どうもこんばんはぜんざいです。
私、思ったのです。書きたい作品が多すぎて、その分だけスレを作ると数がとんでもないことになるからどうしようと、完全に無駄だぜ? と。そして答えがこうなりました。
もういっそ全部引っくるめて自由に書いてしまえと(
終着点がここなのです。
なので、とにかくひたすらジャンルバラバラの夢小説書きます。
コメント及び感想待ちます! 小説投稿はやめてほしいんだぜ?(⊂=ω'; )
まあ簡単に言うと、私の落書きのようなものなので、他の人は感想だけということになりますね。うわあ上から目線だぁ! 恐らくコメントには感涙します、めっちゃなつきます。ビビります。
ジャンルは大まかに言えば、wt、tnpr、妖はじ、turb、krk、FT、中の人、FA、mhaです。
これからも増えるだろうと思われる模様。
2ch的なものも出てくると予想されます。
これまでの上記で『2chやだ!』「作品がやだ!」「ぜんざいがやだ!」言うからは目がつぶれないうちにご帰宅or gohome(΅΄ω΄→ ハヤク!
2ch系では顔文字や「wwww」表現が出るかと思われます。嫌な方はブラウザバック!
それでは、そしてーかーがやーくウルトラソheeeeeeeey((
文的にうるさくてすいません。
.
フフフ、面白い方ですね🎵
あ、私、ティアカルレと申します
突然入ってきてダメ出しすみません
8まとまり目(?)の言うからはというところ、言う方はではないでしょうか?
本当に突然ですみません
こんな夜遅くにすみませんでしたm(__)mドゲザチュウ
あっ。
ほんとですね、『言うからは』ではなく『言う方は』でした。気付いてくださりありがとうございました。
(なぜ推敲したときに気付かなかったのだ自分!)
……め、メモのところのコメントに御返事返した方が良いですかね……!!(嬉震)
.
応援してますよ!自分はスーパージャンル超越大戦というスレタイの全ジャンルごちゃ混ぜ+オリジナル設定ありなスレでSS的なものを書いてます。
5:ぜんざい◆A.:2016/10/08(土) 15:57 ID:74A
ありがとうございます!
また今度スレを見物させていただきますね!(*´人`*グフフ)
それでは、元気よくいきましょう! レッツ夢小説☆! れっつ……何にしよう。
……とりあえず刀剣乱舞で2ch!
.
THE、男主。
【俺の本丸は】我が家の癒し【平和過ぎる】
1:名無しのさにわ
立ったかね?
2:名無しのさにわ
癒しと聞いて他スレから!(ヒューン)
3:名無しのさにわ
癒しと聞いて地面から!(ボコッ)
4:名無しのさにわ
癒しと聞いて大窓から!(ガラッ)
5:名無しのさにわ
癒しと聞いて本丸から!(シツレイシマース)
6:名無しのさにわ
癒しと聞いて玄関から!(アッ、コンニチハー)
7:名無しのさにわ
癒しと聞いてテレビから!(クール、キットクルーキットクルー)
8:名無しのさにわ
やめろ怖いわ! 貞子か!
アッ、とりあえずコテハンとスペック頼む
9:癒し本丸主
はーい(´∀`*ノシ)
主 ←俺
とりあえず刀剣は全部揃えたぜ! 他の刀剣がひょいひょい拾ってくるから直ぐだぜ! みんな可愛いぜ!(ドャァ)
歳は25の男! 身長170cmぐらい! 黒髪黒ぶち眼鏡のインテリかと思わせておいてかなり残念な奴だぜ!
とりあえず本丸で漫画描いてます連載してます。よろしければ一巻の表紙を……
つ『とある漫画の表紙』
それくらいかな!
10:名無しのさにわ
待って俺コイツ知ってる(テンションウザァ……д`; )
多分演練当たったわ、その時連れてた刀剣たちのステータス上限振りきってたわ。
でもってなんか刀剣たちぽやんぽやんした雰囲気してたわ。
11:名無しのさにわ
あれ? 俺いつの間に書き込んだっけ
12:名無しのさにわ
俺も
13:名無しのさにわ
ま、まあまあ。とりあえず話聞こうぜ
14:癒し本丸主
>>13イケメェン
てなわけで、我が本丸の刀剣達はドロップでも鍛刀でも数名ぽやんぽやんした感じなのだ! だからCCPのオカンスキルがお母さん過ぎる。癒し。
15:名無しのさにわ
は、早く!
16:名無しのさにわ
(*◇ω◇*)早く!
17:癒し本丸主
では、そんなエピソードをご覧ください。
これはとある夕飯時の三日月と蛍丸と俺と燭台切。
三「……ううむ」(皿に残った人参を前に)
蛍「……むむう」(皿に残ったピーマンを前に)
俺「どうしたお前ら」
三「人参を食いたくない」
蛍「ピーマン食べたくない」
二人して頭抱えてどうすれば食べずに済むかというすこしばかりお馬鹿な事を考える二人に俺苦笑い。かわいすぐる。かわいすぐるよ。
そこで二人は顔を見合わせ、ハッとする。
蛍「三日月さん、ピーマンと人参交換しましょう!」
俺「(何てこと考えてんだコイツら、お刀さんに怒られるぞ)←(俺は怒らない)」
三「良きかな良きかな」
燭「二人ともだめでしょ! 好き嫌いせずちゃんと自分で食べなさい!」←お刀さん乱入。
俺「……(´ω`;)」
蛍「えー……」
三「( ´ω`φ)よきかなよきかな」
燭「ちょっと! 三日月さん! 僕の皿に人参移そうとしないで!
このあとのお八つ無しでも良いの!?」
これ聞いた二人は目の色変えて(苦い顔しながら)ちゃんと食べた。みたいな事が数分前に怒った。隣の鶴丸が俺の書き込み見て笑ってる。
18:名無しのさにわ
癒しはここにあった。
19:名無しのさにわ
あの三日月のお爺ちゃんがぽやんぽやんしてる
20:名無しのさにわ
蛍丸もぽやんぽやん
21:名無しのさにわ
俺の三日月と代えてくれ! アイツハーレム作りやがった!
22:名無しのさにわ
そんなお爺ちゃん早くおいで
23:名無しのさにわ
お黙り難民
24:癒し本丸主
こんな感じでちょこちょこ癒しエピソード書いてくな
25:名無しのさにわ
おー、頼むわー(和み)
26:名無しのさにわ
期待してるぞー(和み)
*
おそらくこれから突発的に出てくるであろうシリーズ。
.
あげるぜ
8:ティアカルレ◆AY hoge:2016/10/09(日) 17:25 ID:hl2 面白いですよ
ただ、1つだけ
名無しのさにわは複数いるんですか?
それとも1人ですか?
もし複数いるのなら、区別を付けた方が良いかと思います
分かりにくくてすみません!
名無しのさにわは複数居ます。ですが、2ch風なものなので、掲示板的なものに書き込んでいる(という設定)なので、わざとわからないようにしています。
あ、コイツがコイツっぽいなとか想像していただけたら嬉しいです。
アドバイスありがとうございます! 事前に設定など書いておけば良かったと後悔しています。混乱させてしまい、すみません。
多分次はちゃんとした小説だと思われます。(台本書きは2chのみですのでご安心下さい)
.
>>9
頑張ってくださいね🎵
ありがとうございます!
とりあえず出来るところまで『MHA×FT(逆も然り)』書きます!
