戻ってきました
先刻にも書いた通り
「アビス」と呼んでくれて
構わないですよ
閲覧は自己責任で
御願いしたいです
猫も食わない生魚の戯言は
聞き入れる心算は御座いません
ちか ちか ちか ちか
夜の顔の目が光り
ぼくを見ているよ
これは何かな
何の生き物の顔だろう
わからないよ
猫が屋根の上で欠伸する
私の手のひらには
生鮭の切身が
乗っています
そして朝ごはんとして
目玉焼きを
作ろうと思うのですが
手のひらの切身が
邪魔であられるので
作る事ができません
私は目玉焼きが
食べたいのです
どうしてもと云う程
ですが切身は
自分を焼いて食べてくれと
云わんばかりに
クリスマスのモミの木に飾られる
電飾並みに
エレクトリカルキラキラに輝き
激しい自己主張を
繰り返しているのです
背中あわせの
貴方は誰ですか?
人間の様な
頭を持っていて
人間の様な
手を持っていて
人間の様な
足を持っている
貴方は誰ですか?
おかえりなさい。
深河春淵という名も素敵だと思いますが、
やはり今まで通り、アビスさんと呼ばせていただきます。
詩の雰囲気も少し変わりましたね。
それでも、素晴らしい作品ということには変わりない。
新しくもアビスさんらしい、またそんな詩が読めると思うと胸が高鳴ります。
私の庭に
生命は無い
種を与えられた
お前の庭はあまりにも
寂し過ぎるからと
蒔いて埋めても
種は花を咲かせるどころか
芽吹きすらもしない
路上を歩く人間を
私はカァテンの
隙間から見ている
人が怖くて仕方がない
何時でも自分を見張っていて
今にも彼処の扉から
私を中傷する言葉の
羅列が綴られたる手紙が
投函されるかもしれない
顔の無い人間が好きだ
顔のある人間はどうにもいけない
顔のある人間は私に対して
面と向かって話せと
がなり立てるからだ
他人と話そうとするだけでも
私は足がすくみ
其の他人が
世にも恐ろしい
怪物に見えてくる
あたしと同じ顔
あたしと同じ手
あたしと同じ足
きれいに並べられて
あたしは掴まれて
目玉をはめられて
服を着て
化粧して
箱に入って
トラックに乗って
売られて
あなたに買われて
いっしょに遊んで
捨てられた
小さな歯車がありました
なんの為に作られたのかは
わかりませんでした
歯車には仕事があります
他の歯車と合わさって
回り続ける事です
ですがこの小さな歯車は
他の歯車とどうしても合わなくて
いつも工具箱のすみで
ひとりぼっち
小さな歯車は
見上げるだけでした
他の歯車が
人間の手に
つまみあげられて
カチッとはめられて
ぐるぐるカチカチ
楽しそうに
回る姿を
ある日小さな歯車は
つまみあげられました
そして落っこちて
わずかなすき間に
すべり込んでしまいました
小さな歯車は
ホコリを被っています
小さな歯車は
外に出ました
外では雨が
ざあざあふっていました
小さな歯車は
段々さびていきました
小さな歯車は
もうなんにも
役に立ちません
種を蒔かなかったら
そりゃ咲く物も咲かない
だからあんたの鉢植えは
いつまでも土のまんまさ
種は蒔いたと?ほう
ならば何故あんたの
鉢植えの花は咲かない?
ビスケット
今日は僕達が
人間に食べられる
仲間のチョコやケーキは
先に行って食べられた
人間は二人いる
小さい男の子と女の子
二人は仲良く分けあって
僕達を食べた
僕達が一個
男の子の口の中へ
僕達が一個
女の子の口の中へ
入っていって
サクサク歯で
かみくだかれていく
僕達に
人間みたいな
内臓があったなら
ポロポロこぼれる
僕達のカスはさしあたり
肉片なんだろねと
僕達のひめいを聞き乍
思っている
僕達は食べられて
僕だけになった
男の子と女の子は
どっちが僕を食べるかで
もめている
僕達を作った人が
半分こしなさいと云ったので
僕は割られて
ふたつになった
僕は二人に食べられて
のみこまれて とけた
うわあ
13:深河春淵◆wc:2020/02/15(土) 21:39 彼は嘆いている
自分がこんなにも
身を粉にして
安い賃金で働いて
いると云うのに
其の全ての金が
親に管理されていて
自分の自由に
全くならないと
彼は何を
云っているのだろうと思う
彼には優しい
叔父さんがいるらしく
ゲーム機だったり
テレビだったりと
其の他色々くれると云う
私は彼が
正直愚かに見える
気付いていないのだ
彼は自分がどれだけ
恵まれた環境に
いるのかを
或る所を走っている女がいる
後ろを振り向き乍
女は何かを恐れている
其の様を
森を作る木々が見ている
草を薙ぎ辺りを見回し
息を荒くして何かを探している
男か女か定かでは無い
人の影が
人の影は右手に
鉈を持っている
持つ手から伝わるのは
其の何かを探し出し×すと云う
明確な意思
ひゅー ひゅー
落っこちる
塔から少女が
落っこちる
ひゅー ひゅー
落っこちる
塔から少年が
落っこちる
きれい キレイに砕けた
少年と少女の体は
ふわぁーって飛んだ
空へと飛んでった
淀む空をいろどる
星になるよ
魚がやってきて
星を食べようとする
逃げるのだけれど
大体逃げられなくて
食べられる
チカ チカ チカ チカ
星はまばらに光る
星座は
結べない
ひゅー ひゅー
落っこちる
塔から男が
落っこちる
ひゅー ひゅー
落っこちる
塔から女が
落っこちる
汚い 汚いに砕けた
男と女の身体は
星にはなれずに
塔へとなるよ
少女と少年は
そこを昇って
ひゅー ひゅー…
ひゅー ひゅー…
落っこちる
また
はーっ…ああぁぁ…
惜しかった…
君の事をもう少しで
絞め×せそうだったのに
なんで起こしたのかな 君は
なんだ 僕が涙を流していたから
起こしたのかい?
愉しい夢だったよ
苦しんでいたからね 君が
段々青ざめていくんだよ 顔が
そして白っぽくなるんだ 次は
そんな君を僕は
笑って見ていたんだ
流石に声までは上げないよ
其処まで異常では無いし
抑々僕は普通の人間だ
失敗したって良いじゃない
誰かが助けてくれるんだもの
今の世の中はそう云う感じ
誰か一人が失敗しても
皆が助け合えば成功する
なんとまぁ素晴らしい
世の中なのでしょう!
それだったらもう
足の引っ張り合いをしたって
バレやしませんものねぇ
誰がやらかしただの
こいつがやらかしただのって
犯人を探す必要なんて
ありゃしない!
あーっはっはっはっ!
責任を負わなくたって
良いのだものねぇ!
彼女は妬ましいのです
幸福なる全ての者達が
生命に満ちた彼の地に住まう
生き物達が全て呪われ息絶えるよう
何時でも地の底で
そう願っているのです
右手と左手を合わせよ
瞳を形作れ
そして見るのだ隣人を
隣人もまたお前の事を
見ているのだから
思想を持つ無かれ
思慮は罪なり罪は思慮なり
平凡なる幸福のみを求めよ
身の丈に合わぬ幸福は
邪なる罪への入口なり
絞首台に立つ罪人に
憎悪せよ群衆共
刑に処され命絶つ者へ
狂喜の歓声を上げよ
罪人を処し刑を執行せし者へ
惜しみ無き賛辞の拍手を送れ
我々が定めし規則には
順守せよ
規則を破る者あらば
其れはこの世にいては
ならない罪人故に
其処彼処にある
我々の耳と眼に
密かに告げよ
それが例えお前の
両親、兄弟、姉妹等の血縁者や
友人、恋人であろうとも
躊躇う無かれ
躊躇うならばお前もまた
其の者と同じく罪人故
首に縄を掛ける身となるだろう
群衆共よ知るが良い
安寧たる日々は
我々が作り出している事を
偉大なる我々は
行き交う人々の中にいる事を
我々の目は
常にお前達を見ている
我々の耳は
常にお前達を聴いている
我々の口は
常にお前達を語っている
我々の足は
常にお前達を追っている
我々の手は
常にお前達を捕らえている
何時まで君は
愛されていると
思っているのだろう
表の言葉に隠された
裏の言葉の真実に
君はまだ
気が付か無いんだね
ねぇ 君は幸せ?
本当は辛い?
生きていればそのうち
良いことがあるのかな?
少なくとも君を取り巻く環境に
そんな要素は無いと
思うのだけれど
光に夢を
見ないでよ
君はもう
闇にいるのに
深すぎる闇はね
呑み込まれている事を
悟られ無いんだよ
みんな逃げたよ
僕がこの姿になってから
家族も 友達も
僕の知っている人達
みんな逃げちゃった
怖いんだって 僕の事が
近寄るな!化け物めが!とも
云われたっけ
何でだろうね
僕は僕のままなのに
確かに体は
こんな怖い
化け物だけれど
でも心は
僕のまんまなんだよ
まぁ良いや
みんなの事なんて
まとめてぷちっと
つぶしちゃえば良いよね
人間が虫を
歩いて踏んじゃうようにさ
(1)
かあさん
あれを取って
くれませんかねぇ
そう それです
貴女の右目を突き刺した
そのハサミを
次は
左目を刺したいんです
痛いでしょうね 右目
ドクドクドクドク
流れてますもの 血が
かあさん
貴女は今 どんな表情を
しているのですか
教えて下さいよ
口の糸は
切ってあげますから
ねえ ねえ
違うのですよ かあさん
今貴女から聞きたいのは
ボクに対する罵倒の
言葉では無いんです
…アレ?何でしたっけ
貴女から聞きたい言葉は
まぁ良いです
かあさん貴女を
後何回か刺せば
思い出すでしょう
それまで ねえ かあさん
生きてて下さいね
(2)
ボクは悪い子じゃ
ないでしょう?
いいこでしょう?
かあさん ねえ
かあさんは
虫がだいきらい
だったから
いつもボクが
たいじしたんだよ
それでね
ほめてもらいたくて
みせてたの
羽なしちょうちょとか
まっぷたつのいもむしとか
それを両手にいっぱいのせて
そしたら かあさんは
可哀想だから
庭に埋めておやんなさいと
おばけやら なにやら
そう云う類いを見る様な
こわぁい目をして
ボクに云ったんだ
なんでかあさんは
あんな目をしたんだろと
思いつつ
庭に埋めたっけ
埋めてもまだ
手にはちょうちょの
羽がついてたよ
ねえ かあさん
何故うごかないのです?
ねえ ボクは
何故 こんな所に
いるのですか?
