美音です!今回は、今までと違った小説にチャレンジします。
掛け持ちをたくさんしているので、更新が遅れると思いますが、
よかったら感想や意見をください!
ちなみに、この小説は主人公の過去と未来、そして現在について
書きたいと思っています。
登場人物
蒼山 奏(あおやま かなで)
過去6歳〜11歳 現在12歳 未来18歳
この小説の主人公。
勉強はできるが、引っ込み思案で女友達がいない。
唯一の友達が幼なじみである、翔。
1年生に人気。
荒川 翔(あらかわ しょう)
過去6歳〜11歳 現在12歳 未来18歳
勉強も運動もできて、男女共に人気。
幼なじみの奏を大切に思っている。
内藤 桜(ないとう さくら)
現在6歳 未来12歳
奏と翔と同じ地区に住んでいて、一緒に登校する仲。
わがままで幼いところがあるが、本当は思いやりがあり、優しい。
野村 環(のむら たまき)
現在6歳 未来12歳
桜と同じで、奏と翔と一緒に登校している。
おとなしくていつも静かに笑っている。
輝のことが好き。
町田 輝(まちだ ひかる)
現在6歳 未来12歳
環や桜と同じで、奏と翔と一緒に登校している。
スポーツ万能でサッカーが得意。
奏のことが好き。
あと一人は明日?書きます。
追加登場人物
盛山 寧々華(もりやま ねねか)
過去6歳 現在12歳 未来18歳
クラスのボス女子で、勉強はあまりできないが、
トーク力が高く皆の人気者。
翔のことが好きで、幼なじみの奏を邪魔に思っている。
>>3
に追加です。
過去6歳 ×
正しくは、過去6歳〜11歳
です
小説始めます
1.私の毎日、幸せと残酷
「リリリリリ!」
目覚まし時計が鳴り響き、私は目を覚ました。
時計の針は、いつもと同じ5時00分。
それを確認すると、私は急いでベッドから起き上がり、1mほど離れた
窓に飛び付く。
ガチャッと開け、それからものの2、3秒。
目の前で幼なじみの翔の声がした。
「おはよう、奏。」
「あっ、おはよう、翔。」
私たちはにっこり笑う。
そう、朝の秘密のおしゃべりだよ。
「奏、今日、体育でサッカーがあるよ。俺、すっげえ楽しみ。」
はぁ?
なんで4月からサッカーなの?!
まったく理解できない。
「なんで楽しみなの。私には絶望的なんだけど。」
私が頬を膨らませると、翔は笑った。
「そう言うと思ったよ。奏は運動できないもんな。」
むっ!
バカにされたように言われて私は苛立った。
「別に。」
切ります
小説
1.私の毎日、幸せと残酷
翔はクッと笑う。
「出た、奏の『別に』。」
そのまま頬を赤らめてクックッと笑う。
どうやら、笑いが抑えられないようだ。
翔って、そういうとこ、あるからな。
「ふん、そんなことどうでもいいじゃない。」
私が言うと、翔があっと声を上げる。
「今日って確か、国語のテストだよな。どーしよう?!全然勉強してない。
しかも苦手な物語文じゃん!奏、国語が得意なおまえに頼む、今から教えて
くれっ!」
はぁ……………。
切ります
」
小説
てっ!
今からって無理でしょっ!
「無理。教えるんなら、学校で。今からじゃ間に合わない。」
つっけんどんに言うと、翔はムスッとした。
「なんでだよ。今日の奏、冷たいし。」
ふん、あなたのせいだからっ!
「そんなに、教えて欲しい訳?だったら、学校で教えるから。」
ちゃんと教えてあげるんだから、感謝してよね。
「わかったよ。」
翔は納得したようだったけれど、すねているようだった。
ふふ、かわいい。
翔って、普通の時はごく普通の男子なんだけど、すねるとかわいくなるんだよね。
これは、幼なじみだからわかることだと思う。
切ります
小説
私が笑っていると、翔は窓を閉めようとした。
「もう5時30分だぜ。」
あ。
「うん。じゃあね。またあ……」
私が言い終わらない内に翔は窓を閉めてしまった。
「ちょっと、翔!」
叫んだけれど、翔はもう反応しなかった。
う。
機嫌、悪くしたかな。
私たちは、時々ケンカをしてしまう。
確か、私たちがひどいケンカをしたのは、5年生の秋だったかな。
5年生のとき
「あっ、奏、一緒に帰ろ。」
翔が呼びかけて、私は着いていこうとした。
けれど、寧々華さんが私の前に立ちはだかった。
「ちょ、何?」
私は思わず叫ぶ。
「あんたさぁ、何って、そんなこともわかんないの?」
寧々華さんは眉を上げた。
「だって、私は何も悪いことしてないし、ただ翔と帰ろうとしただけ。」
私は早く帰りたくて、寧々華さんの横を通ろうとした。
「翔君と帰んないで!家が隣だからって。」
はぁ?
なに、いいじゃない、別に。
「関係ないでしょ。」
私はそう言い放つと、寧々華さんをうまくよけて、翔のところまで行った。
でも、なんだかいい気持ちじゃなかった。
翔は、なんであんなに目立つような言い方をしたのだろう。
切ります
小説
だって………。
これじゃあ、明日からクラスメートからどんな目で見られるかわからない。
もっと静かに、そっと言ってくれればよかったのに。
まあ、でもいつもこんなんか。
今まで皆が反応しなかっただけだよね。
でも、ねぇ。
恥ずかしいし、嫌われちゃう。
もともとクラス、いや、学年全体でも女友達がいない私だけれど、周りの目は
気にしている。
私は浮いているから。
でもそんな事があるたびに、翔に助けてもらう。
だから満足に思っていたけれど、今日は違った。
助けてくれなかった。
なんで?
私のことが嫌いなのかな。
いや、そんなことはない……はず。
「ねぇ、奏、奏ってば!」
へ?
顔を上げると、翔がこちらを見ていた。
あっ、考えすぎた。
「あ、ゴメン。」
そんなわけないよね。
私たちは幼なじみだもん。
「大丈夫?さっきから返事がないから何かと思った。」
へへ、ちょっと考え込んでたから。
切ります
小説
「本当に大丈夫、だよね?」
心配しすぎだって。
「うん、だけどさっき、寧々華さんにああいうことを言われたから、
明日からどんな目で見られるのかが心配なんだよね……。」
私は打ち明けてみた。
「あ、そういうことか。大丈夫でしょ、もともと奏は浮いてるし。」
は?
真っ正面から、浮いてるし、と言われたのは初めてだった。
なに、翔、ひどいよ!
