【第1章・悪夢の始まり】
「続いてのニュースです。先日殺害された……」
「行ってきまーす」
榛名アオイが家を出発する時間帯は、毎日不幸なニュースが流れている。
アオイは、良くも悪くも今時の女子高生と言ったような性格だ。赤の他人の不幸は、可哀想だとか、物騒だとか、その程度にしか感じていない。
殺人なんて毎日ニュースになってるのに、私の周りではそんな話聞いたことがない。次はあなたが被害者になるかもしれないんだよ、って周りの大人は言うけど、まさか私が被害に遭うわけないし。今日も気楽に考えながら、アオイは玄関のドアに手をかける。
歩き出して数歩、アオイは強く視線を感じた。一度立ち止まり、辺りを軽く見回して、気のせいか、と思いながらまた前を向くと―――後頭部に強い衝撃を受けた後、アオイは意識を失った。