年齢操作が酷く、フェアリーテイルメンバーがヒロアカ世界にトリップしてくれば、記憶はそのまま年は全員16歳となります。
フェアリーテイルからはナツ、ルーシィ、グレイ、エルザ、ジュビアがトリップします。
**
Noside
ギルド『フェアリーテイル』の書物室にて、ミラから整理を頼まれた五人はたくさんの本を抱えて右往左往とあちこち行き来していた。こう言うときに役立ちそうな空飛ぶエクシード、ハッピーやシャルル、ウェンディは仲良く三人で依頼へと出発しており不在、時々怒鳴りをあげながらもみんな整理に励んでいた。
「なあルーシィこの本どこ直すんだ?」
「その魔導書はあっちの棚よ」
「おう!」
ナツとルーシィが本を抱えて会話するのを横目に、エルザは先程手にした感じたことのない魔力を放つ魔導書を怪訝に見つめていた。
その傍ら、グレイとジュビアがなにやら楽しげな(ジュビアが問題天然発言をグレイが慌てて訂正すると言う)会話をしていたので、小耳に挟みながらこの魔導書をどうするか検討しているところだった。だが、厄介な奴がそれを発見してしまう。ナツだ。
「おー? なんだエルザ、そんな難しい顔してその本見て」
「え、なになに!? 本ですって!?」
ナツの声にみんなが反応し、先程まで散り散りに本を片付けていた一行はエルザの周りに集まってしまった。
エルザは諦めたように溜め息を吐いて説明する。
「いや、この魔導書から妙な魔力を感じてな。どうするか検討していたのさ」
「ねえエルザ! それあたしに貸して! 読みたいの!」
「……別に構わないが、何が起こるか分からん。気を付けろ」
「うん、分かったわ!」
魔導書はエルザの手からルーシィへと渡り、そこかしこにある木製の椅子に腰掛けて意気揚々とルーシィが本を開く。そこで淡い光が溢れだし、一気に目を瞑りたくなるくらいに眩しくなった。
「ええ!!?」
「うおっ、眩……!」
「くっ、」
「え!?」
「なんだァ!!?」
各々が声を挙げながら、グッと目をつむる。そしてふっと五人は浮遊感に襲われ、だがすぐ重力に沿い皆一様に悲鳴を挙げつつドサドサと地面に落ちた。
一番下敷きになったナツは書物室とは違う、固くてひんやりと冷たい床に違和感を感じ、上に乗っている者たちのことも考えずガバッと起き上がる。
彼らの周りには、目を大きく見開いた奇怪な格好の人々が居たのだった。
.
どこに飛ばされたのでしょうか?
続きが気になりますわ🎵
驚きだぜ! な所ですよ(笑)
**
次々に起き上がるフェアリーテイルのメンバーにその場にいた他の大人が固まる。そして皆一様に誰だこいつらと必死に思考を回していた。
ここは雄英高校ヒーロー科職員室中央、つまり周囲は全員ヒーローである。
「えっ、ここどこ!?」
「くそっ、やはりもう少し注意していれば!」
「あんまり気にすんじゃねーぞエルザ」
「グレイ様服!」
「いつの間に!」
「ねえだからここはどこなのよ!?」
「知るか! ギルドじゃねーのは分かる!」
「見りゃ分かるわ!!!」
目の前で怒鳴り合いを始めたルーシィとナツに教師陣は目を見開く他ない。そこでなぜかいきなり「やんのかコルァ」「上等だテメェ」と取っ組み合いを始めたナツとグレイ。どういう経緯でそうなったのよ、と呆れるルーシィ。
「おめぇは毎回毎回うっとーしいんだよ露出魔野郎!」
「いちいちつっかかって来るんじゃねークソ炎!」
ついには魔法を発動させて殴り合いをし出す二人はいつぞやのハデス編より激しい戦いを繰り広げている。ルーシィはその力を本線で出してほしかったわと溜め息を吐く。そこで、ぼっさぼさの髪に幾重もの布がマフラーのように連なる小汚ない男がルーシィに声を掛けた。エルザは仲良きことは良いことだと微笑んでいるし、ジュビアはグレイに声援を送っていたので、この中では比較的常識人だと自負するルーシィは声を掛けてきたとこに納得する。ルーシィに声を掛けた彼は相澤消太、日々合理性を追い求める人物であり、ルーシィに声を掛けた理由はあの二人の騒動に入っていくことになんのメリットもないと踏み、近くにいたルーシィに声を掛けただけだった。恐らく近くにいれば誰でもよかったと推測される。
「ねえちょっと」
「はい、なんですか?」
「君達の行動は合理性に欠く、話も聞きたいからアレを止めてくれ」
ピッ、と指差した相澤の指は現在進行形で職員室を破壊している炎と氷の男に苛立ちを感じていたようだ。悟ったルーシィはこの世の終わりのような顔をして、とぼとぼと二人の近くによる。
「ね、ねえあんたたち、もうそろそろやめにしてくれない?」
「「うるせえ!!!」」
「ぎゃん!!!」
意を決して二人の仲裁に入ったルーシィだが、二人の拳を顔面に受け、呆気なく悲鳴を挙げながら吹っ飛んだ。ドゴッ、と壁にぶつかったルーシィを見たヒーロー教師たちは唖然と口を開き、その中でやっと動き出したミッドナイトがルーシィに駆け寄る。
「だ、大丈夫貴方!」
だがしかし、ルーシィは鼻血を隠すことなく垂らしながらむくりと起き上がると、ミッドナイトの声掛けが聞こえていなかったのか「あの男共はあああ!!」と怒鳴り散らしながら腰に下がる鍵を取り出して叫ぶ。そしてミッドナイトはルーシィも彼らと同類かと密かに感じとった。
「開け! 獅子宮の扉、レオ!」
リンゴーン、と言う音共にいきなり現れた猫耳の生えたサングラスの男に教師たちは再び目を剥くこととなってしまった。
「お呼びかな!」
「あいつら、やっちゃって!」
その声と共に駆け出すレオ、もうすでに職員室は戦線崩壊、ひどい有り様である。相澤は声を掛ける人物を間違えたと頭を抱えたくなった。
.
恐らく上記の小説は度々出てくるであろう物となりました! 言わばシリーズ!
と言うわけで、一週間悩んだ結果、刀剣乱舞×魔法先生ネギま! の混合夢小説を書きます!
大まか内容設定は交通事故で亡くなったあと、愛読していたネギまにトリップし、大阪生まれの京都育ちで神鳴流剣術のほぼ最強に位置してネギと女性の事で語り合う、ヒロイン達中学三年生より2つ年上の高校二年生の男装イケメン女主(胸が千鶴さんと一緒より少し大きい※普段サラシ巻き)が、とある雑魚敵の魔法で異世界、というか死んでしまった世界とそっくりな世界へ飛ばされて、そこで神力(魔力・気)があったので時の政府に出陣出来る戦う審神者としてブラック本丸の清掃及びそこの主を任される感じです。
主人公設定です。
伊達 いおり(18) 高2
完璧に男なイケメンで関西弁、常に持っている竹刀袋に入っているのは本物の真剣。桜咲刹那の夕凪みたいなタイプではなくがっつり日本刀、太刀。生まれた頃から一緒だったりする、名前は『緋斬(あかぎり)』。魔法は炎系が得意だが、剣士してポジションにいるのであまり使わない、と言うか使えない(だって学園側から固く止められてるんだもん、破壊するなって)。神鳴流ではオリジナル技を少し作ったくらい。
身長は184cm、頭脳は前世で大学を出ているのでそこそこに良い。一人暮らしなので炊事洗濯出来る。家は居合いの名家。但し規則は緩い。
ヒロイン達の兄的存在、但し3-Aは全員が女だと知っているしかし! ネギと似たような目に遭う。ネギ・スプリングフィールドの理解者、狗神小太郎とも仲良し。
学園側から特別に男子制服着用が認められている紳士的人たらし。
但しお化け屋敷やドッキリ等は全く駄目、ビビると刀が出てくる。鞘で峰打ち!(っごーん☆)
一ヶ月に一回ネギ達の待つ元の世界に帰れる様に時の政府に頼み込んだ、THE土ぅ下座ぁっ!
とりあえず後輩が可愛い! な人。
では!
.
