「なぁアスカ・・・これはコイツらを倒せばいいのか?」
「で、でも私今動いたら死ぬんだよ!?」
「そんな玩具で人を殺せるってのは馬鹿の発想だな」
コルウスは手馴れた手つきなのか、私の首に当てられているナイフを、ポッキーでも折るかのように折って、折った部分を金髪の人の首に投げた。
「ぐっ・・・・」
金髪の人は血を流しながら倒れた。
「致命傷じゃあないが、もう動くのは無理だろうな」
コルウスは血を指に当てて、ペロッ、と舐めた。
「マズっ」
コルウスはそう呟いて赤髪の女の人の後ろに回りこんで、手刀を食らわせて気絶させた。
「今のうちに逃げるぞ」
コルウスと私は倉庫の扉を開けて逃げ出そうとすると、そこには数人の男がいた。多分さっきの男が呼んだ人だろうけど。
「ったく・・・・邪魔なんだよなぁ」
コルウスはどんどん黒服の人を殴って倒すけれど、倒し損ねた黒服の男が何かスプレーみたいなのをコルウスに吹きかけた。
「ッ・・・・・・!!」
コルウスは一瞬で表情を変えて、ショックでもしたのか、そのまま気絶した。
「コルウス!」
「へっ、手間取らせやがって!さぁ連れてくぞ!」
黒服の男の手が私に伸びた瞬間―
その手は止まった。
「何をやってんだ?」
そこには、目が殺意に満ちたお父さんだった。いつも熊みたいに大きい体が、一回りも二周りも大きく見える状態だった。
「ウチの娘に手を出したあげく・・・また連れて行こうとはな。相手も自分も無傷―今はその掟を捨てる。容赦ない処刑を見せてやる」
お父さんは、私が目で追えない速度で黒服の男達の頭を叩き潰していた。お父さんと一緒に来た千桜くんと、蒼太も目を見開いていた。きっと目で追えなかったんだと思うけれど。
「さぁアスカ、帰るぞ。」
お父さんは、まるで修羅のようだった・・・・それが私の感じたことだった。
終わり(なんだったんだいったい)