【リレー小説】学園女王【企画?】

葉っぱ天国 > 小説 > スレ一覧
55:ABN:2017/02/25(土) 20:13

(続き)



「ですが安部野くん。反逆者に勉学など必要ないのではありませんか? 処刑とは、反逆者に徹底的な罰を与えること。学ぶ機会を取り上げるというのも、立派な罰の一つだと思いますが」

「なるほど、神狩会計はそうお考えですか。……ところで、僕は白羽学園の一員になってまだ日が浅い。故にまだ、学園の全てを理解できていないかもしれないことを、一つご了承ください」


 美紀の意見に、一度考え込む素振りを見せる安部野。それからやけに勿体ぶった前置きを述べると、全役員に体を向ける。


「白羽学園の宣伝文句、それは進学校であることです。確かに治安の安定も大事な要素ではありますが、処刑によって得られる勉学面のメリットは薄いのではないかと思います。実際、処刑に力を入れすぎるあまり、勉学が疎かになっている生徒も見受けられますしね」


 ちらりと、安部野の目線が役員の一人、片原拓也に向けられる。昨日の今日で晃の玄関を破壊しようとしていただけに、拓也には俯いて彼の視線を回避することしかできない。だが、それ以上安部野は拓也に何をするでもなく、自分の弁論を続けた。


「それに勉学の機会を奪うのならば、処刑ではなく退学にしてしまった方が早いのではありませんか? これなら反逆者によって偏差値が下がることもありませんし、学園の治安も守られ、生徒の皆さんも勉学に集中することができるでしょう」


 ざわざわと、役員たちに動揺が走った。安部野の意見は確かに理に叶っているが、言っていることは現在執行されている処刑制度の否定だ。彼らと同じ考えを持った美紀は、すぐさま彼の意見に異を唱える。


「安部野くん。それは生徒会長が作った制度が間違っていると言いたいのかしら?」

「とんでもありません。これは飽くまで僕の見解です。先ほども言いましたが、僕はまだこの学園には疎い。もし退学ではなし得ない処刑のメリットがあるのなら、是非ともお教えいただきたいのですが……。お答え願えますか? 生徒会長」


 そう言いながら、安部野は問いの矛先を今度は百合香に向ける。
 安部野椎哉と風花百合香。穏やかな二つの仮面が向かい合わせになった瞬間だった。



(自分の意見が肯定されても否定されても、安部野は百合香さんの答えを聞いた時点で深入りせず、意見を肯定して引き下がる予定です。描写の参考にしてくださると幸いです)


ABN:2017/02/25(土) 20:33 [返信]

>>55 追記が紛らわしかったので補足すると、安部野は「百合香さんの」意見を肯定する形で引き下がります)
(結局三連続投稿になってしまい本当に申し訳ないです;)


全部 <前100 次100> キーワード
名前 メモ