私、気にしてたのに。
もう我慢できなくなって叫んだ。
「なんで、そんなこと言うの!浮いているって、翔のせいなんだらから。
一人で帰ったっていいんだよ、私は。もういいよ。翔とは帰んないから。
翔は友達たくさんいるでしょ。」
そう言って走って家まで帰った。
泣きながら。
本当は寂しかった。
でも、よかった。
切ります
小説
もう、決心していたから。
私は一人でも大丈夫なんだから。
そう思っていた。
でも、違ったんだ。
それは、次の日のこと。
朝、とても寂しい、って思った。
でも、頑張って我慢した。
それで、一人で登校したんだ。
教室に着いた途端、
「あれぇ、奏さん、今日は一人なんだぁ。かっわいそ、翔君に
裏切られたんだ。」
寧々華さんだった。
そ、そんなことない。
これは私の決めたことなんだから。
裏切ったのは私。
切ります
小説
「別に。全然寂しくない。」
冷たく言い放った。
翔が後ろで見ているのがわかったけど、我慢できなかったから。
もういいや。
一人で。
私なんて誰に理解もされないんだから。
いじめたければどうぞご自由に。
私はフッと笑っていた。
そんな日が何日も続く。
1週間ぐらい経ったときの昼休み、私は翔に呼び止められた。
「奏。」
聞きたくなかった。
その、『奏』って言葉を。
「なに?」
ぶっきらぼうに返す。
「来て。」
翔が言い、私を引っ張っていく。
しょうがなく着いて行った。
無視するのも、うんざりだった。
翔が連れてきたのは、音楽室だった。
翔の第一声は、こうだった。
「奏、俺、寂しい。」
は?
一瞬、何のことかと思った。
「なにが?」
私の言葉は、まだ冷たかった。
「あのね、奏は俺がいっぱい友達がいるって言ったよね。」
うん。
「でも、あいつらと帰るのは、楽しくない。」
え?
「俺は、奏じゃなきゃ嫌だ。」
私は胸を突かれる。
翔が、私のことをそんなふうに思っていたなんて、びっくりした。
「だから、さ……」
翔の言葉が続かないうちに、私が叫んでいた。
「私も、ずっと寂しかった。翔がいてほしかった。」
涙が溢れ出る。
気がつけば、泣いていた。
立っていられなくて、その場にしゃがみ込む。
「だったら、仲直り、しようよ。」
翔がそう言って、私の頭に手を置いた。
そのまま、撫でてくれる。
私はもっと涙が出て来てしまった。
翔が、優しくしてくれて。
「そんなに、泣くなよ。」
翔がクスッと笑い、私の頬をつたる涙を拭う。
「奏は、強いふりしてるけど、本当は泣き虫なんだよな。」
びっくりし、顔を上げる。
「2年のときだって、そうだっただろ。確か、上級生にいじめられてたとき。
おまえのすげぇ声が聞こえたからさ、行ってみればすごい状態。髪はほつれてる
し、体中傷だらけだし。」
思い出し、恥ずかしくなる。
そういえば、あったな、そんなこと。
「それで結局、俺が上級生は追い払ったけど、奏はその途端に泣き出すし。」
うん、そうだったね……。
あー!切ります
う、うまい・・・
読ませてもらいますー!
ありがとうございます!
わー!初めて書き込んでくれたー!
嬉しいっ!(←テンションMAX状態w)
早速今から更新しますね☆
小説
「で、確か俺がおんぶしてったよな。」
そういえば………!
顔が勝手に真っ赤になる。
あの日、おんぶされて帰った。
なんでそんなんになったかは、不明。
「あん時、奏、全然泣き止まなかった。今みたいに。」
今みたいに、は余計だよ。
「多分、それぐらい怖かったんだよな。」
うん、怖かった。
だって、いきなり蹴られたり殴られたりしたら、怖いでしょ、普通!
怖くない方が怖い!
しかも、2年生、だよ。
「思い出してみれば、なんか1年に1回は絶対トラブルあるよな。」
え?
「確か……、1年のときは奏が鉄棒で連続逆上がりしてたら、落っこちそうになって、
あの日もおんぶだか抱っこしてったような………」
やめて、恥ずかしいから!
「2年はその上級生だろ、3年は、喋ってたらおまえが階段踏み外して、俺に激突。」
そうだっけ?
「4年は、奥林山に登ったとき、俺らの班が迷って、おまえが一人で道探しに行ったら、
足滑らして、俺が抱き留めてなかったら、川に溺れてた。」
それは覚えてる。
「確かそのあと、雨が降ってきてびしょ濡れになったよね。」
思い出しながら言った。
考えてみれば、私と翔はずっと一緒のクラスだよね。
切ります(なんか恋愛小説みたいになったw)
小説
そこで、私は思い出すのをやめた。
急に現実に引き戻された。
こんな昔のこと、思い出してなにニヤニヤしてんだろ。
学校行かなきゃ。
私は一階に降りて、朝ごはんを食べ、早めに家を出た。
「行ってきます」
そう言って、家を出た瞬間、隣の家から翔が顔を出す。
重い沈黙が続いた。
そこで、私は慌てて向かいの家のインターホンを押す。
表札には、くっきりと『内藤』の文字。
「はーい、どうぞ。奏ちゃんでしょう?」
お母さんの声がする。
「はい。おはようございます。桜ちゃん、大丈夫ですか?」
中で桜ちゃんの甲高い声が聞こえた。
「奏お姉ちゃん、おはよう!今行くー。」
私は思わずクスッと笑う。
無邪気でかわいい。
「ふぅ、じゃあお母さん、行ってきます〜!」
桜ちゃんは元気良く出発!
「じゃ、環ちゃんのお家に行こう。」
私たちが向かったのは、桜ちゃんのお隣りのお家、野村環ちゃんの家。
インターホンを押すと、お母さんと環ちゃんが一緒に出て来た。
「おはよう、奏ちゃん。今日もよろしくね。」
お母さんは笑った。
「はい。環ちゃん、行こうか。」
環ちゃんは黙ったままコクリと頷く。
でも、その顔には満面の笑み。
かわいい。
一回切ります
小説
あとは、翔と輝君だけ。
でも、行きにくいな。
けんかしたんだもん。
「なにやってるの、お姉ちゃん。早く翔お兄ちゃんと輝君のところ行こうよ!」
桜ちゃんがせき立てる。
「ああ、ごめんね。」
まあいいや、今回はそれほどひどくはないし。
私たちが向かったのは、環ちゃんのお隣りのお家、輝君のお家。
「翔お兄ちゃん、輝君!」
桜ちゃんが走り出した。
環ちゃんも続く。
輝君も、こちらに向かって走ってくる。
そんな3人の無邪気な姿は、昔の私と翔みたいだった。
私たちは、同じときに引っ越してきた。
で、隣が翔の家だったんだ。
すぐ仲良くなって、いつも一緒に登下校して、いつも遊んでいた。
そんな昔の思い出を思い出しながら、ちょっとずつ翔に近寄る。
桜ちゃんたちの前で、けんかしてる姿なんか見せたくなかった。
「なんかあの3人、昔の俺らみたいだよな。」
いつの間にか、翔が来ていた。
「そうだね。」
私も返す。
「さっきはごめんね。冷たくあしらっちゃって。学校着いたら、教えてあげるから。」
謝った。
私の方が一方的に悪かったから。
5年生のときのことを思い出して、ちゃんと謝んなきゃ、って思った。
「いいよ。俺も、バカにして悪かったし。奏だけが悪いんじゃない。」
そんなことないよ。
そうは言わなかったけど、話題を変えた。
「5年生のときのことを思い出してたんだけど、あのとき私、ちゃんと謝ってなかった。
私だって悪かったのに。」
それで、言った。
「ごめんね。」
翔は笑った。
「いいよ、もうそんなこと、昔の話なんだからさ。」
それはそうかもしれないと思った。
切ります
小説
だって、あれは結局ハッピーエンドで終わったもん。
「ま、俺が心配なのは、今年もなんかトラブルが起きそうなこと。」
へ?
