜」
カルセナは隣のベッドで寝ている魔耶の布団を勝手に引きずり出していた。
カルセナ「あ〜....ごめんごめん」
魔耶「ほんと、勘弁して欲しいわ〜.....」
窓からは冷えきった空気を温める、さんさんとした日射しが入り込んでいた。何処からか、小鳥の囀りも聞こえてくる。
いつの間にかとても気持ちの良い、快晴の朝になっていた。

カルセナ「それはそうと、おはようございます魔耶さん〜」

62:なかやっち:2020/03/30(月) 14:29

魔耶「おはよ、カルセナ〜」
ふわぁっ…と大きなあくびをする。
まだ眠い体に冷たい朝の空気が入ってきた。
カルセナ「むぅ…寝っむ…今日はこれからどうする〜?」
魔耶「そうだねぇ…昨日夕方に話してた、ギルドに言ってみようか。お金ないからね〜。情報収集もかねて。」
カルセナ「かしこま〜」

二人で宿から出てくると、
ひまり「あ、二人ともおはよう!ゆっくり休めた?」
という声が聞こえてきた。
魔耶「あ、おはようひまり。おかげさまでゆっくり休むことができたよ。昨日はごめんね〜…」
昨日ひまりと別れたころの気まずい空気を思い出す。
ひまり「ぜんぜん気にしてないよ!しっかり休めたみたいで良かった!」
カルセナ「天使かよ…」
カルセナの一言に、ひまりがクスリと笑う。
ひまり「残念、人間です♪今日はどこへいくつもりなの?」
魔耶「あー、実はひまりが言ってたギルドに入ろうかとね…」
三人でトコトコと歩きながら会話を進める。
ひまり「ギルドに入るの?いいと思うよ!冒険者には一番いい働き口だし、二人ともまあまあ腕がたちそうじゃない」
ははっ…と乾いた笑いをもらす。そこまで腕がたたないなんて言えない…!

63:多々良:2020/03/30(月) 15:03

ひまり「ギルドに入るにはまず、登録を済ませないとね〜」
そう言うと、奥にある受付口の様なものを指差した。
ひまり「あそこにあるカウンター見える?そこで必要な書類を書いて契約すれば良いよ」
魔耶「成る程ね、じゃあ行ってこよっかー」
カウンターに行きまだ契約していない事を伝えると、申請用の書類を差し出された。二人は、近くにある机の上で書類に記入し始めた。
カルセナ「名前と性別......あと生年月日と年齢だってよ。どうする?」
魔耶「まぁそれっぽく書いとけば良いんじゃない?どうせ分かんないだろうし」
そう言って、自分の外見位の年齢と生年月日をを適当に書き込んだ。
魔耶「あとはまぁ色々書いて.....趣味何て書いた?」
カルセナ「ギルドだからそれっぽく、ハンティングアクションゲームって書いたー。てか、趣味の欄要らなくね?」
魔耶「まぁ別に需要があるって訳では無いよね....」
こうして書類を書き終わった後、再びカウンターへ行き提出した。
登録完了後、一通り説明を受けた二人はひまりの元へ戻った。
魔耶「これで依頼受けて、達成出来ればお金の心配は無いかもね〜」
カルセナ「【命の危機がある可能性があります】って言葉を私は聞き逃していないぞ.....」
ひまり「でも、二人は晴れてギルドの一員なんだし、頑張ってね!胸を張って誇れる仕事なんだから!!」
ひまりは二人を前にして、ガッツポーズをする様な身振りを見せた。それに勇気を少し貰えた感じがした。

64:なかやっち:2020/03/30(月) 16:42

魔耶「うーむ、じゃあ簡単そうな依頼探してみようか。今日ご飯代くらいは稼がないとね」
カルセナ「そうだねぇ。あ、あと宿代も必要だ!」
ひまり「あら、宿代は稼ぐ必要はないわよ?」
ひまりが不思議そうな顔をする。
ひまり「ギルドに所属している人は、宿代がタダになる。さっき説明でそう言ってたわ。」
…そんなこといっていたっけ…長かったから後半聞き流してた…
カルセナ「あ、そう言えばそうだったね。じゃあご飯代だけだ。」
カルセナはしっかり聞いていたらしい。
私もしっかり聞いておけば良かった…!

ひまり「最初なんだし、ささっと終わるような仕事にしなさいな。一番簡単な仕事でも、2〜3日分のご飯代にはなると思うわ。」
魔耶「そ、そうなんだ。よし、簡単そうなやつを選ぼう!」
カルセナ「そうだねー。」

三人でクエストボードに近づいていく。クエストボードにはびっしりと依頼状が貼ってあって、選ぶのもたいへんそうだった。
魔耶「…?この依頼状に書いてある、AとかCとかの記号はなに?」
依頼状全てに、E.D.C.B.A.Sのいずれかのアルファベットが赤で書かれていた。ひまりに聞いてみる。
ひまり「あぁ、それは、受けられるクエストのギルドランクね。」
魔耶「ギルドランク?」
ひまり「月に1回ランク昇格試験っていうのがあって、それをクリアするとギルドランクが上がる。あなた達はいま入ったばかりだからEランク。昇格試験をクリアすれば次はDランクになって、ギルドランクDの依頼が受けられるようになるわ。」
まだ首をひねる私に、さらに詳しく教えてくれた。
ひまり「つまり、ギルドランクっていうのは…まぁクエストの難易度だと思えばいいわ。あなた達は今はEランクの難易度のクエストしか受けられないけど、試験を受ければもっと上のクエストを受けられる。」
カルセナ「つまり、今はこのEってかかれてる依頼しか受けられないと…」
カルセナがうんうんとうなずく。
ひまり「そういうこと。ギルドランクが高いほど報酬も豪華になるわ。でも、ギルドランクはSが最高だけど…Sの人はほとんどいないわね〜」
魔耶「?…どうして?」
ひまり「ギルドランクがあがるほど、危険な仕事になるからね。命を脅かしてまでSランクになんてなりたくないんでしょうよ。」
カルセナ「なるほどね〜…」

クエストボードを見つめる。Eランクで簡単そうな依頼…
魔耶「!」
いい感じのものを見つけた。
魔耶「ねぇ、この依頼どうかな」

65:多々良:2020/03/30(月) 19:04

カルセナ「何々〜?」
魔耶「ほら、これこれ」
魔耶が指を指している依頼を見ると、こう書いてあった。
【木の実、きのこ採集 E】
依頼内容を見るに、ある商店からの依頼らしい。成る程、きっと販売物に関係するものだろう。
カルセナ「2ボックス分の納品を達成条件とする.....このボックスってのは何だろう?」
ひまり「このギルドの入口付近に、背負えるような箱が沢山積まれているのを見たでしょ?2ボックス分ってのはつまり、それ箱二箱分ってこと」
カルセナ「なるほどねぇ〜、確かにそれなら簡単そうだし、初めての依頼に丁度良いかも」
魔耶「じゃあこれにしよっか」
ひまり「受ける時はその紙を取って、カウンターに出せばOKよ」
ひまりの説明を聞いて魔耶は、ボードから例の依頼が書かれている紙をひっぺがした。
カルセナ「ちなみに、どこでのお仕事?」
魔耶「んーと、これは森だね....あ、地図が描いてある。どれどれ」
その地図によるとこの街のの反対側、南にある森を示していた。
カルセナ「ん?この森ってもしかして.....」
魔耶「え?あっ......」

