NieR:Automata~9Sのコックピット・アイズ、あるいは乗り物探究~

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5:ヒゲナマズ:2021/03/16(火) 02:22 ID:.7c

『敵機械生命体、残り5機』
2Bの随行支援ユニット"ポッド042"の声が告げる。
残りの敵は9Sに殺到し、大斧や短剣を振り回して攻め立てているのに気づけば、2Bも直ちに援護に向かう。
「よっ……と、はっ……!くっ、いい加減に……!」
流麗に7機をスクラップにした2Bに比べ9Sは回避に徹していた。元より直接戦闘は主眼に置かれていないのだ。それでも横薙ぎに振るわれた敵の大斧をバック宙回避しながら、遠隔操作により浮遊させた愛刀"黒の誓約"をブーメランのように回転させながら袈裟懸けに斬り捨てる。1機。
「わっ……!苦手なんだよ、なっ……!」
直後に背後を許し、紙一重で槍の一撃をしゃがんでかわす。正面で敵残骸に刺さった"黒の誓約"を遠隔で引き戻し、そのまま自身の頭上の敵へ突き刺す。2機目。
側転して敵残骸の中から脱出した直後、新たな敵が頭上から短剣を振り下ろしてくる。万事休すか、否。
「ハッキング!」
9Sが敵に向けてかざした手に幾何学的な紋章がホログラフとして浮かび、彼から敵へ無数の光の帯が殺到していく。これこそS型……スキャナーモデルの真骨頂、直接戦闘能力と引き換えに与えられた"ハッキング"であった。敵は思考回路への直接攻撃によりその場で金縛りとなったまま、為す術なくそのセキュリティを食い破られていく。
「よし、爆破!」
ハッキングを受けた機械生命体は、激しいスパークと赤熱で全身を彩りながら半ダースのスクラップを残し爆散した。3機目。
「あとは……ッ!?しまっ……」
とはいえ、ハッキング完了までには9Sも身動きは取れないのだ。再び背後を許した9Sに、新たな機械生命体が大斧を振り下ろす。もはやこれまで……否。
「……っ、2B……!」
9Sを庇うように割り込んだ2Bは、体を大きく屈めて鍔迫り合いに挑んでいた。そして力一杯の押し合い……に、注力させた一瞬の隙に刃を滑らせ、敵の大斧をあらぬ方向へと振り下ろさせる。間髪入れずに立ち上がりながらの左膝への関節蹴り。逆に曲げられた関節からオイルを漏らしながら機械生命体は左側に擱座、2Bは軸足を入れ替え反対の足で真っ直ぐに機械生命体の顎辺りを蹴り上げる。腹と胸にぴったりと脚がくっついた理想的I字バランスの蹴り上げは、機械生命体の首を引っこ抜きながら仰け反らせ打ち倒した。2B、8機目の獲物。
一瞬の静止の後、2BはI字バランスを解いて残心した。
……8機目との戦いが決着するか否かのタイミング、最後の敵が空中へ跳躍し槍を真っ直ぐに構えて2Bへ落下してくる。動かない2B。隙だらけか……否。
「ふー……状況、終了です。」
最後の機械生命体は、空中で爆散した。


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