「変なこと起こすなよ。もう抱っこかおんぶなんて無理だからな。」
それぐらいわかってる!
「うん。でもトラブルは起こすかも。私、ドジだから。」
うん、私はドジ。
小さな頃から言われてきた。
自分でも、思うんだ。
私って、ドジだなぁ、って。
「そんなことないよ。」
翔がいきなり言った。
びっくりして、思わず翔を見上げる。
翔の目は、見えないなにかを見ていた。
「奏はドジじゃないよ。時々はドジるけど、基本的には優しいし。その優しさが、
トラブルを起こすんだ。」
へ?
「覚えてるだろ、奥林山。あの時、おまえが道探しに行ったのは、優しいから。
それが結局、足滑らせるっていう、トラブルに繋がる。」
うん、まあ、それはそうかも。
「あとは、強いから、かな。奏は今、引っ込み思案だけど、昔は違ったんだ。
すごく強い。正義感っていうか?それがトラブルに繋がる。」
はぁ……。
「さ、もう昔のはやめよう。あのちびっこたちに置き去りにされるぞ。」
あっ!
「桜ちゃん、環ちゃん、輝君、学校行くよー!」
「はぁ〜い!」
やっぱりかわいいや。
「じゃ、出発ー!」
「なんで桜ちゃんがリーダーなんだよ。リーダーは奏お姉ちゃん。ね、環ちゃん。」
「う、うん……」
「もう、いいじゃん!」
「おい、けんかはやめろよ。仲良く行こうぜ。」
「みんな、ちゃんと行かないと危ないよ。」
今日も、楽しい一日が始まろうとしている!
ここで、第一章?は終わりです。次からは第二章です。
次もたのしみ!!
20:美音◆.wmpFy.Zyhxio:2016/09/26(月) 17:56 >>19
ありがとうございます。
もしかして、kz板にいます?
確かもと、「スギポン」さん、だったような…………
間違ってたらごめんなさい!
第一章の名前、変えますね。
『けんか ーすれ違う思いー』
です。
なんか変w
第二章は、
『寧々華さんのこと ー勘違いのトラブルー』
です。(多分)
じゃあ、第二章、始めますっ!
小説
今日は、10月9日。
稲刈り体験の日だ。
今まで育てて来た、お米を収穫するんだ。
宮川さんっていう、おじいさんの水田。
でもそのせいで、お弁当持ち、ジャージで行かなければならない。
しかも長靴。
やだよ、雨でもないのに。
ジャージはいいんだけど、桜ちゃんたちになんて言われるかを考えると…………、
寒気がする。
でも、しょうがないよねぇ………。
「おっはよー、奏お姉ちゃん!って、あれ………?」
桜ちゃんが早速言った。
ああ、悲惨。
この頃、集合場所を決めて、そこで待つことになっている。
「その格好って…………、おかしいよっ!どうしちゃったの、奏お姉ちゃん。」
低学年、しかも1年生に心配されてる………。
「もう、バカだね、桜ちゃん。今日は6年生の稲刈り体験の日だよ。」
輝君、どうもです………。
「おまえ、1年生に心配されて、しかも1年生に理由を解説されてるし。」
翔だった。
背後で、今度は環ちゃんの声がした。
「ねえ、お姉ちゃん。その稲刈り体験って………、私たちが6年生になってもやるの?」
うーん、微妙。
「多分な。宮川さんの息子が継ぐらしいぞ。」
翔、主婦みたいになってる…………、話し方が。
「やった!」
へ?
環ちゃんって、以外と農業系が好きなのかも。
≫20
そうだよー
農業か・・・私は苦手かも…
>>23
あ、やっぱりそうだっんだ!
知ってる人がいてよかった……(´・ω・`)
今から更新しよー☆
小説
「ねえ、行こうよー。」
桜ちゃんが言った。
時計を見ると、もう出発の時間だった。
「じゃあ、行こうか。」
私たちはいつものように、歩きだした。
「てかさぁ、急がないとヤバくね?俺らバスじゃん。」
そうだった………。
「走るの?やだよー。私、苦手。」
話を聞いていた桜ちゃんが、吐き出すように言った。
翔がすぐさま言った。
「いや、走りはしないけど、ちょっと早歩きって感じ。」
そう言うなり、競歩みたいに歩きだした。
難しそう。
「はーい。まあ、お姉ちゃんたちのためならいいかぁ。」
なんか将来、桜ちゃんが寧々華さん化しているような。
やだなぁ、そんなんになったら。
「早くー!遅れるぞ。」
見れば翔と輝君が、先の信号機近くまで行っていた。
「走ろう!」
私は叫んだ。
環ちゃんは来てくれたんだけど、桜ちゃんが止まってしまった。
「ごめん、環ちゃん、先言ってて。」
環ちゃんがコクンと頷くのを見て、私は桜ちゃんを引っ張って走った。
もう、わがままなんだから。
まあ、かわいいからいいか。
小説
「桜ちゃん、お願い。走って!」
桜ちゃんは、走りたくなさそうだ。
「みんなもう、信号機まで行ってるの。私だって遅れたら大変だし。」
桜ちゃんは、無反応だった。
ただ、下を向いていた。
しょうがないから、頑張って引っ張っていったんだけど、ハァハァ言ってしまった。
運動は苦手なんだよね………。
でも、やるしかないし。
遅れたら嫌だし。
先生もだけど、宮川さんもだいぶ怖いらしいし。
急がないと。
「奏。」
ふいに前から声がした。
翔がこっちを見ていた。
「なに?」
息が切れ気味で、『なに』ぐらいしか言えなかった。
翔は何も言わず、私の腕を掴んで、思い切り引っ張った。
え、なに?
私は何も言えず、引っ張っられていた。
多分、大変だった私を少しでも楽にしてくれたんだよね。
ありがとう。
でも、言わなかった。
桜ちゃんを引っ張るのに精一杯で。
翔のおかげで、倍ぐらい早く着いた。
そこでやっと言った。
「ありがとう。」
にっこり笑った。
翔も、笑った。
なんとか遅刻は免れたけど、息切れ状態で、バスに乗った瞬間、寝たくなった。
ああ、よかった、遅れなくて。
翔カッコイイねー
人気なわけだww
>>27
だよねー、現実にいたらいいのになー。
でも私は奏系じゃないからなw
小説
ああ、本当に寝たい………。
だんだん意識が朦朧としてきて、寝そうになった。
でもその度、はっとして頬を叩く。
今度もまた、寝そうになった。
頬を叩こうとした瞬間、寧々華さんの声が聞こえたんだ。
「翔くーん!ねぇねぇ、お話しよーよ!」
う。
なんか、翔のモロに嫌そうな顔が頭に浮かぶ………。
「いーね!」
「やろう、やろう!」
「翔君とお話できるなんて夢みたい!」
いや、私は普通に話してるんだけど、そんなに憧れるもの?
