初めまして、ひなです
籠の中の渡り鳥(http://ha10.net/test/read.cgi/novel/1395982588/l50)も手掛けてます
今回、日陰という名前を使っていた頃に描いていた「ソラノヒカリ」のリメイク作品を描こうと思っています。
ソラノヒカリは完結することなく終わってしまっていたので、今度は完結させられるよう頑張ります
どうぞ、宜しくお願いします
Prologue
朝。
東に太陽が昇り、ゆっくりと空は青さを取り戻す。
時計の方向は、長針が卯、短針は申近くを示していた。
はっきり言えば、午前8時15分頃だ。
その部屋にも時計はあって、目覚まし時計もご丁寧に枕元に置かれている。
ジリジリと目覚ましは大声を上げていた。もちろんこれは擬人法だ。
が――。
「ソラ!」
目覚ましから聞こえたこの声はそんなものじゃない。
もっと温かみのある肉声。丁度、声変わり前の少年のような。
「ソーラー、起きないと遅刻するよ!ソラ!おーい!!」
ソラ、というのは状況からして、気持ち良さ気に寝ているベッドの主だ。
耳の近くで響く声にはまったくの無反応。思わず耳が聞こえているのか疑ってしまうほどだ。
しかしその次の瞬間。
「ーーーっ!!」
音が止んだと思った瞬間、ベッドの主の腕はとてつもない速さで自らの体にストレートパンチを決めた。
それは見事に彼女に最もの衝撃を与えた。
思わず声にならない声で叫ぶほどだ。
「痛い。痛いよ、ヒカリ・・・」
少女は漸(ようや)く起きたようで、ストレートの決まった腹部を押さえ、体を起こす。
ヒカリ、と呼んだがその場に人影はない。というより、自分で殴ったのだからそんな存在ない筈なのだ。
「起きないソラが悪い」
そう返したのは先ほどの少年の声。
どうやらこの声がヒカリという存在らしい。
「現在8時19分、寮から学園中等部までは坂道156m、平坦(へいたん)な道234m、最高記録7分11秒。この時点で遅刻確定だね」
精密な数字を並べるヒカリ。嘘でしょ、と呟いてセーラー服に着替えるソラ。
髪に適当に櫛(くし)を入れ、鞄を掴み、腰にベルトを巻く。
はっきり言って、あまり制服とは合っていない代物だ。丁度つけると左側に麻袋のようなものがある。
「ヒカリどこ置いたっけ!?」
そう叫ぶと、机の上と返ってきた。ソラはゴチャゴチャの机の上から小瓶をとった。
高さは8センチ、底の直径が5センチくらいのつぼ型、中は蜂蜜のような琥珀色の液体が満たしてる。
それを麻袋につっこむとソラは駆け出した。
――今日もまた、一日が始まる。
Character
小鳥遊 ソラ(たかなし そら)
年齢:13
学年:郡坂東(こおりざかあずま)学園中等部2年
好きな物・好きなこと:蛍
嫌いな物・嫌いなこと:暗闇
ヒカリ
年齢:不明
学年:−
好きな物・好きなこと:憑依
嫌いな物・嫌いなこと:なし(物事に関心がない)
早雲 ハク(はやくも はく)
年齢:12
学年:郡坂東(こおりざかあずま)学園中等部2年
好きな物・好きなこと:読書
嫌いな物・嫌いなこと:火
スイ
年齢:不明
学年:−
好きな物・好きなこと:なし
嫌いな物・嫌いなこと:ヒカリ
夜明 サン(よあけ さん)
年齢:13
学年:郡坂東(こおりざかあずま)学園中等部2年
好きな物・好きなこと:フウ
嫌いな物・嫌いなこと:水
フウ
年齢:不明
学年:−
好きな物・好きなこと:サン
嫌いな物・嫌いなこと:規則
木闇 コク(きやみ こく)
年齢:−
学年:−
好きな物・好きなこと:−
嫌いな物・嫌いなこと:−
>>3
原作(ソラノヒカリ、詳細は>>1)との違いが多々あるので一応載せました
特には覚える必要とかないですが、謎(?)解きには結構ヒント満載です
読んでる方がいるといいなあと思いつつ、本編スタートします
契約条例
(782年8月4日制定※)
此れは、契約時その主と精に課されるものであり、万物の均衡を保つための条例である。この