いいあらそい
どっちが悪いか
どっちが正しいか
わからない
そんな二のけんかに
まき込まれたんです
一方が一方を
指指して云います
あいつが悪いんだ
僕が正しい と
一方が一方を
指指して云います
あいつが悪いのよ
私が正しい と
知りませんよそんな事
だってその場に
居合わせた訳では
無いのですから
ですからどっちが
正しいだの 悪い だの
知ったこっちゃあ
ないんですよ
無責任!無責任!と
責められましてもね
事実なんです それが
ぎゃいぎゃい
わいのわいの
やかましい
三の
いいあらそい
お前を許さない 絶対に
お前に私の苦しみが判るまで
私はお前を苦しめ続ける
主は星震を用いて
災いをもたらさんが為に
暗黒の宇宙より飛来せり
或る願望を持っていた
愛する者の腹の中で眠りたいと
まだか まだかと
思っていた
彼女が寝る時を
となりで寝ている
彼女を置いて
台所へと向かい
彼女の腹を裂く為だけに
新しく買った包丁を
取りに行く
包丁はわずかに
カァテンの隙間から
漏れ入る月光により
刃の先が
鈍く反射している
静寂な夜だ
階段を昇る時の
踏んだ足の木の音が
いつもより良く響く
起こさない様に
ドアを開け
物盗る人の様に近付き
躊躇っている間なぞ無いと
繰り返し云い聞かしては
両の手に握った包丁を
彼女の喉に
降り下ろした
包丁とベッドは瞬間
血に染まり
声を発する事無く
絶命した
包丁を彼女に刺したまま
子供の時にした
解剖の授業よろしく
喉から腹の辺りまで
包丁を滑らせた
滑らせて見えたのは
彼女の内臓と骨
腹の中で眠りたい願望を持つ
私にとってはそれは
邪魔な付属品でしか無いので
素手で彼女の開けた腹の中を
グチュグチュこねくり回しまくり
臓物を千切って骨を折り外し
彼女の腹を空っぽにした
彼女の空いた腹に
丸まって入る
やわい皮と温かい血が
全身を包み込んで
この上無い安心感だった
彼女が生きて私の事を
愛していた時よりも
猛烈な眠気が
襲って来たので
そのまま彼女の腹の中で
朝を迎える事にした
何処からか来たか
判らない蝿の複眼が
此方を見ている事に
気付かずに
或る願望を持っていた
愛する者の腹の中で眠りたいと
まだか まだかと
思っていた
彼女が寝る時を
となりで寝ている
彼女を置いて
台所へと向かい
彼女の腹を裂く為だけに
新しく買った包丁を
取りに行く
包丁はわずかに
カァテンの隙間から
漏れ入る月光により
刃の先が
鈍く反射している
静寂な夜だ
階段を昇る時の
踏んだ足の木の音が
いつもより良く響く
起こさない様に
ドアを開け
物盗る人の様に近付き
躊躇っている間なぞ無いと
繰り返し云い聞かしては
両の手に握った包丁を
彼女の喉に
降り下ろした
包丁とベッドは瞬間
血に染まり
声を発する事無く
絶命した
包丁を彼女に刺したまま
子供の時にした
解剖の授業よろしく
喉から腹の辺りまで
包丁を滑らせた
滑らせて見えたのは
彼女の内臓と骨
腹の中で眠りたい願望を持つ
私にとってはそれは
邪魔な付属品でしか無いので
素手で彼女の開けた腹の中を
グチュグチュこねくり回しまくり
臓物を千切って骨を折り外し
彼女の腹を空っぽにした
彼女の空いた腹に
丸まって入る
やわい皮と温かい血が
全身を包み込んで
この上無い安心感だった
彼女が生きて私の事を
愛していた時よりも
猛烈な眠気が
襲って来たので
そのまま彼女の腹の中で
朝を迎える事にした
何処からか来たか
判らない蝿の複眼が
此方を見ている事に
気付かずに
…おや、
同じ物を載せて仕舞った様だね…。
久々にやらかしたかな
(1)
僕はね
ある時まで
幸せと云うものを
感じた事がないんだ
ある時と云うのはね
気紛れに他人と公園で
遊んでた時なんだけど
その子がね
大事にしてた人形を
無くしちゃって
僕もいっしょに
さがしたのだけれど
結局見つからなくって
その子が泣いちゃって
家に帰って行った時かな
その子が公園から
いなくなって
夕日が沈んで
影も映さなくなった頃
僕は笑った
その子の人形を持って
心の底から
笑った様な気がした
それまでも笑った事は
いくつかあったんだけど
表面的なだけで
ひとりになってから
なんであんな下らない事で
笑ったんだっけって自問してた
この時から
理解したんだ
自分は他人が
不幸になる事でしか
幸せになれない
人間なんだって
(2)
その時から僕は
皆の前では今以上に
良い子になって
その陰では
皆が作った物を壊したり
皆で飼ってた動物の餌に
毒を混ぜて歿なせたりして
皆が泣いてたり
怒って犯人は誰だって
云ったりしてるのを見て楽しんでた
不幸なんだろうなぁ この人達は
その中でたった一人だけ
僕は幸せだって
喜びをこっそり
噛み締めてた
危なかった時も
あったけれど
基本は誰も
僕を疑わなかった
だって僕は
自分の感情に素直なだけの
良い子だもの
星に願う 破滅を
宇宙より飛来する
彗星よ 来たれ
大気圏なぞと云う
地球を包む
穴だらけの脆弱なヴェールを
摩擦により燃え尽きる前に突き破り
空を 割れ
地上を 燃やせ
海を 蒸発させよ
あまねく生命に
終焉を もたらせ
散文の何が悪い
高尚な文を紡ぐ事が
良い事だと思うな
ナンセンスだって良いだろ
ハイセンスかぶれ共が
あおぞらのねこのことなど
わたしは知りません
わたしが知りたいのは
いま めのまえでしんだ
いぬのことなのです
少しだけ
眠らせてくれ
世界に希望を
抱く事が出来たなら
また私は目覚めるから
皆が笑って
私を崖に
追い詰める
そして私を
数多の手で突き落とす
黒虚底を背に
落ちていく私を
皆は追い詰めた時と
変わらぬ笑顔で見ている
助けてくれる訳が無いのに
私は何故か手を
皆に伸ばしている
勇気をひとつ持ったら
後の事は 考え無い様にしよう
空を見よう
きっと青い
白い雲は偽の綿飴
鳥は歌を歌っている余裕はないや
翔ぶ事に必死でそんなこと
思い出してみよう
良い事も 悪い事も
思い出しても 悲しくならないで
これから起こる事をすれば
なにもかも 全部
消えるよ
私がいない方が
皆にとって
清々するかもしれない
だって誰も私の事をもう
気にかける必要なんて
無くなるから
嫌だったに違い無い
私と接する事が
我慢していただろうな
現実は勿論
最近は電脳世界の貴方達も
私の事を画面の向こうで
冷たく嘲笑しているのではと
思えてきた
頑張らなきゃいけないのに
そうでなきゃ私は誰にも
見て貰えないのに
努力らしい努力をしないで
他人に見て貰えるのは
可愛い人と 綺麗な人と
格好いい人と 面白い人
そのどれかを
持つ人のみです
その世界は
別の世界
そんな世界に
私はいた
行きたくなかったが
無理矢理
連れて来られた
其処は
食い物と飲み物と
人の声が
混じる場所
皆は楽しそうだ
だが私は何ひとつ
楽しくなぞ無い
好かないからだ
元来そう云う場所は
少し目の前の冷たい
肉だの寿司だの食べて
約一時間後に来たる
ケェキを待つ為
喧騒より離れた場所で
持参したゲェムをしていた
少しすると
私と仲が
良いなんて騙る
私が勤める職場の
同僚女がとなりに来て
何か話しかけていた
何かを話しかけているなと
聞こえてはいたが
内容までは
聞いていなかった
その内同僚女は
私と会話するのを
諦めたのか
向こうへと行き
他の同僚と
話を始める
それで良いんだそれで
お前は綺麗なんだから
こんな可愛気の無い
私なんかと話すよりも
他の同僚と話でもして
チヤホヤされると良いさ
(1)
ある川原の土手で
男をハンマーで殴る
牛の刻ドンが鳴り
働く人間達が
昼餉を食べようと
ゾロゾロ出てくる時間に
其の男は
知らない男である
其の男は歿んだ
頭からダラダラダラダラ
血を流して
其の男は背が高く
メガネをかけていて
痩せている
まるで羽の無い
蜻蛉の様だった
何故殴ったのか
男の歿体を見詰めて
じっと考える
其の間も
男の頭から
流れる血は
止まらなくて
土手の青い草は
赤く染まっていった
(2)
もっと近くで見てみれば
判るかもしれないと思い
歿体の側でしゃがんだ
殴った頭の箇所からは
皮がベロンとめくれて
脳味噌が見える
ずいぶん強く
自分は殴ったのだと
少しだけ
口角が上がる
(3)
酉の刻になって
辺りが暗くなり始め
人が影の朧となろうとも
私はずっと
男の歿体の側に
しゃがんでいた
漂う血の匂いを嗅ぎ付け
引き付けられたのか
野犬が涎を垂らして
男と私を見ている
男の脳味噌が
見える箇所には
ブゥゥン…ブゥヴン…と
蝿が飛びかよい
脳味噌に
時折止まっては
口で肉を
ちびちび喰い
臀部の穴から
白っぽい蛆虫を
プリプリ産んでいる
なんだか見てると
どうだって
よくなってきた
なので川に蹴落とした
男の歿体は流れて
それを魚が
追従していった
上司や同僚が求めているのは
今休職している自分じゃなくて
病まずに出勤して
仕事をする自分なんだ
頑張らなきゃいけない
早く直さなきゃいけない
でないと自分は役立たずだ
何処にも居場所が無くなるんだ
(1)
いなければ良いのに
あいつがいるせいで
何かと比べられる
容姿だって
勉強だって
運動だって
あいつは優秀で
周りもあいつを
褒めるばかり
一方の私は
何をやっても駄目で
周りの誰もが
私を罵る
何故あっちは出来るのに
お前は出来ないのか等…
私だって何かひとつ位
出来たかった
あいつよりも秀でた所が
欲しかった
だけども叶わなくて
どうすれば良いのか判らなくて
其の結果が
いなくなれば良いと
妬みから来る
あいつへの憎しみだった
(2)
そうして私は
あいつを憎む
あいつの一挙一動一声が
気にくわない
なんて苛々
するのだろう
ひっぱたいてやりたい
お前ばかり
お前ばかり
お前ばかり…
…調子に乗るなよ
おー ばー ど うず
おー ばー ど うず
薬
白い楕円と丸
今飲んでいる
薬の形
これを飲むと
嫌な事が消えて
嫌な事を
考えられなくなる
おー ばー ど うず
おー ばー ど うず
崩れていく心を
薬が直してくれる
口に含んで
水で飲み込む
すると私は
たちまち常人に
なる
おー ばー ど うず
おー ばー ど うず
薬が
楽しみ
いじわるな子供がいました
その子はいつも
みんなにイタズラをしかけては
困らせて
笑っていました
ある日の事です
その子がイタズラを
考えながら
歩いていると
その子の足下に
突然大きな穴が開き
落ちてしまいました
その穴は
深くてとても一人では
出られやしません
おーい と声を
上げました
けれども返事が
返って来る事は無く
辺りは暗く
なるばかり…
その子は泣きました
わんわん泣きました
すると突然
雨が降ってきて
その子の
入っている穴を
水で埋めつくして
その子は溺れて
歿んでしまいました
貴方にされた悪き事
それをどうして
忘れられようか
元よりこの心病んでいます
それが貴方の所為で
殊更病みました
赤い布端縫い付けて
ぬいぐるみを貴方に例え
こうなれば良いと願い乍
ぬいぐるみの腹を裂き
ワタを引きずり詰め込んで
残りのカワもバラにして
これが貴方 未来の姿と
呟きたく存じます
アビス、すげぇ…
53:深河春淵◆wc:2020/04/04(土) 19:21 >>52
見てくれたんだね、ありがとう。
そう云ってくれるのは嬉しいですな。
私が悪う御座いました
貴女の了承を得ずに
勝手に夕餉を
食べてしまったのは
今 私は貴女のぶちまけた
飯だった物の上に
頭を垂れて
後頭部を貴女の
飯の汁にぬったくられた
素足に踏んづけられております
それは貴女の足の
匂いではないのだけれど
これもこれで悪くないと
思います
後頭部の足の感触が
ぬるぬるしていて
私はある衝動に
駆られております
舐めたいのです
貴女の足を
後頭部をひっくり返して
顔面に足がある状態にして
私の舌の味蕾で
味わいつくしたいのです
気持ち悪いと
思われるかもしれません
そう思われたのなら
どうぞこの卑しい私めを
貴女の口から出てくる
モザイクがかかりかねない
酷き言葉でどうか
罵倒して下さいませ
呪われちまえ
お前なんて
お前なんて
お前なんて
誰も彼もが
お前のせいで
お前のせいで
お前のせいで
俺の事を馬鹿にするんだ
つらい つらい つらい
つらい つらい つらい
つらい つらい つらい
苦しい
笑うな 笑うな 笑うな
笑うな 笑うな 笑うな
笑うな 笑うな 笑うな
聞きたくないんだよ
森に出口は無い
あるのは入口だけ
持っているのは薬と水
自分を証明する物は
持っていない
呼んでいる
誰かが
行かなきゃな
早く
何処へ?
