戻ってきました
先刻にも書いた通り
「アビス」と呼んでくれて
構わないですよ
閲覧は自己責任で
御願いしたいです
猫も食わない生魚の戯言は
聞き入れる心算は御座いません
春の空
あなたと一緒に見たかった
隣にあなたが居ることを
信じて止まなかった
今あなたは何処に居るのだろう
空の浮き雲見て思う事は
あなたの顔ばかり
嗚呼 憎い 憎い 憎い
お前が憎いよ 憎い
顔を見ると心底から
黒く暗く昏々と
炎が揺らめいで渦巻く哉
憎い 憎い 憎い
何故私ばかりが疎まれる
それもこれもお前が私の事を
周りに悪く云うからだ
憎い 憎い 憎い
人を憎むな愛せよと?
嫌だ 嫌だ 嫌だ
この気持ちに嘘を吐いてまで
笑顔でいろなんざ
反吐が出る
憎い 憎い 憎い
憎い 憎い 憎い!
在りし日 くちなわの
水底にて微睡む夢は
自らを迫害せし者達を
鏖殺せんとする
呪怨の真言
のろい のろい このつぼに
どくむし どくへび どくがえる
ちぎりくわれて くわれてちぎれ
からだのなかで のろいがたまる
さいごのいっぴき つぼのなか
うずまくうらみ そのなかに
夜を汝蔑みて
昼に希望を見出だす者よ
月の照る光にて
夜魔の牙に掛かるが良い
稚児の為に
夜想曲を弾こう
提琴の弦と弓
震えて出る音色は
稚児の星を映す瞳を
夢に誘みて 閉じさせる…
仮面を砕け
偽りから解放されよ
お前は新たなる
生を経て顕現せり
お前を縛る しがらみの鎖は消え
何処へでも飛び立ち
自由を謳歌する
お前の邪魔をする者は
お前の一瞥により
憐れにも 地に伏せるだろう
ゆたり ゆたりと 絞めようか
首を そっと 包み込んで
苦しい 苦しいか?
息が 出来なくて 辛いか?
良いさ 良いさ
お前が 苦しめば
私は それで 嬉しいんだ
虫の息だ
お前は もうすぐ 歿ぬんだね
お前が 歿んだら
誰が 悲しむ?
あいつ? そいつ?
いや いや 違う
お前は 私の 友達だ
だから 私が 悲しむのだ
光 頭上のスフィア
弾けて散れ 矢の如く
光矢よ 射ぬけ心臓を
苦しみ無く 送ってやろう
泣いたって誰も
助けてくれやしないんだ
茎の折れた華奢な花に
包帯を巻いたって
また誰かに踏まれるだけ
私のヴィジョンは砂嵐
進む先に未来は無い
だったら好き勝手に暴れるさ
自由にやらせて貰うだけ
お前の助言なんて聞こえない
私は嗤うんだ 誰の為でもない
他でも無い 自分の為に
この本も あの本も
全てがハッピーエンドだ
元々の物語は全て
血に塗れ 肉欲に更けていた
何故人は背けるのだろう
真実を見るのがそんなに辛いか
今や人は幸福のみを求める
危険の無い蜜だけを欲しがる
手を 手を 手を
祈り 目を 瞑り
呼びかけよ 空の
宇宙の 異形なる 神に
口を 口を 口を
名を 名を 名を
呼べ 呼べ 呼べ
さすれば 救われる
狂うけども 幸福となれる
我は怨みて彼を呪ひて
月夜の明かりの下 卵を埋めん
割れた腐った卵の液は
土の陰気を吸収し
彼の紡ぎし縁を絶ち切らん
雷よ 轟け
天より稲光を
太陽を隠せし黒雲
隙間から見える 雷の歪なる条線
我が憤怒の顕現 敵よ 恐れよ
汝の心臓 瞬きの後に穿たれん!
