オリキャラ板

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1:なかやっち:2020/08/10(月) 11:39

ここでは、私のオリキャラの設定を書いたりちょっとしたお話をつくったりします(o・ω・o)
中二設定、やばい設定多いかも。胃もたれしないように気を付けてね☆

ー注意ー
・私のオリキャラをのせるので、他の人のキャラはご遠慮下さい
・乱入おけです。荒らし、なりすましは×。葉っぱのルールを守りましょう
・胃もたれがおきても、主は一切責任を負いません。閲覧注意だな!

え?過去に同じようなスレつくってたって?きっとキノセイダヨー((殴
平和にまったりとやっていきたいと思いまーす(^-^)

37:なかやっち:2020/09/21(月) 10:17


差夜「それじゃあ、私は街の警備に戻るけど…魔耶はもう少しここにいる?」
魔耶「…うん。ちょっと一人で考えたいことがあるから」
差夜「…わかった。お代は私が払っておくからね。ごゆっくり」
差夜はそう言って立ち上がり、アイスコーヒーとオレンジジュースのお代を払うためにレジに向かっていった。
その姿を横目でみながら、差夜に一言かけておいた。
魔耶「…お仕事頑張ってね」
差夜「……ありがと。今度魔耶も手伝ってよね?」
魔耶「暇になったらいいよ〜」
差夜「もう。そんなこと言って…」
二人でふざけながらお互いを励まし、差夜はカフェを出ていった。

一人になった魔耶は、オレンジジュースをチビチビと飲みながら考え事を始めた。
魔耶「(閻魔様を見かけてない……ってことは、多分この街とかその周辺で仕事をしてるわけじゃないんだろうな。もしこの街で仕事をしてるんだったら、警備の一人や二人、見かけてるだろうしね)」
となると、閻魔が仕事をしている場所はもう少し遠い場所なのかもしれない。まぁ、閻魔の仕事は『地上』と地獄の管理なのだし、どこで仕事をしていても不思議ではないのだが…
魔耶「(……力のない人間に対して守護にあたるのは分かるけど、他の妖怪とかそこらの種族なんて守る必要がないし、閻魔様がいちいち気にしなきゃいけない奴らじゃない。…けど、この街の外には妖怪しかいないから……閻魔様は、妖怪相手になにかやってるってことだよね…)」
魔耶「…なーんか、嫌な予感がするなぁ…」

38:なかやっち:2020/09/21(月) 10:34


店員「ありがとうございました〜!」
店員の明るい挨拶をあとにし、店を出る。ドアを閉めた拍子にドアについていた鈴がチリンチリーンと綺麗な音を響かせた。

外に出た魔耶は、ふと空の様子を伺う。
魔耶「………嫌な天気だなぁ…一雨きそう…」
空はどんよりとした灰色の雲で覆われていた。まるで今の魔耶の心を表しているかのような雲の色で、いっそう気分が落ち込んだ。
魔耶「……ほんと、何処行っちゃったんだろ…閻魔様…」

39:なかやっち:2020/09/21(月) 17:45


??「……あっ、魔耶さん‼」
魔耶「…?…あっ、あなたは…」
考えを巡らせながら街を歩き回っていたとき、不意に後ろから声をかけられた。驚いて振り替えると、そこにいたのは、顔馴染みである魚屋のおじさんだった。
魔耶「あっ、魚屋の……どうかしましたか?」
今日は平日。普通ならおじさんはお店にいるハズだ。なのに街中にいて、わざわざ私に声をかけてくるなんて…なにかあったのだろうか?
おじさん「あぁ……実は、ちょっと困ったことがあってなぁ…お前さんなら解決できるかもと思って、声をかけさせてもらった。急にすまねぇな…」
魔耶「…困ったこと…?どうしたんですか?」
おじさん「…言うより見たほうがはえぇと思う。ちょっと今から店に来てくれねぇか?」
魔耶「?……は、はい」
見た方が早い…?言葉では表せないようなことなのだろうか。それとも、言葉に表してもにわかには信じがたいような出来事なのだろうか…?どちらにしても、ただごとではなさそうだ。
不安が重なり、心にモヤモヤとした霧を残したまま、魔耶はおじさんの後を付いていった。