何処だろう
何処でも良いよ
あの空の雲よ
あの空の雲
あの空の雲より
発行される券は
お星またたく宇宙より来たる
機関車に乗る為に
必要な物なのです
若し無くしてしまったなら
あの空の雲は
意地が悪いですんで
ずい分とこちらを
焼きもきさせてから
渡しに来ます
機関車の乗客は
あなた地球人だけじゃ
ありません
火星人の乗客もいます
水星人の乗客もいます
木星人の乗客もいます
金星人の乗客もいます
天王星人の乗客もいます
土星人の乗客もいます
まぁとどのつまり
地球人が認知している星体の
者達は全て
乗っている訳です
線路は星ですよ
地球人が
天ノ川と呼んでいる物の事です
織姫や彦星なんて
そんなロマンチカルは
存在しません
乗るにあたりお客様には
守って欲しい事がありまして
それは決して
窓を開けては
なりません
窓を開けられますと
放り出されて
宇宙の亡者となりますので
あれの事です
右に見えます
あの物体です
星の帯の一部に見えますが
あれは昔この機関車の窓を
注意も聞かずに開けて
身を乗り出し
星を取って
家族へのお土産にすると
云い出したから
止めたんですよ?一応
でも聞かなかった
お客様が悪いと
今でも此処を通る度に
思いますね…
さて そろそろ
出発しましょうか
カレンダーを見る
時計を見る
刻々と時計が
針を進める音がまるで
処刑台の一番上まで歩く
自分の足音の様に思えてくる
後何分かすれば
忌々しい“誕生日„と云う
物がやって来るからだ
歳をとる
それは別に構わない
人間だから
歳をとるのは
当たり前だ
それよりも
恐ろしい事がある
祝われないのだ 私は
誕生日と云う物を 迎えても
誰からも
プレゼントなんて
何十年前にもらった以降
記憶が無い
おめでとうなんて言葉も
聞いた事が無い
だのに私の家族は
己が仕事先から
プレゼントを貰える
私だけが 祝われない
ぼっちだ 友達いないから
なんだか 目から
温い水が出てきた
渦巻く妬みは
くちなわと化し
吐き出される嫉みは
毒炎となりて
輝く生命を蝕み
とこしえに癒えぬ
禍恨の傷を残す
恨んだって良いじゃないか
許せないんだから
謝ったからって
お前の罪が
消える訳じゃないよ
しつこい?何を云っている?
お前の謝罪に
誠意が無いからだよ
謝って終わり?
其の考え方 嫌いだわ
丸く収まってたまるか
何時何時だって論(あげつら)って
お前の眼前に突きつけて
覚えるまで脳味噌に
捻り込んでやる
私は誰よりも
愛に飢えているのかもしれない
気がつくと
目で追っている
幸せそうな家族を
幸せそうな恋人を
幸せそうな友人を
私は一人
何をしているのだろうと
自問する
私は一人
ゲームをしていると
自答する
私は寂しい
何時も泣いているのだ
誰か助けて
くれないかと
誰か私を
見てくれないかと
布団の上で眠る私は
自らの周りに
火の点いていない
白く短き蝋燭の幻をみる
やり場の無い怒りと
行き場の無い悲しみは
其々炎と水になり
私の胸中に渦巻く
本来ならば炎と水
相反する二つの属性は
交わる筈は無く
どちらかが消えるが必定
だが私の胸中にある
炎と水は其に逆らい
互い互いに融合し
炎が水を消す度に
水が炎を消す度に
怒りとも云えぬ
悲しみとも云えぬ
混沌めいた感情の
水蒸気を発生させた
水蒸気はやがて
黒雲となる
黒雲は雷を放つ
雷は胸を貫き
暴れ狂いて心を
憎悪に焦がさせる
憎悪に焦がされた心は
標的を求めんとする為
嫉妬の血眼を見開き 彷徨う
虫がいる
否 正確にはある
其の虫に名は無い
どの著名な図鑑にも
其の虫の姿は
載っていない
虫の姿は小さい
人々が其の虫を
踏み潰しても
誰も気付かず
誰の靴にへばりついても
気にも止められない位の
虫は自分が
何を食うべきか
判っている
それは人間
だが外部からでは無い
人間の人体に開いている
穴と云う穴から入り
内部を巡る血をすすり
臓物を小振り乍も
金物屋の先に並ぶ
何も斬った事が無い
新品の刃物の様な
鋭き正三角の歯牙で
動物が動物の肉を
噛み千切る時のあの
ぶちぶちぶちと云う音を
立てて 食べる
気に食わない お前がな
何か私に別に
した訳じゃないが
見ているだけで
何か 苛々する
笑顔 泣顔 怒顔
どの顔も私の癪に
触れるにゃ充分だ
お前ばかりが褒められる
お前ばかりが味方される
お前が善人だから
それと真反対の私は
お前の扱いの
真反対の扱いをされる
私ばかりが怒られる
私ばかりが敵にされる
私が悪人だから
知らないんだろうぜ 皆はな
お前の秘密
私が今云ったって
悪人の虚言だと
誰も意に介さんが
電脳でなら
どうだろな?
誰も気付かない
噂の発信元は 私だと
真実として
伝わるのも良いが
尾鰭が付いた方が
どうせなら得だ
曲がりに歪んだ
原型の無い噂
そっちの方が
お前を苦しめられる
お前を好きな皆が
お前を攻撃する
これ程愉快な事は無いね
いっその事
くたばっちまえと
素面で酒を呑み
酔払の状態で
空瓶を持ち乍
看板ネオンを練り歩く
夜の匂い特有の
甘い女に手を引かれ
淫湯の一夜を過ごせども
素面ではあらぬので
隣で眠る女は誰ぞと
腕を組んで首をかしげる
其の内女も起きだし
うどんをすすれば
金の無ェもんに
用は無いぞと追い出され
くたびれた財布を
投げつけられる
開いて数えようにも
数えるべき銭は無く
あの女 全部取りやがったと
毒吐く様に呟いて
己が家への帰路を行く
何故貴方は
他の人を見るのです?
目の前に
恋人たる私が
いると云うのに
そんなに私より
あの人の方が良いのですか?
