キセキの世代×ナミ【黒バス&ONE PIECE】

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1:桜◆kk:2017/10/23(月) 18:46 ID:7ZY

私の大好きなナミちゃんを取り巻く、キセキの世代や他のみんなのお話。

とりま帝光から書きます

帝光中学生のナミ
二年前の姿(まだFカップやな)
帰宅部だが、キセキの世代と仲良し
黒いセーターを着てる

61:桜◆kk:2017/11/04(土) 18:35 ID:KMA

「ナミっちー!おはようっス!一緒に食堂行こうゴファッ!!」

「女子の部屋に勝手に入ってくんな!!!」

枕を投げられたはずなのに、ドンッて音がした…本当に枕投げられたのか?

「着替えるからちょっと外で待ってて」

「了解っス!」

最近ナミっちは、誠凛の伊月サンが気になっていて、アプローチをかけている。中学から片想いしてる俺からしたら、もちろん面白くない。

「涼太くん、おまたせ」

「全然っスよ?さ、はやく行こよ」

オレは練習着だけど、ナミっちは制服の上からパーカーを着ていて、短い髪をポニーテールにしててとにかく可愛い。

「あ、この時間って誠凛も食堂にいる時間じゃない」

「なんで知ってるんスか?」

「リコさんが一緒にどう?って」

「ふーん…そうっスか」

「なんで不機嫌になってるわけ?」

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「…あ、俊くんだわ!テツたちもいる!行きましょ!」

オレの手を引くナミっち。完全に桃っちと同じ顔をしている彼女に、胸がチクチクと痛む。

「俊くん!!」

「ゴフッ…な、ナミか。おはよう」

「おはよ!!」

伊月さんに後ろから抱き付くナミっち。オレは頬を膨らませながら黒子っちの隣に座った。

「テツもおはよ!か、火神ちゃんもね!」

「おはようございます、ナミさん」

「お、おう!」

火神っちが顔を少し赤くした。ナミっちも顔を赤くしながら、オレの前である火神っちの隣に座った。

「…2人とも、何かあったんですか?」

黒子っちが問いかけると、2人はビクッと分かりやすく反応した。

「ななな、何もねぇよ!!なあ?ナミ!」

「そっそうよ!!考えすぎよテツ!!」

明らかに怪しい返事をする2人に黒子っちはそうですか、とだけ返した。

「おい火神、黒子、はやく食え。カントクがトレーニングするってよ」

「分かりました」

「うっす」

2人はオレたちに別れを告げて、誠凛の主将さんとトレーニングに向かった。オレたちも笠松先輩に言われて、プールへ足を運んだ。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「そういえば由孝、あんたリコさん口説いて殴られたんだって?」

「なんだナミ、嫉妬か?安心しろ。オレの本命はお前だよ…っていだだだだだ!!」

「リコさんが迷惑そうに言ってきたのよ」

森山先輩がナミっちの肩に手を回すと、その手をナミっちは思い切りつねった。

「あんなバカみたいな口説き文句で口説かれたのは初めてだって」

「やっぱり誠凛の監督には子猫ちゃんはまずかったか…」

真剣にどこから取り出したか分からないメモに書き込む先輩に、オレもナミっちもかける言葉がなくなった。

「でも、安心しろ」

ニコリと笑う森山先輩の意図が分からなくて、ナミっちとオレは顔を見合わせてから、もう一度先輩を見つめる。

「ナミ以外は彼女にはしないからな。」

「フンッ!!」

「ゴフッ!!」

ウィンクをする先輩の顔に、ナミっちの拳が決まった。オレはひっ、と声を出してしまう

「そんなことはイケメンの前に付く残念取ってから言え!!」

「どういうこと!!?」

ーーーーーーーーーーーーーーーー

この異端な合同合宿は、一泊だけの合宿。今日の夜にオレたちは帰る。

「みんな、I.H予選もがんばってよね!」

「次は負けねぇっスよ!!」

誠凛のみなさんに別れを告げてから、バスに乗り込む。

「ナミっちのマネージャーも終わりか〜…」

「次は予選か…がんばりなさいよ。あたしは行けないけど」

「え、来ないんスか?」

「用があって東京に帰るの」

ナミっちの言葉に、オレは絶句する。予選も来てもらえると思ってたのに…

「ちなみに、なんの用っスか?」

「ちょっとね…」

話せない、という顔を彼女がするので、追求するのを諦めた。

「応援はしてるから。がんばりなさいよ」

「ナミっち…!」

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「どうせ他のみんなも応援してるんでしょ?」

「うっ…」

62:桜◆kk:2017/11/04(土) 18:56 ID:KMA

今のナミの設定

海常高校1年
スリラーバークの時の髪型(分かるやろ?あれやん。ポニーテールやん)
Iカップ
赤司と一緒で二重人格
だけど副人格は主人格を見守ることにしている
伊月に猛アタック中

63:桜◆kk:2017/11/04(土) 21:27 ID:KMA

「ただいまー」

あたしは東京に帰って来た。あいつと会うために。

「ナミ!おかえり!」

「ノジコー!!」

ノジコとハグをして、自分の部屋に荷物を置きに行く。

「久しぶりね。まあ、今夜はゆっくりしていきな」

「ええ。明日、あいつに会ってくるわ」

ーーーーーーーーーーーーーー

あたしは家を出て、電話をかけた。どうせあいつは都予選すらもサボってるでしょ

『もしもし?あたしだけど』

『おう。どうした』

『マジバに来て。あんたに話したいことがあるの。』

電話を切ってから、あたしもマジバへ向かう。あの娘はきっと都予選だから来れないだろうけど。

「ごめんごめん、遅くなった」

「お前…自分から呼んどいて遅刻はねぇだろ」

「だからごめんって」

あたしが呼び出したのはかつて、テツの相棒だった青峰大輝。

「で、なんでオレを呼んだんだよ」

強さゆえに外れた道を歩む、キセキの世代の1人だ。

「あんたに紹介したい人が…ってゆーかチームがあるのよ。」

あたしがそう言うと、ピクリと少しだけ眉毛を動かした大ちゃん。あたしはそいつが飲んでいるシェイクを奪っ…もらって、飲む。

「そのチームはオレより強ぇのか?」

あざ笑うかのような反応をする大ちゃん。腹が立ったので、シェイクを全部飲んでやった。

「まぁ待ちなさいよ。紹介させて。」

仕方ねぇな、みたいな顔をするので、足を蹴ってやった。

「誠凛高校バスケ部。テツがいるチームよ。」

テツ、という言葉にやはり少しだけ反応する大ちゃん。あたしは気にせず話を続ける。

「テツは新しい相棒と出会ったわ。そして、涼太くんに練習試合とはいえ勝ったわ。」

「……」

「テツはあんたにきっと勝つ。」

すると大ちゃんは大笑いした。冷たい、バカにしたような笑い声だ。

「それで?そのテツの相棒っつーのは?」

「火神大我。あんたたちを倒す、唯一無二の存在。」

あたしには、確信があるんだ。あいつは必ず、キセキの世代の頑丈な扉を破壊する。

「悪ぃなナミ…オレに勝てる存在なんかいねぇんだよ。」

「まだあんたに勝てないかもしれないけど、あいつらはあんたを倒す。見くびらないことね」

つまらなそうな顔をする大ちゃん。その顔は中学から知っているので、少し安心する。

「それとね!!誠凛にすごいかっこいい人がいてぇ、伊月俊クンっていう人なのよ♡」

「聞いてねぇし…」

呆れた顔をする大ちゃんは、完璧にあたしの知っている大ちゃんだ。

「その人はあたしにアイスを買ってくれる代わりに、あたしの心を奪ったの…♡」

「好きなのか?」

「え?うーん…ふふっ、ウン!」

そう返すと、涼太くんみたいな不機嫌な顔をする。まるで中学時代に戻ったみたいで嬉しい

「そうかよ…まるで女子だな」

「誰がメスゴリラですっってぇ!!?」

大ちゃんの顔を思い切り殴る。

「メスゴリラは言ってねぇ!!思ってても言ってねぇ!」

「思ってんのかよ!!」

もう2発お見舞いしてやった。大ちゃんにたんこぶがプクーッとできる。

「とにかく、話はそれだけ。あんたと話せて良かったわ。」

「おう。じゃあな。」

大ちゃんと別れて、マジバを出てからケータイを見ると涼太くんからLINEが来ていた。

涼太くん:都予選1回戦ウィン!!

勝利をウィンと変えているのに多少いら立ちを覚えるが、勝利に喜んでいることが伝わってきて頬の筋肉が緩む。

おめでとう、と送って歩き出す。

64:桜◆kk:2017/11/05(日) 14:52 ID:KMA

涼太くん:今から緑間っちと黒子っちたちが戦うからナミっちもおいでっス!

というLINEをいただいたので、あたしは会場へ足を運んだ。そして、涼太くんと一緒にいるという笠松先輩を探す。

「あ、いたいた。今どんな感じなの?」

「どっちも3時間前に試合してるから、結構疲れてんな。けど、緑間は温存されてて、火神も色々あって温存。」

「ふーん…」

涼太くんの隣に座る。そして、彼の手にあったミネラルウォーターを奪った…んじゃなくて、もらって飲む。

「オレらのことは聞かねぇんスか?」

「勝ったんでしょ。知ってるわよ。」

「もしかして…オレたちが勝つって信じてたんスか!?」

「いや信じるもなにも…あんたから結果報告のLINEきてるし…」

「あ」

「アホか…。…試合始まんぞ」

ーーーーーーーーーーーーーーーー

ずっと均衡だったところを、先制点を真太郎の3Pで取った秀徳。

「均衡が破れた!」

「これで流れは秀徳だ…!!」

涼太くんと笠松先輩が驚く。あたしはよく分からなくて、いまいち付いて行けない。

だけど、負けじとテツが火神ちゃんにパスを出した。そして、火神ちゃんが一気にシュートを決める。

(ってゆーか、あのテツのパス…なに!?初めて見た…!)

初めて見るテツのパスに観客と秀徳はもちろん、誠凛のみんなも驚いていた。

「勝負は」

「これからだろ!」

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「つーかお前ら…か、か、かんせ、間接キ、キ、キ、ス…」

「なんでそんなに顔赤いの?」

「オレたち中学からナミっちとは間接キスぐらいはしてるっスよ。」

65:桜◆kk:2017/11/05(日) 16:43 ID:KMA

緑間っちが、いつもとは違う動きをした。

珍しいっスね…緑間っちは外れる可能性のあるシュートは打たない…

(けど今のはいこうと思えばいけたんじゃ…!?)

