*** 君を、君に、君と。***
#Wen Junhui
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突然彼女から送られてきたメッセージ。
“別れよう”
たった1言のメッセージに、
“なんで?”
急いで返すけど、
“理由は言えない”
そう返ってきて、彼女に電話をかけた。
“…はい”
電話に出た彼女の声は、いつもより冷たくて。
「なんで“別れよう”なんて言うの?」
“…ごめん”
「僕じゃ満足できなかった?」
“…ごめん、ほんとにごめん”
「“ごめん”じゃ分かんないよ、僕別れたくない、」
少しずつ涙声になっていく僕は、相当弱い。
「…とにかく、僕絶対別れないから」
そう言って電話を切った。
“え、ま、待って、”
彼女の声を遮るように、焦りながら。
そして数週間後。
「…え、?」
彼女は亡くなった。病死だった。
彼女が病を持ってたことなんて知らなかった。
苦しんでた彼女に気付けなかった自分が情けない。
仕事の帰り、ショックが大きくて涙も出ないまま、道を歩いた。
「…あ、」
そういえば、彼女はよく家に来てご飯を作り置きしてくれていた。
「もしかしたら…っ、」
歩くスピードが加速し、気付けば家まで走っていた。
家に帰って、テーブルの上を見れば、予想通り沢山の料理が並べられていた。
テーブルの端には手紙があった。
“ご飯いっぱい作ったから、いっぱい食べてね!私がいなくてもちゃんと食べるんだよ?”
彼女の優しい文字に少しずつ視界が霞む。
ねぇ、こんなの…食べられるわけないよ。
こんな素敵な料理、食べられない。
ふと見れば、テーブルに頬杖をついて笑う姿を想像して。
“美味しいでしょ?新しく覚えたの!”
料理を少しずつ食べていく。
「…うん、美味しいよ、すごい美味しい…っ…」
さっきまで出なかった涙が自然と溢れる。
“普段あんまり言えなかったけど、私ね、”
君を愛して、君に愛されて、
“ジュンのこと、大好きだった”
君と愛し合った僕に今、涙を流さないことなんて不可能だから。
「僕も…僕も大好きだった…ううん、大好き、今も」
君が別れたかった理由は、病で僕に迷惑をかけたくなかったからだったんだね。
大丈夫、そんな心配しないでいいよ。
君は最後まで、
「僕の生きる理由だったから」
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*** 君を、君に、君と。***
#Wen Junhui