66:なかやっち:2020/03/30(月) 20:18

ひまり「…?どうしたの?受けないの?」
魔耶「あ、え、その…」
地図に書かれていた森を、カルセナと魔耶は知っていた。
思い出したくもない…緑色の外骨格をもつ巨大な虫の姿が目に浮かぶ。
ひまり「おーい?」
カルセナ「…いや、あの〜…この森には嫌な思い出がありまして…」
この森で死にかけたのだ、できることなら二度と行きたくない。ひまり「嫌な思い出…?」
カルセナ「実はかくかくしかじかで…」
あの森で起こった出来事をひまりに説明する。

ひまり「えっ、そんなことが…」
魔耶「そうなのよ。だからこの森あんまり行きたくないんだよね…」
はぁ〜とため息をつく。せっかくいいクエストを選んだと思ったのに…と、クエストボードに依頼を戻そうとすると…
ひまり「でも虫なら大丈夫だよ?あいつら夜行性だから。」
ひまりから思いもよらぬ情報が入った。
カル魔耶「!」
ひまり「多分あなた達がその巨大な虫に会ったのは夜中でしょ?昼間は出会わないもの。」
確かに思い返してみると、虫に襲われたのは真夜中だった。
でも…
カルセナ「なんでそんなことがわかるの?」
疑問を口にする。
ひまり「あら、この街では常識みたいなものよ。街の図書館に本もあるし」
…本もあるのか…
今はまだ朝。夜ではない。あの森は結構遠かったが、飛んでいけばそんなにかからないだろう。
カルセナと魔耶は顔を見合わせる。
魔耶「…行ってみる…?」
カルセナ「…覚悟を決めるか。」
こうして、再びあの森に行くことになったのだ。

67:多々良:2020/03/30(月) 22:41


魔耶「それじゃあ、行ってくるね」
ひまり「うん、気を付けてねー。いくら虫が夜行性だからと言え、あの森には危険な動物も沢山いるから」
カルセナ「そう言えば.....まぁ取り敢えず行かないと分からないしね。行ってきまーす」
大きな箱を背負った二人は、ひまりの見送りを後にして例の森へ向かった。
魔耶「とにかく動物には気を付けないとね....」
カルセナ「まー、魔耶なら大丈夫でしょ〜。もしかしたら、近くにニティさんも居るかもしれないし」
魔耶「まず危険な目に遭うかどうかも分からないけどね.....遭わない様に祈ろう」
カルセナ「そうだねー。いやーそれにしても、良いお天気ですな」
視界を遮る雲は無く、これが散歩だったらさぞかし心地の良いものだろう。
魔耶「本当、良い天気〜.....あ、そうだ。その箱に、毒きのこだけは絶対入れないでよ?」
カルセナ「おぉ〜?なかなか難しいぞそれは〜。私が食べたやつならともかく、他は分からんぞ〜?」
魔耶「むぅ.....これ毒きのこ入れちゃったら一発アウトだろうからなぁ.....」
その事を考えた魔耶は顔をしかめて頭を抱えた。
カルセナ「んー大体なら見た目で分かるものは分かんじゃね?多分」
魔耶「ほんと適当だなぁ......そんなんだから、あんな目に遭っちゃったんだよ〜....」
軽く溜め息をつく魔耶を見て、カルセナはむっとした。
カルセナ「あ、言ったな?今度魔耶のご飯に毒盛っといてやろー」
魔耶「やめい!死ぬわそんな事したら!!」
カルセナ「嘘です〜嘘嘘。そんなんする訳ないっしょ〜」
魔耶(こいつ.....やりかねないぞ......。)

そんな雑談をしている内に、目的の森が見えてきた。
やはりいつもと変わらず、木が鬱蒼と生い茂り上空からは確認しづらくなっている。

カルセナ「おっ、見えた見えた、トラウマの森〜♪」
魔耶「最低な名前だな......私らにとっては最適ではあるけどさ....よしっ、じゃあ任務開始かな!!」

68:なかやっち:2020/03/31(火) 10:33

カルセナ「よっと…到着〜」
魔耶「さーて、キノコ&木の実探ししますか〜…」
森の中を散策し始める魔耶とカルセナ。
木々の葉の間から朝の太陽の光が降り注ぐ。まだまだ夜にはならないし、多分虫の心配はないだろう。
そう思ってホッと安心する魔耶だったが…
カルセナ「おっ、これキノコだよ!入れとこ…」
早速カルセナがキノコを発見したらしい。
魔耶「まって、そのキノコ見せて!」
少々心配になってキノコを見せてもらう。カルセナは結構適当だからな…
カルセナ「こーゆーキノコ。大丈夫そうじゃない?」
カルセナが持っていたキノコは青と紫でグラデーションだった。てっぺんは尖っていて、あちこちに棘が生えていた…
いや、これを大丈夫だと思うカルセナの感性が大丈夫じゃない。キノコが自分から「毒あります。食べたら死にます」って言ってるようなものじゃん。こんな★the•dokukinoko☆みたいなキノコ逆に珍しいよ。虫がいないだろうなんて思って安心してた私がバカだったよ。カルセナがいる限り私は安心できないわ。
魔耶「…カルセナは、木の実探して。私がキノコ探すわ。」

69:多々良:2020/03/31(火) 14:41

カルセナ「あ、そう?んじゃあよろしく〜」
魔耶が呆れたかのような表情でそう言ったので、きのこ類は魔耶に任せることにした。
カルセナ「で、このきのこは?」
魔耶「……そこら辺に投げとけ。それ絶対毒きのこだから」
カルセナ「そうだったのか〜…ほいっと」
魔耶の指摘により自分が採ったきのこが毒だと認識したカルセナは、茂みにきのこを投げ、木の実がありそうな場所を探すことにした。
カルセナ「木の実と言ったらやっぱ木に生えてるもんかな?」
そう考えて上を慎重に見ていると、何か赤い実が沢山生っている木を見つけた。
カルセナ(あれ良さそうだな……んーでもまた毒だったらどうしよう…魔耶にばっか頼るのも悪いし………)
カルセナは、魔耶に聞いて安全に採る方法と、自分で食べて確かめる方法で迷っていた。だが、魔耶に迷惑をかけたくないと言う思いが勝り、思い切って食べてみることにした。
魔耶「カルセナ?何やってんの?」
赤い実を一つ採り、何かを考えているカルセナを不審に思い、魔耶が声を掛けた。
カルセナ「多分大丈夫だよね……」
次の瞬間、赤い実はカルセナの口に運ばれた。
魔耶「ちょっ!駄目だって‼」
カルセナ「……うっ」
魔耶は、カルセナが毒きのこを食べ苦しむシーンを思い出した。やっぱり任せてはいけなかったのだろうか。急いでカルセナの元へ駆け寄り、表情を確認した。
魔耶「何やってんの‼?……って」
少し様子が違った。
魔耶「ねぇ、どうしたの…?」

カルセナ「う……うまぁい…」

喜びに満ち溢れているカルセナを見て、ある意味呆れた。
魔耶「ほんっとに、世話の焼けるやつ……。」

70:なかやっち:2020/03/31(火) 15:31

カルセナ「いや、まじでウマイ!桃と梨が合体したような味がする!」
ひとりで感動してはしゃぐカルセナ。おいしいおいしいと言いながら食べ進めている…
魔耶「……ハァ…」
呆れてものも言えない。
もし毒だったらどうするんだ…てかなんで食べた?
すると、私の心を読んだかのようにカルセナが言う。
カルセナ「これが毒かどうか聞いて、また迷惑をかけたくなかったからさ〜」
なるほど…カルセナはこれ以上私に迷惑をかけたくなかったから…毒かどうかを私に聞かずに確かめる方法として、毒味という形をとったのか。
魔耶「いや、仮にそれが毒だったらさ、私に毒かどうか聞くより迷惑かかってたと思うんだけど?」
もしあの木の実が毒だったら、またニティさんのところまで運ばなければ行けなかった。その方が私にとって迷惑だと考えなかったのだろうか…
カルセナ「あ、確かに。」
考えなかったようだ。