私は普通の女子じゃないのかもしれない。
まあ、気にしないけどね。
「着きましたよー!」
先生が言った。
小説
「外に出たら、整列していてください。」
私たちは運転手さんにお礼を言って、外に出た。
「こちらが、宮川義史さんです。」
宮川さんは、白髪で、全身グレーコーデだった。
笑っている目は、きつそうだけど、ベテランって感じだった。
「皆さん、よろしくお願いします。」
宮川さんが、頭を下げた。
私たちもすかさず、
「よろしくお願いしますっ!」
と言う。
「じゃあまず、AグループとBグループに分かれてください。」
私たちは、あらかじめクラスを二つに分けていた。
小説
私はBグループで、翔と同じ。
寧々華さんとも。
別に寧々華さんが一緒でも、私は構わないのだけれど、寧々華さんは構うらしい。
翔も。
「えっとAグループは、まず稲刈り体験、Bグループは穂の観察、スケッチです。」
私はまず、スケッチかぁ。
スケッチは、まあまあ得意かな。
問題は翔で、絵だけは苦手。
怖いんだよ、人なのに手が4本だけとか。
「Bグループ、こっちに集まって!」
先生の声がして、私たちは水田のそばに集まった。
「今からスケッチをしてもらいます。」
頑張ろ。
水田を見下ろせるところは、結構危なそうだった。
落ちたら、一巻の終わり。
気をつけなきゃ。
私は、適当なところに座って、スケッチを始めた。
穂は、実がたくさん付いていて、ご飯にしたらおいしそうだった。
シャッシャッと鉛筆を走らせ、穂を描いていると、隣に翔が座った。
「うまくね?どうしたらそんなんに描けるわけ?」
そんなこと、言われてもねぇ………。
「いや、得になにも気にしてないけど。」
そう言うと、翔は自分の描いた絵を私に見せた。
「なんにも気にしないと、こうなるんだけど。」
私は思わず、噴き出してしまった。
その絵が、面白かったから。
穂っていうか、太い草みたい。
「笑うなっ!」
だって、笑わずにはいられないよ。
「逆に、どうしたらそんな絵が描けるの?」
そう聞くと、翔は下を向いた。
「知らない。」
まあまあ、そんなに落ち込まなくても。
誰だって、得意不得意はあるんだから。
「あれぇ?翔君、私と行動するんじゃないのぉ〜?」
寧々華さんだった。
わっ、なんでこんなとこに!?
「別に、あんたと行動したくないから。」
翔は吐き捨てるように言った。
ああ、そんなこと言ったら、寧々華さんが怒るっ!
「行動、したくない……?」
寧々華さんの顔が、だんだん強張って行くのがわかった。
うわぁ、なんか悪い雰囲気……。
「蒼山さんが、いなくなればいい。そうでしょ、いなくなれば翔君は、私と
一緒にいてくれる。」
は、はい?
よくわかんない……。
翔も呆然としていた。
寧々華さん・・・グイグイくるなー
奏に嫉妬してるんだろーな・・・ww
私的には奏&翔がくっついてほしいっていうかなんというかww
>>32
だよねー。
奏&翔にするつもり!
(そうしかないっ!)
小説
いなくなればって、どういう意味?
「フフフフフフフフフっ!」
不気味な笑い方だな、そんなこと考えてる場合じゃないんだけどっ!
だって………、寧々華さんは先にカッターの付いたライトを持っていたから。
これって、まずい展開な気が………。
「盛山………、さんっ?!」
翔が隣で叫んだ。
それでも寧々華さんはお構いなしだった。
刃先を向けながら、近づいてくる。
これは………、本気だ。
翔が私の前に割り込んだ。
「奏………、ここでおとなしくしてろよ。」
う………ん。
「どいてどいてどいてっー!」
ひっ!
そのとき、思った。
今まで翔に頼りっぱなしだなぁって。
いいのって。
私のするべきことは、守られてるってことじゃないんじゃない?
「翔、もういいよ、大丈夫だから。」
翔の声は、何となく震えているような気がした。
やっぱり、もう嫌だよね。
私が。
私が守らなきゃ。
だから。
私は黙って翔の前に進み出た。
「奏っ?!」
翔の焦る声が聞こえたけど、やめなかった。
遅かった。
そのとき私の腕に、強い痛みが走った。
小説
そう。
私は……。
切り付けられた。
すぐに先生が駆け寄ってくる。
「奏さんっ!大丈夫?」
大丈夫、なわけない。
痛いよ。
傷が。
でも。
それよりも。
ちょっとの達成感があった。
翔を守れた。
ニュアンスは違うかもしれないけど。
「奏……、なんで?」
ふと、翔の声がした。
振り向くと、翔の目に淡い涙が浮かんでいるのがわかった。
え………。
どうして?
なんで、『涙』なの?
「寧々華さん?あなた、わかってるの?」
背後で、先生の怒声が響く。
「血、やばいよ?」
翔が言った。
びっくりして腕を見下ろす。
確かに、すごかった。
血が滴っている。
「使う?」
え?
見れば翔が、ハンカチを渡していてくれていた。
優しいね。
翔は。
いつでも。
「ありがと。」
そう言って、素直に受けとった。
それから、言った。
「涙、拭きなよ。」
私もハンカチを出した。
翔は照れたみたいだったけど、受けとった。
でもなんだか、人のハンカチで血を拭くなんて。
拒んでしまう。
まあ………。
貸してくれたんだもんね。
ありがたく使おう。
洗濯して、返せばいいか。
>>34におかしいところがあったから、訂正しまーす!
「奏、動いちゃダメだよ。」
翔の声は、やっぱり震えていた。
です。
奏すごいな!私だったらできない・・・
やった!!翔と奏は相性ピッタリだよねーww
>>37
うん。
奏は勇気あるよー!
小説
血を拭くと、傷がだんだん見えてきた。
そのとき、ゾッとした。
だって。
すごく深い傷だったから。
見るだけで、血の気が引いてきそうだった。
「寧々華さん。見てください?奏さんの傷。すごく深く切れてるでしょ。」
先生がいつのまにか、私の横に来ていた。
寧々華さんも。
俯いて、お互い黙り合う。
翔の目線が気になる。
『大丈夫?』
って、言ってるみたいだった。
大丈夫?
うん。
多分ね。
でも、心は。
心の傷は、消えない。
すごく深くて。
きっと、皆もそうだよね。
今まで楽しくしてきて、悪いところなんか見えなかった。
でも、今。
この瞬間で、変わった。
きっとね。
あなたに対する皆の態度は。
『仲間』から『軽蔑』に変わるよ。
寧々華さん。
でも私は、寧々華さんを。
嫌わないよ。
どんなに酷いことでも。
きっと、いいところはあるよね?