コタくんの名字に誤字がありました。『狗神』ではなく『犬上』でした。
**
【伊達side】
魔法世界と我が学園、麻帆良の空が繋がり、魔法世界を消去すると言う敵方の野望は10歳ながらにハーバード大学を卒業して麻帆良女子中等部の英語教師兼3-A担任兼魔法使いのネギ君が仮契約をした女の子たちと共に阻止された。まあ、仮契約をしたと言う女の子の中に、俺も含まれているのだけれど。
俺がネギ君と仮契約をして出てきたアーティファクトは『焔の斬剣(イグニアーティスヴェルヴァルト)』。多分焔の斬剣の英語の当て名は適当だと思われる。なにやってんだアーティファクトの精霊さんよ! 最初は焔を纏った西洋の一本の剣だと思っていた。緋斬と二刀流かー、なんて思っていたが、違った。あれだ、刹那の小刀を自在に操れるアーティファクトの、焔を纏った太刀程の大きさのものを自由自在に操れるものだった。威力やべー。フェイトに聞けば俺のアーティファクトのレア度は世界最高を誇るらしい。明日菜達のアーティファクトもレアらしいけど、比べ物にならないと言う。なんてこった。
とまあ、そんな話は置いといて、俺は今麻帆良の路地裏で不正に魔法を使っていた奴をネギ君、コタ君と共に追い詰めていた。
『さすがに観念したらどうや。人類最強のネギ君がおるんやで? お前勝ち目無いやん』
「う、うるせえ! くそっ、こうなったら!」
そういうと、ローブを目深に被っているソイツは、俺に向かって何かをぶん投げた。側で「いおりさん!」「いおりねーちゃん!」とネギ、コタの順番で叫ばれる。もう間近だ、避けられない。俺はそれに当たった瞬間、その場から跡形もなく消えた。
「いおりさん!?」
「てめえ!」
ネギがいおりのいた場所を唖然と見つめ、小太郎が狗神を出しながらローブを被った男に殴りかかる。
「お前! いおりねーちゃんに何したんや! 返答次第で俺の式神がにいちゃんの首噛みきるで!」
倒れた男の上で馬乗りになりながら胸ぐらを掴む小太郎と、グルルと怒りの表情の狗神達。ネギはハッとし、慌てて男を拘束して学園へ連れていった。
取り調べ室に入れられた男はグラヒゲ先生の威圧に震えながら、いおりの処遇を話したと言う。
「俺が女最強に投げたのは異世界転移ゲートのタネだ、女は別の世界で生きていると思う……!」
「……場所は?」
「分かるかよ! あれは術者も行き先がわかんねえんだよ! もういいだろ!」
ネギは小太郎と安心し、同時にこう思った。あの人ならきっと別世界でもしぶとく生きているだろうと。
.
【伊達side】
俺が何かをぶつけられた次の瞬間、俺はとある一軒屋の中にいた。あれか、楓の天狗の隠れ蓑みたいなやつか。
中を隅々まで調べるも、人が住んでる様子もない。外に出てみれば麻帆良の町並みはない。手持ちのスマホで麻帆良を調べてみるが反応がなかった。そうか、ここは異世界か。超次元魔法戦闘がない平和な世界か!
『……もうここに住んだらエエんちゃうやろか』
あ、駄目だ。愛しの後輩達がもとの世界で待ってるわ。うん、これからもとの世界へ帰還の方法を探しながら普通ライフえんじょいだ。表札を見てみると札は有るものの名前がない。よし書こう。
『……伊達……っと』
達筆で石を削った表札を眺め、感嘆して家に入る。中々に広い家のふわっふわなソファに腰を下ろし、携帯しているアーティファクトカードと竹刀袋をコーヒーテーブルに置く。
さて、アーティファクトはこの世界でも発動するんですかね? と言う実験ですはい。
『来れ(アデアット)』
そう言えばズラッと出てくる焔の太刀にハハハと笑った。以前ネギに見せたとき「翼見たいですね」と言われたが、目の前で広げるとあながち間違ってないかもしれない。脳内で動く様を想像すればすいすいと空中を移動する太刀達に愛らしさが沸く。竹刀袋の中の緋斬を取り出し鞘から抜き出して刃を見れば、薄い赤色のそれが天井の光に反射してきらきら輝く。
『……魔法が使えることに変わりはないなぁ』
少しホッとした。これで俺はこれからも女最強を誇れる。
『……!』
ピンポーン、と軽やかにチャイムの音が聞こえた。なんだよ、まさか表札が着いてるからあんた何者だとか言われるの? 言い訳めんどくせー。
俺は自分の赤みが差す、毛先が外に跳ねた肩上までしかないショートカットをがしがしと乱雑に掻く。
足音もなく玄関に辿り着き、うぃーすと扉を開ければそこには黒服を着た男性達の姿が。神妙にお縄につけー! みたいなやつ?
『なんすか』
目付きが悪いと自負している目で軽く睨めば動じていないようで、気後れせずはきはきした様子で言葉を口にした。
「あなたは異世界から飛ばされてきたものですね」
……なぜ知っているんだ貴様あああ!
どうやら彼らは『時の政府』所属らしく、ここで時空の歪みを発見したから至急やって来たと言う。なるほどなるほどといっているうちに政府に連れていかれて、話を聞かれた。
俺がこの世界に来た経緯を話せば魔法? 魔法だと……? とざわつく会議室。
『とりあえず、もとの世界に返してくれはりません? 時空移動的なやつできはるんやろ』
背中の竹刀袋が不意に揺れ、俺がそう言えばお偉いさんから待ったが掛けられた。
「条件がある」
そう言われ、提案されたのは審神者になってくれないかと言うことだった。さにわってなんぞ?
どうやら……さ、審神者? は西暦2205年、歴史改変を目論む「歴史修正主義者」によって過去への攻撃が始まったらしい。なるほど、だから時の政府はそういう時空関係がわかるのか未来ってすごい。まあそれを阻止するために審神者なるものを各時代へ送り出すらしい。審神者は眠っている物の想い、心を目覚めさせ、自ら戦う力を与え、振るわせる技を持つ者。その技によって生み出された付喪神『刀剣男士』と共にため過去へ飛ぶらしい。
その刀剣男士を出陣させたりとからしい。
ほう、俺には審神者の力があると。
『あ、エエですよ』
へらっ、と笑って言えば逆に驚いた顔をされた。え、なんでなんで?
「君は、なぜそんな簡単に」
『え、いや、やって、出陣ですやろ? 体動かしとかんと鈍りますわ』
.
月一で帰れると約束してもらい、早速もとの世界へ戻り、月一しか帰れないことを学園長に話せばいいんじゃね? と許可を頂いた。
「いおりさん!」
「ねーちゃん!」
『や、いきなりどっか行ってもてすまんなぁ』
駆け寄ってくるチビっこの頭を撫で回して事情を説明すると寂しそうな表情をするも、一ヶ月に一回は帰ってくるので帰ったときには手合わせしてねと約束された。なんて、なんって可愛いんだ!
**
俺は普通の審神者とは違い、審神者ながらに出陣し、何やら自分の欲にまみれて刀剣男士たちに夜伽を強制したり無理な出陣をさせたり暴力を振るったりとそう言うことをする本丸をブラック本丸を更生すると言う仕事を任された。
そして俺が今ここにいる場所はブラック本丸の門前だ。万が一と言うか確実に戦いになると政府から聞かされたため、緋斬とアーティファクトを持ってきた。服は仕事服である。
「中に入ればこんのすけと言うこの本丸の式神が居ますが政府側ですので安心してください」
『俺はこの本丸の主をどないしたらええんすか』
「倒してこちらに引き渡してください。最悪死体でも構いません」
『物騒やけど俺そんな手加減できひんから、死ぬこと前提で動いてください』
「わかりました」
さて、本丸を救いに行きましょーか!
なんでブラック本丸を潰さないのかと政府の役人さんに聞けば、そういうブラックなところに限ってレア刀が多いのだと言う。なんだそりゃ。
とりあえず、役人さんが帰ったあと、俺は結界が張られている門の前で腕を組んで唸っていた。
『この結界どないしよ、なるべくバレずに中に潜入したいんやけど……』
この世界で言う神力は俺たちの世界の魔力と一緒だ。ネギ君なら次の瞬間にはバレずにスッと解いて中に入っていただろう。俺は無理だ。なにせ不器用なものでね!
まあ、正面突破ですよね。
『焔の斬剣(イグニアーティスヴェルヴァルト)』
一応発動だけさせておいて、腰に下がる緋斬で結界を叩き割る!
『雷鳴剣!!!』
刀が雷を纏い、刀の腹が結界に当たった瞬間ドドオオン、爆発音、よし。無事破壊。あ、門こなごな……門の請求書は時の政府へ!
