ノイズ

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1:澪:2017/06/24(土) 21:30

小説初挑戦なので至らないところもありますがご容赦くださいm(__)m
感想などあれば書き込んでいただいて結構です。
読んだよ!という報告やここ直した方が?というコメントでも嬉しいです。
気まぐれ更新です。

2:澪:2017/06/24(土) 21:31

僕ってなんだろう

考えれば考えるほど

壊れる

雑音が煩わしい

この

狂った世界め

ーーーノイズーーー

3:澪:2017/06/24(土) 21:50

向日葵。
それが彼女の第一印象だった。

母が亡くなり1週間。別に悲しくなんてない、人は死ぬものだ、そう思ってた。
ー少なくともこの時は。

「ね、ちょっと来て!」
そう言って僕は手を引かれていた。
「えっ、ちょっ、まっ」
「いーいーかーらー!」
抵抗する理由もなかったから、手を引かれるまま、走っていた。
暫く走ると、そこには向日葵畑が広がっていた。
「ほら、綺麗でしょ」
そう言って彼女は、僕に大輪の花のような笑顔を向けた。
「元気でた?」
僕の頬を、暖かい何かが流れていた。
僕は、彼女に顔を埋めてひたすら泣いた。どう帰ったかとか、そんなことは覚えてない。

4:澪:2017/06/24(土) 21:54

あまりしたくないがここで少し状況説明。
僕・君(15)
母を亡くした少年。「彼女」との関係は不明。

彼女・わたし(15)
「僕」と同い年。

5:澪:2017/06/24(土) 22:12

それにしても、彼女は何者なんだろう。
あれから毎日一緒にいる。というか一方的についてくるのだ。
草むらを2人で歩きながら、12度目の挑戦。
「ねぇ、君は誰なの?」
「んー、なんだろうね。自分でもよく、わからない。」
12度目、失敗。
学校はどこ?両親は?名前だって知らない。
なのに、なぜか、むねのおくがあたたかい。
ふしぎと、たのしい。
ふしぎと、うれしい。
ふしぎと、やさしい。
ああ、このときが、永遠に、終わらなければいいのに。

6:澪:2017/06/25(日) 06:42

煩かった蝉の声が消える頃、夏休みも終わった。
またいつもの日々が始まる、そう思っていたのに、なんだか教室が騒々しい。

「転校生じゃん」
「まじ?」

「転校生くるんだって」
「ふーん」

そして、教室のドアがガラリと開いた。

7:澪:2017/06/25(日) 15:49

僕は目を疑う。

「おはようございます」

そう言って入ってきたのは、大輪のような笑顔を咲かせた彼女だった。
転校生だったのか…。それならそうと早く言ってくれればいいのに。

「よろしく、」

彼女の席は僕の隣だった。よりによってなんでここなんだろう、とか考えたけど、やっぱり彼女の隣は落ち着く。

8:澪:2017/06/25(日) 16:01

それから数週間経った。
彼女は、なんだか前とは違う、枯れた向日葵だった。


「な、知ってる?転校生のあいつ、ーーーーなんだって」

「まじ?やばくない?」

今日もそんな会話が耳に入る。
夏が終わった頃からだろうか、「転校生のあいつ」というフレーズをよく聞く。僕はそろそろ我慢の限界だった。

「さっきから話してる、その、“あいつ”の話って何?」

なぜか聞いてはいけないような気がして、我慢していたのに、聞いてしまった。

ーーーーあいつ、人殺しの子供なんだって

9:澪:2017/06/25(日) 16:07

人殺し、ひとごろし、ヒトゴロシ。
僕の彼女への脳内イメージが書き換えられていくのが嫌という程分かる。
彼女が人を殺したわけじゃない、そう言い聞かせたけど、人間は酷な生き物だ。

僕と彼女の間に溝ができるのに、時間はかからなかった。

10:澪:2017/06/25(日) 16:31

学校が始まってからも彼女は、僕に一方的についてきていた。彼女が枯れてからも、僕の前では、大輪のような笑顔を咲かせていた。
僕は、彼女が何故笑顔なのかもうわからなかった。

教室の中では、毎日彼女の話題で持ちきりだった。
誰かが唐突に話しかけてきた。
「なあ、、なんでお前あんなやつと関わってんの?」
『え?』
「あいつ、人殺しだよ?お前も殺される」
「殺されたいの?」
「最近あいつ目つき怖くなったよね」
「刃物とか持ち歩いてるんじゃない?」
「こわ…まじ消えればいいのに」
「「「「「お前もそう思うよね?」」」」」

僕はもう壊れていた。

『うん。消えればいいのにね。』

11:澪:2017/06/25(日) 16:38

それからも彼女は、僕に付き纏ってきた。
屈託のない笑顔を浮かべて、たくさん喋っていた。
それは、もう、僕には、雑音でしかなかった。

ーーーーそろそろ消えてくれない?