あの人の方が
良いと思うのならば
付き合いたいと
思うのならば
今すぐ私など
捨てらっしゃい
汚れた床を拭いた
ボロ雑巾の様に
私など
捨てれば良いよ
そしたら私は生卵の卵殻に
貴方の名前と生年月日を
書いて庭に
埋めてやろうね
ぼんやりとした
この思考の内に
詩でも書こう
今なら聞こえる様な気がする
何が 嗚呼 それは
正体は不明です
ですが音が聞こえます
それは声にも似るのです
亡霊の瞳は
恨みに満ちている
亡霊の恨む相手は
この世に既にいない
この亡霊が取り殺した…
ずっと背に張り憑き
怒りを孕む声色で
決して聞こえない
呪いの歌を歌った
それでも亡霊からは
恨みは消えない
強く…深く…増していく…
今日はお前に
こっぴどくやられたから
お前ん家の庭に
海月を撒いてやったよ
ぷるぷるの感触を
お前の足の裏で
ぶにぶに踏めば良い
ちなみに撒いた海月の名前は
鰹の烏帽子(かつおのえぼし)
お前に呪いをかけた
特に理由はないけれど
なんかお前の顔が
浮かんできて
太陽系の様に
ぐるぐる回るから
こっちまで
目が回ったんだ
だからお前は一日に十回
箪笥の角に足の小指をぶつける
ざまぁみろ
小指を骨折しちまえ
バラバラにしたっていいじゃない
此処はおとぎの國だもの
居眠りしている
おばあさんをたたきおこして
魔法を使わせたら
あっというまに
もとどおりだもの
私でも戻せるけど…
嫌よ 疲れるもん
大丈夫よ大丈夫
貴方は他の子たちといっしょに
部屋の中に
入っていれば良いの
楽しい夢を見た
自分が巨大な
獣や竜になって
世界を壊している夢
その時の私は怒っていた
何が何だか判らなくなって
でもとにかく目に留まる物全てが
自分を苛立たせてしょうがなくて
破壊せずにはいられなかった
瓦礫になる建物
燃える街並み
歿んでいく人間…
それ等を見ていると
気持ちが昂って
もっと壊れろと
暴れ狂いたくなってくる
戦車や戦闘機なんて
目じゃない
払い除ければ
いつの間にか
無くなっているのだから
ふと 可笑しくなる
花瓶を割った
良いじゃないか 別に
お前の命より安いんだから
吐けよ煙突黒煙を
空から青を亡くす為に
ふとお前の事を
思い出した
生きた鶏肉を
解体している時に
飛べない蜻蛉が
階段に這いつくばってた
何故だかそれが
憎らしくなってきて
何処ぞで拾った木の枝で
複眼の部分を突き刺した
ピピコピコ
ピピコピコ 電子音
暗い部屋の中
ゴミだらけの部屋の中
何かを打つ音だけが 響く
社会から拒絶された 自分
世界から隔絶された 部屋
此処なら自分を誰も
非難しない
外からの声は
耳を塞いでいれば良い
昼夜の世界 逆転してる
外では太陽が
出ているらしいけど
自分の世界は月だ
いつまでも夜だ
布一枚がそうしている
周りの三次元は
結婚しているけど
自分はその前に
二次元と結婚している
二次元なら
三次元みたいに
裏切ったりしない
自分の世界は
此処だけで良い
見聞を広める
必要なんて無い
誰かの泣き声が
聞こえたような
気がしたけれど
きっと
気のせいだ
希望を抱いたの
だけど
何も変わらなかったの
悲しさが
増すだけだった
辛さが
増すだけだった
苦しみが
増すだけだった
誰も
判ってくれない
誰も
見てくれない
ここに
いるのに
誰も
気付いてくれない
報われぬ彼の者の為に
其の純潔な心が
世の中の汚れた者達に
蝕まれない様に
私は彼の者の事を
天国へ導こうと思う
(1)
生きている
家族の姿を見ると
どうしても
歿んでいる姿を
思えずには
いられません
ある日の母は
台所に立っています
料理をしているのですが
包丁を持っており
其れをうっかり滑らせて
自分の胸に
突き刺してしまうのです
母は歿にました
ですがこれは
私の想像なので
現実の母は歿んでおらず
料理を続けておりました
(2)
或る日の兄は
今日も今日とて
運動らしい
運動をしておらず
食っちゃしては
部屋の中で
グースカ寝ています
夕食が出来て
私が呼びに行くのですけど
いくら呼んでも
ウンともスンとも
云いやしない
それもそうでしょう
だって兄は
歿んでいたのですから
原因は云わずもがな
兄自身に溜まった
こえこえとした脂肪です
ですがこれも
私の想像上の
出来事なので
誠に残念乍
現実では
歿んでおらず
グースカと
寝ているのです
小さい子 可愛い子
キレイにしようね
髪をとかそうね
私のお膝の上で
服を着せようね
さぁ バンザイして
靴を履かせようね
おろしたての 赤い靴だよ
キレイになったね 小さい子
さあ 頭から順番に
噛み砕いてあげようね
星 星 ぴか ぴか
夜空に あがる
星 星 ぴか ぴか
夜空で ひかる
星 星 ぴか ぴか
宇宙から やってくる
星 星 ぴか ぴか
地上を 滅ぼすよ
貴方のノートが
真黒に染まりますように
貴方の見る景色が
真赤でありますように
貴方の未来が
閉ざされますように
苦痛よ きたれ
悲しみよ きたれ
今こそあの者に試練を
彼の者は幸福に満ち過ぎた
我は彼の者に
不幸を与えねばならぬ
運命は常に寄らず離れず
禍福平等であるこそが定め
だが彼の者の天秤は
幸の方へ傾いている
平等を是とする我としては
看過出来ぬ事
ならば与えよう
今こそ嘆きを
彼の者の最も愛し人へ歿を遣わせ
彼の者の親しき友へも歿を遣わせ
彼の者を
孤独と空虚へ導こう
つのばさみ しょっきりん
紙だって布だって何だって
自慢とうたうつのばさみで
しょっきりんよ
おとなりさん
いつもニコニコ
今日も今日とて
ニコニコしていたよ
おとなりさんの旦那さん
それはもうひどい人
お酒を飲んじゃ
つらく当たる人
それでもおとなりさんは
ニコニコしている
ある日
おとなりさんの旦那さんが
消えたって
おとなりさんは
ニコニコシャベルを持って
話してくれた
私は「彼」を許すまじ
「彼」は此処まで私を
傷付かせておいて
のうのうとしている
あの面に何発位
握りしめたこの拳を叩き込めば
「彼」の顔は
トマトのように
腫れ上がるのだろうか
あの子は いつも ひとり
あの子は いつも ひとり
ゆうがた いつも
ぶらんこで あそんでいる
ゆら ゆら ぎし ぎし
ゆれて ゆれて
赤い そらが ちかい
ふくは よごれて ボロボロで
いつも したを むいていて
なにを いわれても
白い 歯を むきだしに
わらっている
にぎり つぶした
かわいい ちょうちょを 片手に
あの子が あそんでいると
だれかが いなくなる
ひとり ふたり さんにん
四にん ごにん ろくにん
かぞえていたから わかるんだ
だれが 消えたのか
ぼくだけが 覚えていて
みんなは しらない
あの子の 事も
この子の 事も
○○ちゃん こんどは
あの子も いれて 遊ぼうね
あの子 いつも
ぼくたちを みているから
ある日 突然
でっかくなった
両手がでかい
ぷちっという
音が聞こえた
両足がでかい
下で爆発音がして
なんだか少し熱い
怪獣!怪獣!と
ぼくを見て
みんな叫んで逃げていた
にんげんなのに
なんでこうなったのか
自分にも
よくわからないのに
みんな みんな
石をぶつけてくる
でかくなっても
痛いものは 痛いよ
やめてよ みんな
みんな やめてよ
そんなことするなら
ぼくにとっての
小石を 投げるよ
みんなに
ぶつけるよ
泣いたって
怪我したって
しらないから
さふさふと云う
木の葉の音
人が踏む
木の葉の音
さふさふと云う
木の葉の音
木の葉と云う歿骸の
砕かれる音
海の幽霊の
一団となれば
愛し憎き貴方を
足つかぬ深き底へと
誘えるか
歿に体である
我が耳に
蚯蚓が入りて
うねうねよじり
臓府を見る
一つの木に
二人の男と女
一つの木は
新たなる別れと出会いを
見届ける
飲まねばやってられぬ
人に酒の力で
当たらねばやってられぬ
我が勝手なるこの心を
憎しと思う
二日酔いの朝よ
生活(ライフ)に充実せし者よ
爆発四散すれば良いと
青空の下
空想す
今だけはこの空の
太陽よ影れと願う
太陽さえ出ずらねば
深き眠りにつける故
詩が書けぬと
泣き事を云う我を
見えぬ者が
お前は才など無いと
責める声
許しを乞う者の背を
鞭にて更に呵責したくなる
地獄に住まう
獄卒が如く
愛に永遠など無い
誓うなかれ 君よ
それだから君は
そんなにも私に対して
苦しんでいるのだ
母親が子守歌を唄う
中の胎児は首に
へその緒を巻いている
誰かが歿んだ
ニュウスを見てる時
嗚呼なんだ君かと
君が後に立っていた
何ぞを彫っている時
自分の一部を彫ったならば
自分もこの彫刻と同じ様に
美しくあれる気がする
同窓会
出でし者よ皆歿ねと
家の中にて
呪うばかり
夏は柳の下にて
人を驚かしてみたし
なれば幽霊を
師としてみるか
暗闇にて微笑む
寝る君の首を
撫で回して
女をぶつ切りにする
肉屋の吊るされた鶏の様に
生きたまま切る
麻酔なんて使わない
足首を抑えて振り下ろす
ダンッ ダンッ と二回
叫ぶ
切られる度に 血が出る度に
切り落とした足の肉に
靴を履かせて飾る
高いヒールが良く似合うね
太股辺りに包丁を当て
力を込めて切り落とす
完全に切り落とした脚に
鉄串を刺して焼く
焼けていく肉の匂いで
お腹が鳴った
次に耳を
小刀で切り落とす
切り落とした耳に話しかけて
冷蔵庫に保管している
今まで切り落とした女の
耳の瓶詰めに
ポチャン…と入れる
脚がちょうど良く焼けた
鉄串を持って
飢えた肉食獣の如く喰らう
女は虫の息で
自分の脚が
食われているのを見ている
咀嚼音を聴かせてやりたいな
でも君には耳が無いから
聴く事が出来ないね
二つの脚の串焼を
ペロリとたいらげて
ふと…デザアトが
食べたくなる
冷凍庫に
脳味噌と眼球を
入れていたのだった
誰のだったけ…
まぁ良いかそんな事
私は故意にしろ
そうで無いにしろ
踏み潰した
蟻の数なんて
覚えちゃいない
“人間„なのだから
(1)
毒虫でありたいのです
けばけばしい色合いの
派手な毒虫に
毒虫と云っても
種類と云う物があるから
蜂の様な飛ぶ毒虫か
毛虫の様な這う毒虫か
私は人でありながら
何故毒虫になりたいなぞと願うのか
それは法が
関係しているのです
人間は何かを傷付ければ
罪に問われ 裁かれるでしょう
けど虫ともなれば
たとい何かを傷付けても
罪に問われず
裁かれやしません
法は人を裁く物であって
虫なんぞを裁く
馬鹿な物じゃありませんから
(2)
私には
嫌いな者がいるのです
其の者は
容姿に関しては
別段特筆すべき
所は無いのですけど
性格がもう…
…何と云いましょうか
人間と呼ぶには
あまりにも形容し難くて
兎に角嫌なのです
そんな者にも
忌々しい存在があるようで
それが虫なのです
件の者は其れを見付けると
まるで親の仇かと云わんばかりに
靴で液がぶちゅぶちゅと
出るまで踏んづけ
原形が何ぞやと判らなくなるまで
地面に擦り付けるのです
なんと可哀想な虫なのでしょう!
彼の者の視界に入って仕舞った不運故
尊厳無き最期を迎えて仕舞うなんて!
だから私は毒虫となりたい
刺しに刺しまくり
全身と云う全身を
毒で侵しもがき苦しませて
脂汗を吹き出させて
息を絶えさせたいのです
君が僕を
裏切りさえしなければ
こう云う事にはならなかった
だから君は皆に泣かれて
花を手向けられるんだ
石の下の
君の肉体は
時間が経つにつれ
段々腐っていくのだろうね
其処に君の意思はあるのかな
あるのだとしたら
どんな気持ちだい?
あいつがやって来る
地より 来る
祈っても 無駄
逃げても 無駄
あいつは 神など
恐れはしないし
逃げても 何処までも
追いかけてくる
あいつに
目を付けられたら
終わりなんだ
あいつは
何をやっても 歿なない
刃でも 銃でも
あいつは
僕の目の前で 今
口を 開いている
ただ 歩く
ただ ただ 歩く
ただ ただ ただ 歩く
ただ ただ ただ ただ 歩く
ただ ただ ただ ただ ただ 歩く
ただ ただ ただ
ただ ただ ただ 歩く
ただ ただ ただ ただ
ただ ただ ただ 歩く
ただ ただ ただ ただ
ただ ただ ただ ただ 歩く
ただ ただ ただ
ただ ただ ただ
ただ ただ ただ 歩く
歩く 歩く 歩く
歩く 歩く 歩く
歩く 歩く 歩く ただ
歩く 歩く 歩く 歩く
歩く 歩く 歩く 歩く ただ
歩く 歩く 歩く 歩く
歩く 歩く 歩く ただ
歩く 歩く 歩く
歩く 歩く 歩く ただ
歩く 歩く 歩く 歩く 歩く ただ
歩く 歩く 歩く 歩く ただ
歩く 歩く 歩く ただ
歩く 歩く ただ
歩く ただ
ある城の姫の夢
遠き星は
青の歌にて眠る
幽霊鯨は人の住んでいた
瓦礫を背に負いて
汚染された空に
かつての清い希望を胸に抱き
吠え地に落ちる
幽霊鯨の歿骸に群がる者
人間と呼ばれていた者
彼等は鯨の背に
黄金があると信じていて
皮を剥ぎ 臓物を見
滴る血を舐めて
更に狂気となって
脳を掻きむしる
朝日が昇り 姫は目覚める
姫は骨である
求める物は何だったかしら
何も判らないわ
こんなにも自分は物に囲まれて
恵まれていると云うのに
人、人、人
人が 足りない
自分に集まったって
目的は金、金、金
私の物ばかり
私はそれが無ければ
誰も、何も、相手にされない
いっその事、燃やしてしまおうか?