雷鳴剣とは、神鳴流剣術の奥義である。自身の気を使い、雷を刀に纏わせて叩き斬る技である。
『さて、行くか』
ざかざかと服を翻しながら堂々と中へと侵入する。現在の服は白いワイシャツに黒いネクタイ、同色のベスト、緋と金の装飾が着いた黒色のコート、下は二重のベルトを交差させ、七分丈のズボン。下はロングブーツである。いや、決して俺の趣味じゃない。エヴァちゃんの趣味だ、アーティファクト時の服はほぼこういうタイプなので、本丸に居るときはほぼこれらだろうと思われる。
……それより、殺気がどんどん強くなってるな。
.
ひさしぶりに来てみたら、ものすごく進んでいますわ!
21:ぜんざい◆A.:2016/10/23(日) 17:04 ID:jl2
お久しぶりです(笑)
お話は違いますが楽しんでいただけたら嬉しいです。
とりあえず、今回のとうらぶ×ネギま! の夢主のイラストです。イメージ壊したくない! と言う方はしれっとした顔でスルーしてください(笑)
https://ha10.net/up/data/img/13995.jpg
小説は後程です。
.
Noside
いおりが門を粉々に壊し、結界が破壊されたことに、この本丸の審神者は驚きの声をあげた。
「なっ、なによ!? 何が起こったの!?」
鏡の様なもので本丸内を見渡し、侵入者の姿を発見した女審神者は政府の寄越した人員ね……! と怒りを露にする。近侍には数々の刀を犠牲にしてやっと顕現させた三日月が。ここの本丸がブラックになったのは大方この三日月を顕現させたいと言う理由だ。彼女は欲にまみれた卑しい性欲を放置した女だった。
諦めきったような無表情の三日月の腕を引き、刀剣達の集まる大広間へと久しぶりに赴いた、刀剣達の前では『時雨』と名乗っている審神者が主命を下す。
「お前たち! 侵入者を倒しなさい! これは主命よ!」
高らかにどう? 私は今本丸のために動いてるのよ! と言いたげな雰囲気を晒す時雨に、刀剣男士たちは傷だらけで嫌々ながらも主命と言う言霊に縛られ、自然と体が動いていく。ここの本丸の刀剣男士は三日月以外、ほぼ中傷か重傷しかおらずまともに戦えるわけが無いのに。
**
一方のいおりは、本丸内の空気の悪さに顔をしかめていた。だが、いおりの様な神力の強い物が歩き回ると空気の清浄は行われるらしいと言うことは聞かされていたので我慢して本丸内を練り歩く。
『それにしたって、酷いわぁ』
空気は悪く池は干上がり草木は枯れ果てている。こんなところ、よく住めるものだと呆れを通り越して感嘆の息を漏らしたところで、ガギン! と金属同士がぶつかり合う鋭い音が耳に届いた。発生源は本丸縁側に面する左頬すぐそば。振り向いてみれば小学生ぐらいの少年が傷だらけながらもいおりに刀を向けていた。
ただ、いおりは攻撃を受けていない。アーティファクト『焔の斬剣(イグニアーティスヴェルヴァルト)』は術者の危険時には太刀が自動で動き、主の身を守る設定になっているのだ。流石世界最高レアアーティファクトと言ったところである。
いおりはネギ君と軽く仮契約(キス)しただけなんに、なんでこんな便利なレアもん出て来たんやろといまだに疑問を持っている。
日本の赤い太刀が少年の攻撃を受け止め、空中で静止する。だが、少年が飛び退いたことによって太刀はいおりの背に戻ってきた。それを皮切りに空中から魔法陣が現れ、そこから多くの太刀が出現し、宙に浮いたままいおりの背に並ぶ。
『……子供やんけ』
黒い服を着た少年は、短刀を構え、目を見開きながら態勢を崩さない。なるほど、彼も刀剣男士かといおりは納得するが小学生ぐらいの子も居るとは。短パンから覗く白い太股が眩しい。
『……流石、神様やな。焔の斬剣が攻撃を受けるときに太刀を二振りも使わせるとか、ホンマ舌巻きますわぁ』
政府から刀剣男士の名と姿の書いてあるノート、刀帳を一度読ませて頂いたので、彼が誰だか分かる。
『薬研藤四郎……』
そう呟いたあと、彼の後ろからぞろぞろと刀剣男士達が現れた。ううむ、彼らは傷付けたくないなぁ。俺も刀は好きだから折りたくないし……。
.
「主命とあらば、敵などと!」
そう俺にとびかかってきたのはへし切り長谷部、性格は確か主に尽くす忠犬のようなものだったと思う。だがしかし、表情は苦しげに歪められている。
現在俺が多対一で戦っているのは前の薬研、長谷部の他に鳴狐、平野藤四郎、鯰尾藤四郎、鶴丸国永、浦島虎鉄、恐らくリーダー格は燭台切光忠だろうな。
みんな目に生気が全くなくて、どんだけ非道な事をしたのだとここの審神者の思考回路を疑った。マジふざけてる。
「くそっ」
『お前らみたいに傷だらけで弱った刀なんかに俺のイグニアーティスヴェルヴァルトが負けるわけないやろ』
俺が腕をすいすい動かして後ろの太刀を動かして刀剣達の攻撃を受けたりこちらから攻撃したりしながらあくびをする。
そこで、燭台切の刀が焔の斬剣を掻い潜り懐に突っ込んできた。
「もらった!」
『残念』
咄嗟に緋斬を抜いて燭台切を受けて鍔迫り合したのち弾き返す。そのまま振り抜けばギリギリと言ったように苦い顔をしながらギィンと自身の刀で緋斬を弾いた。返す刀で横一線に剣を走らせると燭台切は咄嗟にしゃがんで回避しそこから俺の腹を切り裂く。っぶしゃあっ、とスプラッタな音をたてて激しく流れた血が帰り血として燭台切のその端整な顔に降り注いだ。しかし、俺は今ネギ君と同じく不老不死化(仮)しているらしい。服を切り裂いたまま傷がみるみるうちに塞がり血液が止まる。後ろではまだ俺が指示を出しているのでイグニアーティスヴェルヴァルトは刀剣男士を相手にしている。イグニアーティスヴェルヴァルトは言いにくいのでイグニと縮めて読むときもある、うん関係無かった。
「っ、君の体は」
『話しとる暇無いで!』
態勢を建て直されないようにすぐ様彼の後ろ首に肘を落とす、うち下ろしと言う技だ。それでもふらつく体で立ち上がるので緋斬の柄の先で燭台切の腹を突く。尻餅を着いた燭台切の首に緋斬の切っ先を向けた。
「……降参だよ、いっそのこと、折れた方が」
『……なに言っとるん?』
刀剣の折る折らないは元々折らない方向で決定してるし、そもそも自分から折れる、なんて言わないで欲しい。
『そんなこと言うな。ここの審神者は俺が捕まえて政府に差し出せって言われとるから、もう安心しても大丈夫や』
そういうと、酷く泣きそうな顔をして微笑んだ。燭台切が降参したことを始めとし、次々と刀を鞘に戻して肩の荷が降りたと言うように経たりこんでしまった。
.
「全く、君は、恐ろしいくらい強いね、太刀が何振りも自在に宙を舞うし」
『俺の能力や、気にしな。それと、安心しとるとこ悪い。あんたらの審神者はどこに居るんや?』
先程までへたりこんで「今の僕、格好っ、悪いなあっ」と安堵の涙をぽろぽろ控え目流すイケメンこと燭台切に審神者はどこにいるんだと少し屈み視線を合わせながら聞けば震える指であそこの離れだよと教えてくれた。
『なぁ鶴丸。ここの本丸の刀は他に居るんか? 初期刀とかは?』
「刀は……一振りを除いてここに居るのが全刃だ。初期刀は、既に折られた。……気ぃつけな。ここに居ねえあいつは練度こそ俺達と同じだが、軽傷のみだ。その軽傷は俺達の手入れを物申したときに……主命で、俺が……」
その先は言わなくていいと、元々はとても綺麗な白色だったと思われる、今では全身乾いた血でほぼ鶴の面影も見えない赤掛かった白い髪の頭をぐしゃぐしゃに撫でればせきを切ったようにギャン泣きを始めた。恐らく俺に襲い掛かって来たこのメンツの中では一番の年長者だから気を張っていたのだろう。何回か撫でたあと、刀を担いで立ち上がる。
『待ってろよお前ら、審神者捕まえたら手入れしてやるから』
走り去るときにそう告げれば後ろから一段ぶわっと泣く声が聞こえてきた、声が幼いから短刀か脇差だろうか。それほどまでに疲労がたまっていたのだろう、可哀想に。
**
俺は怒りに身を任せつつ冷静に離れに突っ込んで行った。もうこの際、この離れ潰してしまうか、なんて考えたが流石にやめた。
片っ端から襖や障子の戸を開けて審神者と残りの一振りを探す。彼らを見付けたのは一番最後の部屋だった。運が悪いぜ!
