憂え、新時代の日の出を

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30:水色◆Ec/.87s:2023/03/10(金) 00:22

>>28

「······1000人ねぇ」
報告を聞いた提督は一瞬呆然としたようであった。
「どうします?流石に2度も同じ手は通じないでしょう」
「まあね。じゃああの手でいくよ」
不敵な笑みを浮かべるエルザの言葉を聞いて、再び水夫や幹部やらに指示を出していく提督。
しかし、
「君はここに留まってて」
一礼して戻っていこうとする水夫に対しては、この場に留まるように言うのであった。




「救助活動は一旦中止!目がいい人は見張り台へ!近付いてる方から順次片付けてくから!」
「流石に剥ぎ取った服を着るのはちょっと抵抗あるけど。そうも言ってられませんよね」
「服着るだけじゃダメだよぉ〜。汚れてたり傷ついてたりする雰囲気も出さないとね」
提督の声が響く中、エルザとプラスチックはとある小屋の中で何やら着替えを始めていた。後者は第1陣を追い返してから1杯呑んだようで、手つきが若干怪しくなっていたが、ともかく。
その着替える服が、バルサス・シンジケートの構成員から鹵獲したという────いわゆる偽装用の服だったのである。
「これを着て数人の水夫と一緒に敵陣に入り込む。それで機を伺って引っ掻き回す作戦だね〜。ちょっと手駒足りないけど」
「あと10人いたら、って軍師さんが嘆きそうだけど」
「それは禁句なんじゃないかな······?」
軽口のような何かを叩き合いながら着替えを済ませる女2人。エルザはともかく、プラスチックも参加するあたり、彼女も戦闘にはかなりの自信があるようである。
「ま、居ない人の事を話しても始まらない······私たちは暴れるだけです。行きますよぉ!」


アジトの一角から、バルサス・シンジケートの服を着た水夫が7、8人程飛び出していく。さも必死そうな様相をして。
「向こうは看守に回す人手すらないのか······」
「集めてても30人くらいだろ。手が足りるとも思えん」
「流石にさっきの3倍ほど居れば大丈夫だろ······と、時間だな」
海賊のアジトを望む、1000人程の軍勢。その中心には、護衛に護られた数名の男が集まっていた。何やらフラグらしい会話が聞こえるが、どうやら今すぐ仕掛けはしないらしい。時間だ、との声を受けても、軍勢には動く気配がない。
────まるで、何かを待っているかのような────
「遅いな」
と、苛立った声が響く。




その、直後。
掘っ建て小屋の一角から、炎が吹き出たのである。


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