条例に従い力を民へ使うことを誓い、恐怖や欠乏の排除や、平和のために、また崇高なる未来の
実現に向けることを此処に誓う。
※1543年一部改正
※1985年一部改正
第一章 依頼
第一条 命の危機以外に、依頼より自分の事を優先させてはならない。
One Story,wish
「残り1分3秒だよー」
少し生意気な響きの少年の声、ヒカリのものが響く。
が、言われている少女、ソラのほうはもうその声への反応も出来ないようだ。
「・・・ハア・・・もっ、絶対っ・・・間に合わっ、ないって・・・ハア、ハア」
寮からすぐの急な坂道の途中、まだまだ坂の果てには及ばない。
いくら体力のあるソラでも、朝食抜きのダッシュは辛い。もう足はフラフラだ。
「まったくー。寝坊なんてするのが悪いんだよ。
あーあ、1学期の成績昨日付けるからもう遅刻するなって勧告されてたのに」
うるさい、と途切れ途切れに言ったソラ。
そんな二人の会話を終わらせるように無情にもチャイムの音が響きだした。
「あーあ」
それとともに、ソラの足もスピードを落としていき、最終的にはトロトロと亀のように歩く。
いや、まだ亀のほうが早いのかもしれない。
「ソーラー、せめて走ろうよ。5分くらい先生も目、瞑ってくれるって」
ヒカリの必死な提案にも答えずノロノロ歩く。そこで漸く終わった坂道。
すこしはペースを上げ、8時35分過ぎに職員室到達。しっかり注意を受け、教室へと向かった。
「馬鹿だなー、ソラは。」
「馬鹿じゃないし。」
「阿呆だなー、ソラは。」
「阿呆じゃないし。」
「・・・ドジだなー、ソ」
「少し黙ってろ、ドジヒカリが」
そう言いつつ着いた教室。が、いつもと違う盛り上がりがあった。
第一に廊下にまで他クラスの姿が多くある。第二に中から歓声や叫び声、多くの声が飛び交っていた。
これだけで通常の人なら何事かと思うはずだ。
その答えは、教室に一歩足を踏み入れた瞬間に分かった。
南からの日射しにかかり、銀に輝く髪は女子も羨むほどのサラサラ。
一見女子にも見えるような整った顔立ちで、スラッとしていた。
「早雲くんって、凄い格好いいよね」
「ねえ、ハクくんって呼んでいい?私は凜っていうの。席も近いから仲良くしようね」
そんな女子が何人も彼の周りに黄色い壁を作っていた。
本人はそのことに慣れていないのか、苦笑気味に女子に対応しており、どこか戸惑っていた。
そして、それと同時に
「う、嘘でしょ」
ソラも戸惑っていた。その少年が座っているのは紛れも無く自分の席。
一瞬走馬灯のように担任に今までしてきた非行が脳裏を駆け巡ったほどだ。
「・・・せっ!せせせせせせ先生!!」
丁度教室の前のドアから出てきた長身の女性、つまりこのクラスの担任を呼び止める。
「んん?何だ、小鳥遊」
手に持っていたフランスパンにハム、サラダを挟んだ簡素なサンドイッチを口に運びながら答える教師。
「・・・なっ、何で私の席がっ」
手の物には触れず、そう口早に告げるソラ。
因みに触れなかった理由というのは、本人自称太りにくい体質の過食症らしいからだ。
「んー、いや机持ってくんのを忘れてだな。丁度空いてたんで使ったまでだ。・・・1時限目に遅れないようにな」
そう言って、ソラに背を向け手をヒラヒラとさせながら歩き出す担任。
が、ソラは彼女を解放すまいとガシリ、という効果音が合うほどの強さで腕を掴み引き留めた。
「先生、それは机を持ってこいという陰喩ですか?」
「小鳥遊がそう取ったなら取って来ていいぞ。但し、先生は小鳥遊がどうしようと取りに行かないからな」
そのまま歩き出す自称過食症のダメ教師を、ソラはもう引き留めることなくただ見つめていた。
腰のボトルからは「ドンマイ、don't mindだよ」とヒカリの声が聞こえる。
1時限目までは、あと8分だ。
「つ・・・疲れた。」
机に突っ伏すソラ。
たったの8分間で、一階の渡り廊下横の体育祭用のグッズから何から何まで入れられてる物置から予備の机を持って上がったのだ。