金も、家も、この身体も
そうすれば何も欲しく無くなって
こんな煩わしい心も
消えてくれるかしらん
泣きはするでしょうね 偽りだけど
喜ぶでしょうね 金が舞うのだから
あげるわよ 貴方達に私の金を
争えば良いわ 倫理、道徳を捨てて
欲しいのなら 自分の児だって
*してしまえば良いじゃない
富にまみれたいのでしょう?
其の後に来る孤独に苛まれても
望んだのは
…貴方でしょう?
私の詩で
誰かが不幸に
なれば良い
慎ましき小さな幸せも
私の目に映せば
其は大きな幸せで
嗚呼なんと
妬ましき事でしょう
だから歌うのです
呪いましょう
新しく産まれ
祝福を受けし生命を
摘みましょう
萌芽の美しき草木を
嘆きを聞いて
私は喜び
悦に浸るのです
偽りの幸福でも
皆が求め喜ぶのなら
私は与えねばならぬのです
笑顔を見るのが好きなのです
素敵じゃないですか
何もかも忘れて
不幸の無い世界へ
入り浸る姿と云うのは
幻を見せてあげましょうね
貴方にとっては
幻では無いのでしょうけど
そのくすんだ希望の失った瞳に
光を宿らせてあげましょうね
楽しんでいらしてね
空を翔びたいと願うなら
此処なら叶いますからね
私は不幸なので御座います
私は物に見限られ
者にも見限られました
そんな私に者は
生きろ等と
其の内良い事があるなぞと
とても酷な事を云うのです
それはどれくらい
待てば良い物なのでしょう
一年?十年?否
私の髪が白となり
足腰立たぬ老人となるまで?
そんなのは嫌です
それならば今此処で
歿を選ぶ方が余程
幸で御座いましょうよ
そんな折りに現れた神様
貴方様の噂は
聞いております
何でも不幸に見舞われ
後先無くなり歿を望む人間を
自らが創りし世へ連れて行く…
其処は苦無き
極楽浄土だと
跪いて縋らせて下さい
貴方様の世界へ
行きとう存じます
歩む道よ茨あれ
流す血により花よ咲け
愛でし掌の花の儚さよ
枯れて背かれ捨てられて
摘まれる新たな花の
命の終わりよ始まりよ
(1)
彼/彼女は何故
泣いているのだろう
現実は嫌だと云った
夢を与えて欲しいと云った
だから私は夢を与えた
彼/彼女の望むままに
そうしたら今度は
現実に帰りたいと云った
何故?何故?
あれ程忌避していた現実に
何故帰りたがる?
何故?何故?私を拒む?
何故私の手を振り払う?
嗚呼嫌だ拒まないでくれ
私は誰かに要されていなければ
消えてしまう存在なのだ…
(2)
…お前が拒むなら
永遠なる夢に閉じ込めよう
楽しい夢なんて
与えてはやらん
お前が心の底より
私を求めん限りは
永に目覚めんと思うが良い
嗚呼可哀想に
お前が拒まず
現実に帰るなどと抜かさず
只夢想にて共にあれば
こんな事になぞならなかったのに
不幸
貴方達から見れば
そうなのかもしれない
幸福
我が民の目を見てよ
恐怖なんて無いでしょう?
確かに我が国に
貴方達が自由と呼ぶ様な
物は無いのだろうけど
自由があるから故に
争いは生まれる…
ならば徹底的に
思想に反する者を排し
何も知らない民達には
自由が如何に悪であるかを説き
只一つの思想に隷従する事こそが
どれ程素晴らしくて
善き事なのかを
脳の髄の髄まで洗い尽くして
流し込ませて
見えない首輪を
巻いておけば良い
其の手綱を持つのは我よ
苦しまない程度に引き
若し噛みつくなら
痛みを伴う躾をして
それでも噛むなら
我の愛い民達に
喰い千切らせれば良い
ほれ これで
我の手は何も汚れぬ白き手よ
この国には絶対的な
只一つだけがあれば良い
雑多なのは要らない
否 この国には
そんな物は
もう 存在しないのだ
鏡は私に云いました
「目の前の物をお食べなさい」
そして私は目の前の
パンとリンゴを
食べました
私は鏡に云いました
「食べる物が御座いません」
鏡は私に云いました
「なら草花を食べるのです」
そして私は裏庭の
育てた草花を
食べました
私は鏡に云いました
「食べる物が御座いません」
鏡は私に云いました
「なら虫を食べるのです」
そして私は土の中の
芋虫を千切って
食べました
私は鏡に云いました
「食べる物が御座いません」
鏡は私に云いました
「なら土を食べるのです」
そして私は地面の
土をほってすくって
食べました
私は鏡に云いました
「食べる物が御座いません」
鏡は私に云いました
「なら給士係を食べるのです」
そして私は給士係の
体を刻んで焼いて
食べました
私は鏡に云いました
「食べる物が御座いません」
鏡は私に云いました
「ならこの私を食べるのです」
そして私は鏡の
粉々に砕けた破片を
食べました
私は鏡に云いました
「次は何を食べましょう?」
私は何者なのだろう
人なのか?思い出せない
人が肉塊になるまで
首をはね切り刻み血だまりの中を
歌い乍歩くのが
とても楽しかった
まるで薔薇の花弁を
踏みしめている様で
林檎が好きだ
噛んだらすぐに
眠くなったが
月明かりの夜には
自分の歩く後に
小石を置いた
海を眺めていると
ふと、自分の胸に
短剣を突き立てている
時折、妙な記憶の断片が
私の頭をよぎる
赤い薔薇と
手足の生えた
トランプ達に囲まれ乍
規律を守らぬ者の首をはねる
女の王の姿
火で炙った真っ赤な
鉄の靴を履いて
踊り狂っている女を
男と共に見ている
白い雪の様な姫
機転で魔女を騙し
生きたまま焼いて
魔女の宝で
富を得た幼き兄妹
叶わぬ恋に嘆き
優しさ故に自らを泡に帰す
人の姿の魚の姫
この記憶は
一体誰なのか
判らないから
とりあえず歌おう
花弁の上を
林檎をかじり乍
小石を目印にして
短剣を振り回そう
彼の全てが気に入らなかった
存在そのものが何時でも
私の癪に障った
彼は真面目だ
世間から見れば
誰からも
好かれるであろうの善人だ
だが私はどうしても
彼の事を見ると
殺意を
抱かざる負えなかった
まるで前世に
何かしらの因縁でも
あるかの様に
お前達が土に種を蒔き
萌芽を経てこの地に
生命を満ち溢れさせるならば
この手に持つ刃にて刈り取り
劇毒を流し絶えさせよう
求むるは焦土
星辰無き黒き夜
私の職場と云うのは
仲良くしろ だの
チームワークが大切 だのと
まるで気違い染みた宗教の様に
人との絆とやらを説いてくる
それに盲信する上司や同僚は
さしあたり其の信者だろう
だが私はそうでない
あんな絆の盲信者でない
断固として違う否定する
私は仲良くすると思った他人としか
仲良くはしない人間だ
そんな私を盲信者は
血が通っているのか疑わしい
凍血漢と罵倒するだろう
罵倒するならするが良い
お前達の認識は
間違っちゃいないし
事実だからだ
だがそれの何が悪い?
お前達の何時も説く
絆の一種には
違いあるまいよ
宿り 宿り
液と液
宿り 宿り
母なる者の腹の中
宿り 宿り
動くための手と足と
考えるための脳
宿り 宿り
羊水と
絡まるへその緒
宿り 宿り
光と手術台
宿り 宿り
切り裂く医者のメスと
切り裂かれる母なる者の腹
宿り 宿り
パイの中に
鳥が突っ込んだ
突っ込んだ鳥は
そのまま焼かれて
お客の前に
出されて食われた
おれたちはすてられた
ふるいからすてられた
あたらしいやつがやってきたから
すてられた
ここはがらくたのおやま
みんなこわれているから
だぁれもちかよらない
うごくたんびに
うるさいおとがなる
がらがらがらがら
どんがらどっしゃん
つくられて つかわれた
それがうれしかった
なのになのに
あたらしいやつがやってきて
いらなくなったから
すてられた
まだ うごくのに
まだ やくだつのに
どうして?
悪い夢を見ぬように
その両の目を閉じませう
星明と月光
一つはゆりかご
一つはメリイゴウランド
金糸雀が歌います
耳をかたむけ聞きませう
ほぅらうとうと舟こいで
そのまま朝まで眠りませう
ふたつのボウルの中に押し込みます
父母姉兄押し込みます
父母姉兄大きいので
刻んでバラバラ肉塊に
父と母はハンバーグ
姉と兄はホールケーキ
父母合挽きハンバーグ
フライパンでじゅうじゅうじゅう
兄姉甘いクリーム
ふわふわいちご色
家族が嫌い?いいえちがう
家族が好き?いいえちがう
ただ食事がしたかった
けれども材料が足りなかった
近所のスーパー
みぃんなしまってた
だから家族を
食材にした
(1)
卵
まるい卵
ころがる卵
卵
なんにから産まれた卵?
鳥から産まれた卵
卵
スーパー198の卵
何処かの家の卵
卵
割られる卵
中身出る卵
(2)
卵を観察する
卵をひとつ机に置く
卵をひたすら見つめた
卵に卵と名付けた
卵は卵と違って
卵は美しい
卵は寝る時一緒
寝息を立てない
卵をある時落とした
卵はある時落とされた
卵を落とした犯人は私
卵から腐った臭いがする
卵は歿んだので
卵をひとつ出して観察する
卵を卵と名付ける
憎しみが育まれた
それは誰の中に?
ええ 私の中に
誰を憎む?
それは彼
彼とは何者?
私を辱しめた者
彼と笑う彼等は何者?
彼等は私の苦しみ知らぬ者
苦しみを知らぬ彼等は
何をした?