40:なかやっち hoge:2020/09/21(月) 17:48

訂正
「…?…あっ、あなたは…」
    ↓
「…?あなたは…」

41:なかやっち:2020/09/22(火) 12:53


おじさんに付いていって3分ほどたっただろうか。無言で歩き続けていたおじさんの足がピタリと止まった。それにつられて魔耶も足を止める。
すると、おじさんがこっちを振りかえり、魔耶に向かってまるで独り言のようにボソリと話しかけてきた。
おじさん「……まぁ、こんなもんだ…」
魔耶「…?」
おじさんがこちらを振り返ったため、ちょうどおじさんの前にある光景を目にすることができた。
…そして、魔耶は自分の目を疑った。
魔耶「…えっ…⁉お、おじさん…‼ここって…」
おじさん「…あぁ。正真正銘、俺の店……魚屋だ」
おじさんに言われる前に、なんとなくは察していた。…でも、やはり信じられなかった。いつもと全く違うお店の様子を受け入れることができなかった。
だから、全く違うお店となった要因を、おじさんに問いかけた。
魔耶「ーーッ……じゃあ、なんで……『魚が売ってない』の…?」
そう。この店には、いつも売ってあるハズの『魚』が一匹たりともいなかったのだ。定休日でもないし、お店がつぶれるなんて噂は聞いたことがない。
…おかしい。明らかに。
そんな魔耶の疑問を汲み取ってくれたのか、おじさんが声を発した。
おじさん「…まぁ、とりあえず店に上がってくれ。そこで話そう」

42:なかやっち:2020/09/22(火) 17:15


お店の奥にあった茶の間らしき部屋に入れてもらい、おじさんの言葉を待った。おじさんはすぐには話そうとしなかったが、やがてポツリポツリと話はじめた。
おじさん「…実はな、この状態がもう二週間ほど続いてるんだ…。いつも魚を持ってきてくれる業者が来なくなっちまって、魚を店頭に並べることができねぇんだ…」
魔耶「二週間も……なんで業者が来ないのかご存知でしょうか…?」
おじさん「さぁ…パッタリと姿を消しちまったもんだから…。しかも、他の魚屋も同じような状態らしくて…今この街では魚が売られてないんだ」
魔耶「…‼」
ここ最近街に行かなかったから、そんなこと全然知らなかった。まさか街がそんなことになっていようとは…
魔耶「え、閻魔様とか警備の人とかに連絡しなかったんですか?明らかに異変ですよね?」
おじさん「…一応閻魔様にしたはしたんだが…『今調査中だ』と言われてそれっきりでなぁ…」
魔耶「…だから、私に?」
おじさん「あぁ。お前さんなら閻魔様と親しいし、なにかあっても対処できるだろう?…勝手は承知しているが、このままだと商売ができなくて餓死しちまう!そろそろ金も限界だし……どうにかしてくれねぇか…?」
…どうしよう。これはどう考えても異変だが、私が受け持っていい事なのだろうか…。しかし、このまま見捨てるわけにもいかないし…いつもお世話になっているおじさん達に恩を仇で返すような真似はしたくない。
…勝手ですみません、閻魔様…‼
魔耶「…分かりました。頑張って調査してみます」
おじさん「おぉ、ありがとう‼無事解決してくれたら、お礼はたくさんするからな…‼」
おじさんは今にも泣きそうな表情で嬉しそうに笑った。

43:なかやっち:2020/09/23(水) 18:22


魔耶「………てな訳なんだけど…どうしよー満空〜」
満空「……あのねぇ、魔耶?そういうことは事前に相談してから決断してほしかったんだけど…」
そう言ってしかめ面をしている少女は、大きくため息をついてあきれた表情で魔耶を見つめる。
彼女は無形満空(むけいみく)。種族は天使。魔耶の幼なじみであり、親友であり、異変解決を共にするパートナーでもある。今回も一緒に異変を解決しようと、魔耶が満空に事情を説明しに来たのだ。
…最も、彼女は乗り気ではないようだが。
魔耶「うっ……わ、私も勝手に決めて悪かったと思ってるよ……。でも、あんなに切羽詰まった表情で頼んでくるおじさんをこれ以上悲しませたくなかったし…」
満空「…もし解決できなかったらもっと悲しい表情にしてしまうって考えなかったの?」
魔耶「……」
満空「全く…」
ハァと息を吐く満空。
そんな満空に、魔耶は必死になって言葉を返す。
魔耶「ッ〜〜…か、解決出来れば問題ないでしょ!そのためには満空に手伝ってもらわなきゃなの!手伝ってよ!」
満空「…別に手伝うのは構わないけど…今回の異変は閻魔様や大天使様からの仕事じゃないのよ?独断で動いたら何て言われるか…」
魔耶「そ、そしたら私が責任とるから!お願いッ‼」
満空「………」