しかも運悪くこの教室は5階。つい最近工事で新しく作られた5階。しかもその一番奥の教室なのだからこうもなる。
まあ、ギリギリチャイム音が終わったのが教室に入った瞬間。
位置は違えど、そのまま入った状態で椅子に座ったら着席扱いにして貰えたのだ。
中に入ると、自分の席である窓際の端は彼にとられているので、廊下側の後ろについた。
ちなみにこのクラスは、この転入生を含め38人。
6×6の状態に並べて余ったのがこの転入生とソラなのだ。今まで唯一のはみ出し席。
しかも窓際の後ろをとってきたソラだったが残念ながらこのくそ生意気な転入生にとられてしまったのである。
「最悪。なんで来てすぐに運動しなきゃいけないんだか・・・。訳分かんないっ!」
そう言って突っ伏したままのソラの横に、気がつけば教師・・・といっても新しい顔ではなく先程の担任が立っていた。
「おい、小鳥遊。早雲が教科書まだ貰ってないらしい。見せてやれ」
「・・・何で私が」
「さっきの授業遅刻気味なの見逃してやるんだ。ああ、あと席隣にしろ。校内案内しとけ。ついでに教科書放課後運んでやれ」
そんな、と絶望の表情で呟くソラのことなどお構いなしにまた皆の前へと颯爽と戻る担任。
仕方なくソラは机をまた移動させた。
彼らの縁は結ばれた。
縁に気づくのはあと数時間だけ後。
その縁の意味に気づくのは、まだあともう少し先のお話。
「ねえ・・・・・・。ねえ、小鳥遊さん」
東の方にあった太陽が気がつけばもう真上に迫ってきた亥の刻。
普通なら3時間目ももう終わる、という時間だが朝のホームルームが1時間目と数えられるこの学園。
8時半には一時間目が始まり、そして8時45分にもう終わる。
10分間休憩を含んでも、すでにこの授業で昼休憩というところまで来ていた。
「小鳥遊さんっ、聞いてます?」
ぼんやりと虚ろな目でどこか遠くを見つめるソラを、その隣のハクは強く揺すった。
「うるさいなーっ、転入生が!」
小鳥遊が軽く怒鳴るとハクが少しシュンとする。
一見、珍しい白髪の所為なのか、耳と尻尾を垂らして項垂れる犬のようだ。
ところで、授業中なのにこんなに騒いで何故許されているのか。
理由というのは、次の科目の教師が急に休み、他の空いた先生が急遽代わりに教えることとなったのだが、学園長が何やら訳の分からないことを喚き、それに教師がほぼ狩り出されたのだ。
そこにとある生徒が、また馬鹿騒ぎを起こして警察沙汰となり、唯一空いているともいえるこのクラス代理教師までいなくなったのだ。
偶然が、このクラスに天国をもたらしたのだ。つまり奇跡だ。
その奇跡を昼食前の授業にもたらされたソラは、空腹と闘いながらチャイムが鳴るのは今か今かと待ちくたびれていたのだ。
「ご、ごめんなさい小鳥遊さん。そ・・・その、校舎を案内してほしいんです」
僕、まだ来たばっかりで、とポリポリ頬を掻きながら小さく笑うハク。
なんで私が、というジト目でハクを見るソラにハクは先程までとは違う笑みを浮かべた。
「僕は、あなたがいいんです」
どこか悪そうな、そんな黒い笑みをしながらどこからか茶色い、よく学校の集金で使われるような地味な色合いの封筒を取り出す。
中には何か書類が入っているようだ。
「・・・・・・。」
それを無言でソラは受けとると、中身を見た。
「ーーーっ!!」
本日二度目の声にならない叫びをあげるソラ。
そして、それに爽やかな、黒い笑いかけるハク。
「ソラ、あなたがいいんです」
訂正
亥の刻→午の刻
すみません。亥の刻をギリギリ十一として考えてましたが、
ギリギリどちらかといえば子の刻。ついでにいえば午前と午後がごちゃごちゃでした。
テスト
11:疾那◆/2 hoge:2017/04/03(月) 00:14テスト
12:疾那◆6/2 hoge:2017/04/03(月) 00:15試験
13:疾那◆uDQ hoge:2017/04/03(月) 00:16test