彼女の笑顔が、僕の前で初めて、歪んだ。

それから、彼女が僕の前に姿を表すことはなかった。

12:澪:2017/06/25(日) 18:02

数ヶ月が経った。
相変わらず彼女は学校に来ていない。もちろん僕の前にも現れない。
彼女のことは、忘れかけていた。
向日葵のような笑顔も。
あの、ふしぎなあたたかさも。

13:澪:2017/06/25(日) 18:06

そんな夜道に、ふらあっと人影が1つ。

誰だ?

そんなことを考える暇もなく、僕に非日常が降って来た。

14:澪:2017/06/25(日) 18:10

人影は、僕に向かって、キラリと光る何かを持ち走り出した。

ああ、僕、ここで死ぬんだ。

でも、空っぽの僕は、嫌いだったから、ちょうどいいや。

僕は、夜の闇に身を任せた。

15:澪:2017/06/25(日) 18:21

ぐちゃ、という内蔵の音のあとに、

こきっ、という骨の音。

ぐぁっ、という女の子の声。

女の子の声…?

僕は恐る恐る目を開ける。そういえば、どこも痛くない。
肩が重い。
視線を傾けると、そこには見覚えのある誰かが、もたれかかっていた。

16:澪:2017/06/25(日) 18:35

向日葵の彼女だった。

人影はいつの間にか消えていた。

不甲斐ない僕から捻り出た言葉は、
「お前っ…どうして」
というありがちなセリフだった。

「ははっ…さされちゃったなぁ。…ごめんね、消えてって言われたのに。」


喋るたびに腹から血が溢れる。
僕の目からも、水が、溢れる。

「君を…守ろうと思ったの…あいつが、必ず、君をっ、」

口から出る血が、彼女の言葉を遮る。


「わたし…少しは…お姉ちゃんらしく…なれたよね。」


そう言って、彼女は大輪の向日葵のような笑顔を咲かせながら、瞳を閉じた。


「ごめん…ごめん…ごめん」


僕から出た言葉は、それだけだった。

17:澪:2017/06/25(日) 18:37

暫くは、何もしたくなくて、家でじっとしていた。
目を瞑れば、耳を塞げば、あの日を思い出すから、眠れなかった。

18:澪:2017/06/25(日) 18:40


僕は、なんで忘れたんだろう。彼女…僕の、唯一の、姉の事を。

そして、僕の、母のことを

19:澪:2017/06/25(日) 19:08

僕は、母と、双子の姉の3人暮らしをしていた。


4歳の頃、母が罪を犯した。

そう、人殺しだ。
あの人は、物心ついた頃から狂った人だったのを覚えている。自分の腕の皮を薄く剥ぎ取って、食べていたこともあった。

よく自分は殺されないで生きているな、と小さいながらに感じていた。

でも、あの母親が人を殺さないでいられる訳がなかったのだ。

僕たちの弟が標的となった。

ぐちゃ、ぽきっ、そんな音を、ひたすら聴いていた記憶がある。
できるだけ息を潜め、存在を潜め、弟が殺されるのを見ていた。
でも、何も感じなかった。
この頃から、僕を僕じゃなくするのが得意だった。


僕はもうとっくに、壊れていたんだな。

20:澪:2017/06/25(日) 19:15



そういえば、日々の会話だって、挨拶だって、僕は空っぽだから、ノイズにしか聞こえなかった。
煩い。
煩い。
ひたすらに煩い。

僕って、どんな人間だっけ?

考えれば考えるほど、壊れる。

わからない
わからない
わからないなぁ


教えて、お姉ちゃん。僕の向日葵。
ノイズを、消して。

ーーーノイズ “僕”篇 finーーー

21:澪:2017/06/25(日) 19:49

できるだけ早く、彼女篇もあげます!
レス大歓迎!
読んだ方、感想やアドバイス頂けたら嬉しいです 人´ω`)

