殺し合いゲーム

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1:Rika◆ck:2019/04/16(火) 20:05

(登場人物が多い為簡単なキャラクター紹介を入れますが、読み飛ばしても大丈夫です。 >>1->>3 まで。>>4 から本編。)

【チーム1】
榛名アオイ(17)
高校生。
殺し合いを反対し、避けている。ゲーム開始時は、同じチームのメンバーに誰も殺さないように説得しようと考えていた。

片山葉子(19)
チーム1の最年長。大学生。
無人島に転送された際は殺し合いに対し否定していたが、次第に心境が変わり、好戦的になる。また、チーム1のリーダーでもある。

上月亜美香(13)
参加者最年少。中学生。
葉子曰く「クソガキ」。騒がしくて、自分勝手でワガママ、そして素直になれない性格。初めは状況を理解出来ておらず、すぐに助けが来るだろうと気楽に過ごしていた。

江藤晶(18)
高校生。
男勝りな性格で、殺し合いに対して賛成気味。また、運動神経が良く、戦闘スキルは参加者の中でトップクラス。
リーダーは葉子だが、基本は晶がチームを仕切っている。

八神芽依(14)
中学生。
年齢が近いという理由で亜美香と親しくなる。他人の言葉に流されやすい性格で、自分から行動出来ないのがコンプレックス。殺し合いは避けたいと思っている。

2:Rika◆ck:2019/04/16(火) 20:06

【チーム2】
松井澪(21)
参加者最年長。
冷酷な性格。最年長として、名義上ではチーム2のリーダーとなっているが、メンバーをまとめる気は全くない。
生き延びることを目標としている為、殺し合いには賛成している。

立花叶(17)
高校生。
あまり文句を言わない性格だが、心の中には不満が溜まっているタイプ。
臆病なので殺し合いには反対している。変わり者の多いチーム2のメンバーと何とか会話を試みようと奮闘している。

中村玲奈(15)
チーム2の最年少。中学生。
明るい性格。だがどこか冷めている。
殺し合いに関しては賛成とも反対とも思っておらず、やられたらやり返す作戦。

佐藤えりな(16)
高校生。
気が強い女王様タイプ。かなり自分勝手。
殺し合いは反対派。というより、自分から動きたくないらしい。

大橋紗英(17)
高校生。
明るくさっぱりした性格だったが、殺し合いの生活の中で次第に豹変していく。
晶同様運動神経が良い。そして、銃の扱いがダントツに上手い。

3:Rika◆ck:2019/04/16(火) 20:07

【チーム3】
松岡悠(16)
チーム3最年少。高校生。
無気力な性格。自分からは何も行動を起こそうとしない。一応、生き延びたいとは思っているので、敵が近付いてきたら殺そうと思っている。

加藤真理子(20)
チーム3最年長。大学生。
仲間はどうでもいいが、自分だけ生き延びたいと思っている。チーム最年長であり、リーダーでもあるので、その権力と威圧感でメンバーを無理やり動かしている。

神崎伊月(19)
飲食店で働く19歳。
サバサバした性格だが、少々面倒くさがりな一面がある。ゲームが始まって早々真理子から命令され、他のチームの行動を見張っている。実は物凄く頭の回転が早い。

中田夕音(20)
大学生。
常にぼーっとしている。鈍そうに見えるが、実は戦闘スキルはそこそこある。
思った事をすぐ口に出してしまう性格なので、チームのメンバーとよく揉めている。

北原睦美(18)
高校生。
短気で気性が荒い不良少女。
すぐに手が出る性格は、殺し合いの中では有利だと真理子に判断され、彼女に上手く利用されているが、本人は気付いていない。

4:Rika◆ck:2019/04/16(火) 20:09

【第1章・悪夢の始まり】


「続いてのニュースです。先日殺害された……」
「行ってきまーす」 
 榛名アオイが家を出発する時間帯は、毎日不幸なニュースが流れている。
 アオイは、良くも悪くも今時の女子高生と言ったような性格だ。赤の他人の不幸は、可哀想だとか、物騒だとか、その程度にしか感じていない。
 殺人なんて毎日ニュースになってるのに、私の周りではそんな話聞いたことがない。次はあなたが被害者になるかもしれないんだよ、って周りの大人は言うけど、まさか私が被害に遭うわけないし。今日も気楽に考えながら、アオイは玄関のドアに手をかける。
 歩き出して数歩、アオイは強く視線を感じた。一度立ち止まり、辺りを軽く見回して、気のせいか、と思いながらまた前を向くと―――後頭部に強い衝撃を受けた後、アオイは意識を失った。

