【リレー小説】学園女王【企画?】

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59:ABN:2017/02/27(月) 23:20

(前回から時間が前後してすみません。晃くんが真凛ちゃんと千明にメールを送った少し後になります)



 藤野真凛と天本千明にメールを送ってから数十分後。パソコン画面の前で、晃は唸りながら首を傾げていた。


「どうしたの晃くん? もしかしてさっきのメール、無視されて……」

「いや、天本先輩から返信は来た。来たんだが……これがなあ」


 そう言って、晃はパソコンの画面を麻衣に見せる。表示されている受信メールの送信先は確かに天本千明のものだ。しかしその本文に目を通すと、晃に続いて麻衣も首を傾げたのだった。


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 その是非を答える前に、あなたたちに質問があります。
 風花百合香が行っている独裁政治について、おかしいと思う点はありませんか?

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「うーん……なにこれ?」

「な? アイツの独裁が徹頭徹尾イカれてるのは今更だろ。なのにどうしてこんなことを聞くんだろうな」


 校長をも凌駕する権力を持つ風花百合香。そんな女王を盲目的に崇める生徒たち。そして彼女に楯突く者への徹底的な処刑。
 これらのどこが異常だと問われれば、全てとしか答えようがない。故に晃はこの質問の意図が分からず、千明宛ての返信を送るに送れなかったのだ。


「独裁、独裁……関係ないかもしれないけど、風花百合香の処刑制度が始まったのっていつだっけ?」

「確かアイツが副会長になってからだから、俺たちが入学した頃……大体一年前だな」

「うええ、一年でここまで汚染されたのかあ。しかもこれが来年も続くんじゃ……ん?」


 落胆と共にこぼした自分の言葉に、麻衣はふと違和感を覚えた。違和感は彼女の脳内で瞬く間に展開され、やがてそれは一つの新たな答えに、そして新たな疑問となる。


「……天本さんの言う通りだ。この独裁はおかしい」

「は? おかしいのは今更だって、ついさっき」

「そこじゃなくて! 風花百合香は三年生でしょ? 来年にはもう卒業して、学園からいなくなるのよ」

「お、おう」


 思い付いたひらめきが薄れないうちにと、捲し立てるように早口で喋る麻衣。そんな彼女の剣幕に圧され、晃は麻衣の推理を黙って聞くことにした。


「卒業すればアイツは生徒会長じゃなくなって、それまでみたいな権力は振るえなくなるはず。つまり、風花百合香が学園を支配できるのはたったの二年間。そんな短い期間のためだけに、あんな独裁政治を普通やると思う?」

「言われてみれば……確かに『おかしい』ぜ」


 生徒会長という肩書きには期限がある。その権力を最大限に拡大して学園を都合の良いように作り替えたところで、卒業を迎えればそれらは全てリセットされてしまう。すなわち百合香は高校生活の大半を、たった二年の独裁のためだけに無為にしていることになるのだ。
 尤もあの生徒会長だ。もしかすると何かしらの策を講じて、卒業後も何らかの形で支配を続行してくる可能性も否めないが。


「じゃあどうして、そんな普通じゃないことをアイツは実行したんだ?」

「そこまでは分からないけど……。とにかくこれで、千明さんへの返信は書けるんじゃない?」

「そうだな。果たして正解だといいが」


 自分たちが至った推測をメール本文に打ち、千明宛てに送信する。すると、程なくして返信がメールボックスに届いた。本文を早速開封した麻衣と晃は、その内容に目を丸くすることになる。


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 あなたたちも気づいたようですね。
 なぜ風花百合香は二年しかない独裁政治を実行したのか。その理由はこちらも分かりませんでしたが、ある程度の推測はつけています。

 彼女にとって白羽学園の支配は下準備でしかない。風花百合香は白羽学園を土台にして、もっと巨大な組織を作り上げようとしているのではないかと思うのです。
 話が飛躍しすぎだと思うのなら、そう思ってもらって結構です。しかしそうでなければ、あのような無意味でふざけた独裁を平然と行うでしょうか?