魔耶「あ、このキノコ…いけそう。」
気を取り直して採取を進める二人。
カルセナはさっきの赤い木の実をひたすら籠に入れていた。
たくさん実っていたようで、これならカルセナの籠は満タンになるだろうと安心する。
…私はというと……嫌いで、あまり見たくもないキノコを選別していた。
知識がないので、魔族のカンで食べられるかどうかを判断する。たまに食べられそうなのはあったが、ほとんどは危なそうなキノコだ。なかなか籠がいっぱいにならない。
魔耶「う〜…キノコは嫌いなのに…だからと言ってカルセナに任せるのは危険だからなぁ…」
カルセナ「ん?なんかいった?」
どうやら独り言が聞こえたようだ。
魔耶「カルセナさんのキノコの選別センスが絶望的だなって。」
カルセナ「いや〜、そんなふうに言われると…///」
魔耶「褒めてないからね?」

なんて軽口を言いながら黙々と作業を続けること約1時間…私の籠もいっぱいになった。

71:多々良:2020/03/31(火) 16:05

カルセナ「ふう〜疲れた、そっちどう?」
魔耶「うん、何とかいっぱいにはなったけど....毒きのこが混じってたら怖いなぁ.....」
カルセナ「魔耶の感覚で採ったなら大丈夫だってー。私より優れてるんだから」
能天気な事を言うカルセナに魔耶は疑問を抱きながらも、取り敢えずは目的を達成したので帰ることにした。
太陽を見るに、今の時間帯は正午前くらいだった。
魔耶「あーお腹空いたなぁ....今日はどんなご飯が食べられるのかな」
カルセナ「私はさっき木の実食べたから、なから丁度良いんだよね......」
魔耶「だろうねぇ。ご飯楽しみだな〜.......(それにしても何だろう、何か疲れたなぁ.....)」
魔耶は、カルセナにはない謎の疲れが出ていた。きのこを探した疲れは勿論だが、それ以外の疲れ....。
恐らくカルセナに対する呆れから出て来たものだろうと推測した。
カルセナ「....どした?大丈夫?」
魔耶「あ、う、うん別に大丈夫....」

(そんな訳無いか。そうだよね....。)

こんな事を考えつつ、街にあるギルドへと向かった。

72:なかやっち:2020/03/31(火) 17:04

魔耶「う、ん?あれっ…」
街に向かって飛んでいると、最初はそんなことなかったのに…いきなりうまく飛べなくなった。真っ直ぐ飛ぼうとしても、右へ左へと勝手に違う方向に飛んでしまう。
疲れのせいかと思ったが、飛べなくなるほど疲れることはしていない…はず…
魔耶「ぐっ……!」
なんとか真っ直ぐ飛ぼうとするが、意識すればするほど翼は言うことをきかなくなっていく。

と、突然、魔耶の翼がまったく動かなくなってしまった。
魔耶「‼」
さっきまでは思い通りにはいかなくとも、一応動いてはいた。なのに今はピクリとも動かない。翼が動かなければ空は飛べない…!魔耶は下へ下へと落ちていく。
魔耶「…うぁっ!…カ、カルセナっ…!」
友に助けを求めるが、カルセナは私より前にいる。カルセナのほうが飛ぶスピードが遅いため、魔耶がカルセナに合わせるために前にいってもらっていたのだ。
それに、いまは急いで帰ってご飯を食べようと、スピードを出して飛んでいるときだった。風の音で私の声なんて聞こえないだろうーー


そんなことを考えていたら、地面に衝突した。
ドンッという強い衝撃が背中から伝わる。衝撃で一瞬息ができなかった。
魔耶「がっ、がはっ…げほっ…!………いっ…!」
痛みを感じて背中を抑える。骨にヒビでもの入っただろうか。
魔耶「…ハァ………カル、セ………」
…そこで私の意識は途絶えてしまった。

73:なかやっち 訂正:2020/03/31(火) 17:08

×ヒビでもの
⚪ヒビでも

74:多々良:2020/03/31(火) 18:44

カルセナ「ふぃ〜、やっと街見えてきたねー。これを納品すれば良いんだよね?」
街が見えてきた為、地面に降りようと速度を緩める。
カルセナ「いやーお疲れ様〜、ご飯ほんとに楽しみだねぇ」
積極的に魔耶に魔耶に問い掛ける。だが魔耶の反応が無い。
カルセナ「ちょっと無視しんといて?確かに、不意に迷惑掛けようとしたのは悪かったです、すみませんでした〜.....」
平謝りをしながら後ろを振り替えった。そこには居る筈の魔耶の姿は無かった。
カルセナ「あれ....魔耶.......?」
さっきまで後ろを着いてきていた魔耶が突然居なくなっていたことに戸惑いを隠せなかった。
カルセナ「.....怒って先に街行ったのかな.......」
探しに戻ったとしても、何処に行ったのか分からない。第一、どこで居なくなったのかすら知らない。カルセナはひとまず街へ戻る事にした。街にはひまりとみおが居る。きっとどちらかに会っている筈だ。そう思ってー。

ひまり「魔耶?さー知らない......みお見た?」
みお「見てない....」
ひまり「て言うか、二人で依頼受けにいったじゃん。森では一緒じゃなかったの?」
カルセナ「いやー森では二人で行動してたけど......いつの間にか居なくて」
ひまり「おかしい....それ絶対おかしいわよ、何かあったんじゃないの?」
そう言われても、心当たりが無い。ちょっと気まずい雰囲気になったとは言え、帰りは一緒に飛んでいたが、何にしろ前後別れて飛んでいたものだ。何かあったのでは、と言われても分かる筈が無い。同時に胸騒ぎがしてきた。先導する者が居なくなったからなのか、ただ単に魔耶が心配になったからなのか。大体の答えは後者だったが、もしかしたら前者も少し混ざっていたのかもしれない。

カルセナ(どうしよう......魔耶、どこに居るの?)

75:多々良:2020/03/31(火) 18:45

訂正、魔耶に×2→魔耶に×1

76:なかやっち:2020/03/31(火) 22:30

魔耶「………うっ…」
目を開けてみる。景色がぼんやりと霞んでみえた。
…体が…特に背中が、痛い。ずきずきと一定間隔で痛む。なんでこんなに背中が痛いんだろ…
少しだけ体を起こしてみようとしたが、体がピクリとも動かない。唯一動かせた頭だけ起こしてまわりを見渡してみる。
魔耶「ここは…草原…?」
なぜ自分は草原で寝ているのか、なぜカルセナが居ないのか…思い出すのに時間がかかった。
1分ほど考えてハッとする。
(そうだ、私は飛んでいて、途中で飛べなくなって地面に落ちて…)
そして、今に至るのだ。
…どれくらい、気絶していたのだろう。
どれくらい気を失っていたのか確認するために、限界まで頭を上にあげる。
太陽が私の真上でひかりを降り注いでいた。今はお昼時だろうか。だとすると、私は3〜4時間ほど気絶していたのか…?
魔耶「あっ…くぅっ…!」
限界まで頭をあげたせいで、背中がズキィと痛んだ。
魔耶「…どうしよ…」
体は動かせない、体に負担をかける大声や能力も使えない。
魔耶は、今自分が、恐らく人生で最大のピンチを迎えているのだと気がついた。
魔耶「え、やばくね…?」