スパンと扉を開いてイグニを完全戦闘態勢で御対面。
『まっさかここの審神者さんが女の人やったとは、思わんかったわぁ』
みんな傷が酷かったから男の審神者かおもとったわぁ、なんて言えばここの審神者、時雨はそばに居た……なるほど三日月宗近に「行きなさい三日月!」と、瞳のハイライトが消え、全てを諦めた顔をしているのに言霊で縛り付け、俺に攻撃させた。三日月宗近とは、刀剣の中では一番の古参で爺と呼ばれる事も多い見た目がとても言葉では言い表せないほど見目美しい刀剣だ。確か彼は常に朗らかに微笑み、どこか喰えない雰囲気を纏う天下五剣の一人だったはず。そんな彼をどうしたらこんな風に憔悴させられるのか、どうしてそんなことをするのか皆目検討すら付かない。
とりあえず。
『三日月宗近! お前はもう自由だ!』
そう言いながら俺は向かってくる三日月の背後に回り、緋斬を持つものしか見えない主従の糸を、三日月を縛る言霊の人をパキィンと斬った。
.
だが、三日月は止まらない。先程と変わらぬ光を失った瞳のまま何やらぶつぶつと呟きそのまま俺の緋斬と剣を交えてた。耳を澄ませば「コイツを殺せばコイツを殺せばコイツを殺せば」と狂気染みた雰囲気で高速呟き、何やらこれで一気に俺の精神力削られた気がする。
恐らく俺を倒せば自由にしてもらえると思ったのだろう、酷く暗示を自身に向けている。だんだんと太刀筋が鋭くなってる気がしてきた。鍔競り合いになり、ギシギシと両の刀を軋ませながら俺は怒鳴る。
『聞きや三日月宗近! お前と審神者を繋ぐ主従の鎖は切ったんや! そんな暗示を掛けんでもええねん!』
「うるさいぞ!」
バンと押しきられブチッ、ゴリッと言う音と共に左肩を貫かれた。奥の審神者がにやにやと「もう終わりね」と言う雰囲気を漂わせるが三日月は焦った顔をして刀を抜いた。正しい判断である。刀を刺したままでは俺の体はそのまま再生しようとし、最終的には折れるだろうから。でも、三日月の表情を見る限り、それだけでは無いようだ。
服を置いたまま肌だけがみるみるうちにもとに戻っていく。審神者はそれを見て目を見開いた。だがしかし! 俺はそんなの気にしない!
『どないした、来ーへんのか?』
「……っ!」
俺の一言で慌てて態勢を建て直した三日月に今度はこちらから斬り掛かる。先程のお返しと言うように突きを返せばギリギリ避けられ、そのまま横に腕を引く。三日月はそれを一歩下がって避けたのち縦に刀を振り下ろした。それを緋斬で受け止め、ギャリギャリと二人とも力で押しきろうとする。
『さっきまでの鋭さが無いで三日月宗近!』
「っ、黙れ!」
『お前、俺斬ったときに動揺したんちゃうか!? 怖かったんやろ! 俺が失血死するのが! 人間(ヒト)を斬るのが!』
「刀である俺が! ヒトを斬るのが怖いだと!?」
『ああそうや! お前ヒトが恐ろしいんやろ! そこの愚行をした社会的屑な審神者のせいで!』
「っ、ふざけるな! 恐ろしくなどない! あの審神者に従っているのは契約があるからだ!」
『だから! その鎖を俺が! 今! 斬ったやろうが!』
「……!」
『お前はもう! 自由やねん!』
ふっ、と緩んだ力の隙を逃さず刀を弾き返し、天下五剣である三日月に尻餅を着かせた。呆然とした三日月にふうと息を着くと手を伸ばした。
「なんだ、この手は」
震えた声でそう告げた三日月に曖昧に笑い、無理矢理手を掴んで立ち上がらせる。
『謝罪の握手や』
「……」
一瞬ほけっ、と言う顔をしたが、次の瞬間には三日月は花が咲くような笑顔で「解放してくれて感謝だ」と手を握り返してくれた。その直後だったのだ。
「ふざけんじゃないわよ!」
女審神者が、懐にしまっておいたらしい小刀で俺の首をザシュッと飛ばした。
.
視界が反転、上下逆さまに三日月の顔が写る。女審神者の高笑いが聞こえた。うん、笑ってるとこ悪いけど……。
『残念やったな』
少しばかり離れた頭を腕でピタリとくっつける。そのまま振り向いてドカッと正面蹴りを喰らわせた。ドサッと巫女服のまま尻餅を着いた審神者に冷たい視線を送る。
「きゃっ」
『きゃっ、ちゃうし』
きゃっ、なんてあの大冒険した仲間やそのクラスメイト位しか似合わないなぁ。
はぁ、と溜め息をつけば審神者はボッと顔を赤くさせた。大方怒りで顔が真っ赤になったんだろう。お前それ逆ギレって言うんだよ。知ってた?
「ねえあなた、私のお婿さんになってくれないかしら!?」
『ん?』
……ん?
目を見開き審神者を凝視。三日月も凝視。女審神者は顔を赤らめてやだ言っちゃったとくねくねしている。ぁ、このパターン知ってるよいおりさん。何回目だろうね。俺女だよ。
『あんた、さっき首飛ばした男に向かってよおそんなこと言えたな』
「えっ、でもでも! 貴方はまだ生きてるじゃない! なら良いじゃない! 関係無いわ!」
『そういうこと言うとんちゃうねん。お前の行いは人間の倫理を外れてる、現に俺の首を飛ばした。ましてや神様に手を挙げるなんて最悪や。
生憎やったな、俺は女やし、あんたんこと殺してもええて政府から指示出とんねん!』
チンッ、と俺が刀を鞘に納めれば、三日月と女はなぜ殺すといった側から刀を納めるのかと疑問に思ったらしいが、次の瞬間には女は縦に二つに割れた。居合い抜きと言う音速技である。
ドチャリと倒れ込んだ審神者を目に、三日月はなんの感情もないようだ。
『すまん三日月、勢いでお前の主、斬ってもた』
「いや、構わん。あんなもの、主ではない」
ふいっと一瞥した三日月は此方を見て、「感謝する」ともう一度口にした。『ああ』と言葉を返せば、泣きそうになって、俺はどうしていいか分からず頭をがしゃがしゃと撫でる。そこで通路からバタバタと慌てた様な足音。
「どうしたんだい!?」
「大丈夫か青年!」
「わっ、主が!」
「アンタがやってくれたのか!?」
わらわらと入ってくる刀剣男士たちに苦笑いしながら頷けばパアッとみんなから誉れ桜が降り注ぎ、やれ解放されたと騒ぎ出した。あの長谷部ですら少し安心した様な表情をしている。
気を取り直して。
『お前ら、俺を手入れ部屋につれてってんか?』
**
そのあとはみんなを気合いで手入。みんなには名前を教えていないから、あだ名で恩人さんと呼ばれるようになった。
それからすぐ、政府に事が無事終わったことと死体回収に来てくれと連絡、そして引き取り手の情報。スマホから顔を離し、振り向いて笑顔で言えば、緊張の糸が切れたみたいだ。
『君達は他の本丸に丸々移動になったわ。そこの本丸の審神者さんは刀好きで穏やかな事で有名でな。多分べったべたに甘やかしてくれるで』
「そりゃ本当か恩人さん!?」
『おん』
「驚きを提供しても怒られないか!?」
『当たり前や』
きゃっきゃと騒ぎ出す刀剣男士たちがいる部屋からそっと出て、すっかりきれいになった本丸を縁側に座りながら眺める。いやあ、ホンマきれいになったなぁ。
.
