ホラーに挑んでみたいなと思いましてこのようなスレをたてさせていただきました。
普段はシリアスなものはあまりかかないので研究も含めのものです。私自身も楽しんでかこうと思います!(短期間のお話にしたい)
スレ立ては初めてなのでなにか至らない点などがありましたらなんなりとお申し付け下さい……。
プロローグ
何処にでもあるような家が何軒もたてられた住宅街。季節は夏。公園の木の葉も深い緑色に染まっていた。
そんなパキッとした暑さにも関わらず主婦たちは公園に三人集まって噂話をしていた。
「あの家の子、ちょっと可笑しいよね」
「ほんとね〜」
「どういう教育をされたらああなるのかしら?」
「…………」
「さあ」
少しの間を置いて、一番背の低い主婦がこたえた。
「なにあれ」
誰もいないかと思われた公園に、一人の少女が木の影でぼそっと、それはもう誰にも聞こえないくらいの声量で呟いた。
自分で読み直しても少し違和感がありますが気にしても気にしなくてもいいです アドバイスください
4:あ げ:2017/09/21(木) 18:09 快適だ。
双葉ゆり、中学三年生。
外の暑さから逃れるために自分の部屋にこもっていた。
リビングは親が節約のため、と言ってエアコンをつけさせてくれなかった。
変なところでケチだ
熱中症にでもなったらどうするというのだ、まったく。
そんなこんなで現在とある本を読んでいた。
なかなかに読みごたえがあって面白いと感じる。
ただもう一度読みたいとは思わない。
寒いな、と感じたとき、からだはもうすでに冷えていたのかくしゅん、と控えめなくしゃみが出る。
私がエアコンの温度設定をあげようとしたとき、何処かからみられているような、そんな鋭い視線を感じた。
部屋のドアは閉まっている。そして部屋全体を見渡しても誰もいない。
いや、そりゃあいたらいたで驚くだろうが。
そんなことをしていると突然さっきまでの鋭い視線を感じなくなった。
なんだったんだろう……。
明らかに何かに見られていたような気がして寒気がした。
温度をまたひとつ上げる。
謎の出来事から一時間ほどたった今、
流石にすることが無くなってきた。
仕方がないのでエアコンを消して自分の部屋のドアを開ける。
そして部屋を出ようとしたその時__
__後ろに誰かがいる?
気配を感じた。
その瞬間どうしようもなく息苦しくなりぞわっと全身に鳥肌が立つ。
「は、はー、すー、はー、すー」
私の背後に、誰かがいる……?