5:Rika◆ck:2019/04/16(火) 20:48

 アオイの頭をバットで殴りつけ、気絶させた男は、動かなくなったアオイの身体を引き摺り、無理やり車に乗せて、後部座席に寝かせた。
「これで最後ですか?」
 運転席に座っていた、バットの男の上司に当たる男は、その問いかけに無言で頷くと、意識のないアオイを見遣り、その姿をを鼻で笑いながら、間抜けな奴だな、と、冷たく言い放つ。
「見つかりませんかね」
「多分な。ヘリはすぐそこだろう?」
「そうですか」
 薄ら笑いを浮かべながら、男達はやり取りを終えた後、エンジンをかけて、車を走らせた。



 それから少しの時間が経ち、男達はアオイを車から降ろすと、今度はヘリまで担ぎ、奥に押し込んだ。
「コイツで15人目でしたっけ。こんな人数集めて何をするつもりですか」
 ターゲットを連れ去り、無人島行きのヘリに乗せたは良いが、部下の方の男は詳細を何も聞かされていなかった。怪訝そうな表情で、もう片方の男に尋ねる。
「すぐに分かる」
 上司の方男は、怪しげな笑みを浮かべてそう言い、ヘリの天井を仰いで、また続ける。
「お前。命の危険に晒され、泣き叫ぶ人間を見るのは楽しいと思うか?」
 部下の男は、その言葉で全てを察し、顔を引きつらせた。
「全く、趣味が悪い……」
 ターゲットが全員若い女だというのも。部下の男がボソリと呟いたその言葉は、上司の男にも聞こえているように見えたが、それを気にもせず、彼は終始気味の悪い笑顔を貼り付けていたのだった。

6:Rika◆ck:2019/04/17(水) 21:25

 アオイを乗せたヘリは、周りを海に囲まれた孤島に着陸する。男達は未だに目を覚まさないアオイを砂浜へ投げつけ、その場を立ち去った。アオイの周りには、何人かの少女が横たわっていた。
「痛っ! ……は!?」
 アオイは投げられた衝撃で目を覚ましたが、自身が置かれた状況を全く理解出来ておらず、一人大声で騒いでいる。
「は!? ここどこ!?」
「意味分かんなーい」
 アオイの声に反応して、少女達は次々と目を覚まし、起き上がり始めた。誰もがアオイと同じように動揺している。あまりにも突然の事だったから。
 その場にいた全員が目を覚ますと、そのタイミングと同時に、ブチッ、という音が鳴る。アオイはその音に肩を跳ねさせて驚き、辺りを警戒するようにぐるりと見回す。
 それから、アオイは目を見開いた。島には、いくつもののスピーカーが設置されていた。
「あー、あー、あー、」
「ひぃっ」
 低い声が、島中に響き渡る。その無機質な声色に怯え、最年少の上月亜美香は、小さく悲鳴をあげた。
「いいねえ、その悲鳴。このゲームが始まれば、その声はもっとでかくなるんだろうなあ!」
 少女達は凍りつき、男の不気味な笑い声だけが響く。その沈黙を破ったのは、大学生の片山葉子だった。
「私達の声があなたには聞こえるんですか? マイクも付けてないのに。近くにいるって事ですよね?」
 年長者らしく、的を得た質問だった。
 質問を受けて、男は少しの間黙っていたが、葉子に対し鼻で笑うと、やがてこう答えた。
「想像に任せる。さ、無駄話なんかしてる時間はない。本題に入る。今から、お前達には殺し合いをしてもらう」
 男の言葉に、少女達はざわついた。
 意味がわからない、ふざけるな、早く帰らせろ。ほぼ全員が口々に言っていたが、男が何かを強く叩いたような音がスピーカー越しから響き、その場は静まり返った。
「黙れ! ったく、イライラさせんなよ。話を戻す。殺し合いは1チーム5名、計3チームに別れ、それぞれの陣地のテントから始まる。簡単な話だ、生き残った人数の多いチームが、この島から脱出できる。
 砂浜には旗が立っているだろう? そこを少し掘れば、箱が出てくる筈だ。その箱の中にある紙を見れば、チーム分けと各チームのテントの場所が分かる。ナイフ、銃、ゲーム用の服はテントに全て準備してある。
 万が一無人島を脱出しようとしたり、戦いを全員が放棄するような事があれば……」
 男が言いかけると、砂浜から遠く離れた場所から大きな爆発音が鳴った。悲鳴や鳴き声が飛び交う。
「俺の手元にあるスイッチを押せば、ドーン、ってな。島中至る所にに爆弾が仕掛けてあるから、誰も逃げられないって事だ。じゃ、そういうことで」
 ブチッ、とまた音が鳴り、放送は途切れた。
 恐怖、困惑、絶望の気持ちが入り混じり、誰もが動けないでいる中、葉子が一番最初に足を踏み出し、旗の刺さっていた場所を手で掘り進み、小さな箱を掘り起こした。
「多分これでしょ。……皆、いい? とりあえず従っておかないと殺されるからね。私が皆のチームを言うから、まずは別れてそれぞれのテントに行こう。チーム1は……」