77:多々良:2020/03/31(火) 23:28

カルセナ(この街に居ないんだったら....元来た道を探すしかない....!!絶対見つけてやるんだからね、魔耶....!!)  「ちょっと戻って捜してくる!!」
ひまり「え、ちょっ、ねぇ!!この木の実は!!?」
カルセナ「どこか端っこに寄せといて!!」
そう言って、脇目も振らずにその場を飛び立った。魔耶を捜しに行く為に。

ーそう、「その場」で「飛び立った」のだ。

ひまり「......ッ!!飛んだっ.......!!?」
みお「......!!!」
驚いたのはひまりとみおだけではなかった。周りの町人達もその光景を見て驚き、辺りは一気にざわつき始めた。後の事を考えないのが、カルセナの悪い癖だった。だが、そんな事も気に掛けず、カルセナは魔耶を見つけ出す為に空腹の体で、全速力で捜しに向かった。

カルセナ「魔耶が動いてなければ、そこにいる可能性があるのは....ここのルートな筈!」
何故居なくなったのかは分からないが、魔耶は何も言わずにわざと姿を消す様なやつでは無いことだけは分かっている。少し街から離れた地点から、大声で叫び始めた。

カルセナ「「 魔耶ーー!!!どこーーー!!? 」」

いつもは絶対に出さない、声が通らないカルセナにとっての本気の大声だった。
この大声を頼りにして、凶暴な飛竜が襲って来たって怖くない。
普段大声を出さなかったせいで喉が壊れたって構わない。
一番嫌なのは、この声に魔耶が反応してくれない事。二度と、会えなくなってしまう事。
それほどに、カルセナは魔耶の姿を求めていたのだ。
その眼に宿った光は、困ってしまった時に役立つ道具を探すかの様なものではなく、一緒にこの世界で生き抜いて行く、大事な大事な相棒を捜すものへと変わり果てていた。

魔耶は何処に居るのだろうか。無事で居てくれているのだろうか。
色々な想いを胸に抱き、見つけるまで捜し続けると言う事を自分自身に強く誓った。


カルセナ「絶対、ぜったい無事でいてよね......!!魔耶.....!!」

78:なかやっち:2020/04/01(水) 08:29

魔耶「……カル…?」
遠くからカルセナの声が聞こえたような気がした。
だが、あくまで気がしただけ。
もしかしたら、自分が助けを求めるあまり、勝手に幻聴をつくりだしてしまったのかもしれない。

(…助けを、求めるあまり…?)
…私は、無意識のうちに人に助けを求めていたことに気がついた。
もとの世界では、私は独り暮らしだった。だから自分のことは自分でやらなければいけなかった。けがをしたって、動物を狩ることだって、全部、自分で…。
でも、今は…?
ひとり動けず、他人に助けを求めているではないか。
確かにいまは危機的状況だが、自分で解決しなければ…!
他人に頼ってはいけない…自分で…!
(でも、体はまったく動かないし…どうすれば…)
言うことをきかない体を無理やり動かそうとジタバタしている魔耶。

ーと、こんどは幻聴ではない…!そうはっきり言い切れる、彼女の声が聞こえた。姿は見えないけど、声は聞こえる。
その声がどんなに暖かくて、優しくて、ぬくもりのある声に感じただろうか。
彼女の声を聞いただけで、少し体に力が湧いてくる。
そして、自分で解決!なんて言っていたのはどこへやら、
気がついたら大声で叫んでいた。
魔耶「カルセナ〜!!」
大声をあげて、背中がミシミシと音をたてたけど、構わない。
とにかくカルセナに、私の声が届いてほしかった。

79:多々良:2020/04/01(水) 12:03

カルセナ「魔耶ーー!!!」
大声で名前を呼んでは耳を澄ます、という行為を繰り返している内に、ある不安が頭を過った。
カルセナ(もしも魔耶が気絶してたり、声を出せない状況だったらどうしよう.....)
家の姉妹の中でもカルセナは、視力と聴力だけはずば抜けて良い方だった。しかし、もし魔耶が洞窟や森の中で倒れていたりしたら見つけようが無い。第一、このルートに居るのかどうかすらも怪しい。魔耶の姿が見えなくなる時間が増える毎に、カルセナが抱く不安も増えていった。
だが、その不安を切り裂くかの様な、助けを求める小さな声をカルセナは聞き逃さなかった。

???「「 ......!! 」」

カルセナ「....ッ!!魔耶!!?」
確かに聞こえた。この私に、迷惑を掛けてしまいそうな私なんかに助けを求めてくれる、優しい魔耶の声が。でも、その声はどこか苦しそうなものだった。
カルセナ「やっぱり何か怪我とかしてるんだ....!!魔耶ぁーー!!!どこに居るのーーー!!?」
声が聞こえる、と言うことはかなり近くに居ると言う証拠だ。残りの体力を全力で消費するかの様な勢いで、魔耶の姿を懸命に捜す。
声に導かれた先は、広い草原だった。大きな岩山を越え、いきなり開けた視界に少し耽ってしまったが、声の主はここに居る筈。と思い草原を一望すると、何やら青い影が見える。近付きながら目を凝らす。外見は世間で言う少女、茶髪の上から青い猫耳の付いた帽子を被り、背中には今は元気の無い、それでも尚且つ、威風堂々とした闇を纏ったかの様な羽。
見間違えようとしても見間違えられない。正真正銘、その姿はーー。

カルセナ「.......魔耶ぁっ!!!」

80:なかやっち:2020/04/01(水) 13:30

魔耶「カル、セ……げほっ。げほっ!」
息が苦しくなってげほげほと咳き込んでしまった。大声を出したせいで喉が痛い。おまけに背中もずきずきと痛む。
…私の声は、カルセナに届いただろうか。
届いていなかったら…という不安がちらりとよぎる。
姿が見えないのだ。それだけ遠くにいるということだろう。
いや、声が聞こえたなら近くにいるのか…?
…わからない。頭がうまくまわらない。考えがまとまらない…
魔耶「カルセナ…っはぁ…はぁ…」
あたりの景色がぼんやりと霞み始めた。
唯一動かせていた頭も重くなっていく。
また気絶してしまうのか…?カルセナには声が届かなかったのか…?