44:なかやっち:2020/09/26(土) 22:56

満空はしばらく無言で魔耶を見つめた後、大きくため息をついた。
満空「…分かったよ。協力してあげる。昔からの仲だしね…」
魔耶「…満空…‼」
満空「責任はあなたにとってもらうからね」
魔耶「ウッ……しょ、承知しております…」
満空「よろしい」
そう言って柔らかく微笑む幼馴染みの姿があった。

45:なかやっち:2020/09/27(日) 17:05

・魔耶より満空のほうが少し背が高い(魔耶は155、満空は160)
・閻魔と大天使でよく交流があったため、二人は幼馴染み
・仲…めっちゃいい(気兼ねなくふざけあえる仲らしい)

46:なかやっち:2020/09/27(日) 21:41

世界備考
・普通の世界とは違い、ミロヴェージュは魔力に満ちている世界。そのため、魔力によってなんらかの異変が起きることも珍しくない。その異変を解決しているのが魔耶と満空である。直接的には異変に干渉していないが、閻魔や大天使も解決している。
閻魔&大天使➡魔耶、満空みたいな感じ
・魔力が当たり前のように存在しているミロヴェージュには、魔力によって発生した魔物達がいる。
魔物とは、生き物の負の感情と魔力が混ざりあい、一定の条件を満たした環境で発生する生き物である。一定の条件はまだ解明されていないが、暗く生き物の寄り付かないような場所…例えば森や洞窟なんかによく発生する。
魔物には『心核』が存在し、魔物を倒すと、その『心核』を落とす。魔物の心臓のようなものだが、見た目は宝石そっくり。魔力を帯びているため、武器やアクセサリーなどに使われている。

➡続く

47:なかやっち:2020/09/27(日) 21:53

・魔物がよく発生する洞窟や遺跡などは『ダンジョン』とよばれる。ダンジョンの多くは奥にいくほど魔力が濃く、魔石とよばれる魔力を宿した鉱石が存在する。魔石も装備やアクセサリーに使われる他、魔法使いの魔力回復アイテムとしても重宝される。しかし、奥にいくほど発生する魔物も強くなるため、魔石はなかなか手に入らない素材である
・魔物だけではなく、魔力によって動物が特殊な変化をする場合もある。そんな動物のことを『アークビースト』という。
魔物は倒しても心核を落として消えてしまうが、アークビーストは動物のため倒すと死体が残る。つまり、剥ぎ取りが可能である。アークビーストの素材は普通の動物の素材よりも丈夫なため、主に武器や防具に使われる。

48:なかやっち hoge:2020/10/06(火) 23:09

魔耶「ねーねー主〜」
主「ん?なに?」
魔耶「ちょっと思ったんだけどさ、私って飲酒できるの?てか、ミロヴェージュの飲酒オッケー基準が知りたい」
主「……えぇ……特に考えたこともなかったなぁ…。魔族とか妖怪とかだったら大人にならない内に飲んでも平気なんじゃない?丈夫な体してるんだし」
魔耶「んーと…人外は何歳でもオッケー、人は20から…ってことでいいのかな?」
主「うむ…まぁ、そうね。まぁ人外は何歳でもオッケーっていっても、流石に幼少期はダメね。最低二桁いってからかな」
魔耶「ふーん………よっしゃ酒飲むか‼」
主「…すぐ酔いつぶれそうだなぁこの人」

49:なかやっち:2020/10/12(月) 23:04

久しぶりの投稿。

二人は早速街に捜査しに行き、住民から情報収集を始めた。
色々な人からさまざまな話を聞いてまわったが、やはりどこを歩いても閻魔様の姿は見えなかった。…が、今はそんなこと気にしている場合じゃない。実際に街の人が困ってるんだから、この異変を解決するのが先だよね…と、閻魔様のことを頭から消し、街の人の言葉に耳を傾けた。