「ちと良いか恩人殿」
ふと後ろから声を掛けられ、振り向けばにこにこと笑っている三日月の姿。『どうしたんや?』と聞けば三日月は「頼みがあってな」と横に座った。
『頼み? なんや、ゆーてみ』
「いや、そこまで大した事ではない。俺を連れていって欲しいのだ」
『……ん?』
「なんだ、聞こえなかったか? 仕方がない、もう一度だ。俺をお主の刀として連れていって欲しい」
三日月はにこにこと穏やか且つぽけぽけした雰囲気を纏わせているが、話の内容はぽけぽけしていることではなかった。大したことないってお前、大したことだぞ。これからの人生に関わるんだぞ。困惑した顔をしていれば「その話、僕も聞きたいな」と柔和な声が反対側から聞こえてきた。振り向けば、にこにことイケメンスマイルを浮かべて、且つ唯一の左目で「なら僕も連れてって」と訴えている燭台切。コイツは雰囲気が柔和じゃない。反対隣の三日月が「燭台切、お前もか」と朗らかに告げる。
俺はたまらず溜め息を吐いた。
『……理由はなんや?』
「お主の持つその太刀に惚れた」
『ん?』
「僕自身が着いていきたいと思ったんだ。それに、君の体躯(からだ)のこと、なんで傷が塞がったのか、そうなった経緯」
「俺もだ」
『お、おん』
二人の言葉を聞きながら、正面を向いて、景色を見ながら唸る。っていうか、三日月は緋斬に惚れた? え、なんで?
『俺、一ヶ月に一回、現世に戻んねんけど』
「それでも良いよ」
「俺達は着いていくからな」
『俺、お前らの仲間の刀剣が行く本丸の主みたいにべったべたに甘やかしできへんで』
「適度に甘やかしてくれればそれで良いよ」
「構わぬ」
俺は一箔置いて告げる。
『訓練するけど、厳しいで』
「!! 全然構わないよ!」
「俺もだ、俺の様な爺がどこまで出来るが分からんがな」
『決まりやな』
よろしゅーなと二人と両手で握手し、自分が女だと伝えると燭台切がすごくびっくりしていた。「女の子に刀を向けてたなんてかっこ悪いなあ!」と笑う燭台切に苦笑、三日月は俺と元主の会話を聞いてたから知ってたようだ。
『ところで、三日月は緋斬に惚れたゆうとったけど、どない意味なん?』
「なるほど、あかぎり、と言うのか。なんだ主、知らんかったのか? その緋斬と言う刀。付喪神が憑いておる」
『え¨、ホンマ!?』
「ああ、眼鏡を掛けた、短い髪の乳がでかい刀剣女士だ。どことなく主に似ておる。今度顕現したらどうだ、俺が嫁に貰おう」
『よ、嫁!!!?』
なるほど、コイツ戦闘中俺の左肩突いたとき、緋斬見てあんな顔してたのか。それにしても一目惚れて、どんな美人なん? 緋斬。
緋斬は当時、平安に打たれた太刀で、伊達家ができてからは伊達家が緋斬を引き取り俺のような気を自由自在に操れる天才の時の為にと倉で厳重保管されていた。まあ三日月とほぼ同い年か。俺に似てるのは生まれた時から一緒だったからだろう。どんな美人だろう、楽しみだ。
.
それから、とりあえずまあみんなが三日月と燭台切を見て羨ましいだの俺も行きたいだのと行っていたがもう登録的なことが終わってたので残念に思いつつあの子たちとは別れた。
その後本丸を頂いたのだ、時の政府から。うわー、広いー! とか言いつつエヴァの城の方がでかかったなーとか考えて部屋を散策。
『いやぁ広いわー、なんやお嬢様の家の方がでかかった気ぃするけど』
「? お嬢様って誰なんだい? 主」
『俺の家が代々使える近衛家の一人娘でな、近衛木乃香様言わはるねん。美人やで』
「ほう、主従関係なのか」
『まあそうなるな』
そんな会話を終えてさて早速初鍛刀と行きますか! とかいいながら鍛刀部屋で可愛い妖精に依頼札を差し出して適当な資源を渡して三人で誰が来るのかな何ていってれば申し訳無さそうな顔をした精霊さんが!
『ど、どないした!?』
指指した方を見れば失敗した刀剣、まあまあ次があるよともう一度やるも失敗。俺には鍛刀運が無かったようだ、悲しみ。
ならばと出陣してみるも手応え無し。もう俺出陣運も鍛刀運も皆無みたいだ、もうこれ以上刀剣増えない。
二人に泣きすがって見れば、これでも構わないからゆっくり行こうと慰めてくれた。うわあああああ!
『あああ、三日月どないしょう』
「あなや、主がこんなに落ち込むとは、俺にとっても予想外だなあ」
『そのほけほけ雰囲気今の俺には薬やねんわ』
うおおおお、とか言いながらいつもの戦闘服ではない、頭にバンダナを付けた服装の三日月の肩に頭を押し付けてぐりぐり。それでも動じずズズズとお茶を飲む三日月。流石、爺さんなだけあるな。
.
緋斬を顕現しようと思ったのだが、それより早くもとの世界の彼らから誘われていたウェールズへの旅行の日がやって来た。
長期になると時の政府に言えばブラック本丸の件のボーナスを全て注ぎ込んで休暇を頂いた。約一ヶ月である。三日月と燭台切の同行許可も取ってある。準備万端だ。
『俺の仲間と初対面やな』
「その人たちと外国に行くんだよねえ僕達」
外国なんて初めてだ、その人たちと仲良くできるかなと少しの不安とわくわくが混ざった様な顔をしている燭台切。俺はとりあえず大丈夫や、と告げておく。
今から俺達はネギま部の旅行と言う名目で、ネギ君の故郷イギリスのウェールズから魔法世界にいくのだ。
そう、魔法先生ネギま!の原作で有名なあの魔法世界編。俺が審神者になる前にネギ君の事を世界最強と告げたのは原作を知っていたからだ。現在のネギ君はまだエヴァの『闇の魔法(マギア・エレベア)』は習得出来ていない。
俺は一応エヴァとの修業で死にかけになりながらも命からがら炎のマギア・エレベアを習得した。そしてなぜか覚醒し不老不死(仮)化してしまったと言う訳なのだ、本当に不老不死かは数年経たないと分からないが、不老は本丸の審神者になったので確立され、不死もあのくそ女審神者に首を飛ばされても生きていたので立証した。
俺は今完全に不老不死だ。やったー。
『さて、行くか』
「うむ」
「楽しみだなあ」
……とりあえずうちの刀剣男士が癒やし過ぎるな!
.
とりあえず、二人には魔法で絶対に神隠しをしないと言う契約の元、名前を教えました。
成田空港にて。三日月と燭台切に洋服を着せてやって来たのだが、如何せんあの子たち目立つなあ。
「主、行かないのかい?」
『いや、あの美人達の中に割り込むてなるとどうもなあ』
「主も退けは取ってないぞ」
『三日月お前』
うおー、とかやって皆の前に出る。千雨居るしあとは俺達だけやってんな。
『すまん、待たしたなあ』
「いおり先輩来たよー!」
「御勤めごくろー様伊達先輩!」
「いおりちゃん今回もよろしゅーなあ」
「お嬢様共々よろしくお願いしますいおりさん」
「お久しぶりですいおりさん!」
『おー、久しぶりやなあお前ら。ネギ君もお疲れさん』
「おやおやぁ? 後ろの二人はいおり先輩の刀剣男士かなあ?」
「かっ、かっこエエな!」
わらわらとたかってくる可愛い後輩たちに挨拶し、後ろでみんなのテンションの高さに固まる燭台切とにこやかに微笑む三日月を見やる。っていうか燭台切、助けてどうしよういおりちゃん!と視線で助けを求めている。とりあえず笑って自己紹介を。
「僕は長船が祖、燭台切光忠だよ。これからよろしくね」
「眼帯してイケメンなのに僕+穏やかキャラだとおおおお!?」
「かっこええなあ君!」
「!?」
早乙女ハルナがアホ毛をびゅんびゅんと稼働し、このかが目をキラキラ。俺は戸惑う燭台切に苦笑いしながらほわわんと微笑む三日月を見やった。
「俺は三条宗近の打った刀、三日月宗近だ。よろしく頼むぞ」
「び、美人だー! 和風だー!」
「あなや、少々喧しいが静かよりマシだな」
「心も広かったー!」
「この爺とも仲良くしてくれよ」
『三日月は約千百年前の刀やから自分の事を爺言うねん』
「僕もそこそこだけどね」
みんなでキャッキャと仲良くなったところでフライト。三日月と燭台切が身を固くしていたが、まぁ初めての経験だったらしく少しばかりはしゃいでいて可愛いかった。
.