あきらめてだんだん重くなっていく体に身を委ねようとした、そのとき。
霞んだ目に、この草原にはない色がみえた。
草原の黄緑色ではない。まったく違う色……黄色と水色。
その色は動いているようで、ヨロヨロと私に近づいてくる。
私は、その色に見覚えがあった。黄色と水色の帽子がトレードマークの彼女の姿が思い浮かぶ。
ずっと待ってた人。私にとって大事な人。
カルセナ「………魔耶ぁっ!!!」
魔耶「カルセナぁ…」

81:多々良:2020/04/01(水) 15:17

魔耶を見つけた瞬間の気持ちは、具体的に言葉では言い表せなかった。今すぐにでも言葉を交わして喜び合いたい。だが、歓喜に浸っている時間はどうやら無さそうだった。
魔耶「うぅ.....あ......」
殆ど動かず気絶しているかの様で、普段の様子とは見違える程に弱っていることはカルセナにも分かった。
カルセナ「魔耶っ!!どうしたの!!?....うぅん、聞いてる時間は無いよね....急いで街に行って診て貰わないと!!」
そう言って、魔耶をそっと背中に背負った。
カルセナ「少し辛いかもしれないけど.....我慢してね....!!」
そして、その場から飛び立ち再び街に戻った。近くのニティの所へ行っても良かったのだが、原因が分からない怪我なら病院へ行った方が確実だと思ったからだ。
飛ぶ時の重心が更に加わるので、何度も体の力を緩めて魔耶を落としそうになった。それでも何とか、街が見える距離まで戻って来る事が出来た。
カルセナ(今度は絶対....私が魔耶を助けるんだ....!!)
街に入る門の上を通り越し、時計台の下にゆっくり着地した。
辺りには騒然とし、一定の距離を置いてこちらを見る人達が沢山居た。きっと、カルセナが魔耶を捜しに行く際に飛び立った事がどんどん人々の間に流れ、一目見ようと集まって来たのだろう。そして今、背負っている魔耶の背中から羽が生えているのを見て、ますます騒がしくなった。その中で、カルセナは言葉を発した。
カルセナ「誰か....病院へ案内してくれませんか!?友達が危ないんです....!!」
それを聞いた人々は、一気に静まり返った。だが、案内すると名乗り出る者は出て来なかった。寧ろ二人を警戒しているかの様にも見えた。
魔耶「うっ.....ゲホッ、ゲホッ....!!」
カルセナ「魔耶.....!.......ッ!!お願いします!!誰か......ッ」
視線とプレッシャーに耐えきれず、それ以上言葉が出なかった。

ーもう良い、自分で探そう。病院を見つけて、それで診て貰えなかったとしてもーー私がどうにかしてやる。

そう考え、再び飛ぼうと足を曲げた時。

「「 病院はこっちよ!着いてきて!! 」」

良く見覚えのある少女が二人、そのうちの一人が声を上げた。

82:なかやっち:2020/04/01(水) 16:01

魔耶「ん…うぅん…?」
重い瞼を開けると、薄暗い、真っ白な天井が映った。
体の上に白い布団がかけられている。私は今、ベッドで仰向けになっているようだ。
背中になにか巻かれているのだろう、背中に違和感があったが、痛くはない。

そっと体を起こしてみる。すると、私の隣にカルセナがいるのを見つけた。私が寝ていた布団の上で、腕を枕にしてスゥスゥと眠ってしまっている。
魔耶「…ここは…?」
暗くてよく見えないが、白い壁、床、布団、ベッド。
病室のようだ。では、ここは病院…?
ひまり「あら、おはよう。」
魔耶「ひまり…?」
あたりが暗くて気がつかなかった。
魔耶「…ハッ!」
いままで気にしていなかったが、私はいま翼を出している!
ひまりにみられただろうか。慌ててごまかそうとする。
魔耶「あ、この翼はね、外国のオシャレで…」
ひまり「アハハッ。大丈夫よ、事情はカルセナから聞いたわ」
私の必死なごまかしをみてケラケラと笑うひまり。
魔耶「え…聞いたの…?どこまで…?」
ひまり「全部よ。あなたたちが異世界からきて、どんなことがあった、とかね」
魔耶「じゃあ、私の種族も…?」
ひまり「えぇ、魔族でしょう?」
魔耶「…正解…」
カルセナはすべてを話してしまったのか…
魔耶「…私が、怖くないの…?」
カルセナはすぐに受け入れてくれたが、ひまりは人間。
私みたいな化け物に対して恐怖心を抱いているハズ…
だが、私のそんな考えはみごとに打ち砕かれた。
ひまり「なんで怖がらなきゃいけないのよ…あなたが魔族なのはショックだったけど、あなたの性格はもう知ってるわ。あなたみたいな人…いや、魔族か…が私を襲ったりしないでしょう?だったら、怖がる必要なんてないわ」
…ひまりは思ってたより肝が座っているようだ…。
と、カルセナがもぞもぞと動き出した。

83:多々良:2020/04/01(水) 17:39

カルセナ「う〜....」
伏せていた体をゆっくりと起こして目を擦り、ぼやける視界に映る人物に目をやる。
カルセナ「....魔耶?.....あ〜魔耶、魔耶だー.....」
名前を何度も呼んで確認する。その様子は寝惚けている様に見えたし、自分にとって大事な人が元気を取り戻した事に喜んでいる様にも見えた。
ひまり「ちょっとちょっと、しっかり起きて話しなさいよ」
ぽや〜んとしているカルセナの頬を、ひまりがぺしぺしと軽く叩く。
魔耶「良いよ、無理に起こさなくても」
ひまり「駄目よそんなの、せっかくちゃんと喋れる時なんだから〜」
カルセナ「ん〜....ちょ、痛い痛い....。.....あっ!!魔耶っ!!!大丈夫!?」
はっ、と目が覚めたカルセナは改めて魔耶の起きている姿を見て、大丈夫か問い掛けた。
魔耶「うん、今は平気だよ。おはよ」
カルセナ「あっ、おはようございます........そーか、それは良かったぁ」
魔耶「ここまで運んでくれたのってカルセナでしょ?....ありがとね」
カルセナ「はぁ、いやいやそんな、滅相も無い.....」
急にお礼を言われて少し照れ臭くなった。少し視線を逸らす。
魔耶「....話したんだね、全部」
カルセナ「うん.......何か....嫌だった?」
魔耶「いーや、別に?逆に隠す事も無くなって、ちょっとスッキリした感じもするし....」
ひまり「他の皆は少し警戒しちゃうかもしれないけど....私達がしっかり説得しとくから、安心して」
魔耶「ありがとう、ひまり」
魔耶は視線をひまりから窓の外へと移した。結構時間が経ってしまったらしく、空は暗いが、それに負けじと街の灯りが輝いている。
少し雲がかかってはいるが、煌々とした満月はそれをも打ち消す程に綺麗だった。
再び魔耶は、窓の外から今度はカルセナに視線を送った。カルセナと目が合う。
魔耶「....カルセナ」
カルセナ「はいはい?」
はぁ、と一息吐いて、魔耶が言葉を口に出す。


魔耶「.....寝跡めっちゃ付いてる....」


カルセナ「.....へっ?」

魔耶の指摘にきょとんとしたカルセナを見て、ひまりは隣で軽く吹き出し、面白可笑しそうに笑った。

魔耶(どうなっても、世話が焼けるんだなぁこの人は....)