22:澪:2017/06/26(月) 18:32

ぐちゃっ
ぽきっ


そんな音を聞きながら、わたしはもう1人の弟を精一杯抱きしめる。

もう奪われまい、そう誓って。

ーーーノイズーーー

23:澪:2017/06/26(月) 18:37

彼は、どうしているのだろう。

あれから、11年が経った。
二卵性の双子の私たちは、顔こそあまり似ていなかったが、いつも一緒にいた。
ーーあの日までは。

今も、目を閉じれば、耳を塞げば、あの音が、あのひとが、思い出されて、体が震える。

24:澪:2017/06/26(月) 18:45

向日葵が蕾になった頃、わたしは引っ越した。

そんな時だった。あいつが現れたのは。

すぅっと、人影が通る。誰かなんて、見なくても解った。

母だった。

呆気にとられ、見ていると、彼女の口許が動く。

ツ ギ ハ オ ト ウ ト

わたしは、無我夢中で走っていた。

気づいたら、もう夜だった。

25:澪:2017/06/26(月) 18:48

それからわたしは、毎日のように彼を探した。

でも、


何日経っても、

見つからなかった。


そして一年経った。向日葵がまた、蕾となる。

もう日本全国回ったんじゃないか、それくらい探した。

諦め掛けていた。

26:澪:2017/06/26(月) 18:54

また、すぅっと人影が通る。

誰かなんて、見なくても解った。

なぜならそれは…









「ね、ちょっと来て!」

27:御空:2017/06/26(月) 20:02

読んでます

28:澪:2017/06/26(月) 21:47

御空さん、ありがとうございます(*´∀`*)ノ
読んでくれる人がいるってわかると、こんなに嬉しいんですね(*´Д`*)
まだ続きますのでよかったら続きも読んでくださいね^ ^
誤字や良くない点などありましたら遠慮なくm(._.)m
感想もお待ちしております!

29:まゆこ:2017/06/26(月) 22:30

読んでます!
面白いです…。この板はファンタジー系が多いので、ミステリー好きの私にもってこいです!
小説初めてにしては上手いと思います。
(本読まない人が何だって感じですがね笑)
続き期待してまーす⁽⁽٩(๑˃̶͈̀ ᗨ ˂̶͈́)۶⁾⁾

30:澪:2017/06/26(月) 22:51

うわぁまゆこさん嬉しいです!
ありがとうございます😍
もっと文が上手くなれるようがんばりますm(._.)m

31:澪:2017/06/27(火) 07:13

>>19
に訂正です、
家族は、母・双子だけになっていますが弟もいます!はい!
ごめんなさいm(._.)m

32:澪:2017/06/27(火) 17:58

更新始めます

33:澪:2017/06/27(火) 18:01

彼は、育ての母親を失ったそうだ。

母親を失って泣けるくらい、素晴らしい両親に出会って幸せに暮らしているのだと思うと、あの事を話せる訳がなかった。


でも私は、彼と話せる。その事実だけで幸せ。

34:澪:2017/06/27(火) 18:05


そんなある日、学校に行くと、皆からの目線が変わっていた。

ーーーーしまった。

35:澪:2017/06/27(火) 18:06

その日から私は、今までよりさらに、彼の近くでひたすら喋り続けた。






でも







「そろそろ消えてくれない?」

















気づいたら、走ってた。

36:澪:2017/06/27(火) 18:09


もう何日も、もしかしたら何ヶ月もかもしれないけど、
日の目を見てない。


見たくない。


なぜなら私の幸せは、


なくなってしまったから。

37:澪:2017/06/27(火) 18:12

もう、死のう。


そう思って、行くあてもなく外に出た。



そしたら、
人影が、1人。


そしてもう1人の人影が、キラリと光るものを持って、走り出した。

38:澪:2017/06/27(火) 18:15

熱い、と言う感覚が腹に染み渡る。

次第に、意識が遠のく。


彼の声が、微かに聞こえる。


あぁ、よかった。



最期に、幸せにしてくれて、ありがと、神様。




精一杯の笑顔を、浮かべた。

ーーーーノイズ 姉篇finーーーー

39:澪:2017/06/27(火) 18:17

この世界は、狂っている。


みんな、壊れていく。


全てが、『ノイズ』になる。

ーーー幸せが、なければ。




あなたに、幸せが、訪れますように。


ーーーーノイズ fin.ーーーー

40:澪:2017/06/27(火) 18:18

短い物語ですが、読んでくださった方、ありがとうございました!
書いていてとても楽しかったです。
次回作、または改訂版を出すかも?しれません。
その時はまた、よろしくお願いします。
あなたの幸せを、願っています。
澪(みお)

41:御空:2017/06/27(火) 18:53

切ないけど綺麗なお話ですね
次回作も期待してます

42:澪:2017/06/27(火) 19:20

御空さん、連日ありがとうございます(*´∀`*)
よく考えるとここ辻褄合わないじゃんとか、ここに伏線入れてたのに忘れてた!などなど反省たくさんですが、読んでくれた方がいて嬉しいです。

43:萌音◆IA:2017/06/27(火) 22:08

面白かった!
続編希望したいな。できたら。

44:澪:2017/06/28(水) 07:11

もね、ありがとう〜!
続編、書けたら書きます(*´∀`*)ノ
(姉いないからどうなるか分からないが)

45:澪:2017/06/28(水) 07:17

新作(続編)を7/4より更新します!
ぜひ、見てくださいm(._.)m

46:月うさぎミカエラ:2017/06/28(水) 17:02

屋敷にはばあやと私だけで暮らしている。

47:澪:2017/06/28(水) 18:17

更新する際は、新たなスレを立てますのでよろしくお願いしますm(._.)m
名前は同じにするので見つけていただければ幸いです(*´∀`*)


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