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「緑間っちが封じられてる?」

「ああ。あの透明少年の、回転式長距離パスでな」

オレとナミっちはどういうことか分からなくて、笠松先輩の説明を黙って聞く。

「緑間のシュートはその長い滞空時間中にDFに戻り、速攻を防ぐメリットもある。
だが全員戻るわけじゃねー。万一外した時のために、残りはリバウンドに備えてる。」

「つまり?」

「その滞空時間がアダになるんだ。緑間が戻れるってことは、火神が走れる時間もあるってことだ。
戻った緑間の、さらに後ろまで貫通する超速攻がカウンターでくる。
だから緑間は打てない。」

「「……」」

ゴクリ、と唾を飲みながらコートを見る。

「にしても、そのパスを見せつけるタイミングと判断力、一発で成功させる度胸…再確認したぜ」

まるで、本当に警戒すべき相手を見つけたような顔で笠松先輩が見ているのは

「アイツ、ああ見えてオマエと帝光中にいただけはある。百戦錬磨だ。」

黒子っちだった。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「俊くんが抜かれた!!」

速い!!俊徳の10番は伊月さんを抜いた。そして4番にパスを回して、シュートを決めさせた。

だけど、黒子っちのパスによってすぐに誠凛も返す。

「先輩、あの10番の名前分かる?」

「ああ。高尾和成。秀徳のPGだよ」

「ふーん…」

ナミっちは興味深そうに10番を見る。ナミっちが他人に興味を持つのは珍しい。

「え…」

「ウソだろ…」

「へ?」

ナミっちと笠松先輩の視線の先を見ると、さっきナミっちが興味を持った10番が、黒子っちのマークに付いていた。

「ムリじゃね!?」

「でも、考えなしってわけでもないでしょ」

その10番は、黒子っちのパスを防いだ。黒子っちのパスが失敗したんじゃない。止められたのだ、10番に。

「タダ者じゃなさそうね…高尾和成くん。」

66:桜◆kk:2017/11/05(日) 17:58 ID:KMA

テツのパスを高尾くんがスティールをする。

ーーねえ、聞いて

テツと真太郎の試合を見ていると“私”が声をかけて来た。久しぶりだ。

ーー私、すごい能力(チカラ)を手に入れたかもしれない…ううん、持っていたかもしれない

ーーどういうこと?

ーーあなたも一度使ってる。でも、意図して使ってるわけじゃない。

ーー……

ーーいつか気付くわ

ーーーーーーーーーーーーーーーー

あたしと私が話している最中でも、試合はどんどん進むで行く。

テツと火神ちゃんの連携も、俊くんや日向さんたちも全部…彼らはとめる。

「真太郎って…あんなところからシュート打てたっけ?」

「いや、あんなところから打ってるのは見たことないっス…」

涼太くんやテツも、中学の頃と比べて強くなった。でもそれは、真太郎も同じ。

どんどん真太郎はシュートを決める。もう真太郎はとめられない。

「まじぃな…いよいよ誠凛、万事尽きたって感じだ」

「いや…どうスかね…」

(そんなもんじゃねぇだろ…まだまだ限界なんか程遠いっスよ
これからだ…あいつの秘められた才能(センス)が開放されるのは…!!)

涼太くんの視線の先には、火神ちゃんがいた。まるでケモノのように目をギラつかせている。

「あの目…たしか…!!」

そこで、第2Qが終わった。

67:桜◆kk:2017/11/05(日) 19:44 ID:KMA

「結局ズルズル離されて前半終了かよー」

「てか終わりだろ。もう帰ろーぜー」

インターバル中、あたしたちの後ろに座っていた人がそんなことを言って帰ってしまった。それに涼太くんはむっとする。

「っも〜…根性見せろよ誠凛〜!!」

笠松先輩がそんな涼太くんをなだめる。

「見せてるよバカ。
あんだけ力の差見せられて、まだギリギリでもテンションつないでんだ。むしろ褒めるぜ」

「……あたし、ちょっと行ってくる!!」

「ちょ、おい、ナミ!」

「確認したいことがあるからー!!」

あたしは誠凛の控え室へ向かった。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「失礼しますッ!!!」

沈黙な空気の中、あたしはその空気を壊すかのように控え室へ入った。

「ナミちゃん!!?」

『なんでっ!?』

みんなが驚く中、あたしはある目的の人物の前へ向かう。

「火神ちゃん、少しいいかしら」

「……?おう」

あたしは火神ちゃんの前へ立つと、見つめた。

ただ、見つめるだけだった。

「…ありがと。もういいわ。」

「は!?いや何を確認したんだよ!!」

「秘密よ。んじゃ、後半もがんばってね!」

あたしがそう言うと、みんなが暗い顔をした。そして、日向さんが口を開く。

「正直、勝てるイメージがねーよ…」

日向さんの言葉に、みんなも小さく頷く。

「…そんな気持ちでいたら、一生勝てるわけないじゃない。無理よ無理」

『グハッ!』

「ってゆーかね、キセキの世代のNo. 1シューターよ?死ぬ気で挑まないと勝てないに決まってるでしょ。バカなの?なに?バカガミ?」

『ゴフッ!!』

「おい!なんでオレを入れんだよ!!みんなもダメージ喰らってんな!!」

火神ちゃんを華麗に無視して、あたしは続ける。なんでリコさんまでダメージ喰らってるの?

「最後の最後まで諦めちゃダメよ。でしょ?テツ」

「はい。」

テツの方を見ると、なにかのビデオを見ていた。俊くんがなんのビデオだと聞くと、前半のビデオだとテツは答えた。

「なんか勝算あるのか?」

「え?さあ?」

「は!?」

「“勝ちたい”とは考えます。けど、“勝てるかどうか”とは考えたことないです。」

そう言うテツの背中は、たくましかった。

「ってゆーか、もし100点差で負けていたとしても、残り1秒で隕石が相手ベンチを直撃するかもしれないじゃないですか。
だから試合終了のブザーが鳴るまでは、とにかく自分のできること全てやりたいです。」

「いや落ちねーよ!!」

「え?」

日向さんと一緒に、あたしも突っ込む。

「さすがに隕石は落ちないわよ!!ってゆーかスゴイわね、その発想!!」

「いや…でも、全員腹痛とかは…」

「つられるな!!それもない!」

テツにつられた土田さんに、俊くんが突っ込む。それを見たコガが笑って、その笑顔はみんなに伝染した。

「とにかく最後まで走って…結果は出てから考えりゃいーか!!」

最後は日向さんの言葉でしまった。

「いくぞ!!」

『おお!!』

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「ただいまー」

「おせーよ!もう始まんぞ!」

「ごめんごめん!」

さ、第3Qスタートよ!!

68:桜◆kk:2017/11/05(日) 20:45 ID:KMA

「あれ…?黒子っちベンチスか」

「まぁ…高尾がいる限りしょーがねーだろ。にしても無策っつーか…」

試合が始まる。いきなり真太郎がシュートを打つと、誰もが思った。

でも、火神ちゃんが飛んだ。

防ぐことはできなかった。

「見て…」

火神ちゃん、試合中にどんどん高く飛くなってる…!

そして、ギリギリで真太郎のシュートが入る。こんな真太郎の入り方は、初めて見た。

そういえばおは朝占いで、蟹座(真太郎)は獅子座(火神ちゃん)と相性最悪だったわね。おもしろい試合になりそう…!

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「あれ…?」

今一瞬…一瞬だけ、火神ちゃんが真太郎のシュートを防いだような…

でもそんなことがあれば、会場はもっと盛り上がるはず…見間違いってわけでもなさそうだし…

すると、火神ちゃんが真太郎のシュートを防いだ。だけど4番が打ち込む。

「うそでしょ…!」

それよりもあたしは、“二度見た光景”に驚きを隠せなかった。

4番が打ち込むことは見なかったけど、あたしは確かに火神ちゃんが真太郎のシュートを防ぐのを見た…!そして、そのあと火神ちゃんは真太郎のシュートを防いだ。

「なんだったの…今の…」

「……?火神っちが緑間っちを止めたけど、4番が打ち込んだんスよ」

「分かってるわよ!!」

「ええ!?なんで怒ってんスか!!?」

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「“キセキの世代”と渡り合える力。そして、バスケにおいて最も最大な武器の一つ…
あいつの秘められた才能…それはつまり
天賦の跳躍(ジャンプ)力!!」

あたしは今、夢でも見ているのだろうか。

火神ちゃんが、人間では飛べないであろう高さを飛んで真太郎からボールを取った。

「でも…火神ちゃんの様子、変じゃない?」

ずっと1人で走って、取って、また走る。なんでパスしないの?

こんなバスケは、あいつらと一緒じゃない!!

そんな状況が続いて、第3Qが終了した。

69:桜◆kk:2017/11/05(日) 23:14 ID:KMA

「おっ、黒子っち出てきたっスね」

「火神をいきなりぶん殴った時は、どーなるかと思ったけどな」

始まった第4Q。ちゃんと落ち着いた顔をしている火神ちゃんに、安心の溜息が出る。

テツに殴られたから、頭が冷えたのね。次はちゃんとパスを出している。

(でも、もうさっきのジャンプの回数は限られてる…どうするつもり?リコさん!!)

すると火神ちゃんは、回数が限られているジャンプで真太郎のシュートを防いだ。

「大切なジャンプをここで使うの!?」

「たぶんハッタリのためだ。」

「へ?」

「緑間はムリなシュートは打たない。予想を超える火神のジャンプが“まだあるかも”って思わせたら、少なくともシュートを打つ回数が減ると考えたんだろ。」

なるほどね…さすがリコさん!やることがあっぱれだわ

すると、一度もテツを見失わなかった高尾くんが、テツを見失なった。そしてテツは、パスをする。

「あのパスは…!!」

そのパスは、加速した。

そして、テツからパスを受け取った火神ちゃんがシュートを決める。

「やりやがった…アイツ…ついに…」

「うん…!」

ダンクで真太郎をふっ飛ばした。

(しかも…今のパスは中学時代…“キセキの世代”しか獲れなかったパス…!!)