満空「…得られた情報はこのくらいか…あんまり情報はもらえなかったね」
魔耶と向かい合わせに座る満空は、魔耶に情報をまとめたメモを見せてくれた。
先ほど街人々から聞き込みをし終え、今はカフェで情報を確認している最中だ。
魔耶「んと…新しい情報は……『川に釣りにいってもあんまり魚がとれない』、『海で怪しい声を聞いた』…だけか」
満空「……」
満空は魔耶への返事変わりにコーヒーを啜る。
魔耶「…いまいちはっきりしないね?魚がとれないなんてたまたまってこともあるだろうし、声ももしかしたら波の音とかかもだしね…」
満空「うん…そう考えると、やっぱり異変に直接的に関わるような情報はもらえなかったみたいだね」
魔耶「そうだね……わかることといえば、どれも『水辺』に関することってだけだね。偶然かもしれないけど…」

50:なかやっち:2020/10/15(木) 22:14

満空「…偶然…じゃないことを祈りたいね。…それで、これからどうする?もう少し聞き込み続ける?」
満空に訪ねられ、魔耶はうーんとうなる。
魔耶「聞き込みを続けてもいいけど……さっき聞き込みをしてもこんな情報しか得られなかったし、またやっても異変に関わるような情報がもらえるかな…」
満空「…確かに、これ以上変に情報を追加して変にややこしくするよりも、別のことをしたほうがいっか…」
彼女の言葉にコクリと頷く。さすが親友、ずっと一緒に過ごしていただけあって、魔耶の気持ちをすぐ察してくれる。
なので、魔耶は頼れる友人にこんな意見を出してみた。
魔耶「じゃあ、情報に共通する『水辺』に行ってみようよ。なにか分かるかもしれないから」

51:なかやっち:2020/10/20(火) 22:32

満空「あぁ、なるほどね。うん、いいと思う。…でも水辺って簡単に言っても、海とか川とか色々あるよ?どうまわる?」
魔耶「うーん……とりあえずしらみ潰しに探すッ!………じゃ、だめ?」
満空「計画性のカケラもないなぁ…ま、あんたらしいっちゃらしいけど……」
満空に呆れたような視線を向けられ、慌てて案を練る。
魔耶「じ、じゃあ、妖魔湖に行こう!あそこには色々妖怪がいるから、なにかしら知ってるやつがいるかもしれないし!」
満空「……確かにね。わかった、じゃあ最初は妖魔湖ね」

52:なかやっち:2020/10/21(水) 19:08

世界メモメモ
妖魔湖とは…
世界の中心部分に存在する、ミロヴェージュで最も大きい湖。その名の通り水に住む種族(主に妖怪)が多く住んでおり、人は滅多に近づかない場所。

53:なかやっち:2020/12/29(火) 17:34



大きな湖の前に呆然と立ち尽くす二人。光が反射する美しい水面とは反対に、その表現は暗かった。
魔耶「……ねぇ、満空……おかしいと思わない…?」
疑問の視線を満空に向ける。満空も違和感に気づいていたらしく、魔耶の言葉にコクリと頷いて会話を繋げた。
満空「…うん……おかしいね………この湖に、生物の気配が感じられない。…これも異変に関係あるのかな」
魔耶「街では魚が獲れない、湖に生き物の気配がない……関連性はありそうだね」
そう、この妖魔湖に着いたその瞬間から、全くと言っていいほど生物の気配がなかったのだ。
この湖が普段通りであったなら、湖のまわりに妖怪がはびこり、魔耶達が湖に近づけば何かしらの生物がお出迎えしてくれてたであろうに。今では妖怪どころか魚一匹さえ見つからない。
魔耶「…今回の異変は、ちょっとめんどくさそう」

54:なかやっち:2021/01/15(金) 18:34

〜ちょいと雑談たいむ〜
魔耶「ねぇねぇ悪魔耶ー」
悪魔耶「…もう、いま物語中だよ?私まだ出てないし……んで、何の用?」
魔耶「いやぁ、そういえばこっちの世界線での悪魔耶と私のお話ないなーってさっき思ったんだよね〜」
悪魔耶「…まぁ、確かに…他の世界線の私と魔耶のお話しはあったけど、こっちの世界線では書いてないね。でもいきなりどうし……あっ、まさか…今書いてるお話をサボってそっちを書く気…?」
魔耶「流石私。よくお分かりで」
悪魔耶「……はぁ」
魔耶「重いため息……だ、大丈夫だって!そんなに長編にする気はないし、終わったらまた異変の続き書くから」
悪魔耶「それでこの異変お話は君の記憶から抹消されるんだねよく分かるよ」
魔耶「話聞いてないよね…」