なんとか状況を繋ぎながら後ろを見ようとする。
……だめだ。
汗がどっと出てきた。手に力が入らなくなり頭がまわらなくなる。
それでもなんとか後ろを見ようとする。
誰もいない。
それはそれで不安になり目線をゆっくりと前に戻す。
……ここにいてはいけない。
そう咄嗟に思い、私は逃げようとする。
>>1
支援
>>6 さん
ありがとうございます。
この上なく嬉しいです……。
左足を一歩前へ踏み出し、その流れで右足も左足より前へ踏み出そうとした。その瞬間突然何かにぐっと足首を掴まれる。
それがあまりにも突然過ぎたので私はその調子で転んでしまいそう__
__まずい……!
そう直感的に感じた時はもうすでに遅かった。
ドンッという鈍い音が狭くも広くもない廊下に響く。
幸い、私は反射的に床に肘をついていたので頭からいくことは無かった。
その代わり肘は犠牲になったのだが。
擦れて皮が剥け、そこから血が出ようとしている。
骨諸々は考えたくもない。
どうしよう、どうしよう……。
かなりパニックになっていると、リビングの方から誰かが近付いてくる音がした。
そしてその扉が開く。
そうだ、まずは家族に相談を……__
「ゆり?」
扉が全開になってやっと足音の主を確認できた。
母だ。
私の目に膜がはられ、目尻に涙が溜まる。
その涙の意味には『安心』その言葉が一番当てはまるだろう。
「ちょっとちょっと、どうしたのゆり」
「だって……だって……」
うまく言葉にできなかった。
「まずたって」
「……うん」
素直に立つ。
傷はあまり痛みがしなかった。
「あれ? 転んだのかと思ってたけど……」
「えっ?」
私が確かに傷があったところをみると__
__治っていた。
それも何もなかったかのように。
痛みもなくなっていた。
「なんで……。私、転んだよ! 怪我もしたよ!」
「そうなの?」
私は確かに転んだ。それも盛大に。
「うん、見間違いじゃないよ! 痛かったもん!」
「……どういうことだろう?」
こっちの台詞だと言いたかった。でも言ってもなんの意味もないのでやめた。
「はあ……」
大きな溜め息をつく。
結局あのまま謎はとけなかった。
だがいつの間にか視線と気配は感じなくなっており、そこだけはホッとした。
そこだけは。
そもそもの話こんなことになっているのは私だけなのだろうかと考えるが、こんな体験を私以外にもしている、なんて考えただけでもゾッとするので勝手に世界で私だけということにした。
あんなことがあってから未だに恐怖で自分の部屋に入れていない。
今現在リビングもエアコンがかなりきいていて結局はそうなるのかと内心呆れる。
それにしても暇だ。
本が大好きな私は図書館にでも行こうかという考えが真っ先に浮かぶ。
そして本が大好きな私は他の選択肢を考えず図書館に行くことにした。
「いってきます」
おおよそ二ヶ月ほど前に買ったたいしてかわいくない靴を履きながらそう言葉を発する。
「どこいくのー?」
母の声がきこえた。
「図書館」
そうとだけいって返事を聞かずに玄関の扉を開けて外へ出る。
扉は勝手に閉まるので放っておく。
こんなに暑い中走る必要なんてないのでゆっくりと歩いていく。
自転車の事はそこだけぽっかり穴があいたかのように忘れていた。
歩き始めて約十分。
やっと図書館についた。
普段は近くていいなあ、と感じる場所も今日はなんだか物凄く遠く感じた。
それほどまでに外の気温が可笑しかったのもあって汗が止まらない。
図書館の重圧感のある扉をあけるとそこは天国のようだった。
エアコンの効き具合が素晴らしい。
家より快適かもしれない。
そんなことを心の中で思いながら私がよく読む本のあるスペースへ足を伸ばす。
日常シーンは付き物です
13:あ hoge:2017/09/27(水) 07:44 やっぱりこのシリーズは面白い。
二十頁ほど読んでからそう感じる。
読み進めて四十六頁目。
頁を捲って次を読もうとする。
__紙?
かなり薄い……トレーシングペーパーのような紙で表面には何も書いていなかったようだが本の文字と向かい合っている裏面には何か書いてある。
私はすぐそれを右手で取りだし左手は本のしおりがわりに指を入れておく。
表面は何度見ても何も書いてなかった。そして裏面は……。
"きみをきずつけないよ"
とだけ書いてあった。
なんだ、これは……。
見た瞬間謎の恐怖で背筋が凍った。そしてすぐとけた。
もしかして見てはいけないものだったのかもしれない、そうなんとなく思い紙を元あった場所に戻す。
だが図書館にそんなもの置くかよ!という考えが勝った。
……暇は潰せたが気分転換は出来なかった。
図書館からの帰り道、焼けるような暑さにうんざりしていた。
暇を潰すだけのつもりで行ったのが無意識のうちにそこに気分転換も追加されていたようだ。
今日は嫌な日だ。
変なことが起きる日だ。
それも精神的に苦痛な。
あるゲームにはまってやりこんでしまってました
16:あ hoge:2017/10/03(火) 07:53 「ただいま」
そう親に聞こえるように言うが、返事がこないどころか家の中はしんとしていた。
買い物にでも行ったのだろうか。
そうふと思い、買い物に黙っていくことなんて何度もあったので納得した。
家の中はだいたいの窓があいていたが、網戸は閉まっていた。
家の中は蒸し暑く、外の方がいいなと感じるほどだった。
そしてすぐ、考える暇もなくあいている全ての窓を閉めることにした。
窓を閉める際によくみていなかった空を見る。
残念ながら隣の家があり夕日はみえなかったが空は薄暗く、蝉の音と共に何故か私を懐かしい思いにさせた。
……よし。
全ての窓を閉め終えて、エアコンをつけようとする。
__付けられない……?
いや、ボタンを押せない……?