きっと今、あたしと涼太くんの考えは一緒だろう。

「って!じゃなくて、ガス欠寸前で大丈夫なんスかアイツは!」

「確かに!!しかも大切なジャンプを使っちゃったわよ!」

「まあ…今のは無理してダンクする場面でもなかったって見方もあるな。
ってかそもそも、ダンクってあんまイミねーし」

「派手好きなだけスよ!アイツは!」

「いやあんたもでしょーが」

「けどじゃあ、全く必要ないかって言えば、それも違うんだよ。点数は同じでも、やはりバスケの花形プレーだ。それで緑間もふっ飛ばした。」

「……」

「今のダンクはチームに活力を引き出す、点数より遥かに価値のあるファインプレーだ」

「チームに活力を引き出すファインプレー…」

やっぱりスゴイヤツよ、大ちゃん…!

ーーーーーーーーーーーーーーーー

火神ちゃんが抜けたあとも、攻防戦を繰り広げてついに誠凛は2ゴール差まで追い付いた。

「ねえ、涼太くん…あたし、あんたたちの都予選に行かずに東京に帰ったじゃない?」

「……?うん」

「あれさ、大ちゃんに会いに行くのが目的だったのよ。」

「…ってことは青峰っちに会ったんスか!?」

「まーね。」

「なんで!?」

「大ちゃんに警告?注意?分かんないけど…そんな感じよ。」

「どんな警告したんスか?」

「火神大我と黒子テツヤ、そして2人のいる誠凛高校バスケ部は、あんたたちを倒すって。」

「そんなこと言っても、どーせあの人は笑うだけっスよ」

「笑われたわよ。ま、見くびんなって言っといたけど」

70:匿名さん:2017/11/08(水) 00:22 ID:KMA

残り2分で誠凛が1ゴール差まで追い付いた。そこで秀徳がT.Oを取る。

「最後のT.Oね…流れは今誠凛だし、いつ追い付かれてもおかしくない」

「秀徳が突き放すか、それとも誠凛が追いすがるか。分かれ道のT.Oだ」

T.Oが終了して、また試合が始まる。

「ねえ、キセキの世代ってなんなの?」

「そりゃお前…才能とか能力の塊みたいなもんだろ。天才ってやつだよ」

するとテツが、真太郎にパスされたボールをスティールした。そしてそのボールを日向さんが受け取って、ゴールへ走る。

「それなら…人一倍努力をした人は…」

だけど秀徳の4番(大坪)が、日向さんのシュートを防いだ。

「努力の天才ね。」

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「なんか…ブキミっスね。残り3分、もっと激しくなるかと思ったんスけど…」

「ああ…秀徳がペースを落としてから、急にスコアが凍りついちまった。残り1分…おそらく動き始めたら一気だ…!!」

すると、真太郎が3Pを決めた。点差は5。それでも即座に、日向さんが俊くんからパスをもらって3Pを決める。

「時間がない…!このまま終わるのかしら…」

「残り15秒!!」

「誠凛逆転の最初で最後のチャンスだ…!!」

4番(大坪)が日向さんのマークに付いた。

「3Pを最優先で止めに来た…!」

「それでも誠凛には3Pしかねぇ。日向が決められなきゃ負けだ!」

残り10秒のとき、日向さんは3Pラインからはるかに遠いところまで走った。

「遠いわ!あんなところからは…!!」

それでも日向さんは、俊くんから、そしてテツからパスをもらう。

「決めろ、日向ァ!!」

俊くんの声が聞こえた。

そのあと、キレイに彼が投げたボールはゴールネットに入った。

「誠凛の逆転!!」

涼太くんが、笠松先輩が、客席のみんなが歓声を上げる中、あたしは1人の男を見ていた。

高尾和成

「まだよ…!」

彼は真太郎にボールを投げた。

「よく分かったな、ナミ。高尾がまだ動くことが」

「見えたのよ…!彼の呼吸、心拍、汗、重心の位置、筋肉の収縮とか、彼の全てが…!!」

「え、それって…!」

私が言っていたあたしたちの能力

それは、未来を見ること

「そう。征十郎と同じ眼よ…でも、少し違うのはあたしは、征十郎よりも速く見れる。」

「どういうことだ?」

「征十郎は呼吸、心拍、汗、重心の位置、筋肉の収縮とか、相手選手の全てを見抜くことであらゆる動きを正確に先読みしていた。
だけどあたしは、身体を見れば全て見抜けるみたい。」

「赤司っちが天帝の眼(エンペラーアイ)なら、ナミっちは女帝の眼(エンプレスアイ)っスね」

女帝の眼(エンプレスアイ)…!

この眼は何かの力になるかもしれない。

71:匿名さん:2017/11/08(水) 01:19 ID:KMA

残り3秒で、真太郎は試合終了のブザーとともにシュートを撃とうとしている。誰もがとめられない、誠凛の負けだと思った時、彼は跳んだ。

「ダメ…!」

でもそれは、真太郎の計算内で。だから真太郎は火神ちゃんが跳んでから、自分はボールを下げた。フェイクだ。

(緑間真太郎…!!百戦錬磨は黒子だけじゃねぇ…!!)

今度こそ、終わりだと思った。

でも、あたしの眼には映った。彼がボールを撃つところが。

「僕も信じてました。火神くんなら跳べると。そして、それを信じた緑間くんが一度ボールを下げると。」

彼はボールを撃った。

「テツ…!!」

ボールは真太郎の手から落ち、試合終了のブザーが鳴った。

「帰るか」

「あ、ちょっと待って!あたし行ってくる!」

「おい、どこにだよ!」

「まぁまぁ先輩。どっかでメシでも食いましょうよ!ナミっち、店決まったらLINEするっスね」

「うん!ありがとう!!」

あたしは笠松先輩と涼太くんと別れて、アイツの元へ向かった。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「真太郎」

「…ナミか」

雨に打たれる緑頭を見つけて、駆け寄る。

「お疲れ様。」

「何も言わないのか?」

「なんか言われたいの?」

あたしがそう言うと、真太郎はふっと笑った。

土砂降りの雨の中、真太郎が風邪をひかないように傘に入れる。

「試合見てて思ったけど、高尾くんといい4番の人といいすごいわね、あんたの学校は」

「俺のチームだ。すごくなくては困るのだよ」

すると、いきなり真太郎のスマホに電話がかかってきた。出ると甲高い大きい声が聞こえる。

『あーーミドリン!!ひっさしぶりー!!どーったった試合ー!?試合ー!?勝ったー!?負けたー!?あのねーこっちは』

こ、この声は!!あたしは急いで真太郎のスマホに向かって声を上げた。

『さつき!!あんたさつきでしょ!?相変わらずね元気そうね!!』

『え、ウソ、ナッちゃん!!?なんでー!?ってゆーか、ひさしぶりーー!!』

あたしの親友で、大ちゃんと同じ高校に行った桃井さつきだ。

『ちょっと涼太くんと試合見に来てて!!』

『あー、たしかきーちゃんとおんなじ学校に行ったんだよねー!?ウチに来れば良かったのにー!!』

『ごめんごめん!!だって大ちゃんと同じ学校だとアホだと思われるし!』

耳元で叫ぶのは勘弁してくれ、と真太郎にスマホを渡された。

『おい、誰がアホだって?』

『え?そりゃぁ大ちゃんって…え?え、え?」

高い声から、低い声に一気に変わった。

『だ、大ちゃん!?…別に久しぶりって感じしないわね。』

『うるせーよ。もっと別れを惜しめよな、お前も』

『あんたなんかいつでも会えるし…ってゆーか真太郎と変わるわよーー』

『おう』

72:匿名さん:2017/11/08(水) 16:15 ID:KMA

あたしは自分のケータイでも、さつきに電話をする。隣では真太郎と大ちゃんが電話している

『さつきー!元気だった?』

『もちろん!ナッちゃんは?』

『あたしも元気!なに?あんた高校でもマネージャーしてんの?』

彼女は元帝光中学バスケ部のマネージャーだった。

『そうだよー。ナッちゃんはマネージャーしないの?あ、でも敵になっちゃうか…』

『しないわよ。あんたたちと敵になりたくないし。』

あたしがそう言うと、さつきはあの甲高い声で喜んだ。

『そうだ、今度ウチと闘うのがテツくんの高校なんだよ。』

『そうなの?』

『うん!だから観に来ない?』

さっそく、大ちゃんと火神ちゃんの試合が観られるってことね…さつきには言いたいこともあったし、あたしは観に行くことにした。

『じゃあ今度誠凛に挨拶に行くから、一緒に行こう!』

『分かった!また電話して』

『うん!じゃあね』

あたしが電話を切ると、もう真太郎と大ちゃんの電話も終わっていた。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「あ、いたいた真ちゃーん!」

すると、高尾くんが走って来た。手には真太郎のものと思われる傘が握られている。

「もう帰るよー!って、隣のかわいい娘誰?彼女?あれ、でも海常の制服だよな?」

「そんな訳ないのだよ。こんな品のない女」

「フンッ!!」

「ゴフッ!!」

失礼なことを言われたので、思い切り膝を腹に入れてやった。すると高尾くんが大笑いする。

「ちょっ、真ちゃんのそんな声初めて聞いたんだけど!!ギャハハ!」

「うるさいのだよ高尾…!…こいつはナミだ。帝光で一緒だったのだよ。彼女でもなんでもない」

「どうも、ナミです!あんたは高尾和成くんでしょ?試合観たわよ!すごかったわね!」

「まじで!?いやー、ナミちゃんみたいなかわいい娘にそう言われたらテンション上がっちゃうなー」

高尾くんは試合の時の印象とは違って、かなり明るい人のようだ。仲良くなれそう…

「あ、LINE来てる…」

LINEを見ると涼太くんからだった。

涼太くん:鉄板キッチンってとこにいるっス。迎えに行こうか?

「なぁ真ちゃん、腹減ったしメシ行かねー?」

「どこに行くのだよ」

「えー…どこにしよ」

真太郎と高尾くんの会話を聞いていたあたしは、即座に涼太くんにLINEを返した。

「ねえ、あたしも行っていいかしら?」

「もっちろんだよー!」

「じゃ、行くわよ!」

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「高尾くんってなんか遠くない?」

「じゃあ和成?」

「いいねぇ!」

「あたしもナミって呼んでよね」

「おっけー!」

73:匿名さん:2017/11/09(木) 00:34 ID:KMA

「すまっせーん」

涼太くんと笠松先輩がいるという店に、あたしと真太郎と和成が入る。

「おっちゃん、三人空いて…ん?」

真太郎と和成が固まったので、あたしも店を覗き込む。すると、涼太くんと笠松先輩しかいないと思っていたのに、誠凛がいた。

「店を変えるぞナミ、高尾」

「ちょ、真太郎!!外は…」

すごい豪雨、と言う前に真太郎は外へ出た。そして無言で戻って来る。

「あれっ?もしかして海常の笠松さん!?」

「なんで知ってんだ?」

「月バスで見たんで!!全国でも好PGとして有名じゃないすか!!」

次は和成だ。笠松先輩に近づいて、誠凛さんたちの方へ席を移動させる。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「「「「「……」」」」」

(((((((あの席パネェ!!!)))))))