私を孤独に追いやり
悲しませた
ならば呪おう 彼と
彼等に対する
慈悲など必要無い
お前は優しいね
彼と彼等の命を考えてる
だけど何も云えはしない
其のお前の優しさ弱さにつけこんで
彼と彼等は
時が経つのを待っている
時が経てば
お前が許すと思っている
そんな事は無い
ある筈が無い
あれだけの屈辱
忘れる訳が無い
忘れる訳無からば
捨て給へよ 人の心なぞ
汝は恨み憎む者
我は怒り呪う者
光浴びる彼と彼等は敵よ
仇成す者へ歿霊よ憑けよ
しからば汝等歿霊に下す命とは
彼と彼等の幸福を苛みて
堕ちるままに【歿】へと導き給へ
チックタック チクタク
急げ や 急げ
そんな足じゃ間に合わない
あの方は時間に厳しいのさ
遅く来てはいけないし
早く来てもいけないし
お寝坊は叩き起こせ!
でなきゃ処刑だ
首をはねられて
赤い雨が降っちゃうよ
そんなのはこんなめでたい
パーティーには相応しくない!
ああ! ああ! もう!
いじわるワニがとおせんぼだ
口を開けて食おうとしてる
そんな時は
トリカブト入りのカップケーキを
食わせておあげよ
たちまち泡吹き
倒れてコロリ
歿んだ後は皮を剥いで
おみやげにしてやろう
イバラの道だよ
今日もひどいトゲだらけだ
庭師め何処でパイプを吹かしてる?
でも此処を通らなきゃ
あの方のパーティーにゃ行けずに
首をはねられる
困る!困る!ああ困った!
困っている時間も無駄なんだ
だったら行こう!
グサリグサグサ
イバラのトゲが刺さるな痛い
でももうすぐ抜ければ
時間カッチリパーティーに間に合う!
そしてワニの皮をおみやげにすりゃ
目玉ひん剥き周りはびっくり!
そしてあの方に誉められる!
そして そして 時計を見た
これは大変!時計が止まってる!
叩いたって無駄さ 動かないもの
つまるところ僕は此処を回る、回る?
アハハハは!なんて楽しい!
ぐるぐるぐるぐる回るなんて!
ぶち込んでしまえ 鍋の中に
トカゲ ヘビ カエルをさ
生きてようが 歿んでようが
かまわないから とにかくぶち込め
ぶち込んだら 混ぜるんだよ
煮たって其処らに臭いが充満したら
この粉を鍋の中に振りまきな
なんの粉か?教える訳無い!
探るんならお前も材料になるだけさ
鍋から目を離すんじゃないよ
こぼしちまったらもったいないからね
さぁさ薬だ 出来上がりだ
味は知らんさ 効能重視さ
飲んだら感想を聞かせておくれ
返事がなきゃ失敗だ
ぱちぱち燃える きのえだ燃える
火がめらめら よぞらが燃える
熱い 熱いと きのえださけぶ
かまいやしないと きのえだいれる
ごうごう燃える ぱちぱちいう
うとうと火の番 わすれちゃいけない
くわれるよ おおかみに
おまえを えさと みているよ
やつらは 火がこわい
火を焚いてるあいだは ちかよらない
あさになったら かえるから
それまで火を絶やしては いけないよ
汝が歿は
如何なる聖の秘術でも
不可逆なり
永遠なる冥界 歿者の都
住人は飢餓と苦渋に呵責され
己が罪より逃れられず
定めるは我 この冥界を治めし王
天秤は傾き 汝が罰を決めん
取り囲め 獄卒よ
定める罰からは 逃れられぬと
愚かなる我が住人達に
教えてやるが良い
手段は問わぬ 思うがままに
並み外れた其の力を 奮え
情を持つな 例え幼子でも
冥界に来たらば 其は我が住人
刃を首へ掛けよ はねよ
そびえる 骸の山
頂に玉座 座するは王
かつては無秩序であったこの地に
彼方此方に散らばる歿を
一つにまとめ 都を創りあげた者
アビス師匠!
懐かしい………樹音です、覚えてらっしいますか?
(今はALという名前で創作活動をしております)
相変わらず世界観が素敵で好きです。
私も負けていられませんね。
…!ふふ、嬉しいですね。
弟子がこうも
慕ってくれているのならば、師として更なる励みになりましょう。
歪なる瓶 溢れる水
それは彼の者の悲哀
受け止めきれぬ情
母なる大地を呑み込む
痴れ者よ 知るが良い
我は主の祈り手
星辰に願うは 我が主の顕現
器なるは我 主の眷属が末端
笛吹き 高らかに吹く
山より降りたる 野鼠の群
行進す 一糸乱れぬ姿
さながら訓練された兵の様 美しき哉
通る先に町 大人が居る 子供もいる
皆が見る 野鼠の群
子供は知らない 大人は知っている
率いる笛吹きの正体を
嘗てのあの者 報酬が惜しく
騙くらかして 追い返した者
復讐に来たのだと 大人は戦慄した
野鼠の群 町に差し掛かる
瞬く間に骨と化す 人 人 人
等間隔に揃えられた
我が箱庭に
招かれざる者 侵入す
誰の許可を得て 汝等は
我が箱庭を歩く?
足跡と云う汚れを残している?
然らば汝等不敬なり
我が箱庭を護る 雄々しき獣等の
足しにならん餌となるが良い
我に願うもの何ぞや
云うが良い 求めし者よ
どの様な汚き欲も叶えよう
富を欲するならば
末代も使い切れぬ黄金を与えよう
愛を欲するならば
天上の神々が嫉妬に狂う程の
永久に枯れぬ麗しき者を与えよう
戦を欲するならば
歿の無き無慈悲なる兵を与えよう
代償は要らぬ 望むべくは
願いを叶えし者が如何様な末路を
辿るか見届ける事なり…
青なる海 佇む者
なにぞや 何者 名は
底から 空を仰ぐ
涙は空へ 向かわない
汚れを嘆き 地に伏せて
聞こえぬ歌を歌おう
地に平伏せよ 汝の頭
我が命無くば 上げる事など許さぬ
従え汝よ 我が卸心に
汝が命は我が物なり
我が生を命じれば生き
我が歿を命じれば絶命せよ
汝が答えに拒否など非ず
口から出ずるは肯定のみ
汝は人形
我が命に殉ずるオートマタ
滅べ 畜生共
お前達の時代は
我が裁きにより 終焉を迎えよう
空より火矢 大海の号砲
地は割れ 歿者の夜行
異形の怪物は お前達を喰らう
浮遊し彷徨う魂は
次なる創世の糧となる
雪が降る…
灯ったあの紫色の電波塔の下で
貴方は私と出会ったのだ
貴方はうつ向き乍私に告白をした
一度も私の顔なんて見やしなかった
其の時の私の顔は
どんなものだったのでしょう
思い出せないのはきっと
雪に埋め尽くされているのね
恋人が共に過ごした日々は
忘れ難き記憶だと云うけれど
私のは…なんだったかしらん
記憶の隅どころか
消しカスだらけの答案用紙だわ
ふふふと笑うわ可笑しくて
貴方は何処に行ったのでしょう
今度は何処の女と交合して
腹に種を置いてくるやら…
なりは美しきけども
精神は混合として
何者でもあらずなりし者よ
汝に名を与えよう
汝を縛りたる鎖を 解き放たん為に
禁忌の書 頁に記されしは
秘匿されたおぞましき魔物を
揺り起こす呪文なり
其の書物 見つけ出せし者よ
決して起こし 操ろうなどと
驕るる無かれ
奴等は悪 混沌 滅びの顕現者
誰の意にも従わぬ故に
人よ
汝が陽を拝む日は永久に来ず
我等が住まう地を見上げるのだ
暗く 冷たく 光は無く
生命の無い
只 歿に満たされた冥界を
祈りなど止めておけ
それが天の神々の者へなら
どうせ届きなどしない上
我が主の怒りを買うだろう
我が主の怒りは恐ろしい
この冥界を虚ろに彷徨う亡者にも
恐怖と云う概念を抱かせる
受け入れよ 諦めよ
さすれば 汝の体の痛みは
消え去るだろう
この冥界において
絶対なる存在は我である
だのに人と云うのは何故
天上の神々に膝を折り
祈りを捧げるのか
全く以て不快で
見るに堪えぬ業腹よ
そんな者は 定めた罪より重き
罰を与えてやらねば
鐘が鳴った 魂が慟哭している
我が主の怒りだ…
煮えたぎる血の池は凍てつき
植物の幻影は霧散して
深淵より出ずる炎は噴き出した
人よ あれだけ警告したと云うのに
何故天の神々に祈りを捧げたのだ
あの所々肉の腐り落ちた
おぞましき邪龍が 我が主の真の姿だ
嗚呼なれば百日は怒りは収まらず
自ら築きあげたこの冥界を
九割方破壊せねばならないだろう
貴方の運命は私の手の中に
未来に夢見る貴方の希望
赤 黒 赤 黒に塗り替えて
絶望を見出だしてあげましょう!
ちく たく ちく たく
振り子よ 揺らげ 針よ 刻め
時の 観測を
ちく たく ちく たく
眠れ 人よ 起きては ならない
音を 耳が 拾う限り
眠る者達へ 私は首に 鎌を掛けよう
良き夢 見し者よ そのまま夢に
微睡み 眈溺するが良い
地よ滅べ
花は芽吹かず
水よ干上がれ
恵みは涸れて
空よ淀め
我が心の様に
彼等は私と笑いました
私も彼等と笑いました
そして私は心の底で
彼等を憎んでいたのです
紅茶はいかが?おじょうさん
砂糖はいくついれる?
お菓子はいかが?おじょうさん
いくつがいい?菓子の数
迷ったのだね?おじょうさん
どこから来たのだい?
どうでもいいのだよそんな事
元の世界に帰りたいなんて
私は今日と云う日が楽しい
楽しいから笑っている
それじゃあ質問をするよおじょうさん
頭の中で元の世界を描けるかい?
答えは無理だそんなのは
考える事を脳みそは放棄した!
おじょうさんの頭の中は
帰る事を考えないで
目の前のごちそうを
食べる事を考えている
食べるといい!好きなだけ
切らしてもまた出てくる!
今日は25だ
明日も明後日も25だ
カレンダーなんてものは
意味がないのです!
望んだのはおじょうさんだ
お忘れか?あの幼い日に願った事
永遠のクリスマスがあれば良いのにと
そう云ったではありませんか!
ところでおじょうさん
まだ気が付かないか?
私が大きく見える事?
周りが大きく見える事?
いやちがう!
おじょうさんが小さくなったのだ!
幼く!愛らしい!
あの頃に戻った!
今はおじょうさん
自分の名前しか云えない
それ以外の記憶しかない
憐れ?ちがう 祝福すべきかな!
さあ最初の問いに戻ろう
紅茶はいかが?砂糖はいくつ?
お菓子はいかが?いくつがいい?