脳が夢を見ます
私が現在にて この眼球二つにて
みつめた景色が 色とりどりの
混在化 色赤 色青 色白の
眼球の情報を 我が脳味噌が編集し
いらないのcut 9割位
残りの1割は脳味噌が
貼って テープで 巻いて
写影機化した眼球が
素敵な夢と 粉掛けて
狂う肉の外殻 内臓を包装する
私が目を閉じる時
それは始まるのです
詩を書きたい
だけど皆が笑う様な
喜んでいられる様な
そんな明るい朗らかな詩を
私は書きたくない
狂気を書きたい
昏々とした
脳に虫が入って
脳髄を這って
不快感を引き起こして
寄生された宿主が
あまりの痒さに耐えきれず
囓った襤褸襤褸の爪で
脳味噌が剥き出るまで引っ掻く…
そんな詩を
私は書きたいのです
歩いていると 影が出来る
夕日の光に照らされて
ある日の帰り たったひとり
カラスが鳴いている 空は橙
影を見ると 私よりも
大きくて 長くて
ひょっとしたら 私の方が
偽ではなかろうかと 思う事がある
鞄の鈴が鳴る
チリン チリン
紫の空の色
毒が空を埋め尽くしたら
こんなのになるかしらん
私は何者だっただろうか
決まった時間の起床
決まった時間の労働
決まった時間の消灯
誰が決めたのかわからない
与えられた課題を
黙々とこなす
与えられたのは
名前では無く番号
電波搭から鐘の音が鳴った
それは昼食と昼休みの合図である
なんの素材が使われているか
知らなくていい事だから
物体を口へ運ぶ
本を読む
昔にはファンタジーとか
漫画とか娯楽が
あったらしいが
この本には書かれていなく
この本にある事は
個の自由たる思想を持つ事が
如何に危険で罪で愚かであるか
たった一つの上位の個の思想に
我等全が従う事がどれだけ
幸福であれるのかを説いている
私はそれに疑問を持った事は無い
この本に書かれている事は
全て正しいからだ
それでは家畜や奴隷と
変わりが無いからと
自由を掲げた者達がいた
それらは皆私達が見ぬ内に
粛清され
元通りになる
思考を放棄したって
命がある事に変わりは無い
脳味噌がこの体を
動くと判断したのなら
私と云う個体は
働かなければならない
みんなカラスだ みんなニワトリだ
なんて喧しいんだ
なんでそんなに騒げるんだ
大声で笑っていられるんだ
煩いから黙って口を閉じろ
私を頼むから寝かせてくれ
私がいなくても
朝は来る
私がいなくても
昼は来る
私がいなくても
夜は来る
私がいなくても
人は生きる
私がいなかったら
もっと君は良い友人に
巡り会えたのかもしれない
だから私の事を
引き留めるのはやめてくれ
私は生きたくない
幾ら誰が何を云おうが
さようなら 友よ
君は私を忘れてくれ
私は病的でありたい
緑々と茂る葉っぱの中の
たった一枚の
黄色斑な葉でありたい
私は病的でありたい
青に見えがちで
実は何色でもない透明の
海水になりたい
私は病的でありたい
照らす太陽を酷く拒む
黒々とした
雲になりたい
扉を開けた 扉を閉めた
靴を脱いだ 靴を揃えた
廊下を歩いた 扉を開けた
袋を置いた 椅子に座った
テレビをつけた テレビを消した
風呂へ行った 風呂に入った
頭まで浸かった 苦しかった
風呂から上がった 服を着替えた
包丁を握った 肉を切った
痛みがあった 指がなくなった
薬を飲んだ 薬を飲んだ
そして眠った 起きなかった
這う者 底に 夜に
きたる ずるり ひきずって
窓を 叩く 割れぬ
覗いている 張り付き
うやうやと眠っていた僕は
その神秘たる生物の 信者となる
それは欲?
食欲ではない 睡眠欲ではない
肉欲ではない
では何か それは詩
詩を書きたくとも書けぬ
思い通りの詩が書けない
苛苛はしない ただ悶々とする
身体の中で悶々が
腹に渦巻いて うずうずして
私の身体の形になって
脳が 書きたいと叫んだ
病の夢 みせるのは
叶いはしない 記憶の幻
ペンを持つ 描く空想は
ひらひらの蝶々が 原稿に止まった
書きかけの 夢の欠片の群像は
私に望まぬ希望を与えた
生きるかも しれないと
友が できるかもしれないと
恋人が できるかもしれないと
いない いない そんなのは
私の人生には 存在しない
誰も彼も私を嫌った
誰も彼も私が嫌った
孤独 静寂の中
心臓は 動いているか
このまま 歿が
人の形をしてくれれば良いのに
そして私は歿と云う者に
恋を患い 添い遂げたい
素敵ですね
感想を送るのは余計かとも思いましたが
特に最近の詩はとても好きです
お互いに創作を通して
少しでも悩みや苦しみがなくなったら良いですね。
<<207
ありがとうございます。
そう云って頂けるとは
此方としても励みになります
詩を書く時は
我が内にある狂気を覗き
軽く心を病まねばならない
平常時に書く詩は
なんともつまらぬ物だろうと
嘆息する
我が狂気は植物の蔦の様
正に座する我が背後に忍び寄り
人の手の形と成りて
母が児を抱き慈しむ様に
私の事を包む
狂気に抱かれた私は
狂気より茂る言葉の木々の中から
果実と化した詩を
もぎ取り齧るのだ
朝が来ました
人は夜と云います
私は人が云う夜こそが
朝なのです
影は嗤います
白い歯を剥き出して
人は私が気が違って
狂ってしまったと嘆きますが
私からにしてみれば
私なんかに構う貴方達こそが
気が違って見えます
楽しいですか?
