東風谷早苗、15歳。中学3年生。いつも通り5:30に起きて顔洗って、
セーラ服きて、朝ごはんを食べる…そんな普通の毎日…それが私の一日。
…二ヶ月前までは…
今でも朝ごはんまでは変わらない。
でも、学校に行こうとする私の足音がとても、憂鬱に聞こえる。
右の角を曲がると近所のおばさん達の井戸端会議。
話題は大体私か、クラスのまりんちゃんの話題。…え?例えば?私なら、
「あら、あの子!ほら、早苗ちゃん!!凛々しくて笑顔素敵で、挨拶もしっかりやって!本当にいい子ね。」
「本当!完璧。まるで巫女さん!」
という具合に。巫女さんっていう表現は割と好き。とても神聖な役職だし、潔白、
自分でいうのもなんだけれど、私は生まれて一度も「悪い事」をした事がないし、神々を慕っている。
正直、ぴったりだと思う。
まりんちゃんは、
「あ、まりんちゃん!あの子もいい子だけど、早苗ちゃんが転校してきてから霞んだっていうかねぇー、」
「早苗ちゃんと比べたら可哀想よー。」
褒められるのは悪い気はしなかったけど…なんか…
最近クラスの女子から距離を置かれ気味な気がする。仕方ないのかな…
もともとクラスの人気者はまりんちゃんで、おばさんたちの話題もまりんちゃん。
それを、その地位を急に転校して来たやつにその座を奪われたものね。
私が悪いんだろうな…そう呟く。すると
?「早苗が悪い分けないでしょ!早苗には神々を信仰する心もあるしっ!!」
?「確かに。早苗には神々を信じる心がある。が、流石に諏訪子の私情もあるんじゃ?」
諏訪子「そんな事はないさ!神奈子!早苗が信じているから私は消えていない!だろう?」
神奈子「うーん、そうだが…」
早苗「あ〜!朝から喧嘩しないで下さいっ!もう!」
二人「ごめん…」
あ、でもっ、と諏訪子様が思い出したように私に聞く。
諏訪子「この世界を全うしたら幻想郷にきてくれるんだよね?!」
早苗「?あ、幻の郷でしたっけ?あれって本当にあるんですかぁ?諏訪子様の作り話かと…」
出会った時から幻想郷、幻想郷、と騒いでいるが、私はその場所を見たことがない。
寧ろ、あるんだ、へ〜、なレベル。でも、とても綺麗だ、そういう。
諏訪子「って!聞いてる?」
早苗「えっ!?あ、何でしょう?」
あはは、と苦笑いし、頭を撫でる…
諏訪子「ちがぁ〜う!!本当にあるってば〜ねぇ?神奈子!」
まーた始まった。諏訪子様はこうなるとムキになって止まんない。
面倒になってきたから学校行こう…
スタスタ、と歩き出す。軽快ではあるが、憂鬱な音色。そんな朝。
カララッ、と教室の戸を開けると、まりんちゃんを含め、何人かの女子がこちらを向いて、ヒソヒソと悪口を言う。
絶賛、虐められ中だから。
はぁ…と小さくため息をついて、窓を見る。
先程までは曇っては居たものの、雨は降っていなかった。が、今はパラパラと少しずつではあるが降っている。
早苗(どうしよう…傘持ってきてないや。帰る頃にはやむかしら。)
まあ、持ってきても隠されるな、と思った。
初めて諏訪子様と神奈子様が現れたのは小学生の時。
神様なんていない、東風谷馬鹿じゃん!、早苗ちゃんて何でそんなウソついてるの?、あのね、そんなのいないのよ、
って言われた。悲しくて悔しくて言い返せなくて、トイレの個室でし始業の鐘がなってもないていた。
そんな時、
「はい、飴。早苗、どうぞっ!」
そう言って帽子を上げたのが諏訪子様。
「何で本当のことを言ってるって、言い返さないんだい?」
不思議そうに私の顔を覗き込んできた。
「やめろ諏訪子、怖がってる。」
そう言ったのが神奈子様。
意味がわからなかった。でも、何となくわかった気がした。
早苗「もしかして、グスッ、神様?」
諏訪子「あぁ、そうさ!早苗の信仰心から生まれたミシャクジの神様さ。」
神奈子「私たちはいつもお前を見守っている。だから安心していな。」
保健室のベットに何時の間にか寝ていたらしい。目が覚めたら保健室にいた。
すぐに神様が助けてくれた、そう思った。
?「ちゃん、早苗ちゃん!聞いてる〜?」ぼーっとしてるよ?と、顔を覗き込んでくる、
ツインテールの女の子。
まゆちゃん。
まゆ「大丈夫?園崎さんのこと、気にしない方がいいよ、それより傘持ってきた?」
早苗「あ、ううん。持ってない。」
じゃあ、貸すよ!明るい声。まゆちゃんはクラスの女子で、唯一、味方をしてくれる。
まゆちゃんは積極的に話しかけてきてくれる。本当ありがたい、まゆちゃんは小学校の頃から