 どちらにせよ、風花百合香が強大な力を持った狂人であることは間違いありません。そんな途方もない存在と最後まで戦い抜く覚悟が、あなたたちにはありますか?
 ほんの僅かでも躊躇いがあるのなら、革命など諦めなさい。



(諦めなさいとは言ってますが、フリのようなものだと思っていただければ……)


ABN:2017/03/05(日) 20:36 [返信]

(長らく更新がないようなので、テコ入れ的な話を挟みます。時間は晃君がメールのやり取りをしている辺りです)
>>59の続きはかおりさんか蒼月空太さんの投稿を想定していますが、お二人を含む皆さんからの続きが今週末くらいまで投稿されなかった場合、自分で続きを書こうと思います。すみません)



 大路伏翼は非常に面白くなかった。昨日の松葉邸襲撃を、安部野に邪魔された逆恨みが尾を引いていたのである。その鬱憤は彼に咎められる元凶となった拓也を私刑に処しても、本日ようやく登校した麻衣と晃の処刑に加勢してもほとんど晴れることがない。故に翼はいつも侍らせている友人たちと離れ、夕暮れの街を一人で徘徊していたのであった。


「くっそー、転校生のくせに生意気なんだよ、あの書記野郎は」


 だが徘徊の成果は芳しくなく、いくら気を紛らわせようとしても、昨日の安部野の言葉と顔が翼の脳内でしつこく再生されてしまう。自分の意思に反する無意識に、翼は荒々しい溜め息を吐いた。


「……しかもあいつ、あのアマの仲間にしてはなんか臭えんだよな」


 風紀向上のための処刑は立派なことだ。
 しかし、処刑が学園の外で通用するとは限らない。
 学園と生徒会長に汚名を被せることは許されない。

 これらは昨日の安部野が発言した台詞の要約だ。いずれも生徒会役員の台詞としては間違っていない。
 しかしそれでも、翼は一度抱いた懐疑を手放すことができなかった。その一因には彼への私怨もあるのだろうが、それとはまた違う、何か違和感めいたものを感じていたのである。
 と、そんな折。視界の端が見覚えのある影を捉える。翼は影の姿を確認すると、咄嗟に建物に身を隠した。


「……病院? あいつがあんなところに何の用だ?」


 噂をすればなんとやら。翼が見定めた影というのは、病院を後にする安部野の姿だった。安部野は自らを偵察する目線には気付かず、スマホを操作しながら人混みの中へ消えていく。
 翼は彼に怨念を込めた睨みを飛ばしつつ、しかしそれ以上は何もせずに彼の背中を見送った。そうしてから安部野が出てきた病院を見上げると、にやりと酷薄な笑みを浮かべる。


「病院って言やあ、弱ってる奴が集まる場所だよなあ?」


 安部野が何かしらの病を患っているという話は聞いたことがない。彼自身が病気を隠していることもあり得るが、その可能性を無視するなら、健康な人間が病院を訪れる理由はほぼ一つ。

 安部野にとって相応に大切な人物が、あの病院に入院しているに違いない。

 弱者を庇護する人間は、得てしてその存在が枷になる。安部野が見舞う人物の詳細を今のうちに調べておけば、有事のときに彼にとって有効な人質になるかもしれない。もしくは逆にその人物と交流を深めて安部野の秘密を聞き出す穴としても良いし、虚言を吹き込んで安部野の敵に転じさせるのも面白い。


「……ま、一先ず今は裏取りが先だよな。どう料理してやるかはそれからだ」


 思いがけず拾った安部野の弱味となりそうな種は、僅かながら翼の不機嫌を癒した。もっとも、そこから収穫できるものが期待通りである保証はないのだが。
 そんな可能性も視野に入れたつもりの翼は、安部野の見舞い相手にどうやって接触するかの算段を立て始めたのだった。


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