そんな事を考えていた魔耶だったが、急に自分達が受けていた依頼内容が頭を過った。

84:多々良:2020/04/01(水) 17:39

カルセナ「う〜....」
伏せていた体をゆっくりと起こして目を擦り、ぼやける視界に映る人物に目をやる。
カルセナ「....魔耶?.....あ〜魔耶、魔耶だー.....」
名前を何度も呼んで確認する。その様子は寝惚けている様に見えたし、自分にとって大事な人が元気を取り戻した事に喜んでいる様にも見えた。
ひまり「ちょっとちょっと、しっかり起きて話しなさいよ」
ぽや〜んとしているカルセナの頬を、ひまりがぺしぺしと軽く叩く。
魔耶「良いよ、無理に起こさなくても」
ひまり「駄目よそんなの、せっかくちゃんと喋れる時なんだから〜」
カルセナ「ん〜....ちょ、痛い痛い....。.....あっ!!魔耶っ!!!大丈夫!?」
はっ、と目が覚めたカルセナは改めて魔耶の起きている姿を見て、大丈夫か問い掛けた。
魔耶「うん、今は平気だよ。おはよ」
カルセナ「あっ、おはようございます........そーか、それは良かったぁ」
魔耶「ここまで運んでくれたのってカルセナでしょ?....ありがとね」
カルセナ「はぁ、いやいやそんな、滅相も無い.....」
急にお礼を言われて少し照れ臭くなった。少し視線を逸らす。
魔耶「....話したんだね、全部」
カルセナ「うん.......何か....嫌だった?」
魔耶「いーや、別に?逆に隠す事も無くなって、ちょっとスッキリした感じもするし....」
ひまり「他の皆は少し警戒しちゃうかもしれないけど....私達がしっかり説得しとくから、安心して」
魔耶「ありがとう、ひまり」
魔耶は視線をひまりから窓の外へと移した。結構時間が経ってしまったらしく、空は暗いが、それに負けじと街の灯りが輝いている。
少し雲がかかってはいるが、煌々とした満月はそれをも打ち消す程に綺麗だった。
再び魔耶は、窓の外から今度はカルセナに視線を送った。カルセナと目が合う。
魔耶「....カルセナ」
カルセナ「はいはい?」
はぁ、と一息吐いて、魔耶が言葉を口に出す。


魔耶「.....寝跡めっちゃ付いてる....」


カルセナ「.....へっ?」

魔耶の指摘にきょとんとしたカルセナを見て、ひまりは隣で軽く吹き出し、面白可笑しそうに笑った。

魔耶(どうなっても、世話が焼けるんだなぁこの人は....)

そんな事を考えていた魔耶だったが、急に自分達が受けていた依頼内容が頭を過った。

85:多々良 hoge:2020/04/01(水) 17:39

【二回書いちゃった....】

86:なかやっち:2020/04/01(水) 17:51

[ドンマイw]

87:なかやっち:2020/04/01(水) 18:12

魔耶「そうだ!受けてた依頼は…?」
カルセナ「あぁ、それね。大丈夫クリアしといたよ。」
カルセナの言葉を聞いてホッと一安心する魔耶。
魔耶「よかったぁ。毒キノコも混ざってなかったのかな。」
カルセナ「あぁ、それね…」
複雑そうな顔をして斜め下に視線をおとすカルセナ。
魔耶「え…?なに、どうしたの…?もしかして、混ざってた…?」
カルセナの顔を見て不安になる魔耶。
ところが、カルセナが発した一言で、不安が驚きに変わった。
カルセナ「あのキノコの中に超高級なキノコが入っててさ。依頼人がものすごく喜んでたって。私の集めてた赤い木の実もレアものだったらしいよ。」
魔耶「…え?はぁぁ!?」
思わず大声を出してしまった。通りかかったナースから嫌な顔をされたが、驚きで気にもとめなかった。
ひまり「いや〜、まさかあのキノコと木の実を採ってくるとはね。私も中身をみて驚いたわ」
魔耶「え、そんなに凄いの…?」
ひまりがクスリと笑う。
ひまり「あなたが採ってきたキノコは、あの森で採れるのは10年に一度だと言われてるわ。木の実は8、9年に一度くらいかしらね〜」
魔耶「えええっ!!そ、そんなに凄いやつ採ってきちゃったのか…」
またもや驚きの声をあげる。
偶然とはいえ、そんなことあるのだろうか…
カルセナ「まぁ、うちらの運が良すぎたんだね!」
カルセナが元気にそう言うが、ひまりの言葉に私もカルセナも納得せざるをえなかった。
ひまり「いや、いままでの運が悪すぎたから、ようやく幸運が訪れたんでしょ。プラマイ0ってこと。」
カル魔耶「な、なるほど…!」

88:匿名希望:2020/04/01(水) 19:35

カルセナ「そのお陰で報酬も少し多めに貰えたんだー」
そう言って胸ポケットから銀色に輝く硬貨を取り出して魔耶に渡して見せた。
その硬貨は、ちょっと前に魔耶が作ってみせた硬貨より一回り大きく、何かの模様が彫られていた。
魔耶「へぇー、まるで外国のお金みたいだね」
カルセナ「何か、この世界共通で使ってるお金なんだってさ」
ひまり「そうなの、便利でしょ?あ、あと魔耶の報酬は、この街の銀行口座に入ってるからね」
思い出したかの様に通帳を取り出して、魔耶に渡した。
魔耶「あぁ、ありがとう」
ひまり「それと、魔耶の怪我の現状なんだけど....背骨が圧迫骨折しそうになってたそうよ」
魔耶「うぅ....だから羽が動かなかったのか.....」
カルセナ「で、それいつ治るの?早く治って欲しいけど.....」
ひまり「通常なら3〜4週間で、骨が形成され始めるそうよ。早くても2週間は掛かるって言われたわ....」
魔耶「2週間かぁ....どうしようかな......」
少し凹む魔耶を見て、カルセナは心配した。
カルセナ「....でもそれって人間の骨折の場合でしょ?魔耶は魔族なんだし、もしかしたら回復スピードは普通の人間とは違うかもよ?」
ひまり「確かに....それは一理ある。でも、ここの病院じゃ魔族のデータなんて無いから分からないわよ。だから、そうである事を祈るしかないわね」
カルセナ「うー....早く治ると良いねー......」
魔耶「そうだねぇ.....」

ふと時計を見ると、夜の八時を回っていた。
ひまり「おっと、もうこんな時間....ごめん、私そろそろ帰らないと」
魔耶「うん、今日はお世話になったよ、ありがとう」
カルセナ「またね、ばいばーい」
ひまり「良いのよ、じゃあお先に失礼するわ。お大事にね」
そう言って、ひまりは病室を後にした。

89:多々良 hoge:2020/04/01(水) 19:36

【匿名になったぁぁぁ!!駄目だああぁ今日】

90:なかやっち:2020/04/01(水) 19:49

[誰だ貴様あぁぁー!!!!嘘ドンマイ!!]

91:なかやっち:2020/04/01(水) 20:16

魔耶「さて、どうしよう。あんまり動かない方がいいよね…でもお腹すいた。」
魔耶のお腹がぐぅ〜っと鳴った。朝から食べてないうえに飛んだり怪我したりでカロリーを消費したのだ、無理もない。
カルセナ「あ、じゃあなんか買ってきてあげるよ。なにがいい?」
魔耶「まじ?まぁ食べれたらなんでも…あ、キノコと苦いもの、辛いもの以外でお願いします。」
カルセナ「苦いものと辛いものも嫌いなのか……もしかして、お子様舌?」
カルセナのその一言にギクリとする。
…図星だった。
魔耶「…その通り…。」
ガックリと肩をおとす。
カルセナ「あははっ!じゃあそれ以外のなんか買ってくるね〜。飛んだり暴れたりするなよ〜」
魔耶「しないわ。」
カルセナの一言に真面目にツッコミを入れる。
カルセナは私のツッコミに笑いながら病室をあとにしていった。
魔耶「…はぁ。まさか地面に落ちるとは。いままでの人生で初めての経験だったよ。」
ひとりきりになった病室で呟く。
魔耶の人生の中で初めてのことというのは珍しかった。
大抵のことは300年も生きていれば経験できるからである。
魔耶「……まさか、もう飛べなくなるなんてこと…ないよね?」
少し不安になってきた。
いままで飛べなくなったことなんて一度もない。
人間の感覚で例えると、いままで歩いていたら急に歩けなくなったようなものだ。
考えれば考えれるほど不安になってくる。
魔耶「…ちょっとだけなら、いいよね…?」
ベッドから降り、足で床を蹴ってみると…
[ふわり。]
魔耶「あぁ、よかった。ちゃんと飛べる…」
ホッと安心のため息をつく。
カルセナ「……暴れたり飛んだりするなって言ったような気がするんだけど…」
いつの間にかカルセナが病室のドアをあけて、中を覗きこんでいた。
魔耶「えっ、カルセナ!?は、速すぎない!?」
顔を赤らめて彼女の方を見る。
「しないわ」なんて真面目に返していた自分を思い出して恥ずかしくなってきた。
カルセナ「いや、外に出たらめっちゃ人がいてさ。魔族をみてみたい〜だとか、飛んでるとこ見せて〜だとか言ってて、まったく店に行けそうになかったから帰ってきたのよ。」