みんなの声が聞こえる。ってゆーか、なんであたしもここにいるの!?気まずっ!!

「や、やっぱりあたしは…」

「まってください、ナミさん」

みんなのいる方へ行こうとすると、テツに腕を掴まれた。

「だってテツ!!このメンツの中にいるのはいいわ!慣れてる!!でもね、四つしかないイスにあんたと座るのはさすがに気まずいわ!」

そう。あたしたちが座っている席は、イスが四つしかない。そのうちの一つに、テツとあたしが2人で座るのはさすがに気まずい。

「場違いだと思うわ!試合にも出てないし!」

「そんなこと言ったらオレもっスよ」

「うっさい駄犬!!…とにかく、あたしは場違い!以上!」

「そんなこと言わなくても…それに、ナミっちも“あのこと”言った方がいいんじゃないスか?」

涼太くんの言う“あのこと”とは、きっと女帝の眼(エンプレスアイ)のことだろう。

「言わなくていいのよ。別にバスケしないし」

「いやそこまで言われたら、余計気になるっつーか…」

火神ちゃんの返事に、テツと真太郎が頷く。

「そんなに大したことないから気にしないで!ま、とにかく食べなさいよ!リコさんたちも!今日はウチのデルモとメガネが奢ります!」

「なっ…!」

「ちょ、ナミっち!?」

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「何か頼みましょう。僕たちも来たばっかりなんです」

「オレもう結構いっぱいだから、今食べてるもんじゃだけでいいっスわ。」

「よくそんなゲ◯のようなものが食えるのだよ」

「なんでそーゆーこと言うっスか!?」

真太郎と涼太くんのやり取りに、ふっと笑みが溢れる。

「いか玉ブタ玉ミックス玉たこ玉ブタキムチ玉…」

「なんの呪文っスかそれ!!」

「頼みすぎなのだよ!!」

「大丈夫です。火神くん1人で食べますから」

「ホントに人間か!?」

そして、あたしとテツも火神ちゃんに続いて頼む。ついでに真太郎の分も頼んでやった。

「真太郎、ほらコゲるわよ」

「食べるような気分なはずないだろう」

「負けて悔しいのは分かるっスけど…ほら!昨日の敵はなんとやらっス!」

「負かされたのはついさっきなのだよ!」

真太郎がめんどくさいので、焼けてるやつを口に突っ込んでやった。素直に真太郎はそれを飲み込む。

「むしろ、お前がヘラヘラ同席している方が理解に苦しむのだよ。一度負けた相手だろう。」

真太郎の言葉に、あたしは隣に座る涼太くんを見た。

「そりゃあ…」

涼太くんが不敵に笑う。

「当然リベンジするっスよ。インターハイの舞台でね。」

テツと火神ちゃんも涼太くんを見た。

「次は負けねぇっスよ」

火神ちゃんも噛んでいたものを飲み込むと、ニヤリと笑った。

「ハッ、望むところだよ」

「黄瀬…前と少し変わったな。…目が変なのだよ」

「変!?…まぁ、黒子っちたちとやってから、練習はするようになったスかね。あと最近思うのが…海常のみんなとバスケするのが、ちょっと楽しいっス」

涼太くんが優しく微笑んだ。

たしかに涼太くんは変わったかもしれない。でもね、これが本来の涼太くんよ。

「…どうやら勘違いだったようだ。やはり変わってなどいない。」

やっと食べる気になったのか、真太郎がもんじゃに手を付ける。

「戻っただけだ。三連覇する少し前にな。」

「…けど、あの頃はまだみんなそうだったじゃないですか。」

「お前らがどう変わろうが勝手だ。だがオレは、楽しい楽しくないでバスケはしていないのだよ」

テツと真太郎の会話に、その場の空気が一気に暗くなった。

74:匿名さん:2017/11/10(金) 23:26 ID:KMA

「お前らマジ、ゴチャゴチャ考えすぎなんじゃねーの?楽しいからやってるに決まってんだろ、バスケ」

「なんだと…」

そんな空気を壊すように火神ちゃんが言った。

「……何も知らんくせに、知ったようなこと言わないでもらおうか。」

真太郎は冷たく言い放つ。すると、“べっしゃあ”とお好み焼がみんなの席から飛んで来た。

「あ」

「…とりあえず、話はその後だ」

どうやら和成がひっくり返そうとしたお好み焼が、飛んで来て真太郎の頭に直撃したらしい。真太郎が怖い顔をして立ち上がる。

「高尾、ちょっと来い」

「わりーわりー…ってちょっとスイマッ…なんでお好み焼ふりかぶってん…だギャーー!!」

和成の悲鳴の後、ガッシャーンとものすごい音がした。

「火神くんの言う通りです。今日試合をして思いました。」

「?」

「つまらなかったら、あんなに上手くなりません。」

そう言うテツの顔は、笑っていた。

「…そうね。真太郎はツンデレだから、きっと素直になれなかっただけよ。」

ふっと笑って、涼太くんと火神ちゃんに微笑みかける。

「さ、涼太くんと真太郎の奢りだから食べるわよ!!ほら、追加で注文したのも来たし!」

「そうだな!」

「ちょっと!勝手になに追加してんスか!?」

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「お、もう雨やんだんじゃね?」

「ホントだ。」

「じゃー、いい時間だしそろそろ帰ろうかー」

誰かがそう言って、あたしたちは解散することになった。

「火神、一つ忠告しといてやるのだよ」

席を立つ真太郎が、火神ちゃんに声をかけた。

「東京にいるキセキの世代は二人。オレともう一人は青峰大輝という男だ。決勝リーグで当たるだろう。」

火神ちゃんは黙って真太郎の話を聞く。あたしも静かに聞き耳を立てる。

「そして、奴はオマエと同種の選手だ。」

「はあ?よくわかんねーけど…とりあえず、そいつも相当強ぇんだろ?」

「…強いです。…ただ、あの人のバスケは…好きじゃないです」

テツが低い声で火神ちゃんの質問に答える。あたしと涼太くんは、黙ってその様子を見ていた

「…フン、まぁせいぜいがんばるのだよ。」

「…緑間くん!」

真太郎が店を出ようとすると、テツが声をかけた。彼にしては珍しい、大きな声だ。

「また…やりましょう」

「……当たり前だ。次は勝つ!」

真太郎のその言葉に、胸があたたかくなった。

テツと火神ちゃんという新たな刺激を受けて、彼の枯れた魂に火がついた。

「待って真太郎!!あたしも帰る!」

「あ、ナミっちは東京に荷物があるんスか…気を付けて帰るんスよ!」

「はーい!!」

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「5万…ええ!?って緑間っち帰ったし!」

「黄瀬くん、ゴチになります」

75:匿名さん:2017/11/11(土) 00:55 ID:KMA

「真太郎!あたしも一緒に…って和成!?」

店を出ると、真太郎のチャリアカーに和成が乗っていた。

「今日はジャンケン無しでいーぜ?」

和成の言葉に真太郎は目を開くと少し笑顔を浮かべた。

「……フン。してもこぐのは高尾だろう。」

「にゃにおう!?」

(真太郎…いい相方、見つけたじゃない)

二人の関係性にふっと笑ってしまう。

チャリアカーにあたしも乗せてもらって、真太郎にもたれながらそんなことを考える。

「ま、次は勝とうぜ」

「当然のことを言うな」

「ただお前のラッキーアイテムはなぁ…」

「次からはぬからないのだよ。今度はもっと大きい信楽焼を買うのだから」

「サイズの話じゃねぇよ!!」

なんて二人の会話を聞いていたら安心感からか、眠気が襲って来てしまった。

「しんたろー…ねむい…」

「オレにもたれて寝ておけ」

「え、真ちゃんってナミの家知ってる!?道案内頼むぜ!!」

「いや、オレの家でいいのだよ」

「へ?なんでっ?」

「コイツがいつでも泊まれるようにと、オレたちの家に勝手に泊まるための道具をおいていった」

「え、パジャマも?」

「パジャマは中学のジャージを着るのだよ」

「ふーん…」

二人がその話をしてる間に、あたしは寝てしまった。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「ナミ、起きるのだよ。風呂に入れ」

「んー…」

「ったく…」

仕方なく、コイツを風呂まで運ぶ。べっ別に脱がすわけではないのだよ!!

「ナミ、やるぞ」

「へー…?…ぶぶぶぶ!!!」

シャワーの水圧を最大に強くして、顔面にぶっかけてやる。

「やめんかァッ!!」

「ゴッ!」

アッパーを喰らって、ナミの目が覚めたことを確認する。

「ってアレ?真太郎?和成は?なんであたし濡れてんの?」

「…お前がチャリアカーで寝て、今オレの家にいるのだよ。お前が起きなかったからシャワーで起こしたのだよ」

「そうだったんだ…。…お風呂入りますね〜」

アッパーを喰らったアゴがヒリヒリと痛むが、気にせずに風呂場を出て行く。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

クローゼットからナミの下着が入っている袋と、自分の帝光のジャージを取り出す。

「……」

特に情があるわけではない。

あるとすれば、オレが自分の相方から逃げてしまったという悔いぐらいだろう。

存在を否定してしまった。逃げ出してしまった。向き合おうと、誰一人しなかった。

いや、ナミと虹村さんだけは違ったか。

「お兄ちゃん、ナミが呼んでるのだよ」

「もうあがったのか…」

かなり考えていたようで、妹がオレを呼びに来た。オレは風呂場へナミの着替えを持って行った

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「真太郎、お先。あんたも入るでしょ?」

「今から入るのだよ。先に寝ておけ。お姉さんに連絡はしておいたのだよ」

「ありがとう。おやすみ」

「ああ」

ナミのお兄さんはいろいろと面倒だからな。お姉さんに連絡をする方がはやい。

「……」

次に黒子と火神たちが戦うのは桐皇学園高校。

そこには、かつての黒子の光(相棒)がいる。オレたちキセキの世代は、あいつを筆頭に崩壊したと言えるのだよ。

その頃からだろう。ナミが一人で泣いていたのは。オレたちの背後で泣いていたのを、オレは知っている。

そして、その涙をぬぐっていたのは、いつもあいつの幼馴染だったのだよ。

(次の試合は、ナミに大きな影響をきっと与えるのだよ…)