エアコンのコントロールをしようとしていた右手から徐々に力が抜けていくような、体験したことがない気持ちが悪い感覚に襲われる。
そして終いには右手は全く使えない状態で、指すら動かせなくなってしまった。
体験したことない出来事に、私は数分固まっていた。我にかえっても、とんでもない恐怖と困惑に脳がうまく機能しなかった。
どうしてこうなったのか、何が起きたのか、まずこれはなんなのか、と疑問点はいくらでも思い付く。
だが誰も答えてくれなかった。
静寂、それすらもこわくなりまた暫く放心状態になっていた。
ほげてた…
あげさせていただきます
「……り! ゆり!」
「ねえ返事をして……お願いだから……」
お母さん……?
泣いているのだろうか。
私はぼやけていた視界をはっきりさせた。
「ゆり!!」
「お母さん……」
お母さんも私も声がかすれていた。
「ああなんで……どうしたの……」
寝転がっていた自分の体を起き上がらせる。
「何があった……?」
ただただ疑問に思ったことをいう。
そこでなんとなく返答を聞く前に視界の端に入っていた時計をみる。
時計は短い針が八、長い針が三と四の間を指していた。
__あれ……?さっきまで夕日が出てたのに……。
「ゆりは意識を失ってたのよ。原因は……何?」
そこである意味なるほど、となる。だが頭上にはてなマークが浮かび上がっていても可笑しくないくらいに理解が追い付かなかった。
日本語が可笑しいかもしれません。
お見苦しい文章でしたら申し訳ないです。謝ります。
そして今後の展開を考えるともしかしてレス数が100もいかないかもしれません。
いくかもしれません。
「なるほどね。そういうことだったの……どういうこと?」
「何を言っているんだ?」
一通り説明を終えた。だが両親には伝わっていなかった。
「だからさ、そのままなんだって」
「はあ?」
右手はいつの間にか治っていて、いつ、どうして気を失ったのかもわからない。
そして今日一日の出来事を考えるとただの偶然だとは思えない。
何かの視線や気配を感じ、それから逃げようとしたら盛大に転び、骨をも心配するほどの激痛が走った。そして傷もちゃんとできており、血も出ようとしていた。
なのに母が見たときにはもう傷はなく、痛みも治っていた。
これだけでも充分おかしいし、幽霊、化け物、呪い……そういうものを信じてもいいだろう。
人ではない。
それだけはわかっている。
理由は__
__できるはずがないからだ。
今日でスレをたててから一ヶ月だと気付きました。そして一ヶ月もたってここまでしか進んでないのかと絶望しました。
私の中では一週間くらいしか経ってません。はやいです。
ペースを上げていきたい宣言しますが実行出来るかどうかはわかりません。
忙しいことは全くないんですけど何ででしょうか。
謎は増えていくばかりです。
読んでる人がいると信じてこのレスをしますがいなかったら少しさみしいです。是非読んでください。
目覚まし時計を六時にセットし、なにもかけずにただベットに横になる。
そして瞼をとじる。今日一日の疲れがじんわりと感じられ、眠気を誘ったのだろうか。
その後すぐに深い眠りにつく。
翌日の午前二時四十四分頃だった。
双葉ゆりは全身に違和感を感じ、深かった眠りが浅くなった。
そしてその十五分後。そろそろ何かが可笑しいと直感的に感じ始め、いよいよ目を覚ました。
全身の違和感はいまだにあった。
私は一度起き上がる。するとぐちょ、という音がし、上半身の違和感が徐々になくなっていった。
そしてここでその違和感は重みによるものだったとわかる。
その代わり下半身、つまり動かしていないほうに重みが増していった。
なにこれ、なにこれ、なにこれ、なにこれ……。
今現在起きている事が全く理解出来ない。
何が私の下半身に乗っかっているのだろうか。
暗闇に慣れた目でもその正体はわからないであろう。
快適な部屋の温度にしては酷く汗が出ていた。
一滴、そしてまた一滴と頬を伝う汗、変な夢でもみているのだろうか。
そう思い閉じていると思いたい目を開けようとする。
……が、もうすでに開いていた。
その事実に一瞬だけ思考が停止する。
これは夢ではない、そうわかっているのに手の甲の皮膚をつまんだり頬を手のひらで叩いたりした。
痛い。
やがてパニックになり目には見えない重みの元を急いで取り払う。
重みの元らしきものに触れたとき、言わばスライムのような、柔らかくひんやりしていて尚且つゾッとするような感触が全身に染み渡った。