神の存在を否定しなかった。早苗ちゃんがいうならいるんだね、と。でも、
私は園崎さん、もとい、まりんちゃんに嫌われている。そんな私に話しかけるまゆちゃんも…
でも、
「気にしないよ!ね?」
が口癖。
早苗「あ、まゆちゃ…」私がまゆちゃんを呼ぼうと、そう言いかけるとまりんちゃんが遮る。
まりん「おっはよー、早苗ちゃん。」にたぁ…と笑顔をつくる。でも、わかる。
あの顔は悪意の塊のような顔。いつでも私たちをいじめられるよう見張ってる取り巻きたちをみればわかる。
早苗「何?まりんちゃん、」仕方なく笑顔を作って聞き返す…が、またもやまりんに遮られてしまう。
まりん「何気安く名前読んでんの?本当気に入らないわ。転校してこなきゃ良かったのに。」
ちか「ほんと、中二ん時偶然東風谷がきたからって友達居ますって面してんなよ。」
私は、一度、小学四年生の時転校して、戻ってきている。そのことを千花はずっと言っている。
でも普段はまりんちゃんの後ろでしか威張ることのできないような人間。
要は哀れだ。そう言いたい。おっと、始業のチャイムだ。みんなワラワラと自席へ戻っていく。
読書の時間ではあるが、担任がまだな為少しざわついて居る。
まぁ、教師のいないクラスは当たり前のことだ。そして担任が入ってくる。
そうしてやっと教室に静寂が戻る。
日直が号令をかけ、起立し、礼をして椅子に座る。
当たり前で普通過ぎる面白くもないそんな日常。
ある日、まゆちゃんが面白そうな本を持ってきた。
えと?ー幻想郷ー本の題名にはそう書いてある。
げん…そうきょう…?
早苗「あれ、これって…」
諏訪子様が言ってた…もしかしたらどんなところか、
分かるかもしれない…
咄嗟に、いや、というより、ほぼ無意識に、貸して。
そう言った。
が、早苗は幻想郷のことなど、これっぽっちも知らない。まぁ、特に見たいページかあるわけでもないので、
最初こそパラパラと斜め読みをしていたが、早苗はあるページに見入ってしまった。
そこにあったのは、一枚の写真。
その写真には、とても綺麗な、青々とした山、そして、江戸時代、明治時代を想起させるような村、いや、人里と言うべきか…
そして、その里の奥から一つの砂利道で繋がる、
赤い鳥居の神社と思わしき建物…その建物からは神々しく、厳かで、写真とは思えない神社の威厳を感じるほどである。
美しい…そう思った。
見入っていると、まゆが、早苗ちゃん、どうかしたの?そんな文字しか無い本に見入るなんて…
そう話しかけてきた…
文字しか無い本…つまりまゆはこの写真の存在を知らない。
悪いことだと、わかったが、さっと、写真をとった…
分かるかもしれない…そう思った早苗の行動は早く、ほぼ無意識に貸して、そう言っていた…
が、早苗は幻想郷について何も知らない。その為特に見たいページもない。が、最初こそパラパラと斜め読みをしていたが、
やがて、ページに挟んであった写真を見つめ、目が離せなくなった。
その写真に写っていたのは、江戸時代、明治時代を想起させるような場所を空からとった写真。
たったそれだけの写真だが、早苗は釘付けだった。
真ん中には田畑や江戸時代のような人里、として、健気で青々とした山。
人里の目立たないような奥の砂利道から繋がるのは赤い鳥居のある神社と思わしき建物…。
建物は写真とは思えないような神社の威厳や厳かな雰囲気、そして、美しさを表したような姿だった。
確かにこれは言葉に表せるレベルの美しさではない…すぐにそう思った。
そういえば、まゆちゃんはどこでこんな本を見つけたんだろうか?
すいません、>>7は無視して下さい!あと、レンメリの書こうと思います!
9:匿名さん:2018/12/01(土) 23:14 ID:2nE早苗「ねぇ、まゆちゃん、この本どこで…」そういった所で、始業のベルが鳴った。
10:イリア◆7s:2018/12/14(金) 22:31 ID:2nE あーあ。聞けなかったな。
あとで聞こう。そして、ちょっと借りよう。
「まゆちゃん、この本なんだけどさ、貸して欲しいの。」
まゆはきょとんとして、そんな本が欲しいの?あげるよ〜 そう軽く言い放った。そしてこう続けた。
「あの〜なんだっけ、すごい古びた神社あったでしょ。森の奥の方に。あそこに落ちてたの。」
すごい古びた神社とは、子供の時。まだ私が転校する前、参拝客もこない静かな神社を秘密基地にして遊んでいた。
あんな所にどうして行ったんだろう?