どっちが勝っても、どっちが負けても、ナミは変わる。

とおは朝占いが言っていたからだ。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「先に寝ろとは言ったが…ハンモックを使っていいとは言ってないのだよ!!」

「いいじゃないッ!ケチ!!」

「お前にだけは言われたくないのだよ!」

76:匿名さん:2017/11/11(土) 16:49 ID:KMA

「……」

「……」

「…あああ!もうイヤ!!」

「諦めんの早いっスよ神楽っち」

「あんたのせいよ!」

あたしと涼太くんは今マジバにいる。何をしてるかというと、勉強である。

テツと真太郎の試合が終わって、神奈川に帰って来た。そして、海常高校ではもう少しでテストがある。

中学の時なら征ちゃんと真太郎がいて、二人の次に頭が良かったあたしは二人のサポートだけで良かった。

だけど、高校でみんなと離れたら、必然的にあたしが一人で教えることになる。

「だいたいあんた、なんか噂で勉強そこそこできるって聞いたわよ。あれ嘘だったの?」

さっきから分からないと言うところを教えて、分かったかと聞くと返ってくる答えは、

ちょっと分かんないわからないっス

だけである。

「そこそこはできるっスよ。現に赤点取ってないし」

「そうだけど!!」

「ほら泣かない泣かない。じゃあ気分転換にちょっとお話しようっス!」

あんたのせいよ、と真向かいに座っている涼太くんを睨み付ける。

「そうお話!オレ、ナミっちに聞きたいことあったっス」

「聞きたいこと?」

「ナミっちってキセキの世代と仲良いでしょ?誰と1番仲良いんスか?」

それは、崎ピョンこと灰崎祥吾と修兄こと虹村修造もキセキの世代に入るのか?

「う〜ん…征十郎…あーくん?いや大ちゃん?う〜ん…やっぱ征十郎かしら?」

まぁこの三人とは頻繁に一緒にいたからほぼ同じぐらいだけど。いや、もちろん他の奴等とも仲良い。

「赤司っちっスかー。なーんか意外な感じがするっスね。赤司っちみたいなタイプとナミっちみたいなタイプって、合わない気がする」

「そう?あたしがうるさいタイプだから、静かに話を聞いてくれる人とは相性がいいの」

涼太くんは眉を下げながらそうっスか、と呟いた。

「じゃあじゃあオレはその中でどんぐらいの順位っスか?」

「崎ピョンよりは上よ、たぶん」

「いやショーゴくんはキセキじゃないから…しかもたぶんって何なんスか!?」

「あ、そっか」

「…そう言えばショーゴくんって高校どこいったんスかね、まぁ興味ないけど」

「あれ、どこだっけ?聞いたけど忘れたわ」

「聞いたんスか?電話で?それともLINEで?」

「電話が掛かってきたの。お前どこ行ったんだ?って、だからあたしも聞いたんけど…なんだっけ…」

うーんと唸るが全く思い出せない。一文字も思い出せない。

涼太くんはなんか、ショーゴくんから電話ショーゴくんから電話ショーゴくんムカつく、とかぶつぶつ呟いている。不気味なやつだ。

「キセキの世代の人達とよく電話するんスか?」

「遠方組とは頻繁にするわ。あとの奴等はまぁたまにね」

そう言うと涼ちゃんは少し不貞腐れたような顏をした。

「オレとも電話してくださいっス!」

77:匿名さん:2017/11/11(土) 16:59 ID:KMA

「何バカなこと言ってんのよ。あんたとは学校で散々喋ってるでしょーが。電話でまで話す必要ないでしょ」

学校ではほとんど一緒に居るんだから、電話までするなんて馬鹿らしい。あたしはお前の彼女か。

「でもナミっちにおやすみとか言われたいっス!」

そう言って口を尖らせる。だからあたしはお前の彼女か。

否、違うわ。

「それじゃああたしがあんたの彼女みたいじゃない。学校でもずっと一緒で夜電話しておやすみ、とか彼女以外の何者でもないわよ!なんなら付き合う?養ってくれる?」

最後喧嘩口調になったのは見逃してくれて構わない。

そんなことより何故か涼太くんは顏を真っ赤にしている。

「や、養うって…」

「あ、ほんのジョークよジョーク」

「もぉナミっちーー!!からかわないで下さいっス」

「そんなにあたしが好きなら落としてみなさいよ。あんたにできるかしら、坊や」

これも冗談で言ったつもりだが何故か涼太くんの目が燃えていた。

「あ、そんなことより勉強よ!!ほら、ノート開いて!また一から教え直し!!」

いつの間にか閉じてやがったノートを開けさせる。くそ、征ちゃんと真太郎がこんなに苦労してたなんて…

「ここはね、こうなるわけだから…ここまで理解した?涼太くん」

「いやまだ分からないっス」

その返答を聞いた瞬間、手元にあった空のジュースの紙コップを涼太くんの顔面に向かって投げつけた。

「ブッ!!」

痛がる涼太くんを見て満足するが、これではテストの勉強が全く進まない。

……あ、前方に笠松先輩発見!!

あたしは涼太くんを置いて、笠松先輩に後ろから抱きつく

「ナミっちーー!!!置いてかないでっスーーー!!!!」

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「かーさまーつせーんぱいっ!」

「うおっ!…ナミか。どうした?」

「ちょっと助けてよ!今デルモに勉強教えてるんだけどね、全然アイツ理解しないのよ!」


「別にいいけどよ…後ろの方でそのデルモがお前のこと必死に探してるぞ」

「哀れね、黄瀬涼太」

「お前結構性格悪いな」

78:匿名さん:2017/11/11(土) 18:35 ID:KMA

「ナッちゃーーん!!」

「さつきーー!!」

ガバッ

そんな音が聞こえそうなほど、強くお互いを抱きしめる。

彼女の名は桃井さつき。夜遅いのに駅まであたしを迎えに来てくれた、あたしの親友だ。

「誠凛が明日はカントクさんの家が経営しているジムのプールで、朝練をするって情報があるから、今日はうちに泊まっていきなよ!」

「そうするわ!」

明日は土曜日ってことで、さつきの情報収集がてら誠凛のみんなに会おうと思ったのだ。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「ナッちゃんさー、恋してるでしょ」

さつきの家に行って、お風呂とごはんを済ませてから、さつきの部屋で女子トークをする。

「え!!?」

「あはは、分かりやすいね」

あんまり恋愛とか恋バナとかに縁がなかったあたしは、そういうのに免疫がない。なので、つい照れてしまう。

「誰々!?ナッちゃんの好きな人!元カレみたいな感じの人!?」

「えー…違うわよ〜」

元カレが一人、いるだけだ。そういえば、さつきには話したことがあるけど、写真は見せたことがなかったっけ…

「せ、先輩なのはそうなんだけど…」

「へえ〜…たしか元カレも先輩だったよね?他校の…」

「元カレのことはもういいから!」

そう何度も何度も元カレを連呼されると、なんだか恥ずかしい…

「えっと…せ、誠凛の…」

「誠凛の!?」

「い…」

「い!?」

「伊月、俊くん…」

名前を出した途端、恥ずかしくなって布団に潜り込む。

「誠凛のイーグルアイを持つPGの伊月俊さんかぁ…」

「うん…」

さすが情報通。俊くんのことも詳しい。ってゆーか、あたしばっかりだったけど…

「あんた、テツとはどーなのよ」

そう聞くと、さつきのうっとりとした顔から恋する乙女に変化した。

「テツくんね!たまに連絡取るよ!!」

「へえ、告白は?」

「こくはっ…!?だ、ダメだよ!!大事な試合前なのにそんな…!」

「あぁ、ゴメンゴメン」

テツは試合とかは鋭いくせに、恋愛だけには疎い。さつきの大胆なアタックも、なかなか気付いてないだろう

「明日はテツくんと会える…!ナッちゃんも、伊月さんに会えるじゃん!」

「……うん…!」

こうやって、さつきと恋バナをできることがすごく嬉しい。

あたしはほんっとうに恋愛に縁がなかったから、テツに恋をするさつきが少し羨ましかった。だから、俊くんという心を撃ち抜いてくれた相手に出会えたのが、嬉しい

「恋バナはちょっと終わりね。…さつき、あんたに伝えないといけないことがあるの。」

「?」

「征十郎って、天帝の眼を持ってたじゃない?未来が視える眼。その能力が、あたしにもある」

「え、ええーーーー!!!??」

予想通りの反応だ。

「それがあたしの能力、女帝の眼。征十郎と違うのは、少し身体を見れば分かること。そして、体力が切れそうな人しか先読みできない」

これは、最近分かった。涼太くんたちの部活中、レギュラー以外の人は外周の後ぐらいから見切れるけど、レギュラーの人たちは練習が終盤に近付くと見切れるようになった。

「でも、体力が限界に近付けば近付くほど、あたしはその人の先の先の未来まで視ることができる。」

「女帝の眼…」

女帝の眼の話を終えた後、もう一度恋バナをしてからあたしたちは眠りについた。

79:匿名さん:2017/11/11(土) 20:02 ID:KMA

ピィッという笛の音と、バシャバシャという水の音。そして荒い息遣い。更衣室まで聞こえるその音が、練習が辛いことを分からせてくれる

「はい、一分休憩ー」

「あー!キッツイマジ!!」

日向たちが休憩に入ったと同時に、ナミと桃井の着替えが終わり、更衣室を出る。

「面白い練習してますねー」

上から聞こえるその声に日向が顔を上げると、しゃがんで自分を見ている謎の女と、立って自分を見ているナミがいた。

パーカーを着ても隠し切れない豊満な身体に、日向は言葉にならない悲鳴をあげる。

「ーーーーーーーー!!?」

「…どうしたキャプ…っておお!!?ナミ!と誰!?」

伊月たちが振り向くと、顔を赤くした。その中でも、冷静な男が一人。

「…桃井さん、ナミさん」

「知り合い!?」

黒子だ。黒子に続いて、リコも二人に声をかける。

「えっ…とナミちゃんと…どちら様?」

「えーと…なんて言えばいいのかなー?」

「そのまんまでいいんじゃない?」

ナミが少し動くと、紺と白の縦シマのビキニが揺れる。それに男はうっ、と反応する。

「じゃあ…、テツくんの彼女です♡決勝リーグまで待たなくて、来ちゃいました」

「テツくん?」

「黒子テツヤくん♡」

少しの間のあと、

『ええええええ!!!!』

という大声をその場にいるみんなが出した。ナミはぷっと吹き出す。

「黒子ォ!!お前彼女いたの!!?」

「違います。中学時代、マネージャーだった人です」

「テツくん!?久しぶり!!会いたかったーー!!」

「苦しいです、桃井さん」

黒子がプールからあがると、桃井が勢いよく抱き付く。ナミも伊月の腕を自分の腕と絡ませる

「さつきがテツの彼女なら…あたしは俊くんの彼女かな?」

「え、あの…えっと、ナミさん?」

(羨ましすぎる!!黒子と伊月!!)