窓扉に鉄格子がはめられていて
何処にも行けない私の事を
病人扱いして世話をするのは
世間は見捨てたのです
社会の歯車に合わない私を
貴方達が望む
普通にはなれなかったんです
ほら 出ていって下さい
貴方達がいるせいで
影に潜む妖精と
ベッドの上に鎮座する
けばけばしい人形の粘土と
お話しが出来ないじゃないですか
自分の中に閉じ籠っていれば
誰にも傷付けられる事は無い
自分の世界にあるのは
自分だけで良い
がらんどうの城
自らのみが座する玉座は
寂しい安寧があるのだ
空に在りし月は我が上に
照らす光は道を造り
うろんに生きる私を導く
孤独なる私は月の傀儡
月よ 我を寵愛したまえ
何を見ていたのだろう 貴方は
遠い目は何処を向いている?
夢を見ているのなら
それはどんな夢?
貴方はぽろぽろ泣いている
辛い 悲しい 苦しいと
貴方は心を壊してしまってから
ずっとそればかり呟いている
私に出来る事は
貴方に寄り添い
林檎を兎の形に切る事だけ
過去は若く潤っていた手も
今や皺だらけで生気は朧
何時か貴方が
苦しみすらも溢さなくなった時
私は貴方を連れて
私と貴方が出会った場所で
軽い貴方と共に
果てようと思う
苦しむ者よ 此処へ
前に出て 手を
膝を折りなさい 偶像に
世の煩悩に 別れを告げて
信じるものは何?
ええ その通り
貴方は信者
祈り 歌い
高らかに 私を賛美する者
そうすれば
貴方は歿を 恐れない
何も 考え無くて良い
目に景色は映すけれど
何も 見えなくて
あるのは私を
この世の神と崇めるだけ
少女は血の海に落ちる
底無きへ沈んでいく
無数の縄が絡み付く
少女を縛り上げて窒息させる
血の海より上げられた
少女の首には縄が掛けられて
時計の振り子の様に
左右に揺れる
膝を抱えて眠ると
目が目が目が
少女の事を見ている
目的がある訳じゃ無い
少女が右に逃げれば右を向き
少女が左に逃げれば左を向き
少女が発狂して目玉を抉れば
目玉達も腐り落ちる
少女は裸足
地は骸と肉
歩く度に腐臭が凄まじく
足の裏には
蠅の児供が張り付いて
プチプチ音を立てて
痛い痛いと声がする
鳥はいつまでも
空を飛べる訳じゃない
魚はいつまでも
海を泳げる訳じゃない
動物はいつまでも
地を歩ける訳じゃない
君だって動物の
一種類で一匹で一人だ
その足でいつまでも歩けやしない
君が歩む
光の道の先の末路を
私は知っている
笑を以てして
他と交流す
涙に暮れ乍
悲哀に包まれる
悲哀は怒りを呼び
怒りよ憎悪あれと叫んで呪う
私は焦っている
女王に謁見する
時計兎のように
浮かばなくなったのだ
詩が 言葉が
風に吹かれて散った
宛の無い 花弁の様に
私の色とりどりの心象は落ち
空が 海が 無色になった
新たなる色を足さねば
私の心象を
取り戻さなければ
絶えてしまう
物語の頁に
鋭い万年筆を
突き刺さなければ
僕らは 世の中から
蔑まれて 生きている
他人と 違うだけで
異端児扱いされる
そんなに僕らが可笑しいか
僕らからにしてみれば
同じ顔をしている
お前達の方が可笑しい
秩序 協調 同調が
絶対的な正義と
お前達は合唱する
煩いな ほんと
黙ろうよ
自分を持たないお前達なんかに
云われる筋合いなんてないね
刻々と近付く 我が生誕の時
針が十二をさせば
また一つ この身は老ける
それは良い 私は
老いに恐れは抱かない
寧ろ喜ばしき哉
私が戀患う歿と云うものに
一歩前進するのだから