92:多々良:2020/04/01(水) 21:00

魔耶「あ〜成る程ね、てかひまり達の説得力半端無いなー」
そっと窓の外を見る。確かにカルセナの言った通り、いつもは人通りが少ない筈のこの時間帯に沢山の人がいる。
カルセナ「全く、見せ物じゃないっつーのって思ったよね〜。んで、何で飛んでたのよ貴女」
魔耶「いや〜....何か、飛べなくなったらやだなぁーって思って....」
カルセナ「そんな理由か、流石にんな事ないでしょ〜。てかご飯どーしよっかな....」
病院の中に売店はあるが、とてもこじんまりとしたものだったのであまり良いものは無かった。だから外で買って来たかったのだが、あんなに人集られては買える物も買えない。

カルセナ「.....と言うことで、院内の売店のパンとかでいっすか?いくつか買ってくるからさー」
とてもお腹が空いていたが、それならば仕方無い。第一、買って来て貰う立場として文句は言えない。
魔耶「うん、別に良いよー」
カルセナ「ほんじゃー再度行って来ますわ。また暴れんなよー?」
魔耶「さっきも暴れてないわ。」
再びカルセナが出て行き、ドアのパタン、という音がした瞬間にまた病室は静まり返った。
魔耶「.......魔族を見てみたいなんて、人間に言われるなんてね〜....不思議な感じだ....」
安静にしてろと言われて暇なので、仕方無く魔耶はぼーっと窓の外を見ていた。最初は病院の前に沢山人が居たが、時間が経つと少しずつ減っていき、遂に誰の影も見えなくなった。

カルセナ「たっだいまー!!さぁ土産だ受け取れ〜!!」
病室に入って来ると、紙袋の中からパンを2つ程取り出し魔耶に投げつけた。
魔耶「ちょっ....!!食い物を投げるなバカー!!」
カルセナ「うむ、元気そうで何よりだ☆」
やれやれ....と思いつつ受け取ったパンを見てみた。一つはチョココロネの様なもの、もう一つは卵サンドだった。
カルセナ「全然無いだろうなーとか思ったら以外とあって良かったわ〜。それよりも廊下がめっちゃ暗くて怖かったぁ....」
そう伝えながら、カルセナも自分のパンを取り出して食べ始めた。
いつになったら浮幽霊の怖がりは治るのだろうか....と考えつつ、魔耶も卵サンドを食べ始めた。

カルセナ「はいこれ飲み物。んー....多分お茶だね」
魔耶「いや分からないの買って来んな〜....苦かったらどうするのさ」
カルセナ「まぁまぁ、何だっけ?毒薬変じて薬となるって言うしさ、大丈夫!!」
そう言うとカルセナは魔耶の前でグッドサインをして見せた。
魔耶「めっちゃ苦かったらお前の顔に掛けたるからな?」
冗談半分で言ったは良いが、どちらにせよ苦いのは嫌だ。苦くないお茶でありますように....。

93:多々良 hoge:2020/04/01(水) 21:03

【人集られては→人に集られては】

(こうして多々良は読み直しを今度からすることを誓った....)

94:なかやっち:2020/04/01(水) 21:41

恐る恐る一口飲んでみる。
魔耶「…うっ…!?」
カルセナ「…!?魔耶!?」
魔耶がぶるぶるとふるれながら俯いた。
苦かったのだろうか。それとも不味かった…!?
魔耶「…うまい。」
カルセナ「殴っていい?」
つい本音がこぼれた。
魔耶「へへっ、いつかのお返しだよ〜だ!それにしても、この飲み物おいしいなぁ。ちょっと酸っぱいレモン水、的な。」
カルセナ「まぁ、そんなに美味しかったならよかったよ」
はぁとため息をつく。魔耶も私があの木の実を食べたときはこんな気持ちになったのだろうか。
…こういうイタズラは、控えよう。心に誓うカルセナだった。

魔耶「はぁ、まあまあお腹はふくれたかな。」
カルセナ「ならよかったよ。調子はどう?」
少し腕をまわしたり、翼をいじったりしてみる魔耶。
魔耶「大丈夫そう。背中もいたくないし。」
カルセナ「そう。よかったぁ〜…」
魔耶「いやー、まだこの世界に来て3日?4日?くらいしかたってないのに、毎日なにかしらのトラブルに合ってるね〜」
この世界で起きた出来事を振り返ってみる。
カルセナ「そうだねぇ。最初のトラブルは私がドラゴンに襲われたやつだね〜」
魔耶「呑気にいわないでよ、ほんとにぎりぎりで…」
カルセナ「……?」
魔耶「……!……?」
そのあとはひたすらカルセナと話こんだ。


〜5日後〜
魔耶「ふー。治った!快調快調!」
私の骨の様子を医者に診てもらい、無事に退院することができた。
カルセナ「お医者さん驚いてたね。こんなに早く治るとは〜って!」
医者の反応を思い出して二人で笑う。
魔耶「あははっ、魔族はすごいって思われたかな?」
カルセナ「そうだろうねぇ〜」
人間なら2週間は必要な怪我をたった5日で治したのだ、そんな反応にはなるだろうけど…やっぱり面白かった。
魔耶「さぁ、4日もおとなしくしてて体が鈍ってるんだ。クエストでも受けよう!」
カルセナ「いいね〜!私も暇してたんだ!」
二人で話ながらギルドに向かって歩き始めた。

95:なかやっち hoge:2020/04/01(水) 21:43

[ふるれながらじゃなくてふるえながらです。]
私もしっかりよみなおししよう…!と心に誓うやっちであった。

96:多々良:2020/04/01(水) 22:47

町人「やぁ元気かい、魔耶さん?」
魔耶「あ、こんにちはー」
町人「なぁ、魔族ってのは何か特別な力があったりするのか?あるんだったらちょっと見せてくれよ〜」
魔耶「いや〜....今は忙しいので....すみません、失礼します〜....」
ひまり達が街全体に説得してくれたお陰で警戒はされなくなったが、飛んでいる姿や能力を見ようと、今度は色んな人が集まって来るようになってしまった。
カルセナ「おぉ〜、魔耶さん有名人じゃないすかー」
魔耶「振り切るのが面倒臭いから、その面で捉えると嫌だよ?てか、カルセナには何で来ないの?人間じゃないのに....」
カルセナ「ん?あぁ、だって私の「種族」は言ってないもん。見た目はほぼ人間に等しいしね〜」
魔耶「なっ....貴様....!自分の種族を隠して人様の種族をさらけ出したんか.....!!」
カルセナ「はっはー、人生言ったもん勝ちだからねぇ〜」
それを聞いて、魔耶はピクリと体を動かした。
魔耶「ふぅ〜ん、言ったもん勝ちねぇ.......」
カルセナ「?....何だよ?」
何故かニヤニヤしている魔耶を見てカルセナは不審に思った。
次の瞬間、魔耶は大きな声で叫んだ。