言い訳 明日も暇だし更新明日にすっかーと水曜日に考えていたら昨日が暇じゃなくなりました。実行出来てなくてすみません。
26:あ:2017/12/02(土) 14:17 とりあえず電気を付けようと立ち上がる。
のこった重みも立ち上がったことによってゆっくりと下へ落ちていった。
暗闇に慣れた目でなら、部屋の電気のスイッチがどこにあるのかもすぐにわかる。
わかったならあとは簡単だ。
ただこの状況では何が起きても可笑しくはないので一歩一歩慎重に、周囲をくまなく見渡してから踏み出すことに決めた。
これまでにない体験だ。
それにとても怖い……例えるなら初めて両親から怒られた時ほど印象に残る出来事になるだろう。
どうにかしてこの現象から逃れて、私が未来で笑えていますように。
……届かない。
いくら歩いても電気のスイッチが押せない。
ついさっき、世間の言う『無限ループ』という状態になっていることに気が付いた。
いや、世間は実際になる状態なんて想像していないのだろうが。
とまあそんなことは置いといてこれはどうしようか。
前に行っても何処につくわけでもなし、後ろは行けないし向けない。
つんでいるような気がした。いや、つんでいた。
額に汗も滲んでいる。若干半泣き。
いくら前の出来事があったってこれはこれで精神的にとてもキツい。
どうにかしてぬけだせないか、そう考えていると私の頭にまだやっていないことが一つだけあったのを思い出した。
いくら歩いても足は疲れないし、息切れもしない。
そもそも無限ループしていること自体に気が付いていなかった私は自然にその事をするのには時間が掛かった。
それは、止まることだった。
少なくともこの足は私の意思で動いているはずだから止まることもできるはず!
そうなんとなく思いずっと動いていた足を止め、出来たことに感動する。
それからどうするかは考えていなかったのだが。
失礼します。
今>>1から>>27…今書かれているところまで読んだんですけど……。
超面白いです…!
何かむっちゃ文才あるし、凄い読みやすいし……物語が、続きはどうなるんだろう?と気になるような
感じで書かれていて、本当に凄いです。
ホラー系あんまり好きじゃなかったんですけど、この小説を読んで好きになりました……。
全然言葉の使い方おかしくないし、むしろ上手いです。超上手いです。
続きを楽しみにしておりますっっ!(^.^)/~~~
うわ〜!ありがとうございます!初めて言われる言葉ばかりで大変恐縮です…。このスレが自分のか何回も確認してしまいました。
本当に嬉しいです。励みになります。
期待に答えられるよう頑張りたいと思います。
最後にもう一度ありがとうございます。何度読み返しても興奮が止まりません。
止まった瞬間耳鳴りが起きた。
キーンという嫌な音がする。
出来れば聞いていたくない音だが、私は何かが起こる前兆じゃないかと考え
警戒する。
「……あ」
慣れてきてしまっていた耳鳴りに終止符を打ったのが原因不明の雑音だった。
その音は例えるならテレビから聞こえる砂嵐のようで、徐々に大きくなっていった。
その現象に底知れない恐怖を覚えた私は止まっていた足をまた動かそうとする。
「ちょっと待ってよ」
「は……?」
突然女性とも男性とも言い切れない中性的な声で呼び止められた。
超面白いです…。
声をかけてきたのは誰だろう。ホントに続きが気になります…。
「誰ですか……?」
私の声は恐怖で震えていた。
「ん〜? さて、誰だろうね」
誰かがそういったすぐ後に、後ろから視線を感じた。
心臓の音が徐々に速くなっていく。そして、大きくなっていく。
後ろをみたい、だが怖い。
振り向いたら後悔するのではないか、という感情が好奇心よりも強かった。
「そんなに緊張しなくてもいいのに。名前は……えーっと双葉ゆり、だっけ?」
「え……?」
自分の名前を知っていた。
それだけで大量の涙が溢れてきた。
よくわからなかった。何故自分はこんなにも涙が止まらないのか、声の主は誰なのか。
「あーちょっと待って、泣かないで。まーそうなるのも仕方ないんだけどさー」
「あれ……」
鈍器で殴られたかのような頭痛がした。
同時にもやもやした。何かを思い出せそうなのだがその何かがわからない。
そんな中ふと家族のことを思い出した。
嬉しいです!ありがとうございます。
おかげで書くのが捗ります。
描き方が上手いから読み手にも寒気がしてきます…Σ(゚□゚;)
続きも楽しみにしています!