てことでちょっとだけ、ミロヴェージュの世界での魔耶ちゃんと悪魔耶ちゃんのお話書くよ。短くなる……予定ではいる。

55:なかやっち:2021/01/15(金) 23:21

ー魔耶と悪魔耶のお話ー

これは、私がまだ13歳の誕生日を迎えたばかりの頃のお話である。

妖怪や妖などの人形で長命な生物にとって、【13歳】は人間でいう二十歳…つまり、成人の歳と定められていた。
それは魔族の魔耶も例外ではなく、今日5月8日は魔耶の成人した日だった。

差夜「誕生日おめでとう!飲め飲めー!」
魂「こら、差夜。いくら魔耶が成人したからといって、強引に酒を勧めるんじゃない。明日二日酔いになってしまうぞ」
差夜「いいんだよお姉ちゃん。今日はめでたい日なんだから、二日酔いになるくらい酔わないと!」
そういって酒瓶を自分のグラスに傾ける差夜。
今は、魔耶の成人&誕生日をみんなで祝っているところだった。
魔耶「もう、差夜が酔っぱらってるじゃん…」
天音「差夜お酒弱いのに飲むからよ〜」
少し大きめのテーブルには、差夜と魂、魔耶と満空、そして天音が座っていた。満空は私の幼馴染みの天使で、天音はその天使達を束ねる大天使だった。二人とも魂に誘われて、わざわざ天界からここまでやって来たのだ。

56:なかやっち:2021/01/16(土) 14:49

満空「魔耶もようやく成人だねー。独り暮らしはするの?」
魔耶「んー…まぁ、その予定ではいるよ」
満空の質問に曖昧な返事を返す魔耶。
今までここで暮らしていたため、自分が他のところで独り暮らしをしている、という想像がつかなかった。
満空「そっかー。でも、成人したら絶対独り暮らししなきゃいけないって訳じゃないし、ゆっくり考えたらいいと思うよ」
差夜「そうだよー!なんならずっとここにいなよ!」
魔耶「はは……考えておくよ」
軽く笑ってグラスを傾ける。
その様子を見ていた天音がボソリと呟く。
天音「ふふ…元気ねぇ」
魂「そうだな。少し五月蝿すぎるくらいだ」
相変わらず、仮面をつけているかのような愛想のない真顔でお酒を飲んでいる魂。
天音「とかいって、その五月蝿さが好きなんじゃないの?」
真顔の魂に、天音が笑いながら質問をする。
魂「……私は静かな方が好きだ」
天音「…無愛想な人ー。まぁ、貴女らしいけど」

57:なかやっち:2021/01/16(土) 23:03

天音がクスクスと笑うと、魂がめんどくさそうに「そうか」と答えた。


魂「……さて、もう夜も遅い。ここらでお開きにしよう」
魔耶の誕生日&成人パーティが始まってから約2時間。妹である差夜が泥酔し、魔耶と満空が眠そうにしていたとき、魂が終わりの言葉を放った。
終わりに近づいていたパーティの終わりを惜しむ者はおらず、魂の言葉を聞いて、黙々と帰り支度と片付けを始めたのだった。

58:なかやっち:2021/01/19(火) 16:46

また脱線するよ。お話が終わる日はくるのかな…


『カタン……ゴトッ』
静まり返った小さなリビングの中で、小さな物音がやけに大きく響き渡る。…いや、大きく聞こえるのは私が緊張してしまっているからか…
ゴミだらけのリビングの真ん中に椅子置き、スリッパを脱いで上がる。
「…これで、終われる…」
天井から吊るされたロープを手に取り、ボソリと呟いた。

…あぁ、これで、ようやく開放されるんだ。あの忌々しいいじめっこ達からも、暴力ばかりの親からも、理不尽な先生達からも…ようやく……
……私が死んだら、あの人達はどうなるのだろうか。きっと、捕まって、刑務所にいったり罰金を課せられたりするんだろうな。私を酷い目に合わせた罰を受けるんだ。当然の報いだ。もし幽霊になれたら、あの人達を呪って、更に苦しめてやろう。…ああ、楽しみだな……

