ウルトラdecomposeバカの武勇伝【第六章】

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225:ミルク牧場◆X. トラウマ鬼丸家8:2018/03/30(金) 14:57

「【応急手当について】か....」
だるそうに、カズマの字を一言一句間違えないように写す。
「長いな....この単元....カズマ、よく起きてられたな。この授業の時。」
デッキをいじっているカズマにそう問えば、「俺も寝てたから、岡崎に写させてもらった。」とのことだ。馬鹿にしてたくせに結局お前も、俺と同類じゃねーか。
ノート写しが終盤に差し掛かった時、クロノは一つ伸びをして、ゆっくりと立ち上がった。
「おい。どこ行くんだ。」
カズマは、これでもかと訝しげな顔をした。その顔に「動き回るな。迷子になるぞ。」と書いてある。
「....トイレ。」
全く。信用がないな。なんて不機嫌さを言葉に反映させ、部屋を出た。
部屋を出て、ふらふらと歩き回り、ふと思った。
「あれ....トイレってどこだ?」
....いや。これはいくらなんでも馬鹿すぎる。カズマに位置を聞いてくるのを忘れた。
位置をきかなくても一般家庭だったら、雰囲気的にトイレの場所がわかるかも知れない。しかし、この家は明らかに【一般家庭】ではない。
「....カズマに聞きにいくか。」
絶対バカにされる。嘲笑うカズマの顔が容易に想像できる。
はぁとため息をついて、来た道を巻き戻る。
しばらく歩くと、やっと辿り着いた。この家の広さを身にしみて感じつつ、ふすまを開ける。
「わりぃ。トイレの場所聞きわす....れ.....た?」
開けて驚いた。カズマがいない。いや。いないのではない。ここは用意されていた部屋ではないのだ。
明らかに先ほどいた部屋よりも大きい。そして豪華な気がする。ちゃんとした接待用の部屋な感じだ。
....おかしい。ちゃんと来た道をたどったはずなのに。
「鬼丸さん、ぬばたま使いだからな....この屋敷、忍者屋敷でもおかしくねぇ」
いやおかしいだろ、なんて自分にツッコミつつ、今日何回目かのため息をついた。まさか本当に迷子になるとは。
下手に動くと遭難しそうだ。どうしようか。うーんと考え込んでいると遠くの方から声が聞こえてくる。
「おい!クロノ!」
駆け足で、やって来たのはカズマだった。
「ほんと馬鹿だな、お前は!やっぱ迷子になってんじゃねぇか!」
案の定、「馬鹿」と言われた。
「わりぃ....でもこの家が広すぎるのが悪い!!」
「うっせぇ!!開き直ってんじゃねぇ!!」
ぎゃーぎゃーといい合いをしていると、遠くの方から足音が聞こえてくる。とりあえず、その音に一回黙る。
「あれは....兄さん、....と、お父様!?」
ゆっくりとこちらに向かってくる人を見てカズマが驚愕する。
やがて、カズマは「今日、お偉いさんの会議がある」ということを思い出し、顔を青ざめさせる。
「まさか....今、俺たちがいる部屋の中でやるのか?」
「ど、ど、どうする!?とりあえずこの部屋から出るか!?」
クロノの焦りっぷりに笑いたいところだが、全くもってそんな場合ではない。
「会議の部屋から、俺たちが出てきたのをお父様やお偉いさんが目撃したらどうする!確実に、この部屋で遊んでたと思われるぞ!」
もう、彼らは目前に迫ってきているだろう。今部屋から出れば確実に怪しまれる。
「ただでさえ俺はこの一族から、よく思われてねぇのに....」
苛立ちをその声に滲ませながら、カズマはやり過ごせるスペースはないかと、辺りを見渡す。
「おい、カズマ!あの押入れみたいなところ!隠れられるんじゃねぇか!?」
クロノが指さした方を見る。奇跡だ。どうにかやり過ごせる....か。しかし....。
「......隠れるしかねぇよな。」
カズマは戸惑う自分を押し留めるように、小さく呟くと、「行くぞ!」と押入れの中に飛び込んだ。


ミルク牧場◆X.:2018/03/30(金) 16:53 [返信]

【その言葉に意味があるなら】
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