人間だもん。
私はそれを見つけられるかわからないけど。
「奏さん。」
寧々華さんが言った。
「ごめんね。私。」
そこで、寧々華さんの言葉が途切れた。
びっくりして見ると、泣いていた。
「だ、大丈夫?」
口から漏れた言葉は。
何故か。
『優しさ』
だったよ。
私はあなたが。
嫌いなのかもしれないのに。
「あなたが羨ましかった。翔君の近くにいて。なんでもできるし。」
そう、なの?
「だから多分。悪い心が出たんだよね。」
うん。
私もそうだと思う。
「いいよ、私は。それに翔は、あなたのこと嫌いじゃないよ。私と翔が仲がいいのは、
ただ単に幼なじみなだけ。」
寧々華さんは、少し笑った。
「知ってる。私は諦めるよ。もう近づかないから。」
え。
私は、そういうこと望んでいない。
凄い!!いい作品!
41:美音◆.wmpFy.Zyhxio:2016/10/07(金) 13:16 >>40
ありがとうございますっ!
小説
「諦めるって、そういうことじゃなくて、」
その後の言葉に詰まった。
私は。
寧々華さんになにを求めているのだろう?
変わってほしいの。
寧々華さんに?
寧々華さんは、私を傷つけたのに?
でも…………。
このままじゃ、多分、寧々華さんは嫌われるだけ。
助けたいの?
うん。
そうやって自問自答しているときに、先生に肩を叩かれた。
「病院に行きましょう。」
え。
「なんで、ですか?」
そうだよ。
私は今から。
寧々華さんに。
思いを伝えるのに。
「なんでってあなた、怪我してるじゃない。ちゃんと手当してもらわないと。」
そうだった………。
「待ってください。」
そう言ったのは、翔だった。
私も寧々華さんも、びっくりして翔を見る。
「奏は。寧々華さんに、大切なことを教えようとしてるんです。手当より、そっちを
優先させてください。」
翔って、なんで私の考えてることがわかるの?
前もそうだったし。
「大切なこと?」
先生が私を仰ぐ。
「はい。ちょっと時間をください。」
そう言って、まだ驚いている寧々華さんを見た。
「あのね。寧々華さんが、私が羨ましかったってことはわかった。でも諦めるって
おかしいよ。今まで通りの寧々華さんでいていいから。翔に迫ったっていい。私を
いじめたっていいよ。だから、何もかも諦めるのはやめて。寧々華さんだって、いいと
ころはたくさんある。」
寧々華さんは、数秒間私を見つめた。
「私のいいところ?どんなところが、あるっていうの。」
私は大きく息を吸い込んだ。
「例えば、話す力とか、人を楽しませることができることとか。」
寧々華さんは、顔をしかめた。
「そう?いつも悪口ばっか言ってるけど。」
そうかな。
「とにかく、諦めるっていう選択はダメだよ。」
私は言った。
寧々華さんに。
いい人になってもらえるように。
小説
「わかった。ありがとう。本当に、すごいね、あなた。正しいよ、いつも。
すごく率直な意見だけど、納得できる。」
いや。
私はまだまだ。
翔なんて、こんなもんじゃないよ。
もっと。
もっと、正しい。
だって今の私の意見は。
自分の意見だけだから。
自分目線の。
でもね。
翔は違うよ。
第三者目線なんだ。
だから、誰にでも納得できるような意見。
「話し合いは終わった?」
先生だった。
「はい。」
私たちは、素直に笑った。
「そう。じゃあ、病院に行きましょう。翔さん、あなたも来てくれる?」
うん。
翔がいるなら、安心。
「ありがとう。本当に。」
バスに乗り込むとき、寧々華さんに言われた。
「うん。」
そう答えておいた。
本当は。
もっと話したいことが、あった。
でも今は。
そのときじゃない。
また今度。
あなたが。
私と。
『わかり合えるようになったらね。』
第二章、終了。
第三章は………、
「桜ちゃんたち ー複雑な関係ー」
です。
次も楽しみです!ww
ガンバってーー!
>>45
頑張る!
でも今日は更新できない………
小説
あぁ。
今年も来ちゃったな。
春が。
『卒業』の時が。
小学校生活6年間も。
終わりがきたか。
楽しいことも。
辛いことも。
たくさんあった。
低学年の時は。
毎日がつまらなかった。
でも、最高学年になったら。
いろいろな出会いがあった。
寧々華さんのいいところも見えた。
私もちょっと、『変われた?』
1週間後は卒業式。
もうすぐ中学生。
また新しい出会いが。
あるよね。
「おめでとうございます。」
そんな声がたくさん聞こえる。
本当に『卒業』したんだな。
なんか。
悲しかった。
卒業式が終わって、私と翔で公園に行くと、桜ちゃんたちが遊んでいた。
あの子たちも。
いつか『卒業』のときがくるんだよね。
「あっ!奏お姉ちゃん!」
最初に私たちに気づいたのは、環ちゃんだった。
「わーっ、奏お姉ちゃんかわいい!」
桜ちゃんも叫ぶ。
私たちも近づく。
「それ、袴っていうんだよね?」
環ちゃんが目を輝かせる。
私はふっと思いついた。
環ちゃん、卒業式で着てくれないかな。
「環ちゃん、袴、卒業式で着たい?」
聞いてみると、案の定、環ちゃんは大きく頷いた。
「えーっ!環ちゃんずるいー。私も着たいよー。」
その様子を見ていた桜ちゃんが、頬を膨らませる。
でも袴は、一つしかないからねぇ。
輝君がすかさず言った。
「俺は環ちゃんの方がいいと思う。だって桜ちゃんは、女子にしては
野蛮だし、おとなしい環ちゃんの方が想像できる。」
輝君、もうちょっと優しく言ってあげたらどう?
そんなことがたくさんあって、ついに私たちも18歳。
つまり高校3年生。
もうすぐ大学受験。
私たちは毎日、勉強に追われている。
小説
その日、一通の電話がかかってきた。
「奏ー!桜ちゃんから電話よ。」
階下で、お母さんの声が響く。
「わかった。」
私は宿題を切り上げ、下に降りていった。
お母さんから受話器を受け取り、電話にでた。
「変わりました。桜ちゃん?」
そう言うと、すぐに桜ちゃんの声がした。
「あのね、お姉ちゃん。今ちょっと、私たちの間でトラブルが起きてるんだ。
まあトラブルって意識してるのは、私だけかもしれないけど。」
単刀直入だね。
それにしても、トラブルって?
確かに6年生って、トラブルとか起きやすい時期かもしれない。
現に私だってそうだったし。
「何が起こってるの?小さいことでも、桜ちゃんしか意識してないことでも
いいよ。役に立てれば、の話だけど。」
そう言いながら、くすっと笑った。
だって私が6年生だったときは、勉強とか友達関係とかで手いっぱいだったのに、
今は相談なんてできるようになったんだよね。
「ありがとう。実は、環と輝が付き合ってるんだ。私に内緒で。ま、バレバレ
だけどね。内緒ってことも嫌だけど、本音は。私が輝のことが好きだから。」
そうなんだ。
でも、内緒で付き合うなんて、ちょっと酷いかも。
幼なじみなんだから、それぐらい教えてあげたっていいのにね。
「それが相談ごと?それで私、どうすればいい?」
そう聞くと、桜ちゃんの鼻をすする音が聞こえた。
え、もしかして泣いてる?