にこりと不気味な笑いを浮かべて、ロープを首にかける。
そして、きっと私の最期の言葉になるであろう言葉を放つ。
「…さようならーー」
もうこの世に未練なんてない。早く、楽にーー…



??「…まだ死なせないぞ」

59:なかやっち hoge:2021/01/20(水) 21:06

ーーー⁉
「だ、誰⁉」
誰かが部屋に入ってくる気配なんてなかった。物音一つしなかった。なのに、突然聞こえた声。戸惑いを隠せず、つい声を荒らげてしまった。
あたりを見回して、声の主を探す。
??「……いきなり誰?とは、ご挨拶だな。いらっしゃいませ、お茶でも出しましょうか?くらいの一言がほしかったが」
また、聞こえた。幻聴ではない。反射的に声を探り、バッと後ろを振り返る。そして、ハッとする。
そこにいたのはーー
??「…初めまして、だな」
私と同い年か少し下くらいであろう、見知らぬ少女だった。
セミロングの黒髪に藍色のパーカー、そして口には棒のついた飴をくわえていた。

60:なかやっち hoge:2021/01/20(水) 23:06

私「あ、あなたは……?」
??「……普通、そっちから先に名乗るのが礼儀だと思うのだがな。…まぁいい」
不機嫌そうな顔をこちらに向けてそう言い放つ少女………いや、こんな人に普通とか礼儀とか言われたくなかった。
??「私は……まあ、案内人、とでも言っておこうか。お前が死にそうだったからな、せっかくだからチャンスをやろうと思ってな。わざわざやって来た訳だ」
私「…案内人…?チャンス…?」
案内人って、どこの?どこへ案内してくれるの?それに、チャンスってどういうこと…?聞きたいことが山ほどあった。それを察してか、案内人と名乗る少女が説明を始めた。

61:なかやっち hoge:2021/01/21(木) 17:34

案内人「この世界には、地球とは違う次元にある世界…いわゆる、アナザーワールドというものが存在している。その名は『ミロヴェージュ』。そこには、この世界では伝説とされている妖怪や魔族、魔獣といった生物達が住んでいる。…そんな世界に、お前のような人間達を連れていくのが私の役目だ」
……なんだそれは…何かの宗教か…?それとも、ただの中二病…?
違う世界がある、なんてにわかには信じがたいし、そもそも妖怪なんて存在するハズがない。
私「……あの、ふざけてるんですか?宗教勧誘かなにか知りませんけど、私はそんな戯言に騙されるほど疲れてません。早く出ていって下さい」
しっかりと自分の意見を伝え、出ていくように促す。どうやって部屋に入ってきたのか知らないが、宗教勧誘なんて受けるハズがない。これ以上居座られても迷惑だし、さっさと追い払おう………そう思っていたとき、少女がそっと口を出した。
案内人「…妾…いや、私が嘘を言っていると…?お前はそう思っているのか」
私「…そりゃそうですよ」
案内人「…………ふん、そう思うならそう思えばいい。お望み通り出ていってやるよ。その代わり、お前は死ぬか死なないかという二つの選択肢のうちの一つ失った、とだけ言っておこう」
私が言ったことに対して不服そうに言葉を発し、冷たい目線をこちらに向ける。
案内人「……もし、私の言葉を信じようと思ったときは、山にある小さな神社にこい。私はそこにいる。………今のまま生まれ変わるチャンスを失い、若き命を投げ捨てようと言うのなら、それでいいがな」
少女は吐き捨てるようにそう言うと、部屋の窓をガラガラと空けてそこから飛び降りた。
ビックリして窓に駆けよって下を見下ろすが、少女の陰はどこにもなかった。再び一人になった部屋の中で、私は一人困惑するしかなかった。