木に抱かれし安らぎのゆりかごよ
傷付き膝を折りし者達を
受け入れし母となりたまえ
ゆりかごに抱かれし者よ
記憶を忘却の那由多に送り
母に抱かれる赤子となり
光の粒子と化して
木と融解するが良い
ゆりかごは母だ
お前が犯した血の腕も赦そう
眠るだけで良い
目を閉じれば全てが終わる
どんぐりがひとつ
木のうえからおちました
おちたところはさかだった
だからころころころがって
水のなかにおちてった
おちてきたどんぐりを
きょうみしんしん
魚はつついていって
あきるとすいすいおよいでる
これがもし童話なら
どんぐりに手足がはえていて
どじょうとあそんでいるのだろうけど
そんなことはあるわけないので
しくしく土にうまってる
正しきは邪悪の宝庫
昔は神聖である事も
流転する時の前では
邪となる
獣は ずっと下を向いているのです
獣は友達の作り方がわかりません
獣は一匹だけで狩りをして生きてます
獲物を食べる獣の目に映るのは
皆で力を合わせて狩りをして
分けあって食べる他の獣達
一匹で狩った獲物は自分だけの物
皆で狩った獲物は皆の物
取り分は少なくなる筈なのに
どうして笑っていられるのだろう
獣はちっとも理解が出来ず
沈む夕日を眺めるだけ
いるよ
ここに いるよ
まどのところの
ベランダに いるよ
いるよ
へやに いるよ
ないている あかちゃんの
ベッドに いるよ
いるよ
おふろに いるよ
ふやけている だれかの
したいに いるよ
いるよ
いしに いるよ
おおきくなった きみの
まうしろに いるよ
いるよ いるよ
春がきました
桜はおてがみです
ねむるねむる植物が
ねむるねむる動物が
ねむるねむる虫達が
元気な太陽の光で
みんなみんなおきるのです
みんなは協調が好きだもの
他人の個性なんて知らない
みんな同じじゃなきゃ駄目なんだって
団結の為ならば
他人を排除するのに躊躇しない
正しいが可笑しい事に
みんなは何時気が付くんだろう
唾を吐く口や叩く手蹴る足が
早く止まれば良いね
なにかできたら良いのに
なんでも良いから
才能が欲しかった
周りはみんなそうだった
頭の良い子 運動出来る子
絵が上手な子 話が上手な子
いろんな上手な子がいる中で
私だけが才能無かった
勉強も 運動も
絵も 話も
ありとあらゆる能力で
普通よりも劣っていた
いつも褒められるのはあの子ばかりで
私は誰にも期待なんてされていない
なんで自分は生まれてきたんだっけ
わからないや そんなこと
輪の中に入るのが嫌だった
上手な子と比べられるから
みんなあの子の方ばかり囲んで
あの子も満更で無い綻んだ顔をして
そんな光景を見るのが嫌で
屋上に上がる
古いフェンスは風が吹いて
ギシギシ揺れる姿はまるで
手招いているみたいだった
私は今の童話を否定する
誰も傷つかないなんて
そんなことがあるものか
何故許す?
許す必要は無い
報復してしまえ
足など火で焼け
踊り狂わせて歌わせろ
幸せは逃がすな
檻の中に閉じ込めてしまえ
私が望むのは原本の結末
救いようの無い真実を
幸福の幻想を壊す現実を
貴方に突き付けよう
私は愛すると云う事を知らない
私は愛されると云う事を知らない
私に差し伸べられたこの手を
私はどうすれば良いのだろう
夢見の終点地は歿の楽園
罪ありきは裁きにて
地の獄へと落ちたる哉
生まれなど意味は無き
金貨を抱くか愚か者
獄卒は呵責せん
罪ありきの魂を
人の魂に刻まれた記憶の円盤
嘘は吐かん嘘は吐けん
偽りなど無駄なのだ