大丈夫かな。
「あ、ごめん。じゃあ今度、皆で話し合いたい。お兄ちゃんとかも一緒に。
それが一番いいかなって。私、一番近くて今週の土曜日の1時ぐらい。」
それならいいかな。
部活はもう引退したし。
「いいよ。翔も多分大丈夫だと思う。じゃあ土曜日の1時、そこの公園でどう?」
桜ちゃんは、すっかり涙を飲み込み、いつも通りになっていた。
「うん。環と輝にも聞いてみるね。」
ああなんだか。
すごいことになりそうだな。
でもまあ、皆のためになるよね。
おおー付き合うなんて・・・スゴイなー
それに書き方お上手!!
この後、チョー気になるww!!
>>49
毎度毎度、ありがとう!
そうなんだよなー、環たち付き合っちゃってるんだよねw
今からちょっと、奏が混乱しちゃうのです。
それで翔が…………、ムキになります、はい。
と。
ネタバレはこれぐらいにしといて、今から続き書くね。
小説
そして、土曜日。
いよいよ、話し合うときがくる。
どんなふうになるんだろう。
わくわくする気持ちもあったけど、なんとなく不安もあった。
これで桜ちゃんが、環ちゃんとか輝君に嫌われちゃったらどうしよう。
私のせいだよね。
「で、話ってなんなの?」
今、午後1時過ぎ。
私たちは公園の向かい合わせになっているベンチに座っている。
内容を知ってるのは、私と桜ちゃんだけ。
桜ちゃん、うまく話せるかな。
「今日は、皆に聞いてもらいたいことがあって、集まってもらったんだけど。」
桜ちゃんが、そう切り出す。
よし、出だしは順調だね。
「私、環たちが付き合ってるのが許せない。私に内緒にして。裏切られた気分。
今までずっと幼なじみだと思ってたのに。」
うん。
私は頷いた。
翔も最初は驚いたみたいだったけど、すぐに頷いた。
小説
環ちゃんはというと、罰が悪そうに俯いていた。
輝君は、きつい目で桜ちゃんを睨んでいる。
うわぁ、なんか関係が複雑になっちゃいそう。
「それもあるけど。」
へ?
桜ちゃんが突然、不敵に笑い出した。
「本音はさ。環が嫌い。だって環なんて、なんの取り柄もないんだよ?魅力もないし。
なんでそんな環が、私に勝つの?輝に環なんて相応しくない。なんで私じゃないの?」
え…………。
「環が羨ましい。静かだけど、意見とかは正しいし。いっつも輝のそばにいて、ホントに
羨ましい。」
その言葉は。
あの日の寧々華さんと一緒で。
何もしてないのに。
6年前の傷が痛んだ。
切られた瞬間と、同じ痛みだった。
あの日のことが頭に思い浮かぶ。
最終的にはいい展開だったけど。
傷は。
消えない。
身体中の血の気が引いた感じだった。
指先が氷のように冷たくなる。
温めたくて、ギュッと握った。
「奏、大丈夫?」
頭の上で、翔の声が聞こえる。
その『大丈夫』って言葉も。
あの日と一緒で。
朦朧としていた記憶が、鮮明に脳裏に蘇った。
嫌だ。
桜ちゃんだけは。
そうなってほしくなかったのに。
なんで………?
」
なんか・・・スゴイ・・・
桜ちゃーん、私もなんか胸がズッキっと・・・
>>53
だよね…………。
まあ桜は、寧々華よりマシかな。
多分これが最終章?になるかも…………。
小説
嫌だ、嫌だよ。
「ごめんね、お姉ちゃん。嘘ついちゃった。本当は輝を奪いたかったんだ。」
桜ちゃんはそう言ったけれど、反省の色はさらさらなかった。
そういうところも、寧々華さんそっくりで。
このままじゃ、桜ちゃんは自分自身で未来を壊してしまう。
助けたい。
だけど。
涙が出そうになった。
見られたくなくて。
必死で歯を食いしばった。
なんでだろうね。
桜ちゃんは。
いい人だと思ってたのに。
裏切られたみたいだった。
だって桜ちゃんは。
私を頼ってくれてるんだと。
思い込んでたから。
でも実際のところは。
頼ってたんじゃなくて。
利用してたんだ。
ついに我慢していた涙が。
流れてきた。
桜ちゃんは私を利用していたってことを。
気づけなかった悔しさと。
寧々華さんみたいになることを。
阻止できなかった、悔しさが。
一気に溢れ出た。
「奏、どうした?」
翔が私を覗き込む。
瞬間、ハッとした。
多分翔は。
6年年前のあの日のことを。
思い出したんだと思う。
ごめん。
また心配かけちゃうよ。
強くなりたかったのに。
「お姉ちゃん?」
桜ちゃんが言った。
「桜っ!」
翔が桜ちゃんを怒鳴る。
「おまえ、わかってんのか?奏は、おまえの力になりたかったんだ。
だけどおまえは裏切った。反省しろよ。」
翔が私の気持ちを楽にしてくれようとしてるって。
知ってたけど。
そんな言い方はしないで。
私が言うから。
「桜ちゃん。今のままの桜ちゃんには、誰も味方になってくれないよ?
そのうち、友達もいなくなっちゃう。だから、見守ってあげようよ。
幼なじみ、なんでしょ?」
涙を拭いながら、一生懸命言った。
》54
ついに終わりかー最後は気になるなm(。≧Д≦。)m
>>56
うん。
というか、本当にルルーさん?
トリップとか、話し方も違うような…………。
間違ってたらごめんなさい!
小説
私は、絶対大丈夫だと思っていた。
でも、桜ちゃんが言ったことは違った。
「いや、お姉ちゃんぶらなくていいから。友達とかどーでもいーし。
私は輝が奪えればいいの。環の力が私の手に入れば。」
え…………。
なんか、戦隊物に出てくる悪の怪人みたい。
っていうか、寧々華さんよりひどくなっているような。
桜ちゃんって、こんな人だったの?
もっと、いい子じゃなかったの?
私が知ってる桜ちゃんは、違うよ。
ちょっと我が儘なところもあるけど。
本当は優しいよ。
環ちゃんから聞いたもん。
算数でわからなかったところを教えてくれたって。
なのに。
どうしてそうなっちゃったの?
涙が溢れた。
「さ、くらちゃん。ごめん。私、私………。桜ちゃんがそんなに邪悪じゃないと思ってた。
もっと優しいと思ってた。私は、そんな桜ちゃんは好きじゃない。もう帰る。」
そう言って、家に帰った。
あの場にいたたまれなくて。
皆が心配するって知ってた。
でも、抑えられなかった。
家に帰ってから、ずっと泣いていた。
神様って、意地悪だね。
なんでこんな結末を用意していたの?