(いいなあ二人とも!しねばいい!!)

黒子と伊月が美女に絡まれてるのを、恨めしそうに見る他の部員。

「ちょっ…いやいやいやいや、伊月は分かるけどなんで黒子!?さえねーし薄いしパッとしないし!」

「え〜、そこがいいんですよ〜。でも試合になると別人みたいに凛々しくなるところとか、グッときません?」

桃井の意見に、伊月と腕を組むナミもうんうん、と頷く。

「あと…アイスくれたんです」

『はあ!?』

ーーーーーーーーーーーーーーーー

桃井の話が終わると、ナミと桃井がきゃーきゃーと話す。

「分かる!!さりげない優しさがいのよね!」

「そう!!ナッちゃんもアイスだっよね!」

二人の会話に、他の部員はそんなことで…と驚いているが、対する黒子と伊月はなんの話か分かっていないようだった。

「だからホントはテツくんと同じ高校に行きたかったのー!!けど…けど…」

「あたしだって俊くんのこと知ってたらココに来てマネージャーしてたのにー!!でもぉ…」

「二人とも…プール内は響くので大声は控えてください」

(((((((なんだこの展開…)))))))))

涙を流すナミと桃井に、静かに声をかける黒子。

80:匿名さん:2017/11/11(土) 21:59 ID:KMA

「なっ、ななな…いったいなんなのあの子!?ナミちゃんはいいとして…」

二人の美女に騒つく部員に、少し焦りつつも呆れるリコが日向に声をかける。

「そもそも、ちょっと胸が大きくてかわいいぐらいでみんな慌てすぎよもう!ねえ?日向くん?」

「……うん。そだね…」

チラ見する日向の視線には、ナミのIカップと桃井のFカップがうつっている。

「チラ見してんじゃねぇよーー!!」

そんな日向をリコが拳で成敗する。その様子を見ていた桃井が二人に声をかける。

「日向さん死んじゃいますよー」

「えっ、なんでオレの名前を…」

日向の問いかけに、桃井は怪しく笑う。ナミは桃井をじっと見つめる。

「知ってますよー。誠凛バスケ部主将でクラッチシューター日向さん。」

日向が驚く間も与えずに、次々と名前を出していく桃井

「イーグルアイを持つPGでナッちゃんの未来の彼氏、伊月さん。」

「なんか違う!!」

「無口な仕事人でフックシューター水戸部さん。」

「……!」

「小金井さんと土田さん」

「あれっ!?そんだけ!?」

「ギリギリBのカントク、リコさん」

「ふざんけなぁ!!」

桃井に対して目を釣り上げるリコ。ナミも大笑いしている。

「桃井さん…やっぱり青峰くんの学校行ったんですか」

黒子の言葉に、少し悲しそうに眉を下げる桃井。ナミも少し二人から目を逸らした。

「…うん」

ナミは目をつむりながら、強く下唇を噛む。

「ナミ…?」

それに彼が気付いた。

「アイツほっとくと、何しでかすか分かんないからさ…」

桃井は困ったように微笑んだ。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「少し、二人で話してもいいですか?」

「え、うん…でも午後の練習もあるから、それに間に合うようにね」

「はい」

ナミも空気を読んで更衣室へ向かおうとすると、誰かに腕を掴まれた

「っ、俊くん!」

「カントク、オレとナミも二人で話してもいいか?」

「伊月くんも?まぁ練習に間に合うならいいわよ」

「分かった。ナミ、外に行こう」

「…うん!」

プールに黒子と桃井を残して、他のみんなはプールを出た。

81:匿名さん:2017/11/12(日) 01:34 ID:KMA

「ごめん俊くん!おまたせ」

「大丈夫だ。さ、行こうか」

入り口の近くで、あたしを待っていてくれた俊くんは制服姿だった。

それに比べてあたしは、オレンジを基調とした花柄のTシャツと短パン…髪の毛も下ろしてるだけだし…

さつきと同じように制服着ればよかったかしら…でも制服は神奈川にあるし…

「そういえば、ナミの私服って初めて見るな。似合ってるよ」

「しゅ、俊くん…!!」

やっぱり私服着てきてよかった!!

ーーーーーーーーーーーーーーーー

適当に歩きながら、少し昔の話をする。

「大ちゃ…青峰はテツの相棒だったのよ。バスケが誰よりも好きで、テツとのコンビネーションも最高で…」

「うん」

「あたしね、アイツのバスケ好きだったの!テツとの連携でシュートを決めて、そのシュートを誰よりも喜ぶアイツがカッコ良かった!」

本当に、カッコ良かったの

「ってゴメンね!暗い話しちゃって!!もう戻りましょう、俊くん!」

「……そうだな。戻ろう!」

ーーーーーーーーーーーーーーーー

俊くんと一緒にジムへ戻ると、まださつきとテツは話をしているようだった。

「じゃあ、あたし帰りますね。さつきに先に帰ったって伝えといてください」

「ナミちゃん、」

「いいんですよ日向さん!どーせさつきも学校行かなきゃダメだから!!」

それに、好きな人とはもう少しいさせてあげたいしね

あたしはジムを出た。そういえばこの道を少し行った先に、バスケコートがあったっけ…

少し、撃ってみようかしら

82:匿名さん:2017/11/12(日) 03:29 ID:KMA

あたしがコートに行くと、誰かがいるようだった。近付いてみると、それは火神ちゃんと大ちゃんだった。

(二人で1on1…?でもたしか、火神ちゃんの足は真太郎との試合で…)

その時、あたしは視えた

圧倒的な速さで抜かれる、“火神ちゃんを”

「お前の光は、淡すぎる」

そして、そのすぐ後に火神ちゃんは大ちゃんに抜かれた。

「っ、大ちゃん!!火神ちゃん!!」

怖くなったので、急いで駆け寄る。何が怖いってそりゃあ、誠凛バスケ部のカントク様に決まってる。きっと火神ちゃんは無理をしたせいで、リコさんにものすっごく叱られる。

「…ナミ。お前の予想は外れだな。こいつの光じゃ、オレは倒せねぇよ」

「……!!」

また冷たい目だ。

「うっさいわね!!あんたは光ってゆーより、闇でしょーが!あんた鏡見たことあんの!?全身真っ黒よ!」

「うるせーよ」

ムキになって言い返すと、大ちゃんはあたしの額を指ではじいた。

「じゃあな」

それだけ言うと、大ちゃんは行ってしまった。

「……」

火神ちゃんは座り込んだまま、何もしようとはしなかった。大ちゃんとの圧倒的な力の差に、ショックを受けているのだろう

「火神ちゃん…」

「…悪ぃ、ナミ。一人にしてくれ」

ーーーーーーーーーーーーーーーー

仕方ない。あたしは誠凛高校に足を運んだ。体育館では、みんなが必死に汗をかいて練習をしている。

(…練習しない人が勝つなんてない。アイツは絶対に負ける)

あたしの賭け、と言ったら軽いかしら…でもあたし、賭けには強いから

(よし、帰ろう!)

大丈夫。今のままでは勝てないかもしれないけど、火神ちゃんは大ちゃんへ突っかかることはやめない、はず!

(それがアイツ…アイツらの刺激になればいいんだけど…)

アイツらといえば…涼太くん、テツ、大ちゃん、真太郎は会えるからよしとして、あーくんと征十郎は元気なのかしら

あーくんとはよく電話するけど、征十郎とは最近してないわね…まぁ忙しいだろうし、アイツがかけてきた時にたくさん話せばいいわよね

あ、崎ピョンと修兄ともしてないわね…あとマコも

そんなことを考えているうちに、駅についた。これから、涼太くんたちがいる神奈川へ帰る。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「お前…育ったな」

「ぁ、ちょ、も、揉むなぁ…!」

「何してんだよアホ峰!!」

83:お香しゃちょー◆kk:2017/11/26(日) 03:08 ID:KMA

今日は大ちゃんとテツたちの試合だ。なのに、コイツときたら…!!

「コラ!いい加減に起きなさい!」

「あと五分だけ…」

「ダメよ。試合に間に合わなくなるから、はやく起きなさい!」

全然起きない!ったく…仕方ない

「あっ、ダメダメ、何するつもりなの、しんたろ、!ひゃっ、どこ触って…んん!」

「わあああ!!緑間っち!前から思ってたっスけどやっぱムッツリ、ス…ね?」

「おはよ、涼太くん」

「お、おはようっス。み、緑間っちは?」

「いない」

「……はーー!!?」

「はやく準備してよね〜」

寝ぼけてるバカにはこういう方法が手っ取り早いのよね。あと、ごめん真太郎!!

「ナミっちがそこまでバスケの試合に興味持つの、珍しいっスよね」

「バスケの試合じゃなくて、火神ちゃんと大ちゃんの試合に興味を持ってんの。」

「どっちみちバスケの試合じゃないスか」

「うるさい。はやく食べて東京に行くわよ!」

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「ありゃ、まーた遅刻っスわ」

「ほら!あんたがもたもたしてるから」

「しかもまた負けてるし…」

試合会場につくと、すでに試合は始まっていた

「ん?」

「どうしたの?涼太くん」

「いや、アレ…」

涼太くんが指差す方を見ると、見慣れた緑頭がいた。

「真太郎!!?」

「…む?
ナミっ!?それに黄瀬も!?なぜ気づいたのだよ!?」

「アホスかグラサンて!」

「ってゆーか恥ずかしいからソッコー外して欲しいんだけど」

「なにィ!?」

いやホント、マジの方で。周りの人たちの視線が痛いし

「あれスか?見たくないとか周りには言ったけど、結局来ちゃったんスか?」

「テキトーなことを言うな!近くを通っただけなのだよ!」

「いやあんたの家、真逆じゃない」

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「で、どースか試合は?」

「…………どうもこうもないのだよ。」

涼太くんの問いかけに、グラサンを外した真太郎がメガネをカチャッと上げる

「話にならないのだよ。青峰がいないようだが…それでもついて行くのがやっとだ」

「大ちゃんいないの!?」

あんのガングロ!!今度会ったらタダじゃ済まさないんだから!