お母さんは優しくて、料理が上手くて、私を第一に考えていてくれた。
お父さんは強くて、私を笑顔にしてくれて、それでいて結構会社では上の方の立場なんだっけ。
兄弟は……
__思い出せない。
なにかがもやもやした。
それが嫌で私は自分の記憶……双葉ゆりの記憶を辿っていこうとした。
でも何かがそれを邪魔してなにも思い出せない。
それでも無理矢理捻り出そうとする。
「いっ……!」
そのとき頭に激痛が走った。電流が左から右へ流れていくような痛みだった。
「なんなのこれ……」
鼻を煤って泣きながら誰にいったわけでもない言葉を吐く。
「あーあのさ、僕が言うのもあれだけど__」
「本当になんなの!? これお前がやったの!?」
思いのままに吐き出す。
「うーん、わかんないね!」
そう愉快に言いながら、真実を隠すやり方がどうも気にくわなかった。
なんで私だけ……こんなに……。
「ああそう。ま、いつかは向くかと思ってたけど、まさかこんなはやいとは」
振り向いてしまった。
みてしまった。『後ろ』を。
本当ですか!良かったです……!
何せ今まで感想を貰ったことがあまり無かったもので…。
これを読んでいる人は面白いと感じてくれているのかとかそういうことばっかり気にしていまして…安心しました。ありがとうございます。
目覚まし時計のジリリリという音が朝をしらせる。
まだ眠っていたいな……なんて思いながら欠伸をし、目を擦りながら自分からだを起こす。
なぜか異様に光が眩しい。
瞑ったままの目を開けられない。
そして眠い。まるでいつもより睡眠時間が短くなったような……。
__あれ?
そうだ……どうして忘れていたんだ私。
そんなに振り向いてはいけなかったのか?
確か、私と背丈が同じくらいの黒い影がみえただけだったはず……。
「ゆりー! ご飯よー」
考え込んでいると、母の声が一階から聞こえてきた。
「……ごめん、いまいくー」
「ごちそうさまでした」
手を合わせ、立ち上がる。
自分が使った食器を持って台所に向かう。
「そういえば、近所の橋本さん家、虐待があったみたいね」
母がそういったその時、救急車の音、パトカーの音、消防車の音が急に聞こえてきた。
「へー」
それをなんでもないかのように受け流す父。
他人のことなのに私はなぜか異様に不安になり、台所に行って固まったままだった手を動かし、お皿を洗ってから「ちょっとみてくるー」と言って外に飛び出す。
寝間着とか、髪がボサボサとか、そんなの気にしない。
今は、ただただ虐待があったということが気になって、不安で、心配で仕方ない。
それが?
40:あ hoge:2018/02/27(火) 13:55 〜前置き〜お久しぶりです……。肉体的には全くといっていいほど忙しくなかったのですが精神的にとても忙しくて疲れていたので少々…?のお休みをとっておりました。更新再開すると思います!思いたいです!>>39 それが…
ここから本編
「うわっ……」
早朝と言えど夏は夏だった。
いつかとは違う蒸されるような、とてもねっとりとした暑さだ。
家の庭を抜けて道路に出る。
と、そこで私は足を止める。
前からの異様な気配と共に黒い靄がみえた。
見覚えがある。これはあの時の影と同じ形だ。そしてこの気味の悪さも、もう何度も体験している。
「あれれ?」
最近聞いた声。
「ふーん、もうここまできちゃったかぁ」
出来れば聞きたくない声。相変わらず嫌なしゃべり方で寒気がする。
「まあ、こうなってくるとこちらとしては……限られてくるからそれもまた良しとしよう!」
なにを言っているのか……話の流れからすると恐らく私に関することだろう。
「じゃあ、君にはそれまでの最後の手順を踏んでもらわなきゃ!」
「じゃあ、君にはそれまでの最後の手順を踏んでもらわなきゃ!」
どういうことだ?