私たちは。
こうなる運命だったんだ。
小説
嫌だよ。
もう嫌だ。
その時。
「コツン」
と、窓を叩く音が聞こえた。
え………。
あの窓を叩くってことは……。
翔だ。
背が伸びて、リーチも長くなったから、窓が届くようになったんだ。
私は、すぐに窓に飛び付いた。
「翔っ!」
私は、普通の顔のつもりだったんだけど、涙を拭い忘れていたみたいで、
「か………、奏っ…………、大丈夫?」
と翔に素っ頓狂な顔で言われた。
「う、あ、ご、ごめん。大丈夫。」
そう言いながら、必死に涙を拭った。
その後、笑ってなんとかごまかした。
「あの………、さっきはごめんね。ちょっと6年前のこと、思い出しちゃって、混乱
しちゃったんだ。もう18なのに、情けないね。」
本当。
ダメなお手本だなぁ。
「別に、あれは奏だけ悪い訳じゃないし。正直、桜が悪いだろ。ま、輝と
環もだけど。」
う、ん。
「でもねぇ。そういえば、あの後どうなったの?」
気になって聞いてみた。
「ん、とね。桜は呆然として突っ立ってて、環は泣いてた。輝は奏を追いかけて
行きそうだったから、一応止めといた。」
やっぱり心配かけちゃったな。
「皆にごめんって言っといて。」
私はそう頼んだ。
自分からじゃあ、言えない様な気がしたから。
「いや、奏から言っといた方がいいよ。桜たちは、奏のことが好きだからさ、
奏が元気良さそうだったら、喜ぶだろ。」
うーん。
言えるかなぁ。
「ま、俺からはそれぐらいかな。」
わかった。
「うん、ありがとう。じゃあね。」
そう言って、窓を閉めた。
小説
その数分後、だった。
いきなり電話が鳴り出した。
ああ、お母さんいないから私出なきゃ!
「はいっ、蒼山ですっ!」
誰だろ、こんな時間に。
セールスだったら嫌だなぁ。
対応できないもん。
「あ、の………、輝だけど………。」
え!?
輝君がどうして………?
「奏だけど。どうしたの?」
輝君は、相当動揺していたみたいで、私の普通の声に驚いた。
「あ、さっ、さっきはごめん。なんか俺も環も焦ってて。」
あぁ、なんだ、そのことね。
≫57
うーんとね一応私かなー
お母さんのスマホから行ってたからなー
スマホって便利だから言葉遣いも
変わっちゃうんだよねーww
>>61
あぁなんだ、そうだったんだぁ………(;´ー`)
スマホは便利だもんねぇ。(とか言ってスマホでしか来たことないくせにw)
この後更新しよー。
小説
「いいよ。もう大丈夫だし。こっちこそ、心配かけちゃってごめんね。」
私はそう言って、笑った。
少しでも、輝君が笑ってくれたら、元気になってくれたらいいなって。
輝君は笑わなかったけど、もう焦った様子はなくて、こう言った。
「あ、うん。で、ちょっと考えてみたんだけど。」
ほう。
「環と別れようかなって。」
え、え、えええっ!?
な、なんで急に、そんなことを?
「ど、どうしたのっ、いきなり!」
思わず叫ぶ。
「いや、環のこと嫌いじゃないけど、このままだったら関係が複雑になるだけだし。」
う〜ん、それもそうだけど………。
「お姉ちゃんは、どう思う?」
えっ、私!?
「いやぁ…………、まだなんとも言えないかな。っていうか、電話で議論してたら
大変だからさ、また今度どっかで話さない?二人だけで。」
その方が、絶対いいと思ったから。
「う、うん。いいけど………。お兄ちゃんに怒られない?」
はぁっ?
「なんで?別に怒らないと思うけど。」
そうだよ。
なんで翔に怒られるのか、さっぱりわからない。
「え………。だって、付き合ってるんじゃないの?」
は、は、はぁっ!?
なんで、そういう話になるの?
「そんな訳ないでしょっ!私たち、大学受験控えてるんだから、そんな暇ないって!」
しかも、なぜに付き合ってる前提で話が進んでんの?
「なんだ、そうなんだ。てっきり、付き合ってると思ってた。」
あのねぇ。
「勝手な妄想はやめてよね。」
ほんっと、どうかしてる!
「ごめん、ごめん。で、いつ話す?」
そうだよっ、それ大事!
「じゃあ、来週のさっきと全く同じ場所、同じ時間は?」
もうそれぐらいしかないもん。
「いいよ。じゃあ、また来週。」
うん。
小説
「行ってきます。」
そう言って、家を出た。
今日は土曜日。
輝君と話すんだ。
途端、お母さんの苛立った声。
「奏、どこ行くの?先週も出かけてたけど、部活を引退したからって遊んで
ばっかいないでよ。そんなんじゃ、桃ヶ丘大学、受からないわよ。」
う。
「ごめん。すぐ帰るから。」
そう言って家を出た。
桃ヶ丘大学っていうのは、私と翔が受けようとしている大学。
主に教育学部を中心にしている大学なんだ。
実は私、小学校の教師になろうかなって思ってるんだ。
桜ちゃんたちを見たとき、かわいいなぁって思ったし、この子たちに勉強を
教えてみたいっていう意欲が湧いた。
その時からの夢なんだ。
「お姉ちゃん。こっち、こっち!」
公園に入ると、鉄棒に寄り掛かってる輝君がいた。
「輝君。待った?ちょっとお母さんに捕まっちゃって。」
そう言って、えへへっと笑った。
「いいよ。俺も来たばっかだし。」
前から思ってたんだけど、輝君ってすごい大人だよね。
翔もまあ、私たちの学年では大人びたほうだったけど、輝君ってそれ以上だよ。
「じゃあ、どっから話す?」
そんなことを考えてる私とは裏腹に、輝君は冷静だった。
やっぱり大人だぁ…………。
私はまず、思ったことを言ってみた。
「えっとまず、桜ちゃんを黙らせるための方法じゃない?輝君の言ってる、
環ちゃんと別れるって言うのは、逆に桜ちゃんが輝君と付き合おうって
思うんじゃない?」
輝君も頷いた。
「やっぱりそうだよね。だったらもう、話し合いで和解するしかなくない?」
うーん、やっぱりそれしかないか………。
でも桜ちゃんの問題が。
「でも、桜ちゃんが冷静になって話し合ってくれれば良いけど、先週みたいに
混乱しちゃうかもよ?」
そうなんだよね…………。
小説
「でもさ。」
輝君が吐き出すように言った。
「それでどんどん、『あれだからだめ』ってやっていったら、最終的には
結論が出せなくなる。だから、桜が暴れても我慢するしかない。」
言葉が出なかった。
輝君って、すごい。
私の考えよりも、上だ。
それはなんとなく、翔と似てる感じ。
「そっか……………。そうだよね。」
それぐらいしか、返せなかった。
圧倒されて。
カチンカチンに固まる私を、見向きもしないで輝君は続ける。
「じゃあ、どうする?また、皆で話す?」
あ。
「ごめん、輝君。もう受験だからさ、今日も来るときにお母さんに捕まったんだ。
だからあんまり、出れないかも………。」
桜ちゃんたちの事も大切だけど、夢を叶えることも同じぐらい大切だ。
「じゃあすこし、間を置く?」
そうだね。
「じゃあ、そういうことで。」
そう言って私は、家に帰ろうとした。
「そういえば、なんでこの間、お姉ちゃんは泣いたの?」
へっ!