62:なかやっち:2021/01/21(木) 22:12



結局、あの少女のせいで今日の自殺は未遂に終わってしまい、苦しみから解放されることはなかった。少女の言葉について色々考えているうちに時がたってしまい、自殺のことを思い出したときには、親が帰ってくる時間の五分前になってしまっていたのだった。
私「…あの子、ほんとに…なんだったのかな…?」
自分の部屋のベッドでゴロリと寝転び、先程の少女について考えを巡らせる。
私「そういえば…よくよく考えたら、あんな子が宗教勧誘なんてしないよね…まぁ、幼い頃からそういう教育を受けてるっていうんだったら納得できるけど、そんなことないだろうし…」
でも、あの子の言葉はにわかには信じがたいことばかりだった。妖怪だとか、魔獣だとか、アナザーワールドだとか。確か…世界の名前はミロヴェージュ、だったっけ。そんな言葉を発している少女をあの場で「信じます!」ってなるほうがおかしいと思った。
……でも、もしあの子の言っていることが本当で、私を違う世界に誘ってくれたら…?この世界から開放してくれたら……?
私「……」
淡い期待が、少しだけ私の心を揺らした。

63:なかやっち:2021/01/28(木) 17:41


それから数十分はたっただろうか。私が相変わらずベッドに寝転び、物思いに耽っていた頃。突如、ドア越しから大きな声が聞こえた。
「おい、部屋に隠れてんじゃねぇ‼‼降りてこい‼」
ビクリと体を震わせ、声のした方を見る。
「それとも俺の言うことが聞けねぇのか⁉早くこい‼」
怒声が私に向かって喚き散らしている。……声の主は、今は機嫌が悪いらしい。
この声は私の父親のものだった。父は私が幼い頃から酒癖が悪く、酒が切れたり機嫌が悪かったりすると、こうやって私を呼び出した。まだお酒を買ってこいと言われるならましだ。しかし、まれに私を殴ってストレス発散するために呼びつけられる、なんてこともある。
この声の調子なら、父はそうとう機嫌が悪いのだろう。こんなにイライラが伝わってくる声を聞くのもなかなか珍しかった。はやく父のもとへ行かないと、暴力が更に酷くなるだろう。
そうと分かっているものの、やはり父のもとへ行くのは怖かった。それはそうだ。殴られるのを分かってるのに殴られにいかなければならないなんて、怖いに決まってる。
私「…今……行きます…」
…でも、それ以上の暴力を受けるのはもっと怖い。
だから、重い足を引きずるように…返事を返しながらゆっくりと部屋を出ていった。

64:なかやっち hoge:2021/01/31(日) 15:40

魔耶が登場する方のお話→『ミロヴェージュストーリー』
もういっこのお話→『現代物語』
って呼ぼうかな。適当だけど、呼び方がないとややこしいし。

65:なかやっち hoge:2021/01/31(日) 15:55

『ミロヴェージュストーリー』

片付けも終わり、満空と天音が帰ったのはすっかり真夜中になった頃だった。どうりでとっても眠いはずだと、魔耶はうまく回らない頭で納得した。
魔耶「…おーい、差夜〜…………だめだ、完全に寝てる」
二人を見送ったあと、部屋に戻り、パーティーの間ずっとお酒を飲んでいた差夜を軽く叩いてみた。うつ伏せでぐっすりと眠っている。
魔耶「もう、こんなところで寝たら風邪引いちゃうのに……部屋までつれていった方がいいですかね?閻魔様」
魂「…いや、このままでいい。いっそのこと風邪をひけば、差夜にとってもいい薬になるだろう」
魂は相変わらずの真顔だったが、その目はいつもより冷たいように感じた。きっと、差夜は明日「閻魔一族がはしたない行為をするんじゃない」と怒られてしまうことだろう。二日酔いと反省でげんなりする差夜の顔が容易に想像できた。

66:なかやっち:2021/02/08(月) 21:53

『ミロヴェージュストーリー』
魂「…そんなことより、魔耶」
魔耶「…?はい」
不意に魂に声をかけられ、パッと顔を上げる。
魂「お前に話さなければならないことがある。もう遅い時間だが、もう少しだけ時間をもらってもいいか?」
小首を傾げながら「…はい、大丈夫ですけど…」と返すと、魂は眠っている差夜をちらりとみた。
魂「…すまないな。あと、この話は差夜の前でしたくない。少し移動しよう」
魔耶「…差夜には、話せないこと…??」
魂「あぁ。だが、お前にとっては今後に関わる大事なことだ…詳しくは後で話そう」
そう言って別の部屋に向かう魂に、魔耶は無言で付いていった。自分にとって大切なこと…??一体なんだろう。
これから待ち受ける衝撃の事実のことなんて知らずに、魔耶は疑問を抱きながら闇のなかに消えた。


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