「まあ今、あの二人が決めたじゃないスか。これからっスよ」

「忘れたのか、黄瀬。桐皇には桃井もいるのだよ」

真太郎の言葉にハッとする涼太くん。あたしはさつきを探す。

「アイツはただのマネージャーではないだろう。中学時代、何度も助けられたのだよ。
…つまり逆に、敵になるとこの上なく厄介だ」

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「真太郎、さつきに関しては素直じゃない」

「ホントっスね。いつものツンデレはどこっスか?」

「ツンデレじゃないのだよ!ってゆーか、口に手を当てて笑うな!」

84:お香しゃちょー◆kk:2017/11/27(月) 01:29 ID:KMA

「桃っちスか…そーいや青峰っちと幼馴染だったスね」

「でもさつきって、テツのこと好きよね?むしろ本気なんて出せないんじゃ…」

もし、あたしが俊くんの敵なら本気なんて出せずに負けてしまうかもしれない。

「そうなのか?」

「気付いてなかったの!?バレバレっていうか、むしろ毎日アタックしまくりだったじゃない!!」

「あれ見て気付かないとか…サルスか!?」

「なにィ!サルとはなんなのだよ!!」

真太郎って…ホンットに恋愛には疎いわね…賢いのにバカみたい

「…まあいい。だったら尚更なのだよ。」

「え?」

「黒子が試合で手を抜かれることを望むはずがないのだよ。そもそも、アイツのバスケに対する姿勢は選手と遜色ない。
試合でわざと負けるような、そんなタマではないだろう。」

「…そうね。」

あたしは選手でもなければ、マネージャーでもない。でも、手を抜かれたらそれが親友だろうが、好きな人だろうが、許せない。

「ナミっちー、ケータイ鳴ってるっスよ」

「え、ウソ!ったく誰よ!!」

荒々しくポケットからケータイを取り出すと、青峰大輝という名前が表示されていた。

(は?大ちゃん?あのガングロ、試合出てないくせにあたしに電話できるわけ?)

「ごめん涼太くん、真太郎!あたしちょっと出るわ」

「了解っス」

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「もしもし」

『お前出んの遅ェよ』

「うっさい!!あんたもはやく試合に来なさいよッ!!」

『そう怒るなって』

電話の向こう側に怒っても仕方ない。こういうのは本人をハッ倒すのが一番だ。

「で、あんた今どこにいるわけ?」

『んぁ?あー…会場』

「はあ?はやく来なさいよ」

『迎えに来い』

「イヤよ。今試合見てるし!さつき見てるし!俊くん見てるし!」

『いいから来いや。どうせ第1Qはあと少しで終わんだろ?』

「もう第2Q始まってるわよ!!」

こいつと話してたらツッコミがいくつあっても足りないわ…

『お前が迎えに来ねぇなら、オレはこのまま帰る』

「駄々っ子か!!…今会場のどこら辺?」

『入り口のロビーんとこ』

「よりによって入り口なのね…今から行くから、絶対試合出なさいよ!」

『へいへい』

仕方なく、あたしはロビーへと向かった。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「いた!!ほら、行くわよ」

「もう来たのかよ…」

「迎えに来いって言ったのは誰よ…!!」

試合前じゃなかったら思いっきり殴ってたのに…くそっ

「んじゃ、行くか」

「はやくしなさいよね…ってきゃっ!」

あたしはあろうことか、エロ大魔神青峰大輝に片手でヒョイッと抱えられてしまった。

「離して!離しなさいよっ!ヤられる!!」

「ヤるかアホ!お前も行くぞ」

どこに、と言う前に歩き始めた大ちゃんは、右手にはカバン、左手にはあたしというカオスな状態だ。

「お前、オレたちのベンチでじっくり見とけ。」

「ッッ!!」

ゾクッと何かが背中を走った。まるでこいつは、ケモノだ。

「……わ、分かったわよ…」

あたしは落ちないように、そいつの腰に手を回した。大ちゃんの腕は、ちょうどあたしの腰回り。

「細いな、腹」

「ウエストって言ってくれるかしら…?」

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「お前…暴れたらオレの腕におっぱい当たるぞ」

「やっぱりヤられるぅー!!征ちゃーん!真太郎ー!涼太くーん!テツー!あーくーん!修兄ー!ナミゾーウ!」

「だから暴れんなっつの!あとまだヤらねぇ」

「まだってなによ!!ヤる気満々じゃない!」

85:お香しゃちょー◆kk:2017/11/28(火) 21:46 ID:KMA

あたしは今、大ちゃんに抱えられながら試合会場へ向かっている。

「大ちゃん、お尻触んないで」

「ケチなこと言うなよ」

「ハッ倒すわよ」

扉を開けると、みんな試合に夢中で異質なあたしと大ちゃんには気付かない。

「行ってこい!」

「ウス!」

ちょうど、誠凛がメンバーチェンジをしたところだった。大ちゃんは嘲笑うように火神ちゃんに近付いて、肩に手をまわした。

「そーそー、張り切ってくれよ
少しでもオレを楽しませられるようにさ」

「……!!テメェ…青峰!!」

「ナミちゃん!!」

やっと大ちゃんとあたしに気付いたみんなが騒ぎ出す。

「アレって…ナミっち!!?」

「なぜ青峰と一緒なのだよ!!」

はやく下ろしてもらおうとジタバタしていると、チームメイトらしき人が大ちゃんに声をかけて来た

「やっと来たかまったく…早よ準備して出てくれや!!」

「えー?つか勝ってんじゃん。しかも第2Qあと1分ねーし」

その人の顔はあまり見えなかった。だけど、監督さんとその人は大ちゃんを試合に出そうとしている。

「そうだコイツ、ウチのベンチで見せるぜ。」

「はあ?誰やねん、このお嬢さん」

「あー?あー…オレの彼女?」

「違うわッ!!はやく下ろしなさいよ!」

「いいよな?オレが試合出てやるからよ」

「…好きにしてください。桃井さん、このお嬢さんをウチのベンチへ」

「は、はい!ほら青峰くん!ナッちゃん下ろして!!」

「へいへい」

やっと下ろされたあたしは、とりあえずあたり一面を見渡した。

「荷物持っとけ」

「はあ?…ぶっ!」

上着やらカバンやらを好き勝手に投げられたので、腹が立って捨ててやった。

「脱いだもん全部投げんなーーー!!!」

「あーー!!ナミッ、テメ!」

「あんたたちあたしを荷物持ちだと思ってんの!!?か弱い女子に汗くさいジャージ投げるなーーー!!!」

すると、ずいぶん前にあたしに荷物を預けてバスケをした涼太くん、テツ、火神ちゃんがビクッと反応したのをあたしは見た。

「中学の頃からそうよ!!ったく…」

「結局持つのかよ!!」

「あとでたっぷり“おかえし”もらうから」

「仕方ねえな…
じゃあ…ま、やろーか。」

86:お香しゃちょー◆kk:2017/12/07(木) 00:31 ID:XNo

その後、桐皇のリードで終わった前半戦。いつもなら誠凛の控え室に行くところだけど、そうもいかなかった。

「ナミ、行くぞ」

「はあ!?もうベンチで見たじゃない!!涼太くんと真太郎が心配してるから、戻りたいんだけど!」

「知るか」

デカイ態度を取る大ちゃんにイラついて、あたしから荷物を取って桐皇の控え室に行こうとする大ちゃんのふくらはぎを、足で思いきり蹴ってやった。

「テメェ…選手の足を…!」

「ほとんど試合に出てないんだし大丈夫よ」

「…先行っとくぞ」

ポケットからケータイを取り出すと、涼太くんから大量に電話がかかっていた。あたしは電話帳から涼太くんを探し出す。

『もしもし!ナミっち!?』

「うん。あ、ごめんね?涼太くん。あたしベンチで見るつもりじゃないんだったんだけど…」

『青峰っちに連れて行かれたって感じだったっスね…分かってるっス』

「そう、良かった…今日はもう戻れそうにないから…」

『了解っス。帰る時にまた連絡して?迎えに行くから』

「うん、分かった。」

涼太くんとの電話を終えてから、大ちゃんたちの控え室に足を運んだ。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「大ちゃーん、さつきー」

ガチャリ、とドアを開けると桐皇の人は驚いたようにこっちを見た。

「おー、ナミかぁ。久しぶりやな〜」

「そうね、翔一。久しぶり」

「知り合いなの!?ナッちゃん!」

メガネで関西弁の男が話しかけて来た。

「知り合いもなんも…」

「中学の時に言ってた元カレって、コイツだもん」

「……え?」

『はあああ!!?』

控え室を出ようとしていた大ちゃんを含めた桐皇の人全員が、大きな声で驚いた。

「きっ、聞いてないよナッちゃん!!」

「写真とか見せたことなかったから…それに、さつきたちと同じ高校だって知らなかったし」

「元恋人って…気まずくないんスか?」

たしかこの人は…

「何をゆーとんねん若松ぅ。ナミが神奈川行くから別れたんやで?」

そうそう、若松さん!大ちゃんがうぜーって言ってた先輩よね!!

「遠距離って難しいですから。それに、あたしには新しい相手がいるんで!」

「あーー、誠凛のPGか」

「そう!カッコイイでしょ?」

「そういえば、花宮とナミゾウ元気か?」

「元気元気。また会ってやってよ」

「せやな」

ポカンとしているみんなを置いて、あたしと翔一は会話を進める。

「そういえばナミゾウさんって…」

すると、ナミゾウという言葉に反応したさつきが口を開いた。

「霧崎第一のマネージャーやってるらしいですよ。なんでも、“奪う”眼を持ってるとか」

奪う眼…あたしの未来を視る眼とは違う種類かしら…

「奪う眼、ねぇ…」

「はい。その名は“海賊王の眼”(パイレーツキング・アイ)なんでも、その眼で見た選手の技術の分析を行い、弱点や癖、全てを読み取る眼だそうです」

あたしのエンプレス・アイとは違うわね…あたしは視ることはできるけど、奪うことはできない。

「ナミゾウが新たな敵ってことか…」

「大ちゃん!」

「たとえナミゾウでも霧崎第一でもオレには勝てねぇよ。オレに勝てるのは、オレだけだ。」

「……せやな。ナミゾウでも花宮でも、こっちには青峰がおるんや。強気で行こ」

そして、休憩が終わっていよいよ後半戦が始まった。

あたしは桐皇のみんなと、ベンチへ向かう。

87:お香しゃちょー◆kk:2017/12/11(月) 00:30 ID:XNo

ノジコ、ナミゾウの細かい設定


朱崎ノジコ
実は福田総合学園高校3年
静岡で一人暮らし
キセキの世代は弟だと思ってる
灰崎とは仲が良い



朱崎ナミゾウ
霧崎第一高校2年
幼馴染の花宮に誘われてマネージャーになった
キセキの世代とは普通に仲が良い(特に青峰)
東京で一人暮らし



ナミゾウの“海賊王の眼”は“泥棒猫の眼”(シーフキャット・アイ)に変更

ノジコの能力はまだ考え中

ナミゾウって実は芸名

ナミゾウはシスコンでナミゾウ大好き!って感じだけどノジコも大好き!