意味はわからないがなんとなく嫌なことというのはわかる。
「動いちゃダメだよ?」
その言葉をきいて思い出したかのように動こうとする。
だがぴくりとも動かない。
せめて自分の今の状態だけでも確認しようとするが、視線も黒い靄に釘付けになりそらそうにもそらせない。瞬きも出来ない。
「ちょっと強引だけど……これでいいかなあ? 僕もこんなことするのはじめてなんだけどさあ」
まわりの景色から色が抜き取られていく。
いや、正確には白と黒になっていっている。
そして黒が徐々に強くなっていき、やがて私の視界は闇に染まる。
「うまくいったかな! ふふ、楽しかったよ。ありがと」
暗闇の中でぽつんと声だけが聞こえる。
その声色は最後まで楽しそうだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
まだ続きますよ。
あ、すみません上げてませんでしたか。
あげます!
(そろそろコテハンがほしい)
目を開くと白い天井が見えた。所々汚れており、私の真上に四角形の特徴的なシミがある。
だがしかし私はそこで疑問を感じた。
これ、私の部屋じゃないよね?
家でもないよね?
少なくとも知っている場所ではない。
においもなんか違う。
じゃあここはどこ?
もしかして拉致された?
だとしたら誰に?
と、一通り疑問を浮かべた後、冷静に深呼吸をして寝転がったまま左右をみる。
右には色素が薄い緑色のカーテンがある。
そして何かよくわからない……写真や折り紙。鶴がおられている。さらに花束やテレビ、懐中電灯なども小さなテーブルにギリギリで置いてあった。
左をみると窓と折り畳み式の椅子が置いてある。
なにか見覚えがあった。
でもまだわからない。他にも決定的なものがないと、と考え何故か重い体を起こして辺りを見回す。
左と後ろの壁以外カーテンで、部屋はまだあるらしいがみえなかった。
でも私はその"決定的なもの"を見付けた。
ここがどこだかわかった。
みたことがある。何度も訪れたことがある。
もうこの世にはいない祖母や祖父がお世話になっていた。
そうここは……病院だ。
「生きてたんだ……」
つい独り言が口から漏れる。
今思い返しても何があったのか本当にわからないままだ。
ということは……夢だったのか。
嫌な夢だ。でも妙にリアルだった。
内容もはっきりと覚えている。
これからも忘れることなんて無いんだろうな、と直感的にそう思った。
__安心した。
夢だとするともう私はあんな経験をすることもないだろう。
生きててよかった、ただただそう思う。
双葉ゆりにはまだまだやり残したことが沢山ある。
だから生きなければならないのだ。
双葉ゆりは生きる希望に道溢れていた。
「生きてたんじゃなくて生かしてもらったんだけど」
この声を聞くまでは。
__幻聴だよね。夢が印象に残りすぎて現実にも影響をもたらしちゃってるんだよね。
「ねえ、感謝してよ?」
これは幻聴。自分が勝手に考えてしまっているだけ、そう強く心に言い聞かせる。
「僕今ちょっと不機嫌なんだよね。あんまりイライラさせないでね」
「どうして……」
声に出してしまった。聞こえていることを認めたようで嫌になる。
動悸が止まらない。
小刻みに震えている右手を左手でおさえる。
聞きたくない。
これも夢だ、夢なんだ。夢であってほしい。
両手を離し掌を耳に押し付ける。私は今何も聞こえていない。
そう思うしかなかった。あの声を聞くと今までの嫌なことがフラッシュバックされる。
「アハハ、おもしろーいその反応」
「違う……違う違う違う! これは現実じゃない……ちがう……」
そう自己暗示する。
全身から嫌な汗が吹き出てとまらない。
__あの吐き気がするような出来事はもう思い出したくない__!
__でもコイツがいる限り、悪夢はきっと終わらない。
「ついに壊れちゃった? まー無理もないよね。酒で泥酔した両親に暴力ふられて意識不明だもんね」
「……は?」
唐突な話に頭が真っ白になった。
理解不能だった。
けれど何故か心当たりがあった。
私の心は、脳は、その事実を忘れさせてはくれなかった。