7:Rika◆ck:2019/04/20(土) 11:55

 榛名アオイ、片山葉子、上月亜美香、江藤晶、八神芽依の5人は、チーム1のテントに辿り着いた。
「まずはどこから襲撃するか決めないとな」
 男勝りな18歳、江藤晶は殺し合いに対して賛成らしい。早くもチームを仕切り、作戦を立てようとしている。
 それを誰も止めない事にアオイは疑問を持った。発言するか一瞬迷っていたようだが、反対される覚悟で口を開いた。
「ねえ、本当に殺し合いするの? チーム2と3さえ勝手にやってくれれば、私達は何もしなくても島を爆破される事はないんじゃない?」
「確かに!」
「……そうかも?」
 アオイの意見に中学生の亜美香と芽依は賛同していたが、その一方、葉子は苦い表情をしていた。
「それは無理でしょ。あの男の人、多分島中監視してるんじゃない?」
 葉子の意見も正しかった。もし自分達が殺し合いを放棄しようとしている事に気付かれたら、きっと殺されてしまう。
 返す言葉が無くアオイが黙っていると、晶は、それだったら、と言わんばかりに口角を上げて笑い、テントの中に入っていた銃をポケットに隠した。それから、銃をもう一丁手に取って、アオイの前に立つ。
「アオイ、だっけ。チーム2のテントに行くよ」
 そして、晶はアオイに銃を差し出した。アオイは銃を受け取る事を拒否しようとした。だが、出来なかった。
 晶さんは間違いなく本気。ここで逆らったら、この人に何されるか分からない。もし誰かと会っても、手を出さなければいいよね。
 そう自分に言い聞かせて、アオイは晶から銃を受け取り、2人でテントを出て行った。

8:Rika◆ck:2019/04/21(日) 17:42

【第2章・戦闘開始】


 アオイと晶はテントを出た後、暫く歩いていたが、敵チームのメンバーは誰一人見つかっていなかった。
「チーム2も3も、誰も動いてないんじゃないの……あっ」
 アオイはぶつぶつと文句を垂れながら歩いていると、何かに気付く。立ち止まって、自分の足元を見た。
「晶さん、これ足跡じゃないの」
 辺りをキョロキョロ見回す晶に、アオイは声をかける。
「マジじゃん。とりあえず辿ってみよ。道に迷う事もないっしょ」
 晶の提案に、アオイは内心敵に襲われたらと不安に思ったが、渋々従ったのだった。