そして2人と同じぐらい花宮も大好き!学校では花宮とずっと一緒で、花宮もまんざらでもない

ノジコが行った学校にたまたま灰崎が来た

ナミと黄瀬みたいな関係なのがノジコと灰崎、ナミゾウと花宮



ちょっとノジコと灰崎、ナミゾウと花宮の小説書きますね

88:お香しゃちょー◆kk:2017/12/11(月) 02:56 ID:XNo

【ナミゾウと花宮(ほんのりBL感ありかも?)】

オレの幼馴染は花宮真。オレが生まれたとき、真の家はオレたちの家の向かいにあった。

「まーこーと!」

「あぁ?」

「今日ウチに来ねぇ?母さんもゲンのおっさんも仕事なんだよ」

「…仕方ねぇな」

小学校の頃から、母さんとゲンのおっさんがいないときはウチに泊まっていた真。

「マコーー!!」

「あ、真ー!」

「よぉナミ、ノジコ」

もちろんナミとノジコも真が大好きで、いつも真が泊まりに来るのを楽しみにしていた。

「マコ!今日はあたしと寝る?」

「あぁ?」

「悪ィけどダメだナミ!真はオレと寝る!」

「なんでよ!あたしもマコと寝たい!!」

「まあまあ…ナミはあたしと寝よ?」

「うん!」

「誰とでもいいから、早くメシ食おうぜ」

オレはナミのことが大好きで、なにかを許してたり譲ったりしていたけど、真のことはどうしても譲れなかった。

「ナミゾウ!!また真を泊まらせたな!」

「っるせーなジジイ!!真の名前を気軽に呼んでんじゃねぇよ!」

周りの奴になんて言われようと、オレは真の隣から離れようとしなかった。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「ナミゾウ」

「……真…」

母さんが死んだあと、オレは家を出た。

あんな腐った人間と一緒にいたら、オレまで腐っちまう。

「ナミとノジコが心配してた」

「……」

家を出て、街を歩いてたらスカウトされてモデルになった。そして事務所が所持しているアパートに住んだ。

それでも、真はオレに会いに来ていた。

「それだけだ」

「…………真!」

「あぁ?」

「オレ、お前とノジコと同じ中学行くから!その、えっと、くそ…し、心配すんなって伝えとけ!!」

「ふはっ」

いつものように笑っただけで、真はなにも言わずに事務所を去った。オレが稼いだ金を、ノジコとナミに届けるために。

(ナミが中学に行くまであと約一年…それまでにナミの学費稼げるか…?)

いや、稼げるかじゃねぇ。稼ぐんだ。

そして、ゲンのおっさんが死んだと聞いた。

中学に行ってから、オレはさらにモデル業に専念した。有名になって、テレビにも出るようになった。

「真」

「あぁ?」

「オレ、もう一回やり直してみるな!」

「…おう」

「そしたらしばらく会えねぇけど…」

「引っ越し、すんのか」

「おう。帝光の地区にいる母さんの親戚がアパート持ってて、タダで部屋貸してくれるって」

「そうかよ…じゃあ帝光中に転校すんのか?」

「しねぇよ?ノジコはするけど…オレがいなくなったらマコっちゃん、悲しいだろ?」

「…!ふはっ、誰がマコっちゃんだよ。んなワケねぇだろバァカ」

「えーー!ひでぇな〜、真は!」

そしてオレたちはナミが小6、オレが中1、ノジコが中2の冬にまた三人に戻った。

「真!!オレ、お前と一緒に高校行くからな!絶対連絡くれよ!」

「気が向いたらな」

「なんだよー!気が向いたらって!」

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「あーー!!原っ!お前真に近付きすぎ!!」

「別にいいじゃん。オレにも花宮貸してよ」

「ヤダねぇーっだ!あ!古橋!!あとザキ」

「オレはついでかよ!!」

「おーい、健太郎起きろよ〜」

「無視すんなっ!!」

「うるせぇよテメェら!!」

「怒んなよマコっちゃ〜ん」

89:お香しゃちょー◆kk:2017/12/11(月) 22:48 ID:XNo

【ノジコと灰崎】

「あれ?灰崎じゃない。なんでここにいんの?」

「ゲェッ!ノジコ!!」

「ノジコさん、でしょーが」

あたしはナミの二つ上の姉貴で、ナミゾウの一つ上の姉貴であるノジコ。

この灰崎祥吾という男は、中学の頃のサボり仲間だ。ナミと同い年であり、友達でもある。

「なんでノジコサンが静岡(ここ)にいるんスか」

「その言葉、そのまま返すわ。…あたしは推薦よ」

「はあ!?一緒にサボってたのに頭良かったのかよ!!?」

「まあね。むしろサボってたのは授業が分かってたから。」

「そんなのアリかよ…」

ここは屋上。あたしのサボりスポットでもあるこの場所に、灰崎を誘ってあげたのだ。あたしって相当優しい。

「っていうか、あんたのその頭…なに?」

「高校デビューってことでイメチェンした。つーかナミは?」

「ナミは涼太と同じ海常。…まあ、神奈川ね」

すると灰崎は怖い顔になった。声も低くなる。

「…黄瀬に、ついてったのか…」

「……誘えっつーの」

「は?」

これは姉の特権で、その姉と同じ高校に来たこいつの特権だ。教えてやろう。

「ナミは、迷ってた。どこの高校に行くか、誰と同じ高校に行って支えるか。
あんた、後輩になったから教えてあげるけど、ナミはあんたのことも心配してたのよ。もちろん、他の奴らも。」

「……」

「だから誘えば、あんたと一緒にいることを選んだかもしれないのに…あんたたちは自分についてくるのが当たり前だと思って…!」

ナミは一人で、ナミにも選ぶ権利がある。

だからキセキの世代の中でも、一緒の高校へと誘っていた涼太と行ったのは正解だと思う。

「あんたたちってバカね…」

「……オレは別にナミと一緒に行きたかったわけじゃねェ。」

そう言うと灰崎はゴロンと横になった。あたしはその隣に座り込む。

「黄瀬と一緒っつーのが気に入らねェだけだ」

「……」

「でも…あんたがオレの隣にいてくれるなら、オレは負けねェよ?」

「どういうこと?」

「そのまんまだよ。あんたの推薦の理由、オレが知らないとでも?」

なんだ…知ってんのね。

「なあ…?朱崎ノジコ監督」

あたしの推薦は、もちろん学力の高さもある。だけど、女バスでやっていた監督としての能力も買われたのだ。

男子バスケ部に。

「あんた、知ってたのに聞いたのね?タチ悪いわー」

「っるせぇよ!!」

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「灰崎!!!サボんな!!」

「ぎゃーーー!!!鬼監督ッ!!」

「一人で外周20周ね!」

「本気で鬼か!!」

90:お香しゃちょー◆kk:2017/12/24(日) 02:04 ID:Ujw

今吉翔一

ーーたしか、あたしの元カレ。彼のことは、私もよく覚えているわ

ーーそうなの?

ーーええ。あなたに危害を加えるワケでもなから、彼は結構お気に入りだったわ

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「ねーねー、君って帝光の子だよねー?」

「俺らと遊ばなーい?」

コンビニに寄ったのが運の尽き。ガラの悪い高校生ぐらいの三人組に絡まれてしまった。

「えー無視ー?」

うざい。どうやって逃げようか、と考えていると1人の男が吹っ飛んだ。そして、もう2人も吹っ飛ぶ

「大丈夫やったか?嬢ちゃん」

「え、あ、うん…」

この人も、中学生だろうか。立ち去ろうとするその人の裾を、あたしは慌てて掴んだ

「あ、あの!!」

「ん?」

「あ…ありがとうございました!」

「礼にはおよばへんって。」

「あたし…ナミっていいます!!あなたの名前を教えてください!」

「今吉翔一や。よろしゅう頼むわ」

これが彼との出会いだ。今吉さんとはそのコンビニで頻繁に会って、友達になった。

それが、今吉翔一との出会いだ。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

ワーッと会場が盛り上がり、あたしは一気に過去から今に意識を戻した。

コートでは、大ちゃんがギリギリのところでシュートを打っていた。DFは、火神ちゃん。

点数は、51対39

(さすがね、火神ちゃん…ここまで大ちゃんに付いて来れた選手を見るのは初めてよ…でも、視えた!!)

一気に火神ちゃんがボールを投げる。速攻だ。

でもここで、アイツが速攻に追いついてシュートを防ぐ。

(あたしの眼で見たのは火神ちゃんが止められる未来…計算からして、今のは大ちゃんの未来じゃなくて火神ちゃんの未来…)

つまり、火神ちゃんの体力の消耗が激しいのに対して、大ちゃんの体力はまだ大分残っているということだ。

すると、大ちゃんのフンイキが変わった。

そして、誠凛のみんなをトリッキーな動きであざむかせる。

(このバスケ…知ってる!)

昔、修兄とアメリカに行った時に見た

ーー変幻自在

路上の(ストリート)バスケ…!

火神ちゃんを避けると、次は日向さんたちが3人がかりで大ちゃんをとめるために飛ぶ。

でも、大ちゃんはそのまま行った。

そして、ボールをゴールの裏に投げる。

誰もが外すと思われたそのシュートは、不思議なことにゴールに入った。

(これが、キセキの世代のエースの力…アイツのこの強引でめちゃくちゃなバスケは、常識(セオリー)が全く通じない)

それでも火神ちゃんの目に、諦めはなかった。


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