人間とは 奇異な者よな
年の節目毎に
祝い事を設けるのだから
我は星を針とし 回さねばならん
羊 牛 双子 蟹 獅子 乙女…
天秤 蠍 射手 山羊 水瓶 魚…
そら回れ 舞われ 星達よ
旧き年よ 新たに始まる年に
地球の刻んだ
大いなる記憶の引き継ぎを
我が眼 微睡む者
苛みの悪夢 与えんとす
苦痛に呻き 狂い掛け
夢より目覚めんとするならば
其の見た夢は真とならん
汝を責むる眼 苛みの悪夢
苦痛に呻き 狂い掛け
夢より目覚めんとするならば
其の見た夢は真とならん
毒を口に含み 何を思い至ったか
何も判らぬまま 裏切った
者の名前を呟いて いざさらばと唱えれば
問う 答える
私はそう云う者
課せられた役割は
課せた者の名は判らない
右手の書物 左手の杖
書物は問いを記し
杖は答えを映す
何故に恐ろしき?
羊水で夢む胎児の眼
くすくす口元がかすかに揺れて
何が可笑しいのか全然判らぬのだけれども
私は其れを愛しいと思う
この膨れた腹に耳を当てみてよ
これから生まれる私の仔
聞こえるかしらんこの声が
聞こえないのは冗談でしょう?
何を云っているのやら
ねえ私の仔
貴方もこの世の光を
焼ける程に浴びたいわよね
仏壇なんて信じないわ
一体誰なのでしょうね
私は今日も薬漬け
夕食30内に薬を飲む
鬱を抑えて食欲増進する為に
手のひらの白い錠剤を
口の中に放り込む
それで私は人に戻れる
狂人な素の私なんか
誰も望んじゃいないから
嗚呼しんどいな やめてしまいたいな
薬を飲む事なんて
云いたいがままに云いたいよ
暴れたいままに暴れたい
青い春を知らぬまま
幾数十年を過ごしてきた
私は友と云う物を知らない
私は恋と云う物を知らない
我が心寂莫に沈み込み
他は恐ろしき怪物と思い
孤独に安寧を見出だした
悲しき哉 差を知らぬ愚か者
我は天に在り 汝は地に伏せり
嗚呼汝よ抗う無かれ
地の草花に抱かれるが良い
地母神は汝を受け入れよう
あの女神はそう云う者だ
娘 傘を持つ ある日の午前
午後は雨が降るよと 私が云ったから
娘は傘を持った
こんな天気の良い日に
降る訳なんて無いのよと
傘を開いて傘を回す
ごろごろの雷雲だ
ぴしゃあんと木に落ちる
雷炎だね
あの木はたしか
鳥の親子がいたような
羊 羊 羊 羊
頭のある羊が何頭
羊 羊 羊 羊
首が取れた
羊 羊 羊 羊
切断面から 手が生える
にょろにょろにょろにょろにょろ
羊 羊 羊 羊
元気に走り回ります
頭だけが
自分なんかが
居なくたって世界は回る
自分なんかが居なくたって
君には友達が居るでしょう?
私は消えたい
存在したって
誰かの役に立つ訳じゃないから
誰かに必要とされる訳じゃないから
君は違うでしょう?
どうして私なんかに構うの?
周りの視線がさっきから痛いから
早く他の人の所に行ってよ
私はもう誰かを
信じて信じられて
裏切られたく無いの
揺らぐ 揺らぐ 火よ
絶える事無く
旅人達を導きたまえ
何故お前が報われる
お前ばかりが日に当たる
私はお前の影の中にいた
何時だって其所から
見ているしか無かった
私が称賛される事は無かった
お前さえ居なければ
私は私として
生きていられたんだ
辛い 悲しい 苦しい 生きたくない
何時も思うのは そんな事ばかり
楽しい音楽 美味しい食べ物
いずれも私の心を 満たす事は無かった
この世に居る歿神よ
私の首に鎌をかけてくれ
肉の無い骸の手で
魂の尾を掴んでくれ
歿よ 歿よ 汝等よ
私を安寧に導きたまえ
怒りもて 剣を携え
敵は目の前だ 何を躊躇う
討てよ敵を 戦場は
奪わぬ者を許さない
和平はあらず 空は
戦闘機が飛び通い
爆撃 号砲 轟音
シグナル トラ トラ トラ
この腹の中に 呪いがある
それは人じゃない
言葉 私に向けられた言葉が
黒い泥の様に
溜まり 淀み 渦巻いている
言葉を向けられた時
誰かに助けてと云えれば
こんな苦しい事には
なりはしなかった
何も云えず黙って受けて
平気な振りをして傷を隠す
重ねた嘘は張り付いた
偽性の仮面を生み出して
取れなくなっていた
君が生きていて良かった
若し君がまだ
剣を握れるのならば
其の剣を
私の血で染めてくれ
抗うのは疲れた
人でいて迫害されるのならば
人で無くなれば良い
私は呪いに呑まれて
怪物となろう
私は新しく生まれよう
祝福などされないが
私は 病気
何処が悪いと聞かれたら
それは 心
でも それは
私のせいじゃない
皆が 私を責めた
悪い事なんて していないのに
やめて やめて やめて
皆はいない 筈なのに
暴れるのね 私は
ころされないように
おいしゃさんが来た
注射を腕につきさした
眠るよ 私は
ふかく ふかく
しずんで しずんで
それで あさがくるよ
壊れる 壊れていく
心が がらがらに
満たされていた筈だった
だのに崩壊の中には何も無い
甘い匂いが鼻につく
世界はチョコと愛に包まれた
今日はそんな日
私には 関係無い
あげる相手なんていないから
歩いていると右も左もハートだらけ
なんであんなに可愛くするんだ
お腹に入れば一緒だろ
胃酸に溶かされるのに
春の空
あなたと一緒に見たかった
隣にあなたが居ることを
信じて止まなかった
今あなたは何処に居るのだろう
空の浮き雲見て思う事は
あなたの顔ばかり
嗚呼 憎い 憎い 憎い
お前が憎いよ 憎い
顔を見ると心底から
黒く暗く昏々と
炎が揺らめいで渦巻く哉
憎い 憎い 憎い
何故私ばかりが疎まれる
それもこれもお前が私の事を
周りに悪く云うからだ
憎い 憎い 憎い
人を憎むな愛せよと?
嫌だ 嫌だ 嫌だ
この気持ちに嘘を吐いてまで
笑顔でいろなんざ
反吐が出る
憎い 憎い 憎い
憎い 憎い 憎い!
在りし日 くちなわの
水底にて微睡む夢は
自らを迫害せし者達を
鏖殺せんとする
呪怨の真言
のろい のろい このつぼに
どくむし どくへび どくがえる
ちぎりくわれて くわれてちぎれ
からだのなかで のろいがたまる
さいごのいっぴき つぼのなか
うずまくうらみ そのなかに
夜を汝蔑みて
昼に希望を見出だす者よ
月の照る光にて
夜魔の牙に掛かるが良い
稚児の為に
夜想曲を弾こう
提琴の弦と弓
震えて出る音色は
稚児の星を映す瞳を
夢に誘みて 閉じさせる…
仮面を砕け
偽りから解放されよ
お前は新たなる
生を経て顕現せり
お前を縛る しがらみの鎖は消え
何処へでも飛び立ち
自由を謳歌する
お前の邪魔をする者は
お前の一瞥により
憐れにも 地に伏せるだろう
ゆたり ゆたりと 絞めようか
首を そっと 包み込んで
苦しい 苦しいか?
息が 出来なくて 辛いか?
良いさ 良いさ
お前が 苦しめば
私は それで 嬉しいんだ
虫の息だ
お前は もうすぐ 歿ぬんだね
お前が 歿んだら
誰が 悲しむ?
あいつ? そいつ?
いや いや 違う
お前は 私の 友達だ
だから 私が 悲しむのだ
光 頭上のスフィア
弾けて散れ 矢の如く
光矢よ 射ぬけ心臓を
苦しみ無く 送ってやろう
泣いたって誰も
助けてくれやしないんだ
茎の折れた華奢な花に
包帯を巻いたって
また誰かに踏まれるだけ
私のヴィジョンは砂嵐
進む先に未来は無い
だったら好き勝手に暴れるさ
自由にやらせて貰うだけ
お前の助言なんて聞こえない
私は嗤うんだ 誰の為でもない
他でも無い 自分の為に
この本も あの本も
全てがハッピーエンドだ
元々の物語は全て
血に塗れ 肉欲に更けていた
何故人は背けるのだろう
真実を見るのがそんなに辛いか
今や人は幸福のみを求める
危険の無い蜜だけを欲しがる
手を 手を 手を
祈り 目を 瞑り
呼びかけよ 空の
宇宙の 異形なる 神に
口を 口を 口を
名を 名を 名を
呼べ 呼べ 呼べ
さすれば 救われる
狂うけども 幸福となれる
我は怨みて彼を呪ひて
月夜の明かりの下 卵を埋めん
割れた腐った卵の液は
土の陰気を吸収し
彼の紡ぎし縁を絶ち切らん
雷よ 轟け
天より稲光を
太陽を隠せし黒雲
隙間から見える 雷の歪なる条線
我が憤怒の顕現 敵よ 恐れよ
汝の心臓 瞬きの後に穿たれん!
脳が夢を見ます
私が現在にて この眼球二つにて
みつめた景色が 色とりどりの
混在化 色赤 色青 色白の
眼球の情報を 我が脳味噌が編集し
いらないのcut 9割位
残りの1割は脳味噌が
貼って テープで 巻いて
写影機化した眼球が
素敵な夢と 粉掛けて
狂う肉の外殻 内臓を包装する
私が目を閉じる時
それは始まるのです
詩を書きたい
だけど皆が笑う様な
喜んでいられる様な
そんな明るい朗らかな詩を
私は書きたくない
狂気を書きたい
昏々とした
脳に虫が入って
脳髄を這って
不快感を引き起こして
寄生された宿主が
あまりの痒さに耐えきれず
囓った襤褸襤褸の爪で
脳味噌が剥き出るまで引っ掻く…
そんな詩を
私は書きたいのです
歩いていると 影が出来る
夕日の光に照らされて
ある日の帰り たったひとり
カラスが鳴いている 空は橙
影を見ると 私よりも
大きくて 長くて
ひょっとしたら 私の方が
偽ではなかろうかと 思う事がある
鞄の鈴が鳴る
チリン チリン
紫の空の色
毒が空を埋め尽くしたら
こんなのになるかしらん
私は何者だっただろうか
決まった時間の起床
決まった時間の労働
決まった時間の消灯
誰が決めたのかわからない
与えられた課題を
黙々とこなす
与えられたのは
名前では無く番号
電波搭から鐘の音が鳴った
それは昼食と昼休みの合図である
なんの素材が使われているか
知らなくていい事だから
物体を口へ運ぶ
本を読む
昔にはファンタジーとか
漫画とか娯楽が
あったらしいが
この本には書かれていなく
この本にある事は
個の自由たる思想を持つ事が
如何に危険で罪で愚かであるか
たった一つの上位の個の思想に
我等全が従う事がどれだけ
幸福であれるのかを説いている
私はそれに疑問を持った事は無い
この本に書かれている事は
全て正しいからだ
それでは家畜や奴隷と
変わりが無いからと
自由を掲げた者達がいた
それらは皆私達が見ぬ内に
粛清され
元通りになる
思考を放棄したって
命がある事に変わりは無い
脳味噌がこの体を
動くと判断したのなら
私と云う個体は
働かなければならない
みんなカラスだ みんなニワトリだ
なんて喧しいんだ
なんでそんなに騒げるんだ
大声で笑っていられるんだ
煩いから黙って口を閉じろ
私を頼むから寝かせてくれ
私がいなくても
朝は来る
私がいなくても
昼は来る
私がいなくても
夜は来る
私がいなくても
人は生きる
私がいなかったら
もっと君は良い友人に
巡り会えたのかもしれない
だから私の事を
引き留めるのはやめてくれ
私は生きたくない
幾ら誰が何を云おうが
さようなら 友よ
君は私を忘れてくれ
私は病的でありたい
緑々と茂る葉っぱの中の
たった一枚の
黄色斑な葉でありたい
私は病的でありたい
青に見えがちで
実は何色でもない透明の
海水になりたい
私は病的でありたい
照らす太陽を酷く拒む
黒々とした
雲になりたい
扉を開けた 扉を閉めた
靴を脱いだ 靴を揃えた
廊下を歩いた 扉を開けた
袋を置いた 椅子に座った
テレビをつけた テレビを消した
風呂へ行った 風呂に入った
頭まで浸かった 苦しかった
風呂から上がった 服を着替えた
包丁を握った 肉を切った
痛みがあった 指がなくなった
薬を飲んだ 薬を飲んだ
そして眠った 起きなかった
這う者 底に 夜に
きたる ずるり ひきずって
窓を 叩く 割れぬ
覗いている 張り付き
うやうやと眠っていた僕は
その神秘たる生物の 信者となる
それは欲?