 それから、10分程度が経った時だろうか。木に囲まれた道から少し開けたスペースに辿り着いた所で、遂に足跡が途切れた。
 ここで足跡が途切れたということは、きっと引き返したのだろう。そう考え、晶が残念に思っていると、突然ハッとした表情で素早く身体を動かし、勢い良く後ろに下がった。
「えっ」
 つられて後ろに下がったアオイは、目で「どうしたの」と訴えるように晶の顔を見る。すると、晶は口パクで「だ、れ、か、く、る」と返事をした。晶には、誰かの足音が聞こえたらしい。
 二人が木陰に隠れ、警戒しながら前を見ていると、やがてその人物が現れた。
「誰だっけあれ」
 小声でアオイが言う。
「チーム2の中学生じゃなかった?」
 そう返しつつ、晶はポケットに隠していた銃を取り出し、弾を込めた。
「……撃つの?」
「当たり前じゃん。気の毒だけど」
 アオイが恐る恐る尋ねると、晶は当然かのように答える。そんな晶をアオイは止めたかったが、晶の目が本気だという事に気付くと、一瞬で諦めた。そして、心の中で敵チームの少女に謝罪した。私には助けられない。ごめんなさい、と。
 その時、晶は既に引き金に指をかけていた。二人の目の前を通り過ぎようとする少女に狙いを定め、それから戸惑いもせずに引き金を引く。
 勢い良く銃口から飛び出した弾は、少女の肩を掠った。
「チッ、外した」
 小さく舌打ちをし、晶がもう一度少女に狙いを定めようとするが、次の瞬間、晶の手にあった銃は、遠くに吹き飛んだ。思わず、二人は目を見開く。
 狙っていた少女が、晶が持っていた銃を撃っていた。
「何でびっくりしてるんですか? 挨拶は返しますよ」
 明るい声でそう言い、少女は口角だけを上げて笑った。
「中村玲奈です。二人の名前、教えてくださいよ」
 そう言いながらも、少女……玲奈は引き金に指をかけていたので、二人は警戒するように後ずさる。
「逃げた方がいいんじゃない?」
 アオイは気付かれないように小さく耳打ちをした。だが、晶は引かなかった。
「アオイ銃持ってるでしょ。撃てよ」
 まさかの命令に、アオイはヒヤリとした。手を震わせ、必死に首を振り、拒否する。
「撃てよ!!」
 晶の声が響き渡る。しかし、どれだけ大声で命令されようが、アオイは誰かを殺る気なんて無かった。殺しも、殺されもせず、平和に終わって欲しかった。
「こんな所で仲間割れかあ」
 そんな二人を見ながら、小さく笑う玲奈。馬鹿にしていながらも、偉そうに組んだ足は小刻みに震えていた。
「長くなりそうなんで、帰りますね」
 そして、小走りで二人の前を通り過ぎる。
 その場に残されたアオイと晶の間には、仲間割れの後という事もあり、気まずい空気が流れていた。暫く立ち尽くす二人だったが、互いに目を逸らしながら、自分達のテントへと戻って行った。

9:Rika◆ck:2019/04/29(月) 19:16

 その頃、晶達の戦いを木の上から見ていたチーム3のメンバーが居た。彼女は神崎伊月。チーム3のリーダーである加藤真理子に命じられ、監視役を務めていた。
「……他のチームはどうよ?」
 機械を通して、突然真理子の声が響いた。伊月は少し焦ったようにポケットから連絡用の機械を取り出し、マイクの部分に口を当てる。
「あー、さっき1と2が殺り合ってるとこ見た。誰も死んでないけど」
 伊月がそう答えると、機械越しに舌打ちが聞こえた。伊月は不快そうに顔をしかめて、ため息をつく。
 真理子は殺し合いに完全に賛成している。いや、チーム3全体が。少なくとも、伊月の知る限り、反対の声をあげたメンバーはいなかった。それから、彼女はチーム1、チーム2の自然消滅を狙っている、自分の手は汚さない主義である。
「あんまり誰も殺さないようなら、アンタが殺せよ」
 明らかに不機嫌な声色だ。伊月は、真理子の機嫌をこれ以上損ねないように明るい声で「分かったって」と返事をして、会話を終わらせる。
「はー、めんどくせー……お?」
 伊月が心底憂鬱そうに言いながら、周辺をぐるりと見渡すと、何かを見つけたようだった。それから、たちまち銃声が響き出す。伊月は避難するように木から飛び下り、その場を走り去った。


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