いやぁ、それはちょっと………。
って思ったけど、話さなきゃね。
「実は私、前に同じ経験をしたことがあるんだ。その時、これをやられた。」
そう言って私は、服の裾をまくった。
そこにあるのは、あの傷。
まだ地味に、後が残ってるんだ。
「これ………、酷い。傷がすごく深いよ。」
うん。
「で、そのことを思い出してちょっと泣いちゃったんだ。ごめんね、役に立たない18歳で。」
そう言いながら、ふぅっと溜め息をついた。
その時、だった。
「お姉ちゃん………?それに………、輝?なんでこんなとこに。」
そう。
桜ちゃんたちが公園の入口に立っていたのだった。
環ちゃん、それから翔もいた。
「なんでって………、ちょっと話してただけだよ。」
輝君が言った途端、その場に張り詰めていた空気が硬くなった。
うわ………。
雰囲気悪いよ。
う・・・確かに
桜ちゃんと環ちゃん来ちゃった・・・
う〜ど、どうなるのー!
続き気になります!
68:カラー◆jk:2016/10/22(土) 17:25あ、いきなりすみませんでしたm(。>__<。)m
69:ルルー◆Lck:2016/10/22(土) 18:07カラーさんよろしくお願いしますーw
70:美音◆.wmpFy.Zyhxio:2016/10/25(火) 17:08 >>66
どーなるでしょーか?w
>>67-68
いーですよ、全然!
よろしくお願いしま〜す(=・ω・=)ヨロシク♪
小説
「ふーん。」
桜ちゃんはそう言って、近くにあったベンチに腰をおろした。
本当に、反省してないね。
私はちょっと笑いながら、桜ちゃんたちに近づいた。
「で、桜ちゃんたちは何しに来たの?」
桜ちゃんは焦る様子もなく、あくびをした。
「ふわぁ?なんかお兄ちゃんが、話したいことがあるんだって。」
え?
翔が、話したいこと?
私がポカンとしていると、翔はちょっと赤くなって横を向いた。
「寧々華さんのこと。こいつらに話して、あれ以上奏の傷を深くするなって。」
そ、うだったの?
「輝も呼ぼうとしたんだけど、予定が入ってるからって言われた。」
翔はそう言って、伸びをした。
「ま、こういうことだったらしいな。」
うん、そうだよ。
「ねぇ、だったらさ、こうしようよ。」
それまで黙っていた環ちゃんが、そう言った。
「皆で仲直りしようよ!もう、嫌だ。この関係でいるの。早く仲直りしたい。」
あ。
そう。
そうだよね。
なんでこんなに大事なことを忘れてたんだろう。
「私、環ちゃんに賛成。」
すぐに叫んだ。
「俺も。いつまでもこの関係でいるって、相当体力がいるし。」
翔も言った。
「俺もだな。この関係って、面倒臭い。」
輝君も言った。
まだ何も言っていないのは、桜ちゃんだった。
皆の目線が自分に来ていることに気がついて、桜ちゃんは慌てた。
「もーう!しょうがないなぁ。いいよ、仲直りで。」
やったぁ!
「これで解決だよね!」
私は思いっきり叫んだ。
『多分、あと1回か2回で終わると思う!』
byスレ主
リョーカイ(^o^ゞ
でも終わるの寂しい…
>>72
大丈夫!
新しい話を思いついたのだ☆
この小説が終わったら、新しいスレを作ることにしたっ!
ってことで、ルルー&カラーさん、新しい方もよろしく!
(勝手に宣伝すんなよ! by翔)
は、はいぃぃ…………w
小説
〜1年後?〜
「おーねぇちゃんっ!」
公園から、桜ちゃんたちの声がする。
その姿は。
中学校の制服。
桜ちゃんはツインテールにした髪の毛と、制服の赤いリボンが似合ってる。
環ちゃんは、ショートカットの髪の毛と紺色の長めのスカートが秀才っぽい。
輝君は、詰め襟の黒い制服がよく似合っていた。
3人とも、大きくなったよね。
そう思って、微笑んだ。
あ、私たちは無事、大学に受かったよ。
自分の夢、絶対叶える!
「入学式、終わったの?」
翔が言った。
私も桜ちゃんたちの声に耳を傾ける。
「うん、終わった。皆同じクラスだったんだよ!担任は柄本先生で………。」
柄本先生!?
まだいるんだ。
「桜ちゃん、柄本先生は大変だよ。すっごい怖い。」
私も一回、名札が傾いてただけで怒られたんだよね。
「てかあいつ、まだいんの?」
翔も同じことを考えていたらしい。
「マジでぇ、嫌だな。」
輝君がぐったりとして、ベンチにもたれ掛かる。
「あれ?奏さんに翔君。なんでこんなとこにいるの?」
声の主は、なんと寧々華さんだった。
「ね、寧々華さん!?」
びっくりして声を張り上げる。
「あ、驚いちゃった?ごめん、ごめん。」
寧々華さんは笑った。
「なに、この中学生の子たち。かわいい。」
そう言って、桜ちゃんたちに近づいた。
「お姉ちゃん、この人って………。」
環ちゃんが驚いたようにこちらを見る。
「あ、じゃあ紹介するね。この子は、盛山寧々華さん。アナウンサー志望なんだ。」
寧々華さんならもともと、トーク力高いし、きっとアナウンサーになれるよ。
「性格は、桜似。」
翔が苦笑しながら言った。
「え、なにそれ!」
桜ちゃんが叫んだ。
そんな話が続いて、その日も一日が終わった。
(笑)
おもしろいー❗
もうすぐ終わりは悲しいなー(+_+)
小説
人には、色々な過去がある。
そして、未来もある。
その過去、未来、そしてもちろん、現在も大切だ。
たくさんの人に出会い、やがて夢を築く。
そして、叶える。
未来は不安かもしれない。
何が起こるかわからない。
もしかしたら今、地震が起きるかもしれない、突然風邪を引くかもしれない。
そんな未来は、不安だ。
当たり前だ。
私だってそう。
でもね。
人の未来、それは大切だ。
私も、翔や桜ちゃん、環ちゃんに輝君、寧々華さんに出会って、変われた。
自分だけの世界ではなく、人の世界と関わることで、視界を広げられる。
そんな未来。
そして過去、現在。
それを大切にしたい。
だから私も、叶える。
自分の夢。
未来。
「奏!」
「お姉ちゃん!」
「おねーちゃんっ!」
「お姉ちゃん!」
皆の呼ぶ声がする。
そんな毎日、それが私には宝物。
「皆っ!」
今日も、未来に向かって私たちは進んでいる!
終わり。
わー、なんか完結したw
よくわかんない、難しい!
うー(涙)ヨカッタデス😭
感動しましたーヾ(´▽`*)ゝ
>>78
どうも、ありがとう!ございます!