魔耶「「 すみませーん!!この人ー、人間じゃ無くて幽霊でーす!!正真正銘の浮幽霊でーーす!!! 」」

カルセナ「何ィーーーッ!!?」
魔耶の大声に耳を傾けた町人らは、付き人のカルセナが浮幽霊だという事を知りざわつき始めた。
いきなりのカミングアウトに、カルセナは動揺を隠せなかった。
カルセナ「ちょちょ、魔耶さん?ご乱心ですか!!」
魔耶「私は事実を言っただけだよ?人生言ったもん勝ち、って言うからね〜☆」
やられた。完っ全に、やられた。やっぱり魔耶は魔耶だ。
カルセナ「〜〜ッ.....早くギルド行きましょう魔耶サン.....」
魔耶「はいはい♪」
今までより急ぎ足になって、ギルドへ向かった。

カルセナ「ふぃ〜.....全く、ビックリしたなぁもう.......」
魔耶「それより、何か良い依頼あるかな〜?」
自分達のランクに合った、達成出来そうな依頼を、いつ見ても依頼状だらけのボードからじっくりと探す。
???「貴女達、こう言うのはどうかしら?」
不意に背後から声を掛けられる。声の主は毎度お馴染み、ひまりだった。何やら依頼状らしき紙を持っている。
カルセナ「あ、ひまりだ。おはよー」
ひまり「おはよう。魔耶が無事に退院出来て良かったわ」
魔耶「お陰様でこの通りだよー。で、どうしたの?」
ひまりは持っている紙を二人に見せた。
ひまり「そうそう、さっき貼って来てってお願いされたんだけどね。空を飛べる貴女達だからこそ、受けやすい依頼なんじゃないかって思って」

97:なかやっち:2020/04/01(水) 23:19

魔耶「空を飛べるから受けやすい仕事?どれどれ…」
ひまりが持っている依頼状をジーっと見つめる。
カルセナ「…荷物配達…お願いします…?」
カルセナが依頼状を軽く読み上げる。
ひまり「そうそう!街のお婆ちゃんからの依頼なんだけど、重い荷物を運ぶのが大変だから代わりに運んでくれっていう依頼だね。あなたたちは空を飛べるから歩いて持っていくより楽だろうし、街の人たちもあなた達の飛んでる姿が見られるじゃない♪」
魔耶「…街の人たちが喜ぶのはいいけど、飛んでる姿みて騒がれるのも嫌だなぁ…」
自分が飛ぶ姿をみてわいわいと騒ぐ人々が目に浮かぶ。
ひまり「まぁまぁ、そういわずにさ。街の人たちも一度飛んでる姿みれば満足するんじゃない?」
カルセナ「…まぁ、一利あるかな…?」
魔耶「いやいや、見てみなさいよ。ギルドの出入口を。」
私はギルドの出入口を指で指す。
そこには、私とカルセナを一目見ようと街の人々がギルドを覗きこんでいる光景が…
魔耶「…これをみて、1回空飛んだだけで満足すると思える?」
カルセナ「…思えないな。」
ひまり「え〜…せっかくいい仕事見つけたのに〜」
ひまりが膨れっ面をする。
…せっかくひまりが選んでくれたのに、やらないっていうのもアレか…ひまりには色々お世話になっているんだし…
ひまり「じゃあ他のにする?」
魔耶「いや、ひまりが選んでくれたんだし…やろうかな…」
カルセナ「…色々お世話になってるしね。」
ひまり「本当!?よし、出してくる〜!」
自分の選んだ仕事をやってもらえるのがよほど嬉しかったのか、ひまりは目を輝かせながらカウンターの方へ走っていった。

魔耶「…頑張るかぁ。」
ちらりとギルドの出入口を見ながら呟いた。

98:多々良:2020/04/02(木) 09:49


しばらくすると、ひまりが荷物を台車に乗せて運んできた。
ひまり「はい、これらがお荷物よ。体積が少し大きいけど、重さはそれほどでもないから頑張ってね」
カルセナ「段ボール箱2つ....何とまぁ、丁度良いことかね」
魔耶「だねー。で、これをどこに届ければ良いの?何か地図とか....」
ひまり「ええ勿論、預かってるわよ。はい、どうぞ」
懐から地図を取り出し、魔耶に渡した。
カルセナ「何そこー....地図が全然読めんわ.....」
魔耶「うーん....これを見るに、東側....かな?」
ひまり「そう、ここから東南に真っ直ぐ進んで行くと、今度は東街があるの。そこに住んでいる、依頼人の娘さんに届けて欲しいんだって。住所もそこに載っているから、ってさ」
地図の隅っこを見ると、弱々しい文字で小さく住所が書かれていた。
魔耶「分かった、んじゃあ......行くか」
カルセナ「おーし、頑張るぞー」
二人はそれぞれ荷物を抱えると、地図を持っている魔耶を先頭にその場を飛び立った。
すると、その光景を見ていた町人からわぁっ、と歓声が上がった。
カルセナ「わー凄い歓声.....空飛んだだけでこんな騒がしくなるなんてな〜」
魔耶「ね〜。この先が思いやられるなぁ....東街見えたら、飛ばないで歩こっか」
カルセナ「うんうん.....あ、あと置いてくなよー?先頭に行ってって言われても地図読めんからなー」
魔耶「まぁ真っ直ぐ行くだけだけどね....極力置いてかない様にします〜」
こうして、魔耶達の姿は北街から遂に見えなくなった。
ひまり「あんなに警戒されてた二人が、今は私達よりも人気者だねぇ。ね?みお」
みお「うん、凄い....」
暫く二人が飛び去った空を見上げていた。
ひまり「....さ、私達もお仕事しますか!!」
みおはその言葉にコクリと頷いて、ひまりの後に続いて行った。

99:なかやっち:2020/04/02(木) 11:27

魔耶「なにげに、北街以外の街に行くのは初めてだね。」
カルセナ「確かにそうだね。どんなとこなんだろ〜」
二人で空を飛びながら話し始める。
魔耶「北街とは文化が違ったりするのかな…」
カルセナ「美味しい食べ物、あるかもよ」
魔耶「食べ物の話かよ〜」
なんて話していると、街が見えてきた。あれが東街だろうか。
カルセナ「あれ、意外と近かったね?」
魔耶「そうだねぇ。ここら辺から歩こうか。」

二人で地面に降り立ち、テクテクと歩きだす。
魔耶「…北街みたいに、街を壁で囲ってないね?」
気がついたことを声に出す。東街は壁もなにもなく、いつ動物が街の中に入ってきてもおかしくない状況だった。
カルセナ「ほんとだ〜…大丈夫なのかな?」
カルセナも心配そうだ。
この世界にはドラゴンやら巨大な虫やら危険な生物がたくさんいる。そんな中で街になんの対策もされていないのはかえって不自然に思えた。
魔耶「…とりあえず入ってみようか。」
カルセナ「そうだね…。あ、あれが入り口かな?」
カルセナが指を指した先にあったのは、北街のようながっしりした造りではない、簡易的なテントのようなものがあった。
テントはこじんまりとした…門…?の横についている。あれが、この街の入り口だろうか…
頼りない門とテントを見て、さらに不安になるカルセナと魔耶。
魔耶「…行ってみようか。」
カルセナ「…うん。」

100:なかやっち hoge:2020/04/02(木) 11:32

>>94
(あれぇ、一部4日になってる…5日っす。)


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