やって来たイギリスにて、奇跡的にいいんちょ率いる一般人後輩と遭遇。一通りネギ君と熱い抱擁を済ませたいいんちょがこちらを見て目を輝かせた。
「いおり御姉様! いおり御姉様もいらっしゃっていたのですね!」
『久しぶりやなああやかちゃん、学園祭ぶりか』
「そうですわね!」
そして後ろの燭台切が「妹さん?」と聞いてくるが、そう呼び慕ってくれているだけだと教える。そしてみんなが興味津々に見つめるイケメン__燭台切と三日月に自己紹介をさせる。とりあえず一般人だから刀だと言うことは明かすなと教えて。
「僕は燭台切光忠、変な名前だけどよろしくね」
「三日月宗近だ、爺だが仲良くしてくれ」
『三日月は言動が爺さんやねん、気にせんといて』
「キャー、イケメン!」
「私の知る刀と同じですわね」
『ぐ、偶然やで!』
雪広あやか、恐るべし。日本刀の名前をちゃんと覚えているとは、さすが金持ち、財閥の次女。
その後ウェールズへみんなで出発。到着時にネギの義姉、ネカネさんとネギ君の感動の再開を見届けた。
そして翌日、魔法世界に旅立つそこへ、あの事件が有ることを俺は完璧に忘れていた。
.
ストーンヘッジで光に包まれながら俺たちは魔法世界に到着した。そこから外を見てみれば、それはもうファンタジー! な光景が。
「乗り物と言うものは浮いてるし、すごいね、ここは……」
『せやな……!』
「流石の俺も感嘆だ」
そして、そのすぐあと。ことは起こった。
「ネギィッ!!! ネギーーーーー!」
そんな叫び声にハッとする。しまった、完全に忘れていた! これから起こる事に気を取られて目先の事件が思考から外れていた。今しがた、ネギ君が鋭い石の槍に右胸を貫かれている。
「な、ネギ君が!」
「坊や!?」
『お前ら剣出して抜け! 俺明日菜呼んでくるから、ネギ君守れ!』
二人はこくりとうなずくと武装してネギ君の所に駆けていった。ふたりがなぜ武装出来たかと言えばほぼ俺特製の術を掛けたお陰である。
とにかく、俺は今緋斬も焔の斬剣(アーティファクト)もない。ネギ君の傍らには密航したのか偶然か、一般人である大河内アキラ、佐々木まき絵、明石裕奈とローブを被った女の子が突然現れて和風な武装の三日月と燕尾服に防具の燭台切に、刀を持つ二人に驚いていた。
そこでいきなりの敵からの攻撃、敵は、フェイト・アーウェルンクス。長瀬楓と桜咲刹那がネギくんを庇うように攻撃を防御した。慌てて跡を追うようにその場に降り立つと一般人後輩は目を見開いていたが、他の後輩は「い、いおりさぁん!」「どうしよう、ネギが、ネギが!」「アーティファクトカード等の武器があの箱に!」と泣きそうになりながら懇願してくる。俺は歯噛みしながら明日菜に告げた。
『明日菜、あの箱を壊せるんは君だけや、分かるな?』
「え、ぅ、うん……」
『君は魔法完全無効化能力者や、殴ったら壊せる!』
「!」
そういうとばたばたとせわしなく箱に駆けていく神楽坂明日菜を見届け、仲間を連れてやって来たフェイトを睨む。そこで小太郎、楓、刹那が飛び出した。
半ば乱闘になりつつも、楓は敵の術にやられて黒い球体に閉じ込められ、小太郎は敵の神鳴流の睡眠技を喰らわされ、刹那がフェイトに吹っ飛ばされた。
あの威力、普通の刀剣男士なら即折れている強さだ。二人には俺の術を掛けているし、救ったあとに練度もカンストさせたので大丈夫かも知れないが、それでも心配だ。
やられてしまった三人に声をあげる二人に『お前ら! いいって言うまで動くなよ』と心配オーラを撒き散らして、牽制。
その後ぼろぼろなネギ君がフェイトの顔に一発ぶちこみ、そのあと明日菜が箱を叩き割り、武器を解放した。
.
アーティファクトをアデアットして各々の部具を手にした明日菜と木乃香を見てネギはもう大丈夫だと悟り、明日菜にアーティファクトカードと緋斬を投げるよう指示する。
『明日菜! 緋斬とカード!』
「分かりました!」
ブォンと飛んでくる二つを無事キャッチして発動させる。両隣で刀を構える、かちゃりと言う音が聞こえた。
「坊やのあの怪我は治るのか?」
『三日月か。木乃香お嬢様の力は治癒や、絶対治る』
「なら話は早いよ。かっこよく行きたいよね!」
ちょうど明日菜とクーフェイが相手方に飛び出してフェイトが木乃香の目の前に出たところで燭台切がフェイトに豪剣を振るう。ハッとしたフェイトが石の息吹を発動し、それに反応して燭台切が木乃香を抱え込んだ。
『光忠!!』
「コノカ!!」
だがしかし、石の霧が晴れれば木乃香と燭台切は石化しておらず、ばさりと、刹那の背から生える真っ白い翼が庇ってくれたようだ。
「この人たちには、指一本触れさせん!!」
鬼気迫る表情でフェイトを睨み付ける刹那を一瞥し、アーティファクト能力、匕首 十六串呂(シーカ・シシクシロ)でフェイトと激しい攻防線を開始する。
そして斬!! とフェイトの体を二つに斬るが、偽物で刹那を後ろから狙うもクーフェイに阻止される。そこからみんな入り乱れての乱戦。ほとんどが爆発や剣威の猛攻だ。
『はじめましてぇフェイトアーウェルンクス!』
「君は見たこと無いな、でも君……人間じゃないね」
『不老不死体や! 伊達いおり! これからまた会うなあ!』
「くっ」
刹那に代わり、フェイトの相手をする。緋斬でついて、全方向からの太刀攻撃。太刀は全て石化されたが、緋斬は石化の霧を一閃する。緋斬に斬れないものは何もない!
途中にネギ君の傷も治り、戦線に出てきたところで、転送ゲートをフェイトが破壊。そのあと、冷たい瞳でフェイトがネギ君を見て言い放った。
「こちら側へ来るには君は少しぬるま湯に浸かりすぎて居たんじゃないかな。ここからの現実は僕から君へのプレゼントだよ。
……またね、焔の剣士」
最後にこちらを見てフェイトは転移ゲートで去っていった。俺は咄嗟に三日月と燭台切の手を握る。バッと振り向いた二人に真剣な顔で『手ぇ離したあかんで』とぐっと力を込める。二人は困惑したような顔をしたが、ぎゅっと握り返してくれた。腰に差さる緋斬がかしゃんと揺れた気がした。
そのあと、フェイト達一味により仕掛けられた転移ゲートにて、俺達三人とみんなは散り散りになってしまった。
.