食欲ではない 睡眠欲ではない
肉欲ではない
では何か それは詩
詩を書きたくとも書けぬ
思い通りの詩が書けない
苛苛はしない ただ悶々とする
身体の中で悶々が
腹に渦巻いて うずうずして
私の身体の形になって
脳が 書きたいと叫んだ
病の夢 みせるのは
叶いはしない 記憶の幻
ペンを持つ 描く空想は
ひらひらの蝶々が 原稿に止まった
書きかけの 夢の欠片の群像は
私に望まぬ希望を与えた
生きるかも しれないと
友が できるかもしれないと
恋人が できるかもしれないと
いない いない そんなのは
私の人生には 存在しない
誰も彼も私を嫌った
誰も彼も私が嫌った
孤独 静寂の中
心臓は 動いているか
このまま 歿が
人の形をしてくれれば良いのに
そして私は歿と云う者に
恋を患い 添い遂げたい
素敵ですね
感想を送るのは余計かとも思いましたが
特に最近の詩はとても好きです
お互いに創作を通して
少しでも悩みや苦しみがなくなったら良いですね。
<<207
ありがとうございます。
そう云って頂けるとは
此方としても励みになります
詩を書く時は
我が内にある狂気を覗き
軽く心を病まねばならない
平常時に書く詩は
なんともつまらぬ物だろうと
嘆息する
我が狂気は植物の蔦の様
正に座する我が背後に忍び寄り
人の手の形と成りて
母が児を抱き慈しむ様に
私の事を包む
狂気に抱かれた私は
狂気より茂る言葉の木々の中から
果実と化した詩を
もぎ取り齧るのだ
朝が来ました
人は夜と云います
私は人が云う夜こそが
朝なのです
影は嗤います
白い歯を剥き出して
人は私が気が違って
狂ってしまったと嘆きますが
私からにしてみれば
私なんかに構う貴方達こそが
気が違って見えます
楽しいですか?
窓扉に鉄格子がはめられていて
何処にも行けない私の事を
病人扱いして世話をするのは
世間は見捨てたのです
社会の歯車に合わない私を
貴方達が望む
普通にはなれなかったんです
ほら 出ていって下さい
貴方達がいるせいで
影に潜む妖精と
ベッドの上に鎮座する
けばけばしい人形の粘土と
お話しが出来ないじゃないですか
自分の中に閉じ籠っていれば
誰にも傷付けられる事は無い
自分の世界にあるのは
自分だけで良い
がらんどうの城
自らのみが座する玉座は
寂しい安寧があるのだ
空に在りし月は我が上に
照らす光は道を造り
うろんに生きる私を導く
孤独なる私は月の傀儡
月よ 我を寵愛したまえ
何を見ていたのだろう 貴方は
遠い目は何処を向いている?
夢を見ているのなら
それはどんな夢?
貴方はぽろぽろ泣いている
辛い 悲しい 苦しいと
貴方は心を壊してしまってから
ずっとそればかり呟いている
私に出来る事は
貴方に寄り添い
林檎を兎の形に切る事だけ
過去は若く潤っていた手も
今や皺だらけで生気は朧
何時か貴方が
苦しみすらも溢さなくなった時
私は貴方を連れて
私と貴方が出会った場所で
軽い貴方と共に
果てようと思う
苦しむ者よ 此処へ
前に出て 手を
膝を折りなさい 偶像に
世の煩悩に 別れを告げて
信じるものは何?
ええ その通り
貴方は信者
祈り 歌い
高らかに 私を賛美する者
そうすれば
貴方は歿を 恐れない
何も 考え無くて良い
目に景色は映すけれど
何も 見えなくて
あるのは私を
この世の神と崇めるだけ
少女は血の海に落ちる
底無きへ沈んでいく
無数の縄が絡み付く
少女を縛り上げて窒息させる
血の海より上げられた
少女の首には縄が掛けられて
時計の振り子の様に
左右に揺れる
膝を抱えて眠ると
目が目が目が
少女の事を見ている
目的がある訳じゃ無い
少女が右に逃げれば右を向き
少女が左に逃げれば左を向き
少女が発狂して目玉を抉れば
目玉達も腐り落ちる
少女は裸足
地は骸と肉
歩く度に腐臭が凄まじく
足の裏には
蠅の児供が張り付いて
プチプチ音を立てて
痛い痛いと声がする
鳥はいつまでも
空を飛べる訳じゃない
魚はいつまでも
海を泳げる訳じゃない
動物はいつまでも
地を歩ける訳じゃない
君だって動物の
一種類で一匹で一人だ
その足でいつまでも歩けやしない
君が歩む
光の道の先の末路を
私は知っている
笑を以てして
他と交流す
涙に暮れ乍
悲哀に包まれる
悲哀は怒りを呼び
怒りよ憎悪あれと叫んで呪う
私は焦っている
女王に謁見する
時計兎のように
浮かばなくなったのだ
詩が 言葉が
風に吹かれて散った
宛の無い 花弁の様に
私の色とりどりの心象は落ち
空が 海が 無色になった
新たなる色を足さねば
私の心象を
取り戻さなければ
絶えてしまう
物語の頁に
鋭い万年筆を
突き刺さなければ
僕らは 世の中から
蔑まれて 生きている
他人と 違うだけで
異端児扱いされる
そんなに僕らが可笑しいか
僕らからにしてみれば
同じ顔をしている
お前達の方が可笑しい
秩序 協調 同調が
絶対的な正義と
お前達は合唱する
煩いな ほんと
黙ろうよ
自分を持たないお前達なんかに
云われる筋合いなんてないね
刻々と近付く 我が生誕の時
針が十二をさせば
また一つ この身は老ける
それは良い 私は
老いに恐れは抱かない
寧ろ喜ばしき哉
私が戀患う歿と云うものに
一歩前進するのだから
木に抱かれし安らぎのゆりかごよ
傷付き膝を折りし者達を
受け入れし母となりたまえ
ゆりかごに抱かれし者よ
記憶を忘却の那由多に送り
母に抱かれる赤子となり
光の粒子と化して
木と融解するが良い
ゆりかごは母だ
お前が犯した血の腕も赦そう
眠るだけで良い
目を閉じれば全てが終わる
どんぐりがひとつ
木のうえからおちました
おちたところはさかだった
だからころころころがって
水のなかにおちてった
おちてきたどんぐりを
きょうみしんしん
魚はつついていって
あきるとすいすいおよいでる
これがもし童話なら
どんぐりに手足がはえていて
どじょうとあそんでいるのだろうけど
そんなことはあるわけないので
しくしく土にうまってる
正しきは邪悪の宝庫
昔は神聖である事も
流転する時の前では
邪となる
獣は ずっと下を向いているのです
獣は友達の作り方がわかりません
獣は一匹だけで狩りをして生きてます
獲物を食べる獣の目に映るのは
皆で力を合わせて狩りをして
分けあって食べる他の獣達
一匹で狩った獲物は自分だけの物
皆で狩った獲物は皆の物
取り分は少なくなる筈なのに
どうして笑っていられるのだろう
獣はちっとも理解が出来ず
沈む夕日を眺めるだけ
いるよ
ここに いるよ
まどのところの
ベランダに いるよ
いるよ
へやに いるよ
ないている あかちゃんの
ベッドに いるよ
いるよ
おふろに いるよ
ふやけている だれかの
したいに いるよ
いるよ
いしに いるよ
おおきくなった きみの
まうしろに いるよ
いるよ いるよ
春がきました
桜はおてがみです
ねむるねむる植物が
ねむるねむる動物が
ねむるねむる虫達が
元気な太陽の光で
みんなみんなおきるのです
みんなは協調が好きだもの
他人の個性なんて知らない
みんな同じじゃなきゃ駄目なんだって
団結の為ならば
他人を排除するのに躊躇しない
正しいが可笑しい事に
みんなは何時気が付くんだろう
唾を吐く口や叩く手蹴る足が
早く止まれば良いね
なにかできたら良いのに
なんでも良いから
才能が欲しかった
周りはみんなそうだった
頭の良い子 運動出来る子
絵が上手な子 話が上手な子
いろんな上手な子がいる中で
私だけが才能無かった
勉強も 運動も
絵も 話も
ありとあらゆる能力で
普通よりも劣っていた
いつも褒められるのはあの子ばかりで
私は誰にも期待なんてされていない
なんで自分は生まれてきたんだっけ
わからないや そんなこと
輪の中に入るのが嫌だった
上手な子と比べられるから
みんなあの子の方ばかり囲んで
あの子も満更で無い綻んだ顔をして
そんな光景を見るのが嫌で
屋上に上がる
古いフェンスは風が吹いて
ギシギシ揺れる姿はまるで
手招いているみたいだった
私は今の童話を否定する
誰も傷つかないなんて
そんなことがあるものか
何故許す?
許す必要は無い
報復してしまえ
足など火で焼け
踊り狂わせて歌わせろ
幸せは逃がすな
檻の中に閉じ込めてしまえ
私が望むのは原本の結末
救いようの無い真実を
幸福の幻想を壊す現実を
貴方に突き付けよう
私は愛すると云う事を知らない
私は愛されると云う事を知らない
私に差し伸べられたこの手を
私はどうすれば良いのだろう
夢見の終点地は歿の楽園
罪ありきは裁きにて
地の獄へと落ちたる哉
生まれなど意味は無き
金貨を抱くか愚か者
獄卒は呵責せん
罪ありきの魂を
人の魂に刻まれた記憶の円盤
嘘は吐かん嘘は吐けん
偽りなど無駄なのだ