それから。無事どこか見知らぬ街へと転送された俺達三人。慌てて刀を構えれば路地裏らしくだれも居ない。幸い刀を抜いて臨戦態勢だった事は見られていなかった。チン、と言う金属音が続けて鳴って刀を鞘に納める。
『……どこやここ』
「町のみたいだね」
「見たら分かるな」
「分かるね」
二人とも武装は解けて俺が与えた私服へと服装が代わっているが、俺も多分同じだ。今回はシャツにパーカー、短パン、ブーツと動きやすい格好である。
辺りを見回せば、大きな地図が。そこでここの町の名を確認、のち俺はだんだん頬をひきつらせた。
『オスティア……』
「……“おすてあ”だと?」
「“オスティア”だよ三日月さん」
「はっはっは、異国の言葉は苦手でな!」
端正な顔に似合わず、少し大きい声を挙げて笑う三日月に微笑んだ。三日月は扇子を持っていると思ったのか、手を口元に持っていった、そして「あなや、扇子が」「扇子は武装の時だよ」と言うやり取りが行われる。なんて可愛いんだうちの刀剣男士は。
**
それから数日、年齢詐称薬で大人になったネギ君と小太郎君が拳闘士として闘技場で戦い始めた。名前は小太郎君は犬上小次郎、ネギ君はナギ・スプリングフィールドと名乗っているようだ。ネギ君の父、ナギ・スプリングフィールドはこの世界じゃ有名らしく、ネギ君が名乗った瞬間闘技場がざわめいたらしい。元々この旅行はネギ君の父、ナギを探す旅だったので、なんら問題は無い。まあ拳闘士になった理由は奴隷となってしまった大河内アキラ、和泉亜子、村上夏美の100万ドラクマ(お金の単位)の借金の為だろう、今回の拳闘士大会の優勝賞金が100万ドラクマだから。
今日はその一般人三人組が奴隷として働く店へとやって来た。今まで退治仕事とかで食い繋いできたからかなりお金が余っているから。
テラス席に腰を下ろし三人で待っていれば注文を聞きに来て目を見開くアキラに笑いかける。
『久しぶりやな、アキラ』
「伊達先輩! 無事だったんですね、良かった。……あの、も、もしかして伊達先輩も、魔法使い、なんですか……?」
『まあ、種類はちゃうけどな』
「……と、とにかく本当に無事でよかったです。……三日月さんや燭台切さんも魔法使いですか……?」
「いや、僕らは違うよ。ね、三日月さん」
「ああ。俺達は伊達いおりを主とし、人型になる力をもらった刀剣の付喪神だ」
「つ、つくもがみ!? え、神様ですか!?」
「まあ僕らは神の中では末席に位置するから、気にしなくていいよ」
と、会話したところで「伊達先輩はもう知ってますか?」とアキラが俺に声を掛けてきた。
『なにがや?』
「ナギ……いや、ネギ先生が右腕を飛ばした場外乱闘のこと」
『あ、あー』
しまった、もうやっとんか。と顔をしかめる。向かいに座る燭台切が「え、腕!? いおりちゃんならまだしもネギ君は治るのかい!?」と目に見えて慌て出した。三日月は出されたお冷やを慌てる様子なくずずずとすする。
「まあ、ここは摩訶不思議な事が起こる世界だ、腕くらいくっつくだろうな」
「あ、そっか」
『あっさり過ぎやろ光忠』
「はっはっは」
.
「よしっ、大丈夫そうだな。亜子さんに心配かけちゃったなあ、多分みんなにも……。でもこの危険は覚悟の上で父さんの名を名乗ったんだし、それに……みんな、どうしてるだろう。元気に……して、るかな……」
朝焼けに包まれながら呟いたネギを、三日月は見つめていた。光忠といおりは近くの宿でまだ宿で睡眠をとっているのだが、なにゆえ自分は爺、早く目が覚めてしまったので昨日来たところへやって来ている。書き置きは残してきた。
「やあ、坊や」
「み、三日月さん!!? 無事だったんですね! よかった……って事は」
「うむ、いおりも光忠も無事だ」
「よ、よかったです! 怪我でもしてたらどうしようかと……」
「はっは、安心しろ。我ら刀剣男士、依代である本体さえ傷つけられなければ怪我はせぬ」
「すごいですね」
「ふむ、俺は驚いたぞ。俺より一回り程小さかったお主が大人になっているのだ。鶴が見れば飛び付くな」
「……鶴、ですか?」
「ああ、鶴丸国永、奴も付喪神でな、常に驚きを追い求める奴だ。確か驚きがなければ俺は死ぬと言っていた俺とそれほど変わらん爺のよ。アイツは驚かすのが好きでな、畳の下から天井から、挙げ句秘密の通り道だといって壁に穴を開けたり落とし穴を作ったり」
「じ、自由奔放な方だったんですね」
「暇はせんかったし、腕は確かだしな」
そうですかと笑うネギに三日月は微笑みかけ、隣に行こうと一歩を踏み出した時だった。固くてトゲトゲしたものがボコッと頭に直撃した。
三日月の頭に。
「うっ」
「三日月さーん!!?」
「うわっ、わり三日月さん!」
「大丈夫ですか、三日月さん」
ぱたりと倒れた三日月に駆け寄るネギと固くてトゲトゲしたもの、パイナップルを投げた長谷川千雨と付き人の様な絡操茶々丸が駆け寄ってきた。三日月は気にするなと笑い飛ばし、むくりと起き上がる。
「いい威力だったぞ、なんといったかな」
「長谷川千雨だよ、大丈夫か三日月さん」
「そうか千雨か、いい名だ。神に名を教えるとは度胸があるな。神隠しされるやも知れんと言うに」
「え」
「まあする気は無いがな。俺の嫁は決まっている」
かかかと見た目のわりに野太い笑い声をあげた三日月に唖然とする二人と一体のロボットだった。
.
その後、ネギは小太郎と共に大会を勝ち上がり、他のメンバーがオスティアに来たところでマギアエレベアを覚えたり、フェイトと交渉決裂したり、ラカンが参戦した大会で引き分け、賞金は半々になったが時の気まぐれかラカンが残りの賞金を渡して来た。俺は基本、空気だったけど。怒濤の展開についていけなかったのだ。
ネギ達がいる控え室で光忠や三日月も安心、またはよきかなと笑っている。光忠はにやにやと笑うラカンに声を掛けた。
「いやぁ、亜子ちゃんとネギ君のこととか、あの拳闘大会? みたいなののラカン君とネギ君の戦いすごかったね。でも、あの全身から光線を出す、なんだっけ『エターナルネギフィーバー』? 名前がかっこよくないよラカン君!」
「こまけえ事は気にすんなよ光忠! かっけーじゃねーかあれ!」
「全く、君は…」
全くかっこよく無いよラカン君! と小言を言い出す光忠にみんながざわめく。「あの人にラカン君なんて言える人いたんだ」とか。もちろんみんなは光忠がエヴァより歳上なのを知らないのが理由なんだが。
「はっはっは、なにゆえ凄まじい戦いであったぞラカン。流石の俺も息をするのを忘れたからなあ」
「おいおい三日月さん、あんたほどの奴に褒められると照れるぜ!」
「ちょっと! 三日月さん、褒めちゃダメだよ! 彼はかっこいいとはなにかわかってない!」
他のみんなは今度はあのジャック・ラカンが三日月にさんをつけたことに驚愕している。確かに、二人とも見た目はラカンより若いけど。
『あー、みんな。光忠と三日月は実はなエヴァちゃんより年上やねん。三日月に関したら1100越えとるねん』
「「「ええ!?」」」
「だから爺だと言ったろう」
「僕もそこそこだけどね」
「光忠はともかく11世紀から歴史を見てる人に敬称は外せねーだろ」
ネギや小太郎には既に教えていたのでそれ以外のみんながなんだそうなのかと納得しているとき、小太郎が口を開く。
「やっぱ三日月の爺ちゃんの言う通り、俺も旗から見とってビビったわ」
『あー、ほんまなぁ。ネギ君もマギアエレベア覚えたし俺と同じになったなあ』
すると、みんなが『え?』と一斉に俺を振り向いた。あれ、いってなかったっけ。
『俺、一応マギアエレベア使えんねんで? オリジナルエヴァ直々に叩き込まれたし副作用を自分の一部として飲み込んだから俺既に人間ちゃうし。俺もネギ君みたいにオリジナルスペルとか作ったわー、火力がぶっとんどったけど』
そう言うとなんでいってくれなかったんだー! とか教えてあげればよかったじゃなーい! とか言われた。
『俺もネギ君みたいにふたつともコンプレクシオーしたわ、エヴァちゃんと対戦して引き分けたでドヤァ』
「な、なんで教えてくれなかったんですかー!? 偽マスターに教わって僕はあんなに血ヘド吐いたのに! いおりさんに教えてもらった方がよかったですー!」
『ん? そんなん言ってエエのネギ君? 俺の特訓は多分……エヴァより血ヘド